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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006914
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】浴槽装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109782
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山元 隼人
(57)【要約】
【課題】洗浄液の泡残りを解消し、浴槽本体を良好に洗浄することができる浴槽装置を提供する。
【解決手段】浴槽装置1は、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1が内側面13Sに接する第1接点T1、第1仮想直線L1と第1接点T1から鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2とを含む仮想平面上において、浴槽本体10に蓋をした状態の風呂蓋50と内側面13Sとが接する第2接点T2、及び第1仮想直線L1と、第2接点T2から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3とが交差する交点Cに対して、第2接点T2と交点Cとの距離を距離Xとし、第1接点T1と交点Cの距離を距離Yとした場合、距離Xと距離Yとの関係が以下の式1を満たす。
式1:距離X/距離Y≦3.4
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面の上部が上方向に向けて外方向に傾斜した周壁部、及び前記周壁部の下端に連続した底部を有した浴槽本体と、
前記底部に設けられた浴槽洗浄装置の洗浄ノズルと、
前記周壁部の上部に外縁部を載せて前記浴槽本体に蓋をする風呂蓋と、
を備えており、
前記洗浄ノズルからまっすぐに延びた第1仮想直線が前記内側面に接する第1接点、
前記第1仮想直線と前記第1接点から鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線とを含む仮想平面上において、前記浴槽本体に蓋をした状態の前記風呂蓋と前記内側面とが接する第2接点、
及び前記第1仮想直線と、前記第2接点から前記仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線とが交差する交点に対して、
前記第2接点と前記交点との距離を距離Xとし、前記第1接点と前記交点の距離を距離Yとした場合、
前記距離Xと前記距離Yとの関係が以下の式1を満たす浴槽装置。
式1:距離X/距離Y≦3.4
【請求項2】
前記距離Xと、前記距離Yとの関係が以下の式2を満たす請求項1に記載の浴槽装置。
式2:距離X/距離Y≦2.1
【請求項3】
前記距離Xと、前記距離Yとの関係が以下の式2を満たす請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の浴槽装置。
式3:距離X/距離Y≦1.2
【請求項4】
前記仮想平面によって切断した断面形状において、
前記第1接点における前記内側面は、直線から曲率半径が10mm以上の曲面である請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記仮想平面によって切断した断面形状において、
前記第1接点における前記内側面は、曲率半径が40mm以上の曲面である請求項4に記載の浴槽装置。
【請求項6】
前記仮想平面によって切断した断面形状において、
前記第1接点における前記内側面は、曲率半径が80mm以上の曲面である請求項5に記載の浴槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は浴槽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の浴槽装置を開示している。この浴槽装置は、浴槽本体、浴槽洗浄装置の洗浄ノズル、及び風呂蓋を備えている。浴槽本体は、上方から見た平面視において、一方向に長い形状である。浴槽本体は周壁部と底部とを有している。周壁部の内側面の上部は、上方向に向けて傾斜角度が徐々に緩やかになるように湾曲している。洗浄ノズルは浴槽本体の底部の中央に設けられている。この浴槽装置は、風呂蓋の外縁部を浴槽本体の上部に載せて浴槽本体に蓋をし、浴槽洗浄装置を予備洗浄モード、本洗浄モード、及びすすぎモードの順に実行し、浴槽を洗浄することができる。予備洗浄モード及びすすぎモードは湯のみを洗浄ノズルから浴槽本体内に向けて噴射する。本洗浄モードは洗浄液を洗浄ノズルから浴槽本体内に向けて噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-314058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の浴槽装置は、洗浄モードを実行すると、洗浄ノズルから噴射した洗浄液が泡状になり、浴槽本体の内側面の上部と風呂蓋との間に入り込む。浴槽本体の内側面の上部と風呂蓋との間に入り込んだ泡状の洗浄液は、すすぎモードによってすすぎきれず、浴槽本体の内側面の上部と風呂蓋との間に残ることがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、洗浄液の泡残りを解消し、浴槽本体を良好に洗浄することができる浴槽装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の浴槽装置は、内側面の上部が上方向に向けて外方向に傾斜した周壁部、及び前記周壁部の下端に連続した底部を有した浴槽本体と、前記底部に設けられた浴槽洗浄装置の洗浄ノズルと、前記周壁部の上部に外縁部を載せて前記浴槽本体に蓋をする風呂蓋と、を備えており、前記洗浄ノズルからまっすぐに延びた第1仮想直線が前記内側面に接する第1接点、前記第1仮想直線と前記第1接点から鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線とを含む仮想平面上において、前記浴槽本体に蓋をした状態の前記風呂蓋と前記内側面とが接する第2接点、及び前記第1仮想直線と、前記第2接点から前記仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線とが交差する交点に対して、第2接点と交点との距離を距離Xとし、第1接点と交点の距離を距離Yとした場合、前記距離Xと前記距離Yとの関係が以下の式1を満たす。
式1:距離X/距離Y≦3.4
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の浴槽装置を示す斜視図である。
図2】実施形態1の浴槽装置を示す平面図である。
図3】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部に取り付けた実施形態1の浴槽装置を示す端面図である。
図4】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部よりも浴槽本体の洗い場側長辺に近付けて取り付けた実施形態1の浴槽装置を示す端面図である。
図5】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部よりも浴槽本体の洗い場側長辺から遠ざけて取り付けた実施形態1の浴槽装置を示す端面図である。
図6】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部に取り付けた実施形態2の浴槽装置を示す端面図である。
図7】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部よりも浴槽本体の洗い場側長辺に近付けて取り付けた実施形態2の浴槽装置を示す端面図である。
図8】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部よりも浴槽本体の洗い場側長辺から遠ざけて取り付けた実施形態2の浴槽装置を示す端面図である。
図9】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部に取り付けた実施形態3の浴槽装置を示す端面図である。
図10】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部よりも浴槽本体の洗い場側長辺に近付けて取り付けた実施形態3の浴槽装置を示す端面図である。
図11】洗浄ノズルを浴槽本体の底部の中央部よりも浴槽本体の洗い場側長辺から遠ざけて取り付けた実施形態3の浴槽装置を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の浴槽装置を具体化した実施形態1から3の夫々において、洗浄ノズルの取り付け位置を異ならせた3個の浴槽装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1の浴槽装置1は、浴槽本体10、洗浄ノズル30、及び風呂蓋50を備えている。浴槽本体10は、図2に示すように、上方から見た平面視において、外形が一方向に長い矩形状である。浴槽本体10は、壁設置部11、周壁部13、及び底部15を有している。
【0010】
壁設置部11は、図2に示すように、浴槽本体10を上方から見た平面視において、浴槽本体10の一方の長辺17A、及び長辺17Aの両端部に連続した一対の短辺19,19に沿って形成されている。壁設置部11は、上面が平坦であり、帯状に延びた平坦部11Aと、平坦部11Aの外縁に沿って上方に立ち上がった立壁部11Bとを具備している。平坦部11Aの幅は、図示しない壁パネルの厚さと略等しい。壁パネルは壁設置部11の立壁部11Bに沿わせながら平坦部11Aに載せて組付けられる。組付けられた壁パネルは浴槽本体10が設置される浴室の壁の一部を構成する。浴室は、上方から見た平面視において、浴槽本体10の他方の長辺17Bを形成する外縁部に隣接して洗い場床が配置される。以降において、他方の長辺17Bを洗い場側長辺17Bという。上下方向は、浴槽本体10を浴室に設置した状態における上下方向である。
【0011】
周壁部13は、図3に示すように、内側面13Sの上部が上方に向けて外方向に傾斜している。浴槽本体10の洗い場側長辺17Bに沿って設けられた周壁部13の内側面13Sの上部は、上方に向けて傾斜角度が徐々に緩やかになるように湾曲している。周壁部13の上端縁が壁設置部11に連続している部分における周壁部13の内側面13Sの上端部は、略水平方向に広がっている。周壁部13の内側面13Sの下部は下方に向けて内方向に傾斜している。周壁部13の内側面13Sの下部は、下方に向けて傾斜角度が徐々に緩やかになるように湾曲している。外方向は、浴槽本体10を上方から見た平面視において、浴槽本体10の底部15の中央から放射方向に広がる方向であり、内方向は、その逆方向である。
【0012】
底部15は、外周縁が周壁部13の下端に連続している。底部15は、図2に示すように、上方から見た平面視において、一方向に長い略矩形状である。底部15は排水口15Hが上下方向に貫通して形成されている。排水口15Hは、浴槽本体10を上方から見た平面視において、長手方向の中央であって、浴槽本体10の洗い場側長辺17Bに近い側に形成されている。底部15の上面は排水口15Hに向けて僅かに傾斜している。
【0013】
実施形態1における一つ目の浴槽装置1は、図2及び図3に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体10の底部15の中央部に取り付けられている。底部15の中央部とは、浴槽本体10を上方から見た平面視において、底部15の長手方向の略中央であり、底部15の短手方向の略中央の領域である。洗浄ノズル30は、図示しない浴槽洗浄装置に連結されており、湯及び洗浄液のいずれかを選択的に浴槽本体10内に向けて放射状に噴射する。洗浄ノズル30から噴射された湯及び洗浄液は、浴槽本体10の周壁部13の内側面13S及び浴槽本体10を蓋した風呂蓋50の下面に勢いよく吹き付けられる。
【0014】
風呂蓋50は平板状である。風呂蓋50は、図2に示すように、長手方向の中央部において分割された第1蓋51と第2蓋52とから構成されている。第1蓋51及び第2蓋52の夫々は、平板状の蓋本体50Aと、蓋本体50Aの外縁部に沿って固定された枠部材50Bとを具備している。風呂蓋50は、浴槽本体10上に第1蓋51及び第2蓋52の端面同士を突き合せて並べることによって、浴槽本体10に蓋をすることができる。第1蓋51と第2蓋52とは、端面同士を突き合せて並べた状態において、突き合せた部分に沿って延びる直線の対称形状である。風呂蓋50は、浴槽本体10を蓋した状態を上方から見た平面視において、一方向に長い略矩形状である。風呂蓋50は、浴槽本体10を蓋した状態を上方から見た平面視において、一対の短辺53,53が平行に直線状に延びており、一対の長辺54A,54Bが中央部を外方向に膨らんだ曲線状に延びている。
【0015】
風呂蓋50が浴槽本体10に蓋をした状態において、風呂蓋50の一方の長辺54Aは、浴槽本体10の一方の長辺17Aの外縁部に形成された壁設置部11に沿って延び、風呂蓋50の一対の短辺53,53は、浴槽本体10の一対の短辺19,19の外縁部に形成された壁設置部11に沿って延びている。風呂蓋50が浴槽本体10を蓋する際、風呂蓋50の一方の長辺54Aを形成する外縁部、及び風呂蓋50の一対の短辺53,53を形成する外縁部は、壁設置部11に連続した浴槽本体10の周壁部13の内側面13Sが略水平に広がった上部に載せられる。風呂蓋50が浴槽本体10を蓋する際、風呂蓋50の他方の長辺54Bを形成する外縁部は、浴槽本体10の洗い場側長辺17Bに沿って設けられた周壁部13の内側面13Sであって、上方に向けて外方向に傾斜した上部に載せられる。
【0016】
この浴槽装置1において、図3に示すように、第1接点T1-1aは、浴槽本体10の底部15に設けられた洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-1aが浴槽本体10の周壁部13の内側面13Sに接する点である。第1仮想直線L1-1aは、浴槽本体10を上方から見た平面視において、浴槽本体10の短辺19,19に平行であって、洗浄ノズル30から浴槽本体10の洗い場側長辺17Bに向けて延びている。第2接点T2-1は、第1仮想直線L1-1aと、第1接点T1-1aから鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2-1aとを含む仮想平面上において、浴槽本体10に蓋をした風呂蓋50と浴槽本体10の内側面13Sとが接する点である。交点C-1aは、第1仮想直線L1-1aと、第2接点T2-1から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3-1aとが交差する点である。第2接点T2-1と交点C-1aとの距離を距離X-1aとし、第1接点T1-1aと交点C-1aとの距離を距離Y-1aとした場合、距離X-1a/距離Y-1aの値は、1.1である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-1aにおける内側面13Sの曲率半径は83.2mmである。
【0017】
実施形態1における二つ目の浴槽装置1は、図4に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体10の底部15の中央部よりも浴槽本体10の洗い場側長辺17Bに近付けて取り付けられている。この浴槽装置1において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-1bが浴槽本体10の周壁部13の内側面13Sに接する第1接点T1-1bは、洗浄ノズル30を底部15の中央部に取り付けた場合の第1接点T1-1aに比べて下方に位置している。これにより、交点C-1bは、洗浄ノズル30を底部15の中央部に取り付けた場合の交点C-1aに比べて浴槽本体10の洗い場側長辺17Bから離れた方向に位置している。第2接点T2-1と交点C-1bとの距離を距離X-1bとし、第1接点T1-1bと交点C-1bとの距離を距離Y-1bとした場合、距離X-1b/距離Y-1bの値は、0.9である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-1bにおける内側面13Sの曲率半径は、実施形態1における一つ目の浴槽装置1の第1接点T1-1aにおける内側面13Sの曲率半径に比べて、大きい。
【0018】
実施形態1における三つ目の浴槽装置1は、図5に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体10の底部15の中央部よりも浴槽本体10の洗い場側長辺17Bから遠ざけて取り付けられている。この浴槽装置1において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-1cが浴槽本体10の周壁部13の内側面13Sに接する第1接点T1-1cは、洗浄ノズル30を底部15の中央部に取り付けた場合の第1接点T1-1aに比べて上方に位置している。これにより、交点C-1cは、洗浄ノズル30を底部15の中央部に取り付けた場合の交点C-1aに比べて浴槽本体10の洗い場側長辺17Bに近付いた方向に位置している。第2接点T2-1と交点C-1cとの距離を距離X-1cとし、第1接点T1-1cと交点C-1cとの距離を距離Y-1cとした場合、距離X-1c/距離Y-1cの値は、1.2である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-1cにおける内側面13Sの曲率半径は、実施形態1における一つ目の浴槽装置1の第1接点T1-1aにおける内側面13Sの曲率半径と略等しい。
【0019】
以上説明した洗浄ノズル30が浴槽本体10の底部15の異なる3カ所に取り付けられた実施形態1の夫々の浴槽装置1において、洗浄ノズル30から湯のみを噴射する予備洗浄モード、洗浄ノズル30から洗浄液を噴射する本洗浄モード、及び洗浄ノズル30から湯のみを噴射するすすぎモードをこの順に実行し、浴槽本体10を洗浄した。その後、浴槽本体10の内側面13Sの上部と風呂蓋50との間を確認したところ、泡状の洗浄液が十分にすすぎ落とされていた。
【0020】
実施形態1の浴槽装置1は、浴槽本体10、浴槽洗浄装置の洗浄ノズル30、及び風呂蓋50を備えている。浴槽本体10は、内側面13Sの上部が上方向に向けて外方向に傾斜した周壁部13、及び周壁部13の下端に連続した底部15を有している。洗浄ノズル30は、底部15に設けられている。風呂蓋50は、周壁部13の上部に外縁部を載せて浴槽本体10に蓋をする。この浴槽装置1において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1が内側面13Sに接する第1接点T1、第1仮想直線L1と第1接点T1から鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2とを含む仮想平面上において、浴槽本体10に蓋をした状態の風呂蓋50と内側面13Sとが接する第2接点T2、及び第1仮想直線L1と、第2接点T2から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3とが交差する交点Cに対して、第2接点T2と交点Cとの距離を距離Xとし、第1接点T1と交点Cの距離を距離Yとした場合、距離Xと距離Yとの関係が以下の式を満たす。
式:距離X/距離Y≦1.2
【0021】
この浴槽装置1は、仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1における内側面13Sは、曲率半径が80mm以上の曲面である。
【0022】
この浴槽装置1は、洗浄ノズル30から湯のみを噴射する予備洗浄モード、洗浄ノズル30から洗浄液を噴射する本洗浄モード、及び洗浄ノズル30から湯のみを噴射するすすぎモードをこの順に実行して浴槽本体10を洗浄した後の浴槽本体10の内側面13Sの上部と風呂蓋50との間の洗浄液の泡残りを解消することができる。このように、実施形態1の浴槽装置1は、浴槽本体10を良好に洗浄することができる。
【0023】
<実施形態2>
実施形態2の浴槽装置2は、浴槽本体110の形状が実施形態1と異なる。実施形態1と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
浴槽本体110の壁設置部111は、上面が平坦であり、帯状に延びた平坦部111Aを具備している。浴槽本体110の洗い場側長辺17Bに沿って設けられた周壁部113の上部は、実施形態1の浴槽本体10の周壁部13に比べて内側面113Sの傾斜角度の変化が大きい内角部114を有している。内角部114よりも上方の周壁部113の内側面113Sは、外方向に向けて僅かに上方に傾斜して広がっている。
【0025】
実施形態2における一つ目の浴槽装置2は、図6に示すように、洗浄ノズル30が底部115の中央部に取り付けられている。この浴槽装置2において、第1接点T1-2aは、浴槽本体110の底部115に設けられた洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-2aが浴槽本体110の周壁部113の内側面113Sに接する点である。第1仮想直線L1-2aは、浴槽本体110を上方から見た平面視において、浴槽本体110の短辺19,19に平行であって、洗浄ノズル30から浴槽本体110の洗い場側長辺17Bに向けて延びている。第2接点T2-2は、第1仮想直線L1-2aと、第1接点T1-2aから鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2-2aとを含む仮想平面上において、浴槽本体110に蓋をした風呂蓋50と浴槽本体110の内側面113Sとが接する点である。交点C-2aは、第1仮想直線L1-2aと、第2接点T2-2から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3-2aとが交差する点である。第2接点T2-2と交点C-2aとの距離を距離X-2aとし、第1接点T1-2aと交点C-2aとの距離を距離Y-2aとした場合、距離X-2a/距離Y-2aの値は、1.8である。浴槽本体110は、仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-2aにおける内側面113Sの曲率半径は41.5mmである。
【0026】
実施形態2における二つ目の浴槽装置2は、図7に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体110の底部115の中央部よりも浴槽本体110の洗い場側長辺17Bに近付けて取り付けられている。この浴槽装置2において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-2bが浴槽本体110の周壁部113の内側面113Sに接する第1接点T1-2bは、洗浄ノズル30を底部115の中央部に取り付けた場合の第1接点T1-2aに比べて下方に位置している。これにより、交点C-2bは、洗浄ノズル30を底部115の中央部に取り付けた場合の交点C-2aに比べて浴槽本体110の洗い場側長辺17Bから離れた方向に位置している。第2接点T2-2と交点C-2bとの距離を距離X-2bとし、第1接点T1-2bと交点C-2bとの距離を距離Y-2bとした場合、距離X-2b/距離Y-2bの値は、1.5である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-2bにおける内側面113Sの曲率半径は、実施形態2における一つ目の浴槽装置2の第1接点T1-2aにおける内側面113Sの曲率半径と略等しい。
【0027】
実施形態2における三つ目の浴槽装置2は、図8に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体110の底部115の中央部よりも浴槽本体110の洗い場側長辺17Bから遠ざけて取り付けられている。この浴槽装置2において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-2cが浴槽本体110の周壁部113の内側面113Sに接する第1接点T1-2cは、洗浄ノズル30を底部115の中央部に取り付けた場合の第1接点T1-2aに比べて上方に位置している。これにより、交点C-2cは、洗浄ノズル30を底部115の中央部に取り付けた場合の交点C-2aに比べて浴槽本体110の洗い場側長辺17Bに近付いた方向に位置している。第2接点T2-2と交点C-2cとの距離を距離X-2cとし、第1接点T1-2cと交点C-2cとの距離を距離Y-2cとした場合、距離X-2c/距離Y-2cの値は、2.1である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-2cにおける内側面113Sの曲率半径は、実施形態2における一つ目の浴槽装置2の第1接点T1-2aにおける内側面113Sの曲率半径と略等しい。
【0028】
以上説明した洗浄ノズル30が浴槽本体110の底部115の異なる3カ所に取り付けられた実施形態2の夫々の浴槽装置2において、洗浄ノズル30から湯のみを噴射する予備洗浄モード、洗浄ノズル30から洗浄液を噴射する本洗浄モード、及び洗浄ノズル30から湯のみを噴射するすすぎモードをこの順に実行し、浴槽本体110を洗浄した。その後、浴槽本体110の内側面113Sの上部と風呂蓋50との間を確認したところ、泡状の洗浄液が十分にすすぎ落とされていた。
【0029】
実施形態2の浴槽装置2は、浴槽本体110、浴槽洗浄装置の洗浄ノズル30、及び風呂蓋50を備えている。浴槽本体110は、内側面113Sの上部が上方向に向けて外方向に傾斜した周壁部113、及び周壁部113の下端に連続した底部115を有している。洗浄ノズル30は、底部115に設けられている。風呂蓋50は、周壁部113の上部に外縁部を載せて浴槽本体110に蓋をする。この浴槽装置2において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1が内側面113Sに接する第1接点T1、第1仮想直線L1と第1接点T1から鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2とを含む仮想平面上において、浴槽本体110に蓋をした状態の風呂蓋50と内側面113Sとが接する第2接点T2、及び第1仮想直線L1と、第2接点T2から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3とが交差する交点Cに対して、第2接点T2と交点Cとの距離を距離Xとし、第1接点T1と交点Cの距離を距離Yとした場合、距離Xと距離Yとの関係が以下の式を満たす。
式:距離X/距離Y≦2.1
【0030】
この浴槽装置2は、仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1における内側面は、曲率半径が40mm以上の曲面である。
【0031】
この浴槽装置2は、洗浄ノズル30から湯のみを噴射する予備洗浄モード、洗浄ノズル30から洗浄液を噴射する本洗浄モード、及び洗浄ノズル30から湯のみを噴射するすすぎモードをこの順に実行して浴槽本体110を洗浄した後の浴槽本体110の内側面113Sの上部と風呂蓋50との間の洗浄液の泡残りを解消することができる。このように、実施形態2の浴槽装置2は、浴槽本体110を良好に洗浄することができる。
【0032】
<実施形態3>
実施形態3の浴槽装置3は、浴槽本体210の形状が実施形態1及び2と異なる。実施形態1及び2と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
浴槽本体210の洗い場側長辺17Bに沿って設けられた周壁部213の上部の内角部214は、実施形態2の浴槽本体110の周壁部113の上部の内角部114に比べて曲率半径が小さく、内角部214における内側面213Sの傾斜角度の変化がさらに大きい。内角部214よりも上方の周壁部213の内側面213Sは、外方向に向けて僅かに上方に傾斜して広がっている。
【0034】
実施形態3における一つ目の浴槽装置3は、図9に示すように、洗浄ノズル30が底部215の中央部に取り付けられている。この浴槽装置3において、第1接点T1-3aは、浴槽本体210の底部215に設けられた洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-3aが浴槽本体210の周壁部213の内側面213Sに接する点である。第1仮想直線L1-3aは、浴槽本体210を上方から見た平面視において、浴槽本体210の短辺19,19に平行であって、洗浄ノズル30から浴槽本体210の洗い場側長辺17Bに向けて延びている。第2接点T2-3は、第1仮想直線L1-3aと、第1接点T1-3aから鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2-3aとを含む仮想平面上において、浴槽本体210に蓋をした風呂蓋50と浴槽本体210の内側面213Sとが接する点である。交点C-3aは、第1仮想直線L1-3aと、第2接点T2-3から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3-3aとが交差する点である。第2接点T2-3と交点C-3aとの距離を距離X-3aとし、第1接点T1-3aと交点C-3aとの距離を距離Y-3aとした場合、距離X-3a/距離Y-3aの値は、3.1である。浴槽本体210は、仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-3aにおける内側面213Sの曲率半径は10.0mmである。
【0035】
実施形態3における二つ目の浴槽装置3は、図10に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体210体の底部215の中央部よりも浴槽本体210の洗い場側長辺17Bに近付けて取り付けられている。この浴槽装置3において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-3bが浴槽本体210の周壁部213の内側面213Sに接する第1接点T1-3bは、洗浄ノズル30を底部215の中央部に取り付けた場合の第1接点T1-3aに比べて下方に位置している。これにより、交点C-3bは、洗浄ノズル30を底部215の中央部に取り付けた場合の交点C-3aに比べて浴槽本体210の洗い場側長辺17Bから離れた方向に位置している。第2接点T2-3と交点C-3bとの距離を距離X-3bとし、第1接点T1-3bと交点C-3bとの距離を距離Y-3bとした場合、距離X-3b/距離Y-3bの値は、2.7である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-3bにおける内側面213Sの曲率半径は、実施形態3における一つ目の浴槽装置3の第1接点T1-3aにおける内側面213Sの曲率半径に比べて、大きい。
【0036】
実施形態3における三つ目の浴槽装置3は、図11に示すように、洗浄ノズル30が浴槽本体210の底部215の中央部よりも浴槽本体210の洗い場側長辺17Bから遠ざけて取り付けられている。この浴槽装置3において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1-3cが浴槽本体210の周壁部213の内側面213Sに接する第1接点T1-3cは、洗浄ノズル30を底部215の中央部に取り付けた場合の第1接点T1-3aに比べて上方に位置している。これにより、交点C-3cは、洗浄ノズル30を底部215の中央部に取り付けた場合の交点C-3aに比べて浴槽本体210の洗い場側長辺17Bに近付いた方向に位置している。第2接点T2-3と交点C-3cとの距離を距離X-3cとし、第1接点T1-3cと交点C-3cとの距離を距離Y-3cとした場合、距離X-3c/距離Y-3cの値は、3.4である。仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1-3cにおける内側面213Sの曲率半径は、実施形態3における一つ目の浴槽装置3の第1接点T1-3aにおける内側面213Sの曲率半径と略等しい。
【0037】
以上説明した洗浄ノズル30が浴槽本体210の底部215の異なる3カ所に取り付けられた実施形態3の夫々の浴槽装置3において、洗浄ノズル30から湯のみを噴射する予備洗浄モード、洗浄ノズル30から洗浄液を噴射する本洗浄モード、及び洗浄ノズル30から湯のみを噴射するすすぎモードをこの順に実行し、浴槽本体210を洗浄した。その後、浴槽本体210の内側面213Sの上部と風呂蓋50との間を確認したところ、泡状の洗浄液が十分にすすぎ落とされていた。
【0038】
実施形態3の浴槽装置3は、浴槽本体210、浴槽洗浄装置の洗浄ノズル30、及び風呂蓋50を備えている。浴槽本体210は、内側面213Sの上部が上方向に向けて外方向に傾斜した周壁部213、及び周壁部213の下端に連続した底部215を有している。洗浄ノズル30は、底部215に設けられている。風呂蓋50は、周壁部213の上部に外縁部を載せて浴槽本体210に蓋をする。この浴槽装置3において、洗浄ノズル30からまっすぐに延びた第1仮想直線L1が内側面213Sに接する第1接点T1、第1仮想直線L1と第1接点T1から鉛直上方にまっすぐに延びた第2仮想直線L2とを含む仮想平面上において、浴槽本体210に蓋をした状態の風呂蓋50と内側面213Sとが接する第2接点T2、及び第1仮想直線L1と、第2接点T2から仮想平面上を水平方向にまっすぐに延びた第3仮想直線L3とが交差する交点Cに対して、第2接点T2と交点Cとの距離を距離Xとし、第1接点T1と交点Cの距離を距離Yとした場合、距離Xと距離Yとの関係が以下の式を満たす。
式:距離X/距離Y≦3.4
【0039】
この浴槽装置3は、仮想平面によって切断した断面形状において、第1接点T1における内側面は、曲率半径が10mm以上の曲面である
【0040】
この浴槽装置3は、洗浄ノズル30から湯のみを噴射する予備洗浄モード、洗浄ノズル30から洗浄液を噴射する本洗浄モード、及び洗浄ノズル30から湯のみを噴射するすすぎモードをこの順に実行して浴槽本体210を洗浄した後の浴槽本体210の内側面213Sの上部と風呂蓋50との間の洗浄液の泡残りを解消することができる。このように、実施形態3の浴槽装置3は、浴槽本体210を良好に洗浄することができる。
【0041】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1から3に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1から3では、浴槽蓋は第1蓋及び第2蓋の2枚から構成されている。これに対し、浴槽蓋は、1枚で構成してもよいし、3枚以上で構成してもよい。
(2)浴槽本体の形状は実施形態1から3の形状に限らない。
(3)浴槽本体の周壁部の上部の全周において、距離Xと距離Yとの関係が上述の値以下になるようにしてもよいし、一部分のみにおいて、距離Xと距離Yとの関係を上述の値以下になるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1,2,3…浴槽装置、10,110,210…浴槽本体、13,113,213…周壁部、13S,113S,213S…内側面、15,115,215…底部、30…洗浄ノズル、50…風呂蓋、T1-1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c…第1接点、T2-1,2,3…第2接点、C-1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c…交点、L1-1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c…第1仮想直線、L2-1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c…第2仮想直線、L3-1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c…第3仮想直線
図1
図2
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図5
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図10
図11