(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074192
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230522BHJP
B32B 33/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G09F9/00 313
B32B33/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187010
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】武田 忠
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 響平
【テーマコード(参考)】
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
4F100AK01D
4F100AR00E
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
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4F100JN02B
5G435AA12
5G435BB02
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5G435BB12
5G435FF08
5G435FF13
5G435GG43
5G435HH02
(57)【要約】
【課題】本発明は、モニターから投射された映像光を裏面側から透過させ、映像を表面側に表示させる表示パネルに関し、モニターから発生する熱を原因とする、いわゆる角浮きや端面浮きを抑制できるようにしたものである。
【解決手段】モニター30の表示面31から投射された映像光を裏面側から透過して映像を表面側に表示させる化粧シート40と、モニター30の表示面31と重なる開口部52を包囲する枠体51を備えたモニター枠50と、枠体51と化粧シート40の裏面側との間に位置する透過樹脂シート(第1透過樹脂シート60)と、を備え、透過樹脂シート(第1透過樹脂シート60)は、モニター枠50の開口部52と化粧シート40の裏面側との間に位置する部分(第1部分A)と、モニター枠50の枠体51と化粧シート40の裏面側との間に位置する部分(第2部分B)とは、一体である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニターの表示面から投射された映像光を裏面側から透過して映像を表面側に表示させる化粧シートと、
前記モニターと前記化粧シートの裏面側との間に位置し、前記モニターの前記表示面と重なる部分は開口部であり、当該開口部を包囲する枠体を備えたモニター枠と、
前記枠体と前記化粧シートの裏面側との間に位置する透過樹脂シートと、を備え、
前記透過樹脂シートは、前記モニター枠の前記開口部と前記化粧シートの裏面側との間に位置する部分と、前記モニター枠の前記枠体と前記化粧シートの裏面側との間に位置する部分とは、一体であることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記透過樹脂シートは、
前記枠体及び前記開口部と前記化粧シートの裏面側との間に位置するシート本体と、
前記シート本体から前記開口部を通して前記表示面に向かって突出する透明凸部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記透明凸部は、前記シート本体からの突出高さが、前記枠体の厚み以上であることを特徴とする請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記突出高さは、前記枠体の前記厚みに、前記開口部において前記表示面に臨む側の端面から前記表示面までの隙間の距離を加算した数値未満であることを特徴とする請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記化粧シートは、
前記透過樹脂シートに隣接する透明層と、前記透明層に積層され、前記表示面を隠蔽する隠蔽層と、前記隠蔽層に積層され、表面に絵柄が形成された絵柄層とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニターから投射された映像光を裏面側から透過させ、映像を表面側に表示させる表示パネルに関し、モニターから発生する熱を原因とする、いわゆる角浮きや端面浮きを抑制できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置と加飾シートとの間に、パネル部材を位置させ、パネル部材には、開口部を有する「加飾シート及び表示装置」が知られている(特許文献1の段落[0022]並びに
図1~
図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の「加飾シート及び表示装置」では、表示装置と加飾シートとの間にパネル部材が位置するため、加飾シートの裏面と、表示装置の表示面との間に「隙間」が発生し、視認性が低下する要因となっていた。
このため、上記「隙間」内に透過樹脂シートを配置することで、視認性を改善することが考えられる。
【0005】
しかし、透過樹脂シートを配置すると、透過樹脂シートと表示装置の表示面とが接近し、表示装置から発生する熱の影響により、透過樹脂シートが反るなどして変形するおそれがある。
透過樹脂シートが変形すると、加飾シートとの間に隙間が発生し、いわゆる角浮きや端面浮きなどの原因になるという問題点がある。角浮きや端面浮きなが発生すると、加飾シートの表面に映し出される映像の周辺に、「筋」などが発生するおそれがある。
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するために、透過樹脂シートの形状に着目し、表示装置から発生する熱を原因とする、いわゆる角浮きや端面浮きを抑制できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る表示パネルは、モニターの表示面から投射された映像光を裏面側から透過して映像を表面側に表示させる化粧シートと、前記モニターと前記化粧シートの裏面側との間に位置し、前記モニターの前記表示面と重なる部分は開口部であり、当該開口部を包囲する枠体を備えたモニター枠と、前記枠体と前記化粧シートの裏面側との間に位置する透過樹脂シートと、を備え、前記透過樹脂シートは、前記モニター枠の前記開口部と前記化粧シートの裏面側との間に位置する部分と、前記モニター枠の前記枠体と前記化粧シートの裏面側との間に位置する部分とは、一体であることを特徴とする。
【0007】
また、前記透過樹脂シートは、前記枠体及び前記開口部と前記化粧シートの裏面側との間に位置するシート本体と、前記シート本体から前記開口部を通して前記表示面に向かって突出する透明凸部とを備えることを特徴とする。
前記透明凸部は、前記シート本体からの突出高さが、前記枠体の厚み以上であることを特徴とする。
【0008】
前記突出高さは、前記枠体の前記厚みに、前記開口部において前記表示面に臨む側の端面から前記表示面までの隙間の距離を加算した数値未満であることを特徴とする。
前記化粧シートは、前記透過樹脂シートに隣接する透明層と、前記透明層に積層され、前記表示面を隠蔽する隠蔽層と、前記隠蔽層に積層され、表面に絵柄が形成された絵柄層とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、透過樹脂シートの形状を改良することで、モニターから発生する熱を原因とする、いわゆる角浮きや端面浮きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係る第1表示パネルの一部断面図である。
【
図4】
図1の第1透過樹脂シートを示し、(a)断面図、(b)は製造方法を説明する説明図である。
【
図6】
図5に対応し、モニターのオフ状態であり、化粧シートの一部正面図である。
【
図7】
図5に対応し、透過樹脂シートの角浮きや端面浮きの状態を説明するためのものであり、化粧シートの一部正面図である。
【
図8】透過樹脂シートの変形例であって、(a)は第2透過樹脂シートの断面図、(b)は分解断面である。
【
図9】実施例2に係る第2表示パネルの一部断面図である。
【
図10】実施例3に係る第3表示パネルの一部断面図である。
【
図11】実施例4に係る第4表示パネルの一部断面図である。
【
図12】比較例1に係る第5パネルの一部断面図である。
【
図13】
図1の第1透過樹脂シートの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態について)
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1表示パネル10)
図1中、10は、第1表示パネルであり、第1表示パネル10は、モニター30から投射された映像光を裏面側から透過させ、映像を表面側に表示させるものである。
第1表示パネル10は、
図2に示すように、大別すると、次の部材を備える。
なお、次の部材については、後述する。
(1)化粧シート40
(2)モニター枠50
(3)第1透過樹脂シート60
(4)固定部材70
なお、上記部材は、(1)~(4)の部材に限らず、図示しないが、例えば固定部材70を省き、モニター30を壁20に直接的に固定しても良い。
【0013】
(モニター30)
モニター30は、例えば液晶ディスプレイを使用している。
なお、モニター30として、液晶ディスプレイ(LCD)を例示したが、これに限定されず、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)を用いても良い。
モニター30には、
図2に示すように、(1)表示面31と、(2)突縁32とを有する。なお、モニター30の構成は、先に説明した(1)及び(2)に限定されず、図示しないが、例えば突縁32を省略することも可能である。
表示面31は、モニター30の前面に位置する。突縁32は、表示面31の周囲を縁取り、前方に突出するものである。
【0014】
(固定部材70)
固定部材70は、例えば金属製で、
図1及び
図2に示すように、モニター30の背面側を壁20に固定するものである。
なお、固定部材70として、金属製を例示したが、これに限らず、使用する素材には特に制限はなく、必要とされる強度に応じて適宜選定され、例えば木製、プラスチック製などでも良く、或いはこれらの素材を組み合わせて使用しても良い。
【0015】
(化粧シート40)
化粧シート40は、
図1及び
図2に示すように、モニター30の表示面31の前方に位置する。そして、化粧シート40は、表示面31から投射された映像光を裏面側から透過し、
図5に示すように、その表面側に映像を表示させる。
化粧シート40は、
図3に示すように、次の層が順次積層されている。
なお、次の層については後述する。
(1)透明基材41
(2)隠蔽層42
(3)絵柄層43
(4)表面保護層44
なお、化粧シート40の各層は、上記した(1)~(4)に限定されず、図示しないが、例えば表面保護層44を省いても良い。
【0016】
(モニター枠50)
モニター枠50は、
図1及び
図2に示すように、モニター30と化粧シート40の裏面側との間に位置し、モニター30の表示面31と重なる部分は開口部52であり、当該開口部52を包囲する枠体51を備えたものである。
枠体51は、例えば板金製である。枠体51として、板金である金属製を例示したが、金属製に限らず、使用する素材には特に制限はなく、必要とされる強度に応じて適宜選定され、例えば木製、プラスチック製などでも良く、或いはこれらの素材を組み合わせて使用しても良い。
開口部52は、モニター30の表示面31と重なる部分である。開口部52の大きさは、モニター30の表示面31の大きさにほぼ等しく、表裏面に貫通する。
なお、開口部52の大きさを、モニター30の表示面31に等しく設定したが、これに限らず、モニター30から投射された映像光の全部又は一部を透過できれば良く、表示面31より大きくして良いし、或いは小さくしても良い。
枠体51は、開口部52をモニター30の表示面31の前方に位置させ、モニター30の前面に枠体51の一部が被る構成とする。これは、化粧シート40の表面に負荷が掛かった際に、モニター30の表示面31に荷重が掛かりにくい構造とするためである。
なお、モニター30の前面に、枠体51の一部が被る構成としたが、これに限らず、図示しないが、モニター30の上面に枠体51の一部を位置させ、モニター30の前面に第1透過樹脂シート60がある構成を採用しても良い。当該構成を採用した場合でも、モニター30の表示面31に荷重が掛かりにくい構造とできる。
【0017】
(第1透過樹脂シート60)
第1透過樹脂シート60は、
図1及び
図2に示すように、枠体51と化粧シート40の裏面側との間に挟み込まれて配置され、モニター30から投射された映像光を化粧シート40の裏面側に透過させるものである。
第1透過樹脂シート60の材料は、例えばアクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが使用できる。第1透過樹脂シート60の材料は、透明性が高い、アクリルが好適である。第1透過樹脂シート60は、例えば半透明な着色材料を用いても良い。
第1透過樹脂シート60は、
図4(a)に示すように、(1)第1シート本体61と、(2)第1透明凸部62とを備える。
【0018】
(第1シート本体61)
第1シート本体61は、
図1、
図2、
図4(a)及び
図13に示すように、例えば平板状であり、枠体51及び開口部52と、化粧シート40の裏面側との間に位置する。
第1シート本体61には、モニター枠50の開口部52と化粧シート40の裏面側との間に位置する部分である第1部分Aと、モニター枠50の枠体51と化粧シート40の裏面側との間に位置する他の部分である第2部分Bとを有し、第1部分Aと第2部分Bとは一体である。
第1部分Aは、後述する第1透明凸部62と厚み方向に連続し、第1透明凸部62とほぼ等しい大きさを有する。
第2部分Bは、第1部分Aと平面方向に連続し、第1透明凸部62の端部から四方、すなわち第1表示パネル10の高さ方向と、左右の幅方向とに延出している。
例えば、第1透過樹脂シート60を、第1部分Aのみから構成すると、モニター30の熱の影響により第1部分Aが変形するおそれがある。すなわち、モニター30をオンとし、オン状態を続けると、表示面31が熱せられる。表示面31の熱は、後述する第1透明凸部62に放射され、第1透明凸部62の温度が高くなる。第1透明凸部62の熱は、それに連続する第1部分Aに伝わり、熱の影響により、第1部分Aが反って変形するおそれがある。
これに対し、第1部分Aに、第2部分Bを加えて第1シート本体61を構成することで、第1透過樹脂シート60を全体として熱の影響を受けにくい構造物にできる。
すなわち、第2部分Bは、第1部分Aと比較して大きいこと、第1部分Aと一体であること、モニター枠50の枠体51と化粧シート40の裏面との間に挟まれて位置することから、モニター30の熱の影響により、第1透過樹脂シート60が反って変形する現象を低減できる。
例えば、第2部分Bの四方の角部や四辺の端面は、第1部分Aから遠く離れていることから、第1部分Aと比較し、熱の伝導による温度上昇も低く抑えられ、又、モニター枠50の枠体51と化粧シート40の裏面との間に挟まれて位置することから、化粧シート40の裏面から離れる方向に反ると、枠体51に当たり、反り量が制限されたり、又は反りが阻止される。さらに、第2部分Bの角部や端面は、第2部分Bが大きく、第1部分Aから遠く離れて位置することから、放熱効果も期待できる。
このため、第1シート本体61を第1部分Aのみから構成した場合に比較し、第1部分A及び第2部分Bから構成した場合には、第1シート本体61の全体の変形を格段に減少することができる。
【0019】
(第1透明凸部62)
第1透明凸部62は、
図1、
図2、
図4(a)及び
図13に示すように、第1シート本体61の表面から開口部52を通して表示面31に向かって突出する。
第1透明凸部62の周囲の大きさは、枠体51の開口部52の内部の大きさ以下に設定され、例えば、開口部52の大きさにほぼ一致させている。
また、第1透明凸部62の突出高さは、枠体51の厚み、すなわち板金の板厚以上に設定している。例えば、板金の板厚を「2mm」と仮定すると、第1透明凸部62の突出高さは「2mm」以上となる。
突出高さを、枠体51の厚み以上に設定していることから、第1透明凸部62の先端を、モニター30の表示面31に接近させ、更に視認性を向上できる。
さらに具体的には、突出高さは、枠体51の厚みに、開口部52において表示面31に臨む側の第1透明凸部62の端面から表示面31までの「隙間」の距離を加算した数値未満に設定している。例えば、板金の厚さを、「2mm」とし、「隙間」を「2mm」と仮定すると、加算した数値は「4mm」となる。加算した数値未満としては、例えば「2.1~3.9」mmであり、更に「3.5」~「3.8」が好ましい。
突出高さを「隙間」の距離に一致させると、第1透明凸部62の先端がモニター30の表示面31に触れる。このため、化粧シート40の表面に負荷が掛かった際に、第1透明凸部62を通じて、モニター30の表示面31に荷重が作用しやすくなってしまうおそれがある。
【0020】
(第1透過樹脂シート60の製造方法)
図4(b)を用いて、第1透過樹脂シート60の製造方法について説明する。
第1透過樹脂シート60の材料には、
図4(b)に点線で図示した平板材のものを使用する。
平板材の材料は、第1透明凸部62を残し、その四方を取り囲む切削部63を切削し、
図4(a)及び
図13に示す第1透明凸部62を有する第1透過樹脂シート60を形成する。
本製造方法によれば、金型が不要であり、又、市販の材料を切削加工し、容易に且つ安価に製造できる。
勿論、第1透過樹脂シート60を、金型を使用して形成しても良い。
【0021】
(透明基材41)
透明基材41は、化粧シート40の支持体となるものであり、
図2及び
図3に示すように、第1透過樹脂シート60に隣接し、「透明層」を構成する。
透明基材41は、透明性を有する樹脂であれば広く適用できるが、モニター30からの熱が影響するため、例えば「PET」(例えば0.25mmt)などの耐熱性があるものが望ましい。
【0022】
(隠蔽層42)
隠蔽層42は、
図3に示すように、透明基材41に積層され、モニター30の表示面31を隠蔽するものであり、例えば白ベタでも良い。
【0023】
(絵柄層43)
絵柄層43は、
図3に示すように、隠蔽層42に積層され、表面に例えば「木目柄」などの絵柄が形成されたものである。
絵柄層43の絵柄として、「木目柄」を例示したが、これに限定されず、使用目的や使用者の嗜好等により任意であり、木目柄のほか、例えば石目柄、抽象柄等が一般的である。絵柄の種類は、上記例示した種類に限定されず、例えば全面ベタ印刷等であっても良い。
【0024】
(表面保護層44)
表面保護層44は、
図3に示すように、絵柄層43に積層され、絵柄層43の表面を保護するものである。
【0025】
(第1表示パネル10の設置方法)
第1表示パネル10の設置方法について、
図1及び
図2を用いて、説明する。
モニター30は、
図1に示すように、固定部材70を介して壁20に固定する。
このとき、モニター枠50の下端部を床21に載置する。
モニター枠50の開口部52には、第1透過樹脂シート60の第1透明凸部62を位置させ、モニター30の表示面31に向かってはめ込む。
第1透過樹脂シート60は、化粧シート40の裏面とモニター枠50との間に挟み込んで設置させる。
なお、
図1に示すように、モニター枠50の枠体51と、第1透過樹脂シート60の第1シート本体61との両者の対向面の間に、隙間があるが、枠体51と第1シート本体61とを密着させても良い。
【0026】
(モニター30のオン・オフ)
図5~
図7を用いて、モニター30のオン・オフの状態のときの化粧シート40の表示状態を説明する。
モニター30をオンすると、光源が点灯し、表示面31に画像が映し出され、第1透過樹脂シート60及び化粧シート40を透過し、
図5に示すように、化粧シート40の表面に、例えば日時、天気、メッセージなどの各種の情報が表示される。
モニター30をオフすると、光源が消灯し、表示面31の画像が消える。このため、
図6に示すように、化粧シート40の表面から画像が消え、絵柄しか見えなくなる。
【0027】
(いわゆる角浮きや端面浮きの影響)
モニター30をオン状態とすると、熱が発生し、その熱が第1透過樹脂シート60の第1透明凸部62に伝わり、第1透過樹脂シート60が加熱される。
第1透過樹脂シート60が長時間、加熱されると、その樹脂が反り、化粧シート40の裏面側から離隔することがある。
第1透過樹脂シート60が、化粧シート40の裏面側から離隔すると、「隙間」が発生する。「隙間」が発生すると、化粧シート40の表面に表示された画像の周囲に、
図7に示すように、ぼんやりと、或いは途切れ途切れに、白い筋が発生することがある。
この現象は、第1透過樹脂シート60による、いわゆる角浮きXや端面浮きYと呼ばれている。
【0028】
ここで、「角浮きX」は、第1シート本体61の四隅に位置する角部が、化粧シート40の裏面から離隔する方向に浮き上がり、化粧シート40との間に隙間が発生することをいう。「隙間」の発生により、映像光や外光が第1透過樹脂シート60を透過せずに、化粧シート40の裏面側に直接、入光することで、化粧シート40の表面からぼんやりと、或いは途切れ途切れに白い筋が見える現象が発生することがある。
また、「端面浮きY」は、第1シート本体61の四辺に位置する端面が、同様に浮き上がることにより「隙間」が発生することをいう。
【0029】
(角浮きや端面浮きの防止)
本発明では、先に説明したように、第1部分Aに、第2部分Bを加えて第1シート本体61を構成し、もって第1透過樹脂シート60を全体として熱の影響を受けにくい構造物とすることで、角浮きや端面浮きの発生を防止し、或いは抑制する。
【0030】
(透過樹脂シートの変形例)
つぎに、
図8及び
図9を用いて、
図4の示した第1透過樹脂シート60の変形例について説明する。
第2透過樹脂シート100は、
図8(a)に示すように、
図4の第1透過樹脂シート60と同様に、第2シート本体101と、第2透明凸部102とから構成される。
製造時には、
図8(b)に示すように、第2シート本体101と、第2透明凸部102とは、個々に製造する。
その後、第2シート本体101と、第2透明凸部102とは、
図8(a)に示すように、接合部103を介して接着する。接合部103には、例えば透明両面テープを使用し、第2シート本体101と第2透明凸部102とを互いに接着する。
なお、接合部103に、例えば透明両面テープを使用したが、これに限らず、透光性を有していれば良く、例えば半透明両面テープを使用しても良いし、或いは透明や半透明の接着剤を使用して接着しても良い。
第2透過樹脂シート100は、
図4に示すように、第1透過樹脂シート60を切削加工した場合に比較し、安価に製造できる。
なお、第2シート本体101と、第2透明凸部102との間に、接合部103を有することから、接合部103において例えば光の散乱が発生し、第1透過樹脂シート60と比べ、視認性が劣る場合もある。
【0031】
(本発明に基づく実施形態に係る特徴点と効果)
本発明に基づく実施形態の特徴点は、次の通りである。
(第1の特徴点)
第1の特徴点は、例えば
図1及び
図2に示すように、モニター30の表示面31から投射された映像光を裏面側から透過して映像を表面側に表示させる化粧シート40と、モニター30と化粧シート40の裏面側との間に位置し、モニター30の表示面31と重なる部分は開口部52であり、当該開口部52を包囲する枠体51を備えたモニター枠50と、枠体51と化粧シート40の裏面側との間に位置する透過樹脂シート(例えば第1透過樹脂シート60)と、を備え、透過樹脂シート(第1透過樹脂シート60)は、例えば
図4に示すように、モニター枠50の開口部52と化粧シート40の裏面側との間に位置する部分(例えば第1部分A)と、モニター枠50の枠体51と化粧シート40の裏面側との間に位置する部分(例えば第2部分B)とは、一体である。
【0032】
(第1の特徴点の効果)
第1の特徴点によれば、透過樹脂シート(第1透過樹脂シート60)の形状を改良することで、モニター30から発生する熱を原因とする、いわゆる角浮きや端面浮きを抑制できる。
【0033】
(第2の特徴点)
第2の特徴点、すなわち透過樹脂シート(第1透過樹脂シート60)は、例えば
図4に示すように、枠体51及び開口部52と化粧シート40の裏面側との間に位置するシート本体(例えば第1シート本体61)と、シート本体(第1シート本体61)から開口部52を通して表示面31に向かって突出する透明凸部(例えば第1透明凸部62)とを備える。
(第2の特徴点の効果)
第2の特徴点によれば、透明凸部(第1透明凸部62)が、モニター30の表示面31に向かって突出していることで、視認性を向上できる。
また、視認性を向上できることから、低輝度で、熱の発生が少なく、且つ比較的に安価なモニター30を使用できる利点がある。結果的に、低輝度なモニターの使用により、熱の発生を低減でき、「角浮き」などの抑制にも有利である。
【0034】
(第3の特徴点)
第3の特徴点、すなわち透明凸部(第1透明凸部62)は、シート本体(第1シート本体61)からの突出高さが、例えば
図1に示すように、枠体51の厚み以上である。
(第3の特徴点の効果)
第3の特徴点によれば、枠体51の厚みの影響による視認性の低下を減少できる。
【0035】
(第4の特徴点)
第4の特徴点、すなわち突出高さは、例えば
図1に示すように、枠体51の厚みに、開口部52において表示面31に臨む側の端面から表示面31までの隙間の距離を加算した数値未満である。
(第4の特徴点の効果)
第4の特徴点によれば、隙間の影響による視認性の低下を減少できる。
また、突出高さを「隙間」の距離に一致させると、第1透明凸部62の先端がモニター30の表示面31に触れる。このため、化粧シート40の表面に負荷が掛かった際に、第1透明凸部62を通じて、モニター30の表示面31に荷重が作用しやすくなってしまうおそれがある。
【0036】
(第5の特徴点)
第5の特徴点、すなわち化粧シート(化粧シート40)は、例えば
図3に示すように、透過樹脂シート(第1透過樹脂シート60)に隣接する透明層(例えば透明基材41)と、透明層(透明基材41)に積層され、表示面31を隠蔽する隠蔽層42と、隠蔽層42に積層され、表面に絵柄が形成された絵柄層43とを有する。
(第5の特徴点の効果)
第5の特徴点によれば、モニター30のオン時に、隠蔽層42により、表示面31を隠蔽でき、又、モニター30のオフ時に、絵柄層43の絵柄を見せることができる。
【0037】
(第6の特徴点)
第6の特徴点、すなわち透明凸部(例えば第2透明凸部102)は、例えば
図8に示すように、透過樹脂シート(例えば第2透過樹脂シート100)と別体に形成され、透過樹脂シート(例えば第2透過樹脂シート100)に接合されている。
(第6の特徴点の効果)
第6の特徴点によれば、透明凸部(例えば第2透明凸部102)を有する透過樹脂シート(例えば第2透過樹脂シート100)を簡便に且つ安価に製造できる。
【実施例0038】
以下、
図1、
図2及び
図9~12を用いて、実施例1~実施例4及び比較例1について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例1~実施例4に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1は、モニター30に、
図1及び
図2に示すように、モニター枠50を取り付け、モニター枠50と化粧シート40との間に第1透過樹脂シート60を位置させる。第1透過樹脂シート60は、アクリル製であり。
図4(a)に示すように、第1シート本体61と、第1透明凸部62とから構成する。
第1シート本体61は、平板状であり、枠体51及び開口部52と、化粧シート40の裏面側との間に位置させる。
第1透明凸部62は、モニター枠50の開口部52を通して、モニター30の表示面31に向かって突出させ、実施例1の第1表示パネル10を作製する。
【0039】
(実施例2)
実施例2は、
図4(a)の第1シート本体61を、
図8の第2透過樹脂シート100に変更し、
図9に示す第2表示パネル110を作製したほかは、実施例1と同様である。
なお、モニター枠50の枠体51と、第2透過樹脂シート100の第2シート本体101との対向面の間に、
図9に示すように、隙間があるが、枠体51と第2シート本体101とを密着させても良い。
【0040】
(実施例3)
実施例3は、
図4(a)の第1シート本体61を、
図10に示すように、平板状の第3透過樹脂シート130に変更し、
図10に示す第3表示パネル120を作製したほかは、実施例1と同様である。
第3透過樹脂シート130は、実施例1の第1表示パネル10と比較し、その第1透明凸部62が無く、第1シート本体61のみから構成している点で相違する。このため、第1透明凸部62が無いことから、モニター枠50の開口部5は、空間のままとなっている。
なお、モニター枠50の枠体51と、第3透過樹脂シート130との対向面の間に、
図10に示すように、隙間があるが、枠体51と第3透過樹脂シート130とを密着させても良い。
【0041】
(実施例4)
実施例4は、第1透過樹脂シート60を実施例1の「アクリル」から「ポリカーボネート」に変更し、
図11に示すように、実施例4の第4表示パネル140を作製したほかは、実施例1と同様である。
なお、モニター枠50の枠体51と、第1透過樹脂シート60の第1シート本体61との対向面の間に、
図11に示すように、隙間をあるが、枠体51と第1シート本体61とを密着させても良い。
【0042】
(比較例1)
比較例1は、
図4(a)の第1シート本体61を、
図12の第4透過樹脂シート160に変更し、比較例1の第5表示パネル150を作製したほかは、実施例1と同様である。
第4透過樹脂シート160は、実施例1の第1表示パネル10と比較し、その第1シート本体61が無く、第1透明凸部62のみから構成している点で相違する。このため、第1シート本体61が無いことから、化粧シート40の裏面とモニター枠50とが直接、接触している。
【0043】
(評価)
上記作製した実施例1~4及び比較例1の表示パネルについて、次の2点から評価及び判定した。
(1)角浮き発生評価方法
40℃、2000時間、保管して、「角浮き」が発生しているかどうか、目視で確認した。
「角浮き」の判定基準は、「角浮き」が発生していないものを「〇」とし、「角浮き」が発生したものを「×」とした。「〇」を合格として、「×」を不合格とした。
(2)視認性評価方法
モニターをオンとし、化粧シートの表面に文字などを表示した状態で、化粧シート越しに文字などが判別できるかどうか、目視で確認した。
「視認性」の判定基準は、文字などが明瞭に判別できるものを「◎」とし、文字が明瞭ではないが、判別できるものを「〇」、文字が判別できないものを「×」とした。「◎」及び「〇」を合格として、「×」を不合格とした。
評価結果を次の表1に表示する、
【表1】
【0044】
(「角浮き」の判定結果)
「角浮き」の判定については、表1から明らかなように、実施例1~4は、全て「〇」で、合格であった。実施例4は、「角浮き」はないが、「黄変」が確認された。実施例4の「黄変」の原因は、透過樹脂シートの材質を「アクリル」から「ポリカーボネート」に変更したことが原因と推測できる。
比較例1は、「角浮き」が「×」で、不合格であった。比較例1の不合格の原因は、第4透過樹脂シート160が、モニター枠50の開口部52内にのみしか位置しないことが原因と推測できる。すなわち、比較例1の第4透過樹脂シート160は、実施例1の第1透明凸部62に相当する第4透過樹脂シート160のみから構成される。換言すると、比較例1では、実施例1の第1シート本体61に相当する構成が無いことが原因といえる。
【0045】
(「視認性」の判定結果)
「視認性」の判定については、表1から明らかなように、実施例1~4及び比較例1は、全て「〇」或いは「◎」で、合格であった。
実施例1、実施例4及び比較例1が「◎」であったのは、透過樹脂シートとモニター30の表示面31とが、残る実施例2及び実施例3と比較し、接近しているためと推測できる。
すなわち、実施例1のものは、
図1の第1透過樹脂シート60の第1透明凸部62が、表示面31に接近しているためと推測できる。
また、実施例4のものは、
図11に示すように、実施例1と同じ第1透過樹脂シート60を使用したためと推測できる。
比較例1のものは、
図12の第4透過樹脂シート160をモニター枠50の開口部52にはめ込み、モニター30の表示面31に接近させたためと推測できる。
一方、実施例2と実施例3とのものは、文字が明瞭ではないが、判別できる程度であり、「視認性」が通常程度であった。
実施例2のものは、
図8及び
図9の第2シート本体101と第2透明凸部102とを接合部103を介して接着したためと推測できる。
実施例3のものは、
図10の第3表示パネル120が、モニター枠50の開口部52を挟んで、モニター30の表示面31から離れて位置するためと推測できる。