(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072174
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】エンジニアリング装置及びエンジニアリング方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184550
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 英男
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223BB01
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF13
3C223FF15
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】 対象デバイスに設定されている設定済みデータが変更された際に、当該変更後の設定済みデータのエンジニアリングデータへの取り込み漏れを防止可能とする。
【解決手段】エンジニアリング装置10は、複数のデバイスから選択された任意のデバイスである対象デバイスと通信を行う通信部102と、対象デバイスから当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータを取得するデータ取得部1032と、取得されたデータに対する変更指示を受け付ける受付部106と、変更指示による変更後のデータを対象デバイスに送信する送信部107と、当該送信後、対象デバイスから、当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨の通知信号を受信した場合に、当該変更後のデータを第1保持部に登録されているエンジニアリングデータに反映させるデータ反映部1042とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に設置された機器を監視又は制御するための複数のデバイスから選択された任意のデバイスである対象デバイスと通信を行う通信部と、
前記通信部を介して、前記対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により前記対象デバイスから取得されたデータに対する変更指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた変更指示による変更後のデータを前記対象デバイスに送信する送信部と、
前記送信部による変更後のデータの送信後、前記対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データに対する当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号を受信した場合に、当該変更後のデータを、第1保持部に登録されている、前記複数のデバイスに対する設定データをまとめたエンジニアリングデータに反映させるデータ反映部と、
を備えたエンジニアリング装置。
【請求項2】
前記通信部を介して、前記対象デバイスから設定済みデータを取得する事前取得部と、
前記事前取得部により取得された設定済みデータを、前記第1保持部に登録されているエンジニアリングデータに反映させる事前反映部とを備え、
前記データ取得部は、前記事前反映部による反映後、設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータの取得を行う
ことを特徴とする請求項1記載のエンジニアリング装置。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記通信部を介して、前記対象デバイスから、設定済みデータのうちの、所定の表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジニアリング装置。
【請求項4】
前記データ取得部により取得されたデータを第2保持部に登録する取得データ登録部を備え、
前記データ反映部は、
前記送信部による変更後のデータの送信後、前記対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データに対する当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号を受信した場合に、当該変更後のデータを、前記第2保持部に登録されているデータに反映させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか1項記載のエンジニアリング装置。
【請求項5】
前記第1保持部には、前記複数のデバイスのうちの前記通信部による通信が許可されたデバイスの識別情報と、当該通信が許可されたデバイスに対する設定データとが対応付けられたエンジニアリングデータが登録され、
前記対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、前記第1保持部に登録されているエンジニアリングデータに含まれるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により、前記対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、前記第1保持部に登録されているエンジニアリングデータに含まれると判断された場合、前記通信部による当該対象デバイスとの通信を維持し、
前記判断部により、前記対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、前記第1保持部に登録されているエンジニアリングデータに含まれていないと判断された場合、前記通信部による当該対象デバイスとの通信を遮断する通信設定部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のエンジニアリング装置。
【請求項6】
前記通信設定部により、前記通信部による前記対象デバイスとの通信が遮断された場合、当該通信が遮断された旨の警告を出力する出力部を備えたことを特徴とする請求項5記載のエンジニアリング装置。
【請求項7】
前記通信部を介して、前記対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの一部のデータを取得する第2データ取得部と、
前記第1保持部に登録されているエンジニアリングデータと、前記第2データ取得部により取得されたデータとの差分を抽出し、当該抽出した差分を、前記第1保持部に登録されているエンジニアリングデータに反映させるデータ統合部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちの何れか1項記載のエンジニアリング装置。
【請求項8】
エンジニアリング装置によるエンジニアリング方法であって、
通信部が、施設内に設置された機器を監視又は制御するための複数のデバイスから選択された任意のデバイスである対象デバイスと通信を行うステップと、
データ取得部が、前記通信部を介して、前記対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータを取得するステップと、
受付部が、前記データ取得部により前記対象デバイスから取得されたデータに対する変更指示を受け付けるステップと、
送信部が、前記受付部により受け付けられた変更指示による変更後のデータを前記対象デバイスに送信するステップと、
データ反映部が、前記送信部による変更後のデータの送信後、前記対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データに対する当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号を受信した場合に、当該変更後のデータを、第1保持部に登録されている、前記複数のデバイスに対する設定データをまとめたエンジニアリングデータに反映させるステップと、
を有するエンジニアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施設監視システムを構成するデバイスに対する各種設定を行うエンジニアリング装置及びエンジニアリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設内に設置されている機器の監視又は制御を行う複数のデバイス(例えばプライマリデバイス及びセカンダリデバイス等)を動作させるための設定データを作成するエンジニアリング装置が知られている(例えば特許文献1参照)。エンジニアリング装置は、デバイス毎に設定データを作成し、作成した設定データを各デバイスにダウンロード(受信)させることで、施設監視システムを構築する。各デバイスは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作し、自機以外の他のデバイス、又は、施設内に設置された1つ以上の機器を監視又は制御する。
【0003】
例えば、施設監視システムは、プライマリデバイスと、プライマリデバイスの配下に接続されるセカンダリデバイスと、セカンダリデバイスの配下に接続される機器とを含んで構成される。プライマリデバイスは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下のセカンダリデバイスを監視又は制御する。また、セカンダリデバイスは、エンジニアリング装置からダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下の機器を監視又は制御する。
【0004】
施設監視システムを構築する場合、エンジニアリング装置は、エンジニアリングモードとして動作し、例えば設定画面を表示装置に表示させる。設定画面は、設定データの作成及び確認を行うための画面であり、当該設定データを示す項目(セル)を有する。そして、管理者等は、設定画面を用いて設定データの作成等を行うことでエンジニアリング作業を行う。そして、エンジニアリング装置は、管理者等によるエンジニアリング作業で得られた設定データをまとめたデータを、エンジニアリングデータとして1つの保持部(データベース)に保持している。
【0005】
また、エンジニアリング装置は、コネクトモードとして動作する場合もある。コネクトモードとして動作する場合、エンジニアリング装置は、デバイスに直接接続し、接続先のデバイスに対して例えば設定データの書き込みを行う(例えば特許文献2参照)。また、エンジニアリング装置は、コネクトモードとして動作する場合、当該接続先のデバイスから、当該デバイスに既に設定されている設定データ(以下、「設定済みデータ」ともいう。)を取得する場合もある。
【0006】
例えば、エンジニアリング装置は、管理者等の指示に応じて、接続先のデバイスに既に設定されている設定済みデータのうち、所定の表示画面を構成するために必要なデータ(以下、「画面構成データ」ともいう。)を当該デバイスから取得して表示画面を構成し、表示装置に表示させる。また、エンジニアリング装置は、当該表示画面を介して、管理者等から画面構成データの変更指示を受け付ける場合もある。
【0007】
なお、このような表示画面は、1画面あたりの情報量が多く、1つの画面に多くの情報を表示させるのが困難な場合も多い。したがって、エンジニアリング装置には、予め複数の表示画面が用意され、管理者等の指示に応じて、目的に応じた情報を1画面ごとに表示させている。また、エンジニアリング装置では、通信量を削減する観点、及び画面表示速度の低下を抑制する観点から、管理者等の指示に応じて表示画面が切り替わる度に、あるいは、同一の表示画面について定期的に、その表示画面を構成するために必要な画面構成データを接続先のデバイスから取得し、表示画面を構成している。なお、エンジニアリング装置には、デバイス検索機能が搭載されており、管理者等は、数多くのデバイスの中から、コネクトモードで接続を希望するデバイスを絞り込むこともできる。
【0008】
ところで、従来のエンジニアリング装置は、
図13に示すように、コネクトモードとして動作する際に使用する保持部(データベース)200を、エンジニアリングモードとして動作する際に使用する保持部100とは別に備えている。前者の保持部200は、主に、エンジニアリング装置がコネクトモードとして動作する際に、接続先のデバイス(以下、「対象デバイス」ともいう。)300から取得した設定済みデータ(例えば画面構成データ)、あるいは、対象デバイス300が動作することによって変化した設定済みデータを一時的に保持するために使用される。また、後者の保持部100は、主にエンジニアリングモードでの管理者等によるエンジニアリング作業により得られたエンジニアリングデータ、すなわち、対象デバイス300を含む複数のデバイスに対して設定される設定データを保持するために使用される。
【0009】
なお、2つの保持部は、
図14に示すように、基本的に同一のデータ構造を有しているが、コネクトモードでのみ使用されるデータ領域(
図14に示す保持部200におけるデータ構造のうちの斜線で示される部分)も一部に存在する。
【0010】
なお、エンジニアリング装置がモード毎に保持部を備えるのは以下のような理由による。例えば、管理者等によりエンジニアリングデータが作成される前の段階で、管理者等が、施設などの現場に設置されているデバイスに設定されている設定済みデータを確認したい場合がある。そのような場合、エンジニアリング装置は、コネクトモードで現場に設置されているデバイスに接続し、このデバイスから設定済みデータを取得し、表示画面に表示させる。このとき、当該デバイスから取得した設定済みデータを、エンジニアリングデータを保持するための領域とは別の領域に一時的に保持できるようにすると便宜であるため、モード毎に保持部を備えている。
【0011】
また、例えば、管理者等がエンジニアリングモードを用いて、第1の現場向けのエンジニアリングデータを作成し、保持部に登録した段階で、第1の現場とは別の第2の現場に設置されているデバイスの設定済みデータを確認したい場合、モード毎に保持部が分かれていないと、管理者等は異なる現場向けのデータを区別して管理することが困難となる場合がある。このような理由から、エンジニアリング装置はモード毎に保持部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2020-160909号公報
【特許文献2】特開2019-139699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、従来のエンジニアリング装置では上述のように、コネクトモードにおいて、対象デバイスから取得した画面構成データの変更が可能である。その際、エンジニアリング装置は、管理者等の指示に応じて、所定の表示画面を構成するために必要な画面構成データを対象デバイス300から取得する。そして、エンジニアリング装置は、取得した画面構成データを保持部200に登録するとともに、当該取得した画面構成データを用いて表示画面を生成し、表示装置に表示させる。
【0014】
その後、エンジニアリング装置は、当該表示画面を介して、管理者等から、画面構成データの変更指示を受け付ける。この変更指示を受け付けると、エンジニアリング装置は、当該変更指示とともに受け付けた変更後の画面構成データを対象デバイス300に送信する。対象デバイス300は、自機で保持している画面構成データを、エンジニアリング装置から受信した変更後の画面構成データに変更し、変更が正常に終了した場合、その旨を通知する信号(以下、「正常終了信号」ともいう。)をエンジニアリング装置に送信する。エンジニアリング装置は、対象デバイス300から、当該正常終了信号を受信すると、保持部200に保持されている画面構成データを、当該変更後の画面構成データに変更する。エンジニアリング装置は、以上の処理を、管理者等の指示により表示画面が変更される毎に実行し、管理者等によりコネクトモードの終了が指示されると、保持部200に登録されていた画面構成データを破棄する。
【0015】
ここで、エンジニアリング装置では、当該変更後の画面構成データを、保持部100に保持されているエンジニアリングデータにも反映させる必要がある。この反映を行わないと、エンジニアリングデータが対象デバイス300に書き込まれた際、対象デバイス300に書き込まれている変更後の画面構成データが変更前の状態に戻ってしまうためである。ところが、エンジニアリング装置では、
図15に示すように、コネクトモードにおいては、変更後の画面構成データをエンジニアリングデータに反映させることができない。
【0016】
そこで、エンジニアリング装置は差分チェックモードとして動作する。差分チェックモードでは、エンジニアリング装置は、
図16に示すように、管理者等により指定された対象デバイス300から、変更後の画面構成データを含む設定済みデータ310を取得(バックアップ)し、取得した設定済みデータ310と、保持部100に登録されているエンジニアリングデータとを突き合わせて差分を抽出し、抽出した差分を保持部100に登録されているエンジニアリングデータに取り込む。
【0017】
ところが、上記のような差分チェックモードでの差分の取り込みは、対象デバイス300毎に指定して実施されることから、管理者等が画面構成データに対して変更指示を与えた対象デバイス300の台数が多数に及ぶと、管理者等は、そのうちの数台の対象デバイス300について、差分の取り込みの実施を忘れてしまう場合がある。
【0018】
例えば、
図17に示すように、管理者等が4台の対象デバイス301~304について画面構成データを変更した場合、本来であれば、管理者等は4台の対象デバイスについて、上記の反映を行わなければならない。ところが、仮に管理者等が、対象デバイス304について画面構成データの変更を行ったことを忘れてしまった場合、この対象デバイス304については、変更後の画面構成データがエンジニアリングデータに取り込まれず、取り込み漏れを生じてしまうという問題があった。
【0019】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、対象デバイスに設定されている設定済みデータが変更された際に、当該変更後の設定済みデータのエンジニアリングデータへの取り込み漏れを防止可能なエンジニアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明に係るエンジニアリング装置は、施設内に設置された機器を監視又は制御するための複数のデバイスから選択された任意のデバイスである対象デバイスと通信を行う通信部と、通信部を介して、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータを取得するデータ取得部と、データ取得部により対象デバイスから取得されたデータに対する変更指示を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた変更指示による変更後のデータを対象デバイスに送信する送信部と、送信部による変更後のデータの送信後、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データに対する当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号を受信した場合に、当該変更後のデータを、第1保持部に登録されている、複数のデバイスに対する設定データをまとめたエンジニアリングデータに反映させるデータ反映部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、上記のように構成したので、対象デバイスに設定されている設定済みデータが変更された際に、当該変更後の設定済みデータのエンジニアリングデータへの取り込み漏れを防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係るエンジニアリング装置を備えた施設監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るエンジニアリング装置の構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るエンジニアリング装置による事前反映の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係るエンジニアリング装置による事前反映後の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1における第1反映部による事前反映の概要を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るエンジニアリング装置による効果を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係るエンジニアリング装置による別の効果を説明する図である。
【
図8】実施の形態2に係るエンジニアリング装置の構成例を示す図である。
【
図9】実施の形態2に係るエンジニアリング装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態2に係るエンジニアリング装置の動作例の概要を説明する図である。
【
図11】実施の形態3に係るエンジニアリング装置の構成例を示す図である。
【
図12】実施の形態3に係るエンジニアリング装置の構成例を示す図である。
【
図13】従来のエンジニアリング装置における保持部の構成例を示す図である。
【
図14】従来のエンジニアリング装置における保持部のデータ構造を説明する図である。
【
図15】従来のエンジニアリング装置の動作例を説明する図である。
【
図16】従来のエンジニアリング装置の動作例を説明する図である。
【
図17】従来のエンジニアリング装置の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るエンジニアリング装置10を備えた施設監視システム1000の構成例を示す図である。施設監視システム1000は、
図1に示すように、エンジニアリング装置10、プライマリデバイス20、及びセカンダリデバイス30を備える。エンジニアリング装置10、プライマリデバイス20、及びセカンダリデバイス30は、ネットワークを介して接続される。
【0024】
なお、
図1では施設監視システム1000にプライマリデバイス20が1つ、セカンダリデバイス30が3つ備えられているが、プライマリデバイス20、及びセカンダリデバイス30の台数はこれに限られない。また、セカンダリデバイス30には、制御又は監視の対象となる機器が接続されているが、
図1ではこの機器の表示を省略している。
【0025】
エンジニアリング装置10は、上述した設定データの作成を含むエンジニアリング処理を行い、施設監視システム1000を構築する。設定データは、例えば、プライマリデバイス20が配下のセカンダリデバイス30を監視又は制御するためのプライマリデバイス20用の設定データ、及び、セカンダリデバイス30が配下の機器を監視又は制御するためのセカンダリデバイス30用の設定データである。また、エンジニアリング装置10は、プライマリデバイス20用の設定データ、及びセカンダリデバイス30用の設定データをまとめたデータを、エンジニアリングデータとして第1保持部1101(
図2参照)に保持する。
【0026】
プライマリデバイス20は、エンジニアリング装置10が保持するエンジニアリングデータのうち、自機に対応する設定データをエンジニアリング装置10からダウンロードし、当該ダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下のセカンダリデバイス30を監視又は制御する。
【0027】
セカンダリデバイス30は、エンジニアリング装置10が保持するエンジニアリングデータのうち、自機に対応する設定データをエンジニアリング装置10からダウンロードし、当該ダウンロードした設定データに基づいて動作することで、配下の機器を監視又は制御する。機器は、施設内に設置されており、例えば、センサ、温度計、モータ、ダンパ又は電力計で構成される。
【0028】
次に、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10の構成例について、
図2を参照しながら説明する。
【0029】
エンジニアリング装置10は、
図2に示すように、登録部101(エンジニアリングデータ登録部1011、及び取得データ登録部1012)、通信部102、取得部103(事前取得部1031、及びデータ取得部1032)、反映部104(事前反映部1041、及びデータ反映部1042)、表示制御部105、受付部106、送信部107、受信部108、及び保持部110(第1保持部1101、及び第2保持部1102)を備える。また、エンジニアリング装置10は、ディスプレイ等の表示装置50に接続されている。
【0030】
エンジニアリングデータ登録部1011は、施設内に設置された機器を監視又は制御するための複数のデバイス(プライマリデバイス20及びセカンダリデバイス30)に対して設定される設定データをまとめたエンジニアリングデータを第1保持部1101に登録する。
【0031】
通信部102は、複数のデバイスから管理者等により選択された任意のデバイスである対象デバイスと通信を行う。対象デバイスは、エンジニアリング装置10がコネクトモードとして動作する際に、エンジニアリング装置10の接続先となるデバイスである。
【0032】
事前取得部1031は、通信部102を介して、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータを取得する。
【0033】
事前反映部1041は、事前取得部1031により取得された設定済みデータを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる。以下、この事前反映部1041による反映を「事前反映」ともいう。
【0034】
表示制御部105は、管理者等の指示に応じて、所定の表示画面を表示装置50に表示させる。
【0035】
データ取得部1032は、事前反映部1041による事前反映後に、通信部102を介して、対象デバイスから、設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータを取得する。例えば、データ取得部1032は、事前反映部1041による事前反映後に、通信部102を介して、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、表示制御部105により表示装置50に表示される表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得する。
【0036】
取得データ登録部1012は、データ取得部1032により取得されたデータ(例えば画面構成データ)を第2保持部1102に登録する。
【0037】
受付部106は、データ取得部1032により取得されたデータ(例えば画面構成データ)に対する変更指示を受け付ける。
【0038】
送信部107は、受付部106により受け付けられた変更指示による変更後のデータを対象デバイスに送信する。
【0039】
受信部108は、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定済みデータに対する変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号(正常終了信号)を受信する。
【0040】
データ反映部1042は、受信部108により正常終了信号が受信された場合に、変更後のデータを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる。なお、データ反映部1042は、受信部108により正常終了信号が受信された場合に、変更後のデータを、第2保持部1102に登録されているデータに反映させてもよい。
【0041】
第1保持部1101は、エンジニアリング装置10がエンジニアリングモードで使用する各種情報を保持する。例えば、第1保持部1101は、エンジニアリングデータ登録部1011により登録されたエンジニアリングデータを保持する。
【0042】
第2保持部1102は、エンジニアリング装置10がコネクトモードで使用する各種情報を保持する。例えば、第2保持部1102は、データ取得部1032により取得されたデータ(設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータ)を保持する。
【0043】
なお、第1保持部1101及び第2保持部1102は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリ等で構成される。また、第1保持部1101及び第2保持部1102は、
図14で説明したように、基本的に同一のデータ構造を有している。
【0044】
また、
図2では、第1保持部1101及び第2保持部1102がエンジニアリング装置10の内部に設けられた場合を示しているが、第1保持部1101及び第2保持部1102はエンジニアリング装置10の外部に設けられていてもよい。
【0045】
また、登録部101、通信部102、取得部103、反映部104、表示制御部105、受付部106、送信部107、及び受信部108の機能は、例えばエンジニアリング装置10が備える不図示のCPU(Central Processing Unit)が、不図示のメモリに展開された所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0046】
また、
図2では、登録部101、事前取得部1031、事前反映部1041、及び表示制御部105がエンジニアリング装置10に設けられた場合を示しているが、これらの各部は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
【0047】
次に、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10の動作例について、
図3及び
図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、はじめに
図3を参照しながら、上述した事前反映の動作例について説明し、次に
図4を参照しながら、事前反映後の動作例について説明する。また、以下の説明では、エンジニアリング装置10はコネクトモードで動作するものとし、第1保持部1101には、エンジニアリングデータ登録部1011により予めエンジニアリングデータが登録されているものとする。
【0048】
まず、通信部102は、複数のデバイスから管理者等により選択された任意のデバイスである対象デバイス(例えばセカンダリデバイス30)と通信を行う(ステップST301)。
【0049】
次に、事前取得部1031は、通信部102を介して、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータを取得する(ステップST302)。
【0050】
次に、事前反映部1041は、事前取得部1031により取得された設定済みデータを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる(ステップST303)。
【0051】
このように、事前反映では、エンジニアリング装置10は、対象デバイスから取得された設定済みデータを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる。その際、エンジニアリング装置10は、エンジニアリングモードとコネクトモードとを連携させることで、上述した差分チェックモードでの動作を介さずに当該反映を行う。
【0052】
これにより、エンジニアリング装置10では、
図5に示すように、対象デバイス(例えばセカンダリデバイス30)から取得した設定済みデータ310と、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータのうちの、当該対象デバイスに対する設定データとが一致する。
【0053】
なお、上記ステップST301~ST303で説明した事前反映は、必ずしも実施される必要はない。例えば、対象デバイスから取得した設定済みデータ310と、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータのうちの、当該対象デバイスに対する設定データとが一致していることが明らかな場合は、上記の事前反映は実施されなくともよい。
【0054】
次に、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10の事前反映後の動作例について、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、データ取得部1032は、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、表示制御部105により表示装置50に表示される表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得するものとする。
【0055】
まず、データ取得部1032は、通信部102を介して、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、表示制御部105により表示装置50に表示される表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得する(ステップST401)。
【0056】
次に、取得データ登録部1012は、データ取得部1032により取得された画面構成データを第2保持部1102に登録する(ステップST402)。
【0057】
次に、受付部106は、例えば表示画面を介して、管理者等から、データ取得部1032により取得された画面構成データに対する変更指示を受け付ける(ステップST403)。なお、表示制御部105は、受付部106により管理者等から変更指示が受け付けられた場合に、表示画面において、変更指示が受け付けられた項目部分の表示色を例えば黄色等で表示してもよい。
【0058】
次に、送信部107は、受付部106により受け付けられた変更指示による変更後の画面構成データを対象デバイスに送信する(ステップST404)。
【0059】
その後、対象デバイスは、上記変更後の画面構成データを受信し、当該対象デバイスに設定されている設定済みデータに対する当該変更後の画面構成データの反映を行う。そして、対象デバイスは、変更後の画面構成データの反映が正常に終了した場合、その旨を通知する信号(正常終了信号)をエンジニアリング装置10に送信する。一方、対象デバイスは、変更後の画面構成データの反映が正常に終了しなかった場合、上記正常終了信号の送信を行わないか、又は、上記反映が正常に終了しなかった旨を通知する信号(異常信号)をエンジニアリング装置10に送信する。
【0060】
次に、受信部108は、対象デバイスから、変更後の画面構成データの反映が正常に終了した旨を通知する信号(正常終了信号)を受信する(ステップST405)。このとき、表示制御部105は、表示画面において、変更指示が受け付けられた項目部分の表示色例えば黄色等から青色等に変更させてもよい。
【0061】
次に、データ反映部1042は、受信部108により正常終了信号が受信された場合に、変更後の画面構成データを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる(ステップST406)。
【0062】
次に、データ反映部1042は、受信部108により正常終了信号が受信された場合に、変更後の画面構成データを、第2保持部1102に登録されている画面構成データに反映させる(ステップST407)。
【0063】
なお、ステップST405において、受信部108により正常終了信号が受信されない場合(すなわち、対象デバイスから異常信号を受信した場合、又は、変更後の画面構成データを対象デバイスに送信してから所定時間を経過しても正常終了信号が受信されない場合)、ステップST406及びST407の処理は実施されない。また、その場合、表示制御部105は、表示画面において、変更指示が受け付けられた項目部分の表示色を例えば黄色等から赤色等に変更させてもよい。また、ステップST402及びステップST407の処理は必須ではなく、省略されていてもよい。
【0064】
なお、上記の説明では、データ取得部1032は、管理者等による指定に従い、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、表示装置50に表示された表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得する例を説明した。しかしながら、これに限らず、データ取得部1032は、管理者等による指定に従い、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、画面構成データ以外のデータを取得してもよい。
【0065】
このように、エンジニアリング装置10では、まず事前反映を行い、第1保持部1101に保持されているエンジニアリングデータと、対象デバイスから取得した設定済みデータとを一致させる。そして、その前提のもとで、エンジニアリング装置10は、管理者等により、対象デバイスから取得した設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータ(例えば画面構成データ)に対する変更指示があった場合に、エンジニアリングモードとコネクタモードとを連携させることで、
図6に示すように、当該変更内容を、差分チェックモードを介さずに、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる。
【0066】
これにより、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10では、コネクトモードにおいて、設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータに対する変更指示があった場合に、当該変更内容が速やかにエンジニアリングデータに反映され、
図17で説明したような、変更後のデータのエンジニアリングデータへの取り込み漏れが防止される。また、従来のように、取り込みの際に差分チェックモードを経由する必要がないため、管理者等の手間も軽減される。
【0067】
また、従来、管理者等は上記のような取り込み漏れが生じるのを恐れて、本来なら設定済みデータを取り込む必要のないデバイスからも設定済みデータを取得し、エンジニアリングデータに反映させるといった無駄な処理を行ってしまう場合もあった。この点、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10では、コネクトモードにおいて、設定済みデータのうちの少なくとも一部に対する変更指示があった場合に、当該変更内容が速やかにエンジニアリングデータに反映されるため、このような無駄な処理を行う必要もなくなる。
【0068】
さらに、エンジニアリング装置10による別の効果として、以下のような効果が期待できる。例えば、複数の管理者がエンジニアリング装置10のコネクトモードを使用して同一のデバイスに接続し、それぞれの管理者が、当該デバイスの設定済みデータのうちの、互いに異なる一部に対して変更指示を行った場合、ある管理者は、自分以外の他の管理者が変更した箇所を差分として抽出することができる。
【0069】
例えば、
図7に示すように、管理者Aが、自らのエンジニアリング装置10の第1保持部1101aに登録されているエンジニアリングデータを、管理者Bのエンジニアリング装置10の第1保持部1101bにコピーし、管理者Aと管理者Bとが、各自のエンジニアリング装置10のコネクトモードを用いて同一のセカンダリデバイス30に接続する。このとき、作業分担として、管理者Aは表示画面Xの画面構成データxの編集を担当し、管理者Bは表示画面Xと異なる表示画面Yの画面構成データyの編集を担当する。
【0070】
管理者Aは、自らのエンジニアリング装置10を用いて、表示画面Xを構成するための画面構成データxをセカンダリデバイス30から取得し、取得した画面構成データxに基づいて表示画面Xを表示装置に表示させる。管理者Aは、この画面構成データxに対して変更指示を行い、変更後の画面構成データx´をセカンダリデバイス30に送信する。セカンダリデバイス30から、画面構成データx´への変更が正常に終了した旨の正常終了信号を受信すると、管理者Aのエンジニアリング装置10は、変更後の画面構成データx´を、第1保持部1101aに登録されているエンジニアリングデータに反映させる。
【0071】
同様に、管理者Bは、自らのエンジニアリング装置10を用いて、表示画面Yを構成するための画面構成データyをセカンダリデバイス30から取得し、取得した画面構成データyに基づいて表示画面Yを表示装置に表示させる。管理者Bは、この画面構成データyに対して変更指示を行い、変更後の画面構成データy´をセカンダリデバイス30に送信する。セカンダリデバイス30から、画面構成データy´への変更が正常に終了した旨の正常終了信号を受信すると、管理者Bのエンジニアリング装置10は、変更後の画面構成データy´を、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに反映させる。
【0072】
上記の処理により、セカンダリデバイス30には、変更後の画面構成データx´と、変更後の画面構成データy´との双方が書き込まれた状態となる。そして、上記の処理終了後、管理者Aは、エンジニアリング装置10の差分チェックモードを用いて、セカンダリデバイス30から設定済みデータ310を取得(バックアップ)し、取得した設定済みデータ310と、第1保持部1101aに登録されているエンジニアリングデータとの差分を抽出する。すると、第1保持部1101aに登録されているエンジニアリングデータには、既に変更後の画面構成データx´が反映されているため、差分としては変更後の画面構成データy´、すなわち、管理者Bにより変更された内容のみが抽出される。これにより、管理者Aは、管理者Bにより変更された内容を容易に把握することができる。
【0073】
同様に、管理者Bは、エンジニアリング装置10の差分チェックモードを用いて、セカンダリデバイス30から設定済みデータ310を取得(バックアップ)し、取得した設定済みデータ310と、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータとの差分を抽出する。すると、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータには、既に変更後の画面構成データy´が反映されているため、差分としては変更後の画面構成データx´、すなわち、管理者Aにより変更された内容のみが抽出される。これにより、管理者Bは、管理者Aにより変更された内容を容易に把握することができる。
【0074】
この点、従来のエンジニアリング装置では、上記のような流れで差分を抽出すると、管理者A及び管理者Bのエンジニアリング装置では、差分として、変更後の画面構成データx´、及び変更後の画面構成データy´の双方が抽出される。そのため、各管理者は、自分以外の管理者が変更した内容のみを容易に把握することが困難であった。このような点が、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10では解消される。
【0075】
以上のように、実施の形態1によれば、エンジニアリング装置10は、施設内に設置された機器を監視又は制御するための複数のデバイスから選択された任意のデバイスである対象デバイスと通信を行う通信部102と、通信部102を介して、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータを取得するデータ取得部1032と、データ取得部1032により対象デバイスから取得されたデータに対する変更指示を受け付ける受付部106と、受付部106により受け付けられた変更指示による変更後のデータを対象デバイスに送信する送信部107と、送信部107による変更後のデータの送信後、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データに対する当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号を受信した場合に、当該変更後のデータを、第1保持部1101に登録されている、複数のデバイスに対する設定データをまとめたエンジニアリングデータに反映させるデータ反映部1042と、を備えた。これにより、エンジニアリング装置10は、対象デバイスに設定されている設定済みデータが変更された際に、当該変更後の設定済みデータのエンジニアリングデータへの取り込み漏れを防止可能となる。
【0076】
また、エンジニアリング装置10は、通信部102を介して、対象デバイスから設定済みデータを取得する事前取得部1031と、事前取得部1031により取得された設定済みデータを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる事前反映部1041とを備え、データ取得部1032は、事前反映部1041による反映後、設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータの取得を行う。これにより、エンジニアリング装置10は、データ取得部1032による対象デバイスからのデータの取得に先立ち、対象デバイスから取得した設定済みデータを、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させることができる。
【0077】
また、データ取得部1032は、通信部102を介して、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、所定の表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得する。これにより、エンジニアリング装置10は、対象デバイスに設定されている設定済みデータのうち、特に所定の表示画面を構成するために必要な画面構成データが変更された際に、当該変更後の画面構成データのエンジニアリングデータへの取り込み漏れを防止可能となる。
【0078】
また、エンジニアリング装置10は、データ取得部1032により取得されたデータを第2保持部1102に登録する取得データ登録部1012を備え、データ反映部1042は、送信部107による変更後のデータの送信後、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データに対する当該変更後のデータの反映が正常に終了した旨を通知する信号を受信した場合に、当該変更後のデータを、第2保持部1102に登録されているデータに反映させる。これにより、エンジニアリング装置10は、対象デバイスから取得された設定済みデータ、及び変更後の設定済みデータを、エンジニアリングデータとは別の領域に保持することができる。
【0079】
実施の形態2.
実施の形態1では、対象デバイスに設定されている設定済みデータのうちの少なくとも一部のデータが変更された際に、当該変更後のデータのエンジニアリングデータへの取り込み漏れを防止可能とする例について説明した。実施の形態2では、エンジニアリング装置がコネクトモードにおいて対象デバイスに接続する際に、当該対象デバイスが接続(通信)を許可されたデバイスであるか否かを判定可能とする例について説明する。
【0080】
エンジニアリング作業では、複数の管理者がそれぞれ各自のエンジニアリング装置10を使用する。その際、例えば管理者Aはコネクトモードでプライマリデバイス20に接続し、管理者Bはコネクトモードでセカンダリデバイス30に接続するというように、デバイス毎に担当を分担するケースもある。その場合、各自のエンジニアリング装置10には、すべてのデバイスに対する設定データをまとめたエンジニアリングデータでなくとも、少なくとも自らが担当するデバイスに対する設定データを含むエンジニアリングデータが保持されていれば足りる場合もある。
【0081】
そこで、実施の形態2では、実施の形態1で説明した、コネクトモードとエンジニアリングモード(エンジニアリングデータ)との連携性を利用し、エンジニアリング装置がコネクトモードで対象デバイスに接続した際に、エンジニアリングデータを参照することで、対象デバイスが、接続(通信)を許可されたデバイスであるか否かの判断を行う。
【0082】
図8は、実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bの構成例を示す図である。実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bは、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10に対し、第1保持部1101が第1保持部1101bに変更され、判断部121、通信設定部122、及び出力部123が追加されている。エンジニアリング装置10bのその他の構成については、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
第1保持部1101bは、複数のデバイスのうちの通信部102による通信が許可されたデバイスの識別情報(例えばデバイスのID)と、当該デバイスに対する設定データとが対応付けられたエンジニアリングデータを保持する。なお、通信部102による通信が許可されたデバイスは、例えば管理者が自ら担当するデバイスである。
【0084】
判断部121は、対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれるか否かを判断する。
【0085】
通信設定部122は、判断部121により、対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれると判断された場合、通信部102による対象デバイスとの通信を維持する。
【0086】
一方、通信設定部122は、判断部121により、対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに保持されているエンジニアリングデータに含まれていないと判断された場合、通信部102による対象デバイスとの通信を遮断する。
【0087】
出力部123は、通信設定部122により、通信部102による対象デバイスとの通信が遮断された場合、当該通信が遮断された旨の警告を出力する。例えば、出力部123は、当該通信が遮断された旨のメッセージを表示装置50に表示する。
【0088】
次に、
図8に示す実施の形態2に係るエンジニアリング装置10bの動作例について、
図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0089】
なお、以下の動作例では、説明を分かり易くするため、
図10示すように、エンジニアリング装置10bは、コネクトモードにより、セカンダリデバイス30(セカンダリデバイス31~34)に対して接続を行うものとする。また、第1保持部1101bには、セカンダリデバイス30のうち、通信部102による通信が許可された2台のセカンダリデバイス31,32の識別情報と、当該セカンダリデバイス31,32に対する設定データとが対応付けられたエンジニアリングデータが予め登録されているものとする。
【0090】
まず、通信部102は、複数のデバイスから管理者等により選択されたセカンダリデバイス30と通信を行う(ステップST901)。
【0091】
次に、判断部121は、通信部102により通信が行われているセカンダリデバイス30(対象デバイス)の識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれるか否かを判断する(ステップST902)。
【0092】
その結果、判断部121により、通信部102により通信が行われているセカンダリデバイス30の識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれると判断された場合(ステップST902;YES)、通信設定部122は、通信部102によるセカンダリデバイス30との通信を維持する(ステップST903)。
【0093】
一方、判断部121により、通信部102により通信が行われているセカンダリデバイス30の識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれていないと判断された場合(ステップST902;NO)、通信設定部122は、通信部102によるセカンダリデバイス30との通信を遮断する(ステップST904)。
【0094】
次に、出力部123は、通信設定部122により、通信部102によるセカンダリデバイス30との通信が遮断された旨の警告を出力する(ステップST905)。なお、このステップST905は省略されていてもよい。
【0095】
なお、上記の処理を行った結果、エンジニアリング装置10bは、
図10に「〇」又は「×」で示すように、セカンダリデバイス31、32との通信は維持され、セカンダリデバイス33、34との通信は遮断されることになる。
【0096】
以上のように、実施の形態2によれば、エンジニアリング装置10bは、第1保持部1101bには、複数のデバイスのうちの通信部102による通信が許可されたデバイスの識別情報と、当該通信が許可されたデバイスに対する設定データとが対応付けられたエンジニアリングデータが登録され、対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれるか否かを判断する判断部121と、判断部121により、対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれると判断された場合、通信部102による当該対象デバイスとの通信を維持し、判断部121により、対象デバイスの識別情報と同一の識別情報が、第1保持部1101bに登録されているエンジニアリングデータに含まれていないと判断された場合、通信部102による当該対象デバイスとの通信を遮断する通信設定部122と、を備えた。これにより、エンジニアリング装置10bは、予め通信を許可された対象デバイスとの通信のみが可能となり、その他の対象デバイスとの通信を確実に遮断することができる。
【0097】
また、エンジニアリング装置10bは、通信設定部122により、通信部102による対象デバイスとの通信が遮断された場合、当該通信が遮断された旨の警告を出力する出力部123を備えた。これにより、管理者等は、対象デバイスとの通信が遮断された旨を容易に把握することができる。
【0098】
実施の形態3.
実施の形態3では、差分チェックモードにより、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータと、コネクトモードで対象デバイスから取得したデータ(設定済みデータのうちの一部のデータ)との比較を行う例について説明する。
【0099】
例えば、画面構成データは、上述のように、対象デバイスに設定されている設定済みデータのうちの一部のデータである。そこで、このような設定済みデータのうちの一部のデータと、エンジニアリングデータとの比較を行うことにより、設定済みデータ全体に対して小さいデータ単位(画面構成データ単位)でエンジニアリングデータとの比較を行うこととなり、設定済みデータ全体との比較を行う場合に比べて作業時間を短縮できる。
【0100】
図11は、実施の形態3に係るエンジニアリング装置10cの構成例を示す図である。実施の形態3に係るエンジニアリング装置10cは、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10に対し、第2データ取得部1033、及びデータ統合部132が追加されている。エンジニアリング装置10cのその他の構成については、実施の形態1に係るエンジニアリング装置10と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
第2データ取得部1033は、通信部102を介して、対象デバイスから、設定済みデータのうちの一部のデータを取得する。例えば、第2データ取得部1033は、通信部102を介して、対象デバイスから、設定済みデータのうちの、表示制御部105により表示装置50に表示される表示画面を構成するために必要な画面構成データを取得する。
【0102】
このとき、取得データ登録部1012は、第2データ取得部1033により取得されたデータを第2保持部1102に登録してもよい。
【0103】
データ統合部132は、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータと、第2データ取得部1033により取得されたデータ(設定済みデータのうちの一部のデータ)との差分を抽出し、当該抽出した差分を、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる。データ統合部132による反映は、差分チェックモードにおいて行われる。
【0104】
なお、データ統合部132は、第2データ取得部1033により取得されたデータが第2保持部1102に登録されている場合、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータと、第2保持部1102に登録されているデータとの差分を抽出し、当該抽出した差分を、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させてもよい。
【0105】
このように、実施の形態3に係るエンジニアリング装置10cでは、差分チェックモードにおいて、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータと、コネクトモードで対象デバイスから取得したデータ(設定済みデータのうちの一部のデータ)との比較を行い、その差分を第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させる。この場合、エンジニアリング装置10cでは、設定済みデータ全体に対して小さいデータ単位(例えば画面構成データ単位)でエンジニアリングデータの比較を行うこととなり、対象デバイスから設定済みデータ全体を取得してエンジニアリングデータとの比較を行う場合に比べて作業時間を短縮できる。
【0106】
また、データ統合部132は、
図12に示すように、第2データ取得部1033により取得されたデータが第2保持部1102に登録されている場合、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータと、第2保持部1102に登録されているデータとを直接比較することで、双方のデータを、例えば差分チェックモード専用の保持部へ保存し直すことなく、容易に比較を行うことができる。
【0107】
以上のように、実施の形態3によれば、エンジニアリング装置10cは、通信部102を介して、対象デバイスから、当該対象デバイスに設定されている設定データである設定済みデータのうちの一部のデータを取得する第2データ取得部1033と、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータと、第2データ取得部1033により取得されたデータとの差分を抽出し、当該抽出した差分を、第1保持部1101に登録されているエンジニアリングデータに反映させるデータ統合部132と、を備えた。これにより、管理者等は、比較をしたい表示画面単位(画面構成データ単位)でのエンジニアリングデータとの比較ができ、設定済みデータ全体とエンジニアリングデータとの比較を行う場合に比べて作業時間を短縮できる。
【0108】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。例えば、上記の説明では、実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせた例を説明したが、実施の形態3は実施の形態2と組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10、10b、10c エンジニアリング装置
20 プライマリデバイス
30、31、32、33、34 セカンダリデバイス
50 表示装置
100 保持部
101 登録部
102 通信部
103 取得部
104 反映部
105 表示制御部
106 受付部
107 送信部
108 受信部
110 保持部
121 判断部
122 通信設定部
123 出力部
131 取得部
132 データ統合部
200 保持部
300、301、302、303、304 対象デバイス
310 設定済みデータ
1000 施設監視システム
1011 エンジニアリングデータ登録部
1012 取得データ登録部
1031 事前取得部
1032 データ取得部
1041 事前反映部
1042 データ反映部
1101 第1保持部
1101a 第1保持部
1101b 第1保持部
1102 第2保持部
A、B 管理者
X、Y 表示画面
x、x´、y、y´ 画面構成データ