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  • 特開-電動シャッター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072881
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】電動シャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20230518BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20230518BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
E06B9/68 Z
E06B9/58 A
F16H19/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185580
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿典
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
【テーマコード(参考)】
2E042
3J062
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA02
2E042CA01
2E042DA01
3J062AA60
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA35
3J062CA15
3J062CA25
(57)【要約】
【課題】駆動ギヤのラックギヤからの脱落を抑制することができる電動シャッターを提供する。
【解決手段】電動シャッターは、建物の開口の幅方向の両側に設けられるラックギヤ27と、開口に開閉可能に設けられるシャッターカーテンと、シャッターカーテンの下部に設けられ、電動モータが取り付けられた巾木30と、電動モータの出力軸42に設けられ、ラックギヤ27に噛み合う駆動ギヤ44と、を備えた電動シャッターであって、ラックギヤ27の幅は、駆動ギヤ44の幅よりも長く、ラックギヤ27と駆動ギヤ44との噛み合い位置A2は、ラックギヤ27の幅方向の長さの範囲内にある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口の幅方向の両側に設けられるラックギヤと、
前記開口に開閉可能に設けられるシャッターカーテンと、
前記シャッターカーテンの下部に設けられ、電動モータが取り付けられた巾木と、
前記電動モータの出力軸に設けられ、前記ラックギヤに噛み合う駆動ギヤと、を備えた電動シャッターであって、
前記ラックギヤの幅方向の長さは、前記駆動ギヤの幅方向の長さよりも長く、
前記ラックギヤと前記駆動ギヤとの噛み合い位置は、前記ラックギヤの幅方向の長さの範囲内にある電動シャッター。
【請求項2】
前記開口の幅方向の両側に取り付けられるガイドレールを備え、
前記ラックギヤは、前記ガイドレールに取り付けられ、
前記取付寸法誤差は、幅方向の両側のガイドレール間の距離であるシャッター開口の誤差を含む請求項1に記載の電動シャッター。
【請求項3】
前記ラックギヤにおいて、前記噛み合い位置は、幅方向の中央よりも幅方向の外側に寄って配置されている請求項1または2に記載の電動シャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動シャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物には、複数のスラットが互いに回動可能に上下方向に連結されたシャッターカーテンと、シャッターカーテンを巻き取るシャフトと、駆動機構と、を備えたシャッター装置が設置される場合がある。駆動機構として、建物の壁に固定されたガイドレールと、ガイドレールに設けられたラックギヤと、シャッターカーテンの下部に設けられたモータと、モータの出力軸に設けられ駆動ギヤと、を備えている。駆動ギヤがラックギヤに噛み合ってラックギヤに上下方向に案内される構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-152974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガイドレールの固定位置の寸法誤差等によって、シャッターカーテンに設けられた駆動ギヤがラックギヤから外れてしまい、電動シャッターが動かなくなったり、作動性が悪くなったりする虞がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、駆動ギヤのラックギヤからの脱落を抑制することができる電動シャッターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動シャッターは、建物の開口の幅方向の両側に設けられるラックギヤと、前記開口に開閉可能に設けられるシャッターカーテンと、前記シャッターカーテンの下部に設けられ、電動モータが取り付けられた巾木と、前記電動モータの出力軸に設けられ、前記ラックギヤに噛み合う駆動ギヤと、を備えた電動シャッターであって、前記ラックギヤの幅方向の長さは、前記駆動ギヤの幅方向の長さよりも長く、前記ラックギヤと前記駆動ギヤとの噛み合い位置は、前記ラックギヤの幅方向の長さの範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る電動シャッターを屋外側から見た斜視図。
図2】一実施形態に係る電動シャッターの幅方向の端部の水平断面図。
図3図2のA部の拡大図。
図4】巾木が幅方向の一方側である紙面左側にずれた場合を示す図。
図5】巾木が幅方向の他方側である紙面右側にずれた場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る電動シャッターについて、図面に基づいて説明する。図1に示す電動シャッター100は、建物の開口の屋外側に設置されるものである。電動シャッター100は、既設の手動シャッターの一部の部品を交換して、電動シャッター100に変更したものである。
【0009】
電動シャッター100を正面から見た状態で、水平方向に沿う左右方向を幅方向と称する。幅方向のうち建物の開口の中央側に向かう方向を、幅方向の内側と称する。幅方向のうち建物の開口の中央から端部側に向かう方向を、幅方向の外側と称する。水平方向に沿い、屋内側と屋外側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。
【0010】
既設の手動シャッターについて説明する。既設の手動シャッターは、枠体11と、シャッターケース12と、シャッターカーテン13と、ガイドレール(不図示)と、巾木(不図示)と、を備えている。枠体11、シャッターケース12及びシャッターカーテン13は、電動シャッター100でも使用するものであり、図1に基づいて説明する。
【0011】
枠体11は、四方枠状をしている。枠体11は、建物の開口に固定されている。シャッターケース12は、枠体11の天板11aに固定されている。シャッターケース12は、ボックス状である。シャッターカーテン13は、建物の開口に開閉可能に設けられている。シャッターカーテン13は、複数のスラット13aを有している。複数のスラット13aは、上下方向に隣り合って互いに連結されている。隣り合うスラット13aどうしの間には、幅方向を軸線方向とする不図示の軸部がある。スラット13aは、軸部回りに回動可能とされている。シャッターケース12の内部には、不図示のシャフトが回転可能に取り付けられている。シャッターカーテン13の上部は、シャフトに連結されている。シャフトの回転によって、シャッターカーテン13の巻き上げ及び繰り出しが可能である。
【0012】
既設の手動シャッターのガイドレールは、建物の開口の幅方向の両側に設けられている。巾木は、シャッターカーテン13の下部に設けられている。ガイドレールは、巾木の幅方向の端部を上下方向に案内する。
【0013】
電動シャッター100は、手動シャッターからガイドレール及び巾木を取り外して、新設ガイドレール20及び新設巾木30を取り付けたものである。電動シャッター100は、枠体11と、シャッターケース12と、シャッターカーテン13と、新設ガイドレール20と、新設巾木30と、駆動ユニット40と、を備えている。枠体11、シャッターケース12及びシャッターカーテン13の構成は、既設の物を使用しており、説明を省略する。新設ガイドレール20は、請求項のガイドレールに対応する。新設巾木30は、請求項の巾木に対応する。
【0014】
新設ガイドレール20は、建物の開口の幅方向の両側に設けられている。新設ガイドレール20は、枠体11の縦枠11bの屋外側に取り付付けられている。新設ガイドレール20は、縦枠11bの略全長にわたって設けられている。
【0015】
図2に示すように、新設ガイドレール20は、基部21と、屋外側板部22と、屋内側板部23と、を有している。
【0016】
図3に示すように、基部21は、係止板部21aと、取付板部21bと、折曲板部21cと、屋内側板部21eと、一対の内向き板部21d,21dと、を有している。
【0017】
係止板部21aは、屋内外方向に沿って配置されている。係止板部21aの屋内側の端部は、縦枠11bに係止されている。取付板部21bは、屋内外方向に沿って配置されている。取付板部21bは、係止板部21aよりも幅方向の内側に配置されている。取付板部21bの屋内側の端部は、縦枠11bに固定されている。折曲板部21cは、係止板部21aの屋外側の端部から幅方向の内側に延びている。屋内側板部21eは、折曲板部21cの屋内側に折曲板部21cと対向して配置されている。一方の内向き板部21dは、折曲板部21cから屋内側に延びている。他方の内向き板部21dは、屋内側板部21eから屋外側に延びている。
【0018】
屋外側板部22は、折曲板部21cの幅方向の内側の延長線上に延びている。屋内側板部23は、取付板部21bの屋外側の端部から幅方向の内側に延びている。屋内側板部23は、屋内側板部21eから幅方向の内側に延びていてもよい。
【0019】
屋外側板部22の先端部には、屋内側に向かって延びる一対の延出片部22a,22aが設けられている。一対の延出片部22a,22aは、幅方向に対向して配置されている。延出片部22aの先端部には、対向する延出片部22a側に向かって延びる係止片部22bが設けられている。モヘア24は、一対の延出片部22a,22a内に配置され、一対の係止片部22b,22bに係止されている。
【0020】
屋内側板部23の先端部には、屋外側に向かって延びる一対の延出片部23a,23aが設けられている。一対の延出片部23a,23aは、幅方向に対向して配置されている。延出片部23aの先端部には、対向する延出片部23a側に向かって延びる係止片部23bが設けられている。モヘア24は、一対の延出片部23a,23a内に配置され、一対の係止片部23b,23bに係止されている。
【0021】
屋内側板部21eの幅方向の内側の端部には、幅方向の内側に突出する係止突起25が設けられている。一対の延出片部23a,23aのうち幅方向の外側に位置する延出片部23aには、幅方向の外側に突出する係止突起26が設けられている。屋内側板部23には、ラックギヤ27が設けられている。ラックギヤ27の幅方向の両端部は、係止突起25,26に係止されている。ラックギヤ27は、上下方向に延びている。ラックギヤ27は、直線歯車である。
【0022】
図1に示すように、新設巾木30は、シャッターカーテン13の下部に取り付けられている。新設巾木30は、シャッターカーテン13の下部の幅方向の略全長にわたって設けられている。
【0023】
駆動ユニット40は、電動モータ41と、出力軸42と、駆動ギヤ44(図2参照)と、を有している。電動モータ41は、新設巾木30の屋内側に取り付けられている。出力軸42は、電動モータ41から幅方向に延びている。図3に示すように、出力軸42の外周面には、駆動ギヤ支持部43が設けられている。駆動ギヤ支持部43の幅方向の外側の外周面には、駆動ギヤ44が設けられている。駆動ギヤ44は、ラックギヤ27と噛み合う。
【0024】
ラックギヤ27の幅方向の長さW21は、駆動ギヤ44の幅方向の長さW22よりも長い。ラックギヤ27において、駆動ギヤ44と噛み合う噛み合い位置A2は、ラックギヤ27の幅方向の中央よりも幅方向の外側に寄っている。噛み合い位置A2の幅方向の長さを、長さW2とする。
【0025】
新設ガイドレール20の幅方向の内側の端部20aと新設巾木30の幅方向の外側の端部30aとのクリアランスを、長さW11とする。新設巾木30の幅方向の両側で、それぞれ長さW11が確保されている。新設ガイドレール20間の距離を、シャッター開口の長さW12とする。長さW12は、一対の新設ガイドレール20,20の幅方向の内側の端部どうしの距離である。長さW12は、既設の一対の縦枠11bどうしの距離によって決まる。シャッター開口の誤差は、縦枠11b間の距離の誤差によって決まり、W13(不図示)とする。
【0026】
ラックギヤ27において、噛み合い位置A2よりも幅方向の内側の部分を、内側の部分A1とする。内側の部分A1の幅方向の長さを、長さW1とする。長さW1は、電動シャッター100の取付寸法誤差を確保している。内側の部分A1の長さW1は、長さW11と長さW13との合計よりも長い。
【0027】
ラックギヤ27において、噛み合い位置A2よりも幅方向の外側の部分を、外側の部分A3とする。外側の部分A3の幅方向の長さを、長さW3とする。長さW3は、長さW11よりも長い。長さW3は、長さW1よりも短い。
【0028】
噛み合い位置A2が、幅方向の内側にずれたとしても、ラックギヤ27の幅方向の長さの範囲内であって、内側の部分A1の範囲内になるようになっている。噛み合い位置A2が、幅方向の外側にずれたとしても、ラックギヤ27の幅方向の長さの範囲内であって、外側の部分A3の範囲内になるようになっている。ラックギヤ27の幅方向の長さは、新設巾木30の寸法誤差、枠体11の寸法誤差及び枠体11の施工ばらつき影響(枠角度によるL方向誤差)切断誤差を考慮した長さである。
【0029】
以下の説明において、幅方向の一方側を図2図5の紙面左側とし、幅方向の他方側を図2図5の紙面右側とする。
図4に示すように、新設巾木30が紙面左側にずれて、新設ガイドレール20の左側の端部20aと新設巾木30の左側の端部30aとのクリアランス=0となる場合がある。図3に示す通常の状態で、ラックギヤ27の外側の部分A3の長さW3(図3参照)は、新設ガイドレール20の端部20aと新設巾木30の端部30aとのクリアランスの長さW11(図3参照)よりも長い。このため、図4に示すように、仮に新設巾木30が紙面左側にずれたとしても、駆動ギヤ44がラックギヤ27の幅方向の外側へ脱落していない。本明細書でいう「幅方向の外側へ脱落」とは、駆動ギヤ44がラックギヤ27よりも新設ガイドレール20側に移動してしまい、駆動ギヤ44とラックギヤ27とが噛み合う状態が解除された状態をいう。
【0030】
図5に示すように、新設巾木30が紙面右側にずれて、新設巾木30の右側において(不図示)、新設ガイドレール20の右側の端部と新設巾木30の右側の端部とのクリアランス=0となる場合がある。新設ガイドレール20の左側の端部20aと新設巾木30の左側の端部30aとのクリアランスの長さW11´=元々のクリアランスW11+右側のクリアランスW11+シャッター開口の誤差+新設巾木30の寸法誤差となる。このため、仮に新設巾木30が紙面右側にずれたとしても、駆動ギヤ44がラックギヤ27の幅方向の内側へ脱落していない。本明細書でいう「幅方向の内側へ脱落」とは、駆動ギヤ44がラックギヤ27よりもモヘア24側に移動してしまい、駆動ギヤ44とラックギヤ27とが噛み合う状態が解除された状態をいう。
【0031】
電動シャッター100では、内側の部分A1の長さW1は、幅方向の両側の新設ガイドレール20間の距離であるシャッター開口の誤差を含んでいる。シャッター開口の長さW12が誤差の範囲内で前後して駆動ギヤ44が幅方向の内側にずれて配置されたとしても、駆動ギヤ44がラックギヤ27の幅方向の内側から脱落することを抑制することができる。
【0032】
ラックギヤ27の噛み合い位置A2は、ラックギヤ27の幅方向の中央よりも幅方向の外側に寄って配置されている。ラックギヤ27において幅方向の内側の部分A1の長さW1を大きく確保することができて、駆動ギヤ44がラックギヤ27の幅方向の内側から脱落することを抑制することができる。
【0033】
ラックギヤ27の外側の部分A3の長さW3は、新設ガイドレール20の端部20aと新設巾木30の端部30aとのクリアランスの長さW11よりも長い。駆動ギヤ44が幅方向の外側にずれて設置されたとしても、駆動ギヤ44がラックギヤ27の幅方向の外側から脱落することを抑制することができる。
【0034】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0035】
例えば、上記に示す実施形態では、噛み合い位置A2は、ラックギヤ27の幅方向の中央よりも開口の端部側に寄って配置されているが、これに限られない。内側の部分A1の長さW1が電動シャッター100の取付寸法誤差を確保していれば、噛み合い位置A2は、ラックギヤ27の幅方向の中央に配置されていてもよく、その位置は適宜設定可能である。
【0036】
上記に示す電動シャッター100は、既設の手動シャッターからガイドレール及び巾木を交換して、後付けで電動にしたものであるが、これに限られない。新規に設置するシャッターとして電動シャッター100を設置してもよい。
【符号の説明】
【0037】
13 シャッターカーテン、20 ガイドレール、新設ガイドレール、30 巾木、新設巾木、41 電動モータ、42 出力軸、44 駆動ギヤ、100 電動シャッター、A1 内側の部分、A2 噛み合い位置、W1 内側の部分の長さ、W21 ラックギヤの幅方向の長さ W22 駆動ギヤの幅方向の長さ
図1
図2
図3
図4
図5