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特開2023-72001情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072001
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037380
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2021575686の分割
【原出願日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2020019831
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】和泉 将太
(72)【発明者】
【氏名】大沼 洋平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】音声による経路案内において好適な情報を使用者に通知することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】音声案内装置、音声案内装置又はサーバ装置は、経路情報取得部と、位置情報取得部と、音声案内部と、通知部とを有する。経路情報取得部は、移動体が進行する経路を示す経路情報を取得する。位置情報取得部は、移動体の位置情報を取得する。音声案内部は、経路に関する音声案内を行う。通知部は、移動体が経路に沿って進行し、かつ、移動体が所定距離又は所定時間進行する間に音声案内部が音声案内を行っていない場合、移動体が経路に沿って進行していることを音声により通知する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者又は車両である移動体が進行すべき経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記歩行者又は前記車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、
前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って進行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記指標値が前記異常値であるか否か判定するための閾値を、前記生体情報取得部が過去に取得した前記生体情報に基づき決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記歩行者又は前記車両の運転者の不安の度合が高いほど高い値を示す前記指標値が、前記閾値よりも高まった場合に、前記指標値が前記異常値であると判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する制御方法であって、
歩行者又は車両である移動体が進行すべき経路を示す経路情報を取得する経路情報取得工程と、
前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記経路に関する音声案内を行う音声案内工程と、
前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って進行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知工程と、
を有する制御方法。
【請求項5】
歩行者又は車両である移動体が進行すべき経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記歩行者又は前記車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、
前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って進行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部と、
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声による経路案内に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音声による目的地への経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。例えば、特許文献1には、現在地から目的地までの距離が小さいほど、音場の広がりを大きくし、かつ、スピーカから出力される音が使用者の頭部に対して目的地の方向から音が聞こえるように定位させることで、現在地から目的地までのおおよその距離や方位を通知する音声ナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示を主とする経路案内では、使用者は、経路情報と現在位置情報とを地図上に表示した画面を視認することで、案内通りに車両を進行しているか随時確認することができる。一方、音声を主として経路案内を行う場合、使用者は、案内通りに進行できているか把握しにくいため、音声案内間の間隔が長いと案内通りに進行できているか使用者が不安に感じる場合があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、音声による経路案内において好適な情報を使用者に通知することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、情報処理装置であって、歩行者又は車両である移動体が進行すべき経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩行者又は前記車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って進行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部と、を有する。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、情報処理装置が実行する制御方法であって、歩行者又は車両である移動体が進行すべき経路を示す経路情報を取得する経路情報取得工程と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記経路に関する音声案内を行う音声案内工程と、前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って進行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知工程と、を有する。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、歩行者又は車両である移動体が進行すべき経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩行者又は前記車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って進行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部と、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。
図2】音声案内装置の概略構成の一例を示す。
図3】第1の例に基づくオンルート通知のタイミング及び通知内容を地図上に明示した図である。
図4】第2の例に基づくオンルート通知のタイミング及び通知内容を地図上に明示した図である。
図5】音声案内装置が第1実施例において実行する経路案内処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図6】第2実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。
図7】生体情報検出装置が生成した生体情報が示す生体指標値の車両の走行開始時刻からの時間変化の一例を示すグラフである。
図8】音声案内装置が第2実施例において実行する経路案内処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図9】第3実施例に係る音声案内システムの構成例である。
図10】第3実施例に係るサーバ装置の概略構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、情報処理装置は、移動体が進行する経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、前記移動体が前記経路に沿って走行し、かつ、前記移動体が所定距離又は所定時間走行する間に前記音声案内部が前記音声案内を行っていない場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部と、を有する。
【0011】
一般に、音声による経路案内では、移動体が経路に沿って進行できているか否かをユーザのタイミングで確認することができないため、経路に沿って移動体が進行しているか不安が生じる場合がある。以上を勘案し、上記の情報処理装置は、移動体が所定距離又は所定時間走行する間に音声案内が行われていない場合に、移動体が経路に沿って進行できていることを通知することで、上記の不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0012】
上記情報処理装置の一態様では、前記通知部は、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する場合、前記移動体の次の案内地点までの距離又は所要時間に関する情報を、音声により通知する。この態様により、情報処理装置は、移動体が経路に沿って進行できている旨と共に、次の案内地点に到着するまでの目安となる情報を通知し、ユーザの不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、前記移動体が前記経路に沿って進行しているか否かの通知を指示するユーザ入力があった場合、前記ユーザ入力に基づく通知の履歴情報を生成する履歴情報生成部と、前記履歴情報に基づき、前記所定距離又は前記所定時間を学習する学習部と、をさらに有する。情報処理装置は、この態様により、移動体が経路に沿って進行しているか否かに関するユーザ入力に基づく通知の履歴情報を用い、ユーザが不安に感じるタイミングで上記通知が自動で行われるように所定距離又は所定時間を好適に学習して求めることができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記履歴情報は、前記ユーザ入力がある直前の前記音声案内の時点から当該ユーザ入力があった時点までの前記移動体の進行距離又は経過時間の情報を含み、前記学習部は、前記進行距離又は前記経過時間の代表値を、前記所定距離又は前記所定時間として学習する。この態様により、情報処理装置は、ユーザが不安に感じるタイミングで上記通知が行われるように所定距離又は所定時間を統計的に求めることができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記通知部は、前記移動体が第2距離以上道なりとなる経路を進行中の場合において、前記移動体が前記経路に沿って走行し、かつ、前記移動体が前記所定距離又は前記所定時間走行する間に前記音声案内部が前記音声案内を行っていない場合に、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する。この態様により、情報処理装置は、移動体が道なりの経路を進行中の場合に、経路に沿って移動体が進行できているか否かの不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置は、歩行者又は車両である移動体が進行する経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩行者又は前記車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、前記生体情報に基づく指標値が異常値を示し、かつ、前記移動体が前記経路に沿って走行している場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部と、を有する。この態様では、情報処理装置は、案内対象者となる歩行者又は運転者の生体情報に基づく指標値が異常値となった場合に、経路に沿って移動体が進行できているか否か案内対象者が不安に感じていると判定し、経路に沿って移動体が進行できていることを通知する。これにより、情報処理装置は、経路に沿って移動体が進行できているか否かに関する案内対象者の不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0017】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記通知部は、前記指標値が前記異常値であるか否か判定するための閾値を、前記生体情報取得部が過去に取得した前記生体情報に基づき決定する。情報処理装置は、この態様により、案内対象者の個体差を勘案し、検出された生体情報に基づく指標値が異常値であるか否か的確に判定することができる。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、情報処理装置が実行する制御方法であって、移動体が進行する経路を示す経路情報を取得し、前記移動体の位置情報を取得し、前記経路に関する音声案内を行い、前記移動体が前記経路に沿って走行し、かつ、前記移動体が所定距離又は所定時間走行する間に前記音声案内が行われていない場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、移動体が経路に沿って進行できているか否かの不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、移動体が進行する経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記経路に関する音声案内を行う音声案内部と、前記移動体が前記経路に沿って走行し、かつ、前記移動体が所定距離又は所定時間走行する間に前記音声案内部が前記音声案内を行っていない場合、前記移動体が前記経路に沿って進行していることを音声により通知する通知部としてコンピュータを機能させるプログラムである。コンピュータは、このプログラムを実行することで、上記情報処理装置として機能する。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
【0021】
<第1実施例>
(1)システム構成
図1は、第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。音声案内システムは、車両Veと、音声案内装置1とを有する。
【0022】
音声案内装置1は、車両Veと共に移動し、案内対象となる経路(「案内経路」とも呼ぶ。)に沿って車両Veが走行するように、音声を主とした経路案内を行う。なお、「音声を主とした経路案内」は、案内経路に沿って車両Veを運転するために必要な情報をユーザが少なくとも音声のみから把握可能な経路案内を指し、音声案内装置1が現在位置周辺の地図などを補助的に表示することを除外するものではない。本実施形態では、音声案内装置1は、少なくとも、案内が必要な経路上の地点(「案内地点」とも呼ぶ。)に関する情報を音声により出力する。ここで、案内地点は、例えば車両Veの右左折を伴う交差点、その他、案内経路に沿って車両Veが走行するために重要な通過地点が該当する。音声案内装置1は、例えば、車両Veから次の案内地点までの距離、当該案内地点での進行方向などの案内地点に関する音声案内を行う。
【0023】
また、音声案内装置1は、案内経路に沿って車両Veが走行していることを、音声により運転者に通知する。以後では、案内経路に沿って車両Veが走行していることの運転者への音声通知を、「オンルート通知」とも呼ぶ。後述するように、音声案内装置1は、案内地点に関する音声案内に加えて、案内経路に沿って車両Veが走行しているか否か運転者が不安に感じるタイミングにより、オンルート通知を実行する。
【0024】
なお、音声案内装置1は、車両Veに備え付けられた車載機であってもよく、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、車両Veに組み込まれてもよい。音声案内装置1は、「情報処理装置」の一例である。また、車両Veは、「移動体」の一例である。
【0025】
(2)装置構成
図2は、音声案内装置1の概略構成の一例を示す。音声案内装置1は、主に、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、センサ群15と、表示部16と、音出力部17と、を有する。音声案内装置1内の各要素は、バスライン10を介して相互に接続されている。
【0026】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、他の端末とのデータ通信を行う。通信部11は、例えば、後述する地図DB(DataBase)4を更新するための地図データを図示しない地図管理サーバから受信してもよい。
【0027】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部12は、音声案内装置1が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、経路案内を音声により行うためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部12は、作業メモリとして使用され、制御部14が参照する情報を一時的に記憶する。なお、音声案内装置1が実行するプログラムは、記憶部12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0028】
また、記憶部12は、地図DB(DataBase)4を記憶する。地図DB4には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる施設を示す施設データなどを含むデータベースである。地図DB4は、制御部14の制御に基づき、通信部11が地図管理サーバから受信する地図情報に基づき更新されてもよい。
【0029】
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。表示部16は、制御部14の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。音出力部17は、制御部14の制御に基づき音を出力するスピーカ等である。
【0030】
センサ群15は、外界センサ18と、内界センサ19とを含む。外界センサ18は、例えば、カメラ、ライダ、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、ソナーなどの車両Veの周辺環境を認識するための1又は複数のセンサである。内界センサ19は、車両Veの測位を行うセンサであり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ジャイロセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、車速センサ、又はこれらの組合せである。なお、センサ群15は、制御部14がセンサ群15の出力から車両Veの位置を直接的に又は間接的に(即ち推定処理を行うことによって)導出可能なセンサを有していればよい。
【0031】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、音声案内装置1の全体を制御する。例えば、制御部14は、センサ群15の1又は複数のセンサの出力に基づき、車両Veの位置(進行方向の向きも含む)を推定する。また、制御部14は、入力部13により目的地が指定された場合に、当該目的地までの経路である案内経路を示す経路情報を生成し、当該経路情報と推定した車両Veの位置情報と地図DB4とに基づき、経路案内を行う。また、制御部14は、表示部16を制御することで、再生中の音楽の情報、映像コンテンツ、又は現在位置周辺の地図などの表示を行う。制御部14は、「経路情報取得部」、「位置情報取得部」、「音声案内部」、「通知部」、「履歴情報生成部」、「学習部」、及びプログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
【0032】
なお、制御部14が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、制御部14が実行する処理は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、制御部14が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。このように、制御部14は、プロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0033】
図2に示す音声案内装置1の構成は一例であり、図2に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。例えば、地図DB4を記憶部12が記憶する代わりに、制御部14が通信部11を介して経路案内に必要な情報を、図示しない地図管理サーバから受信してもよい。他の例では、音声案内装置1は、音出力部17を自身が備える代わりに、音声案内装置1とは別体に構成された音出力部17と電気的に、又は公知の通信手段によって接続することで、当該音出力部17に音(音声を含む)の出力を実行させてもよい。この場合、音出力部17は、車両Veに備えられたスピーカであってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、表示部16を備えなくともよい。この場合、音声案内装置1は、表示に関する制御を全く行わなくともよく、有線又は無線により、車両Ve等に備えられた表示部と電気的に、又は公知の通信手段によって接続することで、当該表示部に所定の表示を実行させてもよい。同様に、音声案内装置1は、センサ群15を備える代わりに、車両Veに備え付けられたセンサが出力する情報を、車両VeからCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づき取得してもよい。
【0034】
(3)オンルート通知
音声案内装置1は、案内経路に沿って車両Veが走行しているか否か運転者が不安に感じるタイミングによりオンルート通知を実行する。これにより、音声案内装置1は、案内経路に沿って車両Veが走行しているか否かに関する運転者の不安を好適に抑制又は解消する。
【0035】
(3-1)通知タイミング
音声案内装置1は、車両Veが案内経路に沿って走行し、かつ、車両Veが所定距離(「第1距離」とも呼ぶ。)又は所定時間(「第1時間」とも呼ぶ。)走行する間に案内経路の音声案内を行っていないと判定した場合、オンルート通知を実行する。ここで、上述の「第1距離」又は「第1時間」は、例えば、運転者が案内経路に沿って走行しているか否か不安に感じる距離又は時間長の下限値となるように予め定められ、記憶部12にこれらの値が予め記憶されている。
【0036】
好適には、上述の「第1距離」又は「第1時間」は、学習により算出されるとよい。この場合、音声案内装置1は、ユーザによる入力部13への所定の入力(ユーザ入力)を検知したときに、オンルート通知を行う機能(所謂、手動によるオンルート通知機能)を有する。そして、音声案内装置1は、手動によるオンルート通知を行う度に、手動によるオンルート通知を行ったタイミングを、手動によるオンルート通知の履歴情報として記憶部12に記憶する。そして、音声案内装置1は、上述の履歴情報に基づき、上述の第1距離又は第1時間を学習する。
【0037】
具体的には、音声案内装置1は、手動によるオンルート通知を実行する度に、直前の音声案内を行った時点からオンルート通知を指示するユーザ入力があった時点までの走行距離又は経過時間を、履歴情報として記憶部12に記憶する。そして、音声案内装置1は、履歴情報として上述の走行距離が記憶部12に記憶されている場合には、当該走行距離の平均値、中央値その他の代表値を、上述の「第1距離」として算出する。また、音声案内装置1は、履歴情報として上述の経過時間が記憶部12に記憶されている場合には、当該経過時間の平均値、中央値その他の代表値を、上述の「第1時間」として算出する。この第1距離又は第1時間の算出は、所定時間毎に行われてもよく、音声案内装置1が起動したタイミングで行われてもよく、履歴情報が所定個数生成される毎に行われてもよい。
【0038】
このように、音声案内装置1は、手動によるオンルート通知の履歴情報に基づき、上述の第1距離又は第1時間に基づくオンルート通知(所謂、自動によるオンルート通知)のタイミングを統計的手法に基づき好適に学習することができる。これにより、音声案内装置1は、音声案内が無いと運転者が不安に感じるタイミングを好適に学習し、運転者に適したタイミングによりオンルート通知を行うことができる。なお、車両Veを複数の運転者が使用する場合を考慮し、音声案内装置1は、上述の第1距離又は第1時間を、運転者ごとに決定してもよい。この場合、音声案内装置1は、車両Veの始動時などに任意の生体認証やその他の認証(パスワード認証やタグ認証等)に基づき運転者の識別を行う。そして、音声案内装置1は、識別した運転者毎に生成した履歴情報に基づき、上述の第1距離又は第1時間を運転者毎に算出する。
【0039】
また、好適には、音声案内装置1は、所定距離(「第2距離」とも呼ぶ。)以上道なりとなる経路を走行中であると判定した場合に限り、上述の「第1距離」又は「第1時間」に基づくオンルート通知を行うとよい。「第2距離以上道なりとなる経路」は、言い換えると、直前に通過した案内地点から次の案内地点までの距離が第2距離以上となる案内経路上の区間を指す。上述の第2距離は、第1距離以上となるように予め定められる。
【0040】
ここで、暫く道なりとなる経路を車両Veが走行中の場合、次の案内地点に近づくまで案内経路に対する音声案内が行われない。よって、運転者は、この間に画面表示による経路及び現在位置の確認を行わない場合には、案内経路に沿って走行しているか確認できず、案内経路に沿って車両Veが進行できているか否か不安に感じることが想定される。以上を勘案し、音声案内装置1は、第2距離以上道なりとなる経路を車両Veが走行中であると判定した場合に、上述の第1距離又は第1時間に基づくオンルート通知を行うことで、案内経路に関する運転者の不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0041】
(3-2)具体例
次に、オンルート通知の通知内容を含む具体例について説明する。音声案内装置1は、好適には、オンルート通知として、案内経路に沿った走行を車両Veが行っている旨の情報を出力すると共に、次の案内地点に関する情報を出力する。
【0042】
図3は、第1の例に基づくオンルート通知のタイミング及び通知内容を、地図上に明示した図である。図3は、道路網を含む地図上に、案内地点31に到着するまでに実行されるオンルート通知の各タイミングでの車両Veの位置を示す車両位置マーク70A~70Eと、案内経路を示す経路線71とを示している。車両Veは、案内経路に沿った走行を行っているものとする。
【0043】
第1の例では、案内地点31の直前の案内地点から案内地点31までの道路40を車両Veが走行中の場合、音声案内装置1は、所定距離ごとに、案内地点31までの距離の情報を含むオンルート通知を実行している。ここでは、案内地点31の直前の案内地点から案内地点31までの距離が5km以上となっており、音声案内装置1は、第1距離である1kmだけ車両Veが進行する毎に、オンルート通知を行っている。具体的には、音声案内装置1は、車両位置マーク70Aが示す地点において、「経路に沿って走行できています。5km先〇〇交差点右折です。」との音声を出力する。同様に、音声案内装置1は、車両位置マーク70Aから1km間隔で存在する車両位置マーク70B~車両位置マーク70Eが示す各地点において、経路に沿った走行である旨及び次の案内地点までの距離に関する音声出力を行う。
【0044】
第1の例によれば、音声案内装置1は、道なりに進行する経路を車両Veが走行中の場合に、案内経路に沿った走行を行っている旨及び次の案内地点までの距離を、運転者に好適に認識させることができる。
【0045】
図4は、第2の例に基づくオンルート通知のタイミング及び通知内容を地図上に明示した図である。図4は、道路網を含む地図上に、案内地点31に到着するまでに実行されるオンルート通知の各タイミングでの車両Veの位置を示す車両位置マーク70a~70eと、案内経路を示す経路線71とを示している。車両Veは、案内経路に沿った走行を行っているものとする。
【0046】
第2の例では、案内地点31の直前の案内地点から案内地点31までの道路40を車両Veが走行中の場合、音声案内装置1は、所定時間ごとに、案内地点31までの所要時間の情報を含むオンルート通知を実行している。ここでは、案内地点31の直前の案内地点から案内地点31までの推定される所要時間が25分以上となっており、音声案内装置1は、道路40上で第1時間である5分経過する毎に、オンルート通知を行っている。具体的には、音声案内装置1は、車両位置マーク70aが示す地点において、「経路に沿って走行できています。あと25分後に右折です。」との音声を出力する。そして、音声案内装置1は、車両位置マーク70aから5分経過する毎の車両Veの存在位置を示す車両位置マーク70b~70eが示す各地点において、経路に沿った走行である旨及び次の案内地点までの推定される所要時間に関する音声出力を行う。
【0047】
第2の例によれば、音声案内装置1は、道なりに進行する経路を車両Veが走行中の場合に、案内経路に沿った走行を行っている旨及び次の案内地点までの所要時間を、運転者に好適に認識させることができる。
【0048】
(4)処理フロー
図5は、音声案内装置1が第1実施例において実行する経路案内処理の手順を示すフローチャートの一例である。音声案内装置1は、図5に示すフローチャートの処理を、目的地が設定された場合に実行する。
【0049】
まず、音声案内装置1は、設定された目的地に対する経路情報を取得する(ステップS101)。この場合、例えば、音声案内装置1は、地図DB4と、車両Veの位置情報と、設定された目的地の情報とに基づき、経路探索処理を行うことで、案内経路を示す経路情報を生成する。他の例では、音声案内装置1は、経路探索処理を行うサーバ装置に位置情報及び目的地の情報等を送信することで、案内経路を示す経路情報を当該サーバ装置から取得してもよい。次に、音声案内装置1は、センサ群15の出力に基づき、車両Veの位置情報を取得する(ステップS102)。
【0050】
次に、音声案内装置1は、ステップS101で取得した経路情報及びステップS102で取得した車両Veの位置情報に基づき、車両Veが案内経路に沿った走行を行っているか否か判定する(ステップS103)。例えば、音声案内装置1は、マップマッチング等に基づく案内経路と車両Veの現在位置とのマッチングが成功した場合に、車両Veが案内経路に沿った走行を行っていると判定する。そして、音声案内装置1は、車両Veが案内経路に沿った走行を行っていないと判定した場合(ステップS103;No)、案内経路の再設定を行う(ステップS108)。この場合、音声案内装置1は、ステップS101と同様、車両Veの現在の位置情報に基づいて、案内経路を決定する。
【0051】
そして、音声案内装置1は、車両Veが案内経路に沿った走行を行っていると判定した場合(ステップS103;Yes)、前回の案内経路に関する音声案内から第1距離だけ走行した又は第1時間だけ経過したか否か判定する(ステップS104)。この場合、ステップS104において、音声案内装置1は、前回の案内経路に関する音声案内から第1距離だけ走行したか否かのみを判定してもよく、前回の案内経路に関する音声案内から第1時間だけ経過したか否かのみを判定してもよい。他の例では、ステップS104において、音声案内装置1は、前回の案内経路に関する音声案内から第1距離だけ走行した、又は、前回の案内経路に関する音声案内から第1時間だけ経過した、のいずれかの事象が発生したか否か判定してもよい。
【0052】
そして、音声案内装置1は、前回の案内経路に関する音声案内から第1距離だけ走行した又は第1時間だけ経過したと判定した場合(ステップS104;Yes)、オンルート通知を行う(ステップS105)。この場合、音声案内装置1は、案内経路に沿った走行である旨のみを音声出力してもよく、案内経路に沿った走行である旨に加えて次の案内地点に関する情報を音声出力してもよい。
【0053】
そして、前回の案内経路に関する音声案内から第1距離未満の走行距離であった又は第1時間未満の経過時間であった場合(ステップS104;No)、又は、ステップS105のオンルート通知後、音声案内装置1は、次の案内地点の案内タイミングであるか否か判定する(ステップS106)。この場合、音声案内装置1は、例えば、次の案内地点との距離が予め定めた所定距離(例えば300m、500m、700m、1km等)となったか否か判定する。上述の所定距離は、例えば、予め記憶部12に記憶されている。即ち、音声案内装置1は、ステップS106において、一般的な経路案内において実行される音声案内の出力タイミングであるか否か判定する。
【0054】
そして、音声案内装置1は、次の案内地点の案内タイミングであると判定した場合(ステップS106;Yes)、次の案内地点に対する音声案内を行う(ステップS107)。即ち、この場合、音声案内装置1は、一般的な経路案内において実行される音声案内を出力する。一方、音声案内装置1は、次の案内地点の案内タイミングではないと判定した場合(ステップS106;No)、ステップS109へ処理を進める。
【0055】
次に、音声案内装置1は、案内経路に対する音声案内を終了すべきか否か判定する(ステップS109)。例えば、音声案内装置1は、設定された目的地に車両Veが到着したと判定した場合、又は、経路音声案内の終了を指示するユーザ入力を検知した場合、案内を終了すべきと判定する。そして、音声案内装置1は、音声案内を終了すべきと判定した場合(ステップS109;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、音声案内装置1は、音声案内を終了すべきでないと判定した場合(ステップS109;No)、ステップS102へ処理を戻す。
【0056】
なお、音声案内装置1は、図5のフローチャートの処理に代えて、上述したように、第2距離以上道なりとなる経路を走行中の場合に限りオンルート通知を行ってもよい。この場合、例えば、音声案内装置1は、ステップS104において、前回の案内経路に関する音声案内から第1距離だけ走行し又は第1時間だけ経過し、かつ、第2距離以上道なりとなる経路を車両Veが走行中であると判定した場合に、ステップS105に基づくオンルート通知を実行する。
【0057】
<第2実施例>
図6は、第2実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。第2実施例に係る音声案内システムは、車両Veと、音声案内装置1Aと、生体情報検出装置9とを有する。第2実施例に係る音声案内装置1Aは、第1距離又は第1時間に基づきオンルート通知を行う代わりに、生体情報検出装置9が検出する生体情報に基づき、運転者が不安に感じたタイミングを検出し、当該タイミングにおいてオンルート通知を行う点で、第1実施例と異なる。以後では、第1実施例と同様の構成要素については、第1実施例の構成要素と適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
生体情報検出装置9は、脈拍などの運転者の生体情報「Ib」を生成し、検出した生体情報Ibを音声案内装置1Aへ供給する。生体情報検出装置9が生成する生体情報Ibは、運転者の不安の度合に応じて変動する任意の生体指標値の時系列データであり、上述の生体指標値は、脈拍の他、脳波、発汗量等であってもよい。生体情報検出装置9は、運転者が装着する時計などのウェアラブルデバイスであってもよく、運転者の生体指標を検出するために運転席に設けられた専用のセンサであってもよい。生体情報検出装置9は、検出した生体情報Ibを、無線又は有線により音声案内装置1Aに送信する。
【0059】
音声案内装置1Aは、上述の第1実施例において説明した音声案内装置1と同様の構成(図2参照)を有する。そして、音声案内装置1Aは、通信部11を介し、生体情報検出装置9から受信する生体情報Ibを受信する。そして、音声案内装置1Aは、受信した生体情報Ibが示す時系列の生体指標値に基づき、運転者が不安に感じたタイミング(「不安タイミング」とも呼ぶ。)の検出を行う。
【0060】
図7は、生体情報Ibが示す生体指標値の車両Veの走行開始時刻「t0」からの時間変化の一例を示すグラフである。ここでは、生体指標値は、運転者の不安の度合が高いほど高い値になるものとする。
【0061】
図7の例では、まず、音声案内装置1Aは、走行開始時刻t0から所定時間後の時刻「t1」までの間に生成された生体情報Ibが示す生体指標値に基づき、不安タイミングを検出するための閾値(「不安判定閾値Th」とも呼ぶ。)を決定する。言い換えると、不安判定閾値Thは、生体情報検出装置9から得られた生体情報Ibが示す生体指標値が異常値であるか否か判定するための閾値となる。ここでは、音声案内装置1Aは、時刻t0から時刻t1までの生体指標値の平均値(その他の代表値であってもよい)を、運転者の通常の運転時での生体指標値を示す基準値として算出し、当該基準値よりも所定値だけ高い値を、不安判定閾値Thとして決定する。上述の所定値は、記憶部12に予め記憶されている。時刻t1は、時刻t0から予め定められた時間長だけ経過した時刻であってもよく、生体指標値が定常状態になったことを音声案内装置1Aが検知した時刻であってもよい。
【0062】
このように、音声案内装置1Aは、対象の運転者から過去に検出された生体指標値に基づき不安判定閾値Thを設定することで、生体指標値の個人差によらず、適切に不安判定閾値Thを定めることができる。なお、音声案内装置1Aは、上述の例に代えて、車両Veの走行開始から不安判定閾値Thを使用する直前までに検出された生体指標値に基づき、上述の基準値及び不安判定閾値Thを決定してもよい。同様に、音声案内装置1Aは、前回の車両Veの使用時に検出した生体指標値を記憶部12に記憶しておき、今回の車両Veの使用開始時に当該生体指標値を記憶部12から参照することで、上述の基準値及び不安判定閾値Thを決定してもよい。
【0063】
そして、音声案内装置1Aは、時刻「t2」付近において、生体情報検出装置9が検出する生体指標値が不安判定閾値Th以上となったことから、不安タイミングが発生したと判定する。この場合、音声案内装置1Aは、車両Veの位置情報と経路情報と地図DB4とに基づき、車両Veが案内経路に沿って走行していることを確認後、オンルート通知を行う。同様に、音声案内装置1Aは、時刻「t3」付近において、生体情報検出装置9が検出する生体指標値が不安判定閾値Th以上になり、かつ、車両Veが案内経路に沿って走行していることから、オンルート通知を行う。
【0064】
なお、音声案内装置1Aは、生体情報Ibが示す生体指標値をそのまま運転者の不安の度合とみなす代わりに、生体情報Ibに対して所定の演算を行うことで運転者の不安の度合を示す値(不安度)を算出し、当該不安度に基づき、不安タイミングを検出してもよい。また、不安タイミングの検出は、図7を用いて説明した例に限らず、音声案内装置1Aは、異常検知(アノマリーディテクション:Anomaly Detection)において一般的に用いられる任意の手法を用いて、生体情報Ibに基づき不安タイミングを検出してもよい。
【0065】
図8は、音声案内装置1Aが第2実施例において実行する経路案内処理の手順を示すフローチャートの一例である。音声案内装置1Aは、図8に示すフローチャートの処理を、目的地が設定された場合に実行する。
【0066】
まず、音声案内装置1Aは、設定された目的地に対する経路情報を取得する(ステップS201)。次に、音声案内装置1Aは、センサ群15の出力に基づき、車両Veの位置情報を取得する(ステップS202)。そして、音声案内装置1Aは、ステップS201で取得した経路情報及びステップS202で取得した車両Veの位置情報に基づき、車両Veが案内経路に沿った走行を行っているか否か判定する(ステップS203)。そして、音声案内装置1Aは、車両Veが案内経路に沿った走行を行っていないと判定した場合(ステップS203;No)、案内経路の再設定を行う(ステップS208)。
【0067】
そして、音声案内装置1Aは、車両Veが案内経路に沿った走行を行っていると判定した場合(ステップS203;Yes)、生体情報検出装置9から供給される生体情報Ibに基づき、不安タイミングを検出したか否か判定する(ステップS204)。この場合、音声案内装置1Aは、生体情報検出装置9から供給される生体情報Ibが示す現在の運転者の生体指標値が、記憶部12に記憶された不安判定閾値Th以上であるか否か判定する。なお、音声案内装置1Aは、走行開始直後から所定期間に生体情報検出装置9が検出した生体指標値に基づき不安判定閾値Thを決定する場合には、当該所定期間では、ステップS204の判定を行うことなくステップS206へ処理を進めてもよい。
【0068】
そして、音声案内装置1Aは、生体情報Ibに基づき不安タイミングを検出した場合(ステップS204;Yes)、オンルート通知を行う(ステップS205)。この場合、音声案内装置1Aは、案内経路に沿った走行である旨のみを音声出力してもよく、案内経路に沿った走行である旨に加えて次の案内地点に関する情報を音声出力してもよい。
【0069】
そして、音声案内装置1Aは、次の案内地点の案内タイミングであるか否か判定する(ステップS206)。そして、音声案内装置1Aは、次の案内地点の案内タイミングであると判定した場合(ステップS206;Yes)、次の案内地点に対する音声案内を行う(ステップS207)。一方、音声案内装置1Aは、次の案内地点の案内タイミングではないと判定した場合(ステップS206;No)、ステップS209へ処理を進める。
【0070】
次に、音声案内装置1Aは、案内経路に対する音声案内を終了すべきか否か判定する(ステップS209)。そして、音声案内装置1は、音声案内を終了すべきと判定した場合(ステップS209;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、音声案内装置1は、音声案内を終了すべきでないと判定した場合(ステップS209;No)、ステップS202へ処理を戻す。
【0071】
以上説明したように、第2実施例に係る音声案内装置1Aは、生体情報Ibに基づき不安タイミングを検出してオンルート通知を行うことで、案内経路に沿って走行しているか否かに基づく運転者の不安を好適に抑制又は解消することができる。
【0072】
<第3実施例>
図9は、第3実施例に係る音声案内システムの構成例である。第3実施例に係る音声案内システムは、主に、車両Veと、音声案内装置1Bと、サーバ装置2とを有する。なお、第1実施例と同様の構成要素については、第1実施例の構成要素と適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
音声案内装置1Bは、上述の第1実施例において説明した音声案内装置1と同様の構成(図2参照)を有する。なお、本変形例では、地図DB4に基づく経路探索処理及び経路案内処理をサーバ装置2が行うため、音声案内装置1Bは、地図DB4を有しなくともよい。そして、音声案内装置1Bは、ユーザにより目的地等を指定する入力を入力部13により検知した場合に、センサ群15が出力する車両Veの位置情報、及び、指定された目的地に関する情報などを含むアップロード信号「S1」をサーバ装置2に送信する。また、音声案内装置1Bは、車両Veの進行時において、車両Veの位置情報を含むアップロード信号S1をサーバ装置2に供給する。また、音声案内装置1Bは、車両Veの進行時において、サーバ装置2から音出力に関する制御信号「S2」を受信した場合、制御信号S2に基づき、音出力部17により音出力を行う。この場合、音声案内装置1Bは、制御信号S2に基づき、経路音声案内に関する出力、及び、オンルート通知の出力などを行う。
【0074】
サーバ装置2は、音声案内装置1Bから受信する目的地等を含むアップロード信号S1に基づき、車両Veが走行すべき案内経路を示す経路情報を生成する。そして、サーバ装置2は、その後に音声案内装置1Bが送信するアップロード信号S1が示す車両Veの位置情報と経路情報とに基づき、案内経路に関する音声案内又はオンルート通知の出力に関する制御信号S2を生成する。そして、サーバ装置2は、生成した制御信号S2を、音声案内装置1Bに送信する。
【0075】
図10は、サーバ装置2の概略構成の一例を示す。サーバ装置2は、主に、通信部21と、記憶部22と、制御部24とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン20を介して相互に接続されている。
【0076】
通信部21は、制御部24の制御に基づき、音声案内装置1Bなどの外部装置とのデータ通信を行う。記憶部22は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部22は、サーバ装置2が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部22は、地図DB4を含んでいる。制御部24は、CPU、GPUなどを含み、サーバ装置2の全体を制御する。また、制御部24は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することで、上述の実施例において説明した音声案内装置1の処理の少なくとも一部を実行する。例えば、制御部24は、音声案内装置1Bから通信部21を介して受信するアップロード信号S1に基づき、案内経路を示す経路情報の生成、及び、案内地点に関する音声案内又はオンルート通知の出力に関する制御信号S2の生成を行う。そして、制御部24は、生成した制御信号S2を、通信部21により音声案内装置1Bに送信する。
【0077】
ここで、サーバ装置2は、アップロード信号S1及び地図DB4に基づき、図5に示すフローチャートの処理を実行する。この場合、サーバ装置2は、ステップS101では、目的地及びセンサ群15の出力に関する情報を含むアップロード信号S1に基づき経路情報を生成する。また、サーバ装置2は、ステップS102では、音声案内装置1Bから送信されるセンサ群15の出力に関するアップロード信号S1に基づき、車両Veの位置情報を生成又は取得する。そして、ステップS105では、サーバ装置2は、オンルート通知の音声出力を指示する制御信号S2を生成し、当該制御信号S2を音声案内装置1Bに送信する。また、サーバ装置2は、ステップS107では、次の案内地点に関する音声案内の音声出力を指示する制御信号S2を生成し、当該制御信号S2を音声案内装置1Bに送信する。
【0078】
このように、サーバ装置2が経路案内に関する音声案内装置1Bの制御を実質的に行う場合であっても、音声案内システムは、第1実施例と同様、車両Veが経路音声案内の通りに案内地点を進行できたことをユーザに好適に通知することができる。第3実施例において、サーバ装置2は、「情報処理装置」の一例である。
【0079】
なお、第3実施例は、第2実施例と好適に組み合わせることができる。この場合、サーバ装置2は、車両Veに存在する生体情報検出装置9から生体情報Ibを受信することで、第2実施例の音声案内装置1Aと同様の手法により、不安タイミングの検出を行う。そして、サーバ装置2は、不安タイミングを検出した場合に、オンルート通知の音声出力を指示する制御信号S2を生成し、当該制御信号S2を音声案内装置1Bに送信する。
【0080】
<第4実施例>
第4実施例では、第1実施例に係る音声案内装置1、第2実施例に係る音声案内装置1A、又は第3実施例に係る音声案内装置1Bは、歩行者を案内するための携帯端末であり、設定された目的地へ到達するための歩行経路の音声案内を行う。そして、音声案内装置1、音声案内装置1A、又は、音声案内装置1Bの制御を行うサーバ装置2は、図5又は図8のフローチャートの処理を実行し、運転者が不安を感じるタイミングにおいてオンルート通知を行う。上述のタイミングは、第1実施例で説明した第1距離若しくは第1時間に基づくタイミング、又は第2実施例で説明した生体情報Ibに基づき検出される不安タイミングである。これにより、歩行者は、案内経路に沿って進行していることを、携帯端末の画面表示を見ることなく、聴覚のみにより好適に確認することができる。この場合、所謂歩きスマホなどの問題が生じないため、安全性を保ちつつオンルート通知を行うことができる。歩行者は、「移動体」の一例である。
【0081】
以上説明したように、音声案内装置1、音声案内装置1A又はサーバ装置2は、経路情報取得部と、位置情報取得部と、音声案内部と、通知部とを有する。経路情報取得部は、移動体が進行する経路を示す経路情報を取得する。位置情報取得部は、移動体の位置情報を取得する。音声案内部は、経路に関する音声案内を行う。通知部は、移動体が経路に沿って進行し、かつ、移動体が所定距離又は所定時間進行する間に音声案内部が音声案内を行っていない場合、移動体が経路に沿って進行していることを音声により通知する。これにより、移動体が経路に沿って進行していることを、聴覚により好適にユーザに認識させることができる。よって、音声案内が暫く行われていないことに起因してユーザが感じる不安を、好適に抑制又は解消することができる。
【0082】
なお、上述した各実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0083】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0084】
1 音声案内装置
2 サーバ装置
4 地図DB
9 生体情報検出装置
11、21 通信部
12、22 記憶部
13 入力部
14、24 制御部
15 センサ群
16 表示部
17 音出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10