(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071387
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ホーリーバジルの部位を固液分離してホーリーバジル水、油、粉を得る製造方法
(51)【国際特許分類】
C11B 7/00 20060101AFI20230516BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230516BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20230516BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230516BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230516BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230516BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230516BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20230516BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230516BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230516BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230516BHJP
A61K 127/00 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
C11B7/00 ZNA
A61P17/00
A61P27/02
A61K36/53
A61P27/06
A61P1/00
A61Q19/10
A61Q19/00
A61Q13/00 101
A61K8/9789
A61K8/92
A23L33/105
A61K127:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184128
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】504017256
【氏名又は名称】株式会社F・E・C
(71)【出願人】
【識別番号】521495909
【氏名又は名称】合同会社結舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】弁理士法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 康文
(72)【発明者】
【氏名】杉 茂樹
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C088
4H059
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE03
4B018LE05
4B018LE06
4B018MD66
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC06
4C083CC23
4C083CC25
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE42
4C083FF01
4C083KK02
4C088AB38
4C088AC05
4C088BA07
4C088CA15
4C088MA17
4C088MA34
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA20
4C088ZA33
4C088ZA66
4C088ZA89
4H059BC10
4H059BC14
4H059BC23
4H059CA19
4H059CA72
4H059CA73
4H059DA09
4H059EA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】洗浄水、点眼薬、飲食品、アロマオイル・芳香油・精油、化粧液、入浴剤、飲料の原料、茶外茶等に好適に使用できる完全天然由来品の製造方法、該製造方法で製造される組成を有する水溶液・油溶液又は固体粉を提供する。
【解決手段】ホーリーバジルの部位を固液分離し、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又はホーリーバジル粉Cを得る製造方法で、以下の工程(1)~(4)の全てを有する低温真空固液分離法を用いる製造方法。(1)ホーリーバジルの部位を、固液分離装置に具備された容器100内に投入する工程。(2)熱を加えつつ減圧し、該部位を45℃以下に維持しつつ、減圧器300で該容器内を減圧にする工程。(3)該容器内から留出してきた気体を冷却して、ホーリーバジル水及びホーリーバジル油からなる液体Bを得る工程。(4)上記工程を行った後に、該容器内に残ったホーリーバジル粉Cを回収する工程。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーリーバジルの部位を固液分離して、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得る製造方法であって、
以下の工程(1)ないし工程(4)の全てを有する低温真空固液分離法を用いることを特徴とする製造方法。
(1)固液分離の対象であるホーリーバジルの部位を、固液分離装置に具備された容器内に投入する工程
(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該ホーリーバジルの部位を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該容器内を減圧にする工程
(3)該容器内から留出してきた気体を冷却して、ホーリーバジル水及びホーリーバジル油からなる液体を得る工程
(4)工程(1)ないし工程(3)を行った後に、該容器内に残ったホーリーバジル粉を回収する工程
【請求項2】
更に、以下の工程(5)を行う請求項1の製造方法。
(5)工程(3)で得られた液体を分液することによって、ホーリーバジル水及び/又はホーリーバジル油を得る工程
【請求項3】
実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、前記「ホーリーバジルの部位」のみを固液分離してホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得る請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
実質的に添加剤を添加せず、実質的に希釈もしないで製造する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程(2)を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行う請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、前記容器内のホーリーバジルの部位を、該凸型固定刃と該回転刃で粗破砕するようになっている粗破砕撹拌機で、粗破砕しながら撹拌しつつ固液分離する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ホーリーバジルの部位が、ホーリーバジルの葉、茎、花、及び/又は、種子である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の製造方法で製造されたものであることを特徴とするホーリーバジル水。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の製造方法で製造されたものであることを特徴とするホーリーバジル油。
【請求項11】
請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の製造方法で製造されたものであることを特徴とするホーリーバジル粉。
【請求項12】
請求項9に記載のホーリーバジル水を含有してなることを特徴とする、洗浄水、化粧水、点眼薬、又は、飲食品。
【請求項13】
請求項10に記載のホーリーバジル油を含有してなることを特徴とする、芳香油、アロマオイル、化粧液、入浴剤、又は、飲食品。
【請求項14】
請求項11に記載のホーリーバジル粉を含有してなることを特徴とする、茶外茶原料、入浴剤、又は、飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホーリーバジルの部位を、特定の低温真空固液分離法を用いて固液分離して、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得る製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホーリーバジル(Holy basil)は、一般的バジルであるスイートバジルと同じシソ科メボウキ属に分類される植物であり、ネパール、インド、オーストラリアを原産国とし、別名をトゥルシー(tulsi)とも言われる草丈約30~60cmの植物である。冬でも気温が下がらない地方(例えば原産国)では多年草である。
【0003】
ホーリーバジルは、スイートバジルより強い香りとスパイシーな風味があると言われ、特に葉に強い香りがあるため、食品・料理やアロマテラピーのほか、香水や化粧品の香り付けにも利用されている。
また、美容、アンチエイジング、ストレス抑制、抗菌、免疫機能向上、新陳代謝向上、種々の疾患予防・治療に効果があると言われている。
【0004】
特許文献1には、ショウガの超臨界二酸化炭素抽出物等と共に、ホーリーバジルの水アルコール抽出物を含む組成物が、動物への経口投与によって炎症を軽減させることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、ホーリーバジルにヒアルロン酸合成促進作用があるとし、魚由来のコラーゲンにホーリーバジルのエキスを含有させて、皮膚の老化を抑制する化粧料とすることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、ホーリーバジルからの抽出液を有効成分として含有する線維芽細胞増殖促進用皮膚外用剤が記載され、美容目的の化粧料として有用である旨が記載されている。
【0007】
特許文献4には、ローズマリー、ウコン等の超臨界抽出物に加え、ホーリーバジルの水アルコール抽出物を人に投与する、前立腺新生物を治療するための方法が記載されている。
【0008】
特許文献5には、フコイダン及びジメチルメトキシクロマノールに、ホーリーバジルから抽出されるエッセンシャルオイルを含有させる医薬組成物が記載されている。
【0009】
特許文献6には、CLSPポリペプチドを有効成分として含み、そこにホーリーバジル葉、フキタンポポ花、カノコソウ根等からの抽出物を含有させる皮膚の角化細胞の老化を防ぐ組成物が記載されている。
【0010】
しかしながら、上記のホーリーバジル由来物を得る方法は、何れも、溶媒抽出、加熱抽出、水蒸気蒸留による抽出、超臨界抽出等であり、何れも、外からエタノール、水、液体二酸化炭素等の化学物質を加えて抽出したり、外部から熱を加えて蒸発させたり、加熱媒体で抽出するものであった。
【0011】
また、原料としての状態に気を配ったものではなく、乾燥品でもよく、必ずしも生の又は生きたホーリーバジルをそのまま使用するものに限定されてもいなかった。
なお、一般に「バジルオイル」と言われているものは、原料がホーリーバジルとは異なるスイートバジルであることに加え、外部から配合したニンニク、ナッツ類、塩・胡椒と共にオリーブオイルに漬けたものであり、本発明のホーリーバジル油とは全く異なるものである。
【0012】
ホーリーバジルに含有されている物質を、全く熱分解させることなく、たとえ極微量であってもその化学構造のままの形で保存し、かつ、蒸発等による逸失物もなく、外部から追加し最終的に残留する非天然物もなく、ホーリーバジルに含有される物質をそのままの組成を維持しながら、抽出ではなく、固液分離した技術はなかった。
そのため、ホーリーバジルの有する優れた効果を十分に発揮した製品は存在しておらず、その有効利用についても、従来技術では十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2002/080682号
【特許文献2】特開2003-192567号公報
【特許文献3】特開2008-184441号公報
【特許文献4】特開2012-131810号公報
【特許文献5】国際公開第2016/131824号
【特許文献6】特開2020-015668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、洗浄水、化粧水、点眼薬、飲食品(食品添加物、香辛料、調味料、健康食品等を含む)、アロマオイル・芳香油・精油(ディフューザー用、皮膚塗布用等を含む)、化粧液(水性若しくは油油性を含む)、入浴剤、茶外茶(茶葉の代替)、煎じて飲む茶外茶等の飲料の原料、医薬品等、種々の用途に好適に使用できる完全天然由来品の製造方法、並びに、該製造方法で製造される新規の組成を有する水溶液・油溶液又は固体(粉)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の条件の低温真空分離法を用いることによって特定の植物を固液分離すれば、全て天然由来の新規な優れた効果を奏する組成物が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、ホーリーバジルの部位を固液分離して、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得る製造方法であって、
以下の工程(1)ないし工程(4)の全てを有する低温真空固液分離法を用いることを特徴とする製造方法を提供するものである。
(1)固液分離の対象であるホーリーバジルの部位を、固液分離装置に具備された容器内に投入する工程
(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該ホーリーバジルの部位を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該容器内を減圧にする工程
(3)該容器内から留出してきた気体を冷却して、ホーリーバジル水及びホーリーバジル油からなる液体を得る工程
(4)工程(1)ないし工程(3)を行った後に、該容器内に残ったホーリーバジル粉を回収する工程
【0017】
また、本発明は、更に、以下の工程(5)を行う前記の製造方法を提供するものである。
(5)工程(3)で得られた液体を分液することによって、ホーリーバジル水及び/又はホーリーバジル油を得る工程
【0018】
また、本発明は、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、前記「ホーリーバジルの部位」のみを固液分離してホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得る前記の製造方法を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、実質的に添加剤を添加せず、実質的に希釈もしないで製造する前記の製造方法を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記の製造方法で製造されたものであることを特徴とするホーリーバジル水、ホーリーバジル油、ホーリーバジル粉を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記のホーリーバジル水を含有してなることを特徴とする、洗浄水、化粧水、点眼薬、又は、飲食品を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記のホーリーバジル油を含有してなることを特徴とする、芳香油、アロマオイル、化粧液、入浴剤、又は、飲食品を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、前記のホーリーバジル粉を含有してなることを特徴とする、茶外茶原料、入浴剤、又は、飲食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、従来存在しなかった(今までに知られていなかった)組成物であって、全て天然の植物由来であり、実質的に全く散逸物のない新規のホーリーバジル由来物を得ることができる。
【0025】
本発明の製造方法は、ホーリーバジルの部位を、45℃以下に維持しつつ減圧して、水や水性成分、及び、油や油性成分を留去するので、留出してきた気体を冷却して得られる液体も最後に容器内に残存している粉も、熱による変質が起こっていない。言い換えると、本発明の製造方法を使用すれば、ホーリーバジルに含有されている酵素、香気成分、その他の有効成分が、熱(化学)反応によって分解することがなく、従って、得られるものには、熱によって生じる生成物・不純物が全く含有されていない。
【0026】
具体的には、例えば、本発明は低温を維持しつつ固液分離するので、得られたものは、容器内の酸素等による酸化が起こっていない。また、本発明では、抽出溶媒、添加物、希釈物等の混入(残留)があり得ないので、全て天然の植物由来物である。
本発明の製造方法によって得られるもの(水、油、粉)は、全てホーリーバジルに含有されているものであり、また、ホーリーバジルに含有されている物質からの散逸物が実質的に全くない。
【0027】
従って、本発明の製造方法によって得られるもの(水、油、粉)は、新規な組成物であり、その新規性のために、その種々の用途ごとに、従来知られていなかった優れた効果を発揮する。
本発明の製造方法で得られたもの(水、油、粉)が新規の組成物であることは、実施例に示す通り、これが新規な効果を奏することから明らかである。
【0028】
ホーリーバジルの葉等のホーリーバジル自体は、前記した通り、汎用のスイートバジルより強い香りとスパイシーな風味があり、美容・美肌;アンチエイジング;ストレス抑制;抗菌作用;免疫機能や新陳代謝の向上;コルチゾール生成抑制等のホルモン調整;生活習慣病・インフルエンザ・風邪の予防;頭痛、呼吸器疾患、肝機能低下、動脈硬化、胃炎、むくみ、冷え性等の種々の症状に対する予防・治療効果;等があると言われている。
【0029】
本発明によれば、既に知られている上記ホーリーバジルが有する優れた効果を、従来の抽出方法によって得られたものより、更に好適に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に使用する分離装置全体の一態様を示す概略図である。
【
図2】本発明に使用する分離装置に具備される容器、冷却器、回収容器等の一形態を示す概略断面図である。
【
図3】本発明に使用する分離装置に具備される容器が有する粗破砕撹拌機の一形態を示す概略斜視図である。
【
図4】本発明に使用する装置に具備される好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタと水タンクと循環ポンプ等の一形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0032】
本発明は、ホーリーバジルの部位を、特定の方法で固液分離して、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得る製造方法である。本発明は、ホーリーバジルの部位の固液分離方法であるとも言える。
【0033】
上記「及び」とは、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、ホーリーバジル粉を、それらの混合ではなく、それぞれを別々に得ると言う意味である。
また、上記「又は」とは、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、ホーリーバジル粉の何れかが、極少量であったり、何れかを獲得しなかったり、何れかを廃棄したりする態様をも含むことを意味する。
【0034】
ホーリーバジル(holy basil)は、学名をOcimum tenuiflorum(Ocimum sanctum)と言い、トゥルシー(tulsi)とも、神目箒(カミメボウキ)とも言われ、シソ科・メボウキ属に属する植物である。
【0035】
本発明における「ホーリーバジル」としては、例えば、クリシュナトゥルシー(Ocimum tenuiflorum Krishuna)、ラーマトゥルシー(Ocimum tenuiflorum Rama)、カプーアトゥルシー(Ocimum tenuiflorum Kapoor)、オオヤトゥルシー(Ocimum tenuiflorum oya)、ヴァナトゥルシー(Ocimum gratissimum)、ラクシュミトゥルシー(lakshmi tulsi)等が挙げられる。
【0036】
本発明における固液分離の対象となるホーリーバジルの部位としては、ホーリーバジルの葉、茎、花、種子等が挙げられる。好ましくは、葉、茎又は花である。本発明は、ホーリーバジルの部位が、ホーリーバジルの葉、茎、花、及び/又は、種子である前記の製造方法であることが好ましい。ホーリーバジルの花は、紫がかった白色で、主軸が長く伸び、その周囲に輪生の花が密に付いているものである。
これらの部位は、固液分離の対象とする段階で、すなわち原料の段階で、分けてもよいし、一緒に、すなわち部位ごとに分けずに、固液分離してもよい。
【0037】
固液分離に当たっては、希釈媒体、配合物(添加物)等は、外部から加えないことが好ましい。また、固液分離の対象であるホーリーバジルの部位には、農薬、殺虫剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤等の非天然物が付着していないことが好ましい。
また、新鮮なものや生のものを使用する必要があり、乾燥等を施したものは不適である。本発明に当たり、抽出に又は煎じ対象として通常は常に乾燥品を使用する生薬や漢方薬に関する技術は、固液分離又は抽出の対象も、得られるものの組成も、全く異なるので参考にならない。
【0038】
本発明の、ホーリーバジルの部位を特定の方法で固液分離する製造方法は、以下の工程(1)ないし工程(4)の全てを有する低温真空固液分離法を用いることを特徴とする。
(1)固液分離の対象であるホーリーバジルの部位を、固液分離装置に具備された容器内に投入する工程
(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該ホーリーバジルの部位を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該容器内を減圧にする工程
(3)該容器内から留出してきた気体を冷却して、ホーリーバジル水及びホーリーバジル油からなる液体を得る工程
(4)工程(1)ないし工程(3)を行った後に、該容器内に残ったホーリーバジル粉を回収する工程
【0039】
<低温真空分離法>
本発明で「低温真空分離法」とは、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、好ましくは撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧して固液分離する方法である。
本発明の製造方法は、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、前記「ホーリーバジルの部位」のみを固液分離してホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得ることが好ましい。
【0040】
ここで、「抽出媒体」とは、例えば、水;アルコール類等の有機溶媒;二酸化炭素等の超臨界流体・亜臨界流体;等が挙げられる。上記「水蒸気」とは、水蒸気蒸留法で使用する100℃の水蒸気のことを言う。
ここで「実質的に使用しない」とは、分離対象の5質量%以下しか使用しないことを言い、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下しか使用しないことであり、特に好ましくは全く使用しないことである。
【0041】
本発明の製造方法は、実質的に添加剤を添加せず、実質的に希釈もしないで製造することが好ましい。ここで「実質的に添加や希釈をしない」とは、添加目的や希釈目的を持って該目的を達成するだけの十分な量を使用しないことを言う。
【0042】
本発明の製造方法は、上記「低温真空分離法」の中でも、更に固液分離条件が限定されているものである。すなわち、少なくとも、該固液分離条件は、以下に記載する工程(1)ないし工程(4)の全てを有する。本発明の製造方法における固液分離条件を、工程ごとに分けて以下に記載する。
【0043】
<工程(1)>
工程(1)は、固液分離の対象であるホーリーバジルの部位を、固液分離装置に具備された容器内に投入する工程である。
【0044】
本発明に用いる固液分離装置の概略図を
図1に示す。また、該固液分離装置が有する容器の一例の概略図を
図2及び
図3に示す。
以下、「固液分離の対象であるホーリーバジルの部位」を、「固液分離の対象」又は単に「分離対象」と記載・略記することがある。また、「固液分離装置」を、単に「分離装置」と略記することがある。
【0045】
本発明の製造方法に使用される固液分離装置は、一例を
図1に示したように、前記した低温真空分離法の実施が可能で、好ましくは実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、好ましくは粗破砕撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、分離対象Aを45℃以下に維持するように減圧器300で容器内を減圧して、ホーリーバジル水及びホーリーバジル油からなる液体Bが得られるようになっている。
本発明の製造方法においては、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、「固液分離の対象A」のみを固液分離して、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉を得ることが好ましい。
【0046】
<<分離装置と好ましい分離方法>>
本発明における固液分離方法に使用される好ましい分離装置は、具体的には、例えば、
固液分離の対象A及び容器100内を加熱する加熱ユニット120、及び、分離対象Aから発生する水蒸気等の気体を取り出す気体取出口130等を有する容器100;
該気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200;
該容器100内を減圧する減圧器300;並びに;
該冷却器200で冷却されて液化したホーリーバジル水及び/又はホーリーバジル油(2層に分離されている状態も、均一に相溶している状態も含む)を回収獲得する回収容器400;を具備している。
【0047】
容器100内には、限定はされないが、分離対象Aを粗破砕しつつ撹拌する粗破砕撹拌機110が具備されていることが特に好ましい(例えば
図3参照)。
分離対象Aを粗破砕撹拌機110で粗破砕しながら減圧して固液分離することによって、分離対象Aから、ホーリーバジルの細胞に含まれているままのホーリーバジル水やホーリーバジル油を得ることができる。また、変質していないホーリーバジル粉を得ることができる。
【0048】
分離対象Aは、投入口103から容器100に投入される。投入される分離対象Aは、予め粗く裁断しておいてもよい。
分離対象A以外の物質を上記容器内に実質的に投入しないで固液分離することが好ましい。本発明では、外部から「分離対象以外のもの」を実質的に投入する必要がなく、投入しないことによって得られるものは、生のホーリーバジルの部位に含有されている成分のみからなるようにできる。言い換えると、本発明によって得られるホーリーバジル水、油、粉は、何れも、分離対象Aに含有されていた成分のみにできる。
【0049】
図2及び
図3に、本発明における分離装置の容器100の一例の概略図を示す。
容器100は、分離対象Aを収容し、好ましくは粗破砕撹拌機110で粗破砕しながら撹拌し(
図3)、加熱ユニット120によって外部から熱を加えつつ減圧して固液分離する容器である。容器100には、粗破砕撹拌機110が具備されておらず(
図2)、固液分離中は粗破砕も撹拌もせずに固液分離してもよい。
【0050】
図1~3の容器100は、粗破砕撹拌機110を収容した下部半円筒部101と、その上に形成された上部角形部102とからなる。少なくとも下部半円筒部101の周囲には、容器100の内部に熱を加える蒸気室121がある。
下部半円筒部101の最下部の中央には、固液分離後のホーリーバジル粉を取り出す粉取出口140が設けられていることが好ましい。
【0051】
上記上部角形部102の上部には、投入口が設けられていると共に、その投入口を塞ぐ投入口蓋が設けられていることが好ましい。
上記上部角形部102の上部には、吸引される蒸気の気体取出口130が設けられ、この気体取出口130には、冷却器200につながる気体配管131が接続されている。
【0052】
本発明の製造方法においては、好ましくは、分離対象Aを、粗破砕撹拌機110に具備された撹拌羽根で粗破砕しながら撹拌し、該粗破砕・撹拌下に固液分離を行う。
上記粗破砕・撹拌は、「複数の回転刃113a、113b、複数の回転刃溝114a、114bを有する回転刃体112a、112b」及び「分離装置の内面(好ましくは上記下部半円筒部の下内面)に設けられた複数の凸型固定刃111」を備えた分離装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい(
図3)。
【0053】
例えば、
図3は、前記粗破砕撹拌機110の構成の一例を示す斜視図であり、粗破砕撹拌機110は、容器100の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器100の端壁に回転可能に支持される左右の端板と、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字115a、115bの形をなす回転刃体112a、112bとによって構成することにより、中心軸を有しない構造(中心軸なしで回転可能の構造)に構成されている。
【0054】
回転刃体112a、112bをほぼ「く」の字形にすることによって、分離対象Aを撹拌羽根で粗破砕しながら撹拌し易くすると共に、ホーリーバジル粉Cを容器100の内壁から良好に掻き取り、粉取出口140に向けて掻き寄せることができる。
本発明の固液分離方法を用いた製造方法は、該回転刃体112a、112bを同方向に回転させることで、上記分離対象Aを粗破砕しつつ撹拌し、固液分離完了後には、ホーリーバジル粉Cを上記容器100の内壁から掻き取り、上記粉取出口140に向けて掻き寄せることが好ましい。ただし、回転刃体は1個でもよい。また、固液分離完了後には、ホーリーバジル粉Cを、容器100の上部から、すくい出してもよい。
【0055】
本発明の固液分離方法を用いた製造方法は、上記容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃111を有すると共に、上記粗破砕撹拌機110は、1個に複数の回転刃113a、113b、回転刃溝114a、114bを有する回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを回転させることによって、容器100内の分離対象Aを、「該凸型固定刃111」と「該回転刃113a、113b、回転刃溝114a、114b」とで粗破砕しつつ固液分離することも好ましい(
図3)。
【0056】
容器100には、更に、前記容器100内の真空度を計測する真空計と温度計が設けられていることが好ましい。これらは、固液分離工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、固液分離時の分離対象Aの温度を間接的に測定するために設けられたものであり、また、固液分離の開始と終了を判定するために設けられている。
【0057】
<工程(2)>
工程(2)は、外部から熱を加えつつ減圧し、該固液分離の対象A、すなわちホーリーバジルの部位を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該容器内を減圧にする工程である。
【0058】
<<温度>>
固液分離中の分離対象Aの温度は、上記加熱ユニット120によって、該分離対象Aが有する酵素、微量成分等を変質又は失活させないように、45℃以下に維持する。特に、固液分離中は、水の蒸発熱で固液対象Aを冷却し、該加熱ユニット120によって加熱し、温度範囲を10℃以上44℃以下に維持することが好ましい。
固液分離中の該固液対象Aの温度は、15℃以上42℃以下がより好ましく、20℃以上40℃以下が更に好ましく、25℃以上38℃以下が特に好ましく、30℃以上36℃以下が最も好ましい。
【0059】
分離対象Aの加熱は、蒸気供給装置122から「容器の外壁に存在する蒸気室121」に送り込まれる加熱水蒸気によって行われ、分離対象Aの冷却は、ホーリーバジルの部位の細胞内外の水の蒸発による蒸発熱によって行われる。
【0060】
該温度が低過ぎると、商業的規模や工業的規模を考えた場合、蒸発分離に時間がかかり過ぎる場合等がある。
一方、該温度が高過ぎると、該分離対象Aが有する物質を変質・分解・失活・酸化させてしまう場合等がある。
上記温度範囲であると、分離対象Aが有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質、水等を、変化も変質・分解もさせずに、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、及び/又は、ホーリーバジル粉として得ることができる。
【0061】
固液分離中の分離対象Aの温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要であり、たとえ投入する分離対象Aであるホーリーバジルの部位が、個体として死んでいたとしても、細胞等が生命を維持できる又は細胞等が死なない上記温度範囲(特に温度上限)が望ましい。
【0062】
容器100に設けられた温度計は、粗破砕撹拌機110を含む容器100の熱伝導等を利用して、固液分離中の分離対象Aの温度を十分正確に測定できるようになっている。
【0063】
<<圧力>>
減圧器300の気体排出能力は、特に限定はないが、「内容積が1m3の容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m3/時間以上」とすることが、分離効率、水の蒸発速度、蒸発による冷却等が好適範囲になるので好ましい。
該減圧器300としては、蒸発熱による冷却する、分離対象Aの温度を好適範囲に維持する、上記の気体排出能力を有する、等の点から、水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)が好ましい。
【0064】
本発明における容器100には、分離対象Aから発生する気体を取り出す気体取出口130が設置されている。気体取出口130の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口130の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
【0065】
本発明における分離装置には、例えば
図1と
図2に示したように、容器100の工程的後段に、気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200が具備されている。該冷却器200としては、公知のものが用いられる。
冷却器200の後ろには、容器100内を減圧する減圧器300が具備されている。
該減圧器300としては、水の蒸発熱による吸熱で、分離対象Aの温度が45℃を超えないように、又は、所定の好ましい温度範囲になるように、限定はされないが、内容積が1m
3の容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m
3/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300を用いることが好ましい。
【0066】
図4に一例を示したように、水タンク303に水(好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を溜め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧することが好ましい。流動液体は静止液体より圧力が低い性質(ベルヌーイの定理)を用いて減圧して気体を排出する。
【0067】
本発明においては、上記固液分離を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことが好ましい。減圧器300による減圧度は、固液分離中は、該容器内の圧力を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低くすることが好ましい。
減圧器300による減圧度は、固液分離中は、該容器内の圧力を1kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-100.3kPa]以上10kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-91.3kPa]以下に維持することがより好ましい。
更に好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、-100kPa)以上9kPa(1気圧に対して、-92.3kPa)以下であり、特に好ましくは2kPa(1気圧に対して、-99.3kPa)以上8.6kPa(1気圧に対して、-92.7kPa)以下であり、特に好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、-98kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、-93kPa)以下である。
【0068】
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、水の蒸発熱による分離対象Aの冷却が期待できずに、分離対象Aの温度が高くなり過ぎる場合、固液分離に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、ホーリーバジル水、油、粉に含まれる有効成分が、分解・変質・酸化等する場合がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、下記する「該圧力における水の沸点」と「分離対象の前記温度範囲」との関係で、そこまで低圧力にする必要がない場合があり、また、量産化を図る場合、十分な気体排出能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器300が存在しない又は極めて高価になる場合等がある。
【0069】
温度(℃) 水の蒸気圧(kPa)
10 1.2
20 2.3
30 4.2
40 7.4
50 12.3
【0070】
減圧器300による容器内圧力(減圧度)は、固液分離中は、「分離対象Aの温度」における水の蒸気圧の0.10倍以上1.0倍以下が好ましく、0.2倍以上0.99倍以下がより好ましく、0.4倍以上0.95倍以下が更に好ましく、0.6倍以上0.9倍以下が特に好ましい。
【0071】
上記減圧器300は、水を噴射することによって減圧を達成する水エジェクタ301であることが前記理由から好ましく、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い減圧度と共に高い気体排出能力を有するために特に好ましい。
すなわち、減圧度と気体排出能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に気体排出能力を上げ易い。
【0072】
上記気体排出能力と減圧度(真空度)の両立は、「水エジェクタ301」で好適に達成でき、特に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、好適に両立が可能である。
前記した高い気体排出能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い気体排出能力の数値は、(例えば好ましい態様を下記する)水エジェクタを有する減圧器の構造(特に、吸引孔、水位、消音器等);噴射する水の温度;噴射速度;噴射ノズル径;単位時間当たりの噴射量;噴射距離等を調整して得る(ことができる)。
【0073】
本発明における特に好ましい減圧器300の態様を
図4に示す。
図4に示した「横噴射型の水エジェクタ」は、入口側フランジ2の内部に位置する(入口側フランジ2の直後の内部に位置する)水入口片の下流側に設けられ、該水入口片から流入する水と吸引ガスとを混合する主管スロート6と、該主管スロート6の下流側端部に接続して設けられた(出口側フランジ9の手前の内部に位置する)出口片を有している。
更に要すれば、円筒形状であり、該出口片の下流側端部に設けられ、水と吸引ガスとの混合物を流す消音器12と、該消音器12に取付けられ、水が流出する際に該消音器12内に空気を取り入れて、該消音器12内の気圧の急変を防止する吸気管11とを備えている。
【0074】
また、上記した水エジェクタ301においては、水入口片と主管スロート6と出口片とを収容する外被管8を備え、該外被管8に、容器100からの気体を供給する吸引管3を取付け、該外被管8を消音器12に接続し、主管スロート6は、水入口片の終端部に連接して設けられ複数個のガス吸引孔4を有する円筒形パイプからなることが好ましい。
【0075】
図4には、水エジェクタ301を横方向に設置して水タンク303に接続する形態を示す。水入口片よりも直径の太い主管スロート6が水入口片に接続されている。該主管スロート6の形状は単純なパイプ形状である。
消音器12の内径は、水エジェクタ301の出口片の出口の内径より太いパイプ形状を有する。
【0076】
本発明における減圧器300の好ましい態様は、
図4に示すように、水エジェクタ301の極めて高い気体排出能力を図るために、消音器12を漬ける水を溜めた水タンク303を備え、水エジェクタ301で使用された水は、一旦、水タンク303に蓄えられる構造になっている。水タンク303の水は、冷却水で20℃以下に冷却されることが好ましい(
図1、
図4)。
【0077】
本発明における好ましい水エジェクタ301は、管同士の隙間から気体を吸込む従来の水エジェクタと比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。また、本発明の好ましい水エジェクタ301とそれに連結される消音器12は、
図4のように、水の循環路が水タンク303の水位17より低く、横向き水平に使用設置することが可能となり、該「水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301」は、前記したような高い気体排出能力を有するようになる。
【0078】
本発明の製造方法、すなわち固液分離方法は、45℃以下という比較的低温での水の蒸気圧を勘案して、該蒸気圧に対し必要以上に容器100内の圧力(減圧度)を低くすることに拘らず、その分を気体排出能力の向上に振り向けて、分離対象Aを「分離対象Aに含有される水」の蒸発熱で冷却することが好ましい。
また、そのように条件設定することで、商業的工業的規模の分離対象Aの量(処理量)でも、十分な圧力(減圧度)と十分な気体排出能力を有する減圧器300が存在し得る。本発明では、1バッチの質量が大きい分離対象Aでも対応できる減圧器として、気体排出能力が大きい上記した減圧器300を使用することが好ましい。
【0079】
<<時間>>
主たる固液分離(分離対象Aに含有される水の95質量%が留去され固液分離されるまで)に要する時間は、投入量にもより特に限定はされないが、30分以上24時間以下が好ましく、45分以上12時間以下がより好ましく、1時間以上6時間以下が特に好ましい。
【0080】
該時間が短過ぎる場合は、蒸発熱による冷却ができないで昇温する場合、そもそも本格生産規模で、45℃以下と言う比較的低温で、短時間で水を蒸発させるだけの減圧器がない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記した特殊な固液分離条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、固液分離装置を適用する意味が薄れる場合;等がある。
【0081】
<工程(3)>
工程(3)は、容器100の中から(容器内から)留出してきた気体を冷却して、ホーリーバジル水及びホーリーバジル油からなる液体を得る工程である。ホーリーバジル水とホーリーバジル油は、2層に分かれた状態で得てもよいし、互いに相溶している状態で得てもよい。
【0082】
本発明における固液分離装置には、例えば
図1、
図2に示したように、冷却器200で冷却されて液化した「ホーリーバジル水及びホーリーバジル油」からなる液体Bを回収・獲得する回収容器400が具備されている。回収容器400に回収された液体Bは、液体取出バルブ405を開くことによって取り出す。
該冷却器200は特に限定はなく、公知のものが使用される。
【0083】
回収容器400の上層に油相(すなわちホーリーバジル油)が得られ、下層に水相(すなわちホーリーバジル水)が得られたときは、後記する工程(5)で該油相と該水相を分液して、それぞれ獲得することが好ましい。
【0084】
<工程(4)>
工程(4)は、工程(1)ないし工程(3)を行った後に、該容器内に残ったホーリーバジル粉を回収する工程である。
該ホーリーバジル粉Cは、容器100の上からすくい出してもよいし、粉取出口140から取り出してもよいが、粉取出口140から取り出すことが好ましい。
【0085】
工程(4)で得られたホーリーバジル粉Cの質量は、使用した分離対象Aの質量全体に対して、通常は30質量%以下になる。20質量%以下になることが多く、10質量%以下になることもある。
取り出されたホーリーバジル粉Cは、前記又は後記する用途に、好適に使用(利用)することができる。
【0086】
<工程(5)>
工程(5)は、工程(3)で得られた液体を分液することによって、ホーリーバジル水及び/又はホーリーバジル油を得る工程である。
工程(3)で得られた液体は、ホーリーバジル水とホーリーバジル油が均一に相溶していて2層に分かれていないこともあり、そのときは該液体として使用可能であるが、2層に分離している場合は、工程(5)で水溶液と油溶液に分液することが好ましい。
【0087】
該分液は、別途、分液装置を用いて、常法に従って静置した後に分液してもよく、前記固液分離装置に具備された回収容器400の中で行ってもよい。通常は、2層の下層にホーリーバジル水がきて、上層にホーリーバジル油がくるので、それらをそれぞれ分液・分離する。
【0088】
[ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、ホーリーバジル粉、それらの用途]
本発明は、前記の製造方法を使用して製造されたものであることを特徴とする、ホーリーバジル水、ホーリーバジル油、ホーリーバジル粉でもある。
本発明のホーリーバジル水・油・粉を使用すれば、性能的に優れることに加え、全ての成分が天然由来であることから、安全に安心して使用が可能となる。
【0089】
本発明のホーリーバジル水・油・粉は、洗浄水、化粧水若しくは油(化粧液)、点眼薬、飲食品、芳香液若しくは油、アロマ水若しくはオイル、入浴剤、茶外茶原料等に好適に使用できる。
【0090】
本発明のホーリーバジル水・油・粉は、45℃以下で固液分離されて得られたものなので、従来のものとは、性能・効能も含有成分も異なる。
【0091】
<ホーリーバジル水を含有してなるもの>
本発明は、上記ホーリーバジル水を含有してなることを特徴とする、洗浄水、化粧水、点眼薬、又は、飲食品でもある。
該洗浄水の洗浄対象としては、顔、手、体等の人の部位;食器;調理器具;等が挙げられる。一般的な、床、壁等の内装;機械(工具);便器、家具、流し台等の汎用設備;等の洗浄はあり得るが、繊細さを必要としないため、本発明のホーリーバジル水の洗浄対象としては、コスト面から好適ではない。
【0092】
該化粧水を顔や手や足に付けると、後記する評価例に記載の効果がある。
また、該点眼薬を眼に差すと、後記する評価例に記載の効果がある。
【0093】
該飲食品には、食品添加物、香辛料、調味料、健康食品等が含まれる。
本発明のホーリーバジル水は、ホーリーバジルやスイートバジルの葉を湯で煮出して冷やした所謂バジルジュースとは、含有成分も香りも味も全く異なる。本発明のホーリーバジル水は、既に知られている優れたホーリーバジルの匂い・風味を更に良くしたような匂い・風味となる。ガパオ等のタイ料理に配合することも好適である。
本発明のホーリーバジル水を含有する健康食品は、ストレス軽減、老化防止(アンチエイジング)、抗菌作用や、後記する評価例に記載の効果がある。
【0094】
また、本発明のホーリーバジル水は、45℃以下で固液分離されて得られたものなので、それを含有する洗浄水、化粧水、点眼薬、飲食品等は、従来のものとは、含有成分が異なることは言うまでもない。
【0095】
<ホーリーバジル油を含有してなるもの>
本発明は、上記ホーリーバジル油を含有してなることを特徴とする、芳香油、アロマオイル、化粧液、入浴剤、又は、飲食品でもある。
該芳香油は「精油」でもある。該芳香油は、ディフューザー用、皮膚塗布用、香水用等、公知の所謂精油の用途等に好適に用いられる。
【0096】
本発明のホーリーバジル油を含有する、芳香油、アロマオイル、化粧液、入浴剤は、既に知られている優れたホーリーバジルの匂い・香りを更に良くしたような匂い・香りとなる。
また、本発明のホーリーバジル油は、45℃以下で固液分離されて得られたものなので、それを含有する芳香油、アロマオイル、化粧液、入浴剤等は、従来のものとは、含有成分が異なることは言うまでもない。
【0097】
該芳香油や該アロマオイルを嗅ぐと、後記する評価例に記載の効果がある。
また、該化粧液を顔や手に付けると、後記する評価例に記載の効果がある。
また、該入浴剤を風呂・バスタブに入れると、後記する評価例に記載の効果がある。
【0098】
該飲食品としては、前記したものが挙げられる。
また、本発明のホーリーバジル油は、ガパオ、バジル炒め等のタイ料理等に配合することも好適である。
【0099】
なお、従来の所謂「バジルオイル」は、粉砕したスイートバジルの葉、ナッツ類、ニンニクに、塩・胡椒等を加え、オリーブオイルに浸漬したものであり、主成分はオリーブオイルである。従って、本発明のホーリーバジル油と所謂バジルオイルとは、主成分も含有成分も香りも味も全く異なる。
【0100】
本発明のホーリーバジル油を含有する健康食品や一般食品は、服用又は食べると、ストレス軽減、老化防止(アンチエイジング)、抗菌作用や、後記する評価例に記載の効果がある。
【0101】
<ホーリーバジル粉を含有してなるもの>
本発明は、上記ホーリーバジル粉を含有してなることを特徴とする、茶外茶原料、入浴剤、又は、飲食品でもある。
該茶外茶原料とは、茶葉の代替として用いられる粉、「煎じて飲む茶外茶等の飲料」の原料(すなわち煎じ対象)のことである。
本発明は、上記ホーリーバジル粉を煎じてなることを特徴とする、茶外茶、ハーブティー等でもある。
【0102】
該飲食品としては、前記したものが含まれる。
特に、お吸い物の中に入れたり、ふりかけとして、御飯、麺類、ピザ等や、種々のおかず類等に振りかけて共に食べたりするのに好適である。
また、該入浴剤を風呂に入れると、後記する評価例に記載の効果がある。また、ポプリとしても好適である。
【0103】
本発明のホーリーバジル粉は、45℃以下で固液分離されて得られたものなので、それを含有するものは、従来の抽出残渣や抽出物とは、含有成分が異なることは言うまでもない。
例えば、従来の「水又は水/エタノール抽出」における「抽出残渣」では、水等の抽出溶媒に溶解する成分は全て除かれているが、本発明のホーリーバジル粉には、例えば、高沸点であるために蒸発しなかった水溶性成分等が含まれている。従って、単なる従来の「抽出残渣」ではない。言い換えると、本発明のホーリーバジル粉は「残渣」ではない。
そのため、本発明のホーリーバジル粉を、茶葉の代替として用いて水又は湯で抽出した場合(湯煎した場合)や、入浴剤として用いた場合、高沸点の水溶性成分が有効成分として、茶外茶(ハーブティー等)や、入浴湯(湯船内の湯)中に得られる。
【実施例0104】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
実施例1
出願人の自家農園において、農薬や化学肥料を使用せずに栽培したホーリーバジルを固液分離対象Aとした。
図2、3に示した容器100内に、乾燥させていないホーリーバジルの生の葉のみ10kgを投入した。
その際、外部から、水、エタノール、食用油、酸化防止剤、安定剤、沸石等の添加物を加えなかった。また、何れも直接容器100内に投入できる大きさだったので、容器100内への投入前に裁断をしなかった。
【0106】
図1に示した固液分離装置を用い、外部から熱を加えつつ減圧し、該分離対象Aを38.0±1.0℃に維持しつつ、
図1、4に示す、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタを備えた減圧器300で容器内を減圧にした。
容器内の圧力は、1気圧(101.3kPa)に対して、-97.0kPa~-98.0kPaの圧力(真空度)とした。
【0107】
図3に示した、回転刃113と回転刃溝114を有する回転刃体112、及び、凸型固定刃111を具備した粗破砕撹拌機110を駆動(回転)させて、ホーリーバジルの葉を粗破砕しながら固液分離を行った。
【0108】
容器100内から留出される気体は、
図1に示したような冷却器200で冷却した。その際の冷却水の温度は、1~4℃であった。
減圧開始から10分で、ホーリーバジル水とホーリーバジル油の気体が蒸発し始めた。
また、減圧開始から20分で、回収容器400に、ほぼホーリーバジル水とホーリーバジル油の混合液(液体B)が溜まり始めた。
液体Bが得られなくなるまで、5時間30分かけて、38.0±1.0℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
【0109】
その結果、回収容器400に、液体B(ホーリーバジル水とホーリーバジル油の混合液)が合計で8.5kg得られた。
減圧開始から5時間30分後に、固液分離装置の運転を終了し、容器100の上から、及び、粉取出口140からホーリーバジル粉を取り出した。得られたホーリーバジル粉は、1.5kg[=10.0kg(投入量)-8.5kg(得られた液体Bの質量)]であった。
【0110】
添加物を加えなかったのでトータルで質量の増加もなく、気体としての散逸もなかったのでトータルで質量の減少もなかった。
【0111】
回収容器400に溜まった液体Bは、液体取出バルブ405をゆっくり開けて、最初に下層のホーリーバジル水を取り出し、取り出し切ったところで、上層のホーリーバジル油を取り出した。
【0112】
実施例2
実施例1において、分離対象(ホーリーバジルの葉)を38.0±1.0℃に維持しつつ減圧したことに代えて、43±1.0℃に維持しつつ減圧した以外は、実施例1と同様にして、ホーリーバジル水と、ホーリーバジル油と、ホーリーバジル粉を得た。
【0113】
実施例3
実施例1において、分離対象Aとしてホーリーバジルの葉のみ10kgを投入したことに代えて、乾燥させていない生のホーリーバジルの茎のみ10kgを投入した以外は、実施例1と同様にして、ホーリーバジル水と、ホーリーバジル油と、ホーリーバジル粉を得た。
【0114】
実施例4
実施例1において、分離対象Aとしてホーリーバジルの葉のみ10kgを投入したことに代えて、乾燥させていない生のホーリーバジルの花のみ1.0kgを投入した以外は、実施例1と同様にして、ホーリーバジル水と、ホーリーバジル油と、ホーリーバジル粉を得た。
【0115】
比較例1
ホーリーバジルの葉1.0kgを細かく裁断し、3質量倍の水に浸漬して強撹拌した後、水蒸気蒸留で、常法に従って、ホーリーバジル油を得た。
しかし、高沸点の油は採れたが低沸点の油は散逸してしまっていた。また、100℃になったので、微小成分や殆どの天然成分は、酸化又は分解した。
大量の水と水蒸気を使用したので、水溶液は得られたが、製造工程上、本発明のホーリーバジル水に該当(対応)したものは得られなかった。
水蒸気蒸留の残り物質から、水を留去して乾燥させて、ホーリーバジル粉を得たが、香りも味も全く違うものであったことから、本発明のホーリーバジル粉とは成分(組成)が異なるものと考えられた。
【0116】
比較例2
ホーリーバジルの葉1.0kgを、抽出溶媒(水/エタノール=50体積%/50体積%の混合)5.0kgの中に浸漬させ、冷却器を付けて沸点を維持しつつ加熱還流させて、常法に従って抽出した。
エバポレーターを用いて、上記で得られた抽出液から抽出溶媒を留去してホーリーバジル油を得たが、沸点が低い成分は殆ど散逸していた。また、抽出溶媒の沸点(78~81℃)になったので、微小成分や殆どの天然成分は酸化又は分解した。また、油の中から抽出溶媒を完全には無くせなかった。
大量の抽出溶媒を使用後に留去したので、水溶液は得られたが、製造工程上、本発明のホーリーバジル水に該当(対応)したものは得られなかった。
抽出残渣を乾燥させてホーリーバジル粉を得たが、香りも味も全く違うものであったことから、本発明のホーリーバジル粉とは成分(組成)が異なるものと考えられた。
【0117】
比較例3
比較例2において、38℃を維持しつつ浸漬抽出し、その後、得られた抽出液から抽出溶媒を、汎用の減圧エバポレーターを用いて38℃以下を維持しつつ減圧留去した。
【0118】
抽出が不完全のため、油が殆ど得られなかった。本発明のホーリーバジル油に該当(対応)したものすら殆ど得られなかった。また、少量の油の中から使用した抽出溶媒を完全には無くせなかった。
大量の抽出溶媒を使用後に留去したので、水溶液は得られたが、製造工程上、本発明のホーリーバジル水に該当(対応)したものは得られなかった。
抽出残渣を乾燥させてホーリーバジル粉を得たが、香りも味も全く違うものであったことから、本発明のホーリーバジル粉とは成分(組成)が異なるものと考えられた。
【0119】
比較例4
実施例1において、分離対象(ホーリーバジルの葉)を38.0±1.0℃に維持しつつ減圧したことに代えて、50±2.0℃に維持しつつ減圧した以外は、実施例1と同様にして、ホーリーバジル水(水溶液)と、ホーリーバジル油と、ホーリーバジル粉を得た。
【0120】
比較例5
実施例1で分離対象Aとして用いたホーリーバジルの葉1.0kgに代えてスイートバジルの葉1.0kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、スイートバジル水(水溶液)と、スイートバジル油と、スイートバジル粉を得た。
【0121】
評価例1
<ホーリーバジル水の評価>
実施例1~4で得られたホーリーバジル水の匂いと味を、「比較例1~5で得られた水溶液の匂いと味」と比較したところ、官能評価ではあるが、両者は全く異なるものであり、実施例1~4で得られたホーリーバジル水の匂いと味は、何れも非常に良いものであった。
また、実施例1と実施例2を比較すると、実施例1の方が良い匂いと味がした。43℃での固液分離より、38℃での固液分離の方が優れていることが分かった。
【0122】
実施例4で得られたホーリーバジル水(分離対象Aがホーリーバジルの花)の匂いと味は、「全てのもの」の匂いと味とは異なるものであり、非常に良いものであった。
また、実施例1において、ホーリーバジルの葉から固液分離して得られたホーリーバジル水の「匂いと味」とも異なっており、非常に良いものであった。
【0123】
評価例2
<ホーリーバジル水の効果、及び、ホーリーバジル水を含有してなるものの評価>
実施例1~4で得られたホーリーバジル水を、希釈せずに添加物等を加えずに、そのまま(100%の状態で)、洗浄水、化粧水、点眼薬、飲食品とした。
【0124】
該洗浄水で、人の顔、手の甲、腕を洗浄したところ、奇麗になったことに加え、皮膚疾患も改善された。
該化粧水を、1週間にかけて毎日、人の顔、手の甲、腕に、適量振りかけて擦り込んでもらったところ、1週間後には、それらの人は、顔、手の甲、腕が、すべすべしたと証言した。また、皮膚への浸透力が高く、保湿効果があった。
該点眼薬を、複数の人の眼にそれぞれ1滴だけ差したところ、それらの人は、クリアーな感じになったと証言した。また、緑内障の進行が抑えられた。
該飲食品を、ジュースの感覚で約20g飲んでもらったところ、全員が、美味しい、腸疾患が改善されたと証言した。
また、該飲食品を健康食品として摂取してもらったところ、腸疾患が改善した。
【0125】
一方、比較例1~4の水溶液は、同様に応用評価したが、全員が、今までのホーリーバジルの匂いと同じであると証言し、特に良い香り、美味しいとは証言しなかった。また、上記効果が得られなかった。
【0126】
評価例3
<ホーリーバジル油の評価>
実施例1~4で得られたホーリーバジル油の匂いと味を、「比較例1~5で得られた油の匂いと味」と比較したところ、官能評価ではあるが、両者は全く異なるものであり、実施例1~4で得られたホーリーバジル油の匂いと味は、何れも非常に良いものであった。
また、実施例1と実施例2を比較すると、実施例1の方が良い匂いと味がした。43℃での固液分離より、38℃での固液分離の方が優れていることが分かった。
【0127】
実施例で得られたホーリーバジル油(分離対象Aがホーリーバジルの花)の匂いと味は、「全てのもの」の匂いと味とは異なるものであり、非常に良いものであった。
また、実施例1において、ホーリーバジルの葉から固液分離して得られたホーリーバジル水の「匂いと味」とも異なっており、非常に良いものであった。
【0128】
評価例4
<ホーリーバジル油の効果、及び、ホーリーバジル油を含有してなるものの評価>
実施例1~4で得られたホーリーバジル油を、希釈せずに添加物等を加えずに、そのまま(100%の状態で)、芳香油、アロマオイル、化粧液、入浴剤、飲食品とした。
【0129】
該芳香油や該アロマオイルを、開口した瓶に入れて静置、ディフューザーを用いて使用する等、通常の精油の使用方法と同様の方法で、又は、通常のアロマテラピーの方法で使用したところ、酸化等の熱による劣化がないためホーリーバジル本来の甘い香りがした。
【0130】
該化粧液を、1週間にかけて毎日、人の、顔、手の甲、腕に適量振りかけて擦ってもらったところ、1週間後には、それらの人は、顔、手の甲、腕が、すべすべしたと証言した。また、皮膚への浸透力が高く、保湿効果があった。
該入浴剤を、数滴バスタブの中に入れて入浴したところ、今までにない良い香りがし、肌がすべすべになった。
【0131】
該飲食品を、既存のバジルソースと同様に、種々の食品に振りかけて該食品を食べてもらったところ、全員が、今までにない風味がして美味しくなった、良いソース又は調味料であると証言した。また、ピザに振りかけて食べたところ、今までにない風味がして美味しくなった。
【0132】
また、該飲食品を健康食品として摂取してもらったところ、腸疾患が改善した。
【0133】
一方、比較例1~4の油は、上記と同様に応用評価したが、全員が、今までのホーリーバジルの匂いと同じであると証言し、良い香り、美味しいとは証言しなかった。また、上記効果が得られなかった。
【0134】
評価例5
<ホーリーバジル粉の評価>
実施例1~4で得られたホーリーバジル粉の匂いと味を、「比較例1~5で得られた粉の匂いと味」と比較したところ、官能評価ではあるが、両者は全く異なるものであり、実施例1~4で得られたホーリーバジル粉の匂いと味は、何れも非常に良いものであった。
また、実施例1と実施例2を比較すると、実施例1の方が良い匂いと味がした。43℃での固液分離より、38℃での固液分離の方が優れていることが分かった。
【0135】
実施例4で得られたホーリーバジル粉(分離対象Aがホーリーバジルの花)の匂いと味は、「全てのもの」の匂いと味とは異なるものであり、非常に良いものであった。
また、実施例1において、ホーリーバジルの葉から固液分離して得られた粉の「匂いと味」とも異なっており、非常に良いものであった。
【0136】
評価例6
<ホーリーバジル粉の効果、及び、ホーリーバジル粉を含有してなるものの評価>
実施例1~4で得られたホーリーバジル粉を、他の粉末で希釈せずに添加物等を加えずに、そのまま(100%の状態で)、茶外茶原料、入浴剤、飲食品とした。
「茶外茶原料」とは、茶葉、すなわち「茶の原料」の代わりに使用するものであり、それを煎じて茶外茶にするものである。
【0137】
本発明の該茶外茶原料を、湯で煎じて茶外茶にしたところ、従来の、茶、ハーブティー等と異なる風味がして美味しかった。また、腸疾患の改善効果があった。
【0138】
該入浴剤を、上記「ホーリーバジル油からなる入浴剤」と同様に評価したところ、全員が、今までにない良い香りがした、肌がすべすべになった、保水効果と保湿効果があった、皮膚疾患に改善効果があった、と証言した。
【0139】
なお、実施例1~4で得られたホーリーバジル粉には、例えば、蒸発してホーリーバジル水として得られなかった高沸点の水溶性成分が含有されているので、湯で煎じたり、湯船内の湯に入れたりしたときに、それは該湯で抽出されて該湯の中に存在する。
【0140】
該飲食品を、ふりかけとして、御飯、スパゲッティ、炒飯、ピザ等に振りかけたところ、今までにない風味がして美味しくなった。また、既存のバジルソースと同様に、種々の食品に振りかけて該食品を食べてもらったところ、全員が、今までにない風味がして美味しくなったと証言した。
【0141】
一方、比較例1~4の粉は、上記と同様に応用評価したが、全員が、今までのホーリーバジルの匂いと同じであると証言し、良い香り、美味しいとは証言しなかった。また、上記効果が得られなかった。
本発明の、特定の固液分離方法を用いたホーリーバジル水、ホーリーバジル油、ホーリーバジル粉の製造方法は、その製造方法で得られたものが、今までのものとは、含有成分(化学種)及び該成分の組成(比)を異にしている。従って、従来にない性能(臭いや味等の官能的な性能を含む)を有するものである。
また、固液分離工程において、高熱をかけず分離溶媒も使用しないので、実質的に完全に天然のものであり、得られたものの性能が極めて優れると共に、安心・安全に使用できる。
従って、本発明は、食品製造・加工分野;一般食品・健康食品の製造分野;アロマテラピー分野;サニタリー分野;家庭用品、化粧料、医薬等の製造分野;等において、広く実施・利用されるものである。