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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071045
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/28 20060101AFI20230515BHJP
   F16L 47/02 20060101ALI20230515BHJP
   F16L 11/08 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
F16L47/28
F16L47/02
F16L11/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183623
(22)【出願日】2021-11-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)積水化学工業株式会社ウェブサイト ウェブサイトのアドレス https://eslon-plant.jp/pickup.html#sec1 https://eslon-plant.jp/approveddrawing/2_approveddrawing_Plantpipe_and_Related-material_PlantHyperBK.pdf ウェブサイトの掲載月 令和2年12月 (2)渡辺パイプ株式会社 日立サービスセンターへの販売 販売した場所 渡辺パイプ株式会社 日立サービスセンター(茨城県日立市金沢町3-20-25) 販売日 令和3年10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】梅山 伸太郎
【テーマコード(参考)】
3H019
3H111
【Fターム(参考)】
3H019AA04
3H019BA04
3H019BB02
3H019CA07
3H019GA06
3H111AA02
3H111BA15
3H111CB14
3H111DB05
(57)【要約】
【課題】枝管の位置を自在に決定することができ、かつ、十分な耐圧性能を有する継手を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る継手100は、主管10と、主管10に枝管を接続するためのサドル20と、を備え、サドル20は、枝管を接続する枝管接続部21と、枝管接続部21の一方の端部に配置され、主管10の外周面に接するように配置されるサドル本体22と、を備え、サドル20の高さは10mm以上かつ80mm以下であり、サドル20の外径は、高さの0.8倍以上かつ8倍以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主管と、
前記主管に枝管を接続するためのサドルと、を備え、
前記サドルは、
前記枝管を接続する枝管接続部と、
前記枝管接続部の一方の端部に配置され、前記主管の外周面に接するように配置されるサドル本体と、
を備え、
前記サドルの高さは10mm以上かつ80mm以下であり、
前記サドルの外径は、前記高さの0.8倍以上かつ8倍以下である、
継手。
【請求項2】
前記サドルの肉厚が、10mm以上かつ35mm以下である、
請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記枝管の口径が10mm以上かつ115mm以下である、
請求項1又は2に記載の継手。
【請求項4】
前記サドルが間隔を空けて3つ以上配置され、
前記サドル同士の前記間隔が、同一又は異なっている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に配設される排水管を集約する際、主管と枝管を備えたチーズ継手が用いられることがある。
特許文献1では、主管であるヘッダー本体に流出側接続部を射出成型し、枝管である流出側短管を挿入接続する技術が開示されている。
特許文献2では、主管と枝管を一体成型する際、主管内に曲がり防止治具を挿入して、枝管部品の根元に設けられたサドルと主管とを加熱融着する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3206954号公報
【特許文献2】特開2015-112794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造は、枝管の位置が流出側接続部の位置によって決められており、枝管の位置を自由に決めることができないことから、実用性に欠ける。また、主管が射出成型によって成形されることで、枝管の接続部が十分な肉厚を有さず、応力集中によって低圧破壊しやすい課題がある。
特許文献2の構造は、サドルの高さ及び肉厚が不十分である。このため、サドル付け根の薄肉部で応力集中し、低圧破壊しやすい課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、枝管の位置を自在に決定することができ、かつ、十分な耐圧性能を有する継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る継手は、主管と、前記主管に枝管を接続するためのサドルと、を備え、前記サドルは、前記枝管を接続する枝管接続部と、前記枝管接続部の一方の端部に配置され、前記主管の外周面に接するように配置されるサドル本体と、を備え、前記サドルの高さは10mm以上かつ80mm以下であり、前記サドルの外径は、前記高さの0.8倍以上かつ8倍以下である。
【0007】
この発明によれば、主管に枝管を接続するためのサドルを備え、サドルは、主管の外周面に接するように配置されるサドル本体を備える。これにより、主管に設けられた接続部に枝管を挿入する構造と比較して、主管に対して任意の位置に枝管を設けることができる。よって、実用性を向上することができる。
また、サドルを有さずに枝管接続部が直接主管に接続される場合と比較して、主管とサドルとの接触面を十分に確保することができる。これにより、主管とサドルとの接続部において応力集中を生じにくくすることができる。あるいは、応力集中が生じた場合の影響を少なくすることができる。
【0008】
また、サドルの高さは10mm以上かつ80mm以下であり、サドルの外径は、サドルの高さの0.8倍以上かつ8倍以下である。これにより、十分な耐圧性能を確保することができる。すなわち、サドルの高さが10mm未満である場合、主管とサドルとの接続部において応力集中が生じた場合に、サドルが十分な強度を有さず破壊するおそれがある。サドルの高さが80mm超である場合、枝管接続部が十分な長さを有さず、サドルの枝管接続部に対して枝管が接続できなくなるおそれがある。サドルの外径が、サドルの高さの0.8倍未満である場合、サドルの外径に対してサドルの高さが高すぎることから、実用性を有さないおそれがある。サドルの外径が、サドルの高さの8倍超である場合、サドルの外径に対してサドルが十分な高さを有さないため、主管とサドルとの接続部において応力集中が生じた場合に、サドルが十分な強度を有さず破壊するおそれがある。サドルの寸法を上述の範囲とすることで、本発明に係る作用効果を十分に発揮することができる。
【0009】
また、前記サドルの肉厚が、10mm以上かつ35mm以下であってもよい。
【0010】
この発明によれば、サドルの肉厚が10mm以上かつ35mm以下である。つまり、主管に対して熱融着される面の厚さが、10mm以上かつ35mm以下である。これにより、融着部に十分な強度を持たせることができる。すなわち、サドルの肉厚が10mm未満である場合、サドルが熱融着される面に十分な肉厚を有さず、融着部に十分な強度が確保されないおそれがある。サドルの肉厚が35mm超である場合、サドルの肉厚が想定される応力に対して必要以上の肉厚となり、サドルが十分な耐圧性能を有さないおそれがある。具体的には、サドルの肉厚が35mm超であると、熱融着の際にサドルを主管に押し付けた時の荷重が必要以上に分散する。これにより、サドルと主管との結合が弱くなり、耐圧性能が低下する。サドルの肉厚を上述の範囲とすることで、本発明に係る作用効果を十分に発揮することができる。
【0011】
また、前記枝管の口径が10mm以上かつ115mm以下であってもよい。
【0012】
この発明によれば、枝管の口径が10mm以上かつ115mm以下である。前記口径の枝管に対して上述の寸法を備えるサドルを適用することで、十分な強度及び耐圧性能を有する継手とすることができる。すなわち、枝管の口径が10mm未満あるいは115mm超である場合、上述の寸法に係るサドルによる作用効果を十分に発揮できないおそれがある。具体的には、枝管の口径が10mm未満の場合は、熱融着の際に圧力が1点に集中する。このため、サドルが主管を貫通するため生産できない。枝管の口径が115mm超だと、熱融着の際の圧力が必要以上に分散する。これにより、サドルと主管が十分に融着せず、耐圧性能が担保できない。枝管の口径を上述の範囲とすることで、本発明に係る作用効果を十分に発揮することができる。
【0013】
なお、先行文献においては、当該発明を適用可能な配管のサイズについて記載されておらず、どのサイズの配管に適用できるかが不明確であった。これに対し本発明では、上述のように適用可能の枝管の口径を明確にすることで、より本発明に係る継手を排水システムに適用する際の実用性を向上した。
【0014】
また、前記サドルが間隔を空けて3つ以上配置され、前記サドル同士の前記間隔が、同一又は異なっていてもよい。
【0015】
この発明によれば、3つ以上配置されたサドル同士の間隔が、同一又は異なっている。このような構成とすることで、主管に対してサドルを取り付ける際の自由度を向上することができる。つまり、より自由度をもって設計することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、枝管の位置を自在に決定することができ、かつ、十分な耐圧性能を有する継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る継手の斜視図である。
図2】継手の備えるサドルの正面図である。
図3】主管及びサドルの表面を加熱する工程の模式図である。
図4】加熱した主管とサドルとを圧着する工程を示す模式図である。
図5】主管とサドルとの接続部において、主管の表面を穿孔する工程を示す模式図である。
図6図2に示すサドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(継手の構造及び用途)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る継手100を説明する。
図1に示すように、継手100は、主管10と、サドル20と、を備える。
主管10は、円筒状の部材である。主管10は、サドル20よりも大径である。具体的には、サドル20の備える枝管接続部21より大径である。主管10の外周面には、サドル20が配置される。以下、サドル20が取り付けられる前の状態の主管10の外周面における、特にサドル20が接触する部位を、主管接触面10aと呼称する。
【0019】
サドル20は、主管10の外周面に配置される。サドル20は、主管10に枝管を接続するために用いられる。サドル20は、主管10の外周面において1つ又は間隔をあけて複数設けられる。サドル20が複数設けられる場合、主管10の外周面の周方向又は軸方向に間隔をあけて複数設けられる。また、サドルが間隔をあけて3つ以上配置される場合は、サドル20同士の間隔は同一であってもよいし、異なっていてもよい。図2に示すように、サドル20は、枝管接続部21と、サドル本体22と、を備える。
【0020】
枝管接続部21は、枝管を接続する部位である。つまり、継手100に枝管を接続する際は、枝管接続部21に枝管を接続する。枝管接続部21は、円筒状の部材である。枝管接続部21に枝管を接続する際は、枝管接続部21の外側に枝管を被せるように接続する。つまり、枝管の内部に枝管接続部21を挿入するようにして接続する。枝管接続部21は、主管10よりも小径である。本実施形態において、枝管の口径(内径)、すなわち枝管接続部21の外径は、10mm以上かつ115mm以下である。以下、図6に示すように、枝管接続部21の外径を枝管口径C(枝管の口径)と呼称する。
【0021】
サドル本体22は、枝管接続部21の一方の端部に配置される。サドル本体22の枝管接続部21に面しない側の端面は、主管10の外周面に接するように配置される。つまり、サドル本体22が主管10の外周面に配置されることで、サドル20が主管10の外周面に配置される。主管10に対してサドル20を上述のように取り付けることで、主管10に対するサドル20の位置、すなわち主管10に対する枝管の接続位置を任意に決めることを可能とし、実用性の向上に寄与する。以下、主管10に取り付けられる前の状態のサドル本体22における、特に主管10に接する部位を、サドル接触面22aと呼称する。
【0022】
サドル接触面22aは、主管接触面10aに沿って接するように円弧状である。前記円弧状の径は、サドル20を取り付ける主管10の外径に合わせて適宜決定される。前記円弧状は、切削加工による成形が好適に用いられる。これにより、サドル本体22の形状を任意に設定し、耐圧性能や、設計の自由度及び実用性の向上に寄与する。
【0023】
上述の各構成を備える継手100には、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンが好適に用いられる。継手100は、例えば、建物に配設される排水システムにおいて、複数の排水管を流下する排水を集約するために用いられる。具体的には、主管10にサドル20を介して枝管を接続することで、枝管の内部を流れる排水を主管10に合流させる。
【0024】
主管10が建物の上下方向と平行に配置されたとき、主管10に接続された枝管は水平方向に向く。このとき、建物の上方から主管10に流下した排水と、建物の水平方向から枝管に流下した排水とを、主管10の内部において合流させる。このようにして排水を集約する。あるいはこれに限らず、主管10を水平方向に配置して、枝管を上下方向に沿って配置するなどしてもよいし、その他任意の姿勢で配置してよい。
【0025】
(継手100の製造方法)
本実施形態において、主管10とサドル本体22とは、熱融着により固定される。以下、図3図4図5を用いて継手100の製造方法を説明する。
まず、図3に示すように、ヒータHを用いて主管10及びサドル本体22を加熱する。具体的には、ヒータHの備える主管加熱部h1を主管接触面10aに接しさせることで、主管接触面10aを加熱する。ヒータHの備えるサドル加熱部h2をサドル接触面22aに接しさせることで、サドル接触面22aを加熱する。これにより、主管接触面10a及びサドル接触面22aを溶融させる。その後、主管10とサドル本体22との間からヒータHを取り除く。
【0026】
次に、図4に示すように、溶融した主管接触面10aとサドル接触面22aとを圧着する。具体的には、主管10とサドル本体22とを互いに押し付けるようにして保持する。この状態で、溶融した部位を室温に放置して冷却する。主管接触面10aとサドル接触面22aとの温度が十分に下がると、主管接触面10aとサドル接触面22aとが一体化される。これにより、主管10とサドル20とが融着される。この融着方法により、主管10の任意の位置にサドル20を一体化させることができるため、自由度が高まる。
【0027】
主管10とサドル20とが融着した後、図5に示すように、ドリルDを枝管接続部21から主管10に向けて進行させ、主管10の表面を穿孔する。これにより、主管10とサドル20との接続部を開通して、排水等が通行できるようにする。
上記の工程により、継手100を製造する。
【0028】
(サドル本体22の各部位の寸法と継手100の耐圧性能との関係について)
次に、サドル本体22の各部位の寸法と耐圧性能との関係について表1を用いて説明する。なお、以下において、サドル本体22の各部位について、次のように呼称する。すなわち、図6に示すように、サドル20が主管10に取り付けられる前の状態において、サドル接触面22aにおける枝管接続部21に最も近い部位から、枝管接続部21のサドル接触面22aに面する側の端面までの寸法をサドル高さS1(サドルの高さ)と呼称する。サドル本体22の外径をサドル外径S2(サドルの外径)と呼称する。サドル本体22の内径をサドル内径S3と呼称する。サドル外径S2からサドル内径S3を引いた値を2で割ったもの、すなわちサドル本体22の肉厚を、サドル肉厚S4(サドルの肉厚)と呼称する。枝管接続部21の外径、すなわち枝管口径Cから枝管接続部21の内径を引いた値を2で割ったもの、すなわち枝管接続部21の肉厚を、管肉厚S5と呼称する。
【0029】
【表1】
【0030】
表1は、枝管口径Cごとにサドル高さS1、サドル外径S2、サドル内径S3、サドル肉厚S4、管肉厚S5の条件を分け、それらに応じた発生応力最大部―サドル付け根部距離、破壊水圧をまとめたものである。ここで、サドル付け根とは主管10とサドル20との接続部、すなわち主管接触面10aとサドル接触面22aとの接触部をいう。破壊水圧とは、継手100の内部を水で満たした状態から水圧を上げた時、継手100が破壊する水圧をいう。
【0031】
これに加えて、主管10にサドル20を融着可能であるか(継手融着可否)、及び継手100として使用可能であるか(判定)を良、可又は不可で記載した。表1内において、比較例と記載されたものは継手100として使用するものではない。実施例と記載されたものは、実際に継手100に使用される寸法条件である。
【0032】
本実施形態において、枝管口径Cは10mm以上かつ115mm以下である。表1に示すように、No.1~6における枝管口径Cは13mm、No.7~12における枝管口径Cは60mm、No.13~17における枝管口径Cは114mm、No.18における枝管口径Cは120mmである。なお、上述の枝管口径Cごとのサドル20において、全長、すなわち、サドル高さS1と枝管接続部21の長さとの合計は統一して行った。
【0033】
破壊水圧の判定の条件は下記の通りである。
枝管口径Cが13mmの場合、破壊水圧は3.0MPa以下で不可、3.1MPa以上かつ3.6MPa以下の場合に可、3.7MPa以上で良とした。
枝管口径Cが60mmの場合、破壊水圧は3.0MPa以下で不可、3.1MPa以上かつ3.3MPa以下の場合に可、3.4MPa以上で良とした。
枝管口径Cが114mmの場合、破壊水圧は3.0MPa以下で不可、3.1MPa以上かつ3.3MPa以下の場合に可、3.4MPa以上で良とした。
枝管口径Cが120mmの場合、破壊水圧は3.0MPa以下で不可、3.1MPa以上かつ3.3MPa以下の場合に可、3.4MPa以上で良とした。
【0034】
本実施形態において、サドル高さS1は10mm以上かつ80mm以下である。サドル外径S2は、枝管接続部21の外径よりも大きい。なお、サドル外径S2は、サドル高さS1の0.8倍以上かつ8倍以下である。つまり、サドル外径S2をサドル高さS1で割った値が、0.8以上かつ8以下である。図6に示すように、サドル内径S3は、枝管接続部21の内径と等しい。つまり、管肉厚S5は、枝管口径Cからサドル内径S3を引いた値を2で割ったものである。サドル肉厚S4は、10mm以上かつ35mm以下である。
【0035】
表1に記載した各条件において、サドル本体22の各寸法が上述の範囲内にあるものについては、いずれも破壊水圧の判定が良又は可となり、継手100として使用可能であることがわかる。
表1において、No.1、6、7、11、12、13、17について判定が不可となっている。No.1、7、12、13については、破壊水圧が低く、応力集中部で破壊するため、判定が不可となった。No.6、11、17については、サドル直管部(枝管接続部21)長さがソケット挿入代よりも小さい為ソケット挿入不可であり、測定不能であった。このため、継手100融着可否及び判定が不可となった。
【0036】
ここで、ソケットとは、水圧負荷を行う際に枝管接続部21に接続する管状の部材である。上述のように、各条件においてサドル20の全長は統一している。つまり、サドル高さS1が大きくなると枝管接続部21の長さが短くなり、ソケットが接続することができない。つまり、実使用においても枝管を接続することができない。よって、継手100として使用不可となった。
以上から、本実施形態におけるサドル本体22の各寸法によれば、継手100として十分な性能を有することが確認できた。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る継手100によれば、主管10に枝管を接続するためのサドル20を備え、サドル20は、主管10の外周面に接するように配置されるサドル本体22を備える。これにより、主管10に設けられた接続部に枝管を挿入する構造と比較して、主管10に対して任意の位置に枝管を設けることができる。よって、実用性を向上することができる。
また、サドル20を有さずに枝管接続部21が直接主管10に接続される場合と比較して、主管10とサドル20との接触面を十分に確保することができる。これにより、主管10とサドル20との接続部において応力集中を生じにくくすることができる。あるいは、応力集中が生じた場合の影響を少なくすることができる。
【0038】
また、サドル20の高さ(サドル高さS1)は10mm以上かつ80mm以下であり、サドル20の外径は、サドル20の高さの0.8倍以上かつ8倍以下である。これにより、十分な耐圧性能を確保することができる。すなわち、サドル20の高さが10mm未満である場合、主管10とサドル20との接続部において応力集中が生じた場合に、サドル20が十分な強度を有さず破壊するおそれがある。サドル20の高さが80mm超である場合、枝管接続部21が十分な長さを有さず、サドル20の枝管接続部21に対して枝管が接続できなくなるおそれがある。サドル20の外径が、サドル20の高さの0.8倍未満である場合、サドル20の外径に対してサドル20の高さが高すぎることから、実用性を有さないおそれがある。サドル20の外径が、サドル20の高さの8倍超である場合、サドル20の外径に対してサドル20が十分な高さを有さないため、主管10とサドル20との接続部において応力集中が生じた場合に、サドル20が十分な強度を有さず破壊するおそれがある。サドル20の寸法を上述の範囲とすることで、本発明に係る作用効果を十分に発揮することができる。
【0039】
また、サドル20の肉厚が10mm以上かつ35mm以下である。つまり、主管10に対して熱融着される面の厚さが、10mm以上かつ35mm以下である。これにより、融着部に十分な強度を持たせることができる。すなわち、サドル20の肉厚が10mm未満である場合、サドル20が熱融着される面に十分な肉厚を有さず、融着部に十分な強度が確保されないおそれがある。サドル20の肉厚が35mm超である場合、サドル20の肉厚が想定される応力に対して必要以上の肉厚となり、サドル20が十分な耐圧性能を有さないおそれがある。具体的には、サドル20の肉厚が35mm超であると、熱融着の際にサドル20を主管10に押し付けた時の荷重が必要以上に分散する。これにより、サドル20と主管10との結合が弱くなり、耐圧性能が低下する。サドル20の肉厚を上述の範囲とすることで、本発明に係る作用効果を十分に発揮することができる。
【0040】
また、枝管の口径が10mm以上かつ115mm以下である。前記口径の枝管に対して上述の寸法を備えるサドル20を適用することで、十分な強度及び耐圧性能を有する継手100とすることができる。すなわち、枝管の口径が10mm未満あるいは115mm超である場合、上述の寸法に係るサドル20による作用効果を十分に発揮できないおそれがある。具体的には、枝管の口径が10mm未満の場合は、熱融着の際に圧力が1点に集中する。このため、枝管が主管10を貫通するため生産できない。枝管の口径が115mm超だと、熱融着の際の圧力が必要以上に分散する。これにより、サドル20と主管10が十分に融着せず、耐圧性能が担保できない。枝管の口径を上述の範囲とすることで、本発明に係る作用効果を十分に発揮することができる。
【0041】
なお、先行文献においては、当該発明を適用可能な配管のサイズについて記載されておらず、どのサイズの配管に適用できるかが不明確であった。これに対し本発明では、上述のように適用可能の枝管の口径を明確にすることで、より本発明に係る継手100を排水システムに適用する際の実用性を向上した。
【0042】
また、3つ以上配置されたサドル同士の間隔が、同一又は異なっている。このような構成とすることで、主管に対してサドルを取り付ける際の自由度を向上することができる。つまり、より自由度をもって設計することができる。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、主管10又はサドル20において、縮径部又は拡径部を設けて、継手100内を流れる排水の流速を調整してもよい。
また、主管10又はサドル20の内部に排水の流れを整える整流板を設けてもよい。
【0044】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 主管
20 サドル
21 枝管接続部
22 サドル本体
100 継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6