(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072409
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20230517BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230517BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184951
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 隆二
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD08
4B162AD23
(57)【要約】
【課題】 発熱を抑制できるとともに、小型化が可能なエアロゾル生成装置を提供する。
【解決手段】 エアロゾル生成装置は、第1電池セル14-1と、第1電池セル14-1に直列に接続された第2電池セル14-2と、第2電池セル14-2の正極端子に正極線を介して接続され、第1及び第2電池セル14-1、14-2を充電する充電回路13と、エアロゾル生成基材10を加熱するヒータ11と、正極線とヒータ11との間に接続され、正極線の電圧を降圧してヒータ11に印加する降圧型DC/DCコンバータ17と、正極線の電圧に基づいて、降圧型DC/DCコンバータ17のスイッチング動作を制御する制御部23とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電池セルと、
前記第1電池セルに直列に接続された第2電池セルと、
前記第2電池セルの正極端子に正極線を介して接続され、前記第1及び第2電池セルを充電する充電回路と、
エアロゾル生成基材を加熱するヒータと、
前記正極線と前記ヒータとの間に接続され、前記正極線の電圧を降圧して前記ヒータに印加する降圧型DC/DCコンバータと、
前記正極線の電圧に基づいて、前記降圧型DC/DCコンバータのスイッチング動作を制御する制御部と、
を具備するエアロゾル生成装置。
【請求項2】
前記降圧型DC/DCコンバータは、前記正極線と接地端子との間に直列に接続された第1及び第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続ノードと前記ヒータとの間に接続されたコイルとを含み、
前記制御部は、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオンさせる
請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記正極線の電圧に基づいて、前記第1スイッチング素子のデューティ比を変化させる
請求項2に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項4】
前記ヒータは、予熱段階と、保温段階とを有し、
前記制御部は、前記予熱段階において、前記デューティ比を相対的に高くし、前記保温段階において、前記デューティ比を相対的に低くする
請求項3に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項5】
第1電池セルと、
前記第1電池セルに直列に接続された第2電池セルと、
前記第2電池セルの正極端子に正極線を介して接続され、前記第1及び第2電池セルを充電する充電回路と、
エアロゾル生成基材を加熱するヒータと、
前記正極線と前記ヒータとの間に接続された第3スイッチング素子と、
前記正極線の電圧に基づいて、前記第3スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御する制御部と、
を具備するエアロゾル生成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記正極線の電圧が相対的に高い場合は、前記第3スイッチング素子をオンする期間を相対的に短くし、
前記正極線の電圧が相対的に低い場合は、前記第3スイッチング素子をオンする期間を相対的に長くする
請求項5に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記正極線の電圧に基づいて、前記第3スイッチング素子のデューティ比を変化させる
請求項5に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記正極線の電圧が相対的に高い場合は、前記デューティ比を相対的に低くし、
前記正極線の電圧が相対的に低い場合は、前記デューティ比を相対的に高くする
請求項7に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項9】
前記ヒータは、予熱段階と、保温段階とを有し、
前記制御部は、前記予熱段階において、前記デューティ比を相対的に高くし、前記保温段階において、前記デューティ比を相対的に低くする
請求項7又は8に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項10】
エアロゾル生成基材を加熱する間接部材をさらに具備し、
前記ヒータは、前記間接部材に接触する
請求項1乃至9の何れか1項に記載のエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成基材を加熱することによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼式シガレットに代わり、エアロゾル生成基材をヒータで加熱することにより生じたエアロゾルを吸引する非燃焼式のエアロゾル生成装置が知られている。
【0003】
エアロゾル生成基材は、吸引前に比較的高い温度で予熱することが必要である。この予熱段階においては、高出力でヒータを加熱することにより、予熱時間を短縮することが要望されている。また、商品の性質上、安全性の向上、及び小型化が要望されている。
【0004】
エアロゾル生成基材の加熱方法には、大きく分けて、エアロゾル生成基材を直接加熱する方法と、エアロゾル生成基材を間接的に加熱する方法との2つの方法がある。エアロゾル生成基材を間接的に加熱(間接加熱)する方法では、金属で構成される筒状の間接部材の内部に、円柱状のエアロゾル生成基材が挿入され、間接部材をヒータで加熱する。
【0005】
間接部材を介してエアロゾル生成基材を加熱する場合、間接部材の熱容量により熱伝導が低いため、直接加熱に比べて予熱に多くの時間を要する。予熱時間を短縮するために、高出力にて間接部材を加熱する必要がある。
【0006】
エアロゾル生成装置には、容量、電圧、安全性の面より、一般にリチウムイオン二次電池が使用される。高出力に対応する電池には、内部抵抗が低く、容量も大きいものが使用される。また、ヒータの抵抗値も非常に小さいものとすることで、ヒータに大電流を流して高出力を実現している。
【0007】
リチウムイオン二次電池はその構造上、大電流での放電は危険であり、放電電流は小さい方が安全性は高く、また電池寿命、劣化に対しても改善効果が期待できる。高出力時の大電流が必要とされる場合には、DC/DCコンバータに流れる電流は非常に大きくなり、構成部品であるスイッチング素子、及びコイルなどでの発熱が問題となる。
【0008】
また、大電流によって、部品(スイッチング素子、コイル、及びコンデンサ)のサイズも大型化し、おのずと製品自体も大きくなり、使い勝手上の問題も生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、発熱を抑制できるとともに、小型化が可能なエアロゾル生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様によると、第1電池セルと、前記第1電池セルに直列に接続された第2電池セルと、前記第2電池セルの正極端子に正極線を介して接続され、前記第1及び第2電池セルを充電する充電回路と、エアロゾル生成基材を加熱するヒータと、前記正極線と前記ヒータとの間に接続され、前記正極線の電圧を降圧して前記ヒータに印加する降圧型DC/DCコンバータと、前記正極線の電圧に基づいて、前記降圧型DC/DCコンバータのスイッチング動作を制御する制御部とを具備する、エアロゾル生成装置が提供される。
【0012】
本発明の第2態様によると、前記降圧型DC/DCコンバータは、前記正極線と接地端子との間に直列に接続された第1及び第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続ノードと前記ヒータとの間に接続されたコイルとを含み、前記制御部は、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオンさせる、第1態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0013】
本発明の第3態様によると、前記制御部は、前記正極線の電圧に基づいて、前記第1スイッチング素子のデューティ比を変化させる、第2態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0014】
本発明の第4態様によると、前記ヒータは、予熱段階と、保温段階とを有し、前記制御部は、前記予熱段階において、前記デューティ比を相対的に高くし、前記保温段階において、前記デューティ比を相対的に低くする、第3態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0015】
本発明の第5態様によると、第1電池セルと、前記第1電池セルに直列に接続された第2電池セルと、前記第2電池セルの正極端子に正極線を介して接続され、前記第1及び第2電池セルを充電する充電回路と、エアロゾル生成基材を加熱するヒータと、前記正極線と前記ヒータとの間に接続された第3スイッチング素子と、前記正極線の電圧に基づいて、前記第3スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御する制御部とを具備する、エアロゾル生成装置が提供される。
【0016】
本発明の第6態様によると、前記制御部は、前記正極線の電圧が相対的に高い場合は、前記第3スイッチング素子をオンする期間を相対的に短くし、前記正極線の電圧が相対的に低い場合は、前記第3スイッチング素子をオンする期間を相対的に長くする、第5態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0017】
本発明の第7態様によると、前記制御部は、前記正極線の電圧に基づいて、前記第3スイッチング素子のデューティ比を変化させる、第5態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0018】
本発明の第8態様によると、前記制御部は、前記正極線の電圧が相対的に高い場合は、前記デューティ比を相対的に低くし、前記正極線の電圧が相対的に低い場合は、前記デューティ比を相対的に高くする、第7態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0019】
本発明の第9態様によると、前記ヒータは、予熱段階と、保温段階とを有し、前記制御部は、前記予熱段階において、前記デューティ比を相対的に高くし、前記保温段階において、前記デューティ比を相対的に低くする、第7又は第8態様に係るエアロゾル生成装置が提供される。
【0020】
本発明の第10態様によると、エアロゾル生成基材を加熱する間接部材をさらに具備し、前記ヒータは、前記間接部材に接触する、第1乃至第9態様の何れかに係るエアロゾル生成装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発熱を抑制できるとともに、小型化が可能なエアロゾル生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエアロゾル生成装置の構造の一部を示す模式図である。
【
図2】
図2は、エアロゾル生成装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、充電回路の充電動作を説明する図である。
【
図4】
図4は、エアロゾル生成装置の加熱プロファイルを説明する図である。
【
図5】
図5は、比較例に係るエアロゾル生成装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係るエアロゾル生成装置のブロック図である。
【
図7】
図7は、制御部のエネルギー制御動作を説明する図である。
【
図8】
図8は、他の実施例に係る制御部のエネルギー制御動作を説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係るエアロゾル生成装置のブロック図である。
【
図10】
図10は、エアロゾル生成装置の加熱プロファイルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
[1] 第1実施形態
[1-1] エアロゾル生成装置1の構成
本実施形態に係るエアロゾル生成装置1は、間接加熱式の電子機器である。間接加熱式とは、ヒータによって間接部材を加熱し、この加熱された間接部材を用いてエアロゾル生成基材2を加熱する方式である。間接加熱式は、ヒータをエアロゾル生成基材に直接接触させて加熱する直接加熱式とは異なる。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエアロゾル生成装置1の構造の一部を示す模式図である。エアロゾル生成装置1は、間接部材10、及びヒータ11を備える。間接部材10は、熱伝導率を有する材料で構成され、例えば金属で構成される。間接部材10は、例えば円筒形を有する。
【0026】
ヒータ11は、間接部材10を加熱する機能を有する。ヒータ11は、例えばフィルムヒータで構成される。フィルムヒータは、一対のフィルム状の基板と、一対の基板の間に挟まれた抵抗発熱体とを備える。フィルム状の基板は、耐熱性及び電気絶縁性に優れた材料で構成され、典型的には、ポリイミドで構成される。抵抗発熱体としては、銅、ニッケル合金、クロム合金、又はステンレスなどの金属材料が用いられる。ヒータ11は、フレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)で構成してもよい。FPCは、プリント基板の一種であり、フレキシブルプリント回路基板とも呼ばれる。ヒータ11は、間接部材10に接触する。ヒータ11は、間接部材10を包むように構成される。
【0027】
エアロゾル生成基材2は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含む。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料、又はたばこ原料由来の抽出物を含む。エアロゾル生成基材2は、例えば円柱形を有する。
【0028】
エアロゾル生成基材2は、円筒形の間接部材10の内部に挿入される。そして、エアロゾル生成基材2が間接部材10に近接又は接触することで、ヒータ11によって間接的に加熱される。
【0029】
図2は、エアロゾル生成装置1のブロック図である。エアロゾル生成装置1は、ヒータ11、電源端子12、充電回路13、2個の二次電池セル14-1、14-2、保護回路15、入力コンデンサ16、降圧型DC/DCコンバータ17、入力スイッチ22、制御部23、記憶部24、及び表示部25を備える。
【0030】
電源端子12は、外部電源に接続される。電源端子12は、電源アダプタ、又はUSB(Universal Serial Bus)コネクタなどに接続可能なように構成される。
【0031】
充電回路13の入力端子INは、電源端子12に接続され、充電回路13の出力端子OUTは、正極線PL1を介して、二次電池セル14-2の正極端子に接続される。充電回路13は、2個の二次電池セル14-1、14-2を充電する。充電回路13は、定電流定電圧充電(CCCV)方式を用いて、2個の二次電池セル14-1、14-2を充電する。定電流定電圧充電方式は、充電初期は定電流で急速充電し、その後、定電圧充電に切り替えて充電する方式である。
【0032】
2個の二次電池セル14-1、14-2は、直列接続される。二次電池セル14-1、14-2は、例えば、リチウムイオン二次電池で構成される。「電池セル」とは、物理的に分離された1個の電池を意味する。二次電池セル14-1を第1電池セル、二次電池セル14-2を第2電池セルとも呼ぶ、本実施形態では、2個の電池セルを用いている。これにより、二次電池全体で供給可能な電圧を大きく、すなわち電池セルの2倍にすることができる。
【0033】
保護回路15は、二次電池セル14-1の負極端子と接地端子GNDとの間に接続される。保護回路15は、接地端子GNDに過電圧及び過電流が発生した場合に、二次電池セル14-1、14-2を保護する機能を有する。
【0034】
入力コンデンサ16の一端は、正極線PLに接続され、その他端は、接地端子GNDに接続される。入力コンデンサ16は、2個の二次電池セル14-1、14-2の電圧を平滑化する機能を有する。
【0035】
降圧型DC/DCコンバータ17は、第1直流電圧を降圧するとともに、第1直流電圧を、第1直流電圧以下の第2直流電圧に変換可能な装置である。降圧型DC/DCコンバータ17は、スイッチング素子18、スイッチング素子19、コイル20、及び出力コンデンサ21を備える。
【0036】
スイッチング素子18、19は、例えば、Nチャネル型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。スイッチング素子18のドレインは、正極線PL1に接続され、そのソースは、スイッチング素子19のドレインに接続され、そのゲートは、制御部23に接続される。スイッチング素子19のソースは、接地端子GNDに接続され、そのゲートは、制御部23に接続される。すなわち、スイッチング素子18、19は、直列接続される。
【0037】
コイル20の一端は、スイッチング素子18のソースに接続され、その他端は、正極線PL2に接続される。
【0038】
出力コンデンサ21の一端は、正極線PL2に接続され、その他端は、接地端子GNDに接続される。
【0039】
スイッチング素子18のドレインが降圧型DC/DCコンバータ17の入力端子に対応し、出力コンデンサ21の一端が降圧型DC/DCコンバータ17の出力端子に対応する。
【0040】
ヒータ11の一端は、正極線PL2に接続され、その他端は、接地端子GNDに接続される。
【0041】
入力スイッチ22は、ユーザによって操作されるスイッチである。入力スイッチ22は、ユーザの起動要求及び停止要求を受け付ける。入力スイッチ22の一端は、制御部23に接続され、その他端は、接地端子GNDに接続される。入力スイッチ22は、スライドスイッチ、又は押しボタンスイッチなどで構成される。ユーザが入力スイッチ22をオンすることで、制御部23による加熱動作が開始され、ユーザが入力スイッチ22をオフすることで、制御部23による加熱動作が停止される。
【0042】
制御部23は、エアロゾル生成装置1を統括的に制御する。制御部23は、充電回路13の充電動作を制御する。制御部23は、降圧型DC/DCコンバータ17の電圧変換動作を制御する。さらに、制御部23は、表示部25の表示動作を制御する。制御部23は、所望の動作を実現するために、タイマーを備える。
【0043】
記憶部24は、制御部23の動作に必要な複数の情報を記憶する。また、記憶部24は、ヒータ11について予め規定された加熱プロファイルのデータを記憶する。記憶部24は、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを含む。
【0044】
表示部25は、ユーザに所定の情報を表示する。表示部25に表示される情報は、充電の状況、及び動作状態などを含む。表示部25は、例えばLED(light emitting diode)で構成される。
【0045】
[1-2] 動作
上記のように構成されたエアロゾル生成装置1の動作について説明する。
【0046】
まず、充電回路13の充電動作について説明する。
図3は、充電回路13の充電動作を説明する図である。
図3は、電池が空の状態からの充電動作の一例である。
【0047】
制御部23は、正極線PL1の電圧(電位)、すなわち、2個の二次電池セル14-1、14-2の電圧を監視している。充電回路13は、電源端子12から直流電力を受ける。
【0048】
時刻t0において、充電回路13は、充電動作を開始する。定電流充電期間t0-t1において、充電回路13は、制御部23の制御により、定電流で2個の二次電池セル14-1、14-2を充電する。
【0049】
制御部23は、時刻t1において、正極線PL1の電圧が所定電圧に達したことを検知する。定電圧充電期間t1-t2において、充電回路13は、制御部23の制御により、定電圧で2個の二次電池セル14-1、14-2を充電する。
【0050】
このような定電流定電圧充電方式により、充電回路13は、定電流充電期間において、2個の二次電池セル14-1、14-2を急速に充電することができる。
【0051】
次に、降圧型DC/DCコンバータ17の電圧変換動作について説明する。降圧型DC/DCコンバータ17の入力端子には、2個の二次電池セル14-1、14-2から入力電圧Vinが供給される。制御部23は、スイッチング素子18、19を交互にオンさせる。
【0052】
スイッチング素子18がオンすると、コイル20にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子18がオフすると、コイル20に蓄積されたエネルギーが放出される。出力コンデンサ21は、降圧型DC/DCコンバータ17の出力電圧Voutを平滑化する。これにより、降圧型DC/DCコンバータ17は、出力電圧Voutをヒータ11に供給する。
【0053】
1周期あたりのスイッチング素子18がオンしている期間の比率をデューティ比と呼ぶ。制御部23は、デューティ比を変えることで、降圧型DC/DCコンバータ17の出力電圧Voutを調整できる。具体的には、デューティ比を高くすることで、出力電圧Voutを高くすることができる。
【0054】
制御部23は、正極線PL1の電圧を監視している。制御部23は、正極線PL1の電圧に基づいて、スイッチング素子18のデューティ比を変化させる。これにより、制御部23は、ヒータ11に所望の直流電力を供給することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、2個のスイッチング素子18、19にMOSFETを用いた同期整流方式を用いている。しかし、これに限定されず、スイッチング素子19をダイオードで置き換えた非同期整流方式を用いてもよい。非同期整流方式では、ダイオードは、アノードが接地端子GNDに接続され、カソードがコイル20に接続される。
【0056】
図4は、エアロゾル生成装置1の加熱プロファイルを説明する図である。エアロゾル生成装置1は、大きな直流電力を用いてヒータ11の予熱を行い、ヒータ11を高い温度で加熱する。その後、エアロゾル生成装置1は、小さな直流電力を用いて、ヒータ11を予熱時よりも低い温度で保温する。予熱時間を20秒、保温時間を6分とする。予熱の電力を30W、保温の電力を4Wとする。予熱時間、保温時間、及びそれらの電力は、制御部23により制御される。制御部23は、タイマーを用いて、予熱段階と保温段階とを切り替える。
【0057】
予熱段階では、制御部23は、デューティ比を相対的に高く、例えばデューティ比100%にして、スイッチング素子18を駆動する。保温段階では、制御部23は、デューティ比を相対的に低くして、スイッチング素子18を駆動する。
【0058】
次に、エアロゾル生成装置1の性能について説明する。
【0059】
二次電池セル14-1、14-2の各々の使用電圧(公称電圧)を3.0V~4.2Vとする。直列接続された2個の電池セルの使用電圧は、6.0V~8.4Vである。降圧型DC/DCコンバータ17の入力電圧Vin=6.0V~8.4Vである。ヒータ11の抵抗R=1.2Ωとする。
【0060】
予熱段階での30W出力時の動作は、以下のようになる。降圧型DC/DCコンバータ17の入力電流をIin、降圧型DC/DCコンバータ17の出力電流をIoutとする。
30W=Iout2×Rより、Iout=5.0A
30W=Iout×Voutより、Vout=6.0V
2個の二次電池セル14-1、14-2では、30W=6.0V×Iinより、Iin=5.0Aが放電される。
【0061】
実際には、降圧型DC/DCコンバータ17には、その動作原理上避けられないDC成分による電力損失とAC特性による電力損失とが存在する。その主要因は、スイッチング素子とコイルとの抵抗成分と、スイッチング動作とによるものである。その変換効率は、おおよそ85~95%であり、ワーストケースで、Iin=5.0A/0.85=5.9Aとなる。この電流はコイル20にも流れ、コイル20の直流抵抗成分(DCR)により発熱する。
【0062】
また、コイル20にはスイッチングに伴ってリップルが発生し、その大きさはIinの20~40%となる。仮に30%とした場合、コイル20のピーク電流は、ILmax=5.0A+5.0A×0.3×0.5=5.75Aとなる。
【0063】
[1-3] 比較例
次に、比較例について説明する。
図5は、比較例に係るエアロゾル生成装置1のブロック図である。比較例に係るエアロゾル生成装置1は、1個の二次電池セル14-1を用いて、ヒータ11を加熱する。また、比較例に係るエアロゾル生成装置1は、昇圧型DC/DCコンバータを用いている。
【0064】
エアロゾル生成装置1は、1個の二次電池セル14-1を備える。また、エアロゾル生成装置1は、昇圧型DC/DCコンバータ30を備える。
【0065】
二次電池セル14-1の正極端子は、正極線PL1に接続され、その負極端子は、接地端子GNDに接続される。
【0066】
昇圧型DC/DCコンバータ30は、第1直流電圧を昇圧するとともに、第1直流電圧を、第1直流電圧以上の第2直流電圧に変換可能な装置である。昇圧型DC/DCコンバータ30は、入力コンデンサ31、スイッチング素子18、スイッチング素子19、コイル20、及び出力コンデンサ21を備える。
【0067】
入力コンデンサ31の一端は、正極線PL1に接続され、その他端は、接地端子GNDに接続される。コイル20の一端は、正極線PL1に接続される。
【0068】
スイッチング素子18、19は、例えば、Nチャネル型MOSFETで構成される。スイッチング素子18のドレインは、正極線PL2に接続され、そのソースは、コイル20の他端に接続され、そのゲートは、制御部23に接続される。スイッチング素子19のドレインは、コイル20の他端に接続され、そのソースは、接地端子GNDに接続され、そのゲートは、制御部23に接続される。
【0069】
出力コンデンサ21の一端は、正極線PL2に接続され、その他端は、接地端子GNDに接続される。
【0070】
入力コンデンサ31の一端が昇圧型DC/DCコンバータ30の入力端子に対応し、出力コンデンサ21の一端が昇圧型DC/DCコンバータ30の出力端子に対応する。
【0071】
昇圧型DC/DCコンバータ30の入力端子には、二次電池セル14-1から入力電圧Vinが供給される。制御部23は、スイッチング素子18、19を交互にオンさせる。
【0072】
スイッチング素子19がオンすると、コイル20にエネルギーが蓄積されるとともに、出力コンデンサ21が放電する。スイッチング素子19がオフすると、コイル20に蓄積されたエネルギーが放出されるとともに、出力コンデンサ21が充電される。これにより、昇圧型DC/DCコンバータ30は、出力電圧Voutをヒータ11に供給する。昇圧型DC/DCコンバータ30では、スイッチング素子19がオフ時には、出力コンデンサ21がヒータへの全電力の供給を負担するので、出力コンデンサ21の容量は大きくなる。
【0073】
次に、比較例に係るエアロゾル生成装置1の性能について説明する。
【0074】
1個の二次電池セル14-1の使用電圧を3.0V~4.2Vとする。昇圧型DC/DCコンバータ30の入力電圧Vin=3.0V~4.2Vである。ヒータ11の抵抗R=1.2Ωとする。
【0075】
予熱段階での30W出力時の動作は、以下のようになる。昇圧型DC/DCコンバータ30の入力電流をIin、昇圧型DC/DCコンバータ30の出力電流をIoutとする。
30W=Iout2×Rより、Iout=5.0A
30W=Iout×Voutより、Vout=6.0V
1個の二次電池セル14-1では、30W=3.0V×IinよりIin=10.0Aが放電される。
【0076】
実際には、昇圧型DC/DCコンバータ30には、その動作原理上避けられないDC成分による電力損失とAC特性による電力損失とが存在する。その主要因は、スイッチング素子とコイルとの抵抗成分と、スイッチング動作とによるものである。その変換効率は、おおよそ80~95%であるので、ワーストケースで、Iin=10.0A/0.8=12.5Aとなる。この電流はコイル20にも流れ、コイル20の直流抵抗成分(DCR)により発熱する。
【0077】
また、コイル20にはスイッチングに伴ってリップルが発生し、その大きさはIinの20~40%となる。仮に30%とした場合、コイル20のピーク電流は、ILmax=12.5A+12.5A×0.3×0.5=14.375Aとなる。
【0078】
通常、コイルでは、定格電流が2種類で規定されている。1つは、インダクタ値が大きく低下する(通常30%低下)電流値であり、もう1つは、規定温度に達する(通常40℃)電流値である。このうち、小さい値が最大定格電流となる。コイル20は、スイッチングで流れる最大電流値に対し、十分に余裕を持った定格電流のものを選定する必要がある。
【0079】
本実施形態と比較例との性能を比較すると以下の通りである。
【0080】
(1)電池から放電される電流値は、比較例が12.5Aであり、本実施形態が5.9Aである。すなわち、本実施形態の電流値は、比較例の電流値の半分以下である。よって、本実施形態では、電流に関する安全性を向上できる。
【0081】
(2)コイルを流れる電流値は、比較例が12.5Aであり、本実施形態が5.75Aである。すなわち、本実施形態の電流値は、比較例の電流値の半分以下である。この電流はコイルにも流れる。コイルの電流をILとすると、電力損失としては、W=IL2×DCR(直流抵抗成分)より、電流の2乗の効果となる。よって、本実施形態の電力損失は、比較例と比べて、おおよそ1/4以下となる。これは、基板の小型化において大きな問題となる発熱を軽減できる。
【0082】
(3)コイルを流れる最大電流は、比較例が14.375Aであり、本実施形態が5.75Aである。本実施形態の最大電流は、比較例に比べて、大幅に減少する。よって、定格電流の低いコイルを選定することが可能となり、コイルのサイズを小さくできる。これにより、製品の小型化が可能になる。
【0083】
(4)回路を流れる電流値が半分であれば、回路基板における電源ラインの幅を半分にすることが可能になる。これにより、基板面積の小型化が可能になる。
【0084】
[1-4] 第1実施形態の効果
以上詳述したように第1実施形態では、エアロゾル生成装置1は、直列接続された2個の二次電池セル14-1、14-2と、二次電池セル14-2の正極端子に接続された正極線PL1とヒータ11との間に接続された降圧型DC/DCコンバータ17とを備える。降圧型DC/DCコンバータ17は、正極線PL1の電圧を降圧してヒータ11に印加する。制御部23は、正極線PL1の電圧に基づいて、降圧型DC/DCコンバータ17のスイッチング動作を制御するとともに、降圧型DC/DCコンバータ17に含まれるスイッチング素子18のデューティ比を変化させる。
【0085】
従って第1実施形態によれば、降圧型DC/DCコンバータ17及びヒータ11に必要な電流を小さくすることができる。これにより、二次電池セル14-1、14-2の安全性を向上できる。また、降圧型DC/DCコンバータ17を構成する部品の発熱を抑制できる。
【0086】
また、降圧型DC/DCコンバータ17を構成する部品のサイズを小さくできる。これにより、エアロゾル生成装置1の小型化が可能である。
【0087】
また、回路を流れる電流値を小さくできるため、回路基板における電源ラインの幅を小さくできる。これにより、基板面積の小型化が可能になる。
【0088】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御し、PWM制御で生成された直流電力をヒータに供給するようにしている。
【0089】
[2-1] エアロゾル生成装置1の構成
図6は、本発明の第2実施形態に係るエアロゾル生成装置1のブロック図である。エアロゾル生成装置1は、第1実施形態と同様に、直列接続された2個の二次電池セル14-1、14-2を備える。また、エアロゾル生成装置1は、スイッチング素子40を備える。
【0090】
スイッチング素子40は、例えば、Nチャネル型MOSFETで構成される。スイッチング素子40のドレインは、正極線PL1に接続され、そのソースは、正極線PL2に接続され、そのゲートは、制御部23に接続される。
【0091】
正極線PL2は、ヒータ11に接続される。制御部23は、正極線PL1の電圧を監視可能なように構成される。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0092】
[2-2] 動作
上記のように構成されたエアロゾル生成装置1の動作について説明する。
【0093】
制御部23は、正極線PL1の電圧を監視している。正極線PL1の電圧は、直列接続された2個の二次電池セル14-1、14-2の電圧に対応する。制御部23は、正極線PL1の電圧に基づいて、スイッチング素子40をPWM制御するとともに、スイッチング素子40のデューティ比を変化させる。
【0094】
制御部23は、正極線PL1の電圧が相対的に高い場合は、デューティ比を相対的に低くし、正極線PL1の電圧が相対的に低い場合は、デューティ比を相対的に高くする。
【0095】
エアロゾル生成装置1の加熱プロファイルは、第1実施形態と同じである。制御部23は、予熱段階において、デューティ比を相対的に高くし、保温段階において、デューティ比を相対的に低くする。
【0096】
また、制御部23は、例えば予熱段階の間中、スイッチング素子40のデューティ比を100%にすることも可能である。
【0097】
次に、スイッチング素子40のデューティ比を100%として、放電電力×放電時間でエネルギーを制御する動作について説明する。二次電池セル14-1、14-2の各々の使用電圧を3.0V~4.2Vとする。直列接続された2個の電池セルの電圧は、6.0V~8.4Vである。ヒータ11の抵抗R=1.2Ωとする。
【0098】
図7は、制御部23のエネルギー制御動作を説明する図である。予熱段階で、600J(ジュール)が必要であるものとする。
【0099】
必要エネルギーをE、正極線PL1の電圧をV、及びヒータ11の抵抗をR、放電時間をTdとする。制御部23は、放電時間Tdを以下の式を用いて算出する。
Td=E/(V2/R)
【0100】
図7(a)は、正極線PL1の電圧が8.4Vである場合の動作例である。放電時間Tdは、600J/((8.4V)
2/1.2Ω)=10.2秒である。制御部23は、放電時間10.2秒の間、スイッチング素子40をオンする。これにより、ヒータ11を600Jで予熱することができる。
【0101】
図7(b)は、正極線PL1の電圧が6.0Vである場合の動作例である。放電時間Tdは、600J/((6.0V)
2/1.2Ω)=20秒である。制御部23は、放電時間20秒の間、スイッチング素子40をオンする。これにより、ヒータ11を600Jで予熱することができる。
【0102】
次に、スイッチング素子40のデューティ比を0~100%の間で変化させて、放電電力×デューティ比×放電時間でエネルギーを制御する動作について説明する。エアロゾル生成装置1の製品仕様として、予熱時間が変化しては困る場合には、PWM制御のデューティ比を変化させることで、電池の電圧に関わらず、放電時間を同じにすることが可能である。
【0103】
図8は、他の実施例に係る制御部23のエネルギー制御動作を説明する図である。予熱段階で、600Jが必要であるものとする。放電時間は20秒である。
【0104】
必要エネルギーをE、正極線PL1の電圧をV、ヒータ11の抵抗をR、放電時間をTd、PWM制御の周期をT、デューティ比をDとする。スイッチング周波数をfswとすると、周期T=1/fswである。周期Tは、スイッチング素子の特性に応じて、仕様として予め決められている。
図8の1周期あたりのオン時間Txは、周期T×デューティ比Dである。
【0105】
制御部23は、デューティ比Dを以下の式を用いて算出する。
D=E/((V2/R)×Td)
また、正極線PL1の電圧をV、入力電圧Vinの下限値をVminとする。制御部23は、デューティ比Dを以下の式を用いて算出する。
D=Vmin2/V2
【0106】
図8(a)は、正極線PL1の電圧が8.4Vである場合の動作例である。デューティ比Dは、600J/(((8.4V)
2/1.2Ω)×20秒)=0.51である。また、Vmin=6.0Vとすると、デューティ比Dは、(6.0V)
2/(8.4V)
2=0.51である。制御部23は、放電時間Td=20秒、デューティ比D=0.51(51%)で、スイッチング素子40のスイッチング動作を制御する。これにより、ヒータ11を、予熱時間20秒、600Jで予熱することができる。
【0107】
図8(b)は、正極線PL1の電圧が6.0Vである場合の動作例である。デューティ比Dは、600J/(((6.0V)
2/1.2Ω)×20秒)=1である。また、Vmin=6.0Vとすると、デューティ比Dは、(6.0V)
2/(6.0V)
2=1である。制御部23は、放電時間Td=20秒、デューティ比D=1(100%)で、スイッチング素子40のスイッチング動作を制御する。これにより、ヒータ11を、予熱時間20秒、600Jで予熱することができる。
【0108】
[2-3] 第2実施形態の効果
以上詳述したように第2実施形態では、エアロゾル生成装置1は、直列接続された2個の二次電池セル14-1、14-2と、二次電池セル14-2の正極端子に接続された正極線PL1とヒータ11との間に接続されたスイッチング素子40とを備える。制御部23は、正極線PL1の電圧に基づいて、スイッチング素子40をPWM制御するとともに、スイッチング素子40のデューティ比を変化させる。
【0109】
従って第2実施形態によれば、スイッチング素子40及びヒータ11に必要な電流を小さくすることができる。これにより、二次電池セル14-1、14-2の安全性を向上できる。また、スイッチング素子40の発熱を抑制できる。
【0110】
また、スイッチング素子40のサイズを小さくできる。これにより、エアロゾル生成装置1の小型化が可能である。
【0111】
また、第2実施形態では、DC/DCコンバータを用いる場合に比べて、電力損失を低減できる。PWM制御での電力損失は、スイッチング素子での損失のみとなり大きく低減される。これにより、発熱量が低減される。
【0112】
また、エアロゾル生成装置1の部品点数を削減することができる。
【0113】
また、二次電池セル14-1、14-2の電圧が変化した場合でも、予熱時間の間、ヒータ11に供給するエネルギーを一定に制御できる。また、二次電池セル14-1、14-2の電圧が変化した場合でも、予熱時間を一定に制御できる。
【0114】
[3] 第3実施形態
高出力(予熱時):30W、20秒間、600Jの場合、入力電圧Vin、出力電流Iout、デューティ比Dは、以下の通りである。ヒータ11の抵抗R=1.2Ωとする。
Vin=8.4V、Iout=7.0A、D=0.51
Vin=6.0V、Iout=5.0A、D=1.0
Vin=8.4~6.0V、Iout=5.0~7.0A
D=0.51~1.0
【0115】
低出力(保温時):4Wの場合、PWMデューティ比は高出力時の4W/30Wとなる。
D=0.51×4/30=0.068
D=1.0×4/30=0.13
低出力のデューティ比は非常に小さい値なので、間接部材の熱容量により保温がうまく出来ないことも考えられる。
【0116】
第3実施形態は、降圧型DC/DCコンバータ17と、PWM制御用のスイッチング素子40とを組み合わせた実施例である。予熱時はスイッチング素子40によるエネルギー制御、保温時は降圧型DC/DCコンバータ17によるパワー制御を行うようにしている。
【0117】
図9は、本発明の第3実施形態に係るエアロゾル生成装置1のブロック図である。第3実施形態に係るエアロゾル生成装置1は、第1実施形態の降圧型DC/DCコンバータ17と、第2実施形態のスイッチング素子40とを備える。降圧型DC/DCコンバータ17の構成は、第1実施形態と同じであり、スイッチング素子40の構成は、第2実施形態と同じである。
【0118】
図10は、エアロゾル生成装置1の加熱プロファイルを説明する図である。予熱時間を20秒、保温時間を6分とする。予熱の電力を30W、保温の電力を4Wとする。
【0119】
予熱段階では、制御部23は、スイッチング素子40をPWM制御する。制御部23は、放電エネルギーと放電時間とを制御する。予熱段階では、降圧型DC/DCコンバータ17を駆動しない。予熱段階では、電力損失を低減できる。
【0120】
保温段階では、制御部23は、スイッチング素子40の制御から降圧型DC/DCコンバータ17の制御に切り替え、降圧型DC/DCコンバータ17を駆動する。保温段階では、ヒータ11の温度を所望の温度に保持することができる。
【0121】
なお、上記各実施形態では、直列接続された2個の二次電池セルを用いている。しかし、これに限定されるものではなく、3個以上の二次電池セルを直列接続するようにしてもよい。
【0122】
上記各実施形態では、間接加熱式のエアロゾル生成装置1について説明している。しかし、本実施形態は、直接加熱式にも適用可能である。
【0123】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0124】
1…エアロゾル生成装置、2…エアロゾル生成基材、10…間接部材、11…ヒータ、12…電源端子、13…充電回路、14-1…二次電池セル、14-2…二次電池セル、15…保護回路、16…入力コンデンサ、17…降圧型DC/DCコンバータ、18…スイッチング素子、19…スイッチング素子、20…コイル、21…出力コンデンサ、22…入力スイッチ、23…制御部、24…記憶部、25…表示部、30…昇圧型DC/DCコンバータ、31…入力コンデンサ、40…スイッチング素子。