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特開2023-70961調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070961
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20230515BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20230515BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20230515BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20230515BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20230515BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/01 A
G01M11/00 T
G02F1/1334
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183464
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿部 創平
【テーマコード(参考)】
2G059
2G086
2H088
2H189
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB10
2G059EE01
2G059FF01
2G059KK04
2G059LL01
2G086EE01
2G086EE05
2G086EE10
2H088EA33
2H088FA12
2H088FA29
2H088GA10
2H088GA13
2H088HA03
2H088MA20
2H189AA04
2H189AA05
(57)【要約】
【課題】透明部材に取り付けられた状態の調光シートが呈する光学状態を評価することを可能とした調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法を提供する。
【解決手段】調光装置の評価システム30は、透明部材TMに取り付けられた調光シート11Nの光学状態を評価する。評価システム30は、調光シート11Nの光学状態を評価するための情報を含む第1被写体41を備える被撮像装置31と、透明部材TMに取り付けられた調光シート11Nを介して情報を撮像するように構成された第1撮像部51を備える撮像装置32と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材に取り付けられた調光シートの光学状態を評価するための調光装置の評価システムであって、
前記調光シートの前記光学状態を評価するための情報を含む被写体を備える被撮像装置と、
前記透明部材に取り付けられた前記調光シートを介して前記情報を撮像するように構成された撮像部を備える撮像装置と、を備える
調光装置の評価システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記被写体に対する前記撮像部の位置を調整するように構成された位置調整部をさらに備える
請求項1に記載の調光装置の評価システム。
【請求項3】
前記位置調整部は、無人航空機を含む
請求項2に記載の調光装置の評価システム。
【請求項4】
前記被写体は、第1被写体であり、前記第1被写体は、前記被撮像装置の第1部位に位置し、
前記撮像部は、第1撮像部であり、
前記被撮像装置は、前記第1被写体に対する前記第1撮像部の位置を決めるための第2被写体を備え、前記第2被写体は、前記被撮像装置の第2部位に位置し、前記第2部位は前記第1部位とは異なり、
前記撮像装置は、前記第2被写体を撮像するように構成された第2撮像部をさらに備え、前記第2撮像部は、前記第1撮像部とは異なる
請求項1から3のいずれか一項に記載の調光装置の評価システム。
【請求項5】
前記被撮像装置は、遮光性を有し、前記第1被写体を収容する被写体用筐体をさらに備え、
前記被写体用筐体は、前記第1撮像部による前記情報の撮像を可能とするように構成された被写体用透過部を備え、
前記第2被写体は、前記被写体用筐体の外表面に位置する
請求項4に記載の調光装置の評価システム。
【請求項6】
前記撮像装置は、遮光性を有し、前記第1撮像部を収容する撮像部用筐体をさらに備え、
前記撮像部用筐体は、前記第1撮像部による前記情報の撮像を可能とするように構成された撮像部用透過部を備える
請求項4または5に記載の調光装置の評価システム。
【請求項7】
前記被写体は、
前記情報を含む評価用パターンと、
前記被写体に対する前記撮像部の位置を決めるための位置決め用パターンと、を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の調光装置の評価システム。
【請求項8】
前記被撮像装置は、遮光性を有し、前記被写体を収容する被写体用筐体をさらに備え、
前記被写体用筐体は、前記撮像部による前記評価用パターンおよび前記位置決め用パターンの撮像を可能とするように構成された被写体用透過部を備える
請求項7に記載の調光装置の評価システム。
【請求項9】
前記撮像装置は、遮光性を有し、前記撮像部を収容する撮像部用筐体をさらに備え、
前記撮像部用筐体は、前記撮像部による前記評価用パターンおよび前記位置決め用パターンの撮像を可能とするように構成された撮像部用透過部を備える
請求項7または8に記載の調光装置の評価システム。
【請求項10】
前記撮像装置の駆動および前記調光装置の駆動を制御するように構成された制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記調光シートが透明状態を呈するように前記調光装置の前記駆動を制御した後に、前記撮像部が前記情報を撮像するように前記撮像部の前記駆動を制御する
請求項1から9のいずれか一項に記載の調光装置の評価システム。
【請求項11】
透明部材に取り付けられた調光シートの光学状態を評価するための調光装置の評価方法であって、
前記透明部材に取り付けられた前記調光シートを介して、前記調光シートの前記光学状態を評価するための情報を含む被写体の前記情報を撮像すること、を含む
調光装置の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明電極間に液晶分子を備える調光シートを通した物体の視認性は、透明電極間の電圧変化に応じて変わる。非通電時に不透明を保つノーマル型の調光シートは、不透明であることを長時間にわたり求められるデジタルサイネージのスクリーンおよび店舗の外装などに適用される。非通電時に透明を保つリバース型の調光シートは、透明であることを非常時に求められるガラスパーティションおよび移動体の窓などに適用される。
【0003】
調光シートにおける光学状態の安定化や再現性の向上は、調光シートの用途を多方面に広げ、これによって調光シートの普及を加速させる。JIS K 7136:2000に準拠したヘイズは、調光シートが有する光学状態の評価指標に採用されている。例えば、調光シートのヘイズ値が95%以上であることを不透明の管理項目に設定し、かつ、調光シートのヘイズ値が12%以下であることを透明の管理項目に設定することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-200284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、調光シートが取り付けられるガラス板およびアクリル板などの透明部材は、建築物および移動体などに装置されている。建築物および移動体などに装置された状態において調光シートの光学状態を評価可能であることは、調光シートの普及を加速させ得る。しかし、積分球のような専用光学機器を配置して暗所にて光量を計測するヘイズの測定は、建築物および移動体などでの光学状態の評価を煩わしいものとしまう。そのため、調光シートを使用する分野では、調光シートが装置された状態でも調光シートの光学状態を評価できることが切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための調光装置の評価システムは、透明部材に取り付けられた調光シートの光学状態を評価するための調光装置の評価システムである。調光装置の評価システムは、前記調光シートの前記光学状態を評価するための情報を含む被写体を備える被撮像装置と、前記透明部材に取り付けられた前記調光シートを介して前記情報を撮像するように構成された撮像部を備える撮像装置と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するための調光装置の評価方法は、透明部材に取り付けられた調光シートの光学状態を評価するための調光装置の評価方法である。調光装置の評価方法は、前記透明部材に取り付けられた前記調光シートを介して、前記調光シートの前記光学状態を評価するための情報を含む被写体の前記情報を撮像すること、を含む。
【0008】
上記調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法によれば、透明部材に取り付けられた状態の調光シートを介して、調光シートの光学状態を評価するための情報を撮像した画像を得ることができる。そのため、得られた画像を用いて、調光シートの光学状態を評価することが可能であるから、透明部材に取り付けられた状態の調光シートが呈する光学状態を評価することが可能である。
【0009】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記撮像装置は、前記被写体に対する前記撮像部の位置を調整するように構成された位置調整部をさらに備えてもよい。この調光装置の評価システムによれば、位置調整部を用いて被写体に対する撮像部の位置を調整することが可能であるから、撮像装置が位置調整部を有しない場合に比べて、被写体に対する撮像部の位置のばらつきを抑えることが可能である。
【0010】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記位置調整部は、無人航空機であってよい。この調光装置の評価システムによれば、調光シートが取り付けられた透明部材が、作業者では届かない高所に位置していても、調光シートの光学状態を評価するための画像を撮像することが可能である。
【0011】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記被写体は、第1被写体であり、前記第1被写体は、前記被撮像装置の第1部位に位置し、前記撮像部は、第1撮像部であり、前記被撮像装置は、前記第1被写体に対する前記第撮像部の位置を決めるための第2被写体を備え、前記第2被写体は、前記被撮像装置の第2部位に位置し、前記第2部位は前記第1部位とは異なり、前記撮像装置は、前記第2被写体を撮像するように構成された第2撮像部をさらに備え、前記第2撮像部は、前記第1撮像部とは異なってもよい。この調光装置の評価システムによれば、第1被写体の位置に制約されることなく、第2被写体の位置および第2撮像部の位置を設定することが可能である。
【0012】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記被撮像装置は、遮光性を有し、前記第1被写体を収容する被写体用筐体をさらに備え、前記被写体用筐体は、前記第1撮像部による前記情報の撮像を可能とするように構成された被写体用透過部を備え、前記第2被写体は、前記被写体用筐体の外表面に位置してもよい。
【0013】
上記調光装置の評価システムによれば、第1被写体が被写体用筐体内に収容されることによって、第1被写体を撮像する際に、第1被写体が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、第1撮像部が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0014】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記撮像装置は、遮光性を有し、前記第1撮像部を収容する撮像部用筐体をさらに備え、前記撮像部用筐体は、前記第1撮像部による前記情報の撮像を可能とするように構成された撮像部用透過部を備えてもよい。
【0015】
上記調光装置の評価システムによれば、第1撮像部が撮像部用筐体内に収容されることによって、第1撮像部を撮像する際に、第1撮像部が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、第1撮像部が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0016】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記被写体は、前記情報を含む評価用パターンと、前記被写体に対する前記撮像部の位置を決めるための位置決め用パターンと、を含んでもよい。
【0017】
上記調光装置の評価システムによれば、1つの被写体を撮像するのみによって、調光シートの光学状態を評価するための画像と、被写体に対する撮像部の位置を決めるための画像との両方を得ることが可能である。
【0018】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記被撮像装置は、遮光性を有し、前記被写体を収容する被写体用筐体をさらに備え、前記被写体用筐体は、前記撮像部による前記評価用パターンおよび前記位置決め用パターンの撮像が可能に構成された被写体用透過部を備えてもよい。
【0019】
上記調光装置の評価システムによれば、被写体が被写体用筐体内に収容されることによって、被写体を撮像する際に、被写体が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、撮像部が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0020】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記撮像装置は、遮光性を有し、前記撮像部を収容する撮像部用筐体をさらに備え、前記撮像部用筐体は、前記撮像部による前記評価用パターンおよび前記位置決め用パターンの撮像が可能に構成された撮像部用透過部を備えてもよい。
【0021】
上記調光装置の評価システムによれば、撮像部が撮像部用筐体内に収容されることによって、撮像部を撮像する際に、撮像部が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、撮像部が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0022】
上記調光装置の評価システムにおいて、前記撮像装置の駆動および前記調光装置の駆動を制御するように構成された制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記調光シートが透明状態を呈するように前記調光装置の前記駆動を制御した後に、前記撮像部が前記情報を撮像するように前記撮像部の前記駆動を制御してもよい。
【0023】
上記調光装置の評価システムによれば、調光シートの駆動と撮像装置の駆動とを作業者が個別に行う必要がないため、調光シートの光学状態を評価するための画像を簡易に得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、透明部材に取り付けられた状態の調光シートが呈する光学状態を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】調光装置の評価システムに適用される調光装置であって、ノーマル型の調光シートを備える調光装置の構造を模式的に示す断面図である。
図2】調光装置の評価システムに適用される調光装置であって、リバース型の調光シートを備える調光装置の構造を模式的に示す断面図である。
図3】第1実施形態における調光装置の評価システムの構造を示す斜視図である。
図4図3が示す調光装置の評価システムの構造を示す断面図である。
図5】調光装置の評価方法を説明するためのフローチャートである。
図6】調光装置の評価方法の一例を詳細に説明するためのフローチャートである。
図7】第2実施形態における調光装置の評価システムの構造を示す斜視図である。
図8図7が示す調光装置の評価システムの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
図1から図6を参照して、調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法における第1実施形態を説明する。
【0027】
[調光装置]
図1および図2を参照して、調光装置の評価システムの説明に先立ち、調光装置の評価システムによる評価対象である調光装置を説明する。調光装置が備える調光シートは、ノーマル型でもよいし、リバース型でもよい。以下、図1を参照してノーマル型の調光シートを備える調光装置を説明し、図2を参照してリバース型の調光装置を説明する。
【0028】
なお、調光シートは、例えば、住宅、駅、空港などの各種の建物が備える窓、オフィスに設置されたパーティション、および、店舗に設置されたショーウインドウなどが備える透明部材に取り付けられる。あるいは、調光シートは、車両および航空機などの移動体が備える窓が備える透明部材に取り付けられる。調光シートの形状は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。
【0029】
図1が示すように、調光装置10は、ノーマル型の調光シート11Nと、駆動部12とを備えることができる。調光シート11Nは、第1透明電極層21、第2透明電極層22、および、調光層23を備えている。調光シート11Nは、さらに、第1透明電極層21を支持する第1透明基材24、および、第2透明電極層22を支持する第2透明基材25を備えている。
【0030】
調光シート11Nは、第1透明電極層21の一部に取り付けられた第1電極21Eと、第2透明電極層22の一部に取り付けられた第2電極22Eとを備えている。調光シート11Nはさらに、第1電極21Eに接続された配線26と、第2電極22Eに接続された配線26とを備えている。第1電極21Eは、配線26によって駆動部12に接続されている。第2電極22Eは、配線26によって駆動部12に接続されている。
【0031】
第1透明電極層21、および、第2透明電極層22は、可視光を透過する光透過性を有する。第1透明電極層21の光透過性は、調光シート11Nを通した物体の視覚認識を可能にする。第2透明電極層22の光透過性は、第1透明電極層21の光透過性と同様、調光シート11Nを通した物体の視覚認識を可能にする。
【0032】
各透明電極層21,22を形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、および、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)から構成される群から選択されるいずれか1つであってよい。
【0033】
調光層23は、透明高分子層と液晶組成物とを備えている。透明高分子層は、液晶組成物が充填される空隙を有している。液晶組成物は、透明高分子層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子の一例は、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、および、ジオキサン系から構成される群から選択されるいずれかである。
【0034】
液晶組成物の保持型式は、高分子ネットワーク型、高分子分散型、および、カプセル型から構成される群から選択されるいずれか1つである。高分子ネットワーク型は、3次元の網目状を有した透明な高分子ネットワークを備え、互いに連通した網目における空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子ネットワークは、透明高分子層の一例である。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を透明高分子層のなかに備え、高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を透明高分子層のなかに保持する。なお、液晶組成物は、上述した液晶分子以外に、透明高分子層を形成するためのモノマー、および、二色性色素などを含んでもよい。
【0035】
各透明基材24,25を形成する材料は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、および、ポリオレフィンなどである。ポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどである。ポリアクリレートは、例えばポリメチルメタクリレートなどである。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および、窒化ケイ素などである。
【0036】
各電極21E,22Eは、例えばフレキシブルプリント基板(FPC : Flexible Printed Circuits)である。FPCは、支持層、導体部、および、保護層を備えている。導体部が、支持層と保護層とに挟まれている。支持層および保護層は、絶縁性の合成樹脂によって形成されている。支持層および保護層は、例えばポリイミドによって形成される。導体部は、例えば金属薄膜によって形成されている。金属薄膜を形成する材料は、例えば銅であってよい。各電極21E,22Eは、FPCに限らず、例えば金属製のテープであってもよい。
【0037】
なお、各電極21E,22Eは、図示外の導電性接着層によって、各透明電極層21,22に取り付けられている。各電極21E,22Eのうち、導電性接着層に接続される部分では、導体部が保護層または支持層から露出している。
【0038】
導電性接着層は、例えば、異方性導電フィルム(ACF : Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP : Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF : Isotropic Conductive Film)、および、等方性導電ペースト(ICP : Isotropic Conductive Paste)などによって形成されてよい。調光装置10の製造工程における取り扱い性の観点から、導電性接着層は、異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0039】
各配線26は、例えば、金属製のワイヤーと、金属製のワイヤーを覆う絶縁層とによって形成されている。ワイヤーは、例えば銅などによって形成されている。
調光層23は、2つの透明電極層21,22の間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向を変える。液晶分子における配向の変化は、調光層23に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。ノーマル型の調光シート11Nは、調光シート11Nの通電時に、相対的に低い拡散透過率を有する。ノーマル型の調光シート11Nは、調光シート11Nの非通電時に、相対的に高い拡散透過率を有する。例えば、ノーマル型の調光シート11Nは、調光シート11Nの通電時に透明状態を有し、調光シート11Nの非通電時に不透明状態を有する。このように、調光シート11Nでは、透明電極層21,22間に印加された交流電圧に応じて、調光シート11Nにおけるヘイズ値が変わる。調光シート11Nは、調光シート11Nの非通電時に、相対的に高いヘイズ値を有する。これに対して、調光シート11Nは、調光シート11Nの通電時に相対的に低いヘイズ値を有する。
【0040】
駆動部12は、第1透明電極層21と第2透明電極層22との間に交流電圧を印加する。駆動部12は、矩形波状を有した交流電圧を一対の透明電極層21,22間に印加することが好ましい。言い換えれば、駆動部12は、矩形波の電圧信号を出力することが好ましい。
【0041】
図2が示すように、調光装置10は、リバース型の調光シート11Rと駆動部12とを備えることができる。調光シート11Rは、第1透明電極層21、第2透明電極層22、第1配向膜27、第2配向膜28、および、調光層23を備えている。調光層23は、第1配向膜27と第2配向膜28との間に位置している。第1配向膜27は、調光層23と第1透明電極層21との間に位置し、かつ、調光層23に接している。第2配向膜28は、調光層23と第2透明電極層22との間に位置し、かつ、調光層23に接している。
【0042】
第1配向膜27および第2配向膜28を形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物である。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、および、シアン化化合物などである。無機化合物は、シリコン酸化物、酸化ジルコニウムなどである。なお、配向膜27,28を形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。
【0043】
第1配向膜27および第2配向膜28は、例えば、垂直配向膜である。垂直配向膜は、第1透明電極層21に接する面とは反対側の面、および、第2透明電極層22に接する面とは反対側の面に対して垂直であるように、液晶分子の長軸方向を配向させる。このように、配向膜27,28は、調光層23が含む複数の液晶分子における配向を規制する。
【0044】
リバース型の調光シート11Rは、調光シート11Rの通電時に、相対的に高い拡散透過率を有する。リバース型の調光シート11Rは、調光シート11Rの非通電時に、相対的に低い拡散透過率を有する。例えば、リバース型の調光シート11Rは、調光シート11Rの通電時に不透明状態を有し、調光シート11Rの非通電時に透明状態を有する。このように、調光シート11Rでは、透明電極層21,22間に印加された交流電圧に応じて、調光シート11Rにおけるヘイズ値が変わる。調光シート11Rは、調光シート11Rの非通電時に、相対的に低いヘイズ値を有する。これに対して、調光シート11Rは、調光シート11Rの通電時に、相対的に高いヘイズ値を有する。
【0045】
[評価システム]
図3および図4を参照して、調光装置の評価システムを説明する。以下では、調光装置の評価システムの一例として、ノーマル型の調光シート11Nを備える調光装置の評価システムを説明するが、調光装置の評価システムは、リバース型の調光シート11Rを備える調光装置の評価システムであってもよい。図3は、評価システムの斜視構造を示している。なお、図3は、後述する第1被写体に対する第1撮像部の位置決め前における評価システムの状態を示している。
【0046】
図3が示す調光装置の評価システム30(以下、評価システム30とも称する)は、透明部材TMに取り付けられた調光シート11Nの光学状態を評価するための調光装置10の評価システムである。評価システム30は、被撮像装置31と撮像装置32とを備えている。本実施形態において、被撮像装置31および撮像装置32は、それぞれ個別の構造体である、すなわち互いに独立している。被撮像装置31は、第1被写体41を備えている。第1被写体41は、調光シート11Nの光学状態を評価するための情報を含んでいる。撮像装置32は、第1撮像部51を備えている。第1撮像部51は、透明部材TMに取り付けられた調光シート11Nを介して第1被写体41が含む情報を撮像するように構成されている。
【0047】
透明部材TMに取り付けられた状態の調光シート11Nを介して、調光シート11Nの光学状態を評価するための情報を撮像した画像を得ることができる。そのため、得られた画像を用いて、調光シート11Nの光学状態を評価することが可能であるから、透明部材TMに取り付けられた状態の調光シート11Nが呈する光学状態を評価することが可能である。
【0048】
調光シート11Nの光学状態は、調光シート11Nの評価項目の一例である。調光シート11Nの光学状態は、例えば、所定値以上のヘイズを有することや所定値以下のクラリティを有することなどであってよい。第1被写体41は、例えば所定の画像であってよい。画像は、調光シート11Nの光学状態を評価するための情報として、所定のパターンを含んでいる。図3では、当該パターンの一例である市松模様が示されている。なお、パターンは、市松模様に限らず、例えば、間隔を空けて並ぶ複数の線であってもよいし、所定の規則に従って配置された複数のドットであってもよい。
【0049】
第1撮像部51は、各種のイメージセンサーと、イメージセンサーに結像させるための光学機構とを備えている。第1撮像部51は、第1被写体41の静止画を撮像することが可能に構成されていればよい。なお、第1撮像部51は、第1被写体41の動画を撮像することが可能であってもよい。
【0050】
上述したように、透明部材TMは、例えば建物が備える窓が備える部材である。透明部材TMは、透明部材TMにおいて対向する一対の面を備えている。一対の面のうち、一方の面は、建物の内表面に含まれ、かつ、他方の面は、建物の外表面に含まれる。調光シート11Nは、一対の面のうち、建物の内表面に含まれる面に取り付けられる。透明部材TMの厚さ方向において、透明部材TMと調光シート11Nとの積層体は、被撮像装置31と撮像装置32によって挟まれている。被撮像装置31は、調光シート11Nと対向するように屋内に配置されている。一方で、撮像装置32は、透明部材TMと対向するように屋外に配置されている。透明部材TMは、例えばガラス製であってもよいし、合成樹脂製であってもよい。
【0051】
本実施形態において、撮像装置32は、位置調整部52をさらに備えている。位置調整部52は、被写体41に対する第1撮像部51の位置を調整するように構成されている。位置調整部52の一例は、無人航空機である。なお、無人航空機は、航空法第2条第22項に規定される無人航空機であってよい。無人航空機は、小型の回転翼航空機であることが好ましい。図3では、無人航空機の一例として小型の回転翼航空機が示されている。
【0052】
位置調整部52を用いて第1被写体41に対する第1撮像部51の位置を調整することが可能であるから、撮像装置32が位置調整部を有しない場合に比べて、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置のばらつきを抑えることが可能である。位置調整部52が無人航空機である場合には、調光シート11Nが取り付けられた透明部材TMが、作業者では届かない高所に位置していても、調光シート11Nの光学状態を評価するための画像を撮像することが可能である。そのため、鉛直方向において、光学状態の評価が可能な範囲を拡張することが可能である。
【0053】
被撮像装置31は、第2被写体42をさらに備えている。第2被写体42は、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置を決めるための被写体である。被撮像装置31において、第1被写体41が第1部位に位置する一方で、第2被写体42が第1部位とは異なる第2部位に位置している。すなわち、本実施形態において、第1被写体41と第2被写体42とは、個別の被写体として存在している。そのため、第1被写体41の位置に制約されることなく、第2被写体42の位置および第2撮像部53の位置を設定することが可能である。第2被写体42は、例えば所定のパターンを含む位置決め用のパターンである。
【0054】
被撮像装置31は、2つの第2被写体42を備えている。2つの第2被写体42は1つの方向に沿って並び、かつ、第1被写体41を挟んでいる。本実施形態では、2つの第2被写体42は、上下方向に沿って並んでいる。2つの第2被写体42は、互いに同じ形状のパターンであってもよいし、互いに異なる形状のパターンであってもよい。
【0055】
撮像装置32は、第2撮像部53をさらに備えている。第2撮像部53は、第2被写体42を撮像するように構成されている。第2撮像部53は、第1撮像部51とは異なる。撮像装置32は、2つの第2撮像部53を備えている。2つの第2撮像部53は、第2被写体42と同一の方向に沿って並び、かつ、第1撮像部51を挟んでいる。本実施形態では、2つの第2撮像部53は、上下方向に沿って並んでいる。各第2撮像部53は、第1撮像部51と同様に、各種のイメージセンサーと、イメージセンサーに結像させるための光学機構とを備えている。第1撮像部51は、第1被写体41の静止画を撮像することが可能に構成されていればよい。なお、第1撮像部51は、第1被写体41の動画を撮像することが可能であってもよい。
【0056】
評価システム30は、制御装置33をさらに備えている。制御装置33は、撮像装置32の駆動、および、調光装置10の駆動を制御するように構成されている。制御装置33は、調光シート11Nが透明状態を呈するように調光装置10の駆動を制御した後に、第1撮像部51に第1被写体41が含む情報を撮像するように第1撮像部51の駆動を制御する。調光シート11Nの駆動と撮像装置32の駆動とを作業者が個別に行う必要がないため、調光シート11Nの光学状態を評価するための画像を簡易に得ることができる。
【0057】
制御装置33は、所定のネットワークを通じて、撮像装置32および調光装置10との通信が可能に構成されている。制御装置33の通信に用いられるネットワークは、インターネットなどの汎用通信回線であってもよいし、制御装置33と各装置との通信のための専用通信回線であってもよい。
【0058】
制御装置33は、例えば、撮像装置32が行う動作のうち、第1撮像部51による第1被写体41の撮像、および、第2撮像部53による第2被写体42の撮像に関わる動作を制御する。制御装置33は、例えば、撮像装置32が行う動作のうち、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めに関わる動作を制御する。制御装置33は、例えば、調光装置10が行う動作のうち、不透明状態を呈する調光シート11Nを、不透明状態から透明状態に変更するための動作を制御する。制御装置33は、例えば、調光装置10が行う動作のうち、透明状態を呈する調光シート11Nを、透明状態から不透明状態に変更するための動作を制御する。
【0059】
制御装置33は、第1撮像部51が調光シート11Nを介して撮像した第1被写体41の画像である評価対象画像に基づいて、調光シート11Nの光学状態を評価する。上述したように、調光シート11Nの光学状態は、例えば、所定値以上のヘイズを有すること、および、所定値以下のクラリティを有することなどであってよい。
【0060】
制御装置33は、例えば、第1撮像部51が撮像した評価対象画像に対する画像解析を用いて、調光シート11Nによる評価対象画像のぼかし度合いを、光学状態を評価するための評価指標として算出する。評価対象画像のぼかし度合いは、評価対象画像の明確さを示す度合い、すなわち、評価対象画像の輝度などの光学濃度と、背景画像の輝度などの光学濃度の差であってもよい。あるいは、画像のぼかし度合いは、評価対象画像の輪郭におけるエッジ強度に対応する画素値が有する画素の光学濃度であってもよい。制御装置33は、例えば、算出したぼかし度合いと、ぼかし度合いに対して定められた所定の閾値とを用いて、調光シート11Nの光学状態を評価することが可能である。
【0061】
図4は、評価システム30の断面構造を示している。なお、図4は、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決め後における評価システム30の状態を示している。また、図4では、図示の便宜上、制御装置33の図示が省略されている。
【0062】
図4が示すように、被撮像装置31は、被写体用筐体43をさらに備えている。被写体用筐体43は、遮光性を有し、かつ、第1被写体41を収容している。被写体用筐体43は、被写体用筐体43の外部から被写体用筐体43の内部に位置する第1被写体41に対して光が入射することを抑えるような遮光性を有している。被写体用筐体43は、被写体用透過部43Aを備えている。被写体用透過部43Aは、第1被写体41が含む情報を被写体用筐体43の外部に露出させ、これによって、第1撮像部51による情報の撮像を可能とするように構成されている。第2被写体42は、被写体用筐体43の外表面に位置している。
【0063】
第1被写体41が被写体用筐体43内に収容されることによって、第1被写体41を撮像する際に、第1被写体41が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、第1撮像部51が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0064】
本実施形態では、被写体用筐体43は、直方体状を有している。被写体用筐体43は、遮光性を有した材料から形成されている。被写体用筐体43は、例えば黒色を呈する板部材から形成される。板部材は、例えば、合成樹脂製であってもよいし、金属製であってもよいし、紙製であってもよい。
【0065】
被写体用筐体43は、被写体用筐体43において対向する一対の壁部を有する。一対の壁部は、表面壁部43Fと裏面壁部43Rとから構成される。第1被写体41は、裏面壁部43Rの内表面に位置している。裏面壁部43Rの内表面は第1部位の一例である。被写体用筐体43は、被写体用透過部43Aの一例として、表面壁部43Fの厚さ方向に沿って表面壁部43Fを貫通する貫通孔を備えている。被写体用透過部43Aと対向する視点から見て、第1被写体41の少なくとも一部が被写体用透過部43A内に位置している。これにより、第1被写体41が含む情報が、被写体用透過部43Aによって、被写体用筐体43の外部に露出する。各第2被写体42は、表面壁部43Fの外表面に露出している。表面壁部43Fの外表面は、第2部位の一例である。
【0066】
被写体用筐体43は、表面壁部43Fが調光シート11Nに接するように配置される。そのため、表面壁部43Fの外表面における少なくとも一部が、調光シート11Nに対する粘着性を有してもよいし、吸着性を有してもよい。表面壁部43Fが調光シート11Nに対する粘着性を有する場合には、被写体用筐体43は、直方体状を有する本体と粘着層とを含んでよい。粘着層は、被写体用筐体43の表面壁部43Fにおける外表面の少なくとも一部を構成していればよい。表面壁部43Fが調光シート11Nに対する吸着性を有する場合には、被写体用筐体43は、直方体状を有する本体と吸着部とを含んでよい。吸着部は、被写体用筐体43の表面壁部43Fにおける外表面の少なくとも一部を構成していればよい。
【0067】
撮像装置32は、撮像部用筐体54をさらに備えている。撮像部用筐体54は、遮光性を有し、かつ、第1撮像部51を収容している。撮像部用筐体54は、撮像部用筐体54の外部から撮像部用筐体54の内部に位置する第1撮像部51に対して光が入射することを抑えるような遮光性を有している。撮像部用筐体54は、撮像部用透過部54Aを備えている。撮像部用透過部54Aは、第1撮像部51を外部に露出させ、これによって、第1撮像部51による情報の撮像を可能とするように構成されている。第1撮像部51が撮像部用筐体54内に収容されることによって、第1撮像部51を撮像する際に、第1撮像部51が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、第1撮像部51が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0068】
本実施形態では、撮像部用筐体54は、直方体状を有している。撮像部用筐体54は、遮光性を有した材料から形成されている。撮像部用筐体54は、例えば黒色を呈する板部材から形成される。板部材は、例えば、合成樹脂製であってもよいし、金属製であってもよいし、紙製であってもよい。
【0069】
撮像部用筐体54は、撮像部用筐体54において対向する一対の壁部を有する。一対の壁部は、表面壁部54Fと裏面壁部54Rとから構成される。第1撮像部51は、裏面壁部54Rの内表面に位置している。撮像部用筐体54は、撮像部用透過部54Aの一例として、表面壁部54Fを貫通する貫通孔を備えている。撮像部用透過部54Aと対向する視点から見て、第1撮像部51の少なくとも一部が撮像部用透過部54A内に位置している。これにより、第1撮像部51の少なくとも一部が、撮像部用透過部54Aによって、撮像部用筐体54の外部に露出する。各第2撮像部53は、表面壁部54Fの外表面に露出している。これにより、第2撮像部53は、透明部材TMと調光シート11Nとの積層体を介して、第2被写体42に対向することが可能である。
【0070】
第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めが行われることによって、透明部材TMと調光シート11Nとの積層体を介して、撮像部用透過部54Aが、被写体用透過部43Aと対向する。これにより、第1撮像部51は、撮像部用透過部54A、透明部材TMと調光シート11Nとの積層体、および、被写体用透過部43Aを介して、第1被写体41を撮像することが可能である。
【0071】
撮像部用筐体54は、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決め後に、表面壁部54Fが透明部材TMに接するように配置される。撮像装置32は、撮像部用筐体54を透明部材TMに固定するための固定機構を有してもよい。固定機構は、例えば、透明部材TMに対する吸着性を有する吸着部であってよい。撮像装置32が固定機構を備える場合には、例えば、撮像部用筐体54が、固定機構を収容するための収容部を有してもよい。固定機構は、収容部に収容された第1状態と、収容部から露出した第2状態とを有することができる。固定機構は、第2状態において、吸着部によって撮像部用筐体54を透明部材TMに固定することが可能に構成される。
【0072】
[評価方法]
図5および図6を参照して、調光装置10の評価方法を説明する。調光装置10の評価方法は、透明部材TMに取り付けられた調光シート11Nの光学状態を評価するための方法である。調光装置10の評価方法は、透明部材TMに取り付けられた調光シート11Nを介して、調光シート11Nの光学状態を評価するための情報を含む第1被写体41の情報を撮像することを含む。以下、図面を参照して、調光装置10の評価方法を詳しく説明する。
【0073】
図5は、調光装置10の評価方法を説明するためのフローチャートである。図5は、調光装置の評価方法が備える工程の概略を示している。
図5が示すように、調光装置10の評価方法は、位置決め工程(ステップS11)、および、撮像工程(ステップS12)を含んでいる。
【0074】
位置決め工程では、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置を決める。本実施形態では、被撮像装置31が備える第2被写体42、撮像装置32が備える位置調整部52、および、第2撮像部53を用いて、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めが行われる。
【0075】
撮像工程では、透明部材TMと調光シート11Nとの積層体を介して、第1被写体41が含む情報が撮像される。本実施形態では、透明部材TMと調光シート11Nとを介して、第1撮像部51が第1被写体41を撮像する。これにより、調光シート11Nの光学状態を評価するための評価対象画像を得ることができる。
【0076】
図6は、調光装置10の評価方法における一例を示すフローチャートである。なお、図6が示す処理は、上述した制御装置33に保存された評価プログラムを制御装置33が実行することによって行われる一連の処理である。また、図6は、図5が示すフローチャートに含まれる各工程を細分化した一例を示している。
【0077】
図6が示すように、制御装置33は、まず、制御装置33に記憶されたカウント値を0に設定する(ステップS21)。カウント値は、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決め処理の回数を計数するための値である。第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決め処理が行われるごとに、カウント値が1ずつ増加する。
【0078】
次いで、制御装置33は、水平方向でのバランスの調整と、垂直方向でのバランスの調整とを行う(ステップS22,S23)。すなわち、制御装置33は、水平方向と垂直方向とにおいて、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置を調整する。
【0079】
この際に、制御装置33は、まず、調光シート11Nの駆動部12に、調光シート11Nが透明を呈するような電圧を印加させ、かつ、位置調整部52に飛行を開始させる。次いで、制御装置33は、各第2撮像部53に、その第2撮像部53が対向する第2被写体42を撮像させる。そして、制御装置33は、得られた画像に基づいて、水平方向における撮像装置32の位置、および、垂直方向における撮像装置32の位置を調整するための信号を位置調整部に出力する。位置調整部52は、入力した信号に基づいて、水平方向における位置、および、垂直方向における位置の少なくとも一方を変える。
【0080】
第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めが完了すると、制御装置33は、第1撮像部51に、透明部材TMおよび調光シート11Nを介して第1被写体41を撮像させる(ステップS24)。第1被写体41の撮像によって得られた画像が予め定められた画質を満たすと制御装置33が判断した場合には(ステップS25:YES)、制御装置33は、撮像装置32の固定機構に撮像装置32の位置を固定させるための信号を出力する(ステップS26)。固定機構は信号を入力し、これによって、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置を固定する。この際に、撮像部用筐体54が透明部材TMに接する状態で、撮像部用筐体54の位置が固定機構によって固定される。このように、ステップS22からステップS26までの処理によって、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めが行われる。
【0081】
これに対して、第1被写体41の撮像によって得られた画像が上述した画質を満たさないと制御装置33が判断した場合には(ステップS25:NO)、制御装置33は、上述したカウント値を1だけ増加させ、増加後のカウント値が閾値Kよりも大きいか否かを判断する(ステップS31,S32)。増加後とのカウント値が閾値Kよりも大きくないと制御装置33が判断した場合には(ステップS32:NO)、制御装置33は、ステップS22からステップS25までの処理を再び行う。これにより、制御装置33は、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めを再び行う。
【0082】
一方で、増加後のカウント値が閾値Kよりも大きいと制御装置33が判断した場合には(ステップS32:YES)、制御装置33は、エラーフラグをオンに設定する(ステップS33)。そして、制御装置33は、評価プログラムの実行により行われる一連の処理を一旦終了する。
【0083】
固定機構の動作が完了した後に、制御装置33は、第1撮像部51が備える光源をオンするための信号を第1撮像部51に出力する(ステップS41)。第1撮像部51は、制御装置33の信号を入力することによって、光源をオンする。次いで、制御装置33は、調光シート11Nが透明を呈するための信号を調光装置10の駆動部12に出力する(ステップS42)。なお、調光シート11Nは、透明状態に維持されているため、ステップS42の処理は省略されてもよい。そして、制御装置33は、第1撮像部51にレリーズ、すなわち撮像させるための信号を出力する(ステップS43)。第1撮像部51は、制御装置33の信号を入力し、これによって、第1被写体41を撮像する。
【0084】
次いで、制御装置33は、調光シート11Nが不透明を呈するための信号を調光装置10の駆動部12に出力する(ステップS44)。駆動部12は、信号を入力し、これによって調光シート11Nに対する電圧の印加を終了する。これにより、調光シート11Nは、不透明を呈する。そして、制御装置33は、第1撮像部51にレリーズ、すなわち撮像させるための信号を出力する(ステップS45)。第1撮像部51は、制御装置33の信号を入力し、これによって、第1被写体41を撮像する。
【0085】
制御装置33は、ステップS43の処理によって撮像された評価対象画像、および、ステップS45の処理によって撮像された評価対象画像の画質が、予め定められた画質を満たすか否かを判断する(ステップS46)。評価対象画像の画質が、予め定められた画質を満たさないと制御装置33が判断した場合には(ステップS46:NO)、制御装置33は、ステップS42からステップS45の処理を繰り返す。このように、ステップS42からステップS46までの処理によって、第1被写体41の撮像が行われる。
【0086】
これに対して、評価対象画像の画質が予め定められた画質を満たすと制御装置33が判断した場合には(ステップS46:YES)、制御装置33は、撮像した評価対象画像を用いて、調光シート11Nの光学状態を評価する(ステップS47)。なお、制御装置33は、2つの評価対象画像のうち、ステップS43の処理によって撮像された評価対象画像のみを用いて調光シート11Nの光学状態を評価してもよい。あるいは、制御装置33は、2つの評価対象画像のうち、ステップS45の処理によって撮像された評価対象画像のみを用いて調光シート11Nの光学状態を評価してもよい。次いで、制御装置33は、固定機構に撮像装置32の位置の固定を解除させるための信号を出力する(ステップS48)。固定機構は信号を入力し、これによって、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置の固定を解除する。
【0087】
ステップS48の処理が終了すると、制御装置33は、評価プログラムの実行によって行われる一連の処理を一旦終了する。なお、ステップS48の処理は、ステップS46の処理とステップS47の処理との間に行われてもよい。また、ステップS47の処理は、制御装置33が上述した評価プログラムを実行することによって行われる処理ではなく、制御装置33が評価プログラムとは異なるプログラムを実行することによって行われる処理であってもよい。
【0088】
以上説明したように、調光装置の評価システムにおける第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1‐1)透明部材TMに取り付けられた状態の調光シート11Nを介して撮像した画像を用いて、調光シート11Nの光学状態を評価することが可能である。そのため、透明部材TMに取り付けられた状態の調光シート11Nが呈する光学状態を評価することが可能である。
【0089】
(1‐2)位置調整部52を用いて第1被写体41に対する第1撮像部51の位置を調整することが可能であるから、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置のばらつきを抑えることが可能である。
【0090】
(1‐3)位置調整部52が無人航空機である場合には、調光シート11Nが取り付けられた透明部材TMが、作業者では届かない高所に位置していても、調光シート11Nの光学状態を評価するための画像を撮像することが可能である。
【0091】
(1‐4)第1被写体41の位置に制約されることなく、第2被写体42の位置および第2撮像部53の位置を設定することが可能である。
(1‐5)第1被写体41が被写体用筐体43内に収容されることによって、第1被写体41を撮像する際に、第1被写体41が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、第1撮像部51が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0092】
(1‐6)第1撮像部51が撮像部用筐体54内に収容されることによって、第1撮像部51が撮像する際に、第1撮像部51が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、第1撮像部51が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0093】
(1‐7)調光シート11Nの駆動と撮像装置32の駆動とを作業者が個別に行う必要がないため、調光シート11Nの光学状態を評価するための画像を簡易に得ることができる。
【0094】
[第2実施形態]
図7および図8を参照して、調光装置の評価システムにおける第2実施形態を説明する。第2実施形態は、1つの被写体が、調光シートの光学状態を評価するためのパターンと、第1被写体に対して第1撮像部を位置決めするためのパターンとの両方を含む点において、第1実施形態と異なっている。そのため以下では、第2実施形態において第1実施形態とは異なる構成を詳しく説明する。一方で、第2実施形態において第1実施形態と共通する構成には、第1実施形態と同じ符号を付すことによって、当該構成の詳しい説明を省略する。
【0095】
[評価システム]
図7および図8を参照して、調光装置の評価システムを説明する。以下では、調光装置の評価システムの一例として、ノーマル型の調光シート11Nを備える調光装置の評価システムを説明するが、調光装置の評価システムは、リバース型の調光シート11Rを備える調光装置の評価システムであってもよい。図7は、評価システムの斜視構造を示している。なお、図7は、後述する被写体に対する撮像部の位置決め前における評価システムの状態を示している。
【0096】
図7が示すように調光装置の評価システム(以下、評価システムとも称する)60は、第1実施形態の評価システム30と同様に、被撮像装置61、撮像装置62、および、制御装置63を備えている。被撮像装置61は、被写体71を備えている。撮像装置62は、撮像部81を備えている。被写体71は、評価用パターン71Aと、位置決め用パターン71Bとを含んでいる。評価用パターン71Aは、調光シート11Nの光学状態を評価するための情報を含んでいる。位置決め用パターン71Bは、撮像部81に対する被写体の位置を決めるためのパターンである。そのため、1つの被写体71を撮像するのみによって、調光シート11Nの光学状態を評価するための画像と、被写体71に対する撮像部81の位置を決めるための画像との両方を得ることが可能である。
【0097】
評価用パターン71Aは、第1実施形態における第1被写体41と同様に、市松模様であってもよいし、間隔を空けて並ぶ複数の線であってもよいし、所定の規則に従って配置された複数のドットであってもよい。被写体71は、2つの位置決め用パターン71Bを備えている。2つの位置決め用パターン71Bは、鉛直方向に沿って並んでいる。
【0098】
撮像部81は、第1撮像部51と同様に、各種のイメージセンサーと、イメージセンサーに結像させるための光学機構とを備えている。撮像部81は、被写体71の静止画を撮像することが可能に構成されていればよい。なお、撮像部81は、被写体71の動画を撮像することが可能であってもよい。
【0099】
制御装置63は、所定のネットワークを通じて、撮像装置62および調光装置10との通信が可能に構成されている。制御装置63の通信に用いられるネットワークは、インターネットなどの汎用通信回線であってもよいし、制御装置63と各装置との通信のための専用通信回線であってもよい。
【0100】
制御装置63は、例えば、撮像装置62が行う動作のうち、撮像部81による被写体71の撮像に関わる動作を制御する。制御装置63は、例えば、撮像装置62が行う動作のうち、被写体71に対する撮像部81の位置決めに関わる動作を制御する。制御装置63は、例えば、調光装置10が行う動作のうち、不透明状態を呈する調光シート11Nを、不透明状態から透明状態に変更するための動作を制御する。制御装置63は、例えば、調光装置10が行う動作のうち、透明状態を呈する調光シート11Nを、透明状態から不透明状態に変更するための動作を制御する。
【0101】
制御装置63は、撮像部81が調光シート11Nを介して撮像した評価用パターン71Aの画像である評価対象画像に基づいて、調光シート11Nの光学状態を評価する。上述したように、調光シート11Nの光学状態は、例えば、所定値以上のヘイズを有すること、および、所定値以下のクラリティを有することなどであってよい。
【0102】
図8は、評価システム60の断面構造を示している。なお、図8は、被写体71に対する撮像部81の位置決め後における評価システム60の状態を示している。また、図8では、図示の便宜上、制御装置63の図示が省略されている。
【0103】
図8が示すように、被撮像装置61は、上述した第1実施形態の被撮像装置31と同様に、被写体用筐体43をさらに備えている。被写体用筐体43は、被写体用透過部43Aを備えている。被写体用透過部43Aは、被写体71が含む評価用パターン71Aおよび位置決め用パターン71Bを外部に露出させる。これによって、被写体用透過部43Aは、撮像部81による評価用パターン71Aおよび位置決め用パターン71Bの撮像を可能とするように構成されている。被写体71が被写体用筐体43内に収容されることによって、被写体71を撮像する際に、被写体71が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、撮像部81が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0104】
撮像装置62は、第1実施形態の撮像装置32と同様に、撮像部用筐体54を備えている。撮像部用筐体54は、撮像部用透過部54Aを備えている。撮像部用透過部54Aは、撮像部81を外部に露出させ、これによって、撮像部81による評価用パターン71Aおよび位置決め用パターン71Bの撮像を可能とするように構成されている。撮像部81が撮像部用筐体54内に収容されることによって、撮像部81を撮像する際に、撮像部81が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、撮像部81が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0105】
[評価方法]
第2実施形態における調光装置10の評価方法は、図5および図6を参照して先に説明した第1実施形態における調光装置10の評価方法と同様である。ただし、第2実施形態の評価方法は、位置決め工程において、撮像部81が撮像した位置決め用パターン71Bの画像を用いる点において、第1実施形態の評価方法と異なっている。また、第2実施形態の評価方法は、撮像工程において、撮像部81が評価用パターン71Aを撮像する点において、第1実施形態の評価方法と異なっている。
【0106】
以上説明したように、調光装置の評価システム、および、調光装置の評価方法における第2実施形態によれば、上述した(1‐1)から(1‐3)、(1‐7)の効果に加えて、以下に記載の効果を得ることができる。
【0107】
(2‐1)1つの被写体71を撮像するのみによって、調光シート11Nの光学状態を評価するための画像と、被写体71に対する撮像部81の位置を決めるための画像との両方を得ることが可能である。
【0108】
(2‐2)被写体71が被写体用筐体43内に収容されることによって、被写体71を撮像する際に、被写体71が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、撮像部81が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0109】
(2‐3)撮像部81が撮像部用筐体54内に収容されることによって、撮像部81が撮像する際に、撮像部81が配置される環境における光量のばらつきを抑えることが可能である。これにより、撮像部81が撮像した画像において、光量に起因したばらつきが生じることが抑えられる。
【0110】
[変更例]
上述した各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[位置決め工程]
・位置決め工程では、調光シート11Nが不透明を呈する状態で、被写体41,71に対する撮像部51,81の位置決めが行われてもよい。なお、調光シート11Nが不透明を呈する状態で位置決めを行う場合には、調光シート11Nと位置決め用パターンとの距離が小さいことが好ましい。そのため、調光シート11Nが不透明を呈する状態で位置決めを行う場合には、上述した第1実施形態によるように、調光シート11Nと第2被写体42とが接することが好ましい。
【0111】
[撮像工程]
・撮像工程では、透明を呈する調光シート11Nのみが第1撮像部51によって撮像されてもよい。この場合には、ステップS44およびステップS45の処理が省略されてよい。あるいは、撮像工程では、不透明を呈する調光シート11Nのみが第1撮像部51によって撮像されてもよい。この場合には、ステップS42およびステップS43の処理が省略されてもよい。なお、上述した実施形態によれば、透明を呈する調光シート11Nと不透明を呈する調光シート11Nとの両方が撮像されるから、調光シート11Nについて、透明を呈する状態を評価するための画像と、不透明を呈する状態を評価するための画像との両方を得ることが可能である。
【0112】
[制御装置]
・評価システム30,60は、制御装置33,63を備えていなくてもよい。この場合であっても、評価システム30,60が、被撮像装置31,61と撮像装置32,62を備えることによって、透明部材TMと調光シート11Nとの積層体を介して、被写体41,71を撮像することは可能である。
【0113】
[撮像部用筐体]
・撮像部用透過部54Aは、表面壁部54Fに形成された貫通孔に嵌め込まれた透明部材として具体化されてもよい。この場合であっても、撮像部用透過部54Aを通じて、撮像部51,81を外部に露出させることは可能である。
【0114】
・撮像装置32,62は、撮像部用筐体54を備えていなくてもよい。この場合であっても、評価システム30,60が被撮像装置31,61と撮像装置32,62とを備えるから、少なくとも上述した(1‐1)に準じた効果を得ることは可能である。
【0115】
[被写体用筐体]
・被写体用透過部43Aは、表面壁部43Fに形成された貫通孔に嵌め込まれた透明部材として具体化されてもよい。この場合であっても、被写体用透過部43Aを通じて、被写体41,71を外部に露出ささえることは可能である。
【0116】
・被写体用筐体43の表面壁部43Fは、粘着性および吸着性の両方を有しなくてもよい。これに替えて、被撮像装置31,61は、被写体用筐体43を調光シート11Nに接触させ続けることが可能に構成された押圧機構を備えてもよい。また、被写体用筐体43は、調光シート11Nに接するのみでもよい。
【0117】
・被撮像装置31,61は、被写体用筐体43を備えていなくてもよい。この場合であっても、評価システム30,60が被撮像装置31,61と撮像装置32,62とを備えるから、少なくとも(1‐1)に準じた効果を得ることは可能である。
【0118】
[被写体]
・第1実施形態において、第2被写体42は、被写体用筐体43内に位置してもよい。この場合であっても、撮像装置32が備える撮像部によって第2被写体42を撮像することが可能であれば、第2被写体42を用いて、第1被写体41に対する第1撮像部51の位置決めを行うことは可能である。
【0119】
・第1実施形態において、被撮像装置31は第2被写体42を1つのみ備えてもよいし、第2被写体42を3つ以上備えてもよい。この場合には、撮像装置32は、第2被写体42と同数の第2撮像部53を備えることが好ましい。
【0120】
・第1実施形態において、被撮像装置31は第2被写体42を備えていなくてもよい。この場合であっても、評価システム30が被撮像装置31と撮像装置32とを備えるから、少なくとも(1‐1)に準じた効果を得ることは可能である。なお、被撮像装置31が第2被写体42を備えていない場合には、撮像装置32も第2撮像部53を備えていなくてよい。
【0121】
・第2実施形態において、被写体71は、位置決め用パターン71Bを1つのみ備えてもよいし、位置決め用パターン71Bを3以上備えてもよい。
・第2実施形態において、被写体71が含む評価用パターン71Aの少なくとも一部が位置決め用パターン71Bを兼ねてもよい。
【0122】
・第2実施形態において、被写体71は、位置決め用パターン71Bを備えていなくてもよい。この場合であっても、評価システム60が被撮像装置61と撮像装置62とを備えるから、少なくとも(1‐1)に準じた効果を得ることはできる。
【0123】
[位置調整部]
・位置調整部52は、無人航空機に限らず、例えばクレーンであってもよい。この場合であっても、位置調整部52を用いて被写体41,71に対する撮像部51,81の位置を調整することは可能である。
【0124】
・位置調整部52は、無人航空機に限らず、例えば昇降ステージであってもよい。この場合であっても、位置調整部52を用いて被写体41,71に対する撮像部51,81の位置を調整することは可能である。
【0125】
・撮像装置32は、位置調整部52を備えていなくてもよい。この場合であっても、評価システム30,60が被撮像装置31,61と撮像装置32,62とを備えるから、少なくとも(1‐1)に準じた効果を得ることは可能である。なお、評価システム30,60が位置調整部52を備えていない場合には、評価システム30,60とは異なる装置を用いて、被写体41,71に対する撮像部51,81の位置を調整することは可能である。
【0126】
・被撮像装置31,61が、位置調整部を備えてもよい。例えば、被撮像装置31,61が屋外に配置される一方で、撮像装置32,62が屋内に配置される場合には、被撮像装置31,61の位置調整部を用いて、被写体41,71に対する撮像部51,81の位置を調整することが可能である。なお、被撮像装置31,61が位置調整部を備える場合には、撮像装置32,62が位置決め用パターンを備え、かつ、被撮像装置31,61が、位置決め用パターンを撮像するための撮像部を備えることが好ましい。被撮像装置31,61が位置調整部を備える場合には、撮像装置32,62と被撮像装置31,61との両方が位置調整部を備えてもよいし、被撮像装置31,61のみが位置調整部を備えてもよい。
【0127】
・撮像装置32,62と被撮像装置31,61との両方が位置調整部を備える場合には、撮像装置32,62と被撮像装置31,61との両方が、被写体41,71に対する撮像部51,81の位置を決めるための位置決め用パターンと位置決め用パターンを撮像するための撮像部を有する。
【符号の説明】
【0128】
10…調光装置
11N,11R…調光シート
12…駆動部
30,60…評価システム
31…被撮像装置
32…撮像装置
33…制御装置
41…第1被写体
42…第2被写体
43…被写体用筐体
51…第1撮像部
52…位置調整部
53…第2撮像部
54…撮像部用筐体
71…被写体
71A…評価用パターン
71B…位置決め用パターン
81…撮像部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8