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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072934
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】車両後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/02 20060101AFI20230518BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B62D25/02 B
B62D25/08 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185672
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 賢司
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB57
3D203BB76
3D203CA53
3D203CB04
3D203CB07
3D203DA22
3D203DA23
(57)【要約】
【課題】車両の後部におけるねじれ剛性の低下を抑制する。
【解決手段】車両後部構造において、サイドボディアウタパネル10の外側面10aの後端に、車両後方に凸となるパネル屈曲部11が設けられ、パネル屈曲部11の車両上方側に、ランプハウジングパネル30に取り付けられた後部ランプ41が配置されている。サイドボディアウタパネル10の後部には、パネル屈曲部11の車両下方に位置する外側面10aの端部に沿って延びる段差部16が設けられ、リアバンパ42の外側部が、段差部16に沿って配置され、サイドボディアウタパネル10の内側には、パネル屈曲部11を跨ぐように配置された上下方向に延びるリンフォースメント20が接合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部に配置されるサイドボディアウタパネルと、後部ランプを取り付けられ、前記サイドボディアウタパネルに接合されるランプハウジングパネルと、を備え、
前記サイドボディアウタパネルの外側面の後端には、車両後方に凸となるパネル屈曲部が設けられ、該パネル屈曲部の車両上方側に前記後部ランプが配置されている、車両後部構造において、
前記サイドボディアウタパネルの後部には、前記パネル屈曲部の車両下方に位置する前記外側面の端部に沿って延びる段差部が設けられ、車両後部に設けられるリアバンパの車幅方向外側部が、前記段差部に沿って配置されており、
前記サイドボディアウタパネルの車両内側には、前記パネル屈曲部を跨ぐように配置された車両上下方向に延びるリンフォースメントが、接合されていることを特徴とする、車両後部構造。
【請求項2】
前記サイドボディアウタパネルは、前記パネル屈曲部の車両上方側に位置する前記外側面の端部から車幅方向内側に突出する上側フランジ部と、前記段差部の車幅方向内側端から車両後方に延びる内側面部と、前記内側面部の後端から車幅方向内側に突出する下側フランジ部と、を有し、
前記リンフォースメントは、車両後方を臨み、車両上下方向に延びる後壁部と、該後壁部の車幅方向外側端から車両後方に延びる外壁部と、を有し、
前記上側フランジ部及び前記下側フランジ部には、前記ランプハウジングパネルを介して前記リンフォースメントの前記後壁部が接合され、
前記内側面部の車両内側には、前記リンフォースメントの前記外壁部が接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記リンフォースメントの前記後壁部の車両上下方向の中間部には、車両後方に凸となるように屈曲するリンフォース屈曲部が設けられ、該リンフォース屈曲部の車両前方側には、第1の角度が形成され、
前記リンフォース屈曲部は、前記ランプハウジングパネルに対して車両前方側に間隔を空けて配置され、
前記リンフォース屈曲部の車両上方側及び車両下方側に位置する前記後壁部は、それぞれ、前記上側フランジ部及び前記下側フランジ部に、前記ランプハウジングパネルを介して接合されており、
前記第1の角度は、前記パネル屈曲部の車両前方側に形成される第2の角度よりも大きく設定されていることを特徴とする、請求項2に記載の車両後部構造。
【請求項4】
前記リンフォースメントの前記後壁部の車幅方向内側端には、前記外壁部に対向するように車両上下方向に延びる内壁部が設けられていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の車両後部構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の側部に配置されるサイドボディアウタパネルの後部には、例えば、リアバンパ及び後部ランプが配置されている。例えば、樹脂製のリアパンパは、車幅方向に延びており、車幅方向外側部は、車両前方に突出している。車両前方に突出する部分は、サイドボディアウタパネルの後部に取り付けられている。また、リアコンビランプ等の後部ランプは、サイドボディアウタパネルにハウジングパネル等を介して固定されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるサイドボディアウタパネルの後部には、リアコンビランプ及びリアバンパとの境界(見切り線)が設けられている。リアバンパは、車体後部における下側部を、外側から覆うように配置されている。そのため、リアバンパの車幅方向外側部は、車両前方に突出する部分が形成され、この突出する部分の端部は、サイドボディアウタパネルとの境界(見切り線)となる。当該境界を形成するために、サイドボディアウタパネルの後部には、例えば、車両後方に凸となる屈曲部を設ける必要がある。見切り線の精度を確保するために、屈曲部の付近にバンパホルダを取り付けて、リアバンパは、バンパホルダを介して、サイドボディアウタパネルの後部に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-116235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記例のようにサイドボディアウタパネルに屈曲部が設けられると、例えば、車体後部におけるねじれ剛性が低下する可能性がある。当該ねじれ剛性の低下は、コーナリング等において、車体のねじれが生じやすくなり、その結果、ハンドリングの性能が低下する可能性がある。サイドボディアウタパネルの後部に設けられた屈曲部は、例えば圧縮方向の荷重を受ける場合には、折曲がりの起点となる可能性がある。
【0006】
また、屈曲部には、後部ランプを固定するためのランプハウジングパネルが接合されている。車体後部において、ねじれ変形が起こるとき、ランプハウジングパネルとサイドボディアウタパネルは、屈曲部を境に異なる方向に変形するため、相対的に変位差が生じてしまう。これにより、屈曲部の周辺に塗布しているシーラーに亀裂が発生するだけでなく、パネルのスポット溶接の剥がれを引き起こす可能性がある。そのため、車両後部に屈曲部が設けられる構造では、車体のねじれ変形を起こす荷重が作用したときに、変形を抑制する上で、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、サイドボディアウタパネルの後部に屈曲部を有する車両後部において、ねじれの剛性の低下を抑制することがでる車両後部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車両後部構造は、車体側部に配置されるサイドボディアウタパネルと、後部ランプを取り付けられ、前記サイドボディアウタパネルに接合されるランプハウジングパネルと、を備え、前記サイドボディアウタパネルの外側面の後端には、車両後方に凸となるパネル屈曲部が設けられ、該パネル屈曲部の車両上方側に前記後部ランプが配置されている。当該車両後部構造において、前記サイドボディアウタパネルの後部には、前記パネル屈曲部の車両下方に位置する前記外側面の端部に沿って延びる段差部が設けられ、車両後部に設けられるリアバンパの車幅方向外側部が、前記段差部に沿って配置されており、前記サイドボディアウタパネルの車両内側には、前記パネル屈曲部を跨ぐように配置された車両上下方向に延びるリンフォースメントが、接合されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サイドボディアウタパネルの後部に屈曲部を有する車両後部において、ねじれの剛性の低下を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る車両後部構造の一実施形態を車両後方から見た斜視図である。
図2図1の車体後部の右側部にランプハウジングパネルを取り付けて、ランプハウジングパネル及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
図3図1の車体後部の左側を拡大して示す斜視図である。
図4図3のランプハウジングパネルを取り外した状態を示す斜視図である。
図5図1の車体右側のリンフォースメント及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
図6図1の車体左側のリンフォースメント及びその周辺を車幅方向中間部における車両内側から見た斜視図である。
図7図6のリンフォースメント単体を拡大して示す斜視図である。
図8図7のリンフォースメントを車両内側から見た側面図である。
図9図2のサイドボディアウタパネルの後部の側面図である。
図10図9のA-A矢視断面図である。
図11図9のB-B矢視断面図である。
図12図9のC-C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両の車両後部構造の一実施形態について、図面(図1図12)を参照しながら説明する。なお、図において、矢印U方向は車両上方を示し、矢印R方向は、車両前後方向における後方を示す。実施形態の説明における「前部(前端)及び後部(後端)」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印L方向は、乗員が車両前方を見たときの左側を示している。
【0012】
本実施形態の車両後部構造は、車体側部に配置されるサイドボディアウタパネル10と、車体の後部に配置されるリアバンパ42と、車体後部における車幅方向外側部に配置されるランプハウジングパネル30と、該ランプハウジングパネル30に取り付けられるリアターンシグナルランプ(後部ランプ)41と、リアバンパ42と、リンフォースメント20と、を有している。なお、リアターンシグナルランプ41及びリアバンパ42は、図1において二点鎖線により仮想的に示している。以下、各部材について説明する。
【0013】
サイドボディアウタパネル10は、車体側部に配置され、車体の最外を構成する部材であり、金属材料により形成される剛性の高い部材である。本実施形態のサイドボディアウタパネル10は、車体側部のうちの後部について説明している。本実施形態のサイドボディアウタパネル10の後部には、図1図4に示すように、パネル屈曲部11と、段差部16が設けられている。以下、サイドボディアウタパネル10の後部の形状について説明する。
【0014】
パネル屈曲部11は、車両後方に凸となるように形成される部分である。この例では、パネル屈曲部11は、車幅方向外側から見たとき、屈曲点となる後端部12と、該後端部12から車両前方に延びる2つの傾斜部(上側傾斜部13及び下側傾斜部15)によって構成されている。後端部12は、サイドボディアウタパネル10の後部における下部に配置されている。上側傾斜部13は、後端部12から車両前方に向かうに従い車両上方に傾斜して延びている。また、上側傾斜部13は、パネル屈曲部11が位置するサイドボディアウタパネル10の外側面の上端部に設けられており、車両内側に湾曲している。なお、本実施形態では、上側傾斜部13は、上記のように傾斜する部分を有しているが、車両上方に延びてもよい。
【0015】
また、上側傾斜部13の車両内側には、上側フラン部14が設けられている。上側フランジ部14は、上側傾斜部13が位置する外側面10aの端部から車幅方向内側に突出し、上側傾斜部13の傾斜方向に沿って延びている。
【0016】
下側傾斜部15は、後端部12から車両前方に向かうに従い車両下方に傾斜して延びている。また、下側傾斜部15は、パネル屈曲部11が位置するサイドボディアウタパネル10の外側面の下端部に設けられており、上側傾斜部13と同様に、車両内側に湾曲している。上側傾斜部13及び下側傾斜部15は、車幅方向視で、後端部12で屈曲しているように配置されている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態では、パネル屈曲部11の車両上方側に、リアターンシグナルランプ41が配置され、パネル屈曲部11の車両下方側に、リアバンパ42の車幅方向外側部が配置されている。この例では、上側傾斜部13の車両上方にリアターンシグナルランプ41が配置されている。リアターンシグナルランプ41は、車両上下方向に延びる略四角形状のランプであり、リアターンシグナルランプ41の車幅方向外側部における下部は、上側傾斜部13の傾斜方向に対応するように傾斜している。すなわち、上側傾斜部13は、サイドボディアウタパネル10とリアターンシグナルランプ41との見切り線(境界)を形成している。また、上記したように、上側傾斜部13が車両内側に湾曲していることで、外観品質(見切りの意匠性)が維持されている。
【0018】
リアバンパ42は、車幅方向に延びる例えば樹脂製の部材であり、車体後部に設けられたリアスカートパネル38等に取り付けられている。また、リアバンパ42の車幅方向外側部は、車両前方に突出している。この突出している部分の前部は、下側傾斜部15に対応するように傾斜している。すなわち、下側傾斜部15は、サイドボディアウタパネル10とリアバンパ42の車幅方向外側部との見切り線(境界)を形成している。下側傾斜部15は、上側傾斜部13と同様に車両内側に湾曲しており、見切り線の外観特性が維持されている。
【0019】
続いて、段差部16について説明する。段差部16は、図2図5及び図9に示すように、下側傾斜部15に設けられている。この例では、段差部16は、下側傾斜部15から車幅方向内側に突出し、下側傾斜部15の傾斜方向に沿って延びている。当該段差部16は、パネル屈曲部11の後端部12のやや下方から、車両前方に向かうに従い車両下方に傾斜して延びている壁面を有している。
【0020】
また、サイドボディアウタパネル10は、図2図4及び図9に示すように、段差部16の車幅方向内側端から車両後方に延びている内側面部17を有している。内側面部17は、車幅方向外側を臨む側面であり、この例では、車幅方向視で、内側面部17の上部は、パネル屈曲部11の後端部12よりもやや車両前方且つ車両下方に配置され、段差部16に接続されている。本実施形態のサイドボディアウタパネル10の後部は、段差部16によって外側面10aが凹み、その結果、内側面部17が形成される。
【0021】
また、内側面部17の後端は、車両上下方向に延びている。当該内側面部17には、図示しない樹脂製のバンパホルダ等を取り付けるための孔が形成されている。内側面部17には、例えばバンパホルダを介して、リアバンパ42の車幅方向外側部が取り付けられている。また、内側面部17の下端は、後輪を車両上方から覆うリアホイルハウスパネル等に接続されている。
【0022】
内側面部17の後端には、下側フランジ部18が設けられている。下側フランジ部18は、内側面部17の後端から車幅方向に突出し、車両上下方向に延びている。また、下側フランジ部18の上端は、内側面部17の後端における上端に配置されている。下側フランジ部18の上端は、上側フランジ部14の下端に対して、車両下方側に間隔を空けて配置されている。
【0023】
次に、ランプハウジングパネル30について説明する。ランプハウジングパネル30は、車両上下方向に延びる部材で、リアターンシグナルランプ41を取り付けるための貫通孔が形成されている。ランプハウジングパネル30は、サイドボディアウタパネル10に接合されている部材であり、この例では、サイドボディアウタパネル10の上側フランジ部14及び下側フランジ部18に、スポット溶接により接合されている。また、図3に示すように、ランプハウジングランプの下部は、リアスカートパネル38の側部に接合されている。
【0024】
続いて、リンフォースメント20について説明する。図7及び図8に示すように、本実施形態のリンフォースメント20は、全体で車両上下方向に延びてる部材で、サイドボディアウタパネル10の車両内側に、パネル屈曲部11を跨ぐように配置された状態で、スポット溶接により接合されている。このリンフォースメント20は、後壁21(後壁部)と、外壁(外壁部)23と、内壁(内壁部)25と、を有している。
【0025】
後壁21は、上側接合部21aと、リンフォース屈曲部21bと、湾曲部21cと、下側接合部21dと、を有している。上側接合部21aは、リンフォースメント20が車体に取り付けれている状態で、リンフォースメント20の上端から車両下方に延びる縦壁で、車両前方及び後方を臨む壁面を有している。上側接合部21aは、サイドボディアウタパネル10の上側フランジ部14にスポット溶接により接合されている。この例では、上側接合部21aは、図5に示すように、2つの溶接点22a,22bを有し、これらは、車両上下方向に間隔を空けて配置されている。なお、図5では、接点22a,22b,22cは、四角形で模式的に示されている。
【0026】
リンフォース屈曲部21bは、後壁21の車両上下方向の中間部に設けられ、車両後方に凸となるように屈曲している。この例では、リンフォース屈曲部21bは、上側接合部21aの下端で、車両前方に屈曲している。湾曲部21cは、リンフォース屈曲部21bから車両下方に向かうに従い車両前方に膨らむように湾曲している。
【0027】
下側接合部21dは、湾曲部21cの下端から車両下方に延びてており、上側接合部21aと同様に、車両前方及び後方を臨む壁面を有している。この例では、下側接合部21dは、上側接合部21aに対して、車両前方側に間隔を空けて配置されている。下側接合部21dは、サイドボディアウタパネル10の下側フランジ部18にスポット溶接により接合されている。この例では、図5に示すように、下側接合部21dは、1つの溶接点22cを有している。
【0028】
本実施形態では、上側接合部21a及び下側接合部21dは、それぞれ、ランプハウジングパネル30を介して、上側フランジ部14及び下側フランジ部18に接合されている。すなわち、図10及び図12に示すように、上側接合部21a、ランプハウジングパネル30、上側フランジ部14が、この順で、3枚重ねで接合され、同様に、下側接合部21d、ランプハウジングパネル30、下側フランジ部18が、この順で、3枚重ねで接合されている。なお、この例では、リンフォースメント20のリンフォース屈曲部21b及び上側接合部21aは、ランプハウジングパネル30に当接しているように構成されている。これにより、スポット溶接する平面が確保されている。
【0029】
外壁23は、図6に示すように、リンフォースメント20が車体に取り付けられている状態で、リンフォースメント20の車幅方向外側部に配置される縦壁である。外壁23は、図6図8に示すように、リンフォース屈曲部21bから車両下方側に配置され、湾曲部21cに沿って湾曲し、さらに下方側は、下側接合部21dの外側端に沿って車両下方に延びている。外壁23の下部で、下側接合部21dに対応する部分には、図6及び図11に示すように、外側接合部23aが設けられている。外側接合部23aは、サイドボディアウタパネル10の内側面部17の車両内側に、スポット溶接により接合されている。この例では、外側接合部23aは、1つの溶接点を有している。なお、図6では、外側接合部23aは、溶接点を指し示している。
【0030】
内壁25は、図8リンフォースメント20が車体に取り付けられている状態で、リンフォースメント20の車幅方向内側部に配置される縦壁である。内壁25は、上側接合部21a、リンフォース屈曲部21b及び湾曲部21cにおける車幅方向内側端部から車両後方に突出し、車両上下方向に延びている。この例では、内壁25と外壁23は対向配置されている。外壁23の上端は、上側接合部21aの上端に対応して配置される。外壁23の下端は、リンフォース屈曲部21bの下端付近に配置されている。内壁25には、複数の穴(上側貫通孔25a及び下側貫通孔25b)が設けられており、これらは例えば生産時のロボットアーム用の治具に固定するために用いることができる。
【0031】
サイドボディアウタパネル10のパネル屈曲部11は、車体後部におけるねじれ剛性が低くなる部分である。例えば、荷重の作用により、車体後部がねじれ変形を起こすとき、パネル屈曲部11は、圧縮方向の荷重を受ける場合には、折れ曲がりの起点となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、リンフォースメント20を設けることにより、パネル屈曲部11において、車体がねじれることで発生する圧縮方向/引っ張り方向の荷重に対して、剛性の高い構造となり、車体後部におけるねじれ剛性の低下を抑制することができる。これにより、例えば、ハンドリングにおける性能悪化を起こしにくい車体構造を得ることができる。
【0032】
また、車体構造において、パネルやメンバを接合するときに、部分的にシーラーを盛り込むことにより、強度及び剛性を向上させている。さらに、パネル等が接合される部分にシーラーを塗布することによって止水効果を得る。シーラーが塗布された接合部に例えば亀裂が入ると、当該亀裂から水が浸入し、車体に錆が発生する可能性がある。本実施形態では、車体のねじれ剛性の低下を抑制することにより、シーラーを用いた接合構造において、亀裂を発生ににくくすることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、車体構造の強度及び剛性に加え、止水効果もより安定して維持することができる。
【0033】
さらに、バックドア開口部44を有する車体では、ねじれ剛性の低下を抑制することで、バックドア開口部44の変形を抑制することができる。その結果、例えば左右の後輪が交互に段差に乗り上げるなどの悪路走行時において、バックドア43とバックドア開口部44の開口縁との接触により発生する異音を抑制することが可能となる。
【0034】
車体後部がねじれ変形を起こすとき、すなわち、車体後部におけるねじり剛性モードにより、リンフォースメント20には、車両上下方向の荷重が作用する。リンフォースメント20がパネル屈曲部11を跨ぐように配置されているため、車両上下方向に作用する荷重に対する強度が高くなる。
【0035】
例えば、ねじれ変形時に、左右の一方のリンフォースメント20に圧縮荷重が作用し、他方のリンフォースメント20には引っ張り荷重が作用する。リンフォースメント20に圧縮荷重が作用するとき、サイドボディアウタパネル10は車幅方向にパネル屈曲部11を起点に曲がろうとする。一方、ランプハウジングパネル30は、車両後方に、パネル屈曲部11を基点に折れ曲がろうとする。
【0036】
サイドボディアウタパネル10とランプハウジングパネル30とは、スポット溶接により接合されているため、パネルが変形すると、溶接点で乖離しやすくなる可能性がある。これに対して、本実施形態では、リンフォースメント20の内壁25により、サイドボディアウタパネル10の内側面部17の折れ曲がりを抑制し、リンフォースメント20の後壁21により、ランプハウジングパネル30の折れ曲がりを抑制することができる。また、内壁25及び後壁21が平面視でL字状に構成されているため、車両前後方向及び車幅方向において、折れ曲がりにくくなる。
【0037】
本実施形態では、図7に示すように、リンフォースメント20のリンフォース屈曲部21bの車両前方側には、第1の角度A1が形成されている。第1の角度A1は、上側接合部21aと、湾曲部21cによって形成される角度であり、180度未満の鈍角である。また、リンフォース屈曲部21bは、ランプハウジングパネル30に対して車両前方側に間隔を空けて配置されている。一方で、サイドボディアウタパネル10のパネル屈曲部11の車両前方側には、第2の角度A2が形成されている。第2の角度A2は、上側傾斜部13と下側傾斜部15とにより形成される角度で、180度未満の鈍角である。本実施形態では、第1の角度A1は、第2の角度A2よりも大きく設定されている。なお、図7では、パネル屈曲部11の輪郭形状を二点鎖線により仮想的に示している。
【0038】
上記のようにパネル屈曲部11及びリンフォース屈曲部21bが形成されることにより、サイドボディアウタパネル10のパネル屈曲部11が、引っ張り荷重を受ける場合には、リンフォースメント20が先に車両上下方向に延びた状態になる。すなわち、湾曲部21c等が車両上下方向に延ばされるように変形する。一方で、パネル屈曲部11が圧縮荷重を受ける場合には、リンフォースメント20が突っ張るため、段差部16の形状を維持することが可能となる。その結果、見切り線となる下側傾斜部15の変形が抑制され、走行時にリアバンパ42がずれ動くことを抑制できる。
【0039】
また、本実施形態のリンフォースメント20には、上記したように、内壁25が設けられている。当該内壁25を設けることで、リンフォースメント20の車両上下方向の剛性が向上する。これにより、車体のねじり剛性の低下をより効果的に抑制できる。
【0040】
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0041】
本実施形態では、リンフォースメント20における溶接点を、後壁21では3箇所設けているがこれに限らない。リンフォースメント20の後壁21と、上側フランジ部14及び下側フランジ部18との接合において、3箇所よりも多くの溶接点でスポット溶接をしてもよい。また、外壁23と、内側面部17との接合においても同様で、複数の溶接点を設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 サイドボディアウタパネル
10a 外側面
11 パネル屈曲部
12 後端部
13 上側傾斜部
14 上側フランジ部
15 下側傾斜部
16 段差部
17 内側面部
18 下側フランジ部
20 リンフォースメント
21 後壁(後壁部)
21a 上側接合部
21b リンフォース屈曲部
21c 湾曲部
21d 下側接合部
23 外壁(外壁部)
23a 外側接合部23a
25 内壁(内壁部)
25a 上側貫通孔
25b 下側貫通孔
30 ランプハウジングパネル
38 リアスカートパネル
41 リアターンシグナルランプ
42 リアバンパ
43 バックドア

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12