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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071768
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】運転評価モデル生成装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/052 20060101AFI20230516BHJP
   G09B 9/04 20060101ALI20230516BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20230516BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230516BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20230516BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20230516BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230516BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230516BHJP
【FI】
G09B9/052
G09B9/04 A
G09B19/00 G
G08G1/00 D
G08G1/13
G16Y40/20
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023113
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2021069003の分割
【原出願日】2016-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(72)【発明者】
【氏名】関谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 裕史
(57)【要約】
【課題】運転経験や生活地域などによる感覚の違いを考慮した運転評価モデルを生成する。
【解決手段】運転評価モデル生成装置は、移動体が走行する場所の画像情報を記憶する第1記憶部と、画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報を、当該判定者のプロフィールに関連付けて記憶する第2記憶部と、を備える。そして、評価情報及び判定者のプロフィールに基づいて、判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が走行する場所の画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報と、
前記評価情報に関連付けられた当該判定者のプロフィールに基づいて、前記判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する生成部と、
を備える運転評価モデル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転に関する評価を行うモデルを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の車両からデータをサーバ装置に集約し、サーバ装置が機械学習により得た学習結果に関する情報を配信するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、各車両の走行時の天候、時間帯などの状況を環境データとして収集し、環境データが示す状況ごとに学習するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-133552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転時の状況認識及び状況判断については、運転者の経験等に基づく個人差があり、運転者によって認識や判断が異なる場合がある。この点、特許文献1は、このような個人差については何ら勘案していない。
【0005】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、運転経験や生活地域などによる感覚の違いを考慮した運転評価モデルを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、運転評価モデル生成装置であって、移動体が走行する場所の画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報と、前記評価情報に関連付けられた当該判定者のプロフィールに基づいて、前記判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係る学習システムの構成を示す。
図2】教師データ管理部の記憶データの例を示す。
図3】学習処理の第1実施例のフローチャートである。
図4】学習処理の第2実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つの好適な実施形態では、運転評価モデル生成装置は、移動体が走行する場所の画像情報を記憶する第1記憶部と、前記画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報を、当該判定者のプロフィールに関連付けて記憶する第2記憶部と、前記評価情報及び前記判定者のプロフィールに基づいて、前記判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する生成部と、を備える。
【0009】
上記の運転評価モデル生成装置は、移動体が走行する場所の画像情報を記憶する第1記憶部と、画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報を、当該判定者のプロフィールに関連付けて記憶する第2記憶部と、を備える。そして、評価情報及び判定者のプロフィールに基づいて、判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する。こうして、判定者のプロフィール毎に、運転評価モデルを生成することができる。
【0010】
上記の運転評価モデル生成装置の一態様では、前記生成部は、前記プロフィールが共通する判定者のグループ毎に、当該グループに属する判定者による評価情報を前記記憶部から抽出し、抽出された評価情報の傾向を分析し、前記運転評価モデルを生成する。これにより、プロフィールが共通する判定者のグループに適した運転評価モデルを生成することができる。好適な例では、前記生成部は、同一の評価情報を提示した判定者数が、当該グループに属する判定者数の所定割合以上である場合に、当該評価情報を当該グループの運転評価モデルに反映する。
【0011】
上記の運転評価モデル生成装置の他の一態様では、前記生成部は、前記評価情報が共通する判定者のグループ毎に、当該グループに属する判定者のプロフィールを前記記憶部から抽出し、抽出されたプロフィールの傾向を分析し、当該グループのプロフィールを決定する。この態様では、評価情報が共通する判定者のグループに対してプロフィールが決定され、対応する運転評価モデルが生成される。好適な例では、前記生成部は、同一のプロフィールを有する判定者数が、当該グループに属する判定者数の所定割合以上である場合に、当該プロフィールを当該グループのプロフィールとする。
【0012】
上記の運転評価モデル生成装置の他の一態様では、前記プロフィールは、前記判定者の年齢、性別、居住地域、運転歴の少なくとも1つを含む。また、他の一態様では、前記生成部は、前記記憶部に記憶されている前記評価情報又は前記プロフィールが更新される度に、前記運転評価モデルを更新する。これにより、常に最新の情報を用いて運転評価モデルを生成することが可能となる。
【0013】
本発明の他の好適な実施形態では、運転評価モデル生成装置により実行される運転評価モデル生成方法は、移動体が走行する場所の画像情報を取得する第1取得工程と、前記画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報を、当該判定者のプロフィールに関連付けて取得する第2取得工程と、前記評価情報及び前記判定者のプロフィールに基づいて、前記判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する生成工程と、を備える。この方法によっても、判定者のプロフィール毎に、運転評価モデルを生成することができる。
【0014】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備える装置により実行されるプログラムは、移動体が走行する場所の画像情報を取得する第1取得工程、前記画像情報に対して判定者が評価した運転に関する評価情報を、当該判定者のプロフィールに関連付けて取得する第2取得工程、前記評価情報及び前記判定者のプロフィールに基づいて、前記判定者のプロフィールに対応する運転評価モデルを生成する生成工程、を前記コンピュータに実行させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の運転評価モデル生成装置を実現することができる。このプログラムは、記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【実施例0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[システム構成]
図1は、本発明の運転評価モデル生成装置の一実施例である学習システムの構成を示す。学習システム10は、例えばサーバ装置など、コンピュータを備える装置により実現される。図示のように、学習システム10は、画像データ蓄積部11と、教師データ管理部12と、学習データ制御部13と、機械学習部14と、運転評価モデルデータベース(以下、「データベース」を「DB」と表記する。)と、を備える。
【0016】
画像データ蓄積部11には、車両のカメラから撮影された画像データが蓄積される。典型的な例では、画像データは、車両の走行中に車載カメラにより撮影され、インターネットを介した無線通信などにより、サーバとして構成される学習システム10へ供給される。画像データは、車両の走行している環境、具体的には、車両前方の道路とその周辺を含む画像となっている。画像データは、その識別情報である画像データIDに対応付けて画像データ蓄積部11に保存されている。
【0017】
教師データ管理部12は、画像データが示す走行環境について、判定者が教師として運転に関する評価を行った結果を記憶する。図2は、教師データ管理部12の記憶データの例を示す。教師データ管理部12には、複数の教師データが記憶される。1つの記憶データは、画像データIDと、プロフィールと、環境情報と、判定値とにより構成される。教師データ管理部12に記憶された教師データは、後述の機械学習部14による学習に使用される。なお、教師データは、例えば実際に走行している車両又はその車両に搭載されたカーナビゲーション装置などから送信されたプローブデータから生成することができる。また、アンケート方式により、画像データを判定者に見せて運転に関する評価をしてもらうと同時にその判定者のプロフィールやそのときの環境情報を取得して教師データを生成しても良い。
【0018】
「画像データID」は、判定者による判定の対象となる画像データの識別情報である。「プロフィール」は、運転評価の機械学習を行う際の教師のプロフィールであり、実際には画像データについての判定を行う判定者のプロフィールを示す。プロフィールは、教師識別子と、性別と、生年と、居住地と、運転歴とを含む。
【0019】
「教師識別子」は、教師を一意に示す識別情報であり、具体的には判定者のIDなどである。「性別」は判定者の性別であり、「生年」は判定者の生まれた年である。なお、生年の代わりに年齢を用いてもよい。「居住地」は判定者が居住している地域を示し、本例では都道府県を用いている。「運転歴」は判定者の運転歴であり、本例では運転経験年数を用いている。
【0020】
「環境情報」は、各画像データが撮影された際の環境を示す情報であり、天候、道路種別、時間帯を含む。「天候」は、画像データの撮影時の天候であり、晴れ、曇り、雨、雪などが使用される。「道路種別」は、画像データに含まれる道路、即ち、撮影の際に車両が走行している道路の種別であり、高速道路、国道、県道、細街路などが使用される。「時間帯」は、画像データの撮影時の時間帯を示す。
【0021】
「判定値」は、判定者による画像データの評価結果であり、画像データが示す走行環境を判定者が評価した結果である。本例では、判定値は「運転しにくい」と「運転しやすい」の2値が割り当てられているが、運転しやすさを3段階や5段階に分類し、3値や5値の判定値を用いてもよい。
【0022】
なお、図2に示す例では、教師識別子が「K1116」、「H1117」、「T1110」の3人の判定者が画像データID「107」と「108」の2枚の画像データについて運転しやすさの判定を行った結果が教師データとして記憶されている。
【0023】
図1に戻り、学習データ制御部13は、画像データ蓄積部11に記憶された画像データと、教師データ管理部12に記憶された教師データに基づいて学習データを生成し、機械学習部14へ供給する。「学習データ」とは、機械学習部14に入力されて機械学習に使用されるデータであり、教師データと学習用データとを含む。ここで、「教師データ」とは、教師データ管理部12に記憶されている判定値であり、「学習用データ」は判定値に対応する画像データである。即ち、学習データは、画像データと、その画像データに対する判定者の判定値とを紐付けたデータである。詳細は後述するが、学習データ制御部13は、教師である判定者をそのプロフィールの共通性によりグループ化する。即ち、複数の教師を、プロフィールの共通性によりグループ化して教師モデルを生成し、教師モデル毎に学習用データを生成して機械学習部14へ供給する。
【0024】
機械学習部14は、学習データ制御部13から供給された学習データを利用して教師あり学習を行う。そして、機械学習部13は、学習結果として、画像データが示す走行環境が運転しやすいか否かを判定するためのモデル(以下、「運転評価モデル」と呼ぶ。)を生成する。即ち、運転評価モデルは、教師あり機械学習による得られたパターン識別器であって、例えばニューラルネットワークを適用した学習により得られた学習結果である。
【0025】
ここで、上述のように学習データ制御部13は教師モデル毎に学習データを生成して機械学習部14に供給するので、機械学習部14は教師モデル毎に学習結果を生成し、運転評価モデルとして運転評価モデルDB15に記憶する。例えば、ディープラーニングによる学習の場合、運転評価モデルは、ネットワークデータ、教師モデル(教師モデルの作成に用いた教師のプロフィール)、環境データ(学習時に用いられた環境情報のパラメータ)などにより構成される。
【0026】
上記の構成において、画像データ蓄積部11は本発明の第1記憶部の一例であり、教師データ管理部12は本発明の第2記憶部の一例であり、学習データ制御部13及び機械学習部14は本発明の生成部の一例である。
【0027】
[学習処理]
次に、学習システム10による学習処理について説明する。
(第1実施例)
第1実施例の学習処理では、教師(判定者)のプロフィールを指定することにより教師モデルを設定し、その教師モデルに対応する運転評価モデルを作成する。
【0028】
図3は、第1実施例による学習処理のフローチャートである。この処理は、主として図1に示す学習システム10の学習データ制御部13及び機械学習部14により実行される。なお、学習システム10がサーバなどのコンピュータ装置により構成される場合、学習処理はそのコンピュータ装置が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0029】
まず、学習データ制御部13は、教師データ管理部12に記憶されている教師データから、プロフィールの共通性により教師をグループ化して教師モデルを作成する(ステップS11)。図2に示すように、教師データ管理部12には、異なる教師(判定者)についてのプロフィールが記憶されている。図2の例では、プロフィールとして、性別、生年、居住地、運転歴が記憶されている。学習データ制御部13は、これらのプロフィールのうちの1つ又は複数が共通する判定者によりグループを作成する。例えば、性別が男で居住地が埼玉県である判定者により「埼玉県居住の男性」というグループを作成し、これを教師モデルとする。
【0030】
次に、学習データ制御部13は、ステップS11で作成した教師モデルに属する全ての教師(判定者)について画像データと判定値を取得する(ステップS12)。具体的には、教師モデル「埼玉県居住の男性」に属する全ての教師データについて、判定値を教師データ管理部12から取得するとともに、画像データIDに対応する画像データを画像データ蓄積部11から取得する。そして、学習データ制御部13は、取得した画像データと判定値を、その教師モデルの学習データとして保存する(ステップS13)。こうして、ステップS11で作成された教師モデルに対応する学習データが用意される。
【0031】
こうして作成された学習データは機械学習部14に供給され、機械学習部14は学習データを用いて機械学習を実行する(ステップS14)。そして、機械学習部14は、機械学習により得られた学習結果を保存する(ステップS15)。具体的に、機械学習により得られた学習結果は、ステップS11で作成された教師モデルに対応する運転評価モデルとなる。即ち、上記の例では、学習結果として教師モデル「埼玉県居住の男性」の運転評価モデルが得られる。そして、機械学習部14は、この運転評価モデルを運転評価モデルDB15に保存する。
【0032】
なお、ステップS13で、教師モデルに属する教師(判定者)について画像データと判定値を取得して学習データを生成する際に、同じ教師モデルに属する判定者から異なる判定値が得られる場合がある。例えば、教師モデル「埼玉県居住の男性」に属する判定者による同一の画像データに対する判定値が「運転しやすい」と「運転しにくい」に割れるケースが考えられる。この場合、得られた画像データと判定値は、そのままでは、学習データとして画像データと判定値を一対一で入力する機械学習処理に利用することができない。よって、学習データ制御部13は、以下の方法で同一の画像データに対応する判定値を1つに統一する。
【0033】
学習データ制御部13は、基本的に多数決により判定値を1つに決定する。即ち、学習データ制御部13は、同一の画像データに対する判定値の出現回数をそれぞれカウントし、最も出現回数の多い判定値をその画像データに対する判定値として採用する。上記の例では、教師モデル「埼玉県居住の男性」に属する判定者による、同一の画像に対する判定値「運転しにくい」と「運転しやすい」の数をそれぞれカウントし、多い方の判定値をその画像データの判定値として採用する。
【0034】
なお、上記の多数決方式に信頼性の判断を加えて、同一の画像データに対する判定値を1つに決定してもよい。具体的には、異なる判定値の出現回数に大差がない場合には、精度が不十分となる可能性があるので、その画像データ及びそれに対する判定値を学習データとして採用しないこととしてもよい。
【0035】
また、最も多い出現回数が、他の判定値の出現回数と比較して優位性が認められる程度の差異があることを出現回数の比率で判定し、そのような差異がある場合に限り、最も多い出現回数の判定値を採用することとしてもよい。例えば、最も多い出現回数が全体の70%以上である、又は、最も多い出現回数が2番目に多い出現回数より10%以上大きい、などの条件が満たされる場合に、最も多い出現回数の判定値を採用することとしてもよい。
【0036】
このように、第1実施例では、最初にプロフィールを指定して教師モデルを設定し、その教師モデルに属する教師(判定者)の学習データを用いて機械学習を行うことにより、教師モデルに対応する運転評価モデルを生成する。よって、任意のプロフィールを指定することにより様々な教師モデルを設定して、それに対応する運転評価モデルを作成することができる。
【0037】
なお、プロフィールの共通性により設定される教師モデルの例としては様々なものが挙げられる。例えば、性別に基づいて「男性」、「女性」などの教師モデルを設定することができる。生年又は年齢に基づいて、「若年」又は「青年」、「中年」、「高齢」などの教師モデルや「20代」~「80代」などの教師モデルを設定することができる。居住地に関しては、都道府県ごとの教師モデルの他、「都市部」、「郊外」などの教師モデルを設定することもできる。運転歴に関しては、年数に応じて「初心者」、「ベテラン」などの教師モデルを設定することができる。もちろん、これらの複数を組み合わせて1つの教師モデルとすることも可能である。
【0038】
(第2実施例)
第2実施例の学習処理では、画像データに対する運転しやすさの評価結果である判定値が一致する教師をグループ化してそれに対する教師モデルを決定し、その教師モデルに対応する運転評価モデルを作成する。
【0039】
図4は、第2実施例による学習処理のフローチャートである。この処理は、主として図1に示す学習システムの学習データ制御部13及び機械学習部14により実行される。なお、学習システム10がサーバなどのコンピュータ装置により構成される場合、学習処理はそのコンピュータ装置が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0040】
まず、学習データ制御部13は、教師データ管理部12に記憶されている教師データから、判定値が一致する教師データをグループ化する(ステップS21)。例えば、学習データ制御部13は、判定値が「運転しにくい」である教師データにより1つのグループ(以下、説明の便宜上、グループ「運転しにくい」と呼ぶ。)を構成する。
【0041】
次に、学習データ制御部13は、グループ「運転しにくい」に属する教師(判定者)のプロフィールを分析し、このグループの教師モデルを決定する(ステップS22)。例えば、グループ「運転しにくい」に属する判定者の大半が運転歴の短い女性である場合、このグループは「運転歴の短い女性」のグループであると考えることができるので、学習データ制御部13はこのグループの教師モデルを「運転歴の短い女性」と決定する。別の例として、グループ「運転しにくい」に属する判定者の大半が高齢者である場合には、学習データ制御部13は、このグループの教師モデルを「高齢者」と決定する。こうして、学習データ制御部13は、判定値が共通する教師データをグループ化し、そのプロフィールを分析することにより、そのグループについて教師モデルを設定する。
【0042】
次に、学習データ制御部13は、ステップS22で決定した教師モデルに属する全ての教師(判定者)の画像データと判定値を取得する(ステップS23)。上記の最初の例では、学習データ制御部13は、教師モデル「運転歴の短い女性」に属する全ての教師データを教師データ管理部12から抽出し、その画像データと判定値とを取得する。そして、学習データ制御部13は、取得した画像データと判定値を、その教師モデルの学習データとして保存する(ステップS24)。こうして、ステップS22で決定された教師モデルに対応する学習データが用意される。
【0043】
こうして作成された学習データは機械学習部S14に供給され、機械学習部14は、学習データを用いて機械学習を実行する(ステップS25)。そして、機械学習部14は、機械学習により得られた学習結果を保存する(ステップS26)。具体的に、機械学習により得られた学習結果は、ステップS22で決定された教師モデルに対応する運転評価モデルとなる。即ち、上記の例では、学習結果として教師モデル「運転歴の短い女性」の運転評価モデルが得られる。そして、この運転評価モデルが運転評価モデルDB15に保存される。
【0044】
このように、第2実施例では、最初に判定値、即ち、運転しやすさに対する評価結果が一致する教師をグループ化し、そのプロフィール分析することによりそのグループの教師モデルを設定する。そして、その教師モデルに属する教師(判定者)の学習データを用いて機械学習を行うことにより、教師モデルに対応する運転評価モデルを生成する。即ち、ある走行環境における運転しやすさの評価が一致する判定者がどのようなプロフィールを有するのかを分析することにより教師モデルを設定するので、現実に評価が一致する判定者により構成される教師モデルを柔軟に設定し、それに対する運転評価モデルを生成することができる。
【0045】
[変形例]
上記の実施例では、1つ又は複数のプロフィールにより教師モデルを設定しているが、さらに環境情報を加えて教師モデルを設定しても良い。例えば、上記の教師モデル「運転歴の短い女性」について環境情報の1つである天候を加味し、「運転歴の短い女性(晴天時)」、「運転歴の短い女性(降雨時)」、「運転歴の短い女性(降雪時)」などを別個の教師モデルとして設定しても良い。この場合には、それぞれの教師モデルに該当する天候条件で得られた教師データから学習データを作成し、機械学習を行って運転評価モデルを生成すればよい。
【符号の説明】
【0046】
10 学習システム
11 画像データ蓄積部
12 教師データ管理部
13 学習データ制御部
14 機械学習部
15 運転評価モデルデータベース
図1
図2
図3
図4