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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076080
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】液戻り機構付きキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/40 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
B65D47/40 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189262
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】仲野 祐輔
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB02
3E084BA01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA02
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC07
3E084GA01
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB06
3E084HB02
3E084HD04
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
3E084LF01
(57)【要約】
【課題】容物を抽出するときの液切れ性とキャップへの内容物残りを改善したキャップを提供する。
【解決手段】天板部11と、天板部周縁から下方に垂設された筒状の周壁12とを有するキャップ本体10と、キャップ本体上部に装着される蓋部20を有し、キャップ本体が容器口部の先端と係合して容器に装着されるキャップ1であって、天板部から筒状に下垂する筒壁13が設けられ、筒壁下端を閉塞する板状の隔壁部14と、隔壁部から起立する上下端が開口して連通した注出筒15を有し、蓋部は、閉じたときに注出筒の上端開口に嵌入する液止めピン21を有し、筒壁の下端から所定の高さとなる位置に液戻り用の開口部17が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、天板部周縁から下方に垂設された筒状の周壁とを有するキャップ本体と、前記キャップ本体上部に装着される蓋部を有し、前記キャップ本体が容器口部の先端と係合して容器に装着されるキャップであって、
前記天板部から筒状に下垂する筒壁が設けられ、
前記筒壁下端を閉塞する板状の隔壁部と、
前記隔壁部から起立する上下端が開口して連通した注出筒を有し、
前記蓋部は、閉じたときに前記注出筒の上端開口に嵌入する液止めピンを有し、
前記筒壁の下端から所定の高さとなる位置に液戻り用の開口部が形成されていることを特徴とする液戻り機構付きキャップ。
【請求項2】
前記蓋部が、前記キャップ本体にヒンジを介して揺動可能に連設されていることを特徴とする請求項1に記載の液戻り機構付きキャップ。
【請求項3】
前記キャップ本体と前記蓋部とが別体であり、互いに螺合するネジ構造が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液戻り機構付きキャップ。
【請求項4】
前記筒状の周壁の内面側に、容器口部に螺合する内ネジ部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液戻り機構付きキャップ。
【請求項5】
前記筒状の周壁の内面側に、容器口部に打栓嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液戻り機構付きキャップ。
【請求項6】
前記液戻り用の開口部が、前記筒壁のヒンジ側に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液戻り機構付きキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料や酒類などの液体用容器のキャップに関し、特に内容物である液体等の液切れ性の向上と液残りを改善したキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ本体と上蓋が薄肉のヒンジで繋がり、ヒンジにより上蓋を回動させて、上蓋を開閉可能にする機構が備わったヒンジキャップは、開口時に上蓋を落としたり、なくしたり、汚したりしないので、大変便利であるため、特に多くの容器のキャップとして使用されてきている。
【0003】
このようなヒンジキャップでは、キャップ本体は、筒状側壁の内部に開口予定部を有する封鎖板が設けられ、この筒状側壁に容器口部が嵌着され、かつ該筒状側壁の上端部分に、上蓋が開閉自在にヒンジ連結された構造となっている。封鎖板の上面には、注出筒が立設されており、この注出筒内に引き裂き可能な薄肉部が周回して設けられて開口予定部を区画しており、さらに、開口予定部内には上端にプルリングを有する支柱が設けられている。
【0004】
そして、ヒンジキャップは、上蓋を開けた後、上記のプルリングを指で引っ張り上げることにより、開口予定部を区画している薄肉部を引き裂いて、内容物を注出するための開口を形成して、容器内に収容された内容物の注出が行われる。例えば特許文献1にはこのような構造のヒンジキャップが開示されている。しかしこのような従来のヒンジキャップでは、ボトル内部から出てくる内容物の液切れが悪かった。
【0005】
これに対し特許文献2に開示されている様な、開口部の直径を細いものにして、液切れを改善したとする形状のキャップも知られているが、内容物を注出する際に発生してしまう開口部周辺への液だれが、開口部が小さいため容器内に戻らずに液溜め部に残ってしまう液残りが発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4156055号公報
【特許文献2】特開2007-320589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、清涼飲料水や酒類などの液体用容器(ボトルまたは紙パック等)に使用するキャップにおいて、内容物を抽出するときの液切れ性とキャップへの液残りを改善したキャップを提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、天板部と、天板部周縁から下方に垂設された筒状の周壁とを有するキャップ本体と、前記キャップ本体上部に装着される蓋部を有し、前記キャップ本体が容器口部の先端と係合して容器に装着されるキャップであって、
前記天板部から筒状に下垂する筒壁が設けられ、
前記筒壁下端を閉塞する板状の隔壁部と、
前記隔壁部から起立する上下端が開口して連通した注出筒を有し、
前記蓋部は、閉じたときに前記注出筒の上端開口に嵌入する液止めピンを有し、
前記筒壁の下端から所定の高さとなる位置に液戻り用の開口部が形成されていることを特徴とする液戻り機構付きキャップである。
【0009】
上記液戻り機構付きキャップにおいて、前記蓋部が、前記キャップ本体にヒンジを介して揺動可能に連設されていて良い。
【0010】
上記液戻り機構付きキャップにおいて、前記キャップ本体と前記蓋部とが別体であり、互いに螺合するネジ構造が設けられていても良い。
【0011】
上記液戻り機構付きキャップにおいて、前記筒状の周壁の内面側に、容器口部に螺合する内ネジ部が設けられていても良い。
【0012】
上記液戻り機構付きキャップにおいて、前記筒状の周壁の内面側に、容器口部に打栓嵌合する嵌合部が設けられていても良い。
【0013】
上記液戻り機構付きキャップにおいて、前記液戻り用の開口部が、前記筒壁のヒンジ側に設けられていても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内容物を抽出するときの液切れ性とキャップへの内容物残りを改善したキャップが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の液戻り機構付きキャップの一形態の縦断面図。
図2】蓋部を閉じた状態の縦断面図。
図3】キャップ本体を上方から見た平面図。
図4】液戻り機構付きキャップの液戻りの説明図。
図5】液戻り機構付きキャップの変形例の液戻りの説明図。
図6】液戻り機構付きキャップの変形例から内容物を注出する態様の説明図。
図7】本発明の液戻り機構付きキャップの別形態の縦断面図。
図8】本発明の液戻り機構付きキャップの第3の形態の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。また以下において同等の部材等には同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0017】
図1は、本発明の液戻り機構付きキャップ(以下、単に「キャップ」とも言う。)の一形態の縦断面図である。本実施形態のキャップ1は、プラスチック樹脂を成形加工して形成されたキャップ本体10と蓋部20とを有する。図1は蓋部20が開いた状態を示している。キャップ本体10は、ガラスボトル等の容器の口部の形状に合わせた、典型的には略円形の天板部11と、天板部11の周縁から下方に垂設された周壁12とを有する。蓋部20はキャップ本体10を覆う形状であり、キャップ本体10とヒンジ23を介して揺動可能に連設されていて、蓋部20はヒンジ23を中心に矢印Aで示す様に回動することで開閉自在とされている。またヒンジ23と直径方向の反対側に、蓋部20を係止するための係止部(図示せず)や、摘み24を適宜設けても良い。
【0018】
天板部11には、筒状に下垂する筒壁13が設けられ、筒壁13の下端は隔壁部14で
閉塞されているが、隔壁部14からは内容物を注出するための注出筒15が起立している。注出筒15は上下端が開口して連通しており、キャップ1が容器等に装着されたときに内容物がその開口16を通して注出可能とされている。開口16の横断面形状は特に限定されないが、典型的には円形であり、その直径は、内容物の流動性に合わせ、液切れ性が良い様に適宜設定される。また縦断面形状は、図示したように先端側が広がった、いわゆるラッパ型の形状とすると、液切れが良く、また後述する液止めピン21が挿入されやすく好ましい。また注出筒15の上端は天板部11よりも上方に突出していると好ましい。注出筒15により、液切れ良く内容物を注出することができる。
【0019】
筒壁13にはまた、隔壁部14から所定の高さの部位に液戻り用の開口部17が設けられている。開口部17を設ける高さは容器の内容物の流動性などに合わせ適宜設定でき、筒壁13の下端で隔壁部14に接する位置でも良い。またその形状および大きさは内容物の流動性などを勘案して適宜設定すれば良く、円形、矩形など任意の形状とすることができる。開口部17は1箇所または複数箇所に設けて良い。液戻りの具体的な態様については後述する。
【0020】
周壁12の内面側には容器やスパウトの口部などと螺合するための内ネジ部18が設けられ、図1ではスパウト30に設けられた外ネジ部31と螺合して、キャップ1を固定している。また、天板部11から、容器等の口部の内面側に沿う様にインナーリング19が下垂し、内容物の漏れなどを防いでいる。
【0021】
蓋部20には、図2に示す様に蓋部20を閉じたときに、注出筒15に上部開口から嵌入して注出筒15から内容物が零れるのを防ぐ液止めピン21が頂板22から垂設されている。液止めピン21の断面形状は開口16の断面形状と同等であり、典型的には円形である。
【0022】
図3は、キャップ本体10を上方から見た平面図である。天板部11から下垂する筒壁13により天板部11には凹部が形成され、その底部は隔壁部14で閉塞されているが、隔壁部14から起立する注出筒15に設けられた開口16が容器等に取り付けられた際の内容物の注出口となる。筒壁13と隔壁部14により天面板11に形成される凹部は、内容物を注出した際に注出筒15の外面側に付着した内容物が垂れ落ちる、いわゆる液だれを受け止める液溜りとなる部分である。液溜りに貯留した液だれは、開口部17から流出させて容器の内部に戻すことができる。
【0023】
実際に液だれが生じたときの液戻りの態様を説明するのが図4である。容器を傾けるなどして注出筒15から内容物を注出すると、若干の内容物が注出筒15の先端付近に付着するが、容器を正立させると、付着した内容物のうち一部の内容物32は注出筒15の内面を伝って容器内に戻り、他の一部は注出筒15の外面を伝って流下し、液溜りとなった部分に貯留する。貯留した内容物の量が開口部17の高さを超えると、内容物33は開口部17から流出し、速やかに容器内に戻る。従って本実施形態のキャップ1では、注出時に注出筒15の外面側に液だれが発生した場合でも、キャップ1に貯留する内容物の量は開口部17の高さを超えて貯留することがなく、液溜りが溢れてしまうことはなく、すみやかに液戻しを行うことができる。
【0024】
図5は、本実施形態の液戻り機構付きキャップの変形例の液戻りの説明図である。この例においては、開口部17が特にヒンジ23側に設けられているが、それ以外は図4に示した態様と同等であるので説明は省略する。
【0025】
図5に示したキャップを装着した容器から内容物を注出する際、通常は図6に示すように蓋部が邪魔にならない様にヒンジ23から最も遠く離れた側が下側になるように傾けら
れる。そのため、内容物34が注出筒15の開口16から注出されるとき、開口部17が注出筒15よりも上部側となるため、内容物34が開口部17からも同時に流出してしまう恐れが少ない。ただし、開口部17から流出した場合でも、容器を正立させれば内容物は液溜りに戻り、開口部17から再び容器の内部に戻すことができるので、多量の液溜りが発生することはない。
【0026】
図7は本発明の液戻り機構付きキャップの別形態の縦断面図である。本実施形態のキャップ2では、容器の口部との係合が打栓嵌合の形態となっている。すなわち、容器口部35に設けられた嵌合用凸部36に嵌め合いとなる嵌合凸部18bが、キャップ本体10bの周壁12の内面側に設けられている。本発明の液戻し機構付きキャップはプラスチック樹脂を成形加工して形成されたものであるので、容器口部35の嵌合用凸部36を乗り越えて容易に嵌合させることができる。
【0027】
図8は本発明の液戻り機構付きキャップの第3の形態の縦断面図である。本実施形態のキャップ3では、キャップ本体10cと蓋部20bが別体となっており、上述の実施形態の様にヒンジで繋がっていない形態である。キャップ本体10cの天面板11には筒状のネジ壁27が立設され、外面側に外ネジ部26が設けられている。そして蓋部20bの内面側に設けられた内ネジ部25と螺合することで、蓋部20bをキャップ本体10cに係合する。本実施形態においては、注出筒15は天面板11の中央となる位置に立設され、液止めピン21は頂板22の中央となる位置から垂設されていると、互いの螺合がスムーズに行える。
【0028】
本発明の液戻り機構付きキャップは、酒、調味料などの液体状の内容物用の容器に利用するキャップであり、容器としてはプラスチックボトルやガラス瓶、紙パックなどである。プラスチックボトルやガラス瓶の場合はその口部に直接取り付けられ、紙パックの場合は注出口となるスパウトに係合する形で取り付けられる。また紙パックに取り付ける場合は、フラットトップと呼ばれる平坦な上面にスパウトを取り付けた容器に取り付けると、液戻り性の点で最も効果的である。
【0029】
本発明の液戻り機構付きキャップの製造方法としては特に限定されず、射出成形等の公知の方法を採用することができる。また本発明の液戻り機構付きキャップを構成する材料としては、射出成形等の製造方法に適用できるものであれば特に限定するものではないが、例えば低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂などが好適に使用できるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0030】
1、2、3・・・液戻り機構付きキャップ、10・・・キャップ本体、11・・・天面部、12・・・周壁、13・・・筒壁、14・・・隔壁部、15・・・注出筒、16・・・開口、17・・・開口部、18・・・内ネジ部、19・・・インナーリング、20・・・蓋部、21・・・液止めピン、22・・・頂板、23・・・ヒンジ、27・・・ネジ壁、30・・・スパウト、32、33、34・・・内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8