(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076673
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
G08G1/01 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062054
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2018177739の分割
【原出願日】2018-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正浩
(57)【要約】
【課題】移動体に取り付けられた計測装置が計測した計測情報を送信する際に好適な送信データの授受を行う情報処理装置を提供する
【解決手段】アップロード情報Iuのデータ構造は、車両に取り付けられたライダ2が計測した物体を示す計測値[x
i、y
i、z
i]
Tと、ライダ2が物体を計測した際の、ライダ2の車両への基準取付姿勢に対する車両への取付姿勢の変化量であるライダ位置姿勢変化量[ΔL
x、ΔL
y、ΔL
z、ΔL
φ、ΔL
θ、ΔL
ψ]
Tとを有する。そして、このアップロード情報Iuは、ライダ位置姿勢変化量[ΔL
x、ΔL
y、ΔL
z、ΔL
φ、ΔL
θ、ΔL
ψ]
Tに基づき、計測値[x
i、y
i、z
i]
Tの座標系をワールド座標系に変換するサーバ装置6に送信される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられた計測装置が計測した前記移動体周辺の計測情報と、前記計測装置が前記計測情報を計測した際の前記移動体の位置推定精度に関する情報と、を取得する取得部と、
前記位置推定精度に関する情報に基づき、前記計測情報を用いた地図更新を行う更新部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記計測装置の前記移動体への取付位置姿勢又は前記取付位置姿勢の変化量の算出精度を示す情報をさらに取得し、
前記更新部は、前記位置推定精度に関する情報と、前記算出精度を示す情報とに基づき、前記地図更新を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記計測装置が前記物体を計測した際の前記移動体の位置姿勢に関する情報をさらに取得し、
前記取得部は、前記位置推定精度に関する情報と、前記位置姿勢に関する情報とに基づき、前記地図更新を行う、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記位置姿勢に関する情報には、前記位置姿勢を示す情報と、前記位置姿勢の算出精度を示す情報とが含まれる請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記計測装置の前記移動体への取付位置姿勢の変化量に関する情報に基づき、前記計測情報の座標系を絶対座標系に変換する変換手段をさらに有し、
前記更新部は、前記絶対座標系に変換した前記計測情報を用いた前記地図更新を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記絶対座標系に変換した複数の計測情報に基づき、前記地図更新を行う、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記更新部は、前記絶対座標系に変換した複数の計測情報のうち、前記変化量が所定量以上となる計測情報を除外して前記地図更新を行う、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記更新部は、前記絶対座標系に変換した複数の計測情報のうち、前記取付位置姿勢又は前記変化量の算出精度が所定度合より悪いことを示す計測情報を除外して前記地図更新を行う、請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記更新部は、前記絶対座標系に変換した複数の計測情報のうち、前記移動体の位置姿勢の算出精度が所定度合より悪いことを示す計測情報を除外して前記地図更新を行う、請求項6~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置が実行する制御方法であって、
移動体に取り付けられた計測装置が計測した前記移動体周辺の計測情報と、前記計測装置が前記計測情報を計測した際の前記移動体の位置推定精度に関する情報と、を取得する取得工程と、
前記位置推定精度に関する情報に基づき、前記計測情報を用いた地図更新を行う更新工程と、
を有する制御方法。
【請求項11】
コンピュータが実行するプログラムであって、
移動体に取り付けられた計測装置が計測した前記移動体周辺の計測情報と、前記計測装置が前記計測情報を計測した際の前記移動体の位置推定精度に関する情報と、を取得する取得部と、
前記位置推定精度に関する情報に基づき、前記計測情報を用いた地図更新を行う更新部
として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置の取り付け位置及び姿勢に関する情報を活用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーダやカメラなどの計測装置の計測データに基づいて、自車位置推定などを行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、計測センサの出力と、予め地図上に登録された地物の位置情報とを照合させることで自己位置を推定する技術が開示されている。また、特許文献2には、カルマンフィルタを用いた自車位置推定技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-257742号公報
【特許文献2】特開2017-72422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計測装置から得られるデータは、計測装置を基準とした座標系の値であり、車両に対する計測装置の姿勢等に依存したデータとなっているため、車両を基準とした座標系の値に変換する必要がある。従って、計測装置の位置や姿勢にずれが生じた場合には、そのずれを的確に検知して計測装置のデータに反映させる必要がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、移動体に取り付けられた計測装置が計測した計測情報を送信する際に好適な送信データのデータ構造並びに当該送信データの授受を行う端末装置及びサーバ装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、
移動体に取り付けられた計測装置が計測した前記移動体周辺の計測情報と、前記計測装置が前記計測情報を計測した際の前記移動体の位置推定精度に関する情報と、を取得する取得部と、
前記位置推定精度に関する情報に基づき、前記計測情報を用いた地図更新を行う更新部と、
を有する情報処理装置である。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、
情報処理装置が実行する制御方法であって、
移動体に取り付けられた計測装置が計測した前記移動体周辺の計測情報と、前記計測装置が前記計測情報を計測した際の前記移動体の位置推定精度に関する情報と、を取得する取得工程と、
前記位置推定精度に関する情報に基づき、前記計測情報を用いた地図更新を行う更新工程と、
を有する制御方法である。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、
コンピュータが実行するプログラムであって、
移動体に取り付けられた計測装置が計測した前記移動体周辺の計測情報と、前記計測装置が前記計測情報を計測した際の前記移動体の位置推定精度に関する情報と、を取得する取得部と、
前記位置推定精度に関する情報に基づき、前記計測情報を用いた地図更新を行う更新部
として前記コンピュータを機能させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】車載機及びサーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】2次元座標により表された車両座標系とライダ座標系との関係を示す図である。
【
図4】3次元座標により表された車両座標系とライダ座標系との関係を示す図である。
【
図5】2次元座標により表された車両座標系とワールド座標系との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適な実施形態によれば、移動体に配置された計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報と、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系で示されているか否かを示す座標系情報と、を有する送信データのデータ構造であって、前記座標系情報に基づき前記位置情報の座標変換を行う情報処理装置に送信される送信データのデータ構造である。このようなデータ構造を有する送信データを用いることで、情報処理装置は、受信した計測情報の位置情報の座標変換の要否を的確に判定することができる。
【0011】
他の好適な実施形態によれば、移動体に配置された計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報と、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系から異なる座標系に変換されたか否かを示す座標系情報と、を有する送信データのデータ構造であって、前記座標系情報に基づき前記位置情報の座標変換を行う情報処理装置に送信される送信データのデータ構造である。このようなデータ構造を有する送信データを用いることによっても、情報処理装置は、受信した計測情報の位置情報の座標変換の要否を的確に判定することができる。
【0012】
上記データ構造の他の一態様では、送信データのデータ構造は、前記計測装置が前記物体を計測した際の前記計測装置の前記移動体への取付位置姿勢に関する情報と、前記計測装置が前記物体を計測した際の前記移動体の位置姿勢に関する情報と、をさらに含む。ここで、「移動体への取付位置姿勢」とは、計測装置が移動体に取り付けられている位置(取り付け位置)又は/及び姿勢(取り付け角度)を指す。情報処理装置は、このデータ構造を有する送信データを受信することで、計測装置の位置を基準とした座標系からの座標変換を好適に実行することができる。
【0013】
他の好適な実施形態では、記憶装置は、上記いずれかに記載のデータ構造を有するデータを記憶する。記憶装置は、例えば、このようなデータを蓄積して地図更新に用いてもよく、地図更新を行うサーバ装置に送信してもよい。
【0014】
さらに別の好適な実施形態では、端末装置は、移動体に配置された計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報を取得する取得手段と、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系で示されているか否かを示す座標系情報を生成する生成部と、前記計測情報と、前記座標系情報とを、情報処理装置に送信する送信手段と、を有する。端末装置は、この態様により、送信した計測情報の位置情報の座標変換の要否を的確に情報処理装置に認識させることができる。
【0015】
さらに別の好適な実施形態では、端末装置は、移動体に配置された計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報を取得する取得手段と、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系から異なる座標系に変換されたか否かを示す座標系情報を生成する生成部と、前記計測情報と、前記座標系情報とを、情報処理装置に送信する送信手段と、を有する。端末装置は、この態様によっても、送信した計測情報の位置情報の座標変換の要否を的確に情報処理装置に認識させることができる。
【0016】
さらに別の好適な実施形態では、サーバ装置は、移動体に取り付けられた計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報と、前記位置情報の座標系に関する座標系情報と、を端末装置から受信する受信手段と、前記座標系情報に基づき、前記位置情報の座標変換を行う変換手段と、を有する。サーバ装置は、この態様により、受信した計測情報の位置情報の座標変換を好適に実行することができる。
【0017】
さらに別の好適な実施形態では、端末装置が実行する制御方法であって、移動体に配置された計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報を取得する取得工程と、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系で示されているか否かを示す座標系情報、又は、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系から異なる座標系に変換されたか否かを示す座標系情報を生成する生成工程と、前記計測情報と、前記座標系情報とを、情報処理装置に送信する送信工程と、を有する。端末装置は、この制御方法を実行することで、送信した計測情報の位置情報の座標変換の要否を的確に情報処理装置に認識させることができる。
【0018】
さらに別の好適な実施形態では、サーバ装置が実行する制御方法であって、移動体に取り付けられた計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報と、前記位置情報の座標系に関する座標系情報と、を端末装置から受信する受信工程と、前記座標系情報に基づき、前記位置情報の座標変換を行う変換工程と、を有する。サーバ装置は、この制御方法を実行することで、受信した計測情報の位置情報の座標変換を好適に実行することができる。
【0019】
さらに別の好適な実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、移動体に配置された計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報を取得する取得手段と、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系で示されているか否かを示す座標系情報、又は、前記位置情報が、前記計測装置の位置を基準とした座標系から異なる座標系に変換されたか否かを示す座標系情報を生成する生成手段と、前記計測情報と、前記座標系情報とを、情報処理装置に送信する送信手段として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、送信した計測情報の位置情報の座標変換の要否を的確に情報処理装置に認識させることができる。
【0020】
さらに別の好適な実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、移動体に取り付けられた計測装置が計測した物体の位置情報を含む計測情報と、前記位置情報の座標系に関する座標系情報と、を端末装置から受信する受信手段と、前記座標系情報に基づき、前記位置情報の座標変換を行う変換手段として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、受信した計測情報の位置情報の座標変換を好適に実行することができる。好適には、これらのプログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
【0022】
[地図更新システムの構成]
図1は、本実施例に係る地図更新システムの概略構成図である。
図1に示す地図更新システムは、移動体である各車両と共に移動する車載機1と、各車載機1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置6とを備える。そして、地図更新システムは、各車載機1から送信された情報に基づき、サーバ装置6が保有する配信用の地図である配信地
図DB22を更新する。なお、以後において、「地図」とは、従来の経路案内用の車載機が参照するデータに加えて、ADAS(Advanced Driver Assistance System)や自動運転に用いられるデータも含むものとする。また、
図1では、車両が1台のみ図示されているが、実際には複数の車両の車載機1がサーバ装置6と通信を行う。
【0023】
車載機1は、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)2、ジャイロセンサ3、加速度センサ4、及びGPS受信機5などのセンサ群と電気的に接続し、これらの出力に基づき、所定のオブジェクトの検出、及び、車載機1が搭載される車両の位置及び姿勢(単に「自車位置」とも呼ぶ。)の推定などを行う。そして、車載機1は、自車位置の推定結果に基づき、設定された目的地への経路に沿って走行するように、車両の自動運転制御などを行う。車載機1は、道路データ及び道路付近に設けられた目印(ランドマーク)となる地物や区画線等に関する情報などが登録された地図データベース(DB:DataBase)10を記憶する。そして、車載機1は、この地
図DB10に基づき、ライダ2等の出力と照合させて自車位置の推定を行う。また、車載機1は、検出したオブジェクトに関する情報を含むアップロード情報「Iu」をサーバ装置6へ送信する。また、車載機1は、地
図DB10を更新するためのダウンロード「Id」をサーバ装置6から受信する。車載機1は、端末装置の一例である。
【0024】
ライダ2は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対してパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を示す3次元の点群情報を生成する。この場合、ライダ2は、照射方向を変えながらレーザ光を照射する照射部と、照射したレーザ光の反射光(散乱光)を受光する受光部と、受光部が出力する受光信号に基づくスキャンデータを出力する出力部とを有する。スキャンデータは、受光部が受光したレーザ光に対応する照射方向と、上述の受光信号に基づき特定される当該レーザ光のその照射方向での物体までの距離とに基づき生成され、車載機1へ供給される。ライダ2は、「計測装置」の一例である。
【0025】
サーバ装置6は、各車載機1からアップロード情報Iuを受信して記憶する。サーバ装置6は、例えば、収集したアップロード情報Iuに基づき、配信地
図DB22を更新する。また、サーバ装置6は、配信地
図DB22の更新情報を含むダウンロード情報Idを各車載機1へ送信する。サーバ装置6は、情報処理装置及びの一例である。
【0026】
[車載機の構成]
図2(A)は、車載機1の機能的構成を示すブロック図である。車載機1は、主に、インターフェース11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、制御部15と、情報出力部16と、を有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0027】
インターフェース11は、ライダ2、ジャイロセンサ3、加速度センサ4、及びGPS受信機5などを含むセンサ群9から出力データを取得し、制御部15へ供給する。また、インターフェース11は、制御部15が生成した車両の走行制御に関する信号を車両の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)へ供給する。
【0028】
記憶部12は、制御部15が実行するプログラムや、制御部15が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、地
図DB10と、ライダ設置情報ILとを有する。地
図DB10は、例えば、道路データ、施設データ、道路周辺の地物データ、及び、障害物データなどを含むデータベースである。道路データには、経路探索用の車道/車線ネットワークデータ、道路形状データ、交通法規データなどが含まれる。地物データは、道路標識等の看板や停止線等の道路標示、白線等の道路区画線や道路沿いの構造物等の情報(例えば位置情報及び種別情報)を含む。また、地物データは、自車位置推定に用いるための地物の高精度な点群情報(例えば3次元地図をボクセルごとの正規分布により近似したボクセルデータ)などを含んでもよい。障害物データには、道路工事、駐車/停車車両、道路上の落下物等に関する位置情報や種別情報を含む。その他、地
図DB10には、位置推定に必要な種々のデータが記憶されてもよい。
【0029】
ライダ設置情報ILは、ある基準時(例えばライダ2のアライメント調整直後などの姿勢ずれが生じていない時)におけるライダ2の車両に対する相対的な姿勢及び位置に関する情報である。本実施例では、ライダ2等の姿勢を、ロール角、ピッチ角、ヨー角(即ちオイラー角)により表すものとする。ライダ設置情報ILは、後述するライダ2の姿勢の推定処理が実行された場合に、推定結果に基づき更新されてもよい。
【0030】
通信部13は、制御部15の制御に基づき、アップロード情報Iuをサーバ装置6に送信したり、ダウンロード情報Idをサーバ装置6から受信したりする。入力部14は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、経路探索のための目的地を指定する入力、自動運転のオン及びオフを指定する入力などを受け付ける。情報出力部16は、例えば、制御部15の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
【0031】
制御部15は、プログラムを実行するCPUなどを含み、車載機1の全体を制御する。本実施例では、制御部15は、自車位置推定部17と、運転支援制御部18と、ライダ位置姿勢推定部19と、アップロード制御部20と、地図更新部21と、を有する。制御部15は、プログラムを実行するコンピュータとして機能する。
【0032】
自車位置推定部17は、インターフェース11から供給されるセンサ群9の出力信号及び地
図DB10に基づき、自車位置の推定を行う。自車位置推定部17は、任意の自車位置の推定方法を適用して自車位置の推定を行ってもよい。例えば、自車位置推定部17は、自車位置推定として、ライダ2による特定の地物の計測結果と、地
図DB10の地物データに記録された計測対象の地物の位置情報とを用いた位置推定(所謂ランドマーク位置推定)、ボクセルデータを用いたNDT(Normal Distributions Transform)スキャンマッチングによる位置推定、又はGPS受信機5等を用いた全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)による位置推定などを行う。
【0033】
さらに、自車位置推定部17は、自車位置の推定処理において、推定した自車位置の推定精度(「推定自車位置精度」とも呼ぶ。)に関する情報を生成する。例えば、自車位置推定部17は、特許文献2等に示されるカルマンフィルタを用いた自車位置推定を行った場合、推定位置の誤差分布に相当する共分散行列の対角要素の平方根を推定自車位置精度として認識する。他の例では、自車位置推定部17は、ボクセルデータを用いたNDTスキャンマッチングによる位置推定を行う場合、ライダの計測点群とボクセルデータとの一致度を示す評価関数に基づき推定自車位置精度を設定する。さらに別の例では、自車位置推定部17は、GNSSによる位置推定を行った場合には、GPS受信機5から得られるDOP(Dilution Of Precision)を推定自車位置精度として取得する。また、自車位置推定部17は、GNSSによる位置推定を行った場合、所定時間内にGPS受信機5から取得した緯度、経度、高度の各々の標準偏差の値を、推定自車位置精度として取得してもよい。
【0034】
運転支援制御部18は、自車位置の推定結果に基づいて自動運転制御を含む車両の運転支援に関する制御を行う。このとき、運転支援制御部18は、ライダ2の出力データを用いる場合には、ライダ2が出力する計測データを、ライダ設置情報ILに記録されたライダ2の姿勢及び位置を基準として、ライダ2を基準とした座標系から車両を基準とした座標系に変換する。これにより、運転支援制御部18は、ライダ2により計測される障害物等の車両に対する相対位置を的確に把握して車両の制御や警告などを行う。
【0035】
ライダ位置姿勢推定部19は、車両に対するライダ2の現在(即ち処理基準時)の位置又は/及び姿勢(単に「位置姿勢」とも呼ぶ。)を推定することで、ライダ設置情報ILに記録された位置姿勢に対する変化量(「ライダ位置姿勢変化量」とも呼ぶ。)を算出する。車両に対するライダ2の位置姿勢の推定方法は、任意の方法であってもよい。例えば、ライダ2の位置姿勢を検知するための1又は複数のセンサ(例えば変位センサや加速度センサ)がライダ2に設けられている場合には、ライダ位置姿勢推定部19は、当該センサの出力に基づき、ライダ2の位置姿勢を検出し、ライダ設置情報ILに記録されたライダ2の位置姿勢との差分をライダ位置姿勢変化量として算出する。他の例では、ライダ位置姿勢推定部19は、3台以上のライダ2が存在する場合には、これらのライダの計測結果を比較することで、位置姿勢のずれが発生しているライダの特定及び当該ライダの位置姿勢のずれ量(即ちライダ位置姿勢変化量)の算出を行う。さらに別の例では、ライダ位置姿勢推定部19は、走行路に沿った白線などの区画線、走行路の進行方向に対して垂直面を有する道路標識、走行路の幅方向に対して垂直面を有する道路標識などをライダ2により計測し、その計測結果に基づきライダ位置姿勢変化量を検出してもよい。
【0036】
また、ライダ位置姿勢推定部19は、ライダ2の位置姿勢の推定を行った場合、推定した位置姿勢の精度(「ライダ位置姿勢推定精度」とも呼ぶ。)を算出する。例えば、ライダ位置姿勢推定部19は、実行可能なライダ2の位置姿勢の推定手法ごとにライダ位置姿勢精度の値を対応付けたテーブル等を記憶しておき、当該テーブルを参照することで、推定したライダ2の位置姿勢に対するライダ位置姿勢推定精度を決定する。他の例では、ライダ位置姿勢推定部19は、ライダ2の位置姿勢の推定において使用したセンサの種別情報又は性能に関する情報等に基づき、所定のテーブル等を参照することで、ライダ位置姿勢推定精度を決定してもよい。
【0037】
アップロード制御部20は、ライダ2の出力に基づき所定のオブジェクトを検出した場合などに、検出したオブジェクトに関する情報(「オブジェクト情報」とも呼ぶ。)を含むアップロード情報Iuを生成し、アップロード情報Iuをサーバ装置6へ送信する。上述のオブジェクト情報は、少なくともオブジェクトの位置情報(本実施例では、ライダ2による計測値の情報)を含むものであり、オブジェクトの識別情報、オブジェクトの形状、大きさなどのオブジェクトの属性情報がさらに含まれてもよい。また、本実施例では、アップロード制御部20は、オブジェクト情報に加えて、検出に用いたライダ2の位置姿勢に関する情報(「ライダ位置姿勢情報」とも呼ぶ。)と、自車位置推定部17が推定した自車位置に関する情報(「自車位置姿勢情報」とも呼ぶ。)と、オブジェクト情報に含まれる計測値の絶対座標系(ワールド座標系)への変換の有無を示すフラグ情報(「座標変換フラグ」とも呼ぶ。)と、をアップロード情報Iuに含める。このアップロード情報Iuのデータ構造については、[アップロード情報のデータ構造]のセクションで詳しく説明する。
【0038】
地図更新部21は、サーバ装置6から通信部13がダウンロード情報Idを受信した場合に、当該ダウンロード情報Idを用いて地
図DB10の更新を行う。
【0039】
[サーバ装置の構成]
図2(B)は、サーバ装置6の機能的構成を示すブロック図である。サーバ装置6は、主に、通信部61と、記憶部62と、制御部65とを備える。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0040】
通信部61は、制御部65の制御に基づき、アップロード情報Iuを車載機1から受信したり、ダウンロード情報Idを車載機1へ送信したりする。記憶部62は、制御部65が実行するプログラムや、制御部65が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部62は、地
図DB10と同様のデータ構造を有する配信地
図DB22と、各車載機1から受信したアップロード情報Iuのデータベースであるアップロード情報DB27と、を記憶する。
【0041】
制御部65は、プログラムを実行するCPUなどを含み、サーバ装置6の全体を制御する。本実施例では、制御部65は、アップロード情報DB27に含まれるオブジェクト情報等に基づき配信地
図DB22を更新する処理及び当該更新処理により生成した地図更新情報を含むダウンロード情報Idを通信部61により各車載機1へ送信する処理などを行う。制御部65は、プログラムを実行するコンピュータとして機能する。
【0042】
[座標系の変換]
ライダ2により取得される3次元点群データの各計測点が示す3次元座標は、ライダ2の位置姿勢を基準とした座標系(「ライダ座標系」とも呼ぶ。)で表されている。よって、ライダ2の計測値を地図に反映させる場合、車両の位置姿勢を基準とした座標系(「車両座標系」とも呼ぶ。)に変換した後、ライダ2の計測値を地図において採用されているワールド座標系(絶対座標系)に変換させる必要がある。
【0043】
ここで、ライダ座標系での計測値[xL(i)、yL(i)、zL(i)]Tは、ライダ2の位置姿勢にずれが生じていない時の車両座標系におけるライダ2の位置姿勢[Lx0、Ly0、Lz0、Lφ0、Lθ0、Lψ0]Tを用いた以下の式(1)により、車両座標系の座標値[xB(i)、yB(i)、zB(i)]Tに変換される。
【0044】
【数1】
「L
x0」、「L
y0」、「L
z0」は、それぞれ、車両座標系におけるライダ2の位置を示し、「L
φ0」、「L
θ0」、「L
ψ0」は、それぞれ、車両座標系に対するライダ2のロール角、ピッチ角、ヨー角を示す。なお、ライダ2の位置姿勢[L
x0、L
y0、L
z0、L
φ0、L
θ0、L
ψ0]
Tは、例えばライダ設置情報ILに予め記録されており、「基準取付位置姿勢」の一例である。また、ライダ座標系は、「計測装置の位置を基準とした座標系」の一例である。
【0045】
ここで、ライダ2の位置姿勢にずれが生じ、その変化量が[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tであった場合、現在のライダ2の位置姿勢[Lx、Ly、Lz、Lφ、Lθ、Lψ]Tは、以下の式(2)により表される。
【0046】
【数2】
この場合、ライダ座標系での計測値[x
L(i)、y
L(i)、z
L(i)]
Tは、現在のライダ2の位置姿勢[L
x、L
y、L
z、L
φ、L
θ、L
ψ]を用いて、式(1)と同様の以下の式(3)により、車両座標系の座標値[x
B(i)、y
B(i)、z
B(i)]
Tに変換することができる。
【0047】
【数3】
次に、時刻「k」における自車位置(姿勢を含む)の推定値(「推定自車位置」とも呼ぶ。)を[B^
x(k)、B^
y(k)、B^
z(k)、B^
φ(k)、B^
θ(k)、B^
ψ(k)]
Tとすると、車両座標系の座標値[x
B(i)、y
B(i)、z
B(i)]
Tは、以下の式(4)に基づき、ワールド座標系の座標値[x
W(i)、y
W(i)、z
W(i)]
Tに変換される。
【0048】
【数4】
従って、車載機1又はサーバ装置6は、ライダ座標系での計測値[x
L(i)、y
L(i)、z
L(i)]
Tを得た場合、まず、ライダ2の位置姿勢の情報に基づき、式(3)を用いて車両座標系の座標値[x
B(i)、y
B(i)、z
B(i)]
Tに変換する。そして、車載機1又はサーバ装置6は、推定自車位置の情報を用いて、式(4)に基づき車両座標系の座標値をワールド座標系の座標値[x
W(i)、y
W(i)、z
W(i)]
Tに変換する。これにより、地図と同一の座標系で表されたライダ2の計測値を好適に取得することができ、地図更新に好適に用いることができる。
【0049】
ここで、ライダ座標系から車両座標系の変換について補足説明する。
【0050】
図3は、2次元座標により表された車両座標系とライダ座標系との関係を示す図である。ここでは、車両座標系は、車両の中心を原点とし、車両の進行方向に沿った座標軸「X
B」と車両の側面方向に沿った座標軸「Y
B」を有する。また、ライダ座標系は、ライダ2の正面方向(矢印A2参照)に沿った座標軸「X
L」とライダ2の側面方向に沿った座標軸「Y
L」を有する。
【0051】
ここで、車両座標系に対するライダ2のヨー角を「Lψ0」、ライダ2の位置を[Lx0、Ly0]Tとした場合、車両座標系から見た時刻iの計測点[xB(i)、yB(i)]Tは、回転行列「CLψ0」を用いた以下の式(5)によりライダ座標系の座標[xL(i)、yL(i)]Tへ変換される。
【0052】
【0053】
一方、ライダ座標系から車両座標系への変換は、回転行列の逆行列(転置行列)を用いればよい。よって、ライダ座標系で取得した時刻iの計測点[xL(i)、yL(i)]Tは、以下の式(6)により車両座標系の座標[xB(i)、yB(i)]Tに変換することが可能である。
【0054】
【0055】
図4は、3次元座標により表された車両座標系とライダ座標系との関係を示す図である。
【0056】
この場合、車両座標系から見た時刻iの計測点[xB(i)、yB(i)、zB(i)]Tは、車両座標系に対するライダ2の位置姿勢[Lx0、Ly0、Lz0、Lφ0、Lθ0、Lψ0]Tと、ロール、ピッチ、ヨーに対応する各回転行列「CLφ0」、「CLθ0」、「CLψ0」により表される方向余弦行列「CL0」とを用いた以下の式(7)により、ライダ座標系の座標[xL(i)、yL(i)、zL(i)]Tへ変換される。
【0057】
【数7】
一方、ライダ座標系から車両座標系への変換は、方向余弦行列C
L0の逆行列(転置行列)を用いればよい。よって、ライダ座標系で取得した時刻iの計測点[x
L(i)、y
L(i)、z
L(i)]
Tは、以下の式(8)により車両座標系の座標[x
B(i)、y
B(i)、z
B(i)]
Tに変換することが可能である。
【0058】
【数8】
この式(8)は、式(1)と等価の式となる。
【0059】
次に、車両座標系からワールド座標系の変換について補足説明する。
【0060】
図5は、2次元座標により表された車両座標系とワールド座標系との関係を示す図である。ここでは、ワールド座標系は、座標軸「X
W」と座標軸「Y
W」を有する。
【0061】
ワールド座標系に対する時刻kの車両のヨー角の推定値がB^ψ(k)であり,車両の推定位置がB^x(k)、B^y(k)であった場合,ワールド座標系から見た点群データの車両座標系への変換は、回転行列「CBψ(k)」を用いた以下の式(9)により計算できる。
【0062】
【0063】
一方、ライダ座標系から車両座標系への変換は、回転行列CBψ(k)の逆行列(転置行列)を用いればよい。よって、[xB(i)、yB(i)]Tは、以下の式(10)によりワールド座標系の座標[xW(i)、yW(i)]Tに変換することが可能である。
【0064】
【0065】
次に、3次元座標により表された車両座標系とワールド座標系との関係について説明する。
【0066】
この場合、ワールド座標系から見た時刻iの座標値[xW(i)、yW(i)、zW(i)]Tは、時刻kにおける自車位置(姿勢を含む)の推定値[B^x(k)、B^y(k)、B^z(k)、B^φ(k)、B^θ(k)、B^ψ(k)]Tと、ロール、ピッチ、ヨーに対応する各回転行列「CBφ(k)」、「CBθ(k)」、「CBψ(k)」により表される方向余弦行列「CB(k)」とを用いた以下の式(11)により、車両座標系の座標[xB(i)、yB(i)、zB(i)]Tへ変換される。
【0067】
【0068】
一方、車両座標系からワールド座標系への変換は、方向余弦行列CB(k)の逆行列(転置行列)を用いればよい。よって、車両座標系で取得した時刻iの計測点[xB(i)、yB(i)、zB(i)]Tは、以下の式(12)によりワールド座標系の座標[xW(i)、yW(i)、zW(i)]Tに変換することが可能である。
【0069】
【数12】
この式(12)は、式(4)と等価の式となる。
【0070】
[アップロード情報のデータ構造]
図6は、アップロード情報Iuのデータ構造の一例を示す。
図6の例では、アップロード情報Iuは、「時刻」、「ライダ番号」、「計測値」、「ライダ位置姿勢」、「ライダ位置姿勢変化量」、「ライダ位置姿勢推定精度」、「座標変換フラグ」、「推定自車位置」、「推定自車位置精度」と、を含んでいる。なお、「計測値」は上述したオブジェクト情報に該当し、「ライダ位置姿勢」及び「ライダ位置姿勢変化量」及び「ライダ位置姿勢推定精度」は、上述したライダ位置姿勢情報に該当し、「推定自車位置」及び「推定自車位置精度」は、上述した自車位置姿勢情報に該当する。
【0071】
車載機1は、「時刻」として、ライダ2による計測を行った時刻又はアップロード情報Iuの送信時刻を指定する。また、車載機1は、「ライダ番号」として、車両に複数のライダ2が搭載されている場合に各ライダ2を識別するための番号を指定する。また、車載機1は、「計測値」として、ライダ2により計測したオブジェクトの計測点群が示すN(Nは1以上の整数)個の計測値[xi、yi、zi]Tを指定する。なお、この計測値[xi、yi、zi]Tは、ライダ座標系の座標値であってもよく、ワールド座標系の座標値であってもよい。
【0072】
また、車載機1は、「ライダ位置姿勢」として、車両座標系のライダ2の位置姿勢を指定する。この場合、「ライダ位置姿勢」は、ライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tを加味した現在のライダ2の位置姿勢[Lx、Ly、Lz、Lφ、Lθ、Lψ]であってもよく、ライダ設置情報ILに記録されたライダ2の位置姿勢[Lx0、Ly0、Lz0、Lφ0、Lθ0、Lψ0]T(即ちライダ2の位置姿勢にずれが生じていない時のライダ2の位置姿勢)であってもよい。後者の場合であっても、アップロード情報Iuを受信したサーバ装置6は、後述する「ライダ位置姿勢変化量」を用いて式(2)に基づき現在のライダ2の位置姿勢[Lx、Ly、Lz、Lφ、Lθ、Lψ]を特定することが可能である。
【0073】
また、車載機1は、「ライダ位置姿勢変化量」として、ライダ位置姿勢推定部19が算出したライダ2の位置姿勢の変化量であるライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tを指定する。また、車載機1は、「ライダ位置姿勢推定精度」として、推定したライダ位置姿勢変化量又は現在のライダ2の位置姿勢に対する推定精度であるライダ位置姿勢推定精度「σLx、σLy、σLz、σLφ、σLθ、σLψ」Tを指定する。ライダ位置姿勢推定精度「σLx、σLy、σLz、σLφ、σLθ、σLψ」Tは、ライダ位置姿勢推定部19により算出される。
【0074】
また、車載機1は、「座標変換フラグ」として、「計測値」に指定したライダ2の計測値[xi、yi、zi]Tが車両座標系あるいはワールド座標系に変換されたものであるか否かを示す情報を指定する。本実施形態では、一例として、車載機1は、ライダ2の計測値[xi、yi、zi]Tがワールド座標系に変換されたものである場合には、座標変換フラグを「2」に設定し、ライダ2の計測値[xi、yi、zi]Tが車両座標系に変換されたものである場合には、座標変換フラグを「1」に設定し、ライダ2の計測値[xi、yi、zi]Tが車両座標系にもワールド座標系にも変換されていないもの(即ちライダ座標系のまま)である場合には、座標変換フラグを「0」に設定するものとする。このように、座標変換フラグは、ライダ2の計測値がライダ座標系で示されているか否かを示す座標系情報、及び、ライダ座標系から異なる座標系(ここでは車両座標系あるいはワールド座標系)に変換されたか否かを示す座標系情報に相当する。
【0075】
また、車載機1は、「推定自車位置」として、ライダ2の計測時に自車位置推定部17が推定した推定自車位置[B^x、B^y、B^z、B^φ、B^θ、B^ψ]Tを指定する。ここで、B^x、B^y、B^zは自車の位置、B^φ、B^θ、B^ψは自車の姿勢を示す。また、車載機1は、「推定自車位置精度」として、ライダ2の計測時に自車位置推定部17が推定した自車位置の精度である推定自車位置精度「σBx、σBy、σBz、σBφ、σBθ、σBψ」Tを指定する。
【0076】
なお、アップロード情報Iuには、上述した各項目以外の任意の情報が含まれてもよい。例えば、アップロード情報Iuには、計測対象となった地物を特定するための地物の識別情報(地物ID)などが含まれてもよい。
【0077】
[アップロード処理]
次に、アップロード情報Iuの生成及び送信を含むアップロード処理について説明する。
図7は、車載機1が実行するアップロード処理の手順を示すフローチャートである。車載機1は、
図7のフローチャートの処理を、ライダ2の出力に基づき所定のオブジェクトを検出した場合などに実行する。
【0078】
まず、車載機1のライダ位置姿勢推定部19は、ライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tを算出する(ステップS101)。また、ライダ位置姿勢推定部19は、ライダ位置姿勢推定精度「σLx、σLy、σLz、σLφ、σLθ、σLψ」Tを算出する(ステップS102)。
【0079】
また、車載機1の自車位置推定部17は、地
図DB10に含まれる地物の位置情報等と、当該地物のライダ2による計測値とに基づき、自車位置推定を行う(ステップS103)。ステップS103での自車位置推定方法は、ランドマーク位置推定、NDTスキャンマッチングによる位置推定などの任意の位置推定方法であってもよい。これにより、自車位置推定部17は、推定自車位置[B^
x、B^
y、B^
z、B^
φ、B^
θ、B^
ψ]
Tを算出する。また、自車位置推定部17は、、地
図DB10及びライダ2の計測値を使用する代わりに、GPS受信機5の出力を用いた位置推定(所謂GNSSによる位置推定)を行ってもよい。さらに、自車位置推定部17は、ステップS103での位置推定の推定精度である推定自車位置精度「σ
Bx、σ
By、σ
Bz、σ
Bφ、σ
Bθ、σ
Bψ」
Tを算出する(ステップS104)。
【0080】
そして、車載機1のアップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換するか否か判定する(ステップS105)。この場合、例えば、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換するか否かに関する設定情報を予め記憶している場合には、当該設定情報に基づき、上述の判定を行う。上述の設定情報は、ユーザ入力に基づき生成されてもよい。
【0081】
そして、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換すべきと判断した場合(ステップS105;Yes)、ステップS101で算出したライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tを加味した現在のライダ位置姿勢[Lx、Ly、Lz、Lφ、Lθ、Lψ]Tに基づき、式(3)により車両座標系の計測値[xB、yB、zB]Tを算出する(ステップS106)。
【0082】
一方、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換すべきでない場合(ステップS105;No)、座標変換フラグを「0」に設定する(ステップS110)。
【0083】
そして、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換した値をワールド座標系に変換するか否か判定する(ステップS107)。この場合、例えば、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換した値をワールド座標系に変換するか否かに関する設定情報を予め記憶している場合には、当該設定情報に基づき、上述の判定を行う。上述の設定情報は、ユーザ入力に基づき生成されてもよい。
【0084】
そして、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換した値をワールド座標系に変換すべきと判断した場合(ステップS107;Yes)、座標変換フラグを「2」に設定する(ステップS108)。そして、この場合、アップロード制御部20は、ステップS103で算出した推定自車位置[B^x、B^y、B^z、B^φ、B^θ、B^ψ]Tに基づき、式(4)により、ワールド座標系の計測値[xW(i)、yW(i)、zW(i)]Tを算出する(ステップS111)。
【0085】
一方、アップロード制御部20は、ライダ2の計測値を車両座標系に変換した値をワールド座標系に変換すべきでない場合(ステップS107;No)、座標変換フラグを「1」に設定する(ステップS109)。
【0086】
ステップS109、ステップS110、又はステップS111のいずれかの実行後、アップロード制御部20は、
図6に示す「時刻」、「ライダ番号」、「計測値」、「ライダ位置姿勢」、「ライダ位置姿勢変化量」、「ライダ位置姿勢推定精度」、「座標変換フラグ」、「推定自車位置」、「推定自車位置精度」の各項目に該当する情報を含むアップロード情報Iuを生成し、当該アップロード情報Iuをサーバ装置6へ送信する(ステップS112)。これにより、車載機1は、ライダ2の計測値に基づきサーバ装置6が地図を更新するのに必要な情報を好適にサーバ装置6に送信することができる。尚、「計測値」はライダ2の計測値またはライダ2の計測値を車両座標系に変換した値である。
【0087】
[地図更新処理]
次に、受信したアップロード情報Iuに基づき地
図DB10及び配信地
図DB22の更新情報を生成する処理である地図更新処理について説明する。
図8は、サーバ装置6が実行する地図更新処理のフローチャートである。サーバ装置6は、
図8に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0088】
まず、サーバ装置6は、各車両の車載機1から送信されるアップロード情報Iuを受信することでアップロード情報Iuを収集する(ステップS201)。そして、サーバ装置6は、受信したアップロード情報Iuをアップロード情報DB27に記憶する。
【0089】
そして、サーバ装置6は、地図更新を行う所定のタイミングにおいて、アップロード情報DB27に記録されたアップロード情報Iuの各々の座標変換フラグを参照し、座標変換フラグが0または1となるアップロード情報Iuの存在の有無を判定する。そして、サーバ装置6は、座標変換フラグが0であるアップロード情報Iuが存在する場合には、当該アップロード情報Iuに含まれるライダ位置姿勢、ライダ位置姿勢変化量、及び推定自車位置から、当該アップロード情報Iuに含まれるライダ2の計測値をワールド座標系に変換する。一方、座標変換フラグが1であるアップロード情報Iuが存在する場合には、サーバ装置6は、当該アップロード情報Iuに含まれる推定自車位置から、当該アップロード情報Iuに含まれるライダ2の計測値を車両座標系に変換した値をワールド座標系に変換する(ステップS202)。これにより、サーバ装置6は、アップロード情報Iuにライダ座標系の計測値や車両座標系の計測値が含まれる場合であっても、地図において採用されるワールド座標系の座標値にライダ2の計測値やライダ2の計測値を車両座標系に変換した値を好適に変換することができる。
【0090】
次に、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tの各要素のうちいずれかが所定の閾値(「第1閾値」とも呼ぶ。)以上となるものが存在するか否か判定する。さらに、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢推定精度「σLx、σLy、σLz、σLφ、σLθ、σLψ」Tの各要素のうちいずれかが所定の閾値(「第2閾値」とも呼ぶ。)以上となるものが存在するか否か判定する。これに加えて、サーバ装置6は、推定自車位置精度「σBx、σBy、σBz、σBφ、σBθ、σBψ」Tの各要素のうちいずれかが所定の閾値(「第3閾値」とも呼ぶ。)以上となるものが存在するか否か判定する(ステップS203)。第1~第3閾値は、ライダ2の計測値の精度が地図更新に使用できる程度の精度を有するか否かを判定するための閾値である。第1~第3閾値は、比較対象の要素ごとにそれぞれ適切な値となるように比較対象の要素ごとに異なる値に設定されてもよい。なお、ここでは、ライダ位置姿勢推定精度「σLx、σLy、σLz、σLφ、σLθ、σLψ」T及び推定自車位置精度「σBx、σBy、σBz、σBφ、σBθ、σBψ」Tの各要素は、例えば標準偏差等の値であり、いずれも、低い値ほど精度が高いことを示すものとする。
【0091】
そして、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢変化量の各要素のうちいずれかが第1閾値以上となるものが存在する場合、又は、ライダ位置姿勢推定精度の各要素のうちいずれかが第2閾値以上となるものが存在する場合、若しくは、推定自車位置精度の各要素のうちいずれかが第3閾値以上となるものが存在する場合(ステップS203;Yes)、対象のアップロード情報Iuに含まれるライダ2の計測値の精度が低く、地図更新に用いるほどの信頼性がないと判断する。よって、この場合、サーバ装置6は、対象のアップロード情報Iuに含まれる計測値を後述するステップS206の平均処理において使用しない、又は、平均処理における重み付け値を0に設定する(ステップS205)。これにより、サーバ装置6は、事故等に起因してライダ位置姿勢変化量が大きくなったライダ2の計測値、ライダ位置姿勢推定精度が低いライダ位置姿勢に基づき座標変換がなされたライダ2の計測値、及び、推定自車位置精度が低い推定自車位置に基づき座標変換がなされたライダ2の計測値などを地図更新において使用するのを好適に抑制することができる。
【0092】
一方、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢変化量の各要素がいずれも第1閾値未満となり、かつ、ライダ位置姿勢推定精度の各要素がいずれも第2閾値未満となり、かつ、推定自車位置精度の各要素のいずれもが第3閾値未満となる場合(ステップS203;No)、対象のアップロード情報Iuに含まれるライダ2の計測値の精度が地図更新に用いることができる程度に高いと判断する。よって、この場合、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢変化量、ライダ位置姿勢推定精度、及び推定自車位置精度に応じて、対象のアップロード情報Iuに含まれるライダ2の計測値に対する重み付け値を設定する(ステップS204)。この場合、例えば、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢変化量、ライダ位置姿勢推定精度、及び推定自車位置精度の各要素から重み付け値を決定するための式又はマップを参照することで、上述の重み付け値を設定する。この場合、サーバ装置6は、ライダ位置姿勢変化量が小さいほど上述の重み付け値を大きくし、ライダ位置姿勢推定精度が小さいほど上述の重み付け値を大きくし、推定自車位置精度が小さいほど上述の重み付け値を大きくするように、上述の重み付け値を決定する。これにより、サーバ装置6は、地図更新に用いるライダ2の計測値の各々に対し、その計測値の精度に応じた適切な重み付け値を好適に設定することができる。
【0093】
次に、サーバ装置6は、各計測値に対して、ステップS204又はステップS205で設定した重み付け値による重み付け平均処理を行うことで、統合データを生成する(ステップS206)。統合データは、例えば、各計測値を統計処理することで算出した地物の位置情報などが該当する。このように、サーバ装置6は、計測値の信頼度(精度)に応じて設定した重み付け値を用いることで、高精度な統合データを生成することができる。ステップS206の具体例については後述する。そして、サーバ装置6は、ステップS206で生成した統合データを用いて配信地
図DB22を更新する(ステップS207)。その後、サーバ装置6は、生成した統合データを含むダウンロード情報Idを各車載機1へ送信する。
【0094】
ここで、ステップS206の処理の具体例について説明する。ここでは、統合データとして、配信地
図DB22に登録するオブジェクト(地物)の絶対位置(「オブジェクト推定位置」とも呼ぶ。)を算出する例について説明する。なお、サーバ装置6は、この場合、例えば、アップロード情報Iuに含まれるライダ2の計測値をオブジェクトごとに分類し、オブジェクトごとにオブジェクト推定位置を算出する。この場合、サーバ装置6は、配信地
図DB22に登録された各オブジェクトの位置情報に基づき計測値をオブジェクトごとに分類してもよく、公知のクラスタリング技術に基づき上述の分類を行ってもよく、ユーザ入力に基づき上述の分類を行ってもよい。また、車載機1がライダ2により計測したオブジェクトごとにアップロード情報Iuを生成し、計測したオブジェクトの識別情報をアップロード情報Iuに含めている場合には、サーバ装置6は、当該識別情報に基づき、上述の分類を行ってもよい。
【0095】
ここで、各アップロード情報Iuにより示されるワールド座標系のオブジェクトの計測値を[p
x、p
y、p
z]
Tとし、ステップS204又はステップS205で設定した重み付け値を[w
x(k)、w
y(k)、w
z(k)]
Tとする。そして、サーバ装置6は、複数の車両からそれぞれ複数の時刻のm個のアップロード情報Iuを受信した場合,以下の式(13)~式(15)が示す重み付け平均処理により、配信地
図DB22に反映すべきオブジェクトの位置[p
^
x、p
^
y、p
^
z]
Tを算出する。
【0096】
【0097】
【0098】
【数15】
このように、サーバ装置6は、重み付け平均処理により、配信地
図DB22に反映すべきオブジェクトの位置を好適に算出することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施例に係るアップロード情報Iuのデータ構造は、車両に取り付けられたライダ2が計測した物体を示す計測値[xi、yi、zi]Tと、ライダ2が物体を計測した際の、ライダ2の車両への基準取付姿勢に対する車両への取付姿勢の変化量であるライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tとを有する。そして、このアップロード情報Iuは、ライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]Tに基づき、計測値[xi、yi、zi]Tの座標系をワールド座標系に変換するサーバ装置6に送信される。
【0100】
また、以上説明したように、本実施例に係るアップロード情報Iuのデータ構造は、車両に取り付けられたライダ2が計測した物体を示す計測値[xi、yi、zi]Tと、当該計測値[xi、yi、zi]Tが、ライダ2の位置を基準としたライダ座標系で示されているか否か(言い換えると、ライダ座標系から車両座標系あるいはワールド座標系に変換されたか否か)を示す座標変換フラグとを有する。そして、このアップロード情報Iuは、座標変換フラグに基づき、計測値[xi、yi、zi]Tの座標系をワールド座標系に変換するサーバ装置6に送信される。
【0101】
[変形例]
以下、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、組み合わせて実施例に適用してもよい。
【0102】
(変形例1)
図1に示す地図更新システムの構成は一例であり、本発明が適用可能な地図更新システムの構成は
図1に示す構成に限定されない。例えば、地図更新システムは、車載機1を有する代わりに、車両の電子制御装置が
図7等に示す処理を実行してもよい。この場合、ライダ設置情報IL及び地
図DB10等は、例えば車両内の記憶部に記憶され、車両の電子制御装置は、ライダ2の出力データを受信し、ライダ設置情報IL及び地
図DB10を参照することで、
図7等に示す処理を実行する。
【0103】
(変形例2)
車載機1のライダ位置姿勢推定部19が実行するライダ位置姿勢変化量[ΔLx、ΔLy、ΔLz、ΔLφ、ΔLθ、ΔLψ]T等の算出処理を、サーバ装置6の制御部65が代わりに実行してもよい。
【0104】
この場合、例えば、車載機1がサーバ装置6に送信するアップロード情報Iuには、ライダ2の位置姿勢にずれが生じていない時の車両座標系におけるライダ2の位置姿勢[L
x0、L
y0、L
z0、L
φ0、L
θ0、L
ψ0]
Tの情報、及び、ライダ2の位置姿勢を検知するための1又は複数のセンサの出力データなどが含まれる。そして、サーバ装置6は、アップロード情報Iuを受信した場合に、アップロード情報Iuに含まれるセンサの出力データ等に基づき、ライダ位置姿勢推定部19と同様にライダ2の位置姿勢を推定することで、ライダ位置姿勢変化量[ΔL
x、ΔL
y、ΔL
z、ΔL
φ、ΔL
θ、ΔL
ψ]
Tの算出及びライダ位置姿勢精度「σ
Lx、σ
Ly、σ
Lz、σ
Lφ、σ
Lθ、σ
Lψ」
Tの算出を行う。この態様によっても、サーバ装置6は、
図8に示す地図更新処理に必要な情報を取得して配信地
図DB22の更新を好適に実行することができる。
【0105】
(変形例3)
図6に示すアップロード情報Iuのデータ構造は一例であり、本発明に適用可能なデータ構造はこれに限定されない。
【0106】
例えば、アップロード情報Iuには、座標変換フラグが含まれていなくともよい。この場合、例えば、アップロード情報Iuに含まれる計測値は、必ずライダ座標系により表されており、アップロード情報Iuを受信したサーバ装置6は、受信した全てのアップロード情報Iuの計測値に対して、ライダ座標系からワールド座標系への座標変換の処理を行う。
【0107】
他の例では、座標変換フラグが「2」である場合、即ち、アップロード情報Iuの計測値がワールド座標系により表されている場合には、アップロード情報Iuには、「ライダ位置姿勢」及び「推定自車位置」等は含まれなくともよい。また、座標変換フラグが「1」である場合、即ち、アップロード情報Iuの計測値が車両座標系により表されている場合には、アップロード情報Iuには、「ライダ位置姿勢」等は含まれなくともよい。
【0108】
さらに別の例では、ライダ設置情報ILに含まれるライダ2の初期の位置姿勢[Lx0、Ly0、Lz0、Lφ0、Lθ0、Lψ0]T等の情報が予めサーバ装置6に記憶されている場合には、アップロード情報Iuには、「ライダ位置姿勢」が含まれていなくともよい。この場合であっても、サーバ装置6は、アップロード情報Iuに含まれるライダ位置姿勢変化量と、予め記憶したライダ2の初期の位置姿勢とに基づき、現在のライダ2の位置姿勢を好適に特定し、計測値の座標変換に用いることができる。
【0109】
(変形例4)
サーバ装置6は、
図8のステップS206における重み付け平均処理を行う代わりに、全ての計測値を等しい重みにより平均処理(即ち重み付け値によらない平均化)を行ってもよい。この場合、アップロード情報Iuには、ライダ位置姿勢推定精度及び推定自車位置精度等の重み付け値の決定にのみ用いる情報が含まれなくともよい。