(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073538
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】燃焼効率改善装置
(51)【国際特許分類】
F23K 5/14 20060101AFI20230519BHJP
F02M 27/08 20060101ALI20230519BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20230519BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20230519BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20230519BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230519BHJP
【FI】
F23K5/14
F02M27/08 Z
B01F3/04 Z
B01F5/10
B01F5/06
B01F15/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186059
(22)【出願日】2021-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】321006741
【氏名又は名称】株式会社アプライド・エナジー・ラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】末松 満
(72)【発明者】
【氏名】中桐 則昭
【テーマコード(参考)】
3K068
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
3K068AA13
3K068AA14
3K068AA15
3K068AB35
3K068BB02
3K068BB19
3K068BB24
3K068CA05
3K068CA11
3K068CA27
3K068CB01
3K068EA01
4G035AB04
4G035AC26
4G035AC29
4G035AE13
4G037AA02
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】液体の燃料を燃焼させる燃焼装置において、燃焼効率を改善することができる燃焼効率改善装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る燃焼効率改善装置1は、外部の燃焼装置200において液体の燃料Fを燃焼させる際の燃焼効率を改善する燃焼効率改善装置であって、外部の燃料供給源100から燃焼装置200へ燃料Fを送流する主流路10に対して上流側で分岐し、下流側で合流するように組み込まれる分岐流路20と、いずれも分岐流路20に組み込まれて、バブルBを発生させるノズル30と、燃料Fに所定圧力を印加してノズル30に向けて送流する加圧ポンプ22とを備え、ノズル30は、外部からの気体吸引口を有さずに、所定圧力の燃料Fが通流する際にキャビテーション現象を起こすことによって燃料F中にバブルBを生じさせるキャビテーション発生部31を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際の燃焼効率を改善する燃焼効率改善装置であって、
外部の燃料供給源から前記燃焼装置へ前記燃料を送流する主流路に対して上流側で分岐し、下流側で合流するように組み込まれる分岐流路と、
いずれも前記分岐流路に組み込まれて、バブルを発生させるノズルと、前記燃料に所定圧力を印加して該ノズルに向けて送流する加圧ポンプと、を備え、
前記ノズルは、外部からの気体吸引口を有さずに、前記所定圧力の前記燃料が通流する際にキャビテーション現象を起こすことによって前記燃料中に前記バブルを生じさせるキャビテーション発生部を有すること
を特徴とする燃焼効率改善装置。
【請求項2】
前記分岐流路は、前記主流路に対してループ状流路を構成し、且つ、前記主流路における分岐位置より上流側の圧力と合流位置より下流側の圧力とを変化させないように前記加圧ポンプの前記所定圧力が設定されていること
を特徴とする請求項1記載の燃焼効率改善装置。
【請求項3】
前記所定圧力は、2気圧~10気圧であり、且つ、前記燃焼装置に設けられる燃料噴射装置の設定噴射圧よりも低い圧力であること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の燃焼効率改善装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記所定圧力の前記燃料が通流する際に前記燃料中に撹拌流を生じさせる撹拌部を有すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の燃焼効率改善装置。
【請求項5】
前記バブルは、粒径1μm未満のウルトラファインバブルであること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の燃焼効率改善装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記燃料が該ノズルの流出口から前記燃料噴射装置へ到達する送流時間が1分を超えない送流距離となる位置に配設されていること
を特徴とする請求項3記載の燃焼効率改善装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際の燃焼効率を改善する燃焼効率改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軽油、重油、灯油等に例示される液体の燃料を燃焼させることにより動力や熱を発生させる燃焼装置として、エンジン、ボイラー、バーナー等が広く普及している。
【0003】
上記の燃焼装置に関しては、従来から様々な手法によって燃焼効率を改善するための研究開発が行われている。その一つとして、外部から気体を導入して直径100μm未満の微細な気泡(マイクロバブル)を発生させて燃料に混入し、これを燃焼装置に供給して燃焼効率を改善する技術が開示されている(特許文献1:特開2007-24012号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の文献等に例示されるように、液体の燃料にマイクロバブルを混入させて燃焼効率を改善する装置においては、例えば、燃料の流路に直列で組み込まれる構成の場合、改善装置本体の故障時に燃焼装置の運転を停止させてしまう問題が生じ得る。また、外部から空気を取り入れて燃料中に混入させる構成の場合、制御不良や調整不足により流路(配管)中に空気溜まりが発生して燃焼装置の破損や燃焼不良を生じさせてしまう課題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際に、燃焼装置の破損や燃焼不良の発生を防ぐことができ、万一、本体の故障が発生しても燃焼装置の運転を停止させることがなく、燃焼効率を改善することができる燃焼効率改善装置を提供することを目的とする。
【0007】
一実施形態として、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
一実施形態に係る燃焼効率改善装置は、外部の燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際の燃焼効率を改善する燃焼効率改善装置であって、外部の燃料供給源から前記燃焼装置へ前記燃料を送流する主流路に対して上流側で分岐し、下流側で合流するように組み込まれる分岐流路と、いずれも前記分岐流路に組み込まれて、バブルを発生させるノズルと、前記燃料に所定圧力を印加して該ノズルに向けて送流する加圧ポンプと、を備え、前記ノズルは、外部からの気体吸引口を有さずに、前記所定圧力の前記燃料が通流する際にキャビテーション現象を起こすことによって前記燃料中に前記バブルを生じさせるキャビテーション発生部を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の燃焼効率改善装置によれば、軽油、重油、灯油等に例示される液体の燃料を燃焼させることにより動力や熱を発生させる燃焼装置において、燃焼効率を改善することができる。また、当該燃焼効率改善装置自体の故障時に燃焼装置の運転を停止させてしまうことを防止でき、当該燃焼効率改善装置の制御不良や調整不足等により燃料の流路(配管)中に空気溜まりが発生して燃焼装置の破損や燃焼不良を生じさせてしまうことも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る燃焼効率改善装置が組み込まれる燃焼システム全体の例を示す構成図。
【
図2】本実施形態に係る燃焼効率改善装置の例を示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る燃焼効率改善装置のノズルの例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る燃焼効率改善装置1が組み込まれる燃焼システム全体の例を示す構成図である。また、
図2は、本実施形態に係る燃焼効率改善装置1の例を示す概略図である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0012】
本実施形態に係る燃焼効率改善装置1は、外部の燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際の燃焼効率を改善する装置である。ここで、「液体の燃料」の例として、軽油、重油(好適には、A重油)、灯油等が挙げられる。また、「燃焼装置」の例として、エンジン、ボイラー、バーナー等が挙げられる。
【0013】
図1、
図2に示すように、燃焼効率改善装置1は、先ず、外部の燃料供給源100から外部の燃焼装置200へ燃料Fを送流する主流路10に対して上流側の位置(第1位置)11で分岐し、下流側の位置(第2位置)12で合流して環状の流路を形成するように組み込まれる分岐流路20を備えている。さらに、この分岐流路20に組み込まれる構成として、バブルBを発生させるノズル30と、燃料Fに所定圧力を印加して当該ノズル30に向けて送流する加圧ポンプ22とを備えている。
【0014】
なお、外部の燃料供給源100は、一例として、液体の燃料Fを貯留するタンク101と、当該タンク101から主流路10へ燃料Fを送流する燃料ポンプ(フィードポンプ)102とを備えている。ただし、この構成に限定されるものではなく、燃料ポンプ(フィードポンプ)を備えず、燃焼装置200に設けられる噴射ポンプ(サプライポンプ)によって燃料Fの送流を行う構成等としてもよい(不図示)。
【0015】
次に、本実施形態に係るノズル30は、
図3(
図2におけるIII部拡大断面図)に示すように、外部からの気体吸引口を有さずに、所定圧力の燃料Fが通流する際にキャビテーション現象を起こすことによって当該燃料F中に後述のバブルBを生じさせるキャビテーション発生部31を備えている。
【0016】
すなわち、ノズル30は、特許文献1に例示されるような外部から気体を内部へ吸引してバブルを発生させる技術に見られる気体吸引口を有しておらず、内部を通流する燃料Fに圧力変化(減圧)によるキャビテーションを生じさせることによって、溶存気体(この場合は、空気)および燃料F(前述の、軽油、重油、灯油等)の液体(構成成分)そのものが気化してバブルBを発生させる構成となっている。
【0017】
また、ノズル30は、所定圧力の燃料Fが通流する際に燃料F中に撹拌流を生じさせる撹拌部32を備えている。本実施形態においては、上記のキャビテーション発生部31が、当該撹拌部32を兼用する構成となっている。ただし、この構成に限定されるものではなく、それぞれを別に設ける構成としてもよい(不図示)。
【0018】
ここで、分岐流路20は、主流路10に対してループ状流路を構成している。さらに、主流路10における分岐位置(第1位置)11より上流側の圧力と、主流路10における合流位置(第2位置)12より下流側の圧力と、を変化させないように加圧ポンプ22の所定圧力が設定されている。この構成により、例えば、主流路に直接、加圧ポンプ、ノズル、もしくは、それらを設けるためのタンク等を組み込む従来の装置(不図示)と比較して、分岐流路20によって主流路10に与える圧力変動が無い(ほぼ無い)状態とすることができるため、燃料ポンプ102、燃料噴射装置201における送出作用やその制御に影響を与えることがない。
【0019】
具体的に、前述の加圧ポンプ22が、燃料Fをノズル30に向けて送流する際に当該燃料Fに印加する「所定圧力」は、2気圧~10気圧程度の範囲で、且つ、燃焼装置200に設けられる燃料噴射装置201の設定噴射圧よりも低い圧力に設定されている。「設定噴射圧」の例として、燃料噴射装置201が、ディーゼルエンジンの噴射ポンプの場合には設定噴射圧は200気圧程度であり、あるいは、ディーゼルエンジンのコモンレールの場合には、設定噴射圧は2000気圧程度である。
【0020】
なお、上記の加圧ポンプ22を駆動する電源として、例えば、燃焼装置200が、ディーゼルエンジン等の場合には車載の直流24Vバッテリー等を用いることができ、あるいは、ボイラー等の場合には外部電源である200V三相交流電源等を用いることができる。
【0021】
また、ノズル30は、上記の加圧ポンプ22によって圧送される燃料Fが当該ノズル30の内部を通過する際に、バブルBとして粒径1μm未満のウルトラファインバブルを発生させる構成となっている。ただし、「粒径1μm未満」とは、粒径1μm以上のバブルが完全に含まれない趣旨ではない。
【0022】
以上の構成によれば、ノズル30を通過させた燃料F中にウルトラファインバブルを発生させ(後述の所定時間程度、消滅せずに存在する)、且つ、燃料Fを撹拌することができる。これにより、燃料F(液滴)の微細化(後述)を図ることができ、この液滴の微細化によって比表面積が増加すると共に燃焼時間が短縮される効果が得られる。より具体的には、燃料Fの液滴を球体と仮定して、その直径が20%小さくなるとすれば、同じ体積の燃料Fを液滴化した場合の表面積の合計は25%大きくなる。このとき、一つの液滴の体積は、ほぼ1/2となる。その結果、燃料Fは効率的に酸素と結びつき、完全燃焼に近づく作用が得られる。すなわち、火炎が広がり難くなり、発生する熱エネルギーが集中するため、燃焼効率が改善する効果を得ることができる。例えば、シリンダ内で燃料Fを燃焼させるディーゼルエンジンの場合であれば、シリンダへの熱の伝播が小さくなり、燃焼で得られるエネルギーをより多く動力として利用できることとなる。
【0023】
本願発明者らが研究したところ、上記の作用効果は次のように考察される。先ず、軽油や重油に例示される液体に関して、燃料噴射装置により噴射される時の液滴径が粘度と線形の関係にあること、および、粘度が温度上昇により下がることが一般に知られている。また、粘度の高い液体には多くの場合チクソトロピー性(撹拌等の剪断力を受けることによって粘度が低下する物性)が観察される。これらの現象を踏まえ、本装置の場合で考えると、燃料Fがノズル30を通過する際に、キャビテーション発生部31および撹拌部32(本実施形態においては、兼用の構成としている)によって、燃料F中にウルトラファインバブルを発生させて、燃料Fを撹拌させる作用が生じる。このとき、燃料Fを構成する分子において、ファンデルワールス結合が一部解除されて粘度の低下をもたらし、液滴径が小さくなる効果が得られると考察される。
【0024】
ここで、燃焼装置200として、ディーゼルエンジンを想定した場合、燃料噴射装置201となる噴射ポンプにおいて200気圧程度の圧力が燃料Fに印加されることとなるため、内部気圧が30気圧程度と言われているウルトラファインバブルは噴射前に消滅してしまうはずである。そうなると、燃料F中にバブルBを発生させる処理の過程で、燃料Fの構成粒子(分子)にエネルギーが与えられることが燃焼効率を改善するうえで最も重要な要素であると考察される。したがって、コモンレール式の燃料噴射装置を備える構成よりも、従来式の燃料噴射装置(噴射ポンプ)を備える構成の方が、本発明による燃焼効率改善効果がより一層高くなる。
【0025】
一方、燃焼装置200として、ボイラーを想定した場合、燃焼効率を改善する仕組みとして、上記とはやや異なる面がある。具体的に、ノズル30を通過させた燃料Fの燃焼は、完全燃焼に近づき、煤が発生しなくなる。これにより、従来の燃焼装置において発生していた熱交換器への煤の大量付着がなくなり、熱交換効率を高める(すなわち、装置における初期状態を維持する)ことができ、燃焼効率を良好にする効果を得ることができる。したがって、ガンタイプ式のバーナーを備える構成よりも、スプレー式のバーナーを備える構成の方が、本発明による燃焼効率改善効果がより一層高くなる。
【0026】
本願発明者らは、さらに実験を行うことによって、燃料F中に発生させたウルトラファインバブルは短時間(30秒~1分間程度)で浮上・重合して消滅すること、および、燃料Fの粘度低下は短時間(30秒~1分間程度)しか持続せず、静置状態で元に戻ってしまうことを究明した。これらは、燃焼効率改善装置の実現にあたって課題となることから、その解決を可能とする構成を案出した。
【0027】
具体的に、本実施形態に係るノズル30は、燃料Fが当該ノズル30の流出口34から燃焼装置200の燃料噴射装置201へ到達する送流時間が1分を超えない送流距離となる位置に配設される構成によって、上記課題の解決を可能とした。
【0028】
仮に、タンク101内に貯留されている燃料Fに対して前述のノズル30を通過させるのと同じ処理が実施される構成とした場合、燃料Fの送流距離が長過ぎるため、燃料噴射装置201へ到達して燃焼に消費されるまでに燃料Fの粘度は元の粘度に戻ってしまうこととなる。これに対して、本実施形態に係る上記構成によれば、ノズル30を通過させて燃料Fに前述の処理が行われてから、1分以内(より好ましくは、30秒以内)に燃料噴射装置201へ到達して燃焼に消費されるため、前述の燃焼効率改善効果を得ることができる。
【0029】
例えば、燃焼装置200がディーゼルエンジンであって、主流路10となる燃料配管として一般的に使用される内径断面積が1.7平方センチメートルのパイプを用いる場合を例に挙げて、燃料噴射装置201まで燃料Fが30秒で到達する距離Xについて計算すると、以下のような結果となる。具体的に、燃料消費量が6リットル/時の場合、X=約30センチメートルとなる。また、燃料消費量が24リットル/時の場合、X=約117センチメートルとなる。また、燃料消費量が60リットル/時の場合、X=約294センチメートルとなる。このように、本燃焼効率改善装置1(特にノズル30)の設置位置は、出来る限り燃焼装置200(特に燃料噴射装置201)に近い位置とすることが有効となる。別の観点では、燃料消費量が大きい燃焼装置200である程、本発明による燃焼効率改善効果がより一層高くなると言うこともできる。
【0030】
以上、説明した通り、本発明に係る燃焼効率改善装置によれば、燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる構成において、燃料の燃焼効率を改善することが可能となる。
【0031】
また、従来装置のように、外部から気体を内部へ吸引してバブルを発生させる構成の場合には、制御不良や調整不足により流路(配管)中に空気溜まりが発生して燃焼装置の破損や燃焼不良を生じさせてしまうリスクがあるが、本発明に係る燃焼効率改善装置によれば、外部からの気体吸引口を有さない構成によって、そのようなリスクをなくす(もしくは、低減する)ことが可能となる。
【0032】
さらに、従来装置のように、燃料の流路に直列で組み込まれる構成の場合には、改善装置本体の故障時に燃焼装置の運転を停止させてしまうリスクがあるが、本発明に係る燃焼効率改善装置によれば、主流路に対して環状の流路を形成するように組み込まれる分岐流路を備える構成によって、そのようなリスクをなくす(もしくは、低減する)ことが可能となる。
【0033】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本発明の変形例として、燃料消費量のより大きい燃焼装置に適用する場合、燃料が通流する主流路に対して本発明に係る燃焼効率改善装置を2台並列に連結することによって対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1 燃焼効率改善装置
10 主流路
11 第1位置
12 第2位置
20 分岐流路
22 加圧ポンプ
30 ノズル
31 キャビテーション発生部
32 撹拌部
34 流出口
100 燃料供給源
101 タンク
102 燃料ポンプ
200 燃焼装置
201 燃料噴射装置
B バブル
F 燃料
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際の燃焼効率を改善する燃焼効率改善装置であって、
外部の燃料供給源から前記燃焼装置へ前記燃料を送流する主流路に対して上流側で分岐し、下流側で合流するように組み込まれる分岐流路と、
いずれも前記分岐流路に組み込まれて、バブルを発生させるノズルと、前記燃料に所定圧力を印加して該ノズルに向けて送流する加圧ポンプと、を備え、
前記ノズルは、外部からの気体吸引口を有さずに、前記所定圧力の前記燃料が通流する際にキャビテーション現象を起こすことによって前記燃料中に前記バブルを生じさせるキャビテーション発生部を有し、
前記分岐流路は、前記主流路に対してループ状流路を構成し、且つ、前記主流路における分岐位置より上流側の圧力と合流位置より下流側の圧力とを変化させないように前記加圧ポンプの前記所定圧力が設定されており、
前記分岐位置は、前記燃料供給源に設けられる燃料ポンプの位置に対して前記主流路における下流側の位置に設けられていること
を特徴とする燃焼効率改善装置。
【請求項2】
前記分岐流路は、途中分岐の無いループ状流路に構成されていること
を特徴とする請求項1記載の燃焼効率改善装置。
【請求項3】
前記所定圧力は、2気圧~10気圧であり、且つ、前記燃焼装置に設けられる燃料噴射装置の設定噴射圧よりも低い圧力であること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の燃焼効率改善装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記所定圧力の前記燃料が通流する際に前記燃料中に撹拌流を生じさせる撹拌部を有すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の燃焼効率改善装置。
【請求項5】
前記バブルは、粒径1μm未満のウルトラファインバブルであること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の燃焼効率改善装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記燃料が該ノズルの流出口から前記燃料噴射装置へ到達する送流時間が1分を超えない送流距離となる位置に配設されていること
を特徴とする請求項3記載の燃焼効率改善装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
一実施形態に係る燃焼効率改善装置は、外部の燃焼装置において液体の燃料を燃焼させる際の燃焼効率を改善する燃焼効率改善装置であって、外部の燃料供給源から前記燃焼装置へ前記燃料を送流する主流路に対して上流側で分岐し、下流側で合流するように組み込まれる分岐流路と、いずれも前記分岐流路に組み込まれて、バブルを発生させるノズルと、前記燃料に所定圧力を印加して該ノズルに向けて送流する加圧ポンプと、を備え、前記ノズルは、外部からの気体吸引口を有さずに、前記所定圧力の前記燃料が通流する際にキャビテーション現象を起こすことによって前記燃料中に前記バブルを生じさせるキャビテーション発生部を有し、前記分岐流路は、前記主流路に対してループ状流路を構成し、且つ、前記主流路における分岐位置より上流側の圧力と合流位置より下流側の圧力とを変化させないように前記加圧ポンプの前記所定圧力が設定されており、前記分岐位置は、前記燃料供給源に設けられる燃料ポンプの位置に対して前記主流路における下流側の位置に設けられていることを要件とする。