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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007676
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/55 20230101AFI20230112BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230112BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230112BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230112BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230112BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230112BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230112BHJP
【FI】
H04N5/225 400
H04N5/232 290
H04N5/225 700
G03B15/00 V
G03B17/02
G02B7/02 Z
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110674
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 茂春
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2H100CC01
5C122DA14
5C122EA12
5C122EA54
5C122EA55
5C122FB23
5C122FC01
5C122FC02
5C122FH07
5C122FH09
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】移動体に搭載された撮像装置において画角の異なる複数の画像を得ること。
【解決手段】本開示の撮像装置は、撮像素子と、光学系とを備える。前記撮像素子は、複数の画素が二次元的に配置され、前記複数の画素の出力に基づいて画像データを生成する。前記光学系は、前記撮像素子の撮像面に被写界からの光を結像する。前記光学系は、画角に応じた拡大率で前記被写界からの光を前記撮像面に結像する。前記撮像面における前記光学系の光軸は、前記撮像面の中心から外れた位置にある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が二次元的に配置され、前記複数の画素の出力に基づいて画像データを生成する撮像素子と、
前記撮像素子の撮像面に被写界からの光を結像する光学系と
を具備し、
前記光学系は、画角に応じた拡大率で前記被写界からの光を前記撮像面に結像し、
前記撮像面における前記光学系の光軸は、前記撮像面の中心から外れた位置にある、
撮像装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記光学系の光軸から外れるほど、角度の間隔が小さい、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光学系は、前記光学系の光軸から外れるほど、角度の間隔が大きい、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記画像データに基づいて画像を生成する画像処理装置と
を備え、
前記画像処理装置は、第1の画角に対応する前記撮像面の第1の領域に基づいて第1の画像を生成し、前記第1の画角のうちの周辺部分の第2の画角に対応する前記撮像面の第2の領域に基づいて第2の画像を生成し、
前記撮像面における前記光学系の光軸は、前記第2の領域の近傍にある、
移動体に配置される撮像システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記画像データに基づいて画像を生成する画像処理装置と
を備え、
前記画像処理装置は、第1の画角に対応する前記撮像面の第1の領域に基づいて第1の画像を生成し、前記第1の画角のうちの周辺部分の第2の画角に対応する前記撮像面の第2の領域に基づいて第2の画像を生成し、
前記撮像面における前記光学系の光軸は、前記第2の領域の領域内にある、
移動体に配置される撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後方の状況を示す画像を表示する車載ディスプレイを搭載した自動車等の移動体が知られている。車載ディスプレイは、例えば、車両の駐車時に運転者を支援するリアビューモニタとして用いられる場合がある。また、これらの車両等の移動体においては、後方の撮像画像を表示する機能を有する電子的なルームミラー(以下、電子ルームミラーという)が搭載される場合がある。このような中、例えばコスト削減の観点から、リアビューモニタ用の撮像装置と電子ルームミラー用の撮像装置とを共通化したいという需要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6349558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子ルームミラー用の撮像装置と、リアビューモニタ用の撮像装置とは、画角が異なっている。例えば、電子ルームミラー用の撮像装置による撮像範囲は、例えばリアビューモニタ用の撮像装置による撮像範囲の周辺部分、すなわち光軸から外れた領域に位置する。このような中、例えば使用される光学系の光学特性によっては、光軸から画角端まで結像位置の角度間隔が一定である。したがって、リアビューモニタ用の撮像装置と電子ルームミラー用の撮像装置とを共通化した場合、電子ルームミラー用の画像の解像度が低下する場合があった。あるいは、電子ルームミラー用の画像の解像度を確保するために、撮像面の大きさ、すなわちイメージセンサのサイズを大きくする必要があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、移動体に搭載された撮像装置において画角の異なる複数の画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の撮像装置は、撮像素子と、光学系とを備える。前記撮像素子は、複数の画素が二次元的に配置され、前記複数の画素の出力に基づいて画像データを生成する。前記光学系は、前記撮像素子の撮像面に被写界からの光を結像する。前記光学系は、画角に応じた拡大率で前記被写界からの光を前記撮像面に結像する。前記撮像面における前記光学系の光軸は、前記撮像面の中心から外れた位置にある。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、移動体に搭載された撮像装置において画角の異なる複数の画像を得ることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る表示システムが適用された自動車の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1の撮像装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1の撮像装置における、撮像素子の撮像面と、光学系による撮像面上への結像位置との相対位置の関係の一例を示す模式図である。
図4図4は、図1の撮像装置による垂直方向における画角の一例を示す図である。
図5図5は、図1の撮像装置における、撮像素子の撮像面と、光学系による撮像面上への結像位置との相対位置の関係の別の一例を示す模式図である。
図6図6は、図1の撮像装置における、プラスオフセットの場合及びマイナスオフセットの場合の各部の構成の一例を示す模式図である。
図7図7は、オフセットなしの場合の撮像装置を自動車に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図8図8は、プラスオフセットの場合の撮像装置を自動車に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図9図9は、マイナスオフセットの場合の撮像装置を自動車に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図10図10は、マイナスオフセットの場合の撮像装置を自動車の前方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図11図11は、オフセットなしの場合の撮像装置を自動車の側方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図12図12は、マイナスオフセットの場合の撮像装置を自動車の側方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図13図13は、プラスオフセットの場合の撮像装置を自動車の側方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図14図14は、オフセットなしの場合の撮像装置を自動車の側方のピラーに取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
図15図15は、マイナスオフセットの場合の撮像装置を自動車の側方のピラーに取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る撮像装置、撮像システム及び表示システムの実施形態について説明する。
【0010】
なお、本開示の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、説明を適宜省略する場合もある。また、同一又は略同一の部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要な構成要素だけに参照符号を付し、既出の図において前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0011】
なお、本開示に係る撮像装置、撮像システム及び表示システムは、各種の移動体に対して適宜利用可能である。この移動体は、例えば自転車、自動二輪車、自動車及び電車などの各種の車両であってもよい。また、移動体は、船舶及び航空機などの移動体であっても構わない。また、移動体は、有人で移動するものであってもよいし、無人で移動するものであってもよい。また、移動体の移動は、ユーザにより制御されてもよいし、設定された経路や周囲状況などに応じて自律的に制御されてもよい。
【0012】
図1は、実施形態に係る表示システム100が適用された自動車200の構成の一例を示す図である。表示システム100は、図1に示すように、例えば自動車200に取り付けられる。ここで、自動車200は、移動体の一例である。
【0013】
表示システム100は、電子ルームミラー30及び車載ディスプレイ40及び撮像システム70を有する。撮像システム70は、撮像装置10及び画像処理装置20を有する。
【0014】
撮像装置10は、被写体を撮像して画像データを生成する車載カメラである。撮像装置10は、例えば車両後方を向いた第1の撮像方向を撮像するように自動車200に取り付けられている。例えば、撮像装置10は、自動車200の後方201に配置される。ここで、自動車200の後方201とは、例えばライセンスプレートの上部であるが、これに限らない。撮像装置10は、リアガラスやリアバンパーなどに配置されていてもよい。
【0015】
図2は、図1の撮像装置10の構成の一例を示す図である。撮像装置10は、図2に示すように、撮像素子121、光学系122、信号処理回路131及びインタフェース133を有する。
【0016】
撮像素子121は、光学系122を介して撮像面に結像した像を撮像し、画像データを生成する。撮像素子121の撮像面には、複数の画素が、2次元的に、より具体的にはマトリクス状に、配置されている。撮像素子121としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが利用可能である。
【0017】
光学系122は、撮像素子121の撮像面に像を結像させる光学ユニットである。光学系122は、レンズ絞り及びフィルターなどを含む。光学系122は、光を反射するミラー又はプリズムなどを含んでいてもよい。光学系122は、例えば画角によって結像する像の拡大率が異なる。
【0018】
図3は、図1の撮像装置10における、撮像素子121の撮像面301と、光学系122による撮像面301上への結像位置との相対位置の関係の一例を示す模式図である。図4は、図1の撮像装置10による垂直方向における画角の一例を示す図である。図4は、電子ルームミラー30用の画角に対応する視野R1と、車載ディスプレイ40用の画角に対応する視野R2と、撮影範囲外の領域R3とを例示する。また、図3は、撮像装置10が図4に例示するように自動車200に取り付けられた場合の水平方向501からの光の入射位置を例示する。ここで、撮像面301の各辺は、説明の簡単のために水平方向501又は垂直方向503に沿って配置されているとするが、これに限らない。ここで、車載ディスプレイ40用の画角は、第1の画角の一例である。また、電子ルームミラー30用の画角は、第2の画角の一例である。
【0019】
本実施形態に係る撮像装置10は、図3に示すように、光学系122の光軸401の撮像面301上の位置が撮像素子121の中央601から外れた位置となるように構成されている。好ましくは、撮像面301における光学系122の光軸401の位置は、撮像素子121のうちの電子ルームミラー30の画像データ生成に供される領域315の近傍である。より好ましくは、撮像面301における光学系122の光軸401の位置は、領域315の領域内である。ここで、撮像面301は、第1の領域の一例である。また、領域315は、第2の領域の一例である。
【0020】
より具体的には、光学系122の光軸401の撮像面301上の位置は、撮像素子121の中央601から所定の角度だけ外れた位置である。当該所定の角度は、撮像素子121及び光学系122の間のオフセット(Offset)と、撮像装置10の取り付け角度に応じた俯角(Depression)との差である。あるいは、当該所定の角度は、撮像素子121及び光学系122の間のオフセット(Offset)と、撮像装置10の取り付け角度に応じた仰角との和である。
【0021】
なお、図3に示す例において、オフセット(Offset)は、撮像素子121の中央601と光軸方向403からの光の結像位置との間の間隔と、光軸方向403からの光の結像位置と水平方向501からの光の結像位置との間の俯角(Depression)に対応する間隔との和である。
【0022】
なお、本開示では、説明の簡単のために、水平方向501とは、光学系122の射出瞳を通り、地面に水平な仮想面を規定するとするが、これに限らない。また、光学系122の光軸方向403とは、光軸401を通り、水平方向501との交線が撮像面301に並行な仮想面を規定するとする。
【0023】
なお、図3及び図4に示す例では、オフセット(Offset)は、例えば15度である。また、俯角(Depression)は、例えば3度である。ただし、オフセットや俯角の大きさは、これらに限らず任意に設定可能である。
【0024】
光学系122は、被写界からの光を、光学系122の光軸401に対する角度に応じた撮像面301上の位置に結像させる。図3は、撮像面301における光学系122の光軸401の入射位置、すなわち光軸中心からの10度ごとの角度に応じた撮像面301上の結像位置を結んだ同心円400を例示している。例えば、図3の例では、撮像面301には、被写界からの光のうち、水平方向501から上方に概ね20度外れた方向までの角度範囲DU(図4参照)の光が入射可能である。同様に、撮像面301には、被写界からの光のうち、光軸401から水平方向501の下方に概ね90度外れた方向までの角度範囲DLU(図4参照)の光が入射可能である。
【0025】
また、図3に示す例では、結像面上での光軸401からの10度ごとの各角度の結像位置を示す同心円400において、各円の間隔は、光軸401からの角度が大きくなるほど、小さい。換言すれば、本実施形態に係る光学系122は、光軸401から外れるほど、角度の間隔が小さくなるように構成されている。あるいは、本実施形態に係る光学系122は、画角が大きいほど結像面上での角度変化が小さいとも表現することができる。ここで、同心円400の間隔が広いほど、10度あたりの撮像面301上の画素数が大きい。画素密度が高ければ空間周波数を高くできるため、同心円400の間隔が広いほど、その画角に関する被写界の解像度が高くなる。つまり、図3に示す例では、光学系122の光軸401に近いほど、被写界の解像度、すなわち空間分解能が高い。
【0026】
なお、図3に示す例において、撮像面301は、例えば3840×2160(8M)[px]の大きさであるとする。この場合、光軸401を0度と表現すると、被写界のうちの0~10度の領域からの光は、320[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~20度の領域からの光は、608[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~30度の領域からの光は、835[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~40度の領域からの光は、1010[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~50度の領域からの光は、1152[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~60度の領域からの光は、1265[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~70度の領域からの光は、1373[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~80度の領域からの光は、1459[px]の画素を用いて画像化することができる。また、被写界のうちの0~90度の領域からの光は、1535[px]の画素を用いて画像化することができる。このように、光軸401との成す角が大きくなるほど、各角度範囲の画像化に用いられる画素数は少なくなる。
【0027】
なお、図3に例示するように、撮像素子121は、撮像面301より画素数の小さい撮像面303であってもよい。撮像面303は、例えば2560×1920(5M)[px]の大きさであるとする。このように、撮像素子121の画素数は、任意に設定可能である。ここで、撮像面303は、第1の領域の一例である。
【0028】
なお、図3の示す例において、領域315は、撮像素子121のうちの電子ルームミラー30の画像データ生成に供される領域である。撮像素子121により撮像された領域315の画像データは、後述する画像処理装置20により領域305で示される画像データに変換され、電子ルームミラー30に供給される。領域305は、水平方向に40度の画角に対応する領域である。領域305は、例えば1206×263[px]の大きさである。なお、図3に例示するように、撮像素子121のうちの領域317が、電子ルームミラー30の画像データ生成に供されても構わない。この場合、撮像素子121により撮像された領域317の画像データは、後述する画像処理装置20により領域307で示される画像データに変換され、電子ルームミラー30に供給される。領域307は、水平方向に60度の画角に対応する領域である。領域307は、例えば1912×400[px]の大きさである。このように、撮像素子121のうちの電子ルームミラー30の画像データ生成に供される画素数は、任意に設定可能である。ここで、領域317は、第2の領域の一例である。
【0029】
一般に、リアビュー用の画角は、電子ルームミラー用の画角より大きい。また、ルームミラー用の撮影範囲は、リアビュー用の撮影範囲の周辺部に位置している。このような中、本実施形態に係る撮像装置10では、光学系122による像の拡大率を光軸401からの角度(画角)に応じて変えるとともに、光学系122の光軸を撮像素子121の中心から外れた位置としている。
【0030】
この構成によれば、光学系122の光軸が撮像素子121の中心に位置する構成に比して、電子ルームミラー30に表示する画像の解像度を損なうことなく、電子ルームミラー30と、車載ディスプレイ40との間で共通の撮像装置10を用いることができる。換言すれば、電子ルームミラー30用の画角と、車載ディスプレイ40用の画角とのそれぞれに対応する画像を得るとともに、電子ルームミラー30用の画角に関する画素密度を向上させることができる。
【0031】
信号処理回路131は、撮像装置10からの画像データに対して、ガンマ補正や歪曲補正等の所定の画像処理を施す。インタフェース133は、信号処理回路131で信号処理された画像データを、画像処理装置20へ出力する。インタフェース133は、例えば回路で実現されてもよい。
【0032】
画像処理装置20は、撮像装置10で生成された画像データを処理する装置である。例えば、画像処理装置20は、電子ルームミラー30及び車載ディスプレイ40のそれぞれで表示するための画像データを生成する。ここで、画像処理装置20により生成される、車載ディスプレイ40用の画像は、第1の画像の一例である。また、画像処理装置20により生成される、電子ルームミラー30用の画像は、第2の画像の一例である。画像処理装置20は、撮像装置10からの画像データに対して、ガンマ補正や歪曲補正を含むキャリブレーションを施してもよい。画像処理装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるコンピュータである。画像処理装置20は、処理後の画像データを、電子ルームミラー30及び車載ディスプレイ40に供給する。
【0033】
電子ルームミラー30及び車載ディスプレイ40は、それぞれ画像処理装置20により生成された画像を表示する。
【0034】
電子ルームミラー30は、表示デバイスと、駆動回路とを備える。表示デバイスは、液晶表示パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。駆動回路は、表示デバイスを駆動する。電子ルームミラー30は、ルームミラーとして機能する表示装置である。電子ルームミラー30は、運転席の前方において、車両の上部であって、車両の水平方向における中央に配置される。電子ルームミラー30は、撮像装置10により撮像された、車両後方のシーンの画像(動画)を表示する。これにより、自動車200の運転者は、自動車200の走行中又は停止時に、電子ルームミラー30の画像により車両後方の状況を確認できる。
【0035】
車載ディスプレイ40は、表示デバイスと、駆動回路とを備える。表示デバイスは、液晶表示パネル又は有機ELディスプレイ等である。駆動回路は、表示デバイスを駆動する。車載ディスプレイ40は、ダッシュボード内またはダッシュボード上に設置される。車載ディスプレイ40は、例えば、地図、ルート案内、ラジオ選局及び各種設定等の種々の情報を表示する。また、車載ディスプレイ40は、駐車支援装置として機能する。例えば、車載ディスプレイ40は、自動車200が後進するときに、撮像装置10により撮像された車両後方のシーンの画像(以下「リアビュー画像」という)を表示する。運転者は、自動車200の後進時にリアビュー画像(動画)を確認することにより、車両後方の状況を把握することができ、車両を安全に後進させることができる。
【0036】
ここで、本実施形態に係る表示システム100の動作を説明する。
【0037】
表示システム100は、自動車200内に設定されている。表示システム100において、撮像装置10は、車両後方のシーンの画像を撮像する。画像処理装置20は、撮像装置10により生成された画像データ(動画)を受信する。
【0038】
画像処理装置20は、撮像装置10により撮像され、所定の画像処理が施された撮像画像データから、電子ルームミラー30及び車載ディスプレイ40に表示させるための画像を生成する。
【0039】
例えば、画像処理装置20は、撮像画像に画像処理を施すことにより、画素の粗密を均一化する。つまり、画像処理装置20は、画素が疎の領域の画素を補間する。例えば、画像処理装置20は、画像が自然に見えるように、撮像画像に対して歪曲補正処理を施す。
【0040】
例えば、画像処理装置20は、撮像画像からリアビュー用の画角に対応する領域の画像を切り出し、車載ディスプレイ40用の表示画像を生成する。なお、画像処理装置20は、撮像素子121の予め定められた範囲の画素からの信号に基づいて、車載ディスプレイ40用の表示画像を生成してもよい。例えば、画像処理装置20は、車載ディスプレイ40用の画角に対応する視野R2の画像が、自動車200の真後ろからやや斜め下方を見るときの画像となるように、必要に応じて視野R2の画像の視点を変換する。画像処理装置20は、切り出した画像を車載ディスプレイ40での表示に適したサイズにリサイズして、リアビュー画像を生成する。生成されたリアビュー画像は、車載ディスプレイ40に送信される。車載ディスプレイ40は、画像処理装置20からのリアビュー画像のデータを受信して表示する。
【0041】
例えば、画像処理装置20は、リアビュー用の画角に対応する撮像画像のうちの、電子ルームミラー30用の画角に対応する領域の画像を切り出し、電子ルームミラー30用の表示画像を生成する。なお、画像処理装置20は、撮像素子121の予め定められた範囲の画素からの信号に基づいて、電子ルームミラー30用の表示画像を生成してもよい。例えば、画像処理装置20は、電子ルームミラー用の画角に対応する視野R1の画像が、運転席から自動車200の真後ろを水平に見たときの画像となるように、視野R1の画像の視点を変換する。画像処理装置20は、切り出した画像を電子ルームミラー30の表示に適したサイズにリサイズして、電子ルームミラー30に表示させるための画像を生成する。生成された画像は、電子ルームミラー30に送信される。電子ルームミラー30は、画像処理装置20からの表示用の画像データを受信して表示する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る表示システム100によれば、自動車200などの移動体に搭載された1台の撮像装置10において、画角及び像の解像度が異なる複数の画像を生成することができる。一例として、本実施形態に係る表示システム100によれば、共通の撮像装置10により、電子ルームミラー30用の解像度の高い鮮明な画像と、車載ディスプレイ40用の広角な画像とを得ることができる。
【0043】
なお、車載ディスプレイ40は、車両外を撮像する複数のカメラの映像を合成した映像を表示してもよい。複数のカメラの映像を合成した映像とは、例えば全方位俯瞰映像である。
【0044】
なお、本実施形態では、ルームミラーとして使用される電子ルームミラー30を例示するが、これに限らない。本開示に係る技術は、電子ルームミラー30に限らず、例えばドアミラー又はフェンダーミラーとして使用される電子ミラーに対して適用することもできる。
【0045】
上述の実施形態において、画角の異なる複数の画像を得ることができる撮像装置10を自動車200などの移動体に搭載する場合を例示した。このような中、撮像装置10により得られる各画像の画角は、自動車200などの移動体への撮像装置10の取り付け角度に依存する。一方で、撮像装置10を自動車200などの移動体へ取り付ける際には、例えば撮像装置10が目立たないように取り付けたいといった需要がある。あるいは、自動車200などの移動体における配線の取り回しにより、撮像装置10の取り付け角度が制限される場合もある。
【0046】
そこで、以下、取り付け角度に依存せずに、車載ディスプレイ40用の広角な画像を得るための垂直画角を確保し、かつ、電子ルームミラー30用の解像度の高い鮮明な画像を得るための水平方向での解像度を確保することができる撮像装置10について説明する。
【0047】
上述の実施形態では、図3に例示するように、光軸中心からの所定の角度(例えば10度)ごとの各角度に対応する結像面上での結像位置を示す同心円400の間隔が、光軸中心から離れるほど小さくなるように構成された光学系122を例示したが、これに限らない。光学系122は、同心円400の間隔が、光軸中心から離れるほど大きくなるように構成されていてもよい。換言すれば、光学系122は、光軸401から外れるほど、角度の間隔が大きくなるように構成されていてもよい。この場合、光学系122は、画角が大きいほど、結像面上での角度変化が大きいとも表現することができる。図5は、図1の撮像装置10における、撮像素子121の撮像面301と、光学系122による撮像面301上への結像位置との相対位置の関係の別の一例を示す模式図である。図5は、プラスオフセットの場合及びマイナスオフセットの場合を例示する。図6は、図1の撮像装置10における、プラスオフセットの場合及びマイナスオフセットの場合の各部の構成の一例を示す模式図である。図5及び図6は、それぞれ、比較例としてオフセットなしの場合をさらに例示する。
【0048】
撮像面301aは、オフセットなしの場合の撮像面301を示す。このとき、図5に示すように、撮像面301aの中央601aと、光学系122の光軸方向403とは一致する。
【0049】
撮像面301bは、マイナスオフセットの場合の撮像面301を示す。このとき、図5に示すように、撮像面301bの中央601bは、光学系122の光軸方向403より下方に位置する。これにより、オフセットなしの場合に比して、撮像面301の周辺部分に位置する電子ルームミラー30用の画角に関する画素密度を向上させることができる。
【0050】
撮像面301cは、プラスオフセットの場合の撮像面301を示す。このとき、図5に示すように、撮像面301cの中央601cは、光学系122の光軸方向403より上方に位置する。これにより、オフセットなしの場合に比して、あるいはマイナスオフセットの場合と同様に、撮像面301の周辺部分に位置する電子ルームミラー30用の画角に関する画素密度を向上させることができる。もちろん、上述の実施形態に係る撮像装置10をプラスオフセットとして構成することもできる。
【0051】
なお、プラスオフセットとするか、マイナスオフセットとするかは、自動車200などの移動体への取り付け位置や取り付け角度、配線の取り回しなどに応じて適宜選択されればよい。図7は、オフセットなしの場合の撮像装置10aを自動車200に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図8は、プラスオフセットの場合の撮像装置10cを自動車200に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図9は、マイナスオフセットの場合の撮像装置10bを自動車200に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
【0052】
図8に示すように、プラスオフセットの場合には、視野R2が光軸方向403の上方の側に位置するため、図7のオフセットなしの場合に比して大きい俯角で撮像装置10cを自動車200に取り付けることができる。これにより、撮像装置10cを目立たないように自動車200に取り付けることが可能になる。また、俯角を大きくすることにより、撮像装置10c及び画像処理装置20との間の配線を、オフセットなしの場合に比してさらに上向きに取り出すことができるため、撮像装置10cの配置に要するスペースを低減することもできる。
【0053】
また、図9に示すように、マイナスオフセットの場合には、視野R2が光軸方向403の下方の側に位置するため、図7のオフセットなしの場合に比して水平方向501に近い俯角で撮像装置10bを自動車200に取り付けることができる。これにより、撮像装置10bを自動車200のボディに埋め込んで搭載することができる。
【0054】
なお、上述の実施形態では、後方確認用の電子ルームミラー30及びリアビュー画像を表示する車載ディスプレイ40を例示するが、これに限らない。本開示に係る技術は、図10に示すように、車両前方のシーン画像(以下「フロントビュー画像」という)を表示する車載ディスプレイ40と、フロントビュー画像に対応する視野内の任意の視野を確認するための電子ミラーとに対して適用することもできる。あるいは、フロントビュー画像に対応する視野内の任意の視野の障害物を検知するためのセンサに対して適用することもできる。図10は、マイナスオフセットの場合の撮像装置10bを自動車200の前方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図10に示すように、マイナスオフセットの場合には、自動車200のフロントバンパーなどに撮像装置10を配置する場合であっても、オフセットなしの場合に比して水平方向501に近い俯角で撮像装置10bを自動車200のボディに埋め込んで取り付けることができる。この場合、撮像装置10bにより、自動車200の前方に関して、自動車200の直下を撮像することも可能である。
【0055】
また、本開示に係る技術は、車両側方のシーン画像(以下「サイドビュー画像」という)を表示する車載ディスプレイ40と、サイドビュー画像に対応する視野内の任意の視野を確認するための電子ミラーとに対して適用することもできる。図11は、オフセットなしの場合の撮像装置10aを自動車200の側方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図12は、マイナスオフセットの場合の撮像装置10bを自動車200の側方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図13は、プラスオフセットの場合の撮像装置10cを自動車200の側方に取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。
【0056】
図12に示すように、マイナスオフセットの撮像装置10bは、視野R2が光軸方向403の下方の側に位置するため、図11のオフセットなしの場合に比して水平方向501に近い俯角で撮像装置10bを自動車200に取り付けることができる。例えば自動車200の側方において、撮像装置10bを自動車200のボディに埋め込んで搭載することができる。これにより、自動車200の側方に関して、自動車200の直下を撮像することも可能である。
【0057】
また、図13に示すように、プラスオフセットの場合には、視野R2が光軸方向403の側方の側に位置するため、例えば自動車200のミラーに80度などの下方へ向けて取り付けることができる。これにより、自動車200の側方に関して、自動車200の直下を撮像するとともに、水平方向501より上方まで撮像することができる。また、水平方向501や自動車200のミラー用の領域が光軸から外れて光学系122の周辺部に位置する場合には、図5に例示するような光軸から外れるほど、角度の間隔が大きい光学系122を用いることで、ミラー用の画像の生成に供される撮像素子121の周辺部における画素密度を向上することができる。
【0058】
なお、本開示に係る撮像装置10は、自動車200のピラーに埋め込むことも可能である。図14は、オフセットなしの場合の撮像装置10aを自動車200の側方のピラーに取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図14は、オフセットなしの撮像装置10aをー20度の俯角、すなわち20度の仰角で自動車200のAピラーに配置する場合を例示する。図15は、マイナスオフセットの場合の撮像装置10bを自動車200の側方のピラーに取り付けた場合の垂直方向における画角の一例を示す図である。図15は、マイナスオフセットの撮像装置10bをー20度の俯角、すなわち20度の仰角で自動車200のAピラーに配置する場合を例示する。図14に示すように、オフセットなしの場合には、自動車200の下方に関して、視野R2が車両から離れている。一方、図15に示すように、マイナスオフセットの場合には、視野R2が光軸方向403の下方の側に位置するため、自動車200の下方に関して、車両近傍まで撮像することができる。
【0059】
以上説明したように、本開示に係る撮像装置、撮像システム及び表示システムによれば、自動車200などの移動体に搭載された撮像装置10において画角の異なる複数の画像を得ることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
10 撮像装置
20 画像処理装置
30 電子ルームミラー
40 車載ディスプレイ(リアビュー)
70 撮像システム
100 表示システム
121 撮像素子
122 光学系
131 信号処理回路
133 インタフェース
200 自動車(車両,移動体)
201 後方
図1
図2
図3
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