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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072917
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/32 20060101AFI20230518BHJP
   B65D 25/04 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B65D75/32
B65D25/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185641
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【テーマコード(参考)】
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3E062AA03
3E062BB02
3E067AA11
3E067AB41
3E067BA10A
3E067BB01A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC02A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EE02
3E067FA03
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、従来のプラスチック製ブリスターパックに代わる、紙を主材料とする立体収納容器を提案するものである。
【解決手段】収納物を載置するための中皿2と、中皿に嵌合し中皿を固定するための嵌合突起4を有する嵌合板3と、平面状のフランジ部6を有し下に凸の形状を有する下皿5と、平面状のフランジ部8を有し上に凸の形状を有する上皿7とから構成される収納容器であって、下皿と上皿とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部9を介して繋がっており、嵌合板は、下皿の第1ヒンジ部と対向する辺において、下皿と第2ヒンジ部10を介して繋がっていることを特徴とする紙容器1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物を載置するための中皿と、
中皿に嵌合し中皿を固定するための嵌合突起を有する嵌合板と、
平面状のフランジ部を有し下に凸の形状を有する下皿と、
平面状のフランジ部を有し上に凸の形状を有する上皿とから構成される収納容器であって、
下皿と上皿とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部を介して繋がっており、
嵌合板は、下皿の第1ヒンジ部と対向する辺において、下皿と第2ヒンジ部を介して繋がっていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
収納物を載置するための中皿と、
中皿に嵌合し中皿を固定するための嵌合突起を有する嵌合板と、
平面状のフランジ部を有し下に凸の形状を有する下皿と、
平面状のフランジ部を有し上に凸の形状を有する上皿とから構成される収納容器であって、
下皿と上皿とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部を介して繋がっており、
嵌合板は、下皿に固定されていることを特徴とする紙容器。
【請求項3】
上皿の、第1ヒンジ部と対向するフランジ部に円弧状の切込みを設け、
下皿の、第1ヒンジ部と対向するフランジ部をこの切込みに挿入して、上皿と下皿とを固定できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙容器。
【請求項4】
下皿と上皿とを構成する紙を主体とする材料は、縦方向および横方向とも10%以上の伸びを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項5】
下皿の、フランジ部から立ち下がる角度、および上皿の、フランジ部から立ち上がる角度は、いずれも40°以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項6】
第1ヒンジ部および第2ヒンジ部から選択される1以上にミシン目加工を施したことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器に関し、特に従来プラスチック製の容器が用いられていた用途にも使用が可能であり、環境に対する負荷がより小さい紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックシートを真空成形法等の加工方法によって、内容物に適した形状に成形した、ブリスターパックと呼ばれる包装形態が知られている。ブリスターパックは、内容物の形状に応じて、最適な形状に自由に成形することが可能であるため、マウス等の小型電子機器や各種製品用の包装形態として広く普及している。
【0003】
特許文献1に記載されたブリスターパックは、樹脂シートの成形品よりなる採便管収納用容器であって、従来人手に頼らざるを得なかった、輸送されてきた採便管の取り出しを自動化することが可能な容器である。
【0004】
しかし近年、プラスチック包装が地球環境に及ぼす影響が問題視されるにつれて、従来のプラスチック製ブリスターパックに代わり、環境に対する負荷がより小さい紙製のブリスターパック容器に対する期待が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6534644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、従来のプラスチック製ブリスターパックに代わる、紙を主材料とする立体収納容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、収納物を載置するための中皿と、中皿に嵌合し中皿を固定するための嵌合突起を有する嵌合板と、平面状のフランジ部を有し下に凸の形状を有する下皿と、平面状のフランジ部を有し上に凸の形状を有する上皿とから構成される収納容器であって、下皿と上皿とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部を介して繋がっており、嵌合板は、下皿の第1ヒンジ部と対向する辺において、下皿と第2ヒンジ部を介して繋がっていることを特徴とする紙容器である。
【0008】
本発明に係る紙容器は、紙を主体とする材料を立体的に成形したものであり、収納物を載置するための中皿を嵌合板によって固定したことにより、従来のプラスチック製のブリスターパックと遜色のない内容物保持性を発揮する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、収納物を載置するための中皿と、中皿に嵌合し中皿を固定するための嵌合突起を有する嵌合板と、平面状のフランジ部を有し下に凸の形状を有する下皿と、平面状のフランジ部を有し上に凸の形状を有する上皿とから構成される収納容器であって、下皿と上皿とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部を介して繋がっており、嵌合板は、下皿に固定されていることを特徴とする紙容器である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、上皿の、第1ヒンジ部と対向するフランジ部に円弧状の切込みを設け、下皿の、第1ヒンジ部と対向するフランジ部をこの切込みに挿入して、上皿と下皿とを固定できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙容器である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、下皿と上皿とを構成する紙を主体とする材料が、縦方向および横方向とも10%以上の伸びを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙容器である。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、下皿の、フランジ部から立ち下がる角度、および上皿の、フランジ部から立ち上がる角度が、いずれも40°以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紙容器である。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、第1ヒンジ部および第2ヒンジ部から選択される1以上にミシン目加工を施したことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の紙容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る紙容器は、容器重量の大半を占める上皿と下皿を紙を主体とする材料によって構成したので、紙容器として認められるものであり、地球環境に対する負荷が小さくて済むものである。
【0015】
本発明に係る紙容器は、紙を主体とする材料を立体的に成形したものであり、収納物を載置するための中皿を嵌合突起を有する嵌合板によって固定したことにより、従来のプラスチック製のブリスターパックと遜色のない内容物保持性を発揮することができる。
【0016】
請求項1に記載の発明においては、中皿以外の上皿と下皿と嵌合板とを一繋がりの紙を主体とする材料から構成したので、部品数が少なくて済み、組立てに要する工数も少なくなるので、コスト面において有利である。
【0017】
一方、請求項2に記載の発明においては、嵌合板として上皿、下皿とは異なる材料を用いることができるため、材料の選択幅が広くなり、デザイン面において有利である。
【0018】
請求項3に記載の発明のように、上皿の、第1ヒンジ部と対向するフランジ部に円弧状の切込みを設け、下皿の、第1ヒンジ部と対向するフランジ部をこの切込みに挿入して、上皿と下皿とを固定できるようにした場合には、簡単な構造で上皿と下皿を固定することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明のように、下皿と上皿とを構成する紙を主体とする材料が、縦方向および横方向とも10%以上の伸びを有するものである場合には、成形性が良好であり、形状の自由度も増す。
【0020】
請求項5に記載の発明のように、下皿の、フランジ部から立ち下がる角度、および上皿の、フランジ部から立ち上がる角度を、いずれも40°以下とした場合には、成型時の破れ等が発生し難く、安定した製造が可能となる。
【0021】
また請求項6に記載の発明のように、第1ヒンジ部および第2ヒンジ部から選択される1以上にミシン目加工を施した場合には、ヒンジ部の折曲げ作業が安定しヒンジ部のスプリングバックが生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る紙容器の一実施態様を示した斜視図である。
図2図2は、図1のA-A´断面を模式的に示した断面説明図である。
図3図3は、図1に示した紙容器の上皿を開いた状態を示した斜視説明図である。
図4図4は、図3の状態から中皿を取り出した状態を示した斜視説明図である。
図5図5(1)は、図1~4に示した紙容器を折り畳む前の、上皿、下皿、嵌合板を水平に伸ばした状態を示した平面模式図である。図5(2)は、その立面図である。
図6図6は、本発明に係る紙容器の他の実施態様を示した斜視図である。
図7図7は、図6のB-B´断面を模式的に示した断面説明図である。
図8図8は、図6に示した紙容器の上皿を開いた状態を示した斜視説明図である。
図9図9は、図8の状態から中皿と嵌合板を取り除いた状態を示した斜視説明図である。
図10図10は、上皿、下皿、嵌合板を水平に伸ばした状態を示した平面模式図であり、第1ヒンジ部および第2ヒンジ部にミシン目加工が施されている状態を示した平面説明図である。
図11図11は、上皿の、フランジ部から立ち上がる角度(α)、および下皿の、フランジ部から立ち下がる角度(β)の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明に係る紙容器について詳細に説明する。図1は、本発明に係る紙容器1の一実施態様を示した斜視図である。図2は、図1のA-A´断面を模式的に示した断面説明図である。図3は、図1に示した紙容器1の上皿7を開いた状態を示した斜視説明図である。図4は、図3の状態から中皿2を取り出した状態を示した斜視説明図である。
【0024】
本発明に係る紙容器1は、収納物(図示せず)を載置するための中皿2と、中皿に嵌合し中皿を固定するための嵌合突起4を有する嵌合板3と、平面状のフランジ部6を有し下に凸の形状を有する下皿5と、平面状のフランジ部8を有し上に凸の形状を有する上皿7とから構成される収納容器である。
【0025】
下皿5と上皿7とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部9を介して繋がっており、本実施態様においては、嵌合板3は、下皿5の第1ヒンジ部9と対向する辺において、下皿5と第2ヒンジ部10を介して繋がっている。従って、嵌合板3も下皿5、上皿7と同様に紙を主体とする材料からできている。
【0026】
紙を主体とする材料(以下積層体と称する)としては、紙単体や、板紙の片面または両面に合成樹脂フィルムを貼り合わせたもの等が使用できる。板紙に貼り合わせる合成樹脂フィルムは、単層に限らず、異なる種類の合成樹脂フィルムを複数枚貼り合わせても良い。紙容器1全体として、総重量の50%以上が紙であることが望ましい。用いる紙としては、坪量が150g/m程度で、縦方向横方向とも10%程度の伸びを有するものが適している。
【0027】
積層体の構成としては、紙にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを貼り合わせたり、表裏両面にポリエチレン(PE)樹脂フィルムを貼り合わせたり、PET樹脂フィルムに無機酸化物を蒸着したガスバリアフィルムを貼り合わせることもできる。用途によっては、アルミニウム箔や防錆フィルムを貼り合わせて機能を付与することも可能である。
【0028】
積層体には、印刷を施したり、エンボス加工やデボス加工、箔押し加工等を組み合わせて、意匠性を高めることもできる。
【0029】
この例では、嵌合板3は、図2に示したように、嵌合突起4も含めて水平であるが、嵌合板3に立体的な成形を行って、嵌合突起4を低い位置に設けたり、逆に高い位置に設けたりすることもできる。
【0030】
中皿2の材質については、特に制約はなく、プラスチック材料、紙、パルプモールド等、収納物の形状や性質に応じて適宜選択することができる。中皿2には、嵌合板3の嵌合突起4が嵌合する凹部を設けておくことが必要である。これにより中皿2は、固定され、嵌合板3から容易には外れなくなる。
【0031】
図1~5に示した例では、上皿7の、第1ヒンジ部9と対向するフランジ部に円弧状の切込み11を設け、下皿5の、第1ヒンジ部9と対向するフランジ部をこの切込みに挿入して、上皿と下皿とを固定できるようにしてある。
【0032】
上皿7を閉じた時に、上皿7を下皿5に固定する方法としては、この方法以外にもさまざまな方法を用いることができる。特に図示しないが、例えば上皿7の第1ヒンジ部9と対向するフランジ部に突起を設け、この突起を下皿5のフランジ部6の裏側に粘着させる方法等である。
【0033】
第1ヒンジ部9および第2ヒンジ部10は、単に積層体を折り曲げただけでも良いが、図10に示したように、ミシン目加工12を施しても良い。ミシン目加工12を施すことにより、ヒンジ部の折曲げが曲がり易くなる。
【0034】
図6は、本発明に係る紙容器1の他の実施態様を示した斜視図である。また図7は、図6のB-B´断面を模式的に示した断面説明図である。また図8は、図6に示した紙容器1の上皿7を開いた状態を示した斜視説明図である。またさらに図9は、図8の状態から中皿2と嵌合板3を取り除いた状態を示した斜視説明図である。
【0035】
この例では、紙容器1は、収納物を載置するための中皿2と、中皿2に嵌合し中皿2を固定するための嵌合突起4を有する嵌合板3と、平面状のフランジ部6を有し下に凸の形状を有する下皿5と、平面状のフランジ部8を有し上に凸の形状を有する上皿7とから構成され、下皿5と上皿7とは紙を主体とする材料を立体的に成形したものであって、第1ヒンジ部9を介して繋がっており、嵌合板3は、下皿5に固定されている。
【0036】
この例では、嵌合板3が独立しているが、下皿5に固定されているため、図1~5に示した例と同様、中皿2を固定する機能に差はない。嵌合板3を下皿5に固定する方法としては、接着剤による方法や、ヒートシールによる方法等が使用できる。
【0037】
図6~9に示した例では、嵌合板3の材質を下皿5、上皿7とは異なる材質とすること
ができる。このため、紙容器1全体として変化に富んだ意匠性を持たせることの自由度が高まる効果が期待できる。
【0038】
下皿5および上皿7を立体的な形状に成形する方法としては、雄型、雌型によるプレス成形法や、真空成形法、真空圧空成形法、熱盤圧空成形法等の成形法が使用できる。成型時に金型温度を120℃前後に加熱することにより、成形が容易になる場合が多い。
【0039】
上皿7および下皿5の立体形状としては、図11に示したように、上皿7の、フランジ部8から立ち上がる角度αおよび下皿5の、フランジ部6から立ち下がる角度βが、いずれも40°以下であることがより望ましい。
【符号の説明】
【0040】
1・・・紙容器
2・・・中皿
3・・・嵌合板
4・・・嵌合突起
5・・・下皿
6・・・フランジ部
7・・・上皿
8・・・フランジ部
9・・・第1ヒンジ部
10・・・第2ヒンジ部
11・・・切込み
12・・・ミシン目加工
α・・・上皿の立ち上がり角度
β・・・下皿の立ち下がり角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11