(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072884
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】シャッターの治具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185583
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿典
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(57)【要約】
【課題】シャッターカーテンの巻き取りを規制することができるシャッターの治具を提供する。
【解決手段】シャッターの治具3は、建物の開口に開閉可能に設けられるシャッターカーテン13に着脱自在に取り付けられ、シャッターカーテン13に取り付けられた状態で、シャッターカーテン13よりも外方に突出し、シャッターカーテン13を屋内外方向に挟む挟持部32を有し、挟持部32は、屋内外方向に離れて配置された一対の挟持片33を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口に開閉可能に設けられるシャッターカーテンに着脱自在に取り付けられ、前記シャッターカーテンに取り付けられた状態で、前記シャッターカーテンよりも外方に突出するシャッターの治具。
【請求項2】
前記シャッターカーテンを屋内外方向に挟む挟持部を備える請求項1に記載のシャッターの治具。
【請求項3】
前記挟持部は、屋内外方向に離れて配置された一対の挟持片を有し、
一方の前記挟持片は、前記シャッターカーテンを2箇所以上で支持し、
他方の前記挟持片は、前記シャッターカーテンを1箇所以上で支持する請求項2に記載のシャッターの治具。
【請求項4】
弾性材料で形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のシャッターの治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャッターの治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物には、複数のスラットが互いに回動可能に上下方向に連結されたシャッターカーテンと、シャッターカーテンを巻き取るシャフトと、を備えたシャッター装置が設置される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャッターカーテンの巻き取りが所定の位置で止まらない場合、シャッターカーテンの全域がシャフトに巻き取られてしまい、シャッターカーテンを取り出すことが困難になる虞がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シャッターカーテンの巻き取りを規制することができるシャッターの治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るシャッターの治具は、建物の開口に開閉可能に設けられるシャッターカーテンに着脱自在に取り付けられ、前記シャッターカーテンに取り付けられた状態で、前記シャッターカーテンよりも外方に突出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】シャッターの上部を屋外側から見た分解斜視図。
【
図3】シャッターの屋内外方向に沿う縦断面図の一部。
【
図5】変形例1に係るシャッターの治具が取り付けられた縦断面図の一部。
【
図6】変形例2に係るシャッターの治具が取り付けられた縦断面図の一部。
【
図7】変形例3に係るシャッターの治具が取り付けられた縦断面図の一部。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係るシャッターの治具について、図面に基づいて説明する。以下、シャッターの治具をシャッター治具とする。
図1に示すように、シャッター治具3は、例えば手動シャッター100のシャッターカーテン13に取り付けられるものである。
【0009】
手動シャッター100を正面から見た状態で、水平方向に沿う左右方向を幅方向と称する。幅方向のうち建物の開口の中央側に向かう方向を、幅方向の内側と称する。幅方向のうち建物の開口の中央から端部側に向かう方向を、幅方向の外側と称する。水平方向に沿い、屋内側と屋外側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。
【0010】
手動シャッター100について説明する。手動シャッター100は、建物の開口の屋外側に設置されている。手動シャッター100は、枠体11と、シャッターケース12と、シャッターカーテン13と、一対のガイドレール14,14と、巾木15と、を備えている。
図1では、ガイドレール14及び巾木15を二点鎖線で示している。
【0011】
枠体11は、四方枠状をしている。枠体11は、建物の開口に固定されている。シャッターケース12は、枠体11の天板11aに固定されている。
【0012】
シャッターケース12は、下方に開口するボックス状である。シャッターケース12は、一対の取付プレート121,121(
図2参照)と、前部カバー122と、一対の端部カバー123と、を有している。
図2では、前部カバー122及び端部カバー123の図示を省略している。
【0013】
図2に示すように、取付プレート121は、枠体11の一対の縦枠11b,11bの幅方向の内側に取り付けられている。
図1に示すように、前部カバー122は、シャッターカーテン13の屋外側且つ上部を覆っている。端部カバー123は、取付プレート121(
図2参照)の幅方向の外側を覆っている。
【0014】
図1に示すように、シャッターカーテン13は、建物の開口に開閉可能に設けられている。シャッターケース12の取付プレート121には、シャフト12a(
図3参照)が回転可能に取り付けられている。シャッターカーテン13の上部は、シャフト12aに連結されている。シャフト12aの回転によって、シャッターカーテン13の巻き取り及び繰り出しが可能である。
【0015】
図3に示すように、シャッターカーテン13は、複数のスラット131と、連結軸部132と、を有する。複数のスラット131は、上下方向に隣り合って配置されている。スラット131は、屋内外方向に沿う鉛直断面で、屋外側に向かって膨らむ形状をしている。連結軸部132は、スラット131の上下端部に設けられている。連結軸部132は、幅方向に延びている。上下のスラット131どうしは、連結軸部132回りに回動可能に連結されている。
【0016】
図1に示すように、ガイドレール14は、建物の開口の幅方向の両側に設けられている。巾木15は、シャッターカーテン13の下部に設けられている。ガイドレール14は、巾木15の幅方向の端部を上下方向に案内する。
【0017】
通常、シャッターカーテン13が巻き取られると、巾木15が手動シャッター100の所定の箇所に当たって、シャッターカーテン13の巻き取りが規制される。手動シャッター100から一対のガイドレール14,14及び巾木15を取り外して、新設のガイドレール(不図示)及び駆動機構が設けられた新設の巾木(不図示)を取り付けて、手動シャッター100を電動シャッターに変更する場合がある。巾木15をシャッターカーテン13から取り外すと、全てのスラット131がシャッターケース12の中に巻き取られてしまう虞がある。全てのスラット131が巻き取られないように、シャッター治具3をシャッターカーテン13の下側のスラット131の幅方向の両側の端部に取り付ける。
【0018】
図4に示すように、シャッター治具3は、基部31と、挟持部32と、を有している。シャッター治具3の外形は、略矩形状である。シャッター治具3は、軟質の合成樹脂等の弾性材料で形成されている。シャッター治具3の材料は、段ボール、圧縮された空気の弾力を利用した緩衝材であるエアーマット等適宜設定可能である。
【0019】
シャッター治具3の説明における方向は、スラット131に取り付けられた状態に基づいて説明する。
【0020】
基部31は、略直方体状である。基部31は、スラット131の幅方向の外側に突出している。
【0021】
挟持部32は、基部31から幅方向の内側に延びている。挟持部32は、一対の挟持片33,33を有している。挟持片33は、基部31の幅方向の内側の端部31aから幅方向の内側に延びている。一対の挟持片33,33は、屋内外方向に離れて対向して配置されている。挟持片33は、直方体状である。挟持片33において対向する挟持片33側を向く面331は、幅方向に沿う鉛直面をしている。
【0022】
図3に示すように、一対の挟持片33,33は、シャッターカーテン13の下部のスラット131を屋内外方向に挟んでいる。シャッター治具3は下側から2枚目のスラット131に取り付けられているが、シャッター治具3は他の位置のスラット131に取り付けられていてもよい。
【0023】
一対の挟持片33,33のうち屋外側に配置される挟持片33を挟持片33aとし、屋内側に配置される挟持片33を挟持片33bとする。一対の挟持片33a,33bに挟まれるスラット131を、スラット131aとする。挟持片33aは、スラット131の屋外側に突出している。挟持片33bは、スラット131の屋内側に突出している。
【0024】
スラット131aの上端部133は、挟持片33bの面331の上端部332に当たっている。スラット131aの上下方向の中間部134は、挟持片33aの面331の上下方向の中間部333に当たっている。スラット131aの下端部135は、挟持片33bの面331の下端部334に当たっている。屋内側から上端部332と下端部334の2箇所、及び屋外側から中間部333の1箇所で、スラット131aを支持して挟み込んでいる。
【0025】
挟持片33bは、請求項の一方の挟持片に対応する。挟持片33aは、請求項の他方の挟持片に対応する。挟持片33bの上端部332及び下端部334は、請求項の2箇所に対応する。挟持片33aの中間部333は、請求項の1箇所に対応する。
【0026】
シャッター治具3をスラット131aに取り付ける際には、シャッター治具3をシャッターカーテン13の幅方向の外側から内側に移動させて、一対の挟持片33,33の間にスラット131aを挿入して挟み込む。スラット131aの幅方向の端部が、シャッター治具3の基部31の幅方向の内側の端部31a(
図4参照)に当たれば、スラット131aと一対の挟持片33,33との位置決めがされる。シャッター治具3をシャッターカーテン13の一番下側のスラット131aに対して、下方から一対の挟持片33,33の間にスラット131aを挿入して挟み込んでもよい。
【0027】
シャッター治具3をシャッターカーテン13から取り外す際には、シャッター治具3をスラット131aの幅方向の内側から外側に移動させて、シャッター治具3を抜き取る。
【0028】
図2に示す状態よりもさらにシャッターカーテン13が巻き取られていくと、シャッター治具3の基部31の上面31uは、取付プレート121の下端面121dに当たる。シャッターカーテン13は、この位置よりも巻き取られることが規制されている。
【0029】
シャッター治具3がシャッターカーテン13に取り付けられた状態で、シャッター治具3はシャッターカーテン13よりも外方に突出している。シャッター治具3の基部31が取付プレート121に当たることによって、シャッターカーテン13のシャフト12aへの巻き取りを規制することができる。
【0030】
シャッター治具3の挟持部32がシャッターカーテン13を屋内外方向に挟むことによって、シャッター治具3はシャッターカーテン13に着脱自在に取り付けられる。シャッター治具3をシャッターカーテン13に容易に取り付けることができるとともに、容易に取り外すことができる。
【0031】
シャッターカーテン13を屋内側から挟持片33bで2箇所で当たって支持し、屋外側から挟持片33aで1箇所で当たって支持している。シャッター治具3は合計3箇所でシャッターカーテン13を屋内外方向に挟んでいるため、シャッター治具3はシャッターカーテン13に強固に取り付けられ、シャッター治具3がシャッターカーテン13から外れることが抑制される。
【0032】
シャッター治具3は弾性材料で形成されているため、シャッター治具3がシャッターカーテン13を挟んだ状態でシャッター治具3は弾性変形する。シャッター治具3がシャッターカーテン13に取り付けられても、シャッター治具3は弾性材料で形成されているため、シャッターカーテン13を傷つけることが抑制される。シャッター治具3はシャッターカーテン13に強固に取り付けられる。
【0033】
シャッター治具3をシャッターカーテン13に取り付けた状態で、巾木15を電動シャッターの新設の巾木に容易に交換することができ、施工性が良い。
【0034】
(変形例1)
次に、変形例1に係るシャッター治具について、主に
図5を用いて説明する。下記に示す変形例の説明において、前述した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、シャッター治具3Aの屋外側の挟持片33cの屋内外方向の長さは、実施形態に係るシャッター治具3の屋外側の挟持片33aの屋内外方向の長さよりも長い。
【0036】
シャッターカーテン13が巻き取られた状態で、シャッター治具3Aの挟持片33cの上面33uは、前部カバー122の下端面122dに当たっている。シャッターカーテン13は、この位置よりも巻き取られることが規制されている。
【0037】
シャッター治具3Aがシャッターカーテン13に取り付けられた状態で、シャッター治具3Aはシャッターカーテン13よりも外方に突出している。シャッター治具3Aの挟持片33cの上面33uが前部カバー122に当たることによって、シャッターカーテン13のシャフト12aへの巻き取りを規制することができる。
【0038】
(変形例2)
次に、変形例2に係るシャッター治具について、主に
図6を用いて説明する。
図6に示すように、シャッター治具3Bの挟持部32Bは、屋外側の挟持片33d及び屋内側の挟持片33eを有している。屋外側の挟持片33dにおける挟持片33e側を向く面331aは、屋外側に凹むように湾曲している。屋内側の挟持片33eにおける挟持片33d側を向く面331bは、屋外側に凸となるように湾曲している。
【0039】
スラット131aの上端部133は、挟持片33eの面331bの上端部332bに当たっている。スラット131aの上部136は、挟持片33dの面331aの上部336dに当たっている。スラット131aの上下方向の中間部134は、挟持片33eの面331bの上下方向の中間部333bに当たっている。スラット131aの下部137は、挟持片33dの面331aの下部337dに当たっている。スラット131aの下端部135は、挟持片33eの面331bの下端部334bに当たっている。屋内側から上端部332bと中間部333bと下端部334bの3箇所、及び屋外側から上部336dと下部337dの2箇所で、スラット131aを支持して挟み込んでいる。
【0040】
挟持片33eは、請求項の一方の挟持片に対応する。挟持片33dは、請求項の他方の挟持片に対応する。挟持片33eの上端部332b、中間部333b及び下端部334bは、請求項の2箇所以上に対応する。挟持片33dの上部336d及び下部337dは、請求項の1箇所以上に対応する。
【0041】
(変形例3)
次に、変形例3に係るシャッター治具について、主に
図7を用いて説明する。
図7に示すように、シャッター治具3Cの挟持部32Cは、屋外側の挟持片33f及び屋内側の挟持片33gを有している。挟持片33f及び挟持片33gの上下方向の長さは、スラット131の上下方向の長さよりも長い。屋外側の挟持片33fにおける挟持片33g側を向く面331cは、複数の平面によって、屋外側に凹むように形成されている。屋内側の挟持片33gにおける挟持片33f側を向く面331dは、複数の平面によって、屋外側に凸となるように形成されている。
【0042】
挟持片33fの面331cは、第一面部341と、第二面部342と、第三面部343と、第四面部344と、第五面部345と、を有している。第一面部341は、挟持片33fの上端部から下方に延びる鉛直面である。第二面部342は、第一面部341の下端部から下方に向かうにしたがって次第に屋外側に傾斜する平面である。第三面部343は、第二面部342の下端部から下方に延びる鉛直面である。第四面部344は、第三面部343の下端部から下方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する平面である。第五面部345は、第四面部344の下端部から下方に延びる鉛直面である。
【0043】
挟持片33gの面331dは、第一面部351と、第二面部352と、第三面部353と、第四面部354と、第五面部355と、を有している。第一面部351は、挟持片33gの上端部から下方に延びる鉛直面である。第二面部352は、第一面部351の下端部から下方に向かうにしたがって次第に屋外側に傾斜する平面である。第三面部353は、第二面部352の下端部から下方に延びる鉛直面である。第四面部354は、第三面部353の下端部から下方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する平面である。第五面部355は、第四面部354の下端部から下方に延びる鉛直面である。
【0044】
スラット131aの上部138は、挟持片33gの第一面部341と第二面部342との境界部346に当たっている。スラット131aの下部139は、挟持片33fの第四面部344に当たっている。スラット131aの上下方向の中間部141は、挟持片33gの面331dの第二面部352と第三面部353との境界部356に当たっている。スラット131aの上下方向の中間部142は、挟持片33gの面331dの第三面部353と第四面部354との境界部357に当たっている。スラット131aと上側のスラット131bとの連結部143は、挟持片33fの第一面部341及び挟持片33gの第一面部351に当たっている。スラット131aと下側のスラット131cとの連結部144は、挟持片33fの第五面部345及び挟持片33gの第五面部355に当たっている。
【0045】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0046】
例えば、上記に示す実施形態では、シャッター治具3はシャッターカーテン13を挟み込んでシャッターカーテン13に取り付けられる構成であるが、これに限られない。シャッター治具3をシャッターカーテン13に両面テープで固定したり、シャッター治具3をシャッターカーテン13に係止したり、螺子によって螺合することで挟み込んだり、シャッターカーテン13を屋内側及び屋外側から磁石によって係止したり、洗濯ばさみのようにバネで係止したり、万力のように送りねじで係止したりする構成であってもよい。シャッター治具3のシャッターカーテン13への取付方法は適宜設定可能である。シャッター治具3は、基部31がなくて、完全に分割された一対の挟持片どうしでシャッターカーテン13を挟み込む構成であってもよい。
【0047】
上記に示す実施形態では、シャッター治具3は合計3箇所でシャッターカーテン13を支持して屋内外方向に挟んでいるが、これに限られない。シャッター治具3がシャッターカーテン13に当たって支持する箇所数は適宜設定可能である。
【符号の説明】
【0048】
3,3A シャッター治具、シャッターの治具、13 シャッターカーテン、14 ガイドレール、15 巾木、32 挟持部、33,33a,33b,33c 挟持片、100 手動シャッター