(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007574
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】路線環境監視システムおよび路線環境監視方法
(51)【国際特許分類】
B61L 25/04 20060101AFI20230112BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20230112BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230112BHJP
B61D 19/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B61L25/04
B61L23/00 Z
H04N7/18 D
B61D19/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110511
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 和彦
【テーマコード(参考)】
5C054
5H161
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EA07
5C054FC01
5C054FC07
5C054FC12
5C054FE05
5C054FE18
5C054FE28
5C054FF03
5C054GB01
5C054GB05
5C054HA19
5C054HA26
5H161AA01
5H161MM05
5H161MM12
5H161MM15
5H161NN10
5H161PP01
5H161PP11
5H161QQ01
5H161QQ03
(57)【要約】
【課題】ドアの挟み込みを検知する用途で設置されたカメラを利用して、列車の走行中に列車の周辺を撮影して取得したカメラ画像に基づいて路線環境の異常等を検知できるようにする。
【解決手段】列車における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラ1と、カメラにより撮影されたカメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して発報情報を生成する画像解析サーバ2と、発報情報を取得して、路線環境の異常の発生状況を係員に報知する報知装置3および監視端末6と、を備え、画像解析サーバは、第1の監視モードにおいて、カメラ画像に基づいてドアの挟み込みを検知して、ドアの挟み込みに関する発報情報を生成し、第2の監視モードにおいて、カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、路線環境の異常に関する発報情報を生成し、列車が停止状態か移動状態かを判別して第1の監視モードと第2の監視モードとを切り換える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その異常検知結果を含む発報情報を生成する路線環境監視システムであって、
前記移動体における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラと、
前記カメラにより撮影されたカメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して前記発報情報を生成するサーバ装置と、
前記発報情報を取得して、路線環境の異常の発生状況を係員に報知する端末装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
第1の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて前記ドアの挟み込みを検知して、そのドアの挟み込みに関する前記発報情報を生成し、
第2の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常に関する前記発報情報を生成し、
前記移動体が停止状態か移動状態かを判別して前記第1の監視モードと前記第2の監視モードとを切り換えることを特徴とする路線環境監視システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
同一の前記移動体に設けられた複数の前記カメラにより撮影された前記カメラ画像ごとの異常検知結果を統合して、前記移動体ごとの異常検知結果を取得し、
前記移動体ごとの異常検知結果を含む前記発報情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の路線環境監視システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記移動体を構成する複数の構成体ごとに設けられた複数の前記カメラにより撮影された前記カメラ画像ごとの異常検知結果を統合して、前記構成体ごとの異常検知結果を取得し、
前記構成体ごとの異常検知結果を含む前記発報情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の路線環境監視システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
同一の路線を走行する複数の前記移動体ごとの異常検知結果を統合して、路線ごとの異常検知結果を取得し、
前記路線ごとの異常検知結果を含む前記発報情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の路線環境監視システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、
検知された異常事象ごとに、その異常の程度を表す異常レベルを取得し、
前記異常レベルを含む前記発報情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の路線環境監視システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
前記発報情報を含む複数の監視画面を、前記端末装置に配信することを特徴とする請求項1に記載の路線環境監視システム。
【請求項7】
前記監視画面の1つは、監視対象となる全ての路線における異常の発生状況を係員に提示する路線マップ画面であることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項8】
前記監視画面の1つは、所定の路線における異常の発生状況を係員に提示する路線詳細画面であり、別の前記監視画面において係員が路線を選択することで表示されることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項9】
前記監視画面の1つは、検知された異常事象の状況を係員がカメラ画像により確認する異常事象確認画面であり、別の前記監視画面において係員が異常事象を選択することで表示されることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項10】
前記監視画面の1つは、各移動体で検知された異常の時間的な変化状況を係員に提示する時系列状況画面であり、別の前記監視画面において係員が時系列状況表示の指示を行うことで表示されることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項11】
前記監視画面の1つは、各移動体で検知された異常の位置的な変化状況を係員に提示する移動体状況画面であり、別の前記監視画面において係員が移動体状況表示の指示を行うことで表示されることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項12】
前記監視画面の1つは、各軌道区間で検知された異常の詳細な状況を係員に提示する軌道詳細状況画面であり、別の前記監視画面において係員が軌道区間を選択することで表示されることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項13】
前記監視画面の1つは、各移動体で検知された異常の詳細な状況を係員に提示する移動体詳細状況画面であり、別の前記監視画面において係員が移動体を選択することで表示されることを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項14】
前記監視画面の少なくとも1つは、複数の前記カメラ画像から合成された合成鳥瞰画像を含むことを特徴とする請求項6に記載の路線環境監視システム。
【請求項15】
人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その異常検知結果を含む発報情報を生成する処理を情報処理装置に行わせる路線環境監視方法であって、
前記移動体における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラにより撮影されたカメラ画像を取得し、
第1の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて前記ドアの挟み込みを検知して、そのドアの挟み込みに関する前記発報情報を生成し、
第2の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常に関する前記発報情報を生成し、
前記移動体が停止状態か移動状態かを判別して前記第1の監視モードと前記第2の監視モードとを切り換えることを特徴とする路線環境監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常を係員に報知する路線環境監視システムおよび路線環境監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道においては、列車を安全に運行させる上で支障となる路線環境の異常を早期に発見して、保線作業などの必要な処置を迅速に実施することが望まれる。
【0003】
このような路線環境を監視する技術として、従来、カメラを備えた線路検査装置を、営業運転を行う列車に搭載し、列車が走行する軌道をカメラで撮影して、その撮影画像に基づいて軌道の異常を検出する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、従来の技術では、営業運転を行う列車に路線検査装置を搭載することで、検査専用の車両を必要とせず、比較的長い路線でも、効率的に路線の監視を行うことができる。しかしながら、カメラを備えた線路検査装置を列車に搭載するには相応のコストがかかり、さらに、見落としの少ない監視を実現するには、営業運転を行う列車の多くに線路検査装置を搭載する必要があることから、コストが増大するという問題があった。
【0006】
一方、駅のホームに列車が停車している際に、乗客が乗降するドアに乗客の身体や持ち物などが挟み込まれることがある。このため、ドアの挟み込みを検知して、挟み込みが発生したことを駅員や列車の乗務員に報知する技術が望まれる。
【0007】
このようなドアの挟み込みを検知する技術として、近年、列車の車体の側面にカメラを設置して、そのカメラで撮影されたカメラ画像に基づいて、ドアの挟み込みを検知する技術が普及しつつある。このような挟み込み監視用のカメラは、営業運転を行う列車の全てに搭載されることから、挟み込み監視用のカメラを路線監視の用途に利用できるようにすると、コストの増大を抑えることができる。
【0008】
そこで、本発明は、ドアの挟み込みを検知する用途で設置されたカメラを利用して、移動体の走行中に移動体の周辺を撮影することで取得したカメラ画像に基づいて路線環境の異常等を検知することができる路線環境監視システムおよび路線環境監視方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の路線環境監視システムは、人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その異常検知結果を含む発報情報を生成する路線環境監視システムであって、前記移動体における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラと、前記カメラにより撮影されたカメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して前記発報情報を生成するサーバ装置と、前記発報情報を取得して、路線環境の異常の発生状況を係員に報知する端末装置と、を備え、前記サーバ装置は、第1の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて前記ドアの挟み込みを検知して、そのドアの挟み込みに関する前記発報情報を生成し、第2の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常に関する前記発報情報を生成し、前記移動体が停止状態か移動状態かを判別して前記第1の監視モードと前記第2の監視モードとを切り換える構成とする。
【0010】
また、本発明の路線環境監視方法は、人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その異常検知結果を含む発報情報を生成する処理を情報処理装置に行わせる路線環境監視方法であって、前記移動体における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラにより撮影されたカメラ画像を取得し、第1の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて前記ドアの挟み込みを検知して、そのドアの挟み込みに関する前記発報情報を生成し、第2の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常に関する前記発報情報を生成し、前記移動体が停止状態か移動状態かを判別して前記第1の監視モードと前記第2の監視モードとを切り換える構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドアの挟み込みを検知する用途で設置されたカメラを利用して、移動体の走行中に移動体の周辺を撮影することで取得したカメラ画像に基づいて路線の異常等を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る路線環境監視システムの全体構成図
【
図2】カメラにより撮影されるカメラ画像を示す説明図
【
図3】画像解析サーバおよび分析サーバの概略構成を示すブロック図
【
図5】画像解析サーバで管理されるデータベースの登録内容を示す説明図
【
図6】監視端末に表示される各種の監視画面の遷移状況を示す説明図
【
図7】監視端末に表示される路線マップ画面を示す説明図
【
図8】監視端末に表示される路線詳細画面を示す説明図
【
図9】画像解析サーバで行われる路線異常検知処理の概要を示す説明図
【
図10】監視端末に表示される異常事象確認画面を示す説明図
【
図11】監視端末に表示される時系列状況画面を示す説明図
【
図12】監視端末に表示される列車状況画面を示す説明図
【
図13】監視端末に表示される軌道詳細状況画面を示す説明図
【
図14】監視端末に表示される列車詳細状況画面を示す説明図
【
図15】監視端末に表示される列車詳細状況画面を示す説明図
【
図16】第1実施形態の変形例に係る路線環境監視システムの全体構成図
【
図17】第2実施形態に係る路線環境監視システムの全体構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その異常検知結果を含む発報情報を生成する路線環境監視システムであって、前記移動体における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラと、前記カメラにより撮影されたカメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して前記発報情報を生成するサーバ装置と、前記発報情報を取得して、路線環境の異常の発生状況を係員に報知する端末装置と、を備え、前記サーバ装置は、第1の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて前記ドアの挟み込みを検知して、そのドアの挟み込みに関する前記発報情報を生成し、第2の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常に関する前記発報情報を生成し、前記移動体が停止状態か移動状態かを判別して前記第1の監視モードと前記第2の監視モードとを切り換える構成とする。
【0014】
これによると、ドアの挟み込みを検知する用途で設置されたカメラを利用して、移動体の走行中に移動体の周辺を撮影することで取得したカメラ画像に基づいて路線の異常等を検知することができる。
【0015】
また、第2の発明は、前記サーバ装置は、同一の前記移動体に設けられた複数の前記カメラにより撮影された前記カメラ画像ごとの異常検知結果を統合して、前記移動体ごとの異常検知結果を取得し、前記移動体ごとの異常検知結果を含む前記発報情報を生成する構成とする。
【0016】
これによると、移動体(例えば列車)ごとの異常の発生状況を係員に提示することができる。
【0017】
また、第3の発明は、前記サーバ装置は、前記移動体を構成する複数の構成体ごとに設けられた複数の前記カメラにより撮影された前記カメラ画像ごとの異常検知結果を統合して、前記構成体ごとの異常検知結果を取得し、前記構成体ごとの異常検知結果を含む前記発報情報を生成する構成とする。
【0018】
これによると、移動体を構成する構成体(例えば列車を構成する号車)ごとの異常の発生状況を係員に提示することができる。
【0019】
また、第4の発明は、前記サーバ装置は、同一の路線を走行する複数の前記移動体ごとの異常検知結果を統合して、路線ごとの異常検知結果を取得し、前記路線ごとの異常検知結果を含む前記発報情報を生成する構成とする。
【0020】
これによると、路線ごとの異常の発生状況を係員に提示することができる。
【0021】
また、第5の発明は、前記サーバ装置は、検知された異常事象ごとに、その異常の程度を表す異常レベルを取得し、前記異常レベルを含む前記発報情報を生成する構成とする。
【0022】
これによると、検知された異常事象の程度を係員に提示することができる。
【0023】
また、第6の発明は、前記サーバ装置は、前記発報情報を含む複数の監視画面を、前記端末装置に配信する構成とする。
【0024】
これによると、係員が、路線環境の異常の発生状況を確認することができる。
【0025】
また、第7の発明は、前記監視画面の1つは、監視対象となる全ての路線における異常の発生状況を係員に提示する路線マップ画面である構成とする。
【0026】
これによると、路線マップ画面により、監視対象となる全ての路線における異常の発生状況を係員に提示することができる。
【0027】
また、第8の発明は、前記監視画面の1つは、所定の路線における異常の発生状況を係員に提示する路線詳細画面であり、別の前記監視画面において係員が路線を選択することで表示される構成とする。
【0028】
これによると、路線詳細画面により、指定の路線において発生した異常の状況を係員に提示することができる。
【0029】
また、第9の発明は、前記監視画面の1つは、検知された異常事象の状況を係員がカメラ画像により確認する異常事象確認画面であり、別の前記監視画面において係員が異常事象を選択することで表示される構成とする。
【0030】
これによると、異常事象確認画面により、検知された異常事象の状況を係員がカメラ画像により確認することができる。
【0031】
また、第10の発明は、前記監視画面の1つは、各移動体で検知された異常の時間的な変化状況を係員に提示する時系列状況画面であり、別の前記監視画面において係員が時系列状況表示の指示を行うことで表示される構成とする。
【0032】
これによると、時系列状況画面により、各移動体で検知された異常の時間的な変化状況を係員に提示することができる。
【0033】
また、第11の発明は、前記監視画面の1つは、各移動体で検知された異常の位置的な変化状況を係員に提示する移動体状況画面であり、別の前記監視画面において係員が移動体状況表示の指示を行うことで表示される構成とする。
【0034】
これによると、移動体状況画面により、各移動体で検知された異常の位置的な変化状況を係員に提示することができる。
【0035】
また、第12の発明は、前記監視画面の1つは、各軌道区間で検知された異常の詳細な状況を係員に提示する軌道詳細状況画面であり、別の前記監視画面において係員が軌道区間を選択することで表示される構成とする。
【0036】
これによると、軌道詳細状況画面により、各軌道区間において発生した異常の詳細な状況を係員に提示することができる。
【0037】
また、第13の発明は、前記監視画面の1つは、各移動体で検知された異常の詳細な状況を係員に提示する移動体詳細状況画面であり、別の前記監視画面において係員が移動体を選択することで表示される構成とする。
【0038】
これによると、移動体詳細状況画面により、各移動体において発生した異常の詳細な状況を係員に提示することができる。
【0039】
また、第14の発明は、前記監視画面の少なくとも1つは、複数の前記カメラ画像から合成された合成鳥瞰画像を含む構成とする。
【0040】
これによると、移動体の周囲を上方から見た状態の合成鳥瞰画像により、係員が、移動体の周囲の状況、特に異常が発生している箇所と移動体との位置関係を容易に把握することができる。
【0041】
また、第15の発明は、人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その異常検知結果を含む発報情報を生成する処理を情報処理装置に行わせる路線環境監視方法であって、前記移動体における人物乗降用のドアに対応して設けられたカメラにより撮影されたカメラ画像を取得し、第1の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて前記ドアの挟み込みを検知して、そのドアの挟み込みに関する前記発報情報を生成し、第2の監視モードにおいて、前記カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常に関する前記発報情報を生成し、前記移動体が停止状態か移動状態かを判別して前記第1の監視モードと前記第2の監視モードとを切り換える構成とする。
【0042】
これによると、第1の発明と同様に、ドアの挟み込みを検知する用途で設置されたカメラを利用して、移動体の走行中に移動体の周辺を撮影することで取得したカメラ画像に基づいて路線の異常等を検知することができる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る路線環境監視システムの全体構成図である。
【0045】
路線環境監視システムは、路線環境、すなわち、列車(移動体)が走行する軌道およびその周辺に発生する異常を検知して、その異常の発生を係員に報知するものである。路線環境監視システムは、カメラ1と、画像解析サーバ2(サーバ装置)と、報知装置3(端末装置)と、無線基地局4と、分析サーバ5(サーバ装置)と、監視端末6(端末装置)とを備えている。
【0046】
カメラ1と画像解析サーバ2と報知装置3とは列車内のネットワークを介して接続されている。画像解析サーバ2と無線基地局4とはモバイル通信のネットワークを介して接続されている。無線基地局4と分析サーバ5と監視端末6とは閉域ネットワークやインターネットなどのネットワークを介して接続されている。
【0047】
カメラ1は、列車の車体の側面に設置され、乗客が乗降するドアの外側を側方から撮影する。
【0048】
画像解析サーバ2は、列車に搭載される。画像解析サーバ2は、PCなどの情報処理装置で構成される。画像解析サーバ2は、各カメラ1から取得したカメラ画像に基づいて、ドアによる異物(乗降客の身体や持ち物など)の挟み込みを検知する。この挟み込み検知処理の検知結果は、発報情報として報知装置3に送信される。また、画像解析サーバ2は、各カメラ1から取得したカメラ画像に基づいて、路線環境に関する異常を検知する。この路線異常検知処理の検知結果(解析結果)およびカメラ画像は自装置に蓄積される。また、リアルタイムであるいは適宜なタイミングでカメラ画像および解析結果が、発報情報として分析サーバ5に送信される。
【0049】
報知装置3は、列車の乗務員室(車掌室など)に設置される。報知装置3は、画像解析サーバ2で挟み込みが検知されると、挟み込みが発生したドア位置が示された監視画面を表示装置へ表示すると共にランプの点灯およびブザーの鳴動などにより、ドアの挟み込みを列車の乗務員(車掌など)に報知する。
【0050】
分析サーバ5は、監視センター(運転指令所)などに設置される。分析サーバ5は、各列車に搭載された画像解析サーバ2からカメラ画像および解析結果を収集して、そのカメラ画像および解析結果に対して所要の処理を行うことで、路線環境に関する異常の発生状況を係員に提示する各種の監視画面を生成して、その監視画面を発報情報として監視端末6に配信する。
【0051】
監視端末6は、監視センターなどに設置される。監視端末6は、監視センターの係員(指令員)などが閲覧する。監視端末6には、分析サーバ5から配信される監視画面が表示される。
【0052】
なお、本実施形態では、人物が搭乗する移動体(人物を乗せて運ぶ乗り物)を列車とした例について説明するが、移動体は列車に限定されない。例えば、ロープウェイやリフトのように索道を利用した移動体であってもよい。また、バスのように道路を走行する移動体であってもよい。
【0053】
次に、カメラ1により撮影されるカメラ画像について説明する。
図2は、カメラ画像を示す説明図である。
【0054】
カメラ1は、列車の車体の側面に設置され、乗客が乗降するドアの外側を側方から撮影する。したがって、列車が駅のホームに停車している場合には、
図2(A)に示すように、カメラ1により撮影されたカメラ画像には、駅のホームや利用客が写る。一方、列車が駅間の軌道を走行している場合には、
図2(B)に示すように、カメラ画像には、軌道(道床、路盤)およびその周辺の架線柱などが写る。
【0055】
本実施形態では、画像解析サーバ2が、列車が停止状態(列車がホームに停車している状態)か移動状態かを判定して、列車が停止状態である場合には、カメラ画像に基づいてドアによる異物(乗降客の身体や持ち物など)の挟み込みを検知し、列車が移動状態である場合には、カメラ画像に基づいて路線環境の異常を検知する。
【0056】
なお、路線環境の異常、すなわち、軌道およびその周辺エリアに発生している異常とは、例えば、レールの不整などに起因する車体の揺れや、土砂の流入や草木の繁茂やその他の支障物の侵入などに起因する路盤の色の異変などである。また、軌道およびその周辺エリアに発生している異常事象以外の種々の事象に関する情報を収集するものとしてもよい。例えば、標識、信号、踏切、ホームなどの損傷、降雪状況に関する情報を収集するものとしてもよい。
【0057】
次に、画像解析サーバ2および分析サーバ5の概略構成について説明する。
図3は、画像解析サーバ2および分析サーバ5の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
画像解析サーバ2は、列車内通信部21と、列車外通信部22と、記憶部23と、プロセッサ24と、を備えている。
【0059】
列車内通信部21は、列車の各車両(号車)に設置されたカメラ1および乗務員室に設置された報知装置3との間で通信を行う。
【0060】
列車外通信部22は、無線基地局4およびネットワークを介して分析サーバ5との間で通信を行う。
【0061】
記憶部23は、プロセッサ24で実行されるプログラムなどを記憶する。また、記憶部23は、カメラ画像およびその解析結果を管理するデータベースの登録情報を記憶する。
【0062】
プロセッサ24は、記憶部23に記憶されたプログラムを実行することで各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ24が、監視モード判定処理、挟み込み検知処理、および路線異常検知処理などを行う。
【0063】
監視モード判定処理では、プロセッサ24が、列車速度などに基づいて、列車が停止状態か移動状態かを判定して、その判定結果に応じて、挟み込み監視モード(第1の監視モード)と、路線環境監視モード(第2の監視モード)とを切り換える。具体的には、列車が停止状態である場合(列車がホームに停車している場合)には、挟み込み監視モードに設定され、列車が移動状態である場合には、路線環境監視モードに設定される。挟み込み監視モードは、ドアの挟み込みを監視するものであり、このモードでは、挟み込み検知処理が行われる。路線環境監視モードは、沿線の異常を監視するものであり、このモードでは、路線異常検知処理が行われる。
【0064】
挟み込み検知処理では、プロセッサ24が、各カメラ1から取得したカメラ画像に基づいて、ドアによる異物(乗降客の身体や持ち物など)の挟み込みを検知する。挟み込み検知処理では、ディープラーニングなどの機械学習により構築される画像認識モデル(機械学習モデル)を利用することができる。この場合、カメラ画像を画像認識モデルに入力し、画像認識モデルから出力される挟み込みの検知結果を取得する。
【0065】
路線異常検知処理では、プロセッサ24が、各カメラ1から取得したカメラ画像に基づいて、路線環境に関する異常を検知する。また、プロセッサ24が、路線環境に関する異常の他に、列車自体の異常(例えば、不自然な揺れ画像に基づく車体の異常な揺れなど)を検知する。路線異常検知処理では、解析結果(路線異常検知処理の検知結果)として、異常のレベル(警告、注意、良好)と、異常の内容(車体の異常な揺れ、路盤の色の異変)とを取得する。また、路線異常検知処理では、ディープラーニングなどの機械学習により構築される画像認識モデル(機械学習モデル)を利用することができる。この場合、カメラ画像を画像認識モデルに入力し、画像認識モデルから出力される異常検知結果を取得する。
【0066】
なお、画像認識モデルは、警告、注意、良好の3つの異常レベルを識別する3クラスの識別器で構成されるものとしてもよい。また、画像認識モデルは、道床の異常、路盤の異常、架線柱の異常、および軌道外の異常をそれぞれ識別する識別器で構成されるものとしてもよい。
【0067】
この他に、プロセッサ24は、オリジナルのカメラ画像を合成して合成鳥瞰画像を生成する画像合成処理を行う。合成鳥瞰画像は、車両(号車)の周囲を上方から見た状態の画像であり、車両に設置された複数のカメラ1により撮影されたカメラ画像を合成して生成される。
図1に示した例では、1両に4台のカメラ1が設置されており、4台のカメラ1により撮影された4枚のカメラ画像を合成して合成鳥瞰画像が生成される。
【0068】
なお、監視モード判定処理および挟み込み検知処理はリアルタイムで行われるが、路線異常検知処理は、必ずしもリアルタイムで行われる必要はなく、適宜なタイミングで行われるものとしてもよい。
【0069】
分析サーバ5は、通信部51と、記憶部52と、プロセッサ53と、を備えている。
【0070】
通信部51は、ネットワークを介して画像解析サーバ2および監視端末6との間で通信を行う。
【0071】
記憶部52は、プロセッサ53で実行されるプログラムなどを記憶する。
【0072】
プロセッサ53は、記憶部52に記憶されたプログラムを実行することで各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ53が、分析処理、および画面生成処理などを行う。
【0073】
分析処理では、プロセッサ53が、画像解析サーバ2から取得したカメラ画像およびその解析結果に基づいて、列車、列車を構成する車両(号車)、路線、路線を構成する軌道区間をそれぞれ単位とした異常検知結果、すなわち、異常の発生状況を表す情報を生成する。
【0074】
具体的には、列車の各車両(号車)に設置された複数のカメラ1により撮影されたカメラ画像ごとの異常検知結果を統合することで、車両ごとの異常検知結果を取得する。さらに、複数の車両ごとの異常検知結果を統合することで、列車ごとの異常検知結果を取得することができる。また、同一の路線を走行する複数の列車ごとの異常検知結果を統合することで、路線ごとの異常検知結果を取得する。また、同一の軌道区間を走行する複数の列車ごとの異常検知結果を統合することで、軌道区間ごとの異常検知結果を取得する。
【0075】
画面生成処理では、プロセッサ53が、画像解析サーバ2から取得したカメラ画像およびその解析結果と、分析処理で取得した情報とに基づいて、異常の発生状況を係員に提示する各種の監視画面、具体的には、路線マップ画面101(
図7参照)、路線詳細画面111(
図8参照)、異常事象確認画面121(
図10参照)、時系列状況画面131(
図11参照)、列車状況画面141(
図12参照)、軌道詳細状況画面151(
図13参照)、および列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)を生成する。これらの監視画面は監視端末6に配信される。
【0076】
次に、画像解析サーバ2の動作手順について説明する。
図4は、画像解析サーバ2の動作手順を示すフロー図である。
【0077】
画像解析サーバ2では、まず、プロセッサ24が、挟み込み監視モード(第1の監視モード)に設定する(ST101)。挟み込み監視モードでは、カメラ画像を用いた挟み込み検知処理が行われる。次に、プロセッサ24が、列車速度に基づいて、列車が停止状態から移動状態に変化したか否かを判定する(ST102)。
【0078】
ここで、列車が停止状態から移動状態に変化した場合には(ST102でYes)、プロセッサ24が、路線環境監視モード(第2の監視モード)に設定する(ST103)。路線環境監視モードでは、カメラ画像を用いた路線異常検知処理が行われる。次に、プロセッサ24が、列車速度に基づいて、列車が移動状態から停止状態に変化したか否かを判定する(ST104)。
【0079】
ここで、列車が移動状態から停止状態に変化した場合には(ST104でYes)、ST101に戻り、プロセッサ24が、挟み込み監視モード(第1の監視モード)に設定する。以降は、同様の処理が繰り返される。
【0080】
ここで、信号機の停止指示などにより列車が駅間の軌道上で停車する場合がある。このため、列車が移動状態から停止状態に変化したか否かの判定(ST104)では、列車がホームに停車したか否かを判定するようにするとよい。このとき、ドアの開閉信号やカメラ画像などに基づいて、列車がホームに停車したか否かを判定するようにしてもよい。
【0081】
次に、画像解析サーバ2で管理されるデータベースについて説明する。
図5は、画像解析サーバ2で管理されるデータベースの登録内容を示す説明図である。
【0082】
画像解析サーバ2では、路線環境監視モード(第2の監視モード)において、路線異常検知処理として、各カメラ1から取得したカメラ画像に基づいて、路線環境に関する異常と列車自体の異常とを検知する画像解析が行われ、カメラ画像およびその解析結果(路線異常検知処理による異常検知結果)がデータベースに登録される。また、データベースには、カメラ画像およびその解析結果の他に、列車番号、号車番号、日時、および合成鳥瞰画像の各情報が登録される。
【0083】
ここで、路線異常検知処理では、解析結果(路線異常検知処理の検知結果)として、異常のレベル(警告、注意、良好)と、異常の内容(車体の異常な揺れ、路盤の色の異変)とを取得する。路線異常検知処理に画像認識モデル(機械学習モデル)を利用した場合、カメラ画像を画像認識モデルに入力することで、画像認識モデルから出力される路線異常の検知結果として異常のレベルおよび異常の内容を取得する。
【0084】
路線異常検知処理による異常検知結果(解析結果)は、各カメラ1の各時刻におけるカメラ画像ごとに生成される。一方、分析サーバ5から監視端末6に配信される監視画面では、車両(号車)ごとに異常の発生状況を提示したり、列車ごとに異常の発生状況を提示したり、路線ごとに異常の発生状況を提示したり、軌道区間ごとに異常の発生状況を提示したりすると、異常の発生状況を係員が直感的に把握しやすくなる。
【0085】
そこで、本実施形態では、分析サーバ5が、分析処理として、列車の各車両(号車)に設置された複数のカメラ1により撮影されたカメラ画像ごとの異常検知結果を統合することで、車両ごとの異常検知結果を取得する。さらに、複数の車両ごとの異常検知結果を統合することで、列車ごとの異常検知結果を取得することができる。また、同一の路線を走行する複数の列車ごとの異常検知結果を統合することで、路線ごとの異常検知結果を取得する。また、同一の軌道区間を走行する複数の列車ごとの異常検知結果を統合することで、軌道区間ごとの異常検知結果を取得する。
【0086】
このように本実施形態では、対象を構成する要素ごとの異常検知結果を統合することで、対象単位の異常検知結果を取得するが、このとき、異常レベル(警告、注意、良好)の高い異常検知結果が優先される。具体的には、複数の要素の1つでも警告があれば、対象単位の異常レベルは警告とする。また、複数の要素の中に警告がなく、かつ、複数の要素の1つでも注意があれば、対象単位の異常レベルは注意とする。また、複数の要素の中に警告も注意もない場合には、対象単位の異常レベルは良好とする。
【0087】
例えば、列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)では、号車ボタン162が、当該車両に設置されたカメラ1で撮影されたカメラ画像ごとの異常レベルの中で最も高い異常レベルに対応する色で表示される。また、路線詳細画面111(
図8参照)では、列車マーク115が、当該列車を構成する車両(号車)ごとの異常レベルの中で最も高い異常レベルに対応する色で表示される。また、路線マップ画面101(
図7参照)では、路線マップ上の路線が、当該路線を走行する列車ごとの異常レベルの中で最も高い異常レベルに対応する色で表示される。
【0088】
次に、監視端末6に表示される各種の監視画面について説明する。
図6は、監視画面の遷移状況を示す説明図である。
【0089】
監視端末6では、分析サーバ5にアクセスすると、まず、路線マップ画面101(
図7参照)が表示される。路線マップ画面101は、監視対象となる全ての路線における異常の発生状況を係員に提示するものである。路線マップ画面101において、係員が路線ボタン105を操作して路線を選択すると、選択された路線に関する路線詳細画面111(
図8参照)に遷移する。
【0090】
路線詳細画面111(
図8参照)は、選択された路線において発生した異常の状況を係員に提示するものである。路線詳細画面111において、係員が異常事象ボタン117を操作して異常事象を選択すると、選択された異常事象に関する異常事象確認画面121(
図10参照)に遷移する。また、路線詳細画面111において、係員が時系列状況表示ボタン118を操作すると、時系列状況画面131(
図11参照)に遷移する。また、路線詳細画面111において、係員が列車状況表示ボタン119を操作すると、列車状況画面141(
図12参照)に遷移する。また、路線詳細画面111において、係員が列車マーク115を操作して列車を選択すると、選択された列車に関する列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)に遷移する。
【0091】
異常事象確認画面121(
図10参照)は、係員が、検知された異常事象の状況をカメラ画像で確認するものである。
【0092】
時系列状況画面131(
図11参照)は、各列車で検知された異常の時間的な変化状況を係員に提示するものである。時系列状況画面131において、係員が列車ボタン134を操作して列車を選択すると、選択された列車に関する列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)に遷移する。
【0093】
列車状況画面141(
図12参照)は、各列車で検知された異常の位置的な変化状況を係員に提示するものである。列車状況画面141において、係員が軌道区間ボタン144を操作して軌道区間を選択すると、選択された軌道区間に関する軌道詳細状況画面151(
図13参照)に遷移する。
【0094】
軌道詳細状況画面151(
図13参照)は、各軌道区間において発生した異常の詳細な状況を係員に提示するものである。軌道詳細状況画面151において、係員が異常事象ボタン156を操作して異常事象を選択すると、選択された異常事象に関する列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)に遷移する。
【0095】
列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)は、各列車において発生した異常の詳細な状況を係員に提示するものである。
【0096】
また、路線マップ画面101(初期画面)を除く各画面には、戻るボタン109が設けられている。係員が戻るボタン109を操作すると、遷移元の画面に戻る。例えば、路線詳細画面111(
図8参照)において係員が戻るボタン109を操作すると、遷移元の画面である路線マップ画面101(
図7参照)に戻る。
【0097】
次に、監視端末6に表示される路線マップ画面101について説明する。
図7は、路線マップ画面101を示す説明図である。
【0098】
監視端末6では、分析サーバ5にアクセスすると、まず、路線マップ画面101が表示される。路線マップ画面101は、監視対象となる全ての路線における異常の発生状況を係員に提示するものである。
【0099】
路線マップ画面101には、路線マップ102が表示される。路線マップ102には、各路線が異常レベル(警告、注意、良好)に応じた色で描画されている。
【0100】
また、路線マップ画面101では、日時表示部103に現在の日時が表示される。
【0101】
また、路線マップ画面101には、路線ごとの情報表示部104が設けられている。情報表示部104には、異常レベル(警告、注意)別の異常事象の発生件数と、未対処の異常事象、すなわち、係員の確認が未了である異常事象の件数とが表示される。
【0102】
また、情報表示部104には、路線ボタン105が設けられている。係員が、路線ボタン105を操作して路線を選択すると、路線詳細画面111(
図8参照)に遷移する。
【0103】
また、路線マップ画面101には、履歴一覧表示部106が設けられている。履歴一覧表示部106には、過去に検知された異常事象ごとに、その異常事象に関する情報が一覧表示される。ここでは、異常事象に関する情報として、日時と、路線名称と、列車番号と、カメラ番号と、解析結果とが表示される。解析結果では、異常事象の内容と異常レベルとが表示される。これにより、係員が、全ての路線において過去に発生した異常事象を確認することができる。なお、履歴一覧表示部106では、最新の異常事象に関する情報が一番下に表示される。
【0104】
次に、監視端末6に表示される路線詳細画面111について説明する。
図8は、路線詳細画面111を示す説明図である。
【0105】
路線マップ画面101(
図7参照)において係員が路線ボタン105を操作して路線を選択すると、路線詳細画面111に遷移する。路線詳細画面111は、選択された路線において発生した異常の状況を係員に提示するものである。
【0106】
路線詳細画面111には、路線詳細
図112が表示される。路線詳細
図112には、駅マーク113と、軌道区間マーク114と、列車マーク115とが表示される。
【0107】
駅マーク113は、当該駅において列車の受け入れが可能か否かに応じた色で描画される。分析サーバ5では、駅の出入り口やホームに設置されたカメラ1の撮影画像などを利用して駅の混雑状況が検知され、その混雑状況に基づいて列車の受け入れの可否が判定される。
【0108】
軌道区間マーク114は、軌道区間で発生している異常事象の異常レベル(警告、注意)に応じた色で描画される。
図8に示す例では、#1202の軌道区間で異常が発生しており、この軌道区間が処置対象となる。
【0109】
列車マーク115は、列車の実際の軌道上の位置に対応する位置に配置され、列車の進行に伴って移動する。列車マーク115は、異常レベル(警告、注意)に応じた色で描画される。
図8に示す例では、#113の列車で異常(警告)が発生しており、この列車が処置対象となる。また、列車マーク115は、混雑状態である場合に、異常レベルとは異なる種類の強調表示を行うようにしてもよい。
図8に示す例では、#113の列車が混雑状態であるため、列車マーク115に斜線が描画される。係員が、列車マーク115を操作して列車を選択すると、列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)に遷移する。
【0110】
また、路線詳細
図112には、沿線の特徴物が描画されている。
図8に示す例では、トンネルおよびのり面が描画されている。
【0111】
また、路線詳細画面111には、履歴一覧表示部116が設けられている。履歴一覧表示部116には、過去に検知された異常事象ごとに、その異常事象に関する情報が一覧表示される。ここでは、異常事象に関する情報として、日時と、列車番号と、カメラ番号と、解析結果とが表示される。解析結果では、異常事象の内容と異常レベルとが表示される。これにより、係員が、選択した路線において過去に発生した異常事象を確認することができる。なお、履歴一覧表示部116では、最新の異常事象に関する情報が一番下に表示される。
【0112】
履歴一覧表示部116には、異常事象ごとの表示欄に異常事象ボタン117が設けられている。係員が異常事象ボタン117を操作して異常事象を選択すると、異常事象確認画面121(
図10参照)に遷移する。
【0113】
また、路線詳細画面111には、時系列状況表示ボタン118と列車状況表示ボタン119とが設けられている。係員が時系列状況表示ボタン118を操作すると、時系列状況画面131(
図11参照)に遷移する。係員が列車状況表示ボタン119を操作すると、列車状況画面141(
図12参照)に遷移する。
【0114】
ここで、監視センター(運転指令所)の係員(指令員)は、路線詳細画面111(
図8参照)において異常が発生している列車を見つけると、その注目する列車に関する異常事象ボタン117を操作して、異常事象確認画面121(
図10参照)を表示させて、注目する列車に発生している異常事象をカメラ画像で確認する。そして、係員は、注目する列車の運転手などに対して必要な指示を行う。
【0115】
このとき、係員は、注目する列車の進行方向に位置する駅で、注目する列車の受入れが可能か否か、すなわち、注目する列車の進行方向に位置する駅で、混雑が発生していないか否かを確認する。ここで、注目する列車の進行方向に位置する駅で、列車の受入れが可能であれば、注目する列車に対してそのまま進行して駅に進入するように指示する。一方、注目する列車の進行方向に位置する駅で、列車の受入れが不可であれば、注目する列車に対して駅の手前で待機するように指示する。
図8に示す例では、#113の列車で異常が発生しているため、この列車が処置対象となり、係員は、#113の列車の進行方向に位置するA3駅における列車の受け入れの可否を確認する。この場合、A3駅が列車の受け入れが不可であるため、係員は、A3駅の手前で待機するように運転手に指示する。
【0116】
次に、画像解析サーバ2で行われる路線異常検知処理の概要について説明する。
図9は、路線異常検知処理の概要を示す説明図である。
【0117】
画像解析サーバ2では、路線異常検知処理が行われる。路線異常検知処理では、カメラ画像に基づいて、路線環境、すなわち、列車が走行する軌道およびその周辺に発生する異常を検知する。また、本実施形態では、列車自体に発生する異常を検知する。そして、路線環境の異常に関する検知結果と、列車自体の異常に関する検知結果とに基づいて、路線詳細画面111(
図8参照)などの監視画面における軌道区間および列車の状況表示が行われる。
【0118】
ここで、本実施形態では、1本の軌道を走行した複数の列車ごとの異常の発生状況に基づいて、路線環境の異常か列車自体の異常かを判別する。具体的には、1本の軌道を走行中の複数の列車のうちの1つの列車で異常が検知された場合には、列車の異常と判定する。一方、1本の軌道を走行中の複数の列車のうちの全てで異常が検知された場合には、路線環境の異常と判定する。
【0119】
図9(A-1),(A-2),(A-3)に示す例では、#114,#113,#112の各列車が、#1104,#1105,#1106の各軌道区間を順次通過した場合に、#113の列車のみで異常(例えば車体の揺れ)が検知され、#114,#112の各列車では異常が検知されていない。この場合、#113の列車自体に異常があるものと判定される。
【0120】
図9(B-1),(B-2),(B-3)に示す例では、#122,#123,#124の各列車が、#1203,#1202,#1201の各軌道区間を順次通過した場合に、#122,#123,#124の各列車の全てで#1202の軌道区間を通過時に異常(例えば車体の揺れ)が検知されている。この場合、#1202の軌道区間に異常があるものと判定される。
【0121】
次に、監視端末6に表示される異常事象確認画面121について説明する。
図10は、異常事象確認画面121を示す説明図である。
【0122】
路線詳細画面111(
図8参照)において係員が異常事象ボタン117を操作して異常事象を選択すると、異常事象確認画面121に遷移する。異常事象確認画面121は、係員(監視員)が、検知された異常事象の状況をカメラ画像で確認するものである。係員は、異常事象確認画面121で異常事象の状況を確認すると、異常事象に応じた適切な処置を行う。具体的には、係員は、異常が発生したことを運転手に通知すると共に、必要な指示を運転手に対して行う。例えば、直近の駅で速やかに停車するように運転手に指示する。
【0123】
異常事象確認画面121には、第1,第2のカメラ画像表示部122,123が設けられている。第1のカメラ画像表示部122には、異常事象が検知された時点のカメラ画像(静止画像)が表示される。第2のカメラ画像表示部123には、異常事象が検知された時点の前後の所定期間(例えば10秒間)のカメラ画像(動画像)が表示される。これにより、係員が、異常の発生状況、特に、異常事象が検知された時点の状況とその前後の状況とを確認することができる。
【0124】
また、異常事象確認画面121には、指示内容入力欄124が設けられている。指示内容入力欄124では、係員が、発生した異常事象に関して関係者(運転手など)に対して指示した内容を文字で入力することができる。
【0125】
また、異常事象確認画面121には、確認完了ボタン125が設けられている。係員は、第1,第2のカメラ画像表示部122,123で異常事象の状況をカメラ画像で確認し、必要に応じて指示内容入力欄124に関係者に対して指示した内容を入力した上で、確認完了ボタン125を操作する。これにより、分析サーバ5では、指示内容入力欄124に入力された指示内容に関する情報が、当該異常事象に関して係員が確認済みであることを表す情報と、係員が確認した日時に関する情報と共に蓄積される。
【0126】
次に、監視端末6に表示される時系列状況画面131について説明する。
図11は、時系列状況画面131を示す説明図である。
【0127】
路線詳細画面111(
図8参照)において係員が時系列状況表示ボタン118を操作すると、時系列状況画面131に遷移する。時系列状況画面131は、各列車で検知された異常の時間的な変化状況を係員に提示するものである。
【0128】
時系列状況画面131には、時間帯別表示部132が設けられている。時間帯別表示部132には、各列車における時間帯ごとに、異常の発生を表すアラートマーク133が表示される。これにより、係員が、各列車における時間帯ごとの異常の発生状況を把握することができる。また、アラートマーク133は、異常レベル(警告、注意)が色および文字により識別可能に表示される。これにより、係員が、発生した異常の異常レベルを把握することができる。
【0129】
図11に示す例では、#113の列車では、10時の時間帯で警告レベルの異常が発生し、11時以降の時間帯でも注意レベルの異常が継続して発生している。これにより、#113の列車自体に異常が発生しているものと推定される。
【0130】
時間帯別表示部132の列車ごとの表示欄には列車ボタン134が設けられている。係員が列車ボタン134を操作して列車を選択すると、列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)に遷移する。このとき、列車詳細状況画面161に、選択された列車に関する情報が表示される。
【0131】
また、時系列状況画面131には、グラフ表示部135が設けられている。グラフ表示部135には、列車ごとの異常発生件数を表すグラフが表示される。異常発生件数は、過去の所定期間(例えば直近の1週間)の累計値である。これにより、係員が、過去の所定期間における列車ごとの異常の発生状況を把握することができる。
【0132】
次に、監視端末6に表示される列車状況画面141について説明する。
図12は、列車状況画面141を示す説明図である。
【0133】
路線詳細画面111(
図8参照)において係員が列車状況表示ボタン119を操作すると、列車状況画面141に遷移する。列車状況画面141は、各列車で検知された異常の位置的な変化状況を係員に提示するものである。
【0134】
列車状況画面141には、軌道区間別表示部142が設けられている。軌道区間別表示部142には、各列車における軌道区間ごとに、異常の発生を表すアラートマーク143が表示される。これにより、係員が、各列車における軌道区間ごとの異常の発生状況を把握することができる。また、アラートマーク143は、異常レベル(警告、注意)が色および文字により識別可能に表示される。これにより、係員が、発生した異常の異常レベルを把握することができる。
【0135】
図12に示す例では、#113の列車では、#1101の軌道区間で警告レベルの異常が発生し、#1102以降の軌道区間でも注意レベルの異常が継続して発生している。これにより、#113の列車自体に異常が発生しているものと推定される。また、#1202の軌道区間では、#122,#123,#124の各列車の全てで、警告レベルの異常が発生している。これにより、#1202の軌道区間に異常が発生しているものと推定される。
【0136】
軌道区間別表示部142の軌道区間ごとの表示欄には軌道区間ボタン144が設けられている。係員が軌道区間ボタン144を操作して軌道区間を選択すると、軌道詳細状況画面151(
図13参照)に遷移する。このとき、軌道詳細状況画面151に、選択された軌道区間に関する情報が表示される。
【0137】
また、列車状況画面141には、グラフ表示部145が設けられている。グラフ表示部145には、軌道区間ごとの異常発生件数を表すグラフが表示される。異常発生件数は、過去の所定期間(例えば直近の1週間)の累計値である。これにより、係員が、過去の所定期間における軌道区間ごとの異常の発生状況を把握することができる。
【0138】
次に、監視端末6に表示される軌道詳細状況画面151について説明する。
図13は、軌道詳細状況画面151を示す説明図である。
【0139】
列車状況画面141(
図12参照)において係員が軌道区間ボタン144を操作して軌道区間を選択すると、軌道詳細状況画面151に遷移する。軌道詳細状況画面151は、各軌道区間において発生した異常の詳細な状況を係員に提示するものである。
【0140】
軌道詳細状況画面151には、軌道区間ごとに軌道区間ボタン152(タブ)が設けられている。係員は、軌道区間ボタン152を操作することで軌道区間を選択することができる。また、軌道区間ボタン152は、異常発生時に異常レベルに応じた色で表示される。
【0141】
また、軌道詳細状況画面151には、第1,第2のカメラ画像表示部153,154が設けられている。第1のカメラ画像表示部153には、異常事象が検知された時点のカメラ画像(静止画像)が表示される。第2のカメラ画像表示部154には、異常事象が検知された時点の前後の所定期間(例えば10秒間)のカメラ画像(動画像)が表示される。係員が、軌道区間ボタン152を操作して軌道区間を選択すると、選択された軌道区間に関するカメラ画像が第1,第2のカメラ画像表示部153,154に表示される。これにより、係員が、選択した軌道区間におけるカメラ画像を目視して、異常の発生状況、特に、異常事象が検知された時点の状況とその前後の状況とを確認することができる。
【0142】
また、軌道詳細状況画面151には、履歴一覧表示部155が設けられている。履歴一覧表示部155には、過去に検知された異常事象ごとに、その異常事象に関する情報が一覧表示される。ここでは、異常事象に関する情報として、日時と、軌道区間番号と、列車番号と、カメラ番号と、解析結果とが表示される。解析結果では、異常事象の内容と異常レベルとが表示される。係員が、軌道区間ボタン152を操作して軌道区間を選択すると、選択された軌道区間に関する過去の異常事象の情報が履歴一覧表示部155に表示される。これにより、係員が、選択された軌道区間において過去に発生した異常事象を確認することができる。なお、履歴一覧表示部155では、最新の異常事象に関する情報が一番下に表示される。
【0143】
履歴一覧表示部155の異常事象ごとの表示欄には異常事象ボタン156が設けられている。係員が異常事象ボタン156を操作して異常事象を選択すると、列車詳細状況画面161(
図14,
図15参照)に遷移する。
【0144】
次に、監視端末6に表示される列車詳細状況画面161について説明する。
図14は、オリジナル画像が選択された場合の列車詳細状況画面161を示す説明図である。
図15は、合成画像が選択された場合の列車詳細状況画面161を示す説明図である。
【0145】
軌道詳細状況画面151(
図13参照)において係員が異常事象ボタン156を操作して異常事象を選択すると、列車詳細状況画面161に遷移する。列車詳細状況画面161は、各列車において発生した異常の詳細な状況を係員に提示するものである。
【0146】
列車詳細状況画面161には、号車(車両)ごとに号車ボタン162(タブ)が設けられている。係員は、号車ボタン162を操作することで号車を選択することができる。また、号車ボタン162は、異常発生時に異常レベルに応じた色で表示される。
【0147】
また、列車詳細状況画面161には、カメラ1ごとにカメラボタン163が設けられている。
図14,
図15に示す例は、1両に4台のカメラ1が設置された場合であり、4つのカメラボタン163が設けられている。係員は、カメラボタン163を操作することでカメラ1を選択することができる。また、カメラボタン163は、異常発生時に異常レベルに応じた色で表示される。
【0148】
また、列車詳細状況画面161には、画像の種別を選択する画像種別ボタン164(ラジオボタン)が設けられている。係員は、画像種別ボタン164を操作することでオリジナル画像および合成画像のいずれかを選択することができる。
【0149】
また、列車詳細状況画面161には、第1,第2のカメラ画像表示部165,166が設けられている。第1のカメラ画像表示部165には、異常事象が検知された時点のカメラ画像(静止画像)が表示される。第2のカメラ画像表示部166には、異常事象が検知された時点の前後の所定期間(例えば10秒間)のカメラ画像(動画像)が表示される。係員が、号車ボタン162を操作して号車を選択すると共に、カメラボタン163を操作してカメラ1を選択すると、選択された号車における選択されたカメラ1により撮影されたカメラ画像が第1,第2のカメラ画像表示部165,166に表示される。これにより、係員が、選択した号車およびカメラ1によるカメラ画像を目視して、異常の発生状況、特に、異常事象が検知された時点の状況とその前後の状況とを確認することができる。
【0150】
ここで、
図14に示す例は、画像種別ボタン164を操作してオリジナル画像を選択した場合である。この場合、第1,第2のカメラ画像表示部165,166に、未処理のカメラ画像が表示される。一方、
図15に示す例は、画像種別ボタン164を操作して合成画像を選択した場合である。この場合、第1,第2のカメラ画像表示部165,166に、合成鳥瞰画像が表示される。合成鳥瞰画像は、車両(号車)の周囲を上方から見た状態の画像であり、車両に設置された複数(ここでは4台)のカメラ1により撮影された4枚のカメラ画像を合成して生成される。この合成鳥瞰画像により、係員が、車両の周囲の状況、特に異常が発生している箇所と車両との位置関係を容易に把握することができる。
【0151】
また、列車詳細状況画面161には、履歴一覧表示部167が設けられている。履歴一覧表示部167には、過去に検知された異常事象ごとに、その異常事象に関する情報が一覧表示される。ここでは、異常事象に関する情報として、日時と、列車番号と、カメラ番号と、解析結果とが表示される。解析結果では、異常事象の内容と異常レベルとが表示される。係員が、号車ボタン162を操作して号車(車両)を選択すると、選択された号車に関する過去の異常事象の情報が履歴一覧表示部167に表示される。これにより、係員が、選択された車両において過去に発生した異常事象を確認することができる。なお、履歴一覧表示部167では、最新の異常事象に関する情報が一番下に表示される。
【0152】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図16は、第1実施形態の変形例に係る路線環境監視システムの全体構成図である。
【0153】
第1実施形態では、列車にカメラ1が設置されていたが、本実施形態では、カメラ1に加えてマイク7が列車に設置されている。マイク7により、列車の走行時に発生する異音を収音することができる。また、マイク7は、カメラ1ごとに設置されている。これにより、マイク7により収音された異音とカメラ画像とを対応付けて、路線環境の異常を検知することができる。
【0154】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図17は、第2実施形態に係る路線環境監視システムの全体構成図である。
【0155】
第1実施形態では、画像解析サーバ2が列車に搭載されていたが、本実施形態では、画像解析サーバ9が監視センターに設置され、列車には代わりに画像蓄積サーバ8が搭載されている。
【0156】
画像蓄積サーバ8は、カメラ1から取得したカメラ画像を蓄積すると共に、カメラ画像を画像解析サーバ9に提供する。画像解析サーバ9は、各列車に搭載された画像蓄積サーバ8からカメラ画像を収集し、そのカメラ画像に対して、異常検知のための画像解析を行い、カメラ画像およびその解析結果を蓄積すると共に、カメラ画像およびその解析結果を分析サーバ5に送信する。分析サーバ5は、画像解析サーバ2からカメラ画像およびその解析結果を取得して、そのカメラ画像およびその解析結果に対して所要の処理を行うことで、異常の発生状況を係員に提示する各種の監視画面を生成して監視端末6に配信する。
【0157】
なお、画像解析サーバ9と分析サーバ5との両方の機能を備えたサーバ装置が設けられるものとしてもよい。
【0158】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係る路線環境監視システムおよび路線環境監視方法は、ドアの挟み込みを検知する用途で設置されたカメラを利用して、移動体の走行中に移動体の周辺を撮影することで取得したカメラ画像に基づいて路線の異常等を検知することができる効果を有し、人物が搭乗する移動体の路線環境の異常を検知して、その路線環境の異常を係員に報知する路線環境監視システムおよび路線環境監視方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0160】
1 カメラ
2 画像解析サーバ(サーバ装置)
3 報知装置(端末装置)
4 無線基地局
5 分析サーバ(サーバ装置)
6 監視端末(端末装置)
7 マイク
8 画像蓄積サーバ
9 画像解析サーバ
101 路線マップ画面
111 路線詳細画面
121 異常事象確認画面
131 時系列状況画面
141 列車状況画面
151 軌道詳細状況画面
161 列車詳細状況画面