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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068905
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/07 20060101AFI20230511BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B65D81/07
B65D5/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180355
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 健一郎
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC19
3E060CC43
3E060CC52
3E060DA23
3E060EA13
3E066AA37
3E066AA38
3E066CA01
3E066CA03
3E066CA04
3E066HA01
3E066JA03
3E066LA01
3E066LA05
3E066MA09
3E066NA51
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】物品を収納可能な包装箱において、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能な支持機構が接着剤を用いることなく、包装箱と一体化している包装箱の提供を課題とする。
【解決手段】紙を組み立てて形成される6面体の外装箱と、その内部に設けられた支持機構とからなり、支持機構は矩形の台紙が2枚連続して形成され、窓枠形状の台紙は、プラスチックフィルムを基材とする積層体が窓部分を覆って窓枠部分で接着されて固定されており、積層体は、窓枠形状の台紙の外側で、端部が外装箱に達して接着面を形成して接着されており、外装箱の内側の面と接着することができ、外装箱の内側には、台紙を両面から挟みこんで固定し、保持する支柱となる部分が4箇所以上設けてあり、重ねた台紙の窓部分に、内容物の物品を挟みこんで固定して収納可能であることを特徴とする、包装箱である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱であって、
包装箱は、紙を組み立てて形成される6面体の外装箱と、その内部に設けられた支持機構とからなり、
支持機構と外装箱とは、1枚のブランクから形成されており、
支持機構は、矩形の台紙が2枚連続して形成され、
少なくとも1枚の台紙は窓枠形状であり、
窓枠形状の台紙は、プラスチックフィルムを基材とする積層体が窓部分を覆って窓枠部分で接着されて固定されており、
これら2枚の台紙は、台紙と台紙の中間で折り返して重ねることが可能であり、
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体は、窓枠形状の台紙の外側で、端部が外装箱に達して接着面を形成して接着されており、
接着面のもう一方の面はさらに包装箱を組み立てた際に接する、外装箱の内側の面と接着することができ、
6面体の外装箱の内側には、重ねた2枚の台紙を両面から挟みこんで固定し、保持する支柱となる部分が4箇所以上設けてあり、
前記折り返して重ねた台紙は、外装箱の内側の底面と天面の間の空間で、前記支柱に接する部分以外は外装箱とは接触することなく、宙に浮いて保持され、
重ねた台紙の窓部分に、内容物の物品を挟みこんで固定して収納可能であることを特徴とする、包装箱。
【請求項2】
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体と外装箱の接着、及びプラスチックフィルムを基材とする積層体同士の接着は、融着であることを特徴とする、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記2枚の台紙は、2枚の台紙の両方が窓枠形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体は、ポリオレフィン系フィルムを基材とすることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記2枚の台紙は、その中央で折り返して重ねた際に、少なくとも窓枠の周囲の1以上の辺をヒートシールして固定してあることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記台紙の窓は、1枚の台紙に複数の窓が配置してあり、窓部分にプラスチックフィルムを基材とする積層体が窓枠でシールされて固定されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装の用途に供する紙箱に係るものである。特に簡易な構造でありながら、包装される物品を包装箱内面との摩擦、衝突による損傷を回避し、また外部からの衝撃や振動から保護することが可能な、包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装箱は、包装容器のひとつとして、平面の紙を立体に組み立てて作る方法が一般的で、古くから使われてきた。紙は比較的安価なうえ、一定の機械的強度を有しており、一方で切断や打ち抜き、また罫線加工など加工性に富み、精細度の高い印刷、表面コート、ホットスタンプ加工などの表面加飾によって、豊かな意匠性の表現が可能であるなど、包装材料としての利点は多い。
【0003】
紙容器が広範に用いられている背景には、紙容器にはたとえば下記のような特徴、利便性があることがあげられる。
・紙を材料とするために比較的安価である。
・軽量であり、折りたたみも可能で保管、輸送コストが少ない。
・表面に各種印刷が可能であり、意匠性向上、内容物に関する情報表示が容易である。
・一定の耐衝撃性を有し、持ち運びにも便利である。
・植物もしくは木材由来の素材であり、廃棄に際して減容性、焼却性に優れ、環境適合型である。
【0004】
一方で、紙容器として、要求品質も内容物や用途に対応して多岐にわたっており、たとえば、下記のような機能が求められている。
・微生物からの保護、密封性に優れる。
・保存性の向上を目的とした、遮光性、ガスバリア性を有する。
・内容物の外力からの保護を目的とした剛性や強靭性を有する。
・内容物に液体を収納可能である。
・意図しない開封や、改ざん防止機能を備える。
【0005】
したがって、その用途は広範にわたり、たとえば食品の分野では、菓子類やインスタント食品などに用いられており、非食品の分野でも多種多様な日用品に用いられ、あるいは産業用にも広く用いられている。
【0006】
また、特に近年は環境適合型の商品が求められる中、紙の包装箱は木材由来であり、使用後にはリサイクルが可能であり、あるいは焼却も可能であるなど、きわめて環境適合型である。
【0007】
本来包装箱は、包装容器として内部に収納された物品を、外部からの汚染、衝撃から守ることが基本的な機能であるが、それだけではなく、物品によっては、微細な振動や、包装箱内面との摩擦、衝突による損傷をも抑止することが要求される。
【0008】
特許文献1~4において、包装箱中で物品を固定する包装具の各種の提案が示されてはいるが、いずれも物品を固定する包装具は別体となっているため、しっかり固定をしようとする場合には、包装箱に接着剤などで固定する必要があり、構造が複雑である上、煩雑な手間がかかるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5782663号公報
【特許文献2】特開2005-15012号公報
【特許文献3】特開平7-330034号公報
【特許文献4】特開2006-27632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、物品を収納可能な包装箱において、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能な支持機構が、接着剤を用いることなく包装箱と一体化している包装箱の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
包装箱であって、
包装箱は、紙を組み立てて形成される6面体の外装箱と、その内部に設けられた支持機構とからなり、
支持機構と外装箱とは、1枚のブランクから形成されており、
支持機構は、矩形の台紙が2枚連続して形成され、
少なくとも1枚の台紙は窓枠形状であり、
窓枠形状の台紙は、プラスチックフィルムを基材とする積層体が窓部分を覆って窓枠部分で接着されて固定されており、
これら2枚の台紙は、台紙と台紙の中間で折り返して重ねることが可能であり、
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体は、窓枠形状の台紙の外側で、端部が外装箱に達して接着面を形成して接着されており、
接着面のもう一方の面はさらに包装箱を組み立てた際に接する、外装箱の内側の面と接着することができ、
6面体の外装箱の内側には、重ねた2枚の台紙を両面から挟みこんで固定し、保持する支柱となる部分が4箇所以上設けてあり、
前記折り返して重ねた台紙は、外装箱の内側の底面と天面の間の空間で、前記支柱に接する部分以外は外装箱とは接触することなく、宙に浮いて保持され、
重ねた台紙の窓部分に、内容物の物品を挟みこんで固定して収納可能であることを特徴とする、包装箱である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体と外装箱の接着、及びプラスチックフィルムを基材とする積層体同士の接着は、融着であることを特徴とする、請求項1に記載の包装箱である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、
前記2枚の台紙は、2枚の台紙の両方が窓枠形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装箱である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体は、ポリオレフィン系フィルムを基材とすることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装箱である。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、
前記2枚の台紙は、その中央で折り返して重ねた際に、少なくとも窓枠の周囲の1以上の辺をヒートシールして固定してあることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装箱である。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、
前記台紙の窓は、1枚の台紙に複数の窓が配置してあり、窓部分にプラスチックフィルムを基材とする積層体が窓枠でシールされて固定されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装箱である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、物品を収納可能な包装箱において、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能な支持機構が接着剤を用いることなく、包装箱と一体化している包装箱の提供が可能である。
【0018】
この包装箱は、紙から形成される6面体の外装箱と、その内部に設けられた支持機構とからなり、支持機構によって、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を、またそれに伴う物品の損傷、破損を抑止することが可能となる。
【0019】
また、支持機構と外装箱とは、1枚のブランクを組み立てて形成されていることによって、簡単な構成で支持機構を構成しており、さらには支持機構と外装箱を接着する必要がない利点を有する。
【0020】
また、少なくとも1枚の台紙は窓枠形状であり、窓枠形状の台紙は、プラスチックフィルムを基材とする積層体が、窓部分を覆って窓枠部分で接着されて固定されており、これら2枚の台紙は、その中央で折り返して重ねることが可能であることによって、物品を支持機構である2枚の台紙の間に挟み込んで固定し、保持することができる。
【0021】
また、物品に直接接する部分に、プラスチックフィルムを基材とする積層体を用いることによって、その可撓性、弾力性で、物品の固定と保持はより確かなものとすることができ、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を、またそれに伴う物品の損傷、破損を抑止することが可能となる。
【0022】
さらに、プラスチックフィルムを基材とする積層体は、窓枠形状の台紙の外側で、端部が外装箱に達して接着面を形成して接着されており、接着面のもう一方の面はさらに包装箱を組み立てた際に接する、外装箱の内側の面と接着することができることによって、支持機構と外装箱とはより強固に一体化して、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる。
【0023】
6面体の外装箱の内側には、折り返して重ねられた台紙を両面から挟みこんで固定し、保持する支柱となる部分が4箇所以上設けてあり、重ねられた台紙は外装箱の内側の空間で、支柱に接する部分以外は、外装箱とは非接触で保持され、内容物の物品を、重ねた台紙の、プラスチックフィルムを基材とする積層体からなる、窓部分に挟みこんで収納可能であることによって、物品は外装箱の内部の空間において、積層体と接する以外は外装箱とは接触することなく、宙に浮いて保持される状態となり、外部からの衝撃や振動の影響を遮断、軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる。
【0024】
また特に請求項2に記載に発明によれば、
プラスチックフィルムを基材とする積層体と外装箱の接着、及びプラスチックフィルムを基材とする積層体同士の接着は、融着であることによって、積層体の両面及びそれに接す
る外装箱の表面に熱可塑性樹脂層を設けて、例えばヒートシールすることが可能になり、生産性良くまた強固な接着とすることができる。
【0025】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、
2枚の台紙は、2枚の台紙の両方が窓枠形状であり、窓部分にプラスチックフィルムを基材とする積層体が接着されていることによって、物品はプラスチックフィルムに表裏から囲まれた状態で、固定され保持されるために、固定と保持はより安定した状態で実現することが可能となり、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、より安定して、また効果的に包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる。
【0026】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、
プラスチックフィルムを基材とする積層体のポリオレフィン系フィルムは、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止するための適度な可撓性と弾力性を有しており、支持機構として望ましい特性を有する。またポリオレフィン系フィルムは、汎用フィルムであるために比較的安価かつ容易に入手可能で、ヒートシールなどの接着手段に対しても好適である。
【0027】
加えて、ポリオレフィン系フィルムを基材とする場合には、フィルム自体が熱可塑性樹脂であり、ヒートシール性を有しているため、ポリオレフィン系フィルム単体でシーラント層を兼ねることも可能である。
【0028】
また、特に請求項5に記載の発明によれば、
2枚の台紙は、その中央で折り返して重ねた際に、少なくとも窓枠の周囲の1以上の辺をヒートシールして台紙同士を固定してあることによって、支持機構による固定と保持はより強固なものとなり、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる
【0029】
また特に請求項6に記載の発明によれば、
台紙の窓は、1枚の台紙に複数の窓が配置してあり、窓部分にプラスチックフィルムを基材とする積層体がシールされて固定されていることによって、サイズの小さいものなど、物品の大きさに合わせた支持機構とすることができ、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが、様々な大きさの物品に対して可能となる。
【0030】
また、複数の物品を一つの包装箱に収納することが可能であり、効率的な包装形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明に係る包装箱の、一実施態様を説明するための、平面展開模式図である。
図2図2は、本発明に係る包装箱の、一実施態様を説明するための、包装箱を組み立てた状態を説明するための、斜視模式図である。
図3図3は、図2に示した包装箱の、切断線A-A'の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図1図3を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0033】
図1は、本発明に係る包装箱の、一実施態様を説明するための、平面展開模式図である。
【0034】
本発明は、包装の用途に供する紙箱に係るものである。特に簡易な構造でありながら、包装される物品を包装箱内面との摩擦、衝突による損傷を回避し、また外部からの衝撃や振動から保護することが可能な、包装箱に関するものである。
【0035】
図1に示す平面展開模式図は、包装箱の外側になる面から見た展開図であって組み立て前のブランク(20)である。包装箱は、紙から形成される6面体の外装箱と、その内部に設けられた支持機構とからなり、支持機構(18)と外装箱(19)とは、1枚のブランク(20)を組み立てて形成されている。すなわち、支持機構(18)と外装箱(19)の二つの部分が連続して構成されているブランク(20)となっている。
【0036】
ブランク(20)は紙を材料として、その材質は包装箱として必要な強度、剛性を有する範囲において特段の制約を設けるものではなく、板紙、段ボールなどの中から適宜選択して用いることができる。
【0037】
図1に示す例において支持機構(18)は、台紙(10)と台紙(11)が2枚連続して形成されている部分である。
【0038】
また本発明において台紙は矩形であって、少なくとも1枚の台紙は、中央部分に窓(16)を有して周囲が窓枠(13)となっている形状であり、図1に示す例においては、台紙(10)及び台紙(11)の2枚が、窓枠形状に形成されている例である。
【0039】
また、窓枠形状の台紙(10)、及び窓枠形状の台紙(11)は、プラスチックフィルムを基材とする積層体(12)が窓(16)を覆って接着し、固定されている。
【0040】
ここで言う接着は、その方法については特段の限定を加えるものではないが、例えば積層体(12)と、それぞれの窓枠(13)の部分とを融着して行うことができる。
【0041】
この融着は、窓枠形状の台紙、及び積層体(12)の表面になる層に、熱可塑性樹脂層を設けて融着することが可能であり、例えばヒートシールするなどの方法で融着、固定することができる。
【0042】
これら2枚の台紙(10)及び台紙(11)は、台紙(10)と台紙(11)との中間の折り返し線(15)で折り返して重ねることが可能であり、2枚の台紙は、その中央で折り返して重ねた際に、少なくとも窓枠の周囲の1以上の辺を接着して固定することができる。これによって、支持機構による固定と保持はより強固なものとなり、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる。
【0043】
この接着は、台紙の折り返しによって、プラスチックフィルムを基材とする積層体(12)同士が対向して重なり、接着されるのであって、例えば加熱などによる融着とすることができる。この場合には積層体(12)の表面となる層には熱可塑性樹脂層が設けられる。
【0044】
また図1から見て取れるように、本発明においてプラスチックフィルムを基材とする積層体(12)は、窓枠形状の台紙(11)の外側で、端部が外装箱(19)に達して接着面(14)を形成して接着されている。この接着面(14)は、包装箱を組み立てた際には、外装箱(19)の胴部(4)の内側で底面(1)と連続する部分である。
【0045】
積層体(12)の接着面(14)のもう一方の面は、さらに包装箱を組み立てた際に接する、外装箱(19)の内側の面と融着することができる。これはブランク(20)に示
す胴部(4)の内側の面である。
【0046】
これらの接着は、例えば加熱などによる融着とすることができる。この場合には外装箱(19)の胴部(4)の内面、及び積層体(12)の表面となる層には熱可塑性樹脂層が設けられ融着を可能とする。
【0047】
本発明において、6面体の外装箱(19)の内側には、重ねた2枚の台紙を上下両面から挟みこんで固定し、保持する支柱(5)となる部分が4箇所以上設けてある。図1に示す例は、支柱(5)となる部分を、外装箱(19)の4隅に4箇所設けた例である。
【0048】
その結果、台紙は、外装箱(19)の内側の、底面(1)と天面(2)の間の空間で、支柱(5)に接する部分以外は外装箱(19)とは接触することなく、宙に浮いた状態で保持される。
【0049】
内容物の物品は、重ねた台紙の窓部分に、挟みこんで固定して収納可能である。すなわち、図1に示す例では、物品は窓部分のプラスチックフィルムからなる積層体に表裏から挟まれた状態で、固定され保持される。
【0050】
したがって、固定と保持はより安定した状態で実現することが可能となり、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる。
【0051】
また本発明において、台紙には、1枚の台紙に複数の窓(16)を配置することができる。この場合も、窓部分にプラスチックフィルムを基材とする積層体(12)が接着されて固定されていることによって、サイズの小さいものなど、物品の大きさに合わせた支持機構(18)とすることができ、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが、ひとつの包装箱で複数の物品に対して可能となる。
【0052】
また、本発明において、プラスチックフィルムを基材とする積層体は、ポリオレフィン系フィルムを基材とすることができる。ポリオレフィン系フィルムは、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止するための適度な可撓性と弾力性を有しており、支持機構として望ましい特性を有する。
【0053】
またポリオレフィン系フィルムは、汎用フィルムであるために比較的安価かつ容易に入手可能で、ヒートシールなどの接着手段にも好適である。
【0054】
ここで、本発明による包装箱を組み立てる際の接着方法に関して、ヒートシールを含む、融着を可能にする材料に関して説明を加える。すなわち融着はシーラント層によって可能となる。
【0055】
シーラント層は、シーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧して例えばヒートシールすることによって互いを接着させることを可能にする。
【0056】
一般にシーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂が使用される。特にポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用することができる。
【0057】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、
エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0058】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、プラスチックフィルム上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層フィルムの表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0059】
図2は、本発明に係る包装箱の、一実施態様を説明するための、包装箱を組み立てた状態を説明するための、斜視模式図である。
【0060】
すなわち、図2に示す状態において、本発明による包装箱(100)が、図1に示す1枚のブランク(20)から組み立てられ、外装箱(19)と支持機構(18)とが一体となって包装箱(100)を形成している状態を示している。
【0061】
図2に示す例において、支持機構(18)である2枚の窓枠形状の台紙は、プラスチックフィルムを基材とする積層体(12)が窓(16)を覆って窓枠(13)に接着されて固定されており、外装箱(19)の内部に格納されている。
【0062】
また支持機構(18)を支える支柱(5)は、外装箱(19)の4隅に設けられており、天面(2)から連続する支柱が4箇所、底面(1)から連続する支柱(5)が4箇所となって上下で対をなしている。
【0063】
また、図2に示す斜視模式図において、外装箱(19)の開口部に、外装箱(19)の一部とプラスチックフィルムを基材とする積層体(12)が接着された、接着面(14)が可視となっており、この接着面(14)で胴部(4)とも接着することができる。すなわち、接着面(14)は表裏で外装箱(19)と接着する。
【0064】
これによって、支持機構(18)と外装箱(19)とはより強固に一体化して、外力の影響を緩和して、包装箱(100)の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能となる。
【0065】
支持機構(18)の重ねられた台紙は、外装箱(19)の4隅に設けられた支柱(5)に挟まれて、外装箱(19)の内側の底面(1)と天面(2)の間の空間で、支柱(5)に接する部分以外は外装箱(19)の底面(1)、天面(2)とは接触することなく、宙に浮いて保持されている。内容物の物品は重ねられた台紙の窓部分に挟みこんで固定して収納可能である。
【0066】
すなわち図2に示す例においては、内容物の物品は、プラスチックフィルムを基材とする積層体(12)に上下両側から挟まれた状態で固定され、保持される。
【0067】
図3は、図2に示した包装箱の、切断線A-A'の断面図である。
【0068】
ここに示す断面模式図は、包装箱(100)の天面(2)から底面(1)に至る、包装箱(100)を切断線A-A'で切った時の断面図である。但し、支柱(5)は中央部にはなく、外装箱(19)の4隅に設けた支柱(5)のうち、奥の2本の支柱(5)が図の手前側から可視となっている状態である。
【0069】
前述のように包装箱(100)は、紙を組み立てて形成される6面体の外装箱(9)と、その内部に設けられた支持機構(18)とからなる。支持機構(18)は、矩形の台紙が2枚連続して形成され、少なくとも1枚の台紙は窓枠形状である。
【0070】
これら2枚の台紙は、台紙(10)と台紙(11)の中間の折り返し線(15)で、折り返して重ねることが可能である。図3に示す例においては、2枚の台紙がともに窓枠形状で折り返し線(15)で折り返して、重ねられたものである。
【0071】
すなわち、図3に示す例において、窓枠形状の部分は窓枠(13)で示されており、台紙の中央部にある窓部は、窓(16)で示されている。
【0072】
窓枠形状の台紙は、プラスチックフィルムを基材とする積層体(12)が、窓(16)を覆って窓枠(13)で接着されて固定されている。
【0073】
また、プラスチックフィルムを基材とする積層体(12)は、窓枠形状の台紙(11)の外側で、端部が外装箱(19)に達して接着面(14)を形成して接着されており、接着面(14)のもう一方の面はさらに包装箱(100)を組み立てた際に接する、外装箱(19)の内側の面と接着することができる。
【0074】
すなわち、接着面(14)によって積層体(12)の表裏が外装箱(19)に接着されて、包装箱(100)を構成している状態である。
【0075】
また、本発明において6面体の外装箱(19)の内側には、重ねた2枚の台紙を両面から挟みこんで固定し、保持する支柱(5)となる部分が4箇所以上設けてあり、図3に示す例は4隅に4箇所設けた例である。
【0076】
支柱(5)は、天面(2)に接続する支柱(5)と、底面(1)に接続する支柱(5)が上下で対になって、台紙を上下からはさんで固定し、台紙を宙に浮いた状態で支えることができる。
【0077】
すなわち、折り返して重ねた台紙は、外装箱(19)の内側の底面と天面の間の内部空間(8)で、支柱(5)に接する部分以外は外装箱(19)とは接触することなく、宙に浮いて保持され、重ねた台紙の窓(16)部分に、内容物の物品(30)を挟みこんで固定して収納可能である。
【0078】
支持機構(18)を構成する積層体(12)は、プラスチックフィルムを基材としているために、可撓性を有しまた伸縮性も有するために、内容物の物品(30)の外形に沿って密着し、支えることが可能である。
【0079】
このようにして本発明によれば、内容物の物品(30)を収納可能な包装箱において、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱(100)の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能な支持機構(18)が接着剤を用いることなく包装箱と一体化している、包装箱(100)の提供が可能である。
【実施例0080】
以下本発明を、実施例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0081】
評価用の包装箱のサンプルを作成し、評価を行った。サンプルの構成、評価項目及び評
価方法、評価内容は以下のとおりである。
【0082】
サンプルは、外装箱の外寸が、90×50×15cmとした。
そのほか、支柱の数、台紙(10)と台紙(11)との固定の有無、接着面(14)の有無を変えたサンプルを作成して下記の試験を行い評価した。
なお、評価はn=5で行った。
【0083】
1.落下試験:60cmの高さから内容物の物品を収納した包装箱を10回(JIS Z0200)落下させ、内容物の物品の破損、表面の傷の有無を確認した。
【0084】
2.梱包性能評価:落下試験:60cmの高さから内容物の物品を収納した包装箱を10回(JIS Z0200)落下させ、内容物の物品の位置ずれ、誤開封の有無(包装箱の意図しない開封)を確認した。
【0085】
判定は、落下試験、梱包性能評価のいずれの評価項目においても、異常の見られなかったものを、○評価とし、いずれかに異常が見られたものを×評価とした。
【0086】
表記方法は、n=5の評価であるから、5個のサンプルすべて異常が見られない場合には、0/5と表記し、例えば2個に異常が見られる場合には、2/5と表記した。
【0087】
<実施例1>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:4
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:あり。
【0088】
<実施例2>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:4
台紙と台紙の固定:なし
接着面の有無:あり。
【0089】
<実施例3>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:6
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:あり。
【0090】
<実施例4>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:8
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:あり。
【0091】
<比較例1>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:2 これは本発明による規定を逸脱するものである。
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:なし。これは本発明による規定を逸脱するものである。
【0092】
<比較例2>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:2 これは本発明による規定を逸脱するものである。
台紙と台紙の固定:なし
接着面の有無:なし。これは本発明による規定を逸脱するものである。
【0093】
<比較例3>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:3 これは本発明による規定を逸脱するものである。
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:なし。これは本発明による規定を逸脱するものである。
【0094】
<比較例4>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:4
台紙と台紙の固定:なし
接着面の有無:なし。これは本発明による規定を逸脱するものである。
【0095】
<比較例5>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:6
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:なし。これは本発明による規定を逸脱するものである。
【0096】
<比較例6>
サンプルは下記の構成とした。
支柱の数:8
台紙と台紙の固定:あり
接着面の有無:なし。これは本発明による規定を逸脱するものである。
【0097】
評価結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
表1に示す結果から、本発明による実施例1~実施例4の包装箱においては、いずれの評価項目においても異常が発生することはなく、判定はいずれも○判定である。
【0100】
一方、本発明に規定する範囲を逸脱する比較例1~比較例6の包装箱においては、いずれかの評価項目において異常が発生している。したがって判定はいずれも×判定となっている。
【0101】
すなわち、本発明に規定する範囲内の実施例1~実施例4においては本発明による包装箱の構成が有効であることを示している。
【0102】
これまでに述べた通り本発明による包装箱は、紙から形成される6面体の外装箱と、その内部に設けられた支持機構とからなり、支持機構によって、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を、またそれに伴う物品の損傷、破損を抑止することを目的とする。
【0103】
本発明の特徴の一つに、プラスチックフィルムを基材とする積層体は、窓枠形状の台紙
の外側で、端部が外装箱に達して接着面を形成して接着されており、接着面のもう一方の面はさらに包装箱を組み立てた際に接する、外装箱の内側の面と接着することができることがある。
【0104】
これは実施例1~実施例4に共通する部分であって、比較例1~比較例6とは異なっている。すなわち接着面を有することによって支持機構と外装箱とはより強固に一体化して、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することに効果的であることを示している。
【0105】
また、6面体の外装箱の内側には、折り返して重ねられた台紙を両面から挟みこんで固定し、保持する支柱となる部分が4箇所以上設けてあり、重ねられた台紙は外装箱の内側の空間で、支柱に接する部分以外は、外装箱とは非接触で保持され、内容物の物品を、重ねた台紙の、プラスチックフィルムを基材とする積層体からなる、窓部分に挟みこんで収納可能であることによって、物品は外装箱の内部の空間において、積層体と接する以外は外装箱とは接触することなく、宙に浮いて保持される状態となる。
【0106】
実施例1~実施例4はいずれも支柱は4箇所以上に設けてあり、外部からの衝撃や振動の影響を遮断、軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することに効果的であることを示している。
【0107】
支柱の数が本発明に規定した範囲を逸脱して、2箇所、または3箇所である比較例1~比較例3は、いずれの評価項目において×評価であり、このことからも支柱の数が、外部からの衝撃や振動の影響を遮断、軽減し、より安定して包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することに効果的であることを裏付ける結果となっている。
【0108】
続いて比較例について個々に考察を加える。比較例1においては、支柱の数が本発明に規定する範囲に達していない、また積層体と外装箱の接着面がないために、台紙の固定、保持が不十分であって、内容物の物品の破損、傷を招いたと考えられる。
【0109】
比較例2においては、支柱の数が本発明に規定する範囲に達していない、またまた積層体と外装箱の接着面がなく台紙の固定、保持が不十分であって、加えて2枚の台紙同士の接着もないために、物品の位置ずれおよび外装箱の誤開封を招いたと考えられる。
【0110】
比較例3においては、支柱の数が本発明に規定する範囲に達していない、また積層体と外装箱の接着面がないために、台紙の固定、保持が不十分であって、内容物の物品の破損、傷を招いたと考えられる。
【0111】
比較例4においては、支柱の数が本発明に規定する範囲に達しており、台紙の固定はされているものの、積層体と外装箱の接着面がないために支持機構と外装箱が一体化しておらず包装箱が脆弱であり、加えて2枚の台紙同士の接着もないために、外装箱の誤開封を招いたと考えられる。
【0112】
比較例4は、実施例2と比較して積層体と外装箱の接着面の有無が異なる点であり、これが外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することに有効であることを示している。
【0113】
比較例5においては、支柱の数が本発明に規定する範囲に達しており、台紙の固定は十分であるものの、積層体と外装箱の接着面がなく、支持機構と外装箱が一体化していないために、包装箱が脆弱であり、外装箱の誤開封を招いたと考えられる。
【0114】
比較例5は、実施例3と比較して積層体と外装箱の接着面の有無が異なる点であり、これが外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することに有効であることを示している。
【0115】
比較例6においては、支柱の数が本発明に規定する範囲に達しており、台紙の固定は十分であるものの、積層体と外装箱の接着面がなく、支持機構と外装箱が一体化していないために、包装箱が脆弱であり、外装箱の誤開封を招いたと考えられる。
【0116】
このようにして本発明によれば、物品を収納可能な包装箱において、外部からの衝撃や振動の影響を軽減し、包装箱の内側面と物品との摩擦、衝突を抑止することが可能な支持機構が接着剤を用いることなく、包装箱と一体化している包装箱の提供が可能であることを検証することができた。
【符号の説明】
【0117】
1・・・底面
2・・・天面
3・・・胴部
4・・・胴部
5・・・支柱
8・・・内部空間
10・・・台紙
11・・・台紙
12・・・積層体
13・・・窓枠
14・・・接着面
15・・・折り返し線
16・・・窓
18・・・支持機構
19・・・外装箱
20・・・ブランク
30・・・内容物の物品
100・・・包装箱
図1
図2
図3