(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075671
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01P 1/30 20060101AFI20230524BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H01P1/30 Z
H01Q23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188720
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 佳英
(72)【発明者】
【氏名】山元 泉太郎
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021AB06
5J021BA05
5J021JA08
(57)【要約】
【課題】放熱性を向上することができるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、通信部と、制御部と、連結部とを備える。通信部は、第1配線基板と、アンテナ素子と、ビームフォーミングICとを有する。第1配線基板は、第1面と第1面の反対側に位置する第2面とを主面として有する。アンテナ素子は、第1面に位置する。ビームフォーミングICは、第2面に位置する。制御部は、第2配線基板を有する。第1配線基板と第2配線基板とは、連結部で連結されている。連結部は、第2面の縁部と、第2配線基板の主面の縁部との間を連結するように位置している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、制御部と、連結部と
を備え、
前記通信部は、第1配線基板と、アンテナ素子と、ビームフォーミングICとを有し、
前記第1配線基板は、第1面と該第1面の反対側に位置する第2面とを主面として有し、
前記アンテナ素子は、前記第1面に位置し、
前記ビームフォーミングICは、前記第2面に位置し、
前記制御部は、第2配線基板を有し、
前記第1配線基板と前記第2配線基板とは、前記連結部で連結されており、
前記連結部は、前記第2面の縁部と、前記第2配線基板の主面の縁部との間を連結するように位置している
アンテナ装置。
【請求項2】
放熱部を備え、
前記放熱部は、平坦部を有し、
前記平坦部は、前記第1面側から平面視したときに前記ビームフォーミングICと重なるように位置し、
前記平坦部と前記第2面との間隔は、前記連結部の長さ以下の長さを有する
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記第2面に位置するフィルタを備え、
前記フィルタは、前記ビームフォーミングICから離れて位置し、
前記ビームフォーミングICと前記平坦部との間に位置する放熱部材を有し、
前記放熱部材は、前記第2面に沿う方向であって、前記ビームフォーミングICの面上に位置している
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記ビームフォーミングICから離れて位置している
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2配線基板は、前記連結部側に位置する第3面と該第3面の反対側に位置する第4面とを有し、
前記放熱部は、前記通信部側から前記第4面側にわたり連続して位置している
請求項2~4のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1配線基板は、前記第1面を有するように配置された有機樹脂製の第1基板部と、前記第2面を有するように配置されたセラミック製の第2基板部とを有し、
前記第2基板部は、フィルタを内蔵している
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1配線基板、前記連結部および前記第2配線基板は、断面視でU字状に位置し、
前記平坦部は、前記ビームフォーミングICと前記第2配線基板とを隔てるように位置する
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記平坦部は、前記第1面側から平面視したときに前記ビームフォーミングICの全面と重なるように位置する
請求項2~6のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナ基板と制御基板を積層させたアンテナ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアンテナ装置では、依然として放熱性を向上するという点でさらなる改善の余地があった。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、放熱性を向上することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るアンテナ装置は、通信部と、制御部と、連結部とを備える。前記通信部は、第1配線基板と、アンテナ素子と、ビームフォーミングICとを有する。前記第1配線基板は、第1面と該第1面の反対側に位置する第2面とを主面として有する。前記アンテナ素子は、前記第1面に位置する。前記ビームフォーミングICは、前記第2面に位置する。前記制御部は、第2配線基板を有する。前記第1配線基板と前記第2配線基板とは、前記連結部で連結されている。前記連結部は、前記第2面の縁部と、前記第2配線基板の主面の縁部との間を連結するように位置している。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様のアンテナ装置によれば、放熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態の変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の開示するアンテナ装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るアンテナ装置の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、アンテナ装置1は、通信部10と、制御部20と、連結部30と、放熱部40とを備える。
【0012】
通信部10は、第1配線基板11を有する。第1配線基板11は、第1面111と第2面112とを主面として有する。第1面111は、アンテナ素子12が位置するおもて面である。第2面112は、第1面111の反対側に位置する裏面である。ここで、主面とは、第1配線基板11が例えば6面体を成し、当該主面とつながった側面または端面に相当する4つの面を有する形状である場合に、側面または端面に相当する4つの面よりも面積が大きい面のことである。
【0013】
制御部20は、第2配線基板21を有する。第2配線基板21は、第3面211と第4面212とを有する。第3面211は、第2配線基板21の主面であり、連結部30側に位置している。第4面212は、第3面211の反対側に位置している。また、第2配線基板21は、第3面211と第4面212とを接続する端面213,214を有している。
【0014】
ここで、第1配線基板11と第2配線基板21とは連結部30を介して端の方で連結されて配置されている。また、ビームフォーミングIC13は、第1配線基板11の第2面112に位置する。
【0015】
このような構成によれば、第1配線基板11と第2配線基板21とは連結部30を介して連結された構造であっても、第1配線基板11の第2面112に配置されたビームフォーミングIC13が第2配線基板21側から囲われない(囲まれない)状態となるため、ビームフォーミングIC13の放熱性を高めることができる。
【0016】
第1配線基板11は、有機樹脂を絶縁基材として有するものでもよい。かかる絶縁基材は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリフェニレン樹脂であってもよい。また、絶縁基材は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)その他のフッ素樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂であってもよい。
【0017】
第1配線基板11は、導体110を有していてもよい。導体110は、例えば、第1配線基板11の内部に位置する内部導体層であってもよい。導体110は、第1配線基板11の第1面111および/または第2面112に位置する表面導体層であってもよい。また、導体110は、両端が第1面111および第2面112に位置し、第1配線基板11の厚み方向に延びる接続導体であってもよい。
【0018】
第2配線基板21についても、第1配線基板11と同様、有機樹脂を絶縁基材として有するものでもよい。なお、この他に、例えば、絶縁基材として、セラミックス基材を有するものであってもよい。かかるセラミックス基材は、例えば、アルミナ系、ガラスセラミック系のセラミックスであってもよく、コージエライト、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどの誘電体、チタン酸アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などであってもよい。この場合、セラミックス基材は、例えば、複数のセラミックスを有してもよい。
【0019】
第2配線基板21は、導体を有していてもよい。第2配線基板21は、例えば、内部に位置する内部導体層を有してもよい。また、第2配線基板21は、第3面211および/または第4面212に位置する表面導体層を有してもよい。また、第2配線基板21は、両端が第3面211および第4面212に位置し、第2配線基板21の厚み方向に延びる接続導体を有してもよい。
【0020】
通信部10は、アンテナ素子12と、ビームフォーミングIC13とをさらに有する。アンテナ素子12は、第1配線基板11の第1面111に位置する。アンテナ素子12は、例えば、絶縁基板と、パッチと、回路部とを有する。絶縁基板は、例えば、誘電体材料その他の絶縁材料を含む。パッチは、例えば、銅などの導電材料を材料とする導体膜である。回路部は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)などの集積回路を含む。パッチおよび回路部は、例えば、給電線を介して電気的に接続される。
【0021】
ビームフォーミングIC13は、第1配線基板11の第2面112に位置する。ビームフォーミングIC13は、IC素子14と、蓋体15とを有する。
【0022】
IC素子14は、接合材61を介して第2面112に接合されている。IC素子14は、例えば、ビームフォーミング用の半導体素子であってもよい。接合材61は、例えば、導電性を有しており、第1配線基板11とIC素子14とを電気的に接続する。
【0023】
なお、IC素子14は、
図1に示すように、蓋体15内に収容される構成であってもよい。言い換えると、蓋体15は、例えば、IC素子14を覆う蓋状の部材である。蓋体15は、例えば、ヒートスプレッダとしての機能を有するものであってもよい。換言すると、ビームフォーミングIC13は、例えば、IC素子14に蓋状のヒートスプレッダが被さったものであってもよい。蓋体15の材料としては、例えば、アルミニウム合金、その他の金属を用いてもよく、この他に、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂といった樹脂を用いてもよい。蓋体15は、例えば、機械的強度、耐熱性、熱伝導性の観点から、金属製であるのがよい。
【0024】
IC素子14と蓋体15との間には、放熱部材71が位置してもよい。放熱部材71は、例えば、IC素子14および蓋体15に接触するように位置している。これにより、例えば、IC素子14で発生した熱を、蓋体15を介して速やかに放出することができる。放熱部材71は、例えば、TIM(Thermal Interface Material)であってよい。放熱部材71は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの有機樹脂を含んでもよい。また、放熱部材71は、表面が接着性を有してもよい。
【0025】
また、通信部10は、フィルタ16をさらに備えてもよい。フィルタ16は、例えば、第1配線基板11の第2面112に位置する。フィルタ16は、例えば、接合材62を介して第2面112に接合されている。フィルタ16は、例えば、特定の周波数帯における電波の通過を阻害するバンドストップフィルタを有する。接合材62は、例えば、導電性を有しており、第1配線基板11とフィルタ16とを電気的に接続する。なお、フィルタ16は、例えば、特定の周波数帯における電波の通過を許容するバンドパスフィルタを有してもよい。
【0026】
フィルタ16は、ビームフォーミングIC13から離れて位置していてもよい。具体的には、フィルタ16とビームフォーミングIC13の蓋体15との間に空間81を有してもよい。フィルタ16とビームフォーミングIC13との間に空間81を有することにより、ビームフォーミングIC13からの熱がフィルタ16に伝わりにくくなる。これにより、例えば、フィルタ16の温度変化に伴うフィルタ特性の変化を低減できる。このため、アンテナ装置1のアンテナ特性を安定化させることができる。
【0027】
連結部30は、第1配線基板11と第2配線基板21とを連結する。連結部30は、第2面112の縁部112aと、第2配線基板21の第3面211の縁部211aとの間に位置しており、縁部112aと縁部211aとを連結するように位置する。第1配線基板11、連結部30および第2配線基板21は、階段状の構造をなしている。ここで、第2面112の縁部112aとは、端面113と交差する第2面112の端から第2面112の幅全体の25%までの範囲を意味する。同様に、第3面211の縁部211aとは、端面213と交差する第3面211の端から第3面211の幅全体の25%までの範囲を意味する。
【0028】
連結部30は、基材31と導体32とを有する。基材31は、例えば、有機樹脂を有する絶縁基材であってもよい。かかる基材31は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリフェニレン樹脂であってもよい。また、基材31は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)その他のフッ素樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂であってもよい。
【0029】
導体32は、第1配線基板11と第2配線基板21とを電気的に接続する。導体32は、例えば、連結部30の内部に位置する内部導体層であってもよい。また、導体32は、両端が縁部112aおよび縁部211aに位置する接続導体であってもよい。
【0030】
連結部30は、接合材63を介して縁部211aに接合されている。接合材63は、例えば、導電性を有しており、導体32と第2配線基板21とを電気的に接続する。なお、接合材63は、例えば、絶縁性を有していてもよい。絶縁性を有する接合材63は、例えば、基材31と第2配線基板21とを接合する。
【0031】
連結部30は、ビームフォーミングIC13から離れて位置していてもよい。具体的には、連結部30とビームフォーミングIC13の蓋体15との間に空間82を有してもよい。かかる空間82を有することにより、ビームフォーミングIC13からの熱が連結部30を介して第1配線基板11および/または第2配線基板21に伝わりにくくなる。このため、例えば、アンテナ装置1の放熱性を高めることができる。
【0032】
放熱部40は、平坦部41を有する。平坦部41は、通信部10と向かい合う平坦面411を有している。平坦部41は、第1放熱部の一例である。
【0033】
平坦部41は、第1面111側から平面視したときにビームフォーミングIC13と重なるように位置する。また、平坦部41と第2面112との間隔は、連結部30の長さ以下の長さを有する。かかる構成により、放熱部40の平坦部41とビームフォーミングIC13とが近接することから、ビームフォーミングIC13からの放熱性を高めることができる。特に、平坦部41が、第1面111側から平面視したときにビームフォーミングIC13の全面と重なるように位置すると、放熱性をさらに高めることができる。
【0034】
なお、第1面111側から平面視したときの平坦部41の面積は、第1配線基板11の第1面111の面積よりも大きくてもよい。これにより、通信部10の放熱性を高めることができる。
【0035】
また、ビームフォーミングIC13と平坦部41との間に位置する放熱部材72を有してもよい。放熱部材72は、第1配線基板11の第2面112に沿う方向であって、ビームフォーミングIC13が有する蓋体15の面上に位置している。平坦部41の平坦面411は、放熱部材72を介してビームフォーミングIC13の蓋体15と接触している。これにより、例えば、ビームフォーミングIC13で発生した熱を、蓋体15を介して速やかに放出することができることから、通信部10の放熱性をさらに高めることができる。放熱部材72は、例えば、TIMであってよい。放熱部材72は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの有機樹脂を含んでもよい。また、放熱部材72は、表面が接着性を有してもよい。
【0036】
放熱部40は、平坦部42と中継部43とを有してもよい。平坦部42は、制御部20を構成する第2配線基板21の第4面212に面していてもよい。平坦部42は、第4面212と向かい合うように位置する平坦面421を有してもよい。平坦部42は、第2放熱部の一例である。また、平坦部42と第2配線基板21の第4面212との間に、TIMなどの放熱部材が位置していてもよい。かかる場合、平坦部42と第2配線基板21とが、放熱部材にそれぞれ接していると、例えば、第2配線基板21の放熱性が高まる。
【0037】
平坦部42は、第1面111側から平面視したときにビームフォーミングIC13と重なるように位置する。また、平坦部41と第2面と112の間隔は、連結部30の長さ以下の長さを有する。かかる構成により、放熱部40の平坦部41とビームフォーミングIC13とが近接することから、ビームフォーミングIC13からの放熱性を高めることができる。
【0038】
なお、平坦面421の面積は、第2配線基板21の第4面212の面積よりも大きくてもよい。これにより、制御部20の放熱性を高めることができる。
【0039】
中継部43は、平坦部41と平坦部42との間に位置している。放熱部40が中継部43を有することにより、放熱部40は、通信部10側から第2配線基板21の第4面212側にわたり連続して位置することとなる。これにより、ビームフォーミングIC13で発生した熱は、例えば、放熱部40の平坦部41のみならず、平坦部42からも放熱されることとなり、アンテナ装置1の放熱性を高めることができる。
【0040】
放熱部40の材料は、例えば、銅やアルミニウムなどの金属材料であってよい。放熱部40の平坦部41、中継部43および平坦部42は、同じ材料であってもよい。また、平坦部41、中継部43および平坦部42の材料は、互いに異なってもよい。
【0041】
また、アンテナ装置1は、蓋部90を有してもよい。かかる蓋部90は、放熱部40と組み合わされて筐体2を構成してもよい。
【0042】
(変形例)
図2は、第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図2に示すアンテナ装置1は、第1配線基板11が第1基板部11aおよび第2基板部11bを有する点で
図1に示すアンテナ装置1と相違する。
【0043】
第1基板部11aは、第1面111を有し、アンテナ素子12側に位置している。第1基板部11aは、例えば、有機樹脂を絶縁基材として有している。かかる絶縁基材は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリフェニレン樹脂であってもよい。また、絶縁基材は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)その他のフッ素樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂であってもよい。
【0044】
第2基板部11bは、第2面112を有し、ビームフォーミングIC13側に位置している。第2基板部11bは、例えば、セラミックスを材料とするセラミックス基材を有している。かかるセラミックス基材は、例えば、アルミナ系、ガラスセラミック系のセラミックスであってもよく、コージエライト、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどの誘電体、チタン酸アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などであってもよい。
【0045】
また、第2基板部11bは、例えば、フィルタ16Aを内蔵していてもよい。第2基板部11bがセラミックス製であることにより、内部にフィルタ16Aを内蔵することができる。かかる場合、
図1に示すフィルタ16は不要である。
【0046】
第2基板部11bは、第1基板部11aよりも熱伝導率が高くてもよい。ビームフォーミングIC13で発生した熱は、放熱部40側へ優先的に伝わりやすくなる。これにより、フィルタ16Aの温度変化に伴うフィルタ特性の変化を低減できる。このため、アンテナ装置1のアンテナ特性を安定化させることができる。
【0047】
[第2の実施形態]
図3は、第2の実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図3に示すアンテナ装置1Aは、第1配線基板11、連結部30および第2配線基板21が、断面視でU字状に位置している。
【0048】
また、放熱部40は、第1放熱部としての平坦部44を有している。平坦部44は、ビームフォーミングIC13と第2配線基板21とを隔てるように位置している。
【0049】
平坦部44は、第1面111側から平面視したときにビームフォーミングIC13と重なるように位置する。また、平坦部44と第2面112との間隔は、連結部30の長さ以下の長さを有する。かかる構成により、放熱部40の平坦部44とビームフォーミングIC13とが近接することから、ビームフォーミングIC13からの放熱性を高めることができる。特に、平坦部44が、第1面111側から平面視したときにビームフォーミングIC13の全面と重なるように位置すると、放熱性をさらに高めることができる。
【0050】
なお、第1面111側から平面視したときの平坦部44の面積は、第1配線基板11の第1面111の面積よりも大きくてもよい。これにより、通信部10の放熱性を高めることができる。
【0051】
さらに、放熱部40の平坦部44と第2配線基板21とが近接することから、平坦部44は、制御部20で発生した熱の放散にも寄与する。特に、平坦部44が、第1面111側から平面視したときに第2配線基板21の全面と重なるように位置すると、放熱性をさらに高めることができる。
【0052】
また、第1配線基板11および連結部30は、例えば、接合材64を介して接合されてもよい。接合材64の材料は、例えば、連結部30と第2配線基板21とを接合する接合材63と同じであってよい。
【0053】
また、放熱部40は、底部板45を有してもよい。底部板45は、ビームフォーミングIC13側に位置している。
【0054】
また、アンテナ装置1Aは、壁部46,47を有してもよい。かかる壁部46,47は、放熱部40と組み合わされて筐体2Aを構成してもよい。筐体2Aは、第1配線基板11および第2配線基板21を囲むように位置している。
【0055】
筐体2Aは、凹状の箱体をなしている。筐体2Aは、底部板45および壁部46,47を有している。壁部46,47は、底部板45の縁に沿って底部板45の平坦面451に交差する方向に立設している。壁部46,47は、底部板45の縁を周状に取り囲む形状を有している。
【0056】
筐体2Aは、壁部46,47を挟んで底部板45の反対側に位置する蓋部90を有してよい。蓋部90は、例えば、底部板45と同じ形状であってもよい。
図3に示すように、底部板45が第2配線基板21側に位置する場合には、底部板45が第2放熱部となる。
【0057】
第2配線基板21は、ビームフォーミングIC13側を第3面211、第3面211の反対側を第4面212としたとき、第4面212にメインIC22を有してもよい。
【0058】
また、制御部20は、メインIC22をさらに備えてもよい。メインIC22は、第2配線基板21の第4面212に位置する。メインIC22は、メイン素子23と、蓋体24とを有する。
【0059】
メイン素子23は、接合材65を介して第2面112に接合されている。メイン素子23は、例えば、アンテナ装置1を総合的に制御するメインの半導体素子であってもよい。接合材65は、例えば、導電性を有しており、第2配線基板21とメイン素子23とを電気的に接続する。
【0060】
メイン素子23は、
図3に示すように、蓋体24内に収容される構成であってもよい。言い換えると、蓋体24は、例えば、メイン素子23を覆う蓋状の部材である。蓋体24は、例えば、ヒートスプレッダとしての機能を有するものであってもよい。換言すると、メインIC22は、例えば、メイン素子23に蓋状のヒートスプレッダが被さったものであってもよい。蓋体24の材料としては、例えば、アルミニウム合金、その他の金属を用いてもよく、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂といった樹脂を用いてもよい。蓋体24は、例えば、機械的強度、耐熱性、熱伝導性の観点から、金属製であるのがよい。
【0061】
メイン素子23と蓋体24との間には、放熱部材73が位置してもよい。放熱部材73は、例えば、メイン素子23および蓋体24に接触するように位置している。これにより、例えば、メイン素子23で発生した熱を、蓋体24を介して速やかに放出することができる。放熱部材73は、例えば、TIMであってよい。また、放熱部材73は、表面が接着性を有してもよい。
【0062】
底部板45は、第4面212と向かい合うように位置する平坦面451を有してもよい。また、底部板45とメインIC22の蓋体24との間に、TIMなどの放熱部材74が位置していてもよい。かかる場合、底部板45とメインIC22とが、放熱部材74にそれぞれ接していると、例えば、メインIC22を含む制御部20の放熱性がさらに高まる。
【0063】
なお、
図3に示すアンテナ装置1Aにおいて、通信部10、制御部20などの各部材は、例えば、紙面に交差する方向に差し込むようにして筐体2Aの内部に収容することができる。
【0064】
(変形例)
図4は、第2の実施形態の変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図4に示すアンテナ装置1Aは、第1配線基板11が第1基板部11aおよび第2基板部11bを有する点で
図3に示すアンテナ装置1Aと相違する。
【0065】
第1基板部11aは、第1面111を有し、アンテナ素子12側に位置している。第1基板部11aは、例えば、有機樹脂を絶縁基材として有している。
【0066】
第2基板部11bは、第2面112を有し、ビームフォーミングIC13側に位置している。第2基板部11bは、例えば、セラミックスを材料とするセラミックス基材を有している。
【0067】
また、第2基板部11bは、例えば、フィルタ16Aを内蔵していてもよい。第2基板部11bがセラミックス製であることにより、内部にフィルタ16Aを内蔵することができる。かかる場合、
図3に示すフィルタ16は不要である。
【0068】
上述してきたように、実施形態に係るアンテナ装置1は、通信部10と、制御部20と、連結部30とを備える。通信部10は、第1配線基板11と、アンテナ素子12と、ビームフォーミングIC13とを有する。第1配線基板11は、おもて面である第1面111と第1面111の反対側に位置する裏面である第2面112とを主面として有する。アンテナ素子12は、第1面111に位置する。ビームフォーミングIC13は、第2面112に位置する。制御部20は、第2配線基板21を有する。第1配線基板11と第2配線基板21とは、連結部30で連結されている。連結部30は、第2面112の縁部112aと、第2配線基板21の主面の縁部211aとの間を連結するように位置している。
【0069】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置1によれば、放熱性を向上することができる。
【0070】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1,1A アンテナ装置
2,2A 筐体
10 通信部
11 第1配線基板
12 アンテナ素子
13 ビームフォーミングIC
20 制御部
21 第2配線基板
30 連結部
40 放熱部
41,44 平坦部