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特開2023-70411管理装置、管理システム、管理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070411
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20230512BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230512BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20230512BHJP
   H04L 12/46 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
H04L12/28 200Z
H04L12/46 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182571
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立石 博志
(72)【発明者】
【氏名】古戸 健
【テーマコード(参考)】
5B376
5K033
【Fターム(参考)】
5B376CA23
5B376CA55
5B376GA08
5K033AA02
5K033BA06
5K033DA06
5K033DA13
5K033DB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ECUの更新に掛かる時間を短縮することが可能な管理装置、管理システム、管理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両に搭載される管理装置1は、車両に搭載される1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、車両外の第1外部装置からネットワークを介して車外通信装置に送信される対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、車両外の第2外部装置と通信し、更新データを受信可能な第3通信部と、第2通信部又は第3通信部に受信された更新データを第1通信部から対象ECUへ送信させる制御部と、を備える。制御部は、第2通信部及び第3通信部の一方に受信された更新データを第1通信部から送信させる第1経路を、第2通信部及び第3通信部の他方に受信された更新データを第1通信部から送信させる第2経路に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される管理装置であって、
前記車両に搭載される1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、
車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、
前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、
前記第2通信部又は前記第3通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から前記対象ECUへ送信させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替える、
管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記更新データを分割した複数の分割データのうち先頭のデータが前記第1経路において受信された後、前記複数の分割データのうち末尾のデータが前記第1経路において受信されるまでの間に、所定時間、前記第1経路に前記分割データが受信されない場合に、通信途絶を判定し、
前記通信途絶が判定された場合に、前記第1経路を前記第2経路に切り替える、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の分割データを前記対象ECUに応じて設定される送信間隔ごとに前記第1通信部から順次送信させ、
前記所定時間は、前記送信間隔の2倍以上の時間である、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記第1通信部は、複数の前記対象ECUと通信し、
前記所定時間は、複数の前記対象ECUに対して同一の値として設定される時間である、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記通信途絶が判定された場合に、前記対象ECUの更新を前記更新データの途中から再開するための前記更新データのリトライポイントを取得し、
前記第1経路から前記第2経路に切り替えた際に、前記第1通信部から前記対象ECUへ前記分割データのうち前記リトライポイント以降のデータを送信させる、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信途絶が判定された場合に、前記対象ECU又は前記更新データに応じて、前記対象ECUの更新を前記更新データの途中から再開するか、前記対象ECUの更新を前記更新データの最初からやり直すかを判定する、
請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記通信途絶が判定される前に前記第1経路によって前記第1通信部から送信させた前記分割データの送信順に関する情報に基づいて、前記リトライポイントを取得する、
請求項5又は請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2経路の通信先である前記第1外部装置又は前記第2外部装置に対して、前記分割データのうち前記リトライポイント以降のデータを要求する信号を、前記第2通信部又は前記第3通信部から送信させる、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記第2外部装置は、前記第1外部装置からネットワークを介して前記更新データを受信可能なダイアグ装置である、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項10】
前記第1経路は、前記第2通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる経路であり、
前記第2経路は、前記第3通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる経路であり、
前記制御部は、前記第1経路から前記第2経路に切り替える際に、前記ダイアグ装置に対して、前記第1経路を通って送信された前記更新データと同じバージョン情報を有する更新データを前記第1外部装置から取得することを要求する、
請求項9に記載の管理装置。
【請求項11】
前記第3通信部とは異なる通信プロトコルに準拠した通信線を介して前記第2外部装置と通信する第4通信部、及び、
ネットワークを介して前記第1外部装置から、又は記録媒体から、前記更新データを取得する情報取得装置と通信する第5通信部、
の少なくともひとつをさらに備え、
前記制御部は、前記第1経路を、前記第2経路、前記第4通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第3経路、又は前記第5通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第4経路に切り替える、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項12】
前記第1通信部は、複数の前記対象ECUと通信し、
前記制御部は、複数の前記対象ECUごとに設定された経路の優先度に応じて、切り替え先の経路を決定する、
請求項11に記載の管理装置。
【請求項13】
車載の管理システムであって、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の管理装置と、
前記第1通信部に接続されている前記対象ECUと、
前記第2通信部に接続されている前記車外通信装置と、
を備える、管理システム。
【請求項14】
車両に搭載される1又は複数のECUの更新を管理装置が管理する管理方法であって、
前記管理装置は、
前記1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、
車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、
前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、
を備え、
前記管理方法は、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替えるステップを備える、
管理方法。
【請求項15】
車両に搭載される1又は複数のECUの更新を管理装置が管理するためのコンピュータプログラムであって、
前記管理装置は、
前記1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、
車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、
前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替えるステップを実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、管理システム、管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されているECU(Electronic Control Unit)のプログラム又はデータを更新するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、外部ツールから送信される更新用プログラムをゲートウェイECUが複数のECUに中継する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、更新対象とするソフトウェアに応じて、通信経路を選択する技術が開示されている。特許文献3には、ECUにおけるプログラムの書き換え処理が中断された場合に、プログラムの書き換えを再開する際のリトライポイントを特定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-112120号公報
【特許文献2】特開2019-20866号公報
【特許文献3】特開2020-27635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲートウェイECUから他のECUへ更新データが送信されている途中で、更新データの提供元(例えば、外部ツール)とゲートウェイとの間において通信途絶等の通信異常が発生した場合、従来は通信異常が解消されるまでの間、前記他のECUにおける更新を待機しており、更新完了まで時間が掛かっていた。
【0006】
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ECUの更新に掛かる時間をより短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の管理装置は、車両に搭載される管理装置であって、前記車両に搭載される1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、前記第2通信部又は前記第3通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から前記対象ECUへ送信させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替える、管理装置である。
【0008】
本開示の管理方法は、車両に搭載される1又は複数のECUの更新を管理装置が管理する管理方法であって、前記管理装置は、前記1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、を備え、前記管理方法は、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替えるステップを備える、管理方法である。
【0009】
本開示のコンピュータプログラムは、車両に搭載される1又は複数のECUの更新を管理装置が管理するためのコンピュータプログラムであって、前記管理装置は、前記1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、を備え、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替えるステップを実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ECUの更新に掛かる時間をより短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る管理システムを例示する模式図である。
図2図2は、実施形態に係る制御部の機能構成を例示するブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る管理方法を例示するフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る管理方法を例示するシーケンス図である。
図5図5は、実施形態に係る所定時間を例示するテーブルである。
図6図6は、実施形態に係る管理方法を例示するシーケンス図である。
図7図7は、変形例に係る優先度を例示するテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0013】
(1)本開示の管理装置は、車両に搭載される管理装置であって、前記車両に搭載される1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、前記第2通信部又は前記第3通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から前記対象ECUへ送信させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替える、管理装置である。
【0014】
このように構成することで、例えば通信異常等が生じた場合であっても、更新データを対象ECUに送信するための経路を切り替えることができるため、更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0015】
(2)前記制御部は、前記更新データを分割した複数の分割データのうち先頭のデータが前記第1経路において受信された後、前記複数の分割データのうち末尾のデータが前記第1経路において受信されるまでの間に、所定時間、前記第1経路に前記更新データが受信されない場合に、通信途絶を判定してもよく、前記通信途絶が判定された場合に、前記第1経路を前記第2経路に切り替えてもよい。
【0016】
このように構成することで、通信途絶が判定された場合に更新データを対象ECUに送信するための経路を切り替えることができるため、更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0017】
(3)前記制御部は、前記複数の分割データを前記対象ECUに応じて設定される送信間隔ごとに前記第1通信部から順次送信させてもよく、前記所定時間は、前記送信間隔の2倍以上の時間であってもよい。
【0018】
制御部は、対象ECUに応じて設定される所定時間に基づくことで、より正確に通信途絶を判定することができる。
【0019】
(4)前記第1通信部は、複数の前記対象ECUと通信してもよく、前記所定時間は、複数の前記対象ECUに対して同一の値として設定される時間であってもよい。
【0020】
所定時間は複数の対象ECUに対して同一の値であるため、制御部21の制御負荷を軽減することができる。
【0021】
(5)前記制御部は、前記通信途絶が判定された場合に、前記対象ECUの更新を前記更新データの途中から再開するための前記更新データのリトライポイントを取得してもよく、前記第1経路から前記第2経路に切り替えた際に、前記第1通信部から前記対象ECUへ前記分割データのうち前記リトライポイント以降のデータを送信させてもよい。
【0022】
このように構成することで、最初から更新データの送信をやり直す場合と比べて、更新に掛かる時間を短縮することができるとともに、更新に掛かる通信量を低減することができる。
【0023】
(6)前記制御部は、前記通信途絶が判定された場合に、前記対象ECU又は前記更新データに応じて、前記対象ECUの更新を前記更新データの途中から再開するか、前記対象ECUの更新を前記更新データの最初からやり直すかを判定してもよい。
【0024】
このように構成することで、対象ECU又は更新データに応じて、対象ECUの更新を再開する態様を選り分けることができる。
【0025】
(7)前記制御部は、前記通信途絶が判定される前に前記第1経路によって前記第1通信部から送信させた前記分割データの送信順に関する情報に基づいて、前記リトライポイントを取得してもよい。
【0026】
(8)前記制御部は、前記第2経路の通信先である前記第1外部装置又は前記第2外部装置に対して、前記分割データのうち前記リトライポイント以降のデータを要求する信号を、前記第2通信部又は前記第3通信部から送信させてもよい。
【0027】
(9)前記第2外部装置は、前記第1外部装置からネットワークを介して前記更新データを受信可能なダイアグ装置であってもよい。
【0028】
(10)前記第1経路は、前記第2通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる経路であってもよく、前記第2経路は、前記第3通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる経路であってもよく、前記制御部は、前記第1経路から前記第2経路に切り替える際に、前記ダイアグ装置に対して、前記第1経路を通って送信された前記更新データと同じバージョン情報を有する更新データを前記第1外部装置から取得することを要求してもよい。
【0029】
このように構成することで、ダイアグ装置の更新データと第1外部装置の更新データとを同期させることができる。
【0030】
(11)前記第3通信部とは異なる通信プロトコルに準拠した通信線を介して前記第2外部装置と通信する第4通信部、及び、ネットワークを介して前記第1外部装置から、又は記録媒体から、前記更新データを取得する情報取得装置と通信する第5通信部、の少なくともひとつをさらに備えてもよく、前記制御部は、前記第1経路を、前記第2経路、前記第4通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第3経路、又は前記第5通信部に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第4経路に切り替えてもよい。
【0031】
このように構成することで、3個以上の更新データの経路を複数の経路に切り替えることができる。
【0032】
(12)前記第1通信部は、複数の前記対象ECUと通信してもよく、前記制御部は、複数の前記対象ECUごとに設定された経路の優先度に応じて、切り替え先の経路を決定してもよい。
【0033】
このように構成することで、複数の対象ECUごとにより好適な経路に切り替えることができる。
【0034】
(13)本開示の管理システムは、車載の管理システムであって、前記(1)から(12)のいずれかの管理装置と、前記第1通信部に接続されている前記対象ECUと、前記第2通信部に接続されている前記車外通信装置と、を備える、管理システムである。
【0035】
(14)本開示の管理方法は、車両に搭載される1又は複数のECUの更新を管理装置が管理する管理方法であって、前記管理装置は、前記1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、を備え、前記管理方法は、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替えるステップを備える、管理方法である。
【0036】
このように構成することで、例えば通信異常等が生じた場合であっても、更新データを対象ECUに送信するための経路を切り替えることができるため、更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0037】
(15)本開示のコンピュータプログラムは、車両に搭載される1又は複数のECUの更新を管理装置が管理するためのコンピュータプログラムであって、前記管理装置は、前記1又は複数のECUのうち更新対象となる対象ECUと通信する第1通信部と、車載の車外通信装置と通信し、前記車両外の第1外部装置からネットワークを介して前記車外通信装置に送信される前記対象ECUの更新データを受信可能な第2通信部と、前記車両外の第2外部装置と通信し、前記更新データを受信可能な第3通信部と、を備え、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第2通信部及び前記第3通信部の一方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第1経路を、前記第2通信部及び前記第3通信部の他方に受信された前記更新データを前記第1通信部から送信させる第2経路に切り替えるステップを実行させる、コンピュータプログラムである。
【0038】
このように構成することで、例えば通信異常等が生じた場合であっても、更新データを対象ECUに送信するための経路を切り替えることができるため、更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0039】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。
【0040】
[1.管理システム]
図1は、本実施形態に係る管理システム1を例示する模式図である。
【0041】
管理システム1は、車両V1に搭載されているシステムである。車両V1は、例えば自動車であるが、車両V1の種類は特に限定されない。管理システム1は、管理装置10と、1個又は複数個のECU30と、車外通信装置41と、情報取得装置42とを備える。
【0042】
管理装置10は、外部装置61及びダイアグ装置51等の後述の車外装置から提供される更新データに基づいて、ECU30を更新(リプログラミング)する装置である。管理装置10は、管理装置10は、車外通信装置41、情報取得装置42又は後述のダイアグ装置51から入力される更新データをECU30に中継する装置であり、例えばセントラルゲートウェイ(CGW:Central Gateway)として機能するECUである。管理装置10はECU30の更新を統括的に管理するため、「リプロマスタ」とも称される。
【0043】
ネットワークN1は、例えばインターネット等の車両V1外のネットワークである。ネットワークN1は、WAN(Wide Area Network)又はLAN(Local Area Network)等の比較的局地的なネットワークであってもよい。
【0044】
外部装置61は、本開示の「第1外部装置」の一例である。外部装置61は、例えばサーバであり、制御部(図示省略)、記憶部(図示省略)及び通信部(図示省略)を有する。外部装置61の通信部は、ネットワークN1を介して、車外通信装置41、情報取得装置42及びダイアグ装置51と通信する。外部装置61の記憶部は、例えばECU30を制御するためのプログラム又はデータを記憶する。例えばECU30の製造者は必要に応じて当該プログラム又はデータを修正し、修正されたプログラム又はデータは随時外部装置61の記憶部に格納される。外部装置61の制御部は、修正されたプログラム又はデータを、更新データとして後述のように管理システム1に配信する。このため、外部装置61はOTA(Over The Air)サーバとも称される。
【0045】
更新データは、ECU30のソフトウェアを更新するためのプログラム(アプリプログラム)であってもよいし、ECU30のファームウェアを更新のためのプログラム(ファームウェアプログラム)であってもよい。また、更新データは、ECU30に記憶されているパラメータ情報を更新するためのデータであってもよい。パラメータ情報は、ECU30において実現されるソフトウェアに使用されるデータであり、具体的には、地図情報、制御パラメータ等である。
【0046】
ECU30は、例えば、車両V1の各部(例えば、制動装置、ドア、バッテリ、エアコン等)を制御する装置(操作系ECU)である。ECU30の機能は特に限定されず、ECU30は、既設のセンサ(図示省略)と接続して、車両V1の各部の状態を監視する装置(認知系ECU)であってもよい。ECU30は、後述の第1ECU31、第2ECU32及び第3ECU33の総称である。
【0047】
第1ECU31は、通信線34を介して管理装置10に接続されるECUである。以下の説明では、第1ECU31を単に「ECU31」とも称する。図1では、2個の第1ECU31a,31bを例示しているが、第1ECU31の個数は特に限定されず、1個でも良いし複数個でも良い。通信線34は、第1の通信規格に準拠した車載のネットワークであり、例えばCANの通信規格に準拠したネットワークである。
【0048】
第2ECU32は、通信線35を介して管理装置10に接続されるECUである。以下の説明では、第2ECU32を単に「ECU32」とも称する。図1では、2個の第2ECU32a,32bを例示しているが、第2ECU32の個数は特に限定されず、1個でも良いし複数個でも良い。通信線35は、第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した車載のネットワークであり、例えばイーサネット(Ethernet:登録商標)に準拠したネットワークである。
【0049】
第3ECU33は、通信線34を介して管理装置10に接続されるとともに、通信線35を介して管理装置10に接続されるECUである。以下の説明では、第3ECU33を単に「ECU33」とも称する。図1では、1個の第3ECU33を例示しているが、第3ECU33の個数は特に限定されず、1個でも良いし複数個でも良い。
【0050】
車外通信装置41は、例えばTCU(Telematics Communication Unit)であり、「TCU41」とも称する。車外通信装置41は、ECUであり、更新対象となるECU30に含まれてもよい。車外通信装置41は、3G(第3世代移動通信システム),4G/LTE(第4世代移動通信システム/Long Term Evolution、LTEは登録商標)又は5G(第5世代移動通信システム)等の通信規格に従って、ネットワークN1を介して外部装置61と無線通信を行う。
【0051】
情報取得装置42は、記録媒体72、端末73及び外部装置61のうち少なくともひとつから更新データを取得可能な装置である。情報取得装置42はECUであり、更新対象となるECU30に含まれてもよい。より具体的には、情報取得装置42は、ナビゲーション装置としての機能を有し、地図情報等に基づいて探索した経路を車両V1の運転者に案内する。
【0052】
記録媒体72は、例えばメモリーカード及びUSBメモリ等のフラッシュメモリである。記録媒体72は、情報取得装置42に設けられた端子に接続される。端末73は、例えばスマートフォン、タブレット端末及びノートパソコン等の携帯端末である。端末73は、通信線74を介して情報取得装置42に接続される。通信線74は、例えばUSBケーブル等の有線通信線であってもよいし、Bluetooth(登録商標)等の無線通信線であってもよい。情報取得装置42はネットワークN1に接続可能な無線通信インターフェース75を有し、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に従って、ネットワークN1を介して外部装置61から更新データを取得する。
【0053】
ダイアグ装置51は、本開示の「第2外部装置」の一例である。ダイアグ装置51(「ダイアグツール」とも称される)は、車両V1の整備を担う車両整備業者(例えば、ディーラー)によって用いられる装置である。ダイアグ装置51は、例えば、管理システム1の各部(ECU30等)の状態を診断するアプリケーションがインストールされたパソコン、タブレット端末又はスマートフォン等の汎用情報端末である。また、ダイアグ装置51は、当該アプリケーションがインストールされた専用端末であってもよい。
【0054】
ダイアグ装置51は、制御部(図示省略)、記憶部(図示省略)及び通信部(図示省略)を有する。ダイアグ装置51を用いて管理システム1の保守作業等を行う際に、ダイアグ装置51の通信部は、通信線52及び通信線53を介して管理装置10に接続される。通信線52は、通信線34と同じ第1の通信規格(例えばCAN)に準拠したネットワークである。通信線53は、通信線35と同じ第2の通信規格(例えばイーサネット)に準拠したネットワークである。ダイアグ装置51の通信部は、例えばWi-Fi等の無線通信規格に従って、ネットワークN1を介して外部装置61と通信する。
【0055】
[2.管理装置10]
管理装置10は、第1通信部11a,11bと、第2通信部12と、第3通信部13と、第4通信部14と、第5通信部15と、制御部21と、記憶部22と、読取部23と、を備える。管理装置10に含まれる各部は、例えばバスB1を介して互いに電気的に接続されている。
【0056】
第1通信部11aは、通信線34を介してECU31,33と通信する。第1通信部11bは、通信線35を介してECU32,33と通信する。第1通信部11a,11bを特に区別しない場合、単に「第1通信部11」と称する。第2通信部12は、TCU41と通信する。第2通信部12とTCU41との間の通信規格は特に限定されないが、例えばCAN又はイーサネットに従って通信する。
【0057】
第3通信部13は、通信線52を介してダイアグ装置51と通信する。第4通信部14は、通信線53を介してダイアグ装置51と通信する。第5通信部15は、情報取得装置42と通信する。第5通信部15と情報取得装置42との間の通信規格は特に限定されないが、例えばCAN又はイーサネットに従って通信する。
【0058】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)である。制御部21は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路であってもよい。制御部21は、記憶部22から後述のコンピュータプログラムP1に基づいて各種の演算及び処理を実行することで、後述の各種の機能を実現する。
【0059】
記憶部22は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有し、各種のデータを記憶する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)である。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。
【0060】
読取部23は、コンピュータが読取り可能な記録媒体71から情報を読み取る。記録媒体71は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部23は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体71にはコンピュータプログラムP1が記録されており、記録媒体71を読取部23に読み取らせることで、コンピュータプログラムP1は、記憶部22の不揮発性メモリに記憶される。
【0061】
図2は、制御部21の機能構成を例示するブロック図である。制御部21は、管理部24と、通信判定部25と、経路選択部26と、切替部27と、出力部28と、を含む。管理部24は、更新データの出力状況を管理する。例えば、管理部24は、管理装置10からECU30に配信された後述の分割データの番号を記憶部22に記憶させる。通信判定部25は、第2通信部12、第3通信部13、第4通信部14及び第5通信部15における通信途絶を判定する。
【0062】
経路選択部26は、第2通信部12、第3通信部13、第4通信部14及び第5通信部15の少なくともひとつにおいて通信途絶が判定された場合に、例えば予め設定されている優先度に応じて、他の通信部を経由する通信経路を選択する。切替部27は、経路選択部26によって選択された通信経路の接続先に対して、各種の要求を出力することで、通信経路を切り替える。出力部28は、更新対象のECU30に対して、管理部24の管理内容に基づいて、更新データを出力する。
【0063】
[3.更新データの経路について]
管理装置10は、更新データを送受信するための複数の経路を有する。第2通信部12及び第3通信部13の一方に受信された更新データを第1通信部11から送信させる経路を「第1経路R1」と称する。また、第2通信部12及び第3通信部13の他方に受信された更新データを第1通信部11から送信させる経路を「第2経路R2」と称する。第1経路R1が第2通信部12に受信された更新データを第1通信部11から送信させる経路である場合、第2経路R2は第3通信部13に受信された更新データを第1通信部11から送信させる経路である。
【0064】
また、第4通信部14に受信された更新データを第1通信部11から送信させる経路を「第3経路R3」と称し、第5通信部15に受信された更新データを第1通信部11から送信させる経路を「第4経路R4」と称する。図1に示す管理装置10は、第1経路R1から第4経路R4までの4個の経路を有するが、経路数は2個以上であれば特に限定されない。例えば、管理装置10は、第1経路R1及び第2経路R2のみを有してもよいし、これら4個の経路R1~R4以外の経路を有してもよい。
【0065】
[4.管理方法]
図3は、実施形態に係る管理方法を例示するフローチャートである。図3のフローチャートは、制御部21の動作手順を示している。当該動作手順は、制御部21が記憶部22からコンピュータプログラムP1を読み取って各種の演算及び処理を実行することで実現される。図3に示す各ステップは、適宜順番が前後してもよい。
【0066】
以下に説明する管理方法は、ECU30のうち更新対象となる対象ECU(図4の例では、ECU31a)を更新するための更新データの出入力等を管理する方法である。当該管理方法は、例えば停車中の車両V1に対して実行される。なお、当該管理方法は、走行中の車両V1に対して実行されてもよい。当該管理方法は、例えば車両V1の製造工場において、車両V1の出荷前に実行される。なお、当該管理方法は、車両V1の車両整備工場において、車両V1の定期的な又は臨時的な点検の際に実行されてもよいし、車両V1のユーザーの駐車場において、日常的に実行されてもよい。
【0067】
[4.1 第1の制御例]
図4は、実施形態に係る管理方法を例示するシーケンス図である(第1の制御例)。
図4の例では、管理装置10は、はじめに、ダイアグ装置51から提供される更新データを対象ECU31aに送信する。管理装置10は、ダイアグ装置51から管理装置10に更新データが提供されている状態で、ダイアグ装置51と管理装置10との間で通信途絶が生じた場合に、更新データのリトライポイントを記録する。そして、管理装置10は、車外通信装置41を介して外部装置61と通信するように通信経路を切り替えて、リトライポイント以降の更新データを外部装置61に要求する。
【0068】
これにより、いずれかの通信経路において通信途絶が生じた場合であっても、通信経路の切り替えを行うことでECU30への更新データの配信を継続することができるため、通信が回復するまで更新データの配信を停止する場合と比べて、更新に掛かる時間を短縮することができる。また、通信経路を切り替えた後は、リトライポイント以降の更新データが外部装置61から管理装置10に送信されるため、最初から更新データの送信をやり直す場合と比べて、更新に掛かる時間を短縮することができるとともに、更新に掛かる通信量を低減することができる。
【0069】
以下、図1から図4を適宜参照して、実施形態に係る管理方法の詳細を説明する。
はじめに、ダイアグ装置51と管理装置10との間でセキュリティのためのツール認証が実行される。ダイアグ装置51は、認証信号を管理装置10に送信する(ステップST201)。管理装置10は、当該認証信号が管理装置10自身の認証可能な信号に合致していれば、セキュリティを解除する旨の信号をダイアグ装置51に送信し、ダイアグ装置51との通信を確立する(ステップST202)。
【0070】
次に、ダイアグ装置51は、対象ECU31aを更新するための更新データを複数の分割データに分割し、複数の分割データを管理装置10に順次送信する(ステップST203,ST204)。例えば、ダイアグ装置51は、ステップST203において複数の分割データのうち先頭のデータを管理装置10に送信し、ステップST204において複数の分割データのうち2番目のデータを管理装置10に送信する。ダイアグ装置51は、複数の分割データを所定の送信間隔txごとに順次送信する。各分割データには分割された更新データの他に、更新データのバージョン情報と、分割データの送信順に関する順番情報(例えば、送信順を示す数値)とが格納されている。
【0071】
ダイアグ装置51から送信された分割データは、第3通信部13に受信された後、記憶部22に一時的に格納される。制御部21は、分割データからバージョン情報と順番情報とを抽出して、記憶部22に記憶させる。制御部21は、第3通信部13に受信された分割データを順次、第1通信部11aから対象ECU31aへ送信する(ステップST206,ST207)。すなわち、制御部21は、第1経路R1を通して更新データを対象ECU31aに送信する。
【0072】
図3に示すように、制御部21は、はじめに、更新データの受信があるか否かを監視する(ステップST101)。具体的には、制御部21は、第2通信部12、第3通信部13、第4通信部14及び第5通信部15の少なくともひとつに複数の分割データの先頭のデータ(以下、「先頭データ」と称する。)が入力されたか否かを監視する。図4の例では、ダイアグ装置51と管理装置10との認証がなされた後、ステップST203において先頭データが第3通信部13に受信されるため、制御部21はステップST203の際に更新データの受信があると判定する(ステップST101のYES)。
【0073】
次に、制御部21は、先頭データが受信された第3通信部13において、ダイアグ装置51との通信途絶が生じたか否かを監視する(ステップST102)。例えば、制御部21は、先頭データが第3通信部13に受信された後、複数の分割データのうち末尾のデータが第3通信部13に受信されるまでの間に、所定時間A1、第3通信部13に分割データが受信されない場合に、第3通信部13とダイアグ装置51との通信途絶が生じたと判定する(ステップST102のYES)。
【0074】
図4の例では、ステップST204の後に、ダイアグ装置51と第3通信部13との間に通信異常が発生し、ステップST204から所定時間A1が経過する間、第3通信部13は複数の分割データのうち3番目以降のデータを受信していない(ステップST205)。このため、制御部21は、第3通信部13における通信途絶を判定する(ステップST102のYES、及びステップST208)。
【0075】
図5は、実施形態に係る所定時間A1を例示するテーブルである。図5では、所定時間A1の変形例として所定時間A2も併せて例示している。制御部21は、分割データの送信間隔txに基づいて所定時間A1を算出する。記憶部22は、通信線34,35ごとに(又はECU30ごとに)個別の送信間隔txを例えばテーブル形式で記憶している。例えば、記憶部22は、ECU31の送信間隔t1と、ECU32の送信間隔t2と、ECU33の送信間隔t3とを記憶する。また、記憶部22は所定時間A1を算出するための係数F1を記憶する。係数F1は、2以上の整数であり、例えば3である。
【0076】
制御部21は、係数F1と送信間隔txとの乗算により所定時間A1を算出する(A1=F1×tx)。このため、対象ECUの分割データの送信間隔txに応じて、所定時間A1は異なる値となる。図4の例では、対象ECUはECU31aであるため、所定時間A1は(F1×t1)となる。制御部21は、所定時間A1に基づくことで、より正確に通信途絶を判定することができる。
【0077】
なお、制御部21は、所定時間A1に代えて、固定値としての所定時間A2に基づいて通信途絶が生じたか否かを監視してもよい。所定時間A2は、例えばタイムアウト時間(Tout)であり、例えば複数の対象ECUに対して同一の値として、記憶部22に記憶されている。タイムアウト時間は、送信間隔txに対して十分に大きい値であり、例えば送信間隔t1~t3のうち最も大きい送信間隔の3倍以上の値である。所定時間A2は複数の対象ECUに対して同一の値であるため、所定時間A1を採用する場合と比べ記憶部22の使用容量を少なくしたり、制御部21の処理負荷を軽減することができる。
【0078】
図3を参照する。制御部21は、通信途絶を判定すると、通信途絶が生じる直前に第3通信部13に受信された分割データ(図4の例では2番目の分割データ)に含まれる各種の情報を中断情報として記憶部22に記憶させる(ステップST103)。中断情報は、例えば、バージョン情報、分割データの順番情報(例えば、分割データの送信順を示す数値であり、図4の例では「2」)、対象ECU31aの種類及び更新データの種類を含む。
【0079】
制御部21は、分割データの順番情報に基づいて、更新データのリトライポイントを取得する。リトライポイントは、通信途絶が生じた後に、更新データの受信を途中から再開するための位置である。図4の例では、2番目の分割データまで第3通信部13に受信されており、3番目の分割データを受信する前に通信途絶が生じたため、更新データの受信を途中から再開する場合には、3番目の分割データから受信を再開する。例えば、制御部21は、順番情報に示される分割データの送信順に「1」を加算した値をリトライポイントとして取得する。
【0080】
次に、制御部21は、複数の経路の中から、通信途絶が生じた第3通信部13を通らない第2経路R2、第3経路R3又は第4経路R4を選択する(ステップST104)。例えば、記憶部22は、複数の経路の優先度に関するテーブルを記憶している。当該テーブルにおいて、例えば通信速度が速い経路ほど、優先度が高く設定されている。
【0081】
当該テーブルにおいて、優先度の高い順に第1経路R1(第3通信部13)、第2経路R2(第2通信部12)、第3経路R3(第4通信部14)、第4経路R4(第5通信部15)が設定されている場合、制御部21はステップST104において第1経路R1の次に優先度の高い第2経路R2を選択する。
【0082】
次に、制御部21は、中断情報に基づいて、対象ECU31aを更新データの途中から更新可能であるか否かを判定する(ステップST105)。例えば、制御部21は、中断情報に含まれる対象ECU31aの種類に基づいて、対象ECU31aが更新データの途中から更新可能なECUであるか否かを判定する。
【0083】
例えば、対象ECU31aが車両V1の走行の制御(例えば制動装置の制御)に関する装置である場合、多少の更新時間が掛かるとしてもより正確に更新する必要があるため、制御部21は対象ECU31aを更新データの途中から更新不可であると判定する(ステップST105のNO)。また、対象ECU31aが車両V1の走行以外の制御(例えばエアコンの制御)に関する装置である場合、更新時間の短縮をより優先すべく、制御部21は対象ECU31aを更新データの途中から更新可能であると判定する(ステップST105のYES)。
【0084】
中断情報に含まれる対象ECU31aの種類は、ISO26262規格で定義された自動車安全水準(ASIL:Automotive Safety Integrity Level)に含まれる4個の段階A,B,C,Dであってもよい。この場合、制御部21は、対象ECU31aの種類が所定の段階(例えば段階B)以下である場合に(すなわち、段階A又はB)、更新データの途中から更新可能であると判定し、対象ECU31aの種類が当該所定の段階よりも高い場合に(すなわち、段階C又はD)、更新データの途中から更新不可であると判定してもよい。
【0085】
また、制御部21は、中断情報に含まれる更新データの種類に基づいて、当該更新データが、途中から更新可能なプログラム又はデータであるか否かを判定する。中断情報に含まれる更新データの種類は、ASILに含まれる4個の段階A,B,C,Dであってもよい。この場合、制御部21は、更新データの種類が所定の段階(例えば段階B)以下である場合に(すなわち、段階A又はB)、更新データの途中から更新可能であると判定し、更新データの種類が当該所定の段階よりも高い場合に(すなわち、段階C又はD)、更新データの途中から更新不可であると判定してもよい。
【0086】
制御部21は、対象ECU31aを更新データの途中から更新可能であると判定した場合、リトライポイント以降の更新データの送信を、ステップST104において選択した経路の通信先に要求する(ステップST106)。
【0087】
図4を参照する。具体的には、制御部21は、選択した第2経路R2の通信先である車外通信装置41に要求信号を送信する(ステップST209)。車外通信装置41は、ネットワークN1を介して、当該要求信号を外部装置61に転送する(ステップST210)。
【0088】
要求信号は、例えば、ダイアグ装置51と第3通信部13との間で通信途絶が生じたことを通知する通信途絶通知と、経路を第1経路R1から第2経路R2に切り替えることを通知する切替通知と、リトライポイントに関する情報(例えば、リトライポイントを示す数値)と、中断情報に含まれるバージョン情報とを含む。
【0089】
制御部21は、ステップST106に際して、対象ECU31aに対して更新を一時的に中断する旨を伝える中断信号を送信してもよい(ステップST211)。対象ECU31aは、中断信号を受信すると、更新を一時的に中断して、次の分割データの受信を待機する(ステップST212)。
【0090】
要求信号を受信した外部装置61は、車外通信装置41を介して管理装置10と通信を確立するために、セキュリティのためのサーバ認証を実行する。外部装置61は、認証信号を、車外通信装置41を介して管理装置10に送信する(ステップST213,ST214)。管理装置10は、当該認証信号が管理装置10自身の認証可能な信号に合致していれば、セキュリティを解除する旨の信号を車外通信装置41を介して外部装置61に送信し、外部装置61との通信を確立する(ステップST215,ST216)。
【0091】
次に、外部装置61は、対象ECU31aを更新するための更新データを準備する。まず、外部装置61は、要求信号に含まれるバージョン情報と同じバージョン情報を有する更新データを準備する。次に、外部装置61は、当該更新データを複数の分割データに分割し、要求信号に含まれるリトライポイントに関する情報に基づいて、リトライポイント以降の複数の分割データを車外通信装置41に順次送信する(ステップST217,ST218,ST219)。車外通信装置41は、外部装置61から送信された複数の分割データを管理装置10に順次転送する(ステップST220,ST221,ST221)。
【0092】
例えば、外部装置61は、ステップST217において3番目の分割データを管理装置10に送信し、ステップST218において更新データの4番目の分割データを管理装置10に送信する。このように外部装置61は3番目以降の分割データを順次送信し、ステップST219において末尾の分割データを管理装置10に送信する。
【0093】
車外通信装置41から転送された分割データは、第2通信部12に受信された後、記憶部22に一時的に格納される。制御部21は、分割データからバージョン情報と順番情報とを抽出して、記憶部22に記憶させる。制御部21は、第2通信部12に受信された分割データを順次、第1通信部11aから対象ECU31aへ配信する(ステップST109)。すなわち、制御部21は第2経路R2を介して、リトライポイント以降の更新データを対象ECU31aに出力する(ステップST223,ST224,ST225)。
【0094】
対象ECU31aは、ステップST223,ST224において管理装置10から3番目以降の分割データを受信すると、更新を順次再開する。そして、対象ECU31aは、ステップST225において受信した末尾の分割データに基づいて、更新を完了させる(ステップST226)。対象ECU31aは、更新が完了すると、更新が完了したことを通知する完了通知を管理装置10に送信する(ステップST227)。
【0095】
管理装置10は、対象ECU31aから完了通知を受信すると、第1経路R1の入力先と第2経路R2の入力先との両方に、完了通知を送信する(ステップST110)。具体的には、管理装置10は、切替後の第2経路R2の入力先である車外通信装置41に完了通知を送信する(ステップST228)。車外通信装置41は、完了通知を受信すると、ネットワークN1を介して外部装置61に完了通知を転送する(ステップST229)。
【0096】
管理装置10は、対象ECU31aから完了通知を受信した後、ダイアグ装置51と管理装置10との間の通信が回復した際に、切替前の第1経路R1の入力先であるダイアグ装置51にも完了通知を送信する(ステップST230)。これにより、ダイアグ装置51は対象ECU31aが更新を完了したことを知ることができるため、ダイアグ装置51から管理装置10に再度更新データが送信されることを防止することができる。
【0097】
以上に説明したように、図4の例では、ダイアグ装置51と管理装置10との間で通信途絶が生じた場合であっても、管理装置10は更新データの通信経路を車外通信装置41を経由する経路に切り替えることで、対象ECU31aへの更新データの配信を継続することができる。これにより、ダイアグ装置51と管理装置10との間の通信が回復するまで更新データの配信を停止する場合と比べて、対象ECU31aの更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0098】
また、通信経路を切り替えた後、リトライポイント以降の更新データが外部装置61から管理装置10に送信され、管理装置10はリトライポイント以降の更新データを対象ECU31aに配信するため、最初から更新データの送信をやり直す場合と比べて、更新に掛かる時間を短縮することができるとともに、更新に掛かる通信量を低減することができる。
【0099】
[4.2 第2の制御例]
図6は、実施形態に係る管理方法を例示するシーケンス図である(第2の制御例)。
図6の例では、管理装置10は、はじめに、外部装置61から車外通信装置41を介して提供される更新データを対象ECU31aに出力する。管理装置10は、外部装置61と管理装置10との間で通信途絶が生じた場合に、ダイアグ装置51と通信するように通信経路を切り替えて、更新データをダイアグ装置51に要求する。
【0100】
これにより、いずれかの通信経路において通信途絶が生じた場合であっても、通信経路の切り替えを行うことでECU30への更新データの配信を継続することができるため、通信が回復するまで更新データの配信を停止する場合と比べて、更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0101】
第2の制御例(図6)は、車外通信装置41を介して外部装置61と通信する経路からダイアグ装置51と通信する経路に切り替える点で第1の制御例(図4)と相違する。また、第2の制御例は、通信途絶が生じた際に、対象ECU31aにおいて途中まで更新されていた更新データを消去し、ダイアグ装置51と通信する経路に切り替えた後に更新データの最初から更新を行う点で第1の制御例と相違する。すなわち、第2の制御例は、図3のフローチャートのステップST105においてNOのルートを進む制御例である。
【0102】
以下、図1から図3及び図6を適宜参照して、実施形態に係る管理方法の第2の制御例を説明する。第2の制御例において、第1の制御例と共通する事項は適宜説明を省略する。
【0103】
はじめに、外部装置61と管理装置10との間でセキュリティのための認証が実行される。外部装置61は、車外通信装置41を介して認証信号を管理装置10に送信し(ステップST301,ST302)、管理装置10は、当該認証信号が管理装置10自身の認証可能な信号に合致していれば、セキュリティを解除する旨の信号を車外通信装置41を介して外部装置61に送信する(ステップST303,ST304)。これにより、外部装置61と管理装置10との通信を確立する。
【0104】
次に、外部装置61は、対象ECU31aを更新するための更新データを複数の分割データに分割して車外通信装置41に順次送信し(ステップST305,ST306)、車外通信装置41は複数の分割データを管理装置10に順次転送する(ステップST308,ST309)。分割データは、車外通信装置41から第2通信部12に受信された後、記憶部22に一時的に格納される。制御部21は、分割データからバージョン情報と順番情報とを抽出して、記憶部22に記憶させる。制御部21は、第2通信部12に受信された分割データを順次、第1通信部11aから対象ECU31aへ送信する(ステップST311,ST312)。すなわち、制御部21は第1経路R1を介して更新データを対象ECU31aに送信する。第2の制御例において、第1経路R1は、第2通信部12に受信される更新データを第1通信部11aから送信する経路である。
【0105】
図3に示すように、制御部21は、はじめに、更新データの受信があるか否かを監視する(ステップST101)。図6の例では、外部装置61と管理装置10との認証がなされた後、ステップST308において分割データの先頭データが第2通信部12に入力されるため、制御部21はステップST308の際に更新データの受信があると判定する(ステップST101のYES)。
【0106】
次に、制御部21は、先頭データが受信された第2通信部12において、外部装置61との通信途絶が生じたか否かを監視する(ステップST102)。例えば、制御部21は、先頭データが第2通信部12に受信された後、複数の分割データのうち末尾のデータが第2通信部12に受信されるまでの間に、所定時間A1、第2通信部12に分割データが受信されない場合に、第2通信部12と外部装置61との通信途絶が生じたと判定する(ステップST102のYES)。
【0107】
図6の例では、ステップST306,ST309の後に、外部装置61と第2通信部12との間に通信異常が発生し、ステップST309から所定時間A1が経過する間、第2通信部12は3番目以降の分割データを受信していない(ステップST310)。このため、制御部21は、第2通信部12における通信途絶を判定する(ステップST102のYES、及びステップST313)。
【0108】
ここで、第2通信部12と外部装置61との通信途絶は、外部装置61と車外通信装置41との間で通信途絶が生じている場合(ステップST307においてデータを送信できない場合)と、外部装置61と車外通信装置41との間は有効に通信できている一方で車外通信装置41と第2通信部12との間で通信途絶が生じている場合(ステップST307ではデータを送信できるがステップST310にてデータを送信できない場合)と、を含む。
【0109】
制御部21は、通信途絶を判定すると、通信途絶が生じる直前に第2通信部12に受信された分割データ(図6の例では2番目の分割データ)に含まれる各種の情報を中断情報として記憶部22に記憶させる(ステップST103)。続いて、制御部21は、複数の経路の中から、通信途絶が生じた第2通信部12を通らない経路(例えば、第3通信部13を通る第2経路R2)を選択する(ステップST104)。
【0110】
次に、制御部21は、中断情報に基づいて、対象ECU31aを更新データの途中から更新可能であるか否かを判定する(ステップST105)。図6の例における更新データの種類は、例えばより正確に更新する必要のあるデータであるため、制御部21は対象ECU31aを更新データの途中から更新できないと判定する(ステップST105のNO)。
【0111】
この場合に、制御部21は、対象ECU31aに対して既に送信済みの更新データ(1,2番目の分割データ)を消去するための消去指示を出力する(ステップST107,ST314)。対象ECU31aは、当該消去指示の入力を受けると、ステップST311,ST312において受信した分割データを消去して、更新前の状態に戻る(ステップST315)。
【0112】
なお、対象ECU31aにおいて、所定時間A3以内に更新が完了しない場合に受信済みの分割データを消去するように設定されている場合、ステップST314,ST315を省略してもよい。所定時間A3は、対象ECU31aにおける更新開始から更新完了までのタイムアウト時間であり、例えば、所定時間A1,A2よりも長い時間である。
【0113】
続いて、制御部21は、複数の分割データのうち先頭のデータからの送信を、ステップST104において選択した経路の通信先に要求する(ステップST108)。具体的には、制御部21は、選択した第2経路R2の入力先であるダイアグ装置51に対して、先頭データ以降の分割データの送信を要求する要求信号を送信する(ステップST316)。要求信号は、ダイアグ装置51の更新データと外部装置61(第1経路R1の入力先)の更新データとを同期させることを要求する信号を含む。具体的には、要求信号は、第1経路R1から出力した更新データと同じバージョン情報を有する更新データをダイアグ装置51が外部装置61から取得することを要求する信号を含む。
【0114】
要求信号を受信したダイアグ装置51は、管理装置10と通信を確立するために、セキュリティのためのツール認証を実行する。ダイアグ装置51は、認証信号を、管理装置10に送信する(ステップST317)。管理装置10は、当該認証信号が管理装置10自身の認証可能な信号に合致していれば、セキュリティを解除する旨の信号をダイアグ装置51に送信し、ダイアグ装置51との通信を確立する(ステップST318)。
【0115】
次に、ダイアグ装置51は、対象ECU31aを更新するための更新データを準備する。まず、ダイアグ装置51は、要求信号に含まれるバージョン情報(第1経路R1から出力した更新データのバージョン情報)と同じバージョン情報を有する更新データを準備する。具体的には、ダイアグ装置51は、自身の記憶部に当該バージョン情報を有する更新データが記憶されているか否かを確認する。
【0116】
ダイアグ装置51の記憶部に当該バージョン情報を有する更新データが記憶されていない場合、ダイアグ装置51はネットワークN1を介して外部装置61に当該バージョン情報を有する更新データの送信を要求する信号を送信する(ステップST319)。外部装置61は、当該信号を受けると、ダイアグ装置51に当該バージョン情報を有する更新データを送信する(ステップST320)。これにより、ダイアグ装置51と外部装置61とで更新データの同期を行う。
【0117】
ダイアグ装置51の記憶部に当該バージョン情報を有する更新データが記憶されている場合、ダイアグ装置51と外部装置61との同期は取れているため、ステップST319,ST320を省略してもよい。
【0118】
次に、ダイアグ装置51は、当該バージョン情報を有する更新データを複数の分割データに分割し、複数の分割データのうち先頭の分割データから順次、管理装置10に送信する(ステップST321,ST322,ST323)。例えば、ダイアグ装置51は、ステップST321において先頭の分割データを管理装置10に送信し、ステップST322において2番目の分割データを管理装置10に送信する。このようにダイアグ装置51は複数の分割データを順次送信し、ステップST323において複数の分割データのうち末尾の分割データを管理装置10に送信する。
【0119】
ダイアグ装置51から送信された分割データは、第3通信部13に受信された後、記憶部22に一時的に格納される。制御部21は、分割データからバージョン情報と順番情報とを抽出して、記憶部22に記憶させる。制御部21は、第3通信部13に受信された分割データを順次、第1通信部11aから対象ECU31aへ配信する(ステップST109)。すなわち、制御部21は第2経路R2を介して、複数の分割データを先頭のデータから順次、対象ECU31aに出力する(ステップST324,ST325,ST326)。
【0120】
対象ECU31aは、ステップST324において管理装置10から先頭データを受信すると、更新をはじめからやり直す。そして、対象ECU31aは、ステップST326において受信した末尾のデータに基づいて、更新を完了させる(ステップST327)。対象ECU31aは、更新が完了すると、更新が完了したことを通知する完了通知を管理装置10に送信する(ステップST328)。
【0121】
管理装置10は、対象ECU31aから完了通知を受信すると、第1経路R1の通信先と第2経路R2の通信先との両方に、完了通知を送信する(ステップST110)。具体的には、管理装置10は、切替後の第2経路R2の通信先であるダイアグ装置51に完了通知を送信する(ステップST329)。
【0122】
管理装置10は、対象ECU31aから完了通知を受信した後、車外通信装置41を経由する外部装置61と管理装置10との間の通信が回復した際に、切替前の第1経路R1の通信先である外部装置61にも完了通知を送信する(ステップST330,ST331)。これにより、外部装置61は対象ECU31aが更新を完了したことを知ることができるため、外部装置61から管理装置10に再度更新データが送信されることを防止することができる。
【0123】
以上に説明したように、図6の例では、外部装置61と管理装置10との間で通信途絶が生じた場合であっても、管理装置10は更新データの通信経路をダイアグ装置51を経由する経路に切り替えることで、対象ECU31aへの更新データの配信を継続することができる。これにより、外部装置61と管理装置10との間の通信が回復するまで更新データの配信を停止する場合と比べて、対象ECU31aの更新に掛かる時間を短縮することができる。
【0124】
[5.変形例]
以下、実施形態の変形例について説明する。変形例において、実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0125】
[5.1 対象ECUの変形例]
以上の説明では、ECU31aが対象ECUである例を挙げて説明したが、対象ECUはECU30のうちのいずれのECUであってもよい。また、対象ECUが複数あってもよい。例えば、対象ECUは、ECU31b(以下「第1対象ECU31b」とも称する。)と、ECU32b(以下「第2対象ECU32b」とも称する。)とを含んでもよい。
【0126】
この場合、複数の対象ECUごとに経路の優先度が設定されており、制御部21は、通信途絶が生じた際の切り替え先の経路を当該優先度に応じて複数の対象ECUごとに決定してもよい。
【0127】
図7は、変形例に係る優先度を例示するテーブルである。当該テーブルは、記憶部22に格納されており、例えばECUの新規登録及び更新の際に、更新される。当該テーブルには、例えばECUの種類と、その更新内容と、優先度1~6が記載されている。優先度1が最も優先度の高い経路であり、優先度6が最も優先度の低い経路である。
【0128】
例えば、対象ECUがECU31であり、更新内容がアプリ(プログラムの更新)である場合、優先度1~6となる経路は、例えば以下のように示される。
【0129】
優先度1:ダイアグ装置51から通信線52(DoCAN)を介して第3通信部13に更新データが受信される経路(DoCAN経路)
優先度2:ダイアグ装置51から通信線53(DoIP)を介して第4通信部14に更新データが受信される経路(DoIP経路)
優先度3:車外通信装置41を介して第2通信部12に更新データが受信される経路
優先度4:記録媒体72から情報取得装置42を介して第5通信部15に更新データが受信される経路
優先度5:端末73から情報取得装置42を介して第5通信部15に更新データが受信される経路
優先度6:外部装置61から無線通信インターフェース75及び情報取得装置42を介して第5通信部15に更新データが受信される経路
【0130】
ECU31の場合、通信線34と同じ規格の通信線52を用いるほうが、通信線53を用いるよりも速く通信できるため、優先度1がDoCAN経路となる。一方で、ECU32の場合、通信線35と同じ規格の通信線53を用いるほうが、通信線52を用いるよりも速く通信できるため、優先度1がDoIP経路となり、優先度2がDoCAN経路となる。
【0131】
ECU33の場合、通信線34,35の両方と接続しているため、より通信速度の速い通信線53を用いるほうが、通信線52を用いるよりも速く通信できる。このため、ECU33の場合、優先度1がDoIP経路となり、優先度2がDoCAN経路となる。ECU32,33において、優先度3~6はECU31の優先度3~6と同じである。
【0132】
情報取得装置42はECUの一種であるため、情報取得装置42が対象ECUとなる場合もある。対象ECUが情報取得装置42であり、更新内容がアプリ(プログラムの更新)である場合、優先度1~6となる経路は、例えばECU31の場合と同じである。
【0133】
また、対象ECUが情報取得装置42であり、更新内容が地図情報(データの更新)である場合、優先度1~6となる経路は、例えば以下のように示される。
【0134】
優先度1:記録媒体72から情報取得装置42を介して第5通信部15に更新データが受信される経路
優先度2:端末73から情報取得装置42を介して第5通信部15に更新データが受信される経路
優先度3:ダイアグ装置51から通信線52(DoCAN)を介して第3通信部13に更新データが受信される経路(DoCAN経路)
優先度4:ダイアグ装置51から通信線53(DoIP)を介して第4通信部14に更新データが受信される経路(DoIP経路)
優先度5:車外通信装置41を介して第2通信部12に更新データが受信される経路
優先度6:外部装置61から無線通信インターフェース75及び情報取得装置42を介して第5通信部15に更新データが受信される経路
【0135】
地図情報などの膨大なデータを更新する場合、通信容量の圧迫を防止するために記録媒体72から直接、更新データを情報取得装置42に入力することが好適である。
【0136】
図7のようなテーブルが記憶部22に格納されており、例えば第1対象ECU31bを更新するための第1更新データと、第2対象ECU32bを更新するための第2更新データとが外部装置61から車外通信装置41を介して第2通信部12に受信され、第1通信部11aから第1更新データが第1対象ECU31bに送信され、第1通信部11bから第2更新データが第2対象ECU32bに送信されている場合を考える。
【0137】
この場合に、外部装置61と管理装置10との間で通信途絶が生じると、制御部21は記憶部22に格納されているテーブルの優先度に基づいて、第1更新データが通る経路を、ECU31における優先度1の経路(DoCAN経路)に切り替える。また、制御部21は、第2更新データが通る経路を、ECU32における優先度1の経路(DoIP経路)に切り替える。
【0138】
これにより、通信途絶が生じた際に、ECUに応じてより好適な経路に切り替えることができるため、ECUの更新に掛かる時間をより短縮することができる。
【0139】
[5.2 制御部の変形例]
実施形態の制御部21は、通信途絶が生じた場合に、経路の切替を実行する。しかしながら、制御部21は、通信途絶が生じていなくても、経路の切替を実行してよい。例えば、図4の例において、ステップST203,ST204の後、ダイアグ装置51から管理装置10への分割データの送信は継続しているものの、ステップST205にて示す分割データの管理装置10における受信速度が所定速度よりも遅くなった場合に、制御部21は「通信異常あり」と判定して、図4の例と同様に経路の切替を実行してもよい。
【0140】
このような場合であっても、そのまま経路を切り替えない場合と比べて、対象ECUを更新する時間をより短縮することができる。
【0141】
[6.補記]
なお、上記の実施形態については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
1 管理システム
10 管理装置
11 第1通信部
11a 第1通信部
11b 第1通信部
12 第2通信部
13 第3通信部
14 第4通信部
15 第5通信部
21 制御部
22 記憶部
23 読取部
24 管理部
25 通信判定部
26 経路選択部
27 切替部
28 出力部
31 第1ECU
31a 第1ECU(対象ECUの一例)
31b 第1ECU(第1対象ECUの一例)
32 第2ECU
32a 第2ECU
32b 第2ECU(第2対象ECUの一例)
33 第3ECU
34 通信線
35 通信線
41 車外通信装置
42 情報取得装置
51 ダイアグ装置(第2外部装置の一例)
52 通信線
53 通信線
61 外部装置(第1外部装置の一例)
71 記録媒体
72 記録媒体
73 端末
74 通信線
75 無線通信インターフェース
V1 車両
N1 ネットワーク
B1 バス
P1 コンピュータプログラム
R1 第1経路
R2 第2経路
R3 第3経路
R4 第4経路
A1 所定時間
A2 所定時間
A3 所定時間
t1 送信間隔
t2 送信間隔
t3 送信間隔
F1 係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7