(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075172
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】投影制御装置、投影制御方法、投影制御プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20230523BHJP
B60Q 1/26 20060101ALI20230523BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230523BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/26 Z
G09F9/00 362
G09F9/00 366G
G09F9/00 360
G09G5/00 510B
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027169
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2018141386の分割
【原出願日】2018-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大森 健太郎
(57)【要約】
【課題】他移動体からの画像との重なりを抑えて、自移動体の投影装置に画像を投影させることができる投影制御装置、投影制御方法、投影制御プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】第1投影制御装置120が、第1画像を投影する第1投影装置110を備えた第1移動体1に搭載され、第1投影装置110による画像投影を制御する投影制御装置であって、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置210を備えた第2移動体2に対して、第1画像及び第2画像を交互に投影させるための制御信号SG11を送信する送信部121と、送信部121が送信した制御信号SG11に基づくタイミングで第1投影装置110に第1画像を投影させる制御部123と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体に搭載され、前記第1投影装置による画像投影を制御する投影制御装置であって、
移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体に対して、前記第1画像及び前記第2画像を交互に投影させるための制御信号を送信する送信部と、
前記送信部が送信した前記制御信号に基づくタイミングで前記第1投影装置に前記第1画像を投影させる制御部と、
を備えたことを特徴とする投影制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の投影装置による画像投影を制御する投影制御装置、投影制御方法、投影制御プログラム、及び、投影制御プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体に備えられ、移動に関連した画像を投影する投影装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の投影装置は、例えば交差点等に、移動体が接近中であることを示す画像を投影する。このように投影した画像により、他移動体等に、自移動体の接近等を効果的に知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、他移動体が自移動体と同様の投影装置を備えていた場合、両移動体からの画像が交差点等に重なって投影されてしまうことが考えられる。このような画像の重なりは、各画像を見え難くしてしまい、移動体の接近等といった情報の伝達を困難なものとしてしまう可能性がある。
【0005】
したがって、本発明の課題は、他移動体からの画像との重なりを抑えて、自移動体の投影装置に画像を投影させることができる投影制御装置、投影制御方法、投影制御プログラム、及び記憶媒体を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の第1の投影制御装置は、移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体に搭載され、前記第1投影装置による画像投影を制御する投影制御装置であって、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体に対して、前記第1画像及び前記第2画像を交互に投影させるための制御信号を送信する送信部と、前記送信部が送信した前記制御信号に基づくタイミングで前記第1投影装置に前記第1画像を投影させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の第2の投影制御装置は、移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体に搭載され、前記第1投影装置による画像投影を制御する投影制御装置であって、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体から、前記第1画像及び前記第2画像を交互に投影させるための制御信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記制御信号に基づくタイミングで前記第1投影装置に前記第1画像を投影させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の投影制御方法は、移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体において実行され、前記第1投影装置による画像投影を制御する投影制御方法であって、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体に対して、前記第1画像及び前記第2画像を交互に投影させるための制御信号を送信する送信工程と、前記送信工程が送信した前記制御
信号に基づくタイミングで前記第1投影装置に前記第1画像を投影させる制御工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の投影制御プログラムは、上述した本発明の投影制御方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【0010】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の記憶媒体は、上述した本発明の投影制御プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施例に係る投影制御装置を備えた移動体を示す模式図である。
【
図2】
図1に示されている第1画像が投影される様子を示す模式図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されている第1移動体と同様の投影装置を搭載した第2移動体が、第1移動体とともに交差点に接近する様子を示す模式図である。
【
図4】
図1に示されている第1移動体が備える第1投影制御装置の構成を、第2移動体が備える第2投影制御装置の同様の構成とともに示すブロック図である。
【
図5】
図2に示されている第1投影制御装置において実行される投影制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2実施例において行なわれる画像投影の制御手法を示す模式図である。
【
図7】
図6に示されている第1移動体が備える第1投影制御装置の構成を、第2移動体が備える第2投影制御装置の同様の構成とともに示すブロック図である。
【
図8】
図7に示されている第1投影制御装置において実行される投影制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る第1の投影制御装置は、移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体に搭載され、第1投影装置による画像投影を制御する投影制御装置である。そして、第1の投影制御装置は、送信部と、制御部と、を備えている。送信部は、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体に対して、第1画像及び第2画像を交互に投影させるための制御信号を送信する。制御部は、送信部が送信した制御信号に基づくタイミングで第1投影装置に第1画像を投影させる。
【0013】
第1の投影制御装置によれば、送信部が送信した制御信号と、制御部による制御信号に基づくタイミングでの投影制御と、により、第1移動体からの第1画像と、第2移動体からの第2画像と、が交互に投影される。その結果、他移動体たる第2移動体からの第2画像との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体の第1投影装置に第1画像を投影させることができる。
【0014】
ここで、第1の投影制御装置は、第1画像及び第2画像の重なり、又は、当該重なりが将来生ずる可能性、の発生事象を検出する検出部を備えている。そして、送信部は、検出部で発生事象が検出された場合に、制御信号を第2移動体に送信するものとなっている。
【0015】
検出部による発生事象の検出をトリガとすることにより、制御信号の送信を抑えることができ、送信部での処理負担を軽減することができる。
【0016】
また、第1の投影制御装置は、第1移動体に対して送信された制御信号を受信する受信部を備えている。そして、送信部は、検出部で発生事象が検出された場合であっても、受信部で制御信号が受信された場合には、制御信号を送信しない。
【0017】
これにより、制御信号の送信を更に抑えることができ、送信部での処理負担を一層軽減することができる。
【0018】
また、第1の投影制御装置では、制御部は、検出部で発生事象が検出され、且つ受信部で制御信号が受信された場合に、当該制御信号に基づくタイミングで第1画像を投影させる。
【0019】
このように他移動体からの制御信号も利用することで、第1画像の投影を効率的に制御することができる。
【0020】
また、本発明の実施形態に係る第2の投影制御装置は、移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体に搭載され、前記第1投影装置による画像投影を制御する投影制御装置である。そして、第2の投影制御装置は、受信部と、制御部と、を備えている。受信部は、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体から、第1画像及び第2画像を交互に投影させるための制御信号を受信する。制御部は、受信部が受信した制御信号に基づくタイミングで第1投影装置に第1画像を投影させる。
【0021】
第2の投影制御装置によれば、受信部が受信した制御信号と、制御部による制御信号に基づくタイミングでの投影制御と、により、第1移動体からの第1画像と、第2移動体からの第2画像と、が交互に投影される。その結果、他移動体たる第2移動体からの第2画像との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体の第1投影装置に第1画像を投影させることができる。
【0022】
また、本発明の実施形態に係る投影制御方法は、移動に関連した第1画像を投影する第1投影装置を備えた第1移動体において実行され、第1投影装置による画像投影を制御する投影制御方法である。そして、この投影制御方法は、送信工程と、制御工程と、を備えている。送信工程は、移動に関連した第2画像を投影する第2投影装置を備えた第2移動体に対して、第1画像及び第2画像を交互に投影させるための制御信号を送信する工程である。制御工程は、送信工程で送信された制御信号に基づくタイミングで第1投影装置に第1画像を投影させる工程である。
【0023】
この投影制御方法によれば、送信工程で送信された制御信号と、制御工程による制御信号に基づくタイミングでの投影制御と、により、第1移動体からの第1画像と、第2移動体からの第2画像と、が交互に投影される。その結果、他移動体たる第2移動体からの第2画像との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体の第1投影装置に第1画像を投影させることができる。
【0024】
また、本発明の実施形態に係る投影制御プログラムは、上述した投影制御方法を、コンピュータにより実行させる。
【0025】
この投影制御プログラムによれば、上述した投影制御方法を、コンピュータにより実行させることで、他移動体たる第2移動体からの第2画像との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体の第1投影装置に第1画像を投影させることができる。
【0026】
また、本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上述した投影制御プログラムを記憶したものとなっている。
【0027】
本実施形態の記憶媒体によれば、記憶されている投影制御プログラムにより、上述した投影制御方法をコンピュータで実行させることができる。これにより、他移動体たる第2
移動体からの第2画像との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体の第1投影装置に第1画像を投影させることができる。
【実施例0028】
以下、他移動体からの画像との重なりを抑えて、自移動体の投影装置に画像を投影させるという課題を解決するための実施例について図を参照して具体的に説明する。まず、第1実施例について説明する。
【0029】
図1は、第1実施例に係る投影制御装置を備えた移動体を示す模式図である。
【0030】
図1に示されている第1移動体1は乗用車であって、第1投影装置110と、第1投影制御装置120と、を備えている。尚、以下では、自移動体、及び、自移動体に関する装置や画像という意味で「第1」なる接頭語を用い、他移動体、及び、他移動体に関する装置や画像という意味で「第2」なる接頭語を用いるものとする。
【0031】
第1投影装置110は、移動に関連した第1画像G11を投影するプロジェクターである。本実施例における第1画像G11は、第1移動体1の移動方向(進路)を表す矢印画像となっている。この第1画像G11は、以下に説明するように投影される。
【0032】
図2は、
図1に示されている第1画像が投影される様子を示す模式図である。
【0033】
この
図2には、画像が投影される一事例として、第1移動体1が交差点CR11に向かって移動している事例が示されている。このような場合に、第1画像G11は、第1移動体1が通行中の道路R11と交差点CR11で交わっている他の道路R12を通行中、あるいは交差点CR11の手前で停止中の他移動体1aや通行人1bに、第1移動体1の接近を知らせるために投影される。
【0034】
尚、ここでは、第1画像G11を投影する画像投影地点の一例として交差点CR11が例示されている。しかしながら、画像投影地点は交差点に限るものではなく、例えば丁字路、三叉路、五叉路等における合流点や交差点のように、複数の道路が交差、合流する地点は全て第1画像G11の投影対象となり得る。
【0035】
ここで、第1画像G11は、第1移動体1の移動に依らず、常に矢印の先端が交差点CR11に位置するように投影される。このため、第1移動体1が交差点CR11に接近するにつれて矢印の長さが短くなる。また、第1画像G11はグラデーション画像となっている。第1画像G11における各部の色は、
図1に示されているように、第1移動体1から各部の投影位置までの距離、あるいは、第1移動体1が各部の投影位置に達するまでの到達時間に対応した色となっている。具体的には、第1移動体1に近づく程、即ち到達時間が短い程、赤色に近づき、第1移動体1から離れる程、即ち到達時間が長くなる程、緑色に近づくグラデーション画像となっている。
【0036】
このような第1画像G11の投影により、上記の他移動体1aや通行人1bは、交差点CR11への第1移動体1の接近を認識することができる。また、第1画像G11において、交差点CR11に達している矢印の先端部分の色により、第1移動体1がどの程度接近しているかを直感的に認識できるようになっている。即ち、矢印の先端部分が、安全を連想させる緑色である場合には、第1移動体1が交差点CR11に達するまである程度の余裕があると認識させることができる。他方、矢印の先端部分が、危険を連想させる赤色である場合には、第1移動体1が交差点CR11に間もなく達することを認識させることができる。
【0037】
尚、ここでは投影される画像の一例として、グラデーションを有する矢印画像となった第1画像G11が例示されているが、投影される画像はこれに限るものではない。投影される画像は、グラデーションに替えて、第1移動体1の接近程度を、第1移動体1からの距離や第1移動体1の到達時間を直接的に数値表示することで示す画像等であってもよい。また、その形状も、矢印に替えて三角形状や棒状の形状を有する画像等であってもよい。
【0038】
このとき、第1移動体1と同様の投影装置を搭載した第2移動体が、第1移動体1とともに交差点CR11に接近する場合について考える。
【0039】
図3は、
図1及び
図2に示されている第1移動体と同様の投影装置を搭載した第2移動体が、第1移動体とともに交差点に接近する様子を示す模式図である。
【0040】
この
図3に示されている第2移動体2は、
図1及び
図2に示されている第1移動体1と同様の投影装置を搭載しており、交差点CR11に向けて第1移動体1と同様の第2画像G12を投影するようになっている。このような第2移動体2が第1移動体1とともに交差点CR11に接近したとする。このときに、
図3に示されているように、第1移動体1からの第1画像G11と第2移動体2からの第2画像G12とが交差点CR11で重なってしまうと通行人1b等にとって見難いものとなってしまう。このような画像の重なりは、第1移動体1や第2移動体2の双方について、交差点CR11への接近等といった情報の、通行人1b等に対する伝達を困難なものとしてしまう可能性がある。
【0041】
そこで、
図1に示されている第1投影制御装置120が、第1投影装置110による画像投影を制御してこのような画像の重なりを抑えるべく、以下に説明する構成を有している。また、
図3に示されている第2移動体2も、同様の投影制御装置を備えているものとする。
【0042】
図4は、
図1に示されている第1移動体が備える第1投影制御装置の構成を、第2移動体が備える第2投影制御装置の同様の構成とともに示すブロック図である。
【0043】
第1投影制御装置120は、第1移動体1が備える第1投影装置110による画像投影を制御するものであり、通信アンテナ127を介して送受信を行う送信部121及び受信部122を備えている。また、第1投影制御装置120は、制御部123、測位部124、記憶部125、及び検出部126を備えている。また、第2投影制御装置220は、第2移動体2が備える第2投影装置210による画像投影を制御するものであり、通信アンテナ227を介して送受信を行う送信部221及び受信部222を備えている。また、第2投影制御装置220は、制御部223、測位部224、記憶部225、及び検出部226を備えている。
【0044】
尚、第1投影制御装置120が有する各構成要素と、第2投影制御装置220が有する各構成要素と、は互いに同等であるので、以下では、第1投影制御装置120の各構成要素を代表例として説明する。
【0045】
送信部121は、第2移動体2に対して、第1画像G11及び第2画像G12を交互に投影させるための制御信号SG11を、通信アンテナ127を介して送信する。また、受信部122は、第1移動体1に対して送信された制御信号SG11を通信アンテナ127を介して受信する。制御信号SG11は、
図4に示されているように、第1画像G11及び第2画像G12の投影タイミングが時間的に交互に並ぶように規定した信号となっている。
【0046】
制御部123は、本実施例では、第1移動体1に搭載されたナビゲーション装置に構築されており、通常のナビゲーション機能を果たす。その上で、送信部121が送信する制御信号SG11の生成や、その制御信号SG11に基づくタイミングで第1投影装置110に第1画像G11を投影させる投影制御を行う。また、制御部123は、受信部122が受信した制御信号SG11に基づくタイミングで第1投影装置110に第1画像G11を投影させる投影制御も行う。また、この投影制御においては、第1移動体1の位置や、交差点CR11等の画像投影地点の位置等に基づいて、投影させる第1画像G11の長さやグラデーションの色の決定も行う。
【0047】
測位部124は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を用いて第1移動体1の位置を測定する。測位部124で測定された位置は、制御部123におけるナビゲーション機能や投影制御に用いられる。
【0048】
記憶部125は、制御部123でのナビゲーション機能や投影制御に用いられる地図データを記憶している。
【0049】
検出部126は、第1画像G11及び第2画像G12の重なりが将来生ずる可能性の発生事象を検出する。本実施例では、検出部126は、重なりが将来生ずる可能性の発生事象を次のように検出する。即ち、検出部126は、まず、不図示の前方カメラで撮影された撮影画像に、例えば交差点CR11等といった第1画像G11の画像投影地点に第2移動体2から投影中の第2画像G12が写っているか否かに基づいて重なりの可能性の発生事象の検出を行う。撮影画像に投影中の第2画像G12が写っていた場合、検出部126はその第2画像G12を重なりの可能性の発生事象として検出する。
【0050】
また、検出部126は、撮影画像に投影中の第2画像G12が写っていない場合でも、次のような事象が生じていた場合には、当該事象を、重なりの可能性の発生事象として検出する。即ち、撮影画像に、画像投影地点から所定距離の範囲内にあって画像投影地点に向かって進行中の移動体が写っている場合には、検出部126は、当該移動体を、画像投影地点に第2画像G12に投影する可能性のある第2移動体2として認識する。そして、検出部126は、撮影画像中の第2移動体2の像を、重なりの可能性の発生事象として検出する。
【0051】
尚、ここでは、検出部126が、第1移動体1において画像投影地点への第1画像G11の投影が行われる前に、重なりの可能性の発生事象が検出される。しかしながら、第1移動体1において画像投影地点への第1画像G11の投影が一旦行われた後に、検出部126が、その画像投影地点に投影された第1画像G11と第2画像G12との重なりの発生事象を検出することとしてもよい。この場合には、検出部126が、撮影画像に、重なり合った第1画像G11と第2画像G12が写っているか否かに基づいて重なり自体の発生事象の検出を行うこととなる。そして、重なり合った第1画像G11と第2画像G12が写っている場合に、検出部126は、撮影画像中の重なり合った第1画像G11と第2画像G12の像を、重なり自体の発生事象として検出する。
【0052】
以上に説明した第1投影制御装置120において以下に説明する投影制御方法が実行される。
【0053】
図5は、
図2に示されている第1投影制御装置において実行される投影制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
この
図5のフローチャートで示される投影制御方法の処理は、制御部123が構築され
ているナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートし、通常のナビゲーション処理と並行して実行される。
【0055】
処理がスタートすると、制御部123が、測位部124で測定される第1移動体1の位置と記憶部125に記憶されている地図データとに基づいて、第1移動体1が、交差点CR11等の画像投影地点に接近しているか否かを判定する(ステップS101)。ここでの判定は、第1移動体1の位置の変化から、第1移動体1が画像投影地点に向かって進行しているか否かが判定される。更に、第1移動体1の位置と画像投影地点との距離から、第1移動体1が画像投影地点に所定程度以上に接近しているか否かが判定される。第1移動体1が画像投影地点に向かって進行し、且つ、所定程度以上に接近している場合に、制御部123は、第1移動体1が画像投影地点に接近していると判定する。画像投影地点に接近していない場合(ステップS101のNo判定)、ステップS101の処理が繰り返され得る。
【0056】
画像投影地点に接近している場合(ステップS101のYes判定)、検出部126が、次のような検出を行う(ステップS102)。即ち、検出部126は、撮影画像中に、画像投影地点に投影中の第2画像G12、あるいは画像投影地点に接近中で第2画像G12を投影可能な第2移動体2が写っているか否かに基づいて、重なりが将来生ずる可能性の発生事象の検出を行う。撮影画像中にこれらの像が写っている場合、検出部126は、重なりが将来生ずる可能性の発生事象としてそれらの像を検出する。このステップS102の処理は、第1画像G11及び第2画像G12の重なりが将来生ずる可能性が発生していることを示す発生事象を検出する検出工程に当る。尚、この検出工程は、将来生ずる可能性ではなく第1画像G11及び第2画像G12の重なりが現に発生していることを示す発生事象を検出する工程であってもよい。
【0057】
重なりが将来生ずる可能性の発生事象が検出された場合(ステップS102のYes判定)、制御部123は、第1移動体1に向けた制御信号SG11が受信部122で受信されているか否かを判定する(ステップS103)。
【0058】
ここで受信部122で受信された制御信号SG11が自移動体たる第1移動体1に向けたものであるか否かは、制御部123において次のように判定される。本実施例では、制御信号SG11のヘッダーに、通信相手の移動体の位置が記載される。制御部123は、受信部122で受信された制御信号SG11のヘッダーに記載された位置が、第1移動体1の位置と所定程度に一致する場合に、この制御信号SG11が第1移動体1に向けたものであると判断する。
【0059】
尚、制御部123での判断手法はこれに限るものではなく、次のようなものであってもよい。
【0060】
例えば、制御信号SG11のヘッダーに、移動体の進行方向と、その移動体が接近中の画像投影地点の位置情報を記載することとしてもよい。そして、ヘッダーに記載の進行方向が第1移動体1の進行方向と所定程度に一致し、ヘッダーに記載の位置情報が表す位置が、接近中の画像投影地点の位置と所定程度に一致するときに、制御信号SG11が第1移動体1に向けたものであると判定する。
【0061】
あるいは、制御信号SG11のヘッダーに、移動体を識別する車体ナンバーを記載することとしてもよい。この場合、制御部123は、受信部122で受信された制御信号SG11のヘッダーに記載された車体ナンバーが、第1移動体1の車体ナンバーと一致するときに、この制御信号SG11が第1移動体1に向けたものであると判定する。
【0062】
第1移動体1に向けた制御信号SG11が受信部122で受信されている場合(ステップS103のYes判定)、制御部123は、受信された制御信号SG11に基づくタイミングで第1投影装置110に第1画像G11を投影させる(ステップS104)。
【0063】
このとき、第1移動体1に制御信号SG11を送信した第2移動体2の制御部223が、その送信した制御信号SG11に基づくタイミングで第2投影装置210に第2画像G12を投影させる。これにより、画像投影地点には、第1画像G11と第2画像G12とが交互に投影されることとなる。
【0064】
他方、第1移動体1に向けた制御信号SG11が受信部122で受信されていない場合(ステップS103のNo判定)、制御部123が、ステップS102で検出された第2移動体2に向けた制御信号SG11を生成する(ステップS105)。ステップS105では、制御部123が生成した制御信号SG11を送信部121が送信する。このステップS105の処理が、第2移動体2に対して制御信号SG11を送信する送信工程に当る。
【0065】
本実施例では、制御部123は、第2移動体2を特定するために、制御信号SG11のヘッダーに、ステップS102で検出された発生事象に係る第2移動体2について、その位置を特定して通信相手の位置として記載する。
【0066】
第2移動体2の位置は、次のように求められる。即ち、制御部123は、検出部126で第2移動体2から投影された第2画像G12が発生事象として検出された場合には、その検出された第2画像G12から画像投影地点に対する第2移動体2の相対位置を求める。そして、その相対位置及び画像投影地点の位置から第2移動体2の位置を求める。
【0067】
また、制御部123は、検出部126で画像投影地点に接近中の第2移動体2の像が発生事象として検出された場合には、その検出された第2移動体2の像に基づいて第2移動体2の位置を求める。制御部123は、撮影画像中の第2移動体2の像から、第1移動体1に対する第2移動体2の相対位置を求める。そして、その相対位置及び第1移動体1の位置から第2移動体2の位置を求める。
【0068】
ステップS105では、制御部123が、このようにして求めた第2移動体2の位置を制御信号SG11のヘッダーに記載し、送信部121に、位置記載済みの制御信号SG11を送信させる。この制御信号SG11を受信した第2移動体2の制御部223が、ヘッダーに記載された位置と、測位部224で測定された第2移動体2の位置と、を比較して、この制御信号SG11が第2移動体2に向けて送られたものか否かの判断を行うこととなる。
【0069】
尚、制御信号SG11を介した第2移動体2の特定手法はこれに限るものではなく、次のようなものであってもよい。
【0070】
例えば、制御部123が、制御信号SG11のヘッダーに、第2移動体2の進行方向と、その第2移動体2が接近中の画像投影地点の位置を記載することとしてもよい。この場合、制御部123は、撮影画像中の第2画像G12や、撮影画像中の第2移動体2の像から、第2移動体2の進行方向を求める。そして、制御部123が、そのように求めた第2移動体2の進行方向と画像投影地点の位置を制御信号SG11のヘッダーに記載し、送信部121に、方向及び位置記載済みの制御信号SG11を送信させる。この制御信号SG11を受信した第2移動体2の制御部223は、ヘッダーに記載された進行方向及び画像投影地点の位置と、第2移動体2の進行方向及び接近中の画像投影地点の位置と、を比較する。この比較により、第2移動体2の制御部223は、この制御信号SG11が第2移
動体2に向けて送られたものか否かの判断を行うこととなる。
【0071】
あるいは、制御信号SG11のヘッダーに、移動体を識別する車体ナンバーを記載することとしてもよい。この場合、制御部123は、撮影画像中の第2移動体2の像から、ナンバープレート上の車体ナンバーを読み取る。そして、制御部123は、読み取った車体ナンバーを制御信号SG11のヘッダーに記載し、送信部121に、車体ナンバー記載済みの制御信号SG11を送信させる。この制御信号SG11を受信した第2移動体2の制御部223は、ヘッダーに記載された車体ナンバーと第2移動体2の車体ナンバーとを比較することで、この制御信号SG11が第2移動体2に向けて送られたものか否かの判断を行うこととなる。
【0072】
ステップS105において制御信号SG11が送信されると、制御部123は、その送信された制御信号SG11に基づくタイミングで第1投影装置110に第1画像G11を投影させる(ステップS106)。このステップS106の処理が、送信された制御信号SG11に基づくタイミングで第1投影装置110に第1画像G11を投影させる制御工程に当る。
【0073】
このとき、制御信号SG11を受信した第2移動体2の制御部223が、その受信した制御信号SG11に基づくタイミングで第2投影装置210に第2画像G12を投影させる。これにより、画像投影地点には、第1画像G11と第2画像G12とが交互に投影されることとなる。
【0074】
ここで、ステップS102において、画像投影地点に投影中の第2画像G12や画像投影地点に接近中の第2移動体2の像が検出部126で検出されなかった場合(ステップS102のNo判定)、次のような処理が行われる(ステップS107)。即ち、ステップS107では、上述した制御信号SG11の生成や送信は行われず、制御部123は、第1投影装置110に第1画像G11を通常通りに連続投影させる。
【0075】
ステップS104、ステップS106、あるいはステップS107の処理による画像投影が行われると、制御部123は、第1移動体1が、画像投影地点たる交差点CR11等を通過したか否かを判定する(ステップS108)。
【0076】
第1移動体1が画像投影地点を通過していない場合(ステップS108のNo判定)、処理がステップS102に戻って、以降の処理が繰り返される。他方、第1移動体1が画像投影地点を通過した場合(ステップS108のYes判定)、制御部123が第1投影装置110に投影を終了させる(ステップS109)。
【0077】
投影の終了後は、処理がステップS101に戻って、以降の処理が繰り返される。この
図5のフローチャートで表される投影制御方法の処理は、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0078】
この
図5のフローチャートで表される投影制御方法を、コンピュータにより実行させる投影制御プログラムが、カーナビゲーション装置に内蔵の記憶媒体や、カーナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置に内蔵の記憶媒体に記憶されている。また、この投影制御プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置に内蔵の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバーに設置された記憶媒体であってもよい。
【0079】
以上に説明した第1実施例の第1投影制御装置120、投影制御方法、投影制御プログラム、及び記憶媒体によれば、第1移動体1からの第1画像G11と、第2移動体2から
の第2画像G12と、が制御信号SG11に基づいて交互に投影される。その結果、他移動体たる第2移動体2からの第2画像G12との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体1の第1投影装置110に第1画像G11を投影させることができる。
【0080】
ここで、本実施例では、第1画像G11及び第2画像G12の重なりが将来生ずる可能性の発生事象を検出する検出部126が設けられている。そして、送信部121は、検出部126で発生事象が検出された場合に、制御信号SG11を第2移動体2に送信するものとなっている。
【0081】
検出部126による発生事象の検出をトリガとすることにより、制御信号SG11の送信を抑えることができ、送信部121での処理負担を軽減することができる。
【0082】
また、本実施例では、第1移動体1に対して送信された制御信号SG11を受信する受信部122が設けられている。そして、送信部121は、検出部126で発生事象が検出された場合であっても、受信部122で制御信号SG11が受信された場合には、制御信号SG11を送信しない。
【0083】
これにより、制御信号SG11の送信を更に抑えることができ、送信部121での処理負担を一層軽減することができる。
【0084】
また、本実施例では、制御部123は、検出部126で発生事象が検出され、且つ受信部122で制御信号SG11が受信された場合に、当該制御信号SG11に基づくタイミングで第1画像G11を投影させる。
【0085】
このように他移動体たる第2移動体2からの制御信号SG11も利用することで、第1画像G11の投影を効率的に制御することができる。
【0086】
次に第2実施例について説明する。
【0087】
この第2実施例は、重なりを抑えるべく行われる画像投影の制御手法が、上述した第1実施例とは異なっている。
【0088】
図6は、第2実施例において行なわれる画像投影の制御手法を示す模式図である。
【0089】
この
図6に示されるように、第2実施例においても、自移動体たる第1移動体3は、第1実施例と同様の第1画像G21を、交差点CR21等の画像投影地点に投影可能であり、他移動体たる第2移動体4も第2画像G22を画像投影地点に投影可能となっている。
【0090】
ここで、交差点CR21等のように複数の道路が交わる、あるいは合流する地点では、交通法規上、その地点に至る道路を通行する移動体間で通行の優先度が定められている。
図6の例では、第1移動体3が通行する道路R21には、交差点CR21の手前に停止線S21が引かれ、その近傍に停止を指示する標識S22が設置されている。つまり、第1移動体3が通行する道路R21に対して、第2移動体4が通行する道路R22が交通法規上の優先道路となっている。即ち、
図6の例では、第1移動体3が第2移動体4対して有する通行の第1優先度は、第2移動体4が第1移動体3対して有する通行の第2優先度よりも低い。
【0091】
第2実施例において行なわれる画像投影の制御手法では、画像投影地点への画像投影が、第1移動体3及び第2移動体4それぞれが有する通行の優先度に応じて行われる。
図6の例では、第1移動体3が第2移動体4対して有する通行の第1優先度が低いので、第2
移動体4からの第2画像G22の投影が優先して行われることとなる。このように、通行の優先度に応じて画像投影が行われるので、投影画像の観察者たる通行人3b等にとっては、第1画像G21と第2画像G22の重なりが抑えられることとなる。
【0092】
本実施例では、このような画像投影を行うべく、各移動体に、以下に説明する構成の投影制御装置が備えられている。
【0093】
図7は、
図6に示されている第1移動体が備える第1投影制御装置の構成を、第2移動体が備える第2投影制御装置の同様の構成とともに示すブロック図である。
【0094】
本実施例における第1投影制御装置320は、第1移動体3が備える第1投影装置310による画像投影を制御するものであり、通信アンテナ329を介して禁止信号SG21の送受信を行う禁止送信部321及び禁止受信部322を備えている。また、第1投影制御装置320は、通信アンテナ329を介して許可信号SG22の送受信を行う許可送信部323及び許可受信部324も備えている。更に、第1投影制御装置320は、制御部325、測位部326、記憶部327、及び検出部328を備えている。
【0095】
第2投影制御装置420は、第2移動体4が備える第2投影装置410による画像投影を制御するものであり、通信アンテナ429を介して禁止信号SG21の送受信を行う禁止送信部421及び禁止受信部422を備えている。また、第2投影制御装置420は、通信アンテナ429を介して許可信号SG22の送受信を行う許可送信部423及び許可受信部424も備えている。更に、第2投影制御装置420は、制御部425、測位部426、記憶部427、及び検出部428を備えている。
【0096】
尚、第1投影制御装置320が有する各構成要素と、第2投影制御装置420が有する各構成要素と、は互いに同等であるので、以下では、第1投影制御装置320の各構成要素を代表例として説明する。
【0097】
禁止送信部321は、第1移動体3の第1優先度が第2移動体4の第2優先度よりも高い場合に、画像投影を禁止する禁止信号SG21を第2移動体4に送信する。禁止受信部322は、第1移動体3に対して送信された禁止信号SG21を受信する。
【0098】
許可送信部323は、第1移動体3の第1優先度が第2移動体4の第2優先度よりも高い場合、第1画像G21の所定の投影時間に亘る投影の後に、画像投影を許可する許可信号SG22を第2移動体4に送信する。許可受信部324は、第1移動体3に対して送信された許可信号SG22を受信する。
【0099】
制御部325は、本実施例でも、第1移動体1に搭載されたナビゲーション装置に構築されており、通常のナビゲーション機能を果たす。その上で、検出部328において第1画像G21及び第2画像G22の重なりが将来生ずる可能性が発生していることを示す発生事象が検出された場合に、次のような投影制御を行う。即ち、制御部325は、第1移動体3が第2移動体4に対して有する通行の第1優先度に応じて第1投影装置310に第1画像G21を投影させる。
【0100】
また、制御部325は、禁止信号SG21や許可信号SG22の生成も行う。即ち、制御部325は、検出部328において上記の発生事象が検出され、且つ、第1優先度が第2優先度よりも高い場合に、第2移動体4に向けた禁止信号SG21を生成して禁止送信部321に送信させる。また、このような場合であっても、制御部325は、第1画像G21が所定の投影時間に亘って投影された後に、第2移動体4に向けた許可信号SG22を生成して許可送信部323に送信させる。
【0101】
また、制御部325は、第1優先度が第2優先度よりも低く、且つ禁止受信部322で禁止信号SG21が受信された場合に第1投影装置310による第1画像G21の投影を禁止する。また、制御部325は、第1優先度が第2優先度よりも低い場合であっても、許可受信部324で許可信号SG22が受信された場合には、第1投影装置310に第1画像を投影させる。
【0102】
ここで、制御部325による優先度の判断は、記憶部327に記憶される後述の地図データや不図示の前方カメラで撮影された撮影画像に基づいて行なわれる。即ち、制御部325は、撮影画像に写っている第2移動体4の像に基づいて第2移動体4の位置を求める。一方、地図データには、各道路について交通法規上の優先度が対応付けられている。制御部325は、第1移動体3の位置及び第2移動体4の位置で地図データを参照することで、第1移動体3が通行中の道路と第2移動体4が通行中の道路とのそれぞれの優先度を求める。制御部325は、このようにして求めた第1移動体3の第1優先度と第2移動体4の第2優先度とを比較することとなる。
【0103】
尚、優先度の判断は、このように地図データを参照する手法に限るものではなく、次のようなものであってもよい。即ち、第1移動体3が通行中で撮影画像に写っている道路R21と、第2移動体4を捉えた撮影画像に写っているその第2移動体4が通行中の道路R22と、のそれぞれの像を、交通法規に照らしわせることにより優先度を判断してもよい。
【0104】
このような判断の一例として次の例が挙げられる。例えば、
図6の例のように、第1移動体3が通行中の道路R21について、停止線S21や停止を指示する標識S22が撮影画像に写っている場合、交通法規上、第1移動体3の第1優先度が第2移動体4の第2優先度よりも低いと判断される。また、交差点CR21を、第2移動体4が通行中の道路R22のセンターラインが通過している様子が撮影画像に写っている場合にも、交通法規上、第1優先度が第2優先度よりも低いと判断される。これらの他にも、撮影画像に写っている各道路の幅員等に基づいて優先度を判断すること等も挙げられる。
【0105】
測位部326は、GNSSを用いて第1移動体1の位置を測定する。測位部326で測定された位置は、制御部325におけるナビゲーション機能や投影制御に用いられる。
【0106】
記憶部327は、制御部325でのナビゲーション機能や、上述した優先度判断を含む投影制御に用いられる地図データを記憶している。
【0107】
検出部328は、第1画像G11及び第2画像G12の重なりが将来生ずる可能性の発生事象を検出する。本実施例の検出部328による発生事象の検出手法は、上述した第1実施例の検出部126による検出手法と同等であるので重複説明を割愛する。
【0108】
以上に説明した第1投影制御装置320において以下に説明する投影制御方法が実行される。
【0109】
図8は、
図7に示されている第1投影制御装置において実行される投影制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0110】
この
図8のフローチャートで示される投影制御方法の処理は、制御部325が構築されているナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートし、通常のナビゲーション処理と並行して実行される。
【0111】
処理がスタートすると、制御部325が、測位部326で測定される第1移動体3の位置と記憶部327に記憶されている地図データとに基づいて、第1移動体3が、交差点CR21等の画像投影地点に接近しているか否かを判定する(ステップS201)。ここでの判定は、第1移動体3の位置の変化から、第1移動体3が画像投影地点に向かって進行しているか否かが判定される。更に、第1移動体3の位置と画像投影地点との距離から、第1移動体3が画像投影地点に所定程度以上に接近しているか否かが判定される。第1移動体3が画像投影地点に向かって進行し、且つ、所定程度以上に接近している場合に、制御部325は、第1移動体3が画像投影地点に接近していると判定する。画像投影地点に接近していない場合(ステップS201のNo判定)、ステップS201の処理が繰り返され得る。
【0112】
画像投影地点に接近している場合(ステップS201のYes判定)、検出部328が、次のような検出を行う(ステップS202)。即ち、検出部328は、撮影画像中に、画像投影地点に投影中の第2画像G12、あるいは画像投影地点に接近中で第2画像G12を投影可能な第2移動体2が写っているか否かに基づいて、重なりが将来生ずる可能性の発生事象の検出を行う。撮影画像中にこれらの像が写っている場合、検出部328は、重なりが将来生ずる可能性の発生事象としてそれらの像を検出する。このステップS202の処理が、第1画像G21及び第2画像G22の重なりが将来生ずる可能性が発生していることを示す発生事象を検出する工程に当る。尚、この工程は、将来生ずる可能性ではなく第1画像G21及び第2画像G22の重なりが現に発生していることを示す発生事象を検出する工程であってもよい。
【0113】
重なりが将来生ずる可能性の発生事象が検出された場合(ステップS202のYes判定)、制御部325は、自移動体たる第1移動体3の第1優先度が、他移動体たる第2移動体4の第2優先度よりも高いか否かを判定する(ステップS203)。ここでの優先度判断は、上述したように撮影画像と地図データとを用いて行われる。
【0114】
第1優先度が第2優先度よりも低い、即ち他移動体たる第2移動体4に通行の優先権がある場合(ステップS203のYes判定)、制御部325は、次のような判定を行う(ステップS204)。即ち、ステップS204では、制御部325は、第2移動体4から第1移動体3に向けて送信された禁止信号SG21が禁止受信部322で受信されているか否かを判定する。
【0115】
禁止受信部322で受信された禁止信号SG21が自移動体たる第1移動体3に向けたものか否かは、第1実施例における制御信号SG11の場合と同様に、ヘッダーの記載内容に基づいて判断される。即ち、本実施例では、禁止信号SG21のヘッダーに、通信相手の移動体の位置が記載される。制御部325は、禁止受信部322で受信された禁止信号SG21のヘッダーに記載された位置が、第1移動体3の位置と所定程度に一致する場合に、この禁止信号SG21が第1移動体3に向けたものであると判断する。
【0116】
尚、この禁止信号SG21についても、第1実施例における制御信号SG11の場合と同様に、制御部325での判断手法はこれに限るものではなく、次のようなものであってもよい。
【0117】
即ち、禁止信号SG21のヘッダーに、通信相手の移動体の進行方向及び画像投影地点の位置情報や、通信相手の移動体の車体ナンバーを記載することとしてもよい。そして、制御部325が、これらのヘッダーの記載内容に基づいて禁止信号S21が第1移動体3に向けたものであるか否かを判定することとしてもよい。
【0118】
禁止信号SG21が受信されている場合(ステップS204のYes判定)、制御部3
25は、更に次のような判定を行う(ステップS205)。即ち、ステップS205では、制御部325は、第2移動体4から第1移動体3に向けて送信された許可信号SG22が許可受信部324で受信されているか否かを判定する。
【0119】
本実施例では、この許可信号SG22が第1移動体3に向けたものであるか否かが、上記の禁止信号SG21と同様に、ヘッダーに記載された移動体の位置に基づいて判断される。尚、この判断手法もこれに限るものではなく、ヘッダーに記載された移動体の進行方向及び画像投影地点の位置情報や、移動体の車体ナンバーに基づくものであってもよい。
【0120】
そして、許可信号SG22が受信されていない場合(ステップS204のNo判定)、制御部325は、第1投影装置310に第1画像G21を投影させない(ステップS206)。
【0121】
他方、禁止信号SG21が受信されていない場合(ステップS204のNo判定)や、許可信号SG22が受信されている場合(ステップS204のYes判定)には、制御部325は、第1投影装置310に第1画像G21を投影させる(ステップS207)。
【0122】
また、ステップS203において、第1優先度が第2優先度よりも高い、即ち自移動体たる第1移動体3に通行の優先権があると判定された場合(ステップS203のNo判定)、制御部325は、次のような処理を行う(ステップS208)。即ち、ステップS208では、制御部325は、第2移動体4に向けた禁止信号SG21を生成し、禁止送信部321にその禁止信号SG21を送信させる。
【0123】
本実施例では、上述したように禁止信号SG21のヘッダーに通信相手の移動体の位置を記載することでその通信相手の移動体が特定されるようになっている。制御部325は、第1実施例における制御信号SG11の場合と同様に、ステップS202での判定に用いた撮影画像中の第2画像G12や第2移動体2の像に基づいて第2移動体2の位置を求める。そして、制御部325は、その求めた位置を禁止信号SG21のヘッダーに記載し、第2移動体4の制御部425は、そのヘッダーの記載内容に基づいて禁止信号SG21が第2移動体4に向けられたものであるか否かの判断を行う。
【0124】
尚、禁止信号SG21の生成時における第2移動体4の特定は、上述したようにこれに限るものではなく、禁止信号SG21のヘッダーに、第2移動体4の進行方向及び画像投影地点の位置情報や、第2移動体4の車体ナンバーを記載することとしてもよい。これらの情報も、ステップS202での判定に用いた撮影画像中の第2画像G12や第2移動体2の像に基づいて求められることとなる。
【0125】
ステップS208の後、制御部325は、第1投影装置310に第1画像G21を投影させ(ステップS209)、投影開始から所定時間が経過したか否かの判定を行う(ステップS210)。所定時間が未だ経過していない場合(ステップS210のNo判定)、ステップS209での画像投影が継続される。
【0126】
他方、所定時間が経過した場合(ステップS210のYes判定)、制御部325は、第1投影装置310に画像投影を停止させる(ステップS211)。そして、ステップS211では、制御部325は、第2移動体4に向けた許可信号SG22を生成して許可送信部323にその許可信号SG22を送信させる。
【0127】
本実施例では、この許可信号SG22のヘッダーに、禁止信号SG21の場合と同様の手法によって求めた第2移動体4の位置を記載することとなっている。また、この許可信号SG22の生成時における第2移動体4の特定も、禁止信号SG21の場合と同様に、
禁止信号SG21のヘッダーに、第2移動体4の進行方向及び画像投影地点の位置情報や、第2移動体4の車体ナンバーを記載することとしてもよい。
【0128】
また、ステップS202において、重なりが将来生ずる可能性の発生事象が検出されなかった場合(ステップS202のNo判定)、制御部325は、第1投影装置310に第1画像G21を投影させる(ステップS212)。
【0129】
ステップS206、ステップS207、ステップS211、及びステップS212の何れかの処理を経た後、制御部325は、第1移動体3が、画像投影地点たる交差点CR21等を通過したか否かを判定する(ステップS213)。
【0130】
第1移動体3が画像投影地点を通過していない場合(ステップS213のNo判定)、処理がステップS202に戻って、以降の処理が繰り返される。他方、第1移動体3が画像投影地点を通過した場合(ステップS213のYes判定)、その時点で画像投影中であったならば制御部325が第1投影装置310に投影を終了させる(ステップS214)。
【0131】
投影の終了後は、処理がステップS201に戻って、以降の処理が繰り返される。この
図8のフローチャートで表される投影制御方法の処理は、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0132】
この
図8のフローチャートで表される投影制御方法を、コンピュータにより実行させる投影制御プログラムが、カーナビゲーション装置に内蔵の記憶媒体や、カーナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置に内蔵の記憶媒体に記憶されている。また、この投影制御プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置に内蔵の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバーに設置された記憶媒体であってもよい。
【0133】
以上に説明した第2実施例の第1投影制御装置320、投影制御方法、投影制御プログラム、及び記憶媒体によれば、上記の発生事象が検出された場合に、第1移動体3が第2移動体4に対して有する通行の第1優先度に応じた投影制御が行われる。これにより、他移動体たる第2移動体4からの第2画像G22との重なりを抑えて、自移動体たる第1移動体3の第1投影装置310に第1画像G21を投影させることができる。
【0134】
ここで、本実施例では、検出部328は、第1画像G21の画像投影地点を通過する可能性のある移動体を第2移動体4として検出することで、発生事象を検出する。
【0135】
これにより、画像投影地点を通過する可能性のある移動体を検出するという簡単な検出処理により、検出部328での処理負担を抑えて上記の発生事象を効果的に検出することができる。
【0136】
また、本実施例では、第1移動体3の第1優先度が、第2移動体4の第2優先度よりも高い場合に、画像投影を禁止する禁止信号SG21を第2移動体4に送信する禁止送信部321を備えている。
【0137】
禁止信号SG21によって第2移動体4での画像投影を禁止することにより、画像の重なりを一層抑えることができる。
【0138】
また、本実施例では、第1移動体3に対して送信された禁止信号SG21を受信する禁止受信部322を備えている。そして、制御部325は、第1移動体3の第1優先度が第
2移動体4の第2優先度よりも低く、且つ禁止受信部322で禁止信号SG21が受信された場合に第1画像G21の投影を禁止する。
【0139】
第1移動体3の第1優先度と禁止信号SG21の受信とを組み合わせることで、画像の重なりを抑えつつも第1画像G21の投影機会を増やすことができる。
【0140】
また、本実施例では、第1優先度が第2優先度よりも高い場合、制御部325が第1画像G21を所定の投影時間に亘って投影させた後に、許可信号SG22を第2移動体4に送信する許可送信部323を備えている。
【0141】
第1移動体3での所定の投影時間に亘る画像投影の後に、許可信号SG22によって第2移動体4での画像投影を許可することにより、画像の重なりを抑えつつも、第2移動体4にも第2画像G22の投影機会を効果的に与えることができる。
【0142】
また、本実施例では、許可信号SG22を受信する許可受信部324を備えている。そして、制御部325は、第1優先度が第2優先度よりも低い場合であっても、許可受信部324で許可信号SG22が受信された場合には第1画像G21を投影させる。
【0143】
このように第1移動体3の第1優先度と許可信号SG22とを組み合わせることで、画像の重なりを抑えつつも第1画像G22の投影機会を増やすことができる。
【0144】
尚、本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0145】
例えば、上述した第1及び第2実施例では、乗用車としての第1移動体1,3及び第2移動体2,4が例示されている。しかしながら、移動体は、乗用車に限るものではなく、二輪車や、トラックやバス等の大型車両等であってもよく、移動体の具体的な種類を問うものではない。
【0146】
また、上述した第1及び第2実施例では、移動体に搭載されたナビゲーション装置に構築された制御部123,223,325,425を備える第1投影制御装置120,320及び第2投影制御装置220,420が例示されている。しかしながら、投影制御装置は、これらに限るものではなく、ナビゲーション装置とは別体に設けられたコンピュータに制御部が構築されるもの等であってもよい。