(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075646
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】点灯装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20230524BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20230524BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20230524BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20230524BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20230524BHJP
H05B 45/355 20200101ALI20230524BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20230524BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20230524BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20230524BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B47/105
H05B47/17
H05B45/20
H05B45/375
H05B45/355
H05B45/325
H05B47/18
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188678
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩士
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA07
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA37
3K273TA40
3K273TA46
3K273TA52
3K273TA54
3K273UA18
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】調光率を変えるときのフェードをより適切に制御可能な点灯装置及び照明装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る点灯装置は、光源を点灯させる点灯回路と、外部から入力される信号に応じて点灯回路を制御する制御部と、を備え、フェード時間に対する光源の調光率の変化率であるフェード傾きを変更前後での調光率の差によらずに一定とするフェード傾き固定モード、及び、変更前後での調光率の差によらずにフェード時間が一定となるようにフェード傾きを可変とするフェード傾き可変モードの何れか一方を選択可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を点灯させる点灯回路と、
外部から入力される信号に応じて前記点灯回路を制御する制御部と、
を備え、
フェード時間に対する前記光源の調光率の変化率であるフェード傾きを変更前後での調光率の差によらずに一定とするフェード傾き固定モード、及び、変更前後での調光率の差によらずにフェード時間が一定となるように前記フェード傾きを可変とするフェード傾き可変モードの何れか一方を選択可能に構成されていることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部から入力される信号に応じて、前記フェード傾き固定モード及び前記フェード傾き可変モードの何れか一方を選択することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記外部は、前記光源の調光率を指定する信号を前記制御部に送る調光器であり、
前記調光器から前記制御部に送られる信号は、前記フェード傾き固定モード及び前記フェード傾き可変モードの何れか一方を指定する信号を含むことを特徴とする請求項2に記載の点灯装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備え、
前記光源は、第1光源と第2光源とを含むことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記フェード傾き可変モードを選択し、フェード時間設定値の経過時に目標調光率に達するように前記第1光源及び前記第2光源のそれぞれの調光率を制御することを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記フェード傾き可変モードを選択して調光率を変更している時に前記目標調光率が更新された場合、前記目標調光率の更新時点から開始する新たなフェード時間設定値の経過時に更新後の目標調光率に達するように前記第1光源及び前記第2光源のそれぞれの調光率を制御することを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、調光可能な照明器具の調光率を変化させるために、フェード機能を利用する調光制御装置が開示されている。フェード機能によれば、調光率が一定時間をかけて所望の調光率に変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェード機能を実現する手法として、次の2つの手法が考えられる。1つ目の手法は、フェード時間に対する光源の調光率の変化率であるフェード傾きを変更前後での調光率の差によらずに一定とするものであり、ここでは、「フェード傾き固定」と称される。2つ目の手法は、変更前後での調光率の差によらずにフェード時間が一定となるようにフェード傾きを可変とするものであり、ここでは、「フェード傾き可変」と称される。従来の点灯装置は、これら2つの手法の一方のみを利用可能に構成されている。
【0005】
下記に例示されるように、フェード傾き固定とフェード傾き可変には、それぞれ、メリットとデメリットがある。例えば、フェード時間が長い設定の場合、フェード傾き可変は、フェード傾き固定と比べて調光率の調整の精度が低いといったデメリットがある。このため、複数の照明器具を調光器で一括制御する際にフェード時間が長い設定の場合、フェード傾き可変が用いられると、照明器具間の誤差に起因して調光率の制御にばらつきが生じる恐れがある。その一方で、例えば、色温度の異なる2種類の光源を組み合わせて使用する調光調色機能付きの照明器具に対してフェード傾き固定が用いられると、フェード傾き可変が用いられる場合と比べて、調光率の変更中に色温度及び調光率の比率が崩れてしまう恐れがある。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、調光率を変えるときのフェードをより適切に制御可能な点灯装置及び照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る点灯装置は、光源を点灯させる点灯回路と、外部から入力される信号に応じて点灯回路を制御する制御部と、を備え、フェード時間に対する光源の調光率の変化率であるフェード傾きを変更前後での調光率の差によらずに一定とするフェード傾き固定モード、及び、変更前後での調光率の差によらずにフェード時間が一定となるようにフェード傾きを可変とするフェード傾き可変モードの何れか一方を選択可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る点灯装置ではフェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードの何れか一方を選択可能である。このため、調光率を変えるときのフェードをより適切に制御できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る照明装置の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るフェード傾き固定モードの動作を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るフェード傾き可変モードの動作を示す図である。
【
図4】2種類の光源を有する照明装置におけるフェード傾き固定モードによる動作を示す図である。
【
図5】調光調色機能を有する照明装置における理想の動作を示す図である。
【
図6】2種類の光源を有する照明装置におけるフェード傾き可変モードによる動作を示す図である。
【
図7】2種類の光源を有する照明装置におけるフェード傾き可変モードによる調光率の変更中に新しい目標調光率が設定された場合の動作を示す図である。
【
図8】実施の形態2に係る照明装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態に係る点灯装置及び照明装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の構成を示す図である。照明装置100は、点灯装置2と、2つの光源10及び11と、調光器9とを備える。なお、光源10及び11は、それぞれ、本開示に係る「第1光源」及び「第2光源」の一例に相当する。
【0012】
光源10は、例えば、1又は複数の発光ダイオード(LED)によって構成されている。光源11は、例えば、光源10とは色温度の異なる1又は複数のLEDによって構成されている。光源10及び光源11のそれぞれが複数のLEDによって構成される例では、光源10及び光源11のそれぞれを構成する複数のLEDは、直列若しくは並列に接続されてもよいし、或いは、直列及び並列を組み合わせて接続されてもよい。
【0013】
光源10は、例えば5000Kの色温度を有するLEDで統一され、光源11は、例えば3000Kの色温度を有するLEDで統一されている。すなわち、照明装置100は、色温度の異なる2種類の光源10及び光源11を有する調光調色機能付きの照明器具を備えている。このような照明装置100によれば、光源10及び11の明るさの調整により、3000Kから5000Kの色温度の合成光を作り出すことができる。なお、照明装置100は、光源10及び11と点灯装置2の組を1組備えているが、当該組を複数備えていてもよい。
【0014】
点灯装置2は、点灯回路3と、当該点灯回路3を制御する制御回路8とを備える。なお、制御回路8は、本開示に係る「制御部」の一例に相当する。
【0015】
点灯回路3は、商用電源1に接続されている。商用電源1は、交流電源、又は蓄電池等の直流電源である。点灯回路3は、商用電源1からの交流電力又は直流電力を変換し、光源10及び光源11に最適な電力を供給する。その結果、光源10及び光源11の一方又は双方を点灯させることができる。点灯回路3は、制御回路8によって制御される。点灯回路3は、例えば、それぞれ1又は複数の力率改善回路(PFC))回路及び降圧回路(バックコンバータ)回路によって構成されている。
【0016】
制御回路8は、例えば、1又は複数のマイクロコンピュータ(マイコン)又はDSP(Digital Signal Processor)によって構成される。
図1には、制御回路8の一例が示されている。
図1において、制御回路8は、互いに接続された駆動部4、処理部5、記憶部6、及びA/D変換部7を備える。
【0017】
駆動部4は、点灯回路3を駆動するための駆動信号を出力する。当該駆動信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。A/D変換部7は、点灯回路3に接続されており、光源10に流れる電流又は光源10の電圧をデジタル値に変換する。同様に、A/D変換部7は、光源11に流れる電流又は光源11の電圧をデジタル値に変換する。これらのデジタル値は処理部5に入力される。処理部5は、これらのデジタル値を用いて演算処理を行う。
【0018】
処理部5は、点灯装置2の外部からの信号を受け取り、当該外部からの信号に応じて駆動部4が出力する駆動信号を制御する。ここでいう外部の一例は、調光器9である。調光器9は、処理部5に信号を送る。調光器9からの信号は、無線又は有線で送られる。調光器9からの信号としては、例えばPWM信号又はUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)信号が用いられる。
【0019】
より具体的には、調光器9は、目標調光率を指定する信号を処理部5に送る。処理部5を有する制御回路8は、光源10及び11のそれぞれの調光率が調光器9から受け取った目標調光率となるように点灯回路3を制御する。
【0020】
さらに、点灯装置2は、目標調光率に向けて調光率を徐々に変化させるフェード機能を有する。より詳細には、フェード機能は、目標調光率に向けて調光率を徐々に増加させるフェードイン機能と、目標調光率に向けて調光率を徐々に減少させるフェードアウト機能とを含む。
【0021】
そのうえで、本実施形態の制御回路8は、次の「フェード傾き固定モード」及び「フェード傾き可変モード」のそれぞれを実行可能であり、かつ、これらのモードの何れか一方を選択可能に構成されている。以下、フェード時間に対する光源の調光率の変化率のことが「フェード傾き」と称される。フェード時間は、調光率の変化開始から調光率の変化終了までの時間のことである。フェード傾き固定モードは、フェード傾きを変更前後での調光率の差によらずに一定とするモードである。一方、フェード傾き可変モードは、変更前後での調光率の差によらずにフェード時間が一定となるようにフェード傾きを可変とするモードである。
【0022】
図2は、実施の形態1に係るフェード傾き固定モードの動作を示す図である。
図2は、調光率と時間との関係を示している。
図2は、一例として、フェード時間の設定値であるフェード時間設定値が2秒の場合の動作を示している。フェード時間は、例えば、調光器9を操作する人によって設定される。
【0023】
フェード時間設定値が例えば2秒の場合、フェード傾き固定モードによれば、2秒、すなわち2000msであるフェード時間設定値の経過中に調光率が0%から100%になるように、フェード傾きΔDIM/Δtが特定される。次の式(1)は、フェード傾き固定モード時のフェード傾きΔDIM/Δtの計算式である。式(1)の分子の100%は固定値である。なお、フェード傾きΔDIM/Δtは、調光率を増加させる際には正の値をとり、調光率を減少させる際には負の値をとる。
【数1】
【0024】
式(1)によって表されるように、フェード傾き固定モードにおけるフェード傾きΔDIM/Δtは、調光率が0%から100%にまで変化するのに要する時間であるフェード時間設定値に応じた値をとる。したがって、
図2に表されるように、フェード傾き固定モードは、変更前の調光率と変更後の調光率との差が小さいほど、調光率が速く変わるという特徴を有する。具体的には、フェード時間設定値が2秒の例では、調光率を0%から100%に変更するときは目標調光率に達するまでに2秒かかるが、調光率を50%から100%に変更するときは目標値に達するまでにかかるフェード時間は1秒となる。
【0025】
次に、
図3は、実施の形態1に係るフェード傾き可変モードの動作を示す図である。
図3は、調光率と時間との関係を示している。
図3は、一例として、
図2と同様に、フェード時間設定値が2秒の場合の動作を示している。
【0026】
図3に表されるように、フェード傾き可変モードによれば、フェード傾き固定モードとは異なり、変更前後での調光率の差によらず、フェード時間設定値通りの時間で調光率が変化していく。すなわち、調光率をどの値から100%に変えたとしても、フェード時間設定値が例えば2秒であれば調光率の変更にかかるフェード時間が2秒となるように、フェード傾きΔDIM/Δtが変更される。
【0027】
具体的には、フェード時間設定値が2秒の例では、調光率を0%から100%に変更するときは目標調光率に達するまでに2秒かかり、調光率を50%から100%に変更するときにも2秒かかる。次の式(2)は、フェード傾き可変モード時のフェード傾きΔDIM/Δtの計算式である。また、フェード時間設定値が2秒であって調光率を50%から100%に変える場合のフェード傾きΔDIM/Δtの算出例は下記の通りである。なお、調光率の変更前後での調光率変化量は、調光率を増加させる際には正の値をとり、調光率を減少させる際には負の値をとる。そして、フェード傾きΔDIM/Δtの符号は、調光率変化量の符号と等しくなる。
【数2】
【0028】
図1に示す制御回路8の記憶部6には、フェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードのそれぞれのフェード傾きΔDIM/Δtの計算式である上記式(1)及び(2)の双方が記憶されている。
【0029】
上述のように、本実施形態の制御回路8は、「フェード傾き固定モード」及び「フェード傾き可変モード」の何れか一方を選択可能に構成されている。具体的には、本実施形態の制御回路8は、外部から入力される信号に応じて、フェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードの何れか一方を選択する。換言すると、制御回路8は、外部から入力される信号に応じて、2種類のフェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードを使い分けるように構成されている。
【0030】
ここでいう外部の一例は、調光器9である。したがって、制御回路8は、調光器9からの信号に従って上記2種類のモードの何れか一方を選択する。より詳細には、調光器9から制御回路8の処理部5に送られる信号は、フェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードの何れか一方を指定する信号を含む。当該何れか一方を指定する信号は、上述の調光率を指定する信号と同時に送られてもよいし、又は、調光率を指定する信号とは別に送られてもよい。なお、調光器9から処理部5に送信される情報には、フェード時間設定値及び目標調光率が含まれてもよい。
【0031】
制御回路8の処理部5は、上記2種類のモードの何れか一方を指定する信号を受け取った場合、当該信号に対応する式(1)又は(2)に従って、フェード傾きΔDIM/Δtを算出する。そして、制御回路8は、算出されたフェード傾きΔDIM/Δtに従う変化率で光源10及び11のそれぞれの調光率が目標調光率となるように点灯回路3を制御する。
【0032】
なお、上記2種類のモードの何れか一方の選択は、調光器9からの信号に基づく上述の例に代え、例えば、式(1)及び(2)が記憶部6に保存される際に行われてもよい。
【0033】
既に説明したように、本実施形態の照明装置100は、色温度の異なる2種類の光源10及び11を有し、点灯装置2によってこれらの光源10及び11を制御することにより調光調色機能を実現できる。具体的には、点灯装置2によれば、2種類の光源10及び11の明るさを調整することで、色温度が3000Kから5000Kまでの範囲内で制御され、かつ、調光率が0%から100%までの範囲内で制御される。
【0034】
照明装置100においてフェード機能を利用する際、フェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードによる動作には、次に
図4から
図6を例示して説明されるような特徴がある。
図4から
図6に示す例では、フェード時間設定値は一例として2秒であるものとする。また、
図4から
図6に示す例では、2種類の光源10及び11による合成光の色温度及び調光率が、一例として色温度4000Kかつ調光率50%の状態から色温度5000Kかつ調光率100%の状態になるように同時に変更されている。この変更のために、色温度5000Kの光源10の調光率が25%から100%に変更され、かつ、色温度3000Kの光源11の調光率が25%から0%に変更されている。
【0035】
まず、
図4は、2種類の光源10及び11を有する照明装置100におけるフェード傾き固定モードによる動作を示す図である。なお、光源10及び光源11の単体時の調光率は0%から100%である。ここで、合成光の調光率は、光源10及び光源11の光を足し合わせて得られる0%から100%の範囲とする。例えば、調光率60%の光源10の光と、調光率60%の光源11の光とを足し合わせることによって、調光率120%の合成光を得るという動作はなく、光源10の調光率が60%であるなら、光源11の調光率は最小の0%から最大の40%の範囲内で動作する。また、合成光の色温度は光源10の5000Kと光源11の3000Kの比率で決まる。例えば、光源10の調光率が60%で光源11の調光率が40%の場合には、合成光の色温度は、5000Kと0.6の積と、3000Kと0.4の積との和である4200Kとなる。
【0036】
図4に示すように、変更前の光源10及び11の調光率は共に25%であり、合成光の色温度及び調光率はそれぞれ4000K及び50%である。この状態から光源10の調光率を100%に、光源11の調光率を0%に変更する場合、フェード傾きΔDIM/Δtは固定であるため、目標調光率に達する時間が光源10と光源11との間で異なるものとなる。具体的には、
図4に示すように、光源10は1.5秒要し、光源11は0.5秒要する。このように、光源10及び11の間で目標調光率に達する時間が異なると、変化途中の合成光の色温度及び調光率の比率が崩れてしまう。その結果、意図した色温度と異なる色合いが見えてしまうといった問題が生じ得る。
【0037】
次に、
図5は、調光調色機能を有する照明装置100における理想の動作を示す図である。
図5に表されるように、理想の動作は、合成光の色温度及び調光率が色温度4000Kかつ調光率50%の状態から色温度5000Kかつ調光率100%の状態に1秒のフェード時間で切り替わる動作である。付け加えると、
図5に示すように、光源10及び光源11が同時に目標調光率に達することが理想である。しかしながら、
図4に示すフェード傾き固定モードの例では、このような理想通りの動作は得られない。
【0038】
次に、
図6は、2種類の光源10及び11を有する照明装置100におけるフェード傾き可変モードによる動作を示す図である。
図5に示す理想の動作に近い動作は、フェード傾き可変モードを利用して実現される。
図6を参照して説明される例におけるフェード時間設定値は、
図4に示す例と同じ2秒である。
【0039】
具体的には、フェード傾き可変モードが選択された場合、制御回路8は、フェード時間設定値の経過時に目標調光率に達するように光源10及び11のそれぞれの調光率を制御する。これにより、
図6に示すように、フェード傾き可変モードによれば、色温度5000Kの光源10の調光率は25%から100%にまで2秒かけて変化し、色温度3000Kの光源11の調光率は25%から0%にまで同様に2秒かけて変化する。その結果、合成光は、色温度4000Kかつ調光率50%の状態から色温度5000Kかつ調光率100%の状態に2秒かけて変化する。このようにフェード傾き可変モードを選択することにより、変化途中の合成光の色温度及び調光率も意図したものとなる。
【0040】
次に、
図7を参照して、フェード傾き可変モードに関する動作が補足される。
図7は、2種類の光源10及び11を有する照明装置100におけるフェード傾き可変モードによる調光率の変更中に新しい目標調光率が設定された場合の動作を示す図である。制御回路8は、フェード傾き可変モードを選択して調光率を変更している時に目標調光率が更新された場合、目標調光率の更新時点から開始する新たなフェード時間設定値の経過時に更新後の目標調光率に達するように光源10及び光源11のそれぞれの調光率を制御する。
図7に示す一例では、フェード時間設定値は3秒とされ、調光率の変更開始から1秒経過後に新たな目標調光率が設定されている。この場合、
図7に示すように、制御回路8は、当該新たな目標調光率による目標調光率の更新時点から開始する3秒の新たなフェード時間設定値の経過時に当該新たな目標調光率に達するように光源10及び光源11のそれぞれの調光率を制御する。
【0041】
以上説明した調光調色機能を有する照明装置100の場合、
図4から
図6を参照して説明された条件下では、フェード傾き可変モードの方がフェード傾き固定モードよりも適しているといえる。すなわち、フェード傾き可変モードによれば、調光調色を行うような場合に、変化途中の合成光の色温度及び調光率も意図したものとすることができる。ただし、このようなフェード傾き可変モードのメリットは、必ずしも常に得られるものとはいえない。具体的には、例えば、調光率変化量が小さい場合、又はフェード時間設定値が長い場合には、調光率の調整の精度が低下する。
【0042】
その一方で、フェード傾き固定モードについて次のことが言える。すなわち、フェード傾き固定モードによれば、既に説明されたように、調光調色を行うような場合には、変化途中の合成光の色温度及び調光率の変化は意図していないものとなり得る。しかしながら、最も多く普及している単色の照明器具で使用される場合であれば、フェード傾き固定モードによって調光率の切り替えを素早く行うことができる。また、フェード傾き固定モードは、フェード時間が長い設定の際に、フェード傾き可変モードと比べて、調光率の調整の精度が良いというメリットを有する。さらに、複数の照明器具を調光器で一括制御する際に、照明器具間の誤差に起因する調光率のばらつきを抑えることができる。
【0043】
上述のように、フェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードのそれぞれにメリットとデメリットがある。そこで、本実施形態の点灯装置2は、フェード傾き固定モード及びフェード傾き可変モードの何れか一方を選択可能に構成されている。これにより、フェード傾き固定及びフェード傾き可変のそれぞれが有するデメリットの影響を受けにくくしつつ、換言すると、当該2種類のモードのそれぞれのメリットを有効に利用しつつフェード機能を提供可能な点灯装置2及び照明装置100が得られる。その結果、調光率を変えるときのフェードをより適切に制御することが可能となる。
【0044】
より詳細には、本実施形態によれば、点灯装置2は、フェード傾き固定モード時及びフェード傾き可変モード時のそれぞれのフェード傾きΔDIM/Δtの双方の計算式を有している。このことは、調光率を変化させるときのフェード機能を最適に制御できることにつながる。換言すると、フェード機能を利用した調光率の制御の自由度を高めることができる。例えば、複数の照明器具を調光器で一括制御する際には、フェード傾き固定モードを利用して調光率を制御することによって、フェード時間が長くても照明器具間の誤差に起因する調光率のばらつきを抑えることができる。また、例えば、照明装置100のように調光調色機能付きの照明器具を備える場合には、フェード傾き可変モードを利用することによって、変化途中の合成光の色温度及び調光率の比率が崩れることなく調光率を制御することが可能となる。
【0045】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る照明装置200の構成を示す図である。照明装置200は、下記に説明される点において、実施の形態1と相違している。
【0046】
具体的には、照明装置200は、点灯装置20と、光源10と、調光器9とを備える。すなわち、照明装置200は、点灯装置20に対して1つの光源10のみを備える。点灯装置20は、点灯回路30と制御回路80とを備える。点灯回路30は、光源10に最適な電力を供給するように構成されている。点灯回路30は制御回路80によって制御される。このように、照明装置200は、1種類の光源10を有する単色の照明器具を備えている。そして、照明装置200が備える点灯装置20は、実施の形態1と同様に、「フェード傾き固定モード」及び「フェード傾き可変モード」の何れか一方を選択可能に構成されている。
【符号の説明】
【0047】
1 商用電源、2 点灯装置、3 点灯回路、4 駆動部、5 処理部、6 記憶部、7 A/D変換部、8 制御回路、9 調光器、10 光源、11 光源、20 点灯装置、30 点灯回路、80 制御回路、100 照明装置、200 照明装置