(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075170
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/487 20060101AFI20230523BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20230523BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G01S7/487
G02B26/10 C
G02B26/10 104Z
H01L31/10 G
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027127
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2020509887の分割
【原出願日】2019-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018068655
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】松丸 誠
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄悟
(72)【発明者】
【氏名】永田 宏
(72)【発明者】
【氏名】竹村 到
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外乱光による誤検出を低減することができるようにする。
【解決手段】ライダは、レーザ光を間欠的に照射して所定の領域を走査する光源と、そのレーザ光の反射光を含む外部からのレーザ光を受光し受光信号を出力する受光素子と、を有し、受光素子において、反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて、反射光を受光する期間の受光信号の利用を制限する制御部を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、当該光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサと、
前記受光部において、前記反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて、前記反射光を受光する期間の前記受光信号の利用を制限する制御部と、
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)等のセンサ装置に関
する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)や自動運転等における、車両等の移動体の周囲の障害物や走行路面の検出のためのセンサとしてライダが用いられている。ライダは、例えば移動体前方にレーザ光を照射し、移動体前方に存在する物体からの反射光を受光することにより、移動体前方に存在する障害物等を検出するセンサである(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ライダは、照射したレーザ光の反射光を受光することで障害物等の対象物を検出する。しかしながら、ライダには、照射したレーザ光の反射光以外にも様々な外乱光が入射し、その外乱光によって誤検出をしてしまう場合がある。
【0004】
このような外乱光による誤検出を防止するために、特許文献2には、加算回路23が、レーザ光LTの照射方向に対応する結像位置の予測範囲内に配置された複数の受光素子から出力された複数のアナログ検出信号を選択し、当該選択されたアナログ検出信号を互いに加算してアナログ受信信号を出力する。このようにすることにより、外乱光成分を受信する環境下でも、外来光成分の誤検出を防止することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-94945号公報
【特許文献2】特開2018-4471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の方法の場合、N個の受光素子を有するアレイ受光器が必要である。したがって、例えばパルス光により所定の範囲を走査するように照射して、各パルス光の反射光を順次1つの受光素子で受光するような構成の場合には適用ができない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、外乱光による誤検出を低減することができることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定の時間間隔で光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、当該光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサと、前記照射部が前記光を照射してから次に前記光を照射するまでの期間である未照射期間内に設定された前記反射光を受光しない期間である第1期間に前記受光部が受光した光による前記受光信号のレベルに基づいて、前記未照射期間内の前記第1期間の直前に設定された前記反射光を受光する期間である第2期間に前記受光部が受光した光による前記受光信号の利用を制限するための制限情報を生成する生成部と、を備え、前記生成部は、前記第1期間における前記受光信号のレベルである第1レベルと、前記第1レベルが取得された前記第1期間よりも1つ前の前記第1期間における前記受光信号のレベルである第2レベルと、のうちいずれかが閾値以上であった場合に前記制限情報を生成する、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、所定の時間間隔で光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、当該光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサ装置で実行されるセンサ制御方法であって、前記照射部が前記光を照射してから次に前記光を照射するまでの期間である未照射期間内に設定された前記反射光を受光しない期間である第1期間に前記受光部が受光した光による前記受光信号のレベルに基づいて、前記未照射期間内の前記第1期間の直前に設定された前記反射光を受光する期間である第2期間に前記受光部が受光した光による前記受光信号の利用を制限するための制限情報を生成する生成工程を含み、前記生成工程は、前記第1期間における前記受光信号のレベルである第1レベルと、前記第1レベルが取得された前記第1期間よりも1つ前の前記第1期間における前記受光信号のレベルである第2レベルと、のうちいずれかが閾値以上であった場合に前記制限情報を生成する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のセンサ制御方法を、コンピュータにより実行させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施例にかかるライダの構成例を示す説明図である。
【
図2】
図1に示されたライダの受光素子で受光した受光信号の利用を制限しない場合のタイミングチャートである。
【
図3】
図1に示されたライダの受光素子で受光した受光信号の利用を制限する場合のタイミングチャートである。
【
図4】
図1に示されたライダの動作のフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施例にかかるライダの受光素子で受光した受光信号と制限情報を出力する場合のタイミングチャートである。
【
図6】
図5に示されたライダの動作のフローチャートである。
【
図7】本発明の第3の実施例にかかるライダの構成例を示す説明図である。
【
図8】
図7に示されたライダの光源からレーザ光の照射を制限しない場合のタイミングチャートである。
【
図9】
図7に示されたライダの光源からレーザ光の照射を制限する場合のタイミングチャートである。
【
図10】
図7に示されたライダの動作のフローチャートである。
【
図11】本発明の第4の実施例にかかるライダの構成例を示す説明図である。
【
図12】
図11に示されたライダの受光素子で受光した受光信号の利用を制限しない場合のタイミングチャートである。
【
図13】
図11に示されたライダの受光素子で受光した受光信号の利用を制限する場合のタイミングチャートである。
【
図14】
図11に示されたライダの受光素子で受光した受光信号の利用を制限する他の場合のタイミングチャートである。
【
図15】
図13に示されたライダの動作のフローチャートである。
【
図16】
図14に示されたライダの動作のフローチャートである。
【
図17】本発明の第5の実施例にかかるライダの受光素子で受光した受光信号と制限情報を出力する場合のタイミングチャートである。
【
図20】
図17に示されたライダの動作のフローチャートである。
【
図22】本発明の第6の実施例にかかるライダの構成例を示す説明図である。
【
図23】
図22に示されたライダの光源からレーザ光の照射を制限しない場合のタイミングチャートである。
【
図24】
図22に示されたライダの光源からレーザ光の照射を制限する場合のタイミングチャートである。
【
図25】
図22に示されたライダの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかるセンサ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかるセンサ装置は、光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、その光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサと、受光部において、反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて、反射光を受光する期間の受光信号の利用を制限する制御部と、を備えている。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、受光部が出力する受光信号の利用をさせない等の制限をすることができる。したがって、外乱光による誤検出を低減することができる。
【0013】
また、制御部は、反射光を受光しない期間の受光信号レベルが所定の閾値以上となった場合に、反射光を受光する期間の受光信号の利用の有効性を判断するようにしてもよい。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルが閾値以上となった場合に外乱光を受光していると判断して受光部が出力する受光信号の利用の有効性が判断できる。
【0014】
また、本発明の他の実施形態にかかるセンサ装置は、光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、その光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサと、受光部において、反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて、照射部からの光の照射を制限する制御部と、を備えている。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、照射部からの光の照射をさせない等の制限をすることができる。つまり、外乱光検出時には光の照射を停止させ、照射光の反射光による受光信号と異なる波形を受信させることにより、形状の異なる波形をノイズと判断するなどフィルタリングすることが可能となり、外乱光による誤検出を低減することができる。
【0015】
また、制御部は、反射光を受光しない期間の受光信号レベルが所定の閾値以上となった場合に、照射部からの光の照射を制限してもよい。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルが閾値以上となった場合に外乱光を受光していると判断して照射部からの光の照射をさせない等の制限をすることができる。
【0016】
また、本発明の他の実施形態にかかるセンサ装置は、光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、当該光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサと、受光部において、反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて、反射光を受光する期間の受光信号の利用を制限するための制限情報を生成する生成部と、を備えている。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、例えばフラグ等の制限情報を生成して出力することで、後段における処理の際の当該フラグを参照して受光信号の利用を制限することができる。
【0017】
また、制御部は、反射光を受光しない期間の受光信号レベルが所定の閾値以上となった場合に、制限情報を出力してもよい。このようにすることにより、反射光を受光しない期間に閾値以上の強度の光を受光した場合に、外乱光を受光したと認識して制限情報を生成することができる。
【0018】
また、本発明の一実施形態にかかるセンサ制御方法は、光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、その光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサ装置で実行されるセンサ制御方法であって、受光部における、反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて反射光を受光する期間の受光信号の利用を制限する制御工程を含んでいる。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、受光部が出力する受光信号の利用をさせない等の制限をすることができる。したがって、外乱光による誤検出を低減することができる。
【0019】
また、上述したセンサ制御方法を、コンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、コンピュータを用いて、受光部が出力する受光信号の利用をさせない等の制限をすることができる。したがって、外乱光による誤検出を低減することができる。
【0020】
また、本発明の他の実施形態にかかるセンサ制御方法は、光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、その光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサ装置で実行されるセンサ制御方法であって、受光部における、反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて照射部からの光の照射を制限する制御工程を含んでいる。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、照射部からの光の照射をさせない等の制限をすることができる。つまり、外乱光検出時には光の照射を停止させ、照射光の反射光による受光信号と異なる波形を受信させることにより、形状の異なる波形をノイズと判断するなどフィルタリングすることが可能となり、外乱光による誤検出を低減することができる。
【0021】
また、上述したセンサ制御方法を、コンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、コンピュータを用いて、照射部からの光の照射をさせない等の制限をすることができる。
【0022】
また、本発明の他の実施形態にかかるセンサ制御方法は、光を間欠的に照射して所定の領域を走査する照射部と、当該光の反射光を含む外部からの光を受光し受光信号を出力する受光部と、を有するセンサ装置で実行されるセンサ制御方法であって、前記受光部における、前記反射光を受光しない期間の受光信号レベルに基づいて、前記反射光を受光する期間の前記受光信号の利用を制限するための制限情報を生成する生成工程と、を含んでいる。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、例えばフラグ等の制限情報を生成して出力することで、後段における処理の際の当該フラグを参照して受光信号の利用を制限することができる。
【0023】
また、上述したセンサ制御方法を、コンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、反射光を受光しない期間の受光信号レベルから外乱光を受光していると判断することができ、その場合は、コンピュータを用いて、例えばフラグ等の制限情報を生成して出力することで、後段における処理の際の当該フラグを参照して受光信号の利用を制限することができる。
【実施例0024】
本発明の第1の実施例にかかるセンサ装置を
図1~
図4を参照して説明する。センサ装置としてのライダ1は、例えば移動体としての車両に搭載されている。
【0025】
ライダ1は、所定の領域へ光を照射し、その反射光を受光することで道路面や道路上の障害物等を検出する。ライダ1の構成を
図1に示す。
【0026】
ライダ1は、
図1に示したように、光源11と、コリメートレンズ12と、ビームスプリッタ13と、MEMSミラー14と、投受光レンズ15と、集光レンズ16と、受光素子17と、制御部18と、フォトディテクタ19と、を備えている。
【0027】
照射部としての光源11は、例えばレーザダイオードで構成されている。光源11は、所定の波長のレーザ光をパルス状に間欠的に発光(照射)する。
【0028】
コリメートレンズ12は、光源11から出射されたレーザ光を平行光束にする。ビームスプリッタ13は、コリメートレンズ12で平行光にされたレーザ光をMEMSミラー14へ出力し、MEMSミラー14で反射された入射光を集光レンズ16へ向けて反射する。
【0029】
MEMSミラー14は、ビームスプリッタ13から出射したレーザ光を対象物100が存在する領域へ向けて水平方向および垂直方向に走査する。ここで、対象物100は、例えば道路面や障害物等を示す。また、MEMSミラー14は、対象物100で反射した光が投受光レンズ15に入射した入射光をビームスプリッタ13へ反射する。MEMSミラー14は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成されたミラーであり、ミラーと一体的に形成されたアクチュエータ(不図示)によって駆動される。また、MEMSミラー14はガルバノミラーやポリゴンミラーなど他のビーム偏向手段でもよい。
【0030】
投受光レンズ15は、MEMSミラー14で反射されたレーザ光を対象物100が存在する領域へ照射(投光)する。また、投受光レンズ15には、対象物100で反射したレーザ光である反射光等が入射光として入射(受光)する。
【0031】
集光レンズ16は、ビームスプリッタ13と受光素子17との間に設けられ、ビームスプリッタ13で反射された反射光を受光素子17へ集光する。
【0032】
受光部としての受光素子17は、集光レンズ16で集光された反射光を受光する。受光素子17は、例えば1つ(単画素)のアバランシェフォトダイオード(APD)により構成されている。受光素子17は、受光した光の強度に応じたレベルとなる信号(受光信号)を出力する。
【0033】
制御部18は、フォトディテクタ19が受光した光に基づいて受光素子17で受光した受光信号の利用を制限する。また、制御部18は、利用の制限がされない場合は、受光素子17で受光した受光信号を例えばADASや自動運転の制御装置等へ出力する。制御部18は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を有するマイクロコンピュータで構成されている。あるいは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなロジックデバイスを用いてもよい。
【0034】
フォトディテクタ19は、投受光レンズ15と同様に、対象物100の方向の光を受光する。つまり、レーザ光を走査する所定の領域を含む領域の光を受光できればよい。フォトディテクタ19は受光した光の強度を輝度値として制御部18へ出力する。なお、本実施例では、第2センサとしてフォトディテクタ19で説明するが、フォトディテクタ19に代えてカメラ等を用いてもよく、要するに光源11から照射されたレーザ光の反射光の波長を含む光を受光(撮像)できればよい。
【0035】
また、フォトディテクタ19は、新たに設置するに限らず、既に設置されている車載カメラや受光素子等のセンサであってもよい。また、本実施例では、受光素子17が反射光と誤検出する外乱光を検出することがフォトディテクタ19の目的であるので、光源11が照射したレーザ光の波長を選択的に透過するフィルタ等を有していてもよい。
【0036】
ライダ1は、周知のように、レーザ光を間欠的に所定の領域を走査するように照射することで、走査領域における対象物100の状態を点群として取得することができる。
【0037】
以上の説明から明らかなように、光源11と、コリメートレンズ12と、ビームスプリッタ13と、MEMSミラー14と、投受光レンズ15と、集光レンズ16と、受光素子17と、が第1センサとして機能する。そして、フォトディテクタ19が第2センサとして機能する。
【0038】
次に、本実施例におけるライダ1の動作原理について
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、受光素子17で受光した受光信号の利用を制限しない場合のタイミングチャートである。
図2において、光源11は、所定の間隔でパルス光を間欠的に照射している。そして、そのパルス光の反射光を受光素子17は受光している。
図2においてフォトディテクタは、フォトディテクタ19で受光した光の輝度値を示している。
図2では、輝度値は所定の閾値未満であるので、制御部18は、受光素子17の受光信号をそのまま出力する。
【0039】
一方、
図3は、受光素子17で受光した受光信号の利用を制限する場合のタイミングチャートである。
図3において、光源11と受光素子17の波形は
図2と同様であるが、フォトディテクタ19で受光した光の輝度値が時刻t1~時刻t2の間では所定の閾値以上となるので、制御部18は、この時刻t1~時刻t2の間の受光素子17の受光信号の出力を行わない。これは、時刻t1~時刻t2の間は、フォトディテクタ19で受光した光の輝度値が閾値以上となっており、反射光以外の一過性の外乱光(例えば、雷、カメラのフラッシュ、花火等)が入射したと考えられるため、時刻t1~時刻t2の間の受光素子17の受光信号は、反射光以外の光を誤検出する可能性が高いと判断し、受光素子17の受光信号をゲート(マスク)している。つまり、時刻t1~時刻t2の間の受光素子17の受光信号は、後段の処理において使用しないように制限している。
【0040】
次に、上述したライダ1の動作(センサ制御方法)を
図4のフローチャートを参照して説明する。
図4のフローチャートは制御部18で実行される。また、
図4に示したフローチャートを制御部18のCPUで実行するプログラムとして構成することでセンサ制御プログラムとすることができる。
【0041】
まず、ステップS11において、フォトディテクタ19から受光信号を取得する。次に、ステップS12において、ステップS11で取得した受光信号の輝度値を算出する。つまり、ステップS12では、フォトディテクタ19が受光した光の強度を算出している。
【0042】
次に、ステップS13において、ステップS12で算出した輝度値が上述した所定の閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上である場合(YESの場合)はステップS14において、上述したように受光素子17の受光信号をゲートする。ステップS13では、輝度値からライダ1の動作に影響を与えるような強い外乱光が検出されたと判断できる場合に受光信号のゲートをするようにしている。即ち、制御部18は、フォトディテクタ19が受光した光の強度が所定の閾値以上となった場合に、受光素子17が出力する受光信号の利用を制限している。したがって、ステップS11~S14が制御工程として機能する。
【0043】
一方、ステップS13において、ステップS12で算出した輝度値が閾値未満である場合(NOの場合)はステップS15において、受光素子17の受光信号をゲートしない。
【0044】
図3や
図4の説明では、第2センサとしてフォトディテクタ19で説明したため単なる輝度値としたが、カメラ等の撮像手段の場合は1フレーム期間等、所定時間の平均輝度値で判断すればよい。
【0045】
本実施例によれば、ライダ1は、レーザ光を照射して所定の範囲を走査する光源11と、そのレーザ光の反射光を受光し受光信号を出力する受光素子17と、を有し、さらに、光源11からの光が走査する範囲を含む領域の光を受光するフォトディテクタ19の受光信号を取得して、その受光信号に基づいて受光部が出力する受光信号の利用を制限する制御部18と、を備えている。このようにすることにより、フォトディテクタ19が例えば雷やカメラのフラッシュ等の外乱光を撮像した場合には、そのフォトディテクタ19の外乱光受光との結果に基づいて受光素子17が出力する受光信号をゲートする等の制限をすることができる。したがって、外乱光による誤検出を低減することができる。
【0046】
また、制御部18は、フォトディテクタ19が受光した光の輝度値が所定の閾値以上となった場合に、受光素子17が出力する受光信号をゲートしている。このようにすることにより、フォトディテクタ19が閾値以上の輝度値を受光した場合に、外乱光を受光したと認識して受光素子17が出力する受光信号をゲートすることができる。
第1の実施例では、フォトディテクタ19で受光した光に基づいて受光素子17の受光信号の利用を制限していたが、本実施例では、フォトディテクタ19で受光した光に基づいて受光信号の利用を制限するための制限情報としてのフラグ信号を出力する。
まず、ステップS21において、受光素子17が反射光を受光する期間か否か判断し、受光する期間である場合(YESの場合)はステップS22へ進み、受光しない期間である場合(NOの場合)はステップS28に進む。
次に、ステップS25において、ステップS24で算出した輝度値が上述した所定の閾値以上である場合(YESの場合)はステップS26において、上述したようにフラグ信号をONにする。即ち、制御部18は、フォトディテクタ19が受光した光の強度が所定の閾値以上となった場合に、受光部が出力する受光信号の利用を制限するための制限情報を生成している。したがって、ステップS23~S26が生成工程として機能する。
また、ステップS28においては、ステップS21で反射光を受光しない期間であると判断されたので、フラグ信号を後段の信号処理部等に出力する。次に、ステップS29において、後段の信号処理部等から信号処理が完了したことを示す信号等を受信したか否かを判断し、受信した場合はステップS2Aにおいてフラグ信号をOFFする。
本実施例によれば、ライダ1は、レーザ光を照射して所定の範囲を走査する光源11と、そのレーザ光の反射光を受光し受光信号を出力する受光素子17と、を有し、さらに、光源11からの光が走査する範囲を含む領域の光を受光するフォトディテクタ19の受光信号を取得して、その受光信号に基づいて受光素子17が出力する受光信号の利用を制限するためのフラグ信号を生成する制御部18と、を備えている。このようにすることにより、フォトディテクタ19が例えば雷やカメラのフラッシュ等の外乱光を受光した場合には、フラグ信号を生成して出力することで、後段における処理の際の当該フラグを参照して受光信号の利用を制限することができる。
また、制御部18は、フォトディテクタ19が受光した光の輝度値が所定の閾値以上となった場合に、フラグ信号を出力している。このようにすることにより、フォトディテクタ19が閾値以上の強度の光を受光した場合に、外乱光を受光したと認識してフラグ信号を生成することができる。
なお、フラグ信号を受光素子17の受光信号を利用を制限するだけでなく、フラグ信号を物体認識の信頼度として用いてもよい。例えば、フラグ信号がONのときは所定の閾値以上の外乱光があるため物体認識の信頼度が下がり、フラグ信号がOFFのときは所定の閾値以上の外乱光がないため物体認識の信頼度が上がるようにすることができる。