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  • 特開-クリップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076357
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】クリップ
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/20 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
F16B2/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189747
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】519372423
【氏名又は名称】有限会社テー・シー・富山
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟戸 公明
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA17
3J022EA41
3J022EC02
3J022ED07
3J022FA02
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA05
3J022HB06
(57)【要約】
【課題】
様々な用途に対応可能であり、しかも製造時や処分時の手間を削減するため、一つの素材で一体的に形成されたクリップを提供する。
【解決手段】
クリップは一本の棒材で構成してあり、これを変形させて挟持部13、33と支点部21と短軸部14、34と長軸部12、32とからなる四領域に区画し、一対の挟持部13、33で被挟持物を挟み込む。また棒材をコイル状に屈曲させて支点部21を形成した上、支点部21と個々の挟持部13、33を短軸部14、34で接続し、さらに挟持部13、33から伸びる一対の長軸部12、32は、支点部21の外周を挟み込むように配置することで、長軸部12、32を操作して挟持部13、33を変位させることができる。そしてコイル状の支点部21により、安定した反力を得られるほか、長軸部12、32の変位量を十分に確保できるため、用途に制約を受けることがなく、様々な分野で使用可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の棒材で構成されるクリップであって、被挟持物を挟み込む一対の挟持部(13、33)を有しており、一対の該挟持部(13、33)は支点部(21)を介して連結してあり、
個々の前記挟持部(13、33)は、前記棒材を概ね180度屈曲させることで形成してあり、その一端側には、前記支点部(21)に向かう短軸部(14、34)が接続しており、また他端側には、該支点部(21)の近傍を通過してその先に伸びる長軸部(12、32)が接続しており、
前記支点部(21)は、前記棒材をコイル状に屈曲させることで形成してあり、また個々の前記短軸部(14、34)は、該支点部(21)と接続しており、且つ一対の該短軸部(14、34)は、コイル状に屈曲した該支点部(21)を挟んで対向するように配置してあり、該支点部(21)を弾性変形させたことで生じる反力により、一対の前記挟持部(13、33)を閉じることができ、
一対の前記長軸部(12、32)は、前記支点部(21)の外周を挟み込むように配置してあり、一対の該長軸部(12、32)の先端側を接近させた場合、該長軸部(12、32)が該支点部(21)に接触して一対の前記挟持部(13、33)が開くことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記棒材の一部区間は、押圧加工または切削加工によって断面形状を変化させてあることを特徴とする請求項1記載のクリップ。
【請求項3】
前記長軸部(12、32)と前記支点部(21)との離脱を防ぐため、双方の接触箇所には案内溝(25)を形成してあることを特徴とする請求項2記載のクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の紙面や洗濯後の衣類など、様々な物を保持する際に使用するクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
クリップは、複数の紙面など、様々な物を挟み込むことのできる日用品であり、用途に応じて様々な種類が存在しているが、その中のゼムクリップは、針金状の棒材を長円形に形成した構造になっており、数枚の紙面など、比較的薄い物を束ねる際に使用することが多い。また目玉クリップやダブルクリップは、数十枚の紙面など、より厚い物を束ねる際に使用することが多く、テコの原理によって開閉可能な構造になっており、そのツマミ部分を指などで押し込むと、反対側の挟持部が開いていき、そこに様々な物を挟み込むことができる。そのほか洗濯バサミについては、衣類の破損防止と保持力の確保を両立させる必要があり、合成樹脂と金属を組み合わせた構造のものが多い。このようなクリップ類の技術開発に関し、針金などの棒材を中心に構成されたものの具体例については、後記の特許文献が挙げられる。
【0003】
特許文献1では、使い易く汎用性を有するクリップが開示されている。このクリップは、一本の金属線を屈曲させて形成したものであり、一対の挟み片と、個々の挟み片から伸びる延長部と、挟み片と延長部との境界付近に位置する締付け部との三要素で構成され、そのうち締付け部は細長い環状に形成されており、この締付け部の中には、挟み片の基端寄りの部分を通過させているほか、一対の延長部は、締付け部から遠ざかるに連れ、間隔が徐々に開いていく形状になっている。そして一対の延長部を指などで挟み込むことで、一対の挟み片は、締付け部を支点とした状態で開いていき、その間で各種物品を保持することができる。
【0004】
特許文献2では、操作が容易であり、しかも使いやすい工夫を施したクリップが開示されている。このクリップは、金属線などの棒材を環状に形成した一方部材と、棒材をU字状に形成した他方部材との二要素で構成され、一方部材と他方部材のいずれも、挟み止め端部と基端個所を設けてある。さらに他方部材には、枝状に突出するリング部を左右対称に形成してあり、このリング部を一方部材に巻き付けることで、一方部材と他方部材は、変位可能な状態で一体化する。そして、一方部材と他方部材の双方の基端個所を指などで引き寄せると、対向する挟み止め端部が開いていく。なお、挟み止め端部同士を圧接させる力は、リング部付近の弾性変形によって生じさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-99496号公報
【特許文献2】特開平9-277768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目玉クリップやダブルクリップは、複数の部品で構成されているため、製造時の手間が増大する。またこのようなクリップを処分する際は、再資源化を容易にするため、分解作業を伴うこともあるが、その作業時、蓄積されていた弾性変形により、部品が不用意に飛び出し、思わぬトラブルを招く恐れがある。そこで前記の特許文献1のように、クリップ全体を一個の部品で構成することが望ましい。ただし特許文献1では、その構造から、一対の挟み片を閉じる力を増大させることが難しいほか、一対の挟み片の開口を大きくすることも難しく、用途に制約を受ける恐れがある。
【0007】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、様々な用途に対応可能であり、しかも製造時や処分時の手間を削減するため、一つの素材で一体的に形成されたクリップの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、一本の棒材で構成されるクリップであって、被挟持物を挟み込む一対の挟持部を有しており、一対の該挟持部は支点部を介して連結してあり、個々の前記挟持部は、前記棒材を概ね180度屈曲させることで形成してあり、その一端側には、前記支点部に向かう短軸部が接続しており、また他端側には、該支点部の近傍を通過してその先に伸びる長軸部が接続しており、前記支点部は、前記棒材をコイル状に屈曲させることで形成してあり、また個々の前記短軸部は、該支点部と接続しており、且つ一対の該短軸部は、コイル状に屈曲した該支点部を挟んで対向するように配置してあり、該支点部を弾性変形させたことで生じる反力により、一対の前記挟持部を閉じることができ、一対の前記長軸部は、前記支点部の外周を挟み込むように配置してあり、一対の該長軸部の先端側を接近させた場合、該長軸部が該支点部に接触して一対の前記挟持部が開くことを特徴とする。
【0009】
本発明によるクリップは、一本の棒材を変形させるだけで製造可能であり、この点については、従来のゼムクリップと同様である。ただし本発明では、強度の確保などの観点から、ゼムクリップよりも太い棒材を使用することが望ましい。また棒材の材質については、本来の機能を確保できるならば、鉄やアルミニウムなどの金属のほか、合成樹脂や木材など、自在に選択可能である。そして一本の棒材は、その役割に応じて領域毎に名称を付与しており、具体的には挟持部と支点部と短軸部と長軸部に区画してある。
【0010】
挟持部は、各種の被挟持物を挟み込むための部位であり、必然的に一対が対向するように配置され、人為的な操作により、その間隔を変化させることができる。しかも被挟持物を強固に挟み込めるよう、棒材には、あらかじめ弾性変形を生じさせてあり、その反力により、一対の挟持部を常時閉じることができる。また支点部は、一対の挟持部を連結する役割を担っており、個々の挟持部は支点部と接続しており、一対の挟持部は常に対向した状態を維持する。
【0011】
個々の挟持部は、棒材を概ね180度屈曲させることで形成される。そのため挟持部は、棒材が二列に並んでおり、そのいずれも支点部に向けて伸びているが、挟持部から先の区間については、一方を短軸部と称しており、他方を長軸部と称しており、そのうち短軸部は支点部に接続している。したがって支点部が弾性変形することで生じる反力は、短軸部を介して挟持部に伝達され、一対の挟持部を閉じることができる。対する長軸部は、支点部に接続することはなく、支点部の近傍を通過してその先に伸びている。
【0012】
支点部は、一対の挟持部を連結する役割を担っており、個々の挟持部は、前記のように短軸部を介して支点部と接続している。また支点部は、一対の挟持部を常時閉じるための力の発生源になる。そのため支点部は、棒材をコイル状に屈曲させた構成になっており、通常のコイルバネと同様、その中心を軸とするねじりを加えた際、反力を生じることになる。そしてこの反力により、短軸部を介して挟持部を変位させ、一対の挟持部を閉じることができる。なお支点部の詳細な形態は自在であり、その巻き数に制限はない。そのほか、支点部を単純なコイル状とすることなく、途中で棒材に折り返しを設け、コイル状に伸びる周面に切れ目を有する形態にすることもできる。
【0013】
短軸部は、個々の挟持部から伸びているため、支点部には二本の短軸部が到達することになる。この二本の短軸部は、コイル状に屈曲させた支点部の中心を挟んで対向するように配置され、それぞれが支点部と接続している。そのため、一対の挟持部を開く方向に変位させると、支点部にねじりが加わり、その弾性変形により、一対の挟持部を閉じようとする反力が生じることになる。
【0014】
個々の長軸部の先端側は、支点部を基準として挟持部の反対側に伸びている。加えて長軸部は、支点部の外周に接触できるように配置する。しかも二本の長軸部は、前記の短軸部と同様、コイル状に屈曲させた支点部の中心を挟んで対向するように配置する。そのため二本の長軸部の先端側を接近させると、長軸部が支点部に接触し、この接触箇所が長軸部の支点として機能し、支点部から挟持部までの区間では、二本の長軸部が遠ざかる方向に変位し、必然的に一対の挟持部が開いていき、その間に被挟持物を差し入れることができる。なおその際は、挟持部と併せて短軸部も変位するため、支点部にねじりが加わり、その反力で被挟持物を挟み込むことができる。
【0015】
このように、クリップを一本の棒材で構成することで、その用途を終えて処分する際は、分解などの作業を伴うことなく、全体を資源として活用することができる。また支点部は、棒材を屈曲させてコイル状に形成することで、安定した反力を得ることができ、一対の挟持部を強力に閉じることができる。さらに一対の長軸部は、支点部を挟み込むように配置するため、その間隔を広げることが容易であり、十分な変位量を確保でき、一対の挟持部を大きく開くことができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、利便性の向上などを目的としたものであり、棒材の一部区間は、押圧加工または切削加工によって断面形状を変化させてあることを特徴とする。棒材の断面形状は自在に決めることができるが、通常は入手性などの観点から円断面になることが多い。そして本発明では、指との接触箇所や挟持部も棒材だけで構成されるため、円断面の棒材では、指や被挟持物との接触面積が抑制されるほか、滑りを生じやすくなる。そこで本発明のように、棒材の断面形状を変化させることで、指や被挟持物との接触面積や摩擦を増大することができ、利便性が向上する。なお押圧加工は、棒材に塑性変形を生じさせるものであり、また切削加工は、滑り止め用の溝の削り出しなどを含むものとする。
【0017】
請求項3記載の発明は、長軸部と支点部との関係を特定するものであり、長軸部と支点部との離脱を防ぐため、双方の接触箇所には案内溝を形成してあることを特徴とする。挟持部から伸びる長軸部は、支点部の外周と接触するように配置してあり、その結果、一対の長軸部の先端側を人為的に接近させると、長軸部は、支点部との接触箇所を支点として変位することになる。その際、長軸部が支点部の外周から滑り落ちると、長軸部が本来の機能を発揮できなくなり、一対の挟持部を開くことができない。
【0018】
そこで長軸部と支点部との接触箇所に案内溝を形成することで、そこに長軸部と支点部のいずれか一方が嵌まり込み、長軸部が支点部から離脱不能になるため、確実に本来の機能を発揮できるようになる。なお案内溝は、長軸部と支点部のいずれか一方に形成すればよい。また、この案内溝が本来の機能を発揮できるよう、クリップを構成する棒材は、ある程度の太さを有することが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明のように、クリップを一本の棒材で構成し、この棒材を変形させて挟持部と支点部と短軸部と長軸部とからなる四領域に区画し、一対の挟持部で被挟持物を挟み込むほか、支点部はコイル状に屈曲させた上、挟持部と支点部を短軸部で接続し、さらに挟持部から伸びる一対の長軸部は、支点部の外周を挟み込むように配置することで、長軸部の先端側を操作し、挟持部を変位させることができる。本発明では、クリップ全体を一本の棒材だけで製造することができ、その用途を終えて処分する際は、分解などの作業が不要であり、全体を資源として活用することができる。
【0020】
支点部は、棒材をコイル状に屈曲させた構成になっており、通常のコイルバネと同様、その中心を軸とするねじりを加えた際は、弾性変形による安定した反力を得ることができ、一対の挟持部を強力に閉じることができる。加えて一対の長軸部は、支点部の外周を挟み込むように配置するため、その間隔を広げることが容易であり、長軸部の先端側を操作する際、十分な変位量を確保できるため、一対の挟持部を大きく開くことができる。その結果、用途に制約を受けることがなく、様々な分野で使用可能である。
【0021】
請求項2記載の発明のように、棒材の一部区間は、押圧加工または切削加工によって断面形状を変化させ、平面状の部位などを形成することで、指や被挟持物との接触面積を増大させることができる。併せて細かい溝などを連続的に形成することで、摩擦が増大し、指や被挟持物との滑りを防ぐことができ、利便性が向上する。
【0022】
請求項3記載の発明のように、長軸部と支点部との離脱を防ぐため、双方の接触箇所には案内溝を形成することで、一対の長軸部の先端側を接近させた際、長軸部と支点部のいずれか一方が案内溝に嵌まり込み、長軸部が支点部の外周から滑り落ちることを防ぐ。そのため長軸部は、確実に本来の機能を発揮することができ、動作不良を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるクリップの形状例を示す斜視図であり、図の上方では、クリップが閉じた状態を描いてあり、図の中程では、クリップを支点部で分断した状態を描いてあり、図の下方では、クリップが開いた状態を描いてある。
図2図1のクリップの詳細を示す斜視図であり、図の下方では、長軸部と支点部との接触箇所の断面を拡大して描いてある。
図3図1とは異なる形状のクリップを示す斜視図であり、ここでの支点部は、単純なコイル状ではなく、途中で棒材に折り返しを設けてあり、コイル状に伸びる周面に切れ目を有する形態になっている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明によるクリップの形状例を示しており、図の上方では、クリップが閉じた状態を描いてあり、図の中程では、クリップを支点部21で分断した状態を描いてあり、図の下方では、クリップが開いた状態を描いてある。このクリップは、円断面の金属製の棒材を変形させて製造したものであり、他の部品は一切使用していない。そしてこのクリップは、棒材をコイル状に屈曲させた支点部21が中心に位置しており、その外側に挟持部13、33とレバー部11、31が対向するように配置されている。なおこの図の支点部21は、棒材がコイル状に一回転半だけ巻かれた構成になっているが、この巻き数は自在である。
【0025】
挟持部13、33は、一対が上下に重なっており、その間で被挟持物を挟み込むことができる。また個々の挟持部13、33は、棒材をU字状に屈曲させた構成になっており、必然的に棒材が二列に並んでおり、その一方には、支点部21に到達する短軸部14、34が接続しており、他方には、支点部21を通過してその先に伸びる長軸部12、32が接続している。なお上方の挟持部13から伸びる短軸部14は、斜め上方に伸びていき、その先で支点部21の上方に接続している。対して下方の挟持部33から伸びる短軸部34は、斜め下方に伸びていき、その先で支点部21の下方に接続している。そのほか挟持部13、33については、被挟持物との接触面積を増大させるため、棒材を押し潰すように変形させ、平面状に仕上げてある。
【0026】
上方の挟持部13から伸びる長軸部12は、隣接する短軸部14と同様、斜め上方に伸びていくが、やがて水平方向に伸び、支点部21を通過してその先に伸びている。また長軸部12の先端側は、押し潰すように変形させ、平面状のレバー部11を設けてある。さらに、上方の挟持部13から伸びる長軸部12は、コイル状の支点部21の上部に隣接するように配置してある。そして、長軸部12と支点部21との接触箇所には、支点部21を局地的に陥没させた案内溝25を形成してあり、そこに長軸部12が嵌まり込むことで、長軸部12が支点部21から離脱することを防いでいる。
【0027】
下方の挟持部33から伸びる長軸部32は、斜め下方に伸びた後に水平方向に伸び、支点部21を通過してその先に伸びており、その先端側にはレバー部31を形成してある。またこの長軸部32は、支点部21の下部に隣接するように配置してあり、さらに長軸部32と支点部21との接触箇所では、支点部21を局地的に陥没させた案内溝25を形成してあり、長軸部32が支点部21から離脱することを防いでいる。なお一対のレバー部11、31は、一対の挟持部13、33を開く際、人為的に操作する箇所であり、指などに作用する圧力を緩和できるよう、このような平面状に仕上げてある。
【0028】
この図の下方に描くように、一対のレバー部11、31を指などでつまんで接近させると、個々の長軸部12、32は、支点部21との接触箇所を支点として変位するため、一対の挟持部13、33が開いていき、その間に被挟持物を差し入れることができる。そして、一対の挟持部13、33が開いた際は、一対の短軸部14、34も変位するため、支点部21にねじりが加わることになる。したがってレバー部11、31の操作を解除すると、支点部21に生じた弾性変形の反力により、一対の挟持部13、33は閉じる方向に変位し、被挟持物を挟み込むことができる。なお被挟持物の挟み込みを強化するため、クリップの製造段階で支点部21にねじりを加えておき、常時反力を生じさせることが望ましい。
【0029】
図2は、図1のクリップの詳細を示している。このクリップは、円断面の一本の棒材だけで構成されており、そのレバー部11、31と挟持部13、33についても、当初はこの図のように円断面である。ただしこれらの箇所は、製造段階で棒材を押圧し、平面状に仕上げてある。そのほか、長軸部12、32と支点部21との接触箇所では、支点部21の方に案内溝25を形成してあり、図の下方に描くように、案内溝25に長軸部12、32が嵌まり込むことで、長軸部12、32が支点部21から離脱することを防いでいる。なお支点部21は、この図のように棒材をコイル状に屈曲させている。そのためこの区間では、棒材同士が隣接することになり、必然的に棒材同士の境界に谷間が構成され、そこに長軸部12、32を嵌め込むことで、長軸部12、32の離脱を防ぐこともできる。
【0030】
図3は、図1とは異なる形状のクリップを示しており、ここでの支点部21は、単純なコイル状ではなく、途中で棒材に折り返しを設けてあり、コイル状に伸びる周面に切れ目を有する形態になっている。このように支点部21は、棒材をコイル状に屈曲させることを前提とするが、図1のような単純なコイル状ではなく、この図のように、途中でUターンするような折り返しを設け、切れ目を有する形態にすることもできる。この場合においても、支点部21の右側部分は、途切れることなく上下を結んでおり、一対の挟持部13、33が支点部21で連結されている点に変わりはない。なお、長軸部12、32が支点部21から離脱することを防ぐため、図1と同様、支点部21には案内溝25を形成してある。
【0031】
この図のクリップは、挟持部13、33を「Ω」状に形成して横幅を広げてあり、より大きな被挟持物を挟み込むことができる。加えて一対の挟持部13、33において、被挟持物と接触する面には、滑り止めとしてローレット加工を施してある。またレバー部11、31については、図1のような長円形ではなく、より単純な円形にしてあるが、指と接触する面には、ここでも滑り止めとしてローレット加工を施してある。このように、レバー部11、31や挟持部13、33の形状は、用途に応じて自在に決めることができる。そのほか支点部21についても、コイル状に屈曲させることを前提とするが、その形態や大きさなどは、自在に決めることができる。
【符号の説明】
【0032】
11 レバー部
12 長軸部
13 挟持部
14 短軸部
21 支点部
25 案内溝
31 レバー部
32 長軸部
33 挟持部
34 短軸部
図1
図2
図3