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特開2023-76943灯具、照明装置、灯具の製造方法、及び、照明装置の施工方法
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  • 特開-灯具、照明装置、灯具の製造方法、及び、照明装置の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076943
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】灯具、照明装置、灯具の製造方法、及び、照明装置の施工方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 9/02 20060101AFI20230529BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230529BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230529BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230529BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230529BHJP
【FI】
F21S9/02 200
F21V23/00 140
F21V19/00 510
F21V19/00 411
F21S2/00 230
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189991
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】布施 純一
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA01
3K013AA03
3K013BA01
3K013EA01
3K013EA09
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】組立性及び施工性を向上させることができる、灯具、照明装置、灯具の製造方法、及び、照明装置の施工方法を提供する。
【解決手段】灯具は、常用電源部を有し、常用電源部にて変換された常用点灯電力が供給されて、常用の照明を行う常用照明ユニットと、非常用電源部を有し、非常用電源部に充電された非常用点灯電力が供給されて、非常用の照明を行う非常用照明ユニットと、常用照明ユニットと非常用照明ユニットとが取り付けられる支持体と、を備え、支持体は、被取付部に固定された器具に対して着脱可能に装着されるものであって、器具は、被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、支持体は、被取付部に固定された器具の灯具装着部に対して、常用照明ユニットと非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から出力される外部電力を受け取って常用点灯電力に変換する常用電源部を有し、前記常用電源部にて変換された前記常用点灯電力が供給されて、常用の照明を行う常用照明ユニットと、
非常用点灯電力が充電される非常用電源部を有し、前記非常用電源部に充電された前記非常用点灯電力が供給されて、非常用の照明を行う非常用照明ユニットと、
前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられる支持体と、
を備え、
前記支持体は、被取付部に固定された器具に対して着脱可能に装着されるものであって、
前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、
前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着される、
灯具。
【請求項2】
前記常用照明ユニットは、前記常用点灯電力の供給を受けて発光する常用発光素子を有しており、
前記非常用照明ユニットは、前記非常用点灯電力の供給を受けて発光する非常用発光素子を有しており、
前記支持体は、前記支持体が前記器具に装着された状態において、前記照明空間側に配置される第1面と、前記器具側に配置される第2面と、を有し、
前記常用発光素子及び前記非常用発光素子は、前記支持体の前記第1面に配置される、
請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
前記非常用発光素子は、前記支持体の前記第1面において前記常用発光素子が配置されない第1領域に配置されている、
請求項2に記載の灯具。
【請求項4】
前記常用発光素子は、前記支持体の前記第1面において前記非常用発光素子が配置されない第2領域に配置されている、
請求項2又は3に記載の灯具。
【請求項5】
前記支持体に設けられ、前記支持体を前記器具に装着するための灯具側取付部
を備え、
前記灯具側取付部は、前記支持体が前記器具に装着された状態において、前記器具に設けられた器具側取付部と連結される、
請求項1~4の何れか一項に記載の灯具。
【請求項6】
前記支持体に設けられ、前記支持体を前記器具に装着するための灯具側取付部
を備え、
前記灯具側取付部は、前記支持体が前記器具に装着された状態において、前記器具に設けられた器具側取付部に対して固定具を用いて固定される、
請求項1~4の何れか一項に記載の灯具。
【請求項7】
前記非常用照明ユニットは、前記非常用電源部を覆うように前記支持体に対して着脱可能に取り付けられるカバーを有しており、
前記非常用電源部は、前記カバーが前記支持体に取り付けられた状態において、前記支持体よりも前記カバー寄りに配置されており、
前記非常用電源部は、前記カバーが前記支持体から取り外された状態で着脱可能となる、
請求項1~6の何れか一項に記載の灯具。
【請求項8】
前記非常用照明ユニットは、前記非常用電源部を覆うように前記支持体に対して着脱可能に取り付けられるカバーを有しており、
前記非常用電源部は、前記カバーが前記支持体に取り付けられた状態において、前記支持体よりも前記カバー寄りに配置されており、
前記カバーは、前記非常用電源部が配置されている位置に対応して設けられた開閉部を有し、
前記非常用電源部は、前記カバーの前記開閉部が開状態のときに前記開閉部の開口を介して着脱可能となる、
請求項1~6の何れか一項に記載の灯具。
【請求項9】
前記非常用電源部は、前記支持体の前記第2面に配置され、
前記非常用電源部は、前記支持体が前記器具から取り外された状態で着脱可能となる、
請求項2又は請求項2に従属する請求項3~6の何れか一項に記載の灯具。
【請求項10】
前記カバーには、前記非常用発光素子から発せられる光を通過させる第1通過部が設けられている、
請求項2又は請求項2に従属する請求項7又は8の何れか一項に記載の灯具。
【請求項11】
前記非常用照明ユニットは、前記カバーが前記支持体に取り付けられた状態において、前記支持体よりも前記カバー寄りに配置される通信部を含む制御部を有しており、
前記カバーには、前記通信部が送受する情報伝達媒体を通過させる第2通過部が設けられている、
請求項7、8、及び10の何れか一項に記載の灯具。
【請求項12】
前記非常用照明ユニットは、前記カバーが前記支持体に取り付けられた状態において前記支持体よりも前記カバー寄りに配置される操作部を含む制御部を有しており、
前記カバーには、前記操作部を前記カバーから露出させる第3通過部が設けられている、
請求項7、8、10、及び11の何れか一項に記載の灯具。
【請求項13】
前記非常用照明ユニットは筐体を有し、
前記筐体は、前記非常用照明ユニットが前記支持体に取り付けられた状態において、前記支持体に対して固定具を用いて固定される、
請求項1~12の何れか1項に記載の灯具。
【請求項14】
前記非常用照明ユニットは筐体を有し、
前記筐体は、
前記筐体に設けられ、前記非常用照明ユニットが前記支持体に装着された状態において、前記支持体の端部と係合する筐体固定部
を有し、
前記筐体固定部と前記支持体の前記端部とが係合することによって、前記非常用照明ユニットは前記支持体に装着され、
前記筐体固定部と前記支持体の前記端部との係合が解除されることによって、前記非常用照明ユニットは前記支持体から取り外される、
請求項1~12の何れか1項に記載の灯具。
【請求項15】
前記支持体は、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが独立して別々に取り付け可能なものであって、
前記支持体は、前記常用照明ユニット及び前記非常用照明ユニットの一方の有無にかかわらず、少なくとも他方が前記支持体に取り付けられた状態で前記器具に対して着脱可能に装着される、
請求項1~14の何れか一項に記載の灯具。
【請求項16】
被取付部に取り付けられる器具と、
請求項1~15の何れか一項に記載の灯具と、
を備え、
前記灯具の前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具に対して着脱可能に装着されるものであって、
前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、
前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着される、
照明装置。
【請求項17】
前記非常用電源部は、前記器具又は前記灯具の外部に配置されている、
請求項16に記載の照明装置。
【請求項18】
常用光源基板に常用発光素子を配置することで、外部電源から出力される常用電力から変換された常用点灯電力による常用の照明を行う常用照明ユニットを作成するステップと、
非常用光源基板に非常用発光素子を配置することで、非常用電源部に充電された非常用点灯電力による非常用の照明を行う非常用照明ユニットを作成するステップと、
前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとを支持体に取り付けるステップと、
を備え、
前記支持体は、被取付部に固定された器具に対して着脱可能に装着されるものであって、
前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、
前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着される、
灯具の製造方法。
【請求項19】
被取付部に器具を固定するステップと、
常用の照明を行う常用照明ユニットと非常用の照明を行う非常用照明ユニットとが支持体に取り付けられた状態の灯具を準備するステップと、
前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが前記支持体に取り付けられた状態の前記灯具を、前記器具に装着するステップと、
を備え、
前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具に対して着脱可能に装着されるものであって、
前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、
前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着される、
照明装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、灯具、照明装置、その灯具の製造方法、及び、その照明装置の施工方法に関し、詳しくは、常用照明と非常時照明を行う灯具、照明装置、その灯具の製造方法、及び、その照明装置の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1或いは特許文献2に示すような常用照明と非常時照明とを行う照明装置又は照明器具が開示されている。
【0003】
特許文献1には、常用点灯用の長尺状の第1の照明器具と、非常用点灯用の第2の照明器具と、を備えた照明装置が開示されている。特許文献1では、第1の照明器具と第2の照明器具とが共通の器具本体に配置されている。
【0004】
特許文献1では、器具本体が、第1の照明器具の長手方向に沿って延設された一対の反射板を有している。そして、一方の反射板に切欠き部分を設け、当該切欠き部分の内部に第2の照明器具が配置されている。そのため、特許文献1では、第1の照明器具の短手方向に横並び状態で第2の照明器具が隣接配置されている。
【0005】
特許文献1では、第2の照明器具が、非常用点灯用の構成部品を保持する保持金具と、化粧枠とを有している。保持金具は、上面と前面とが開口された箱形に形成されている。また、化粧枠は、平板状の天板と、天板の前端を斜めに屈曲させた傾斜板とを有している。そして、化粧枠は、化粧枠の天板の背面側の端縁部に形成された係合凸部が保持金具の角穴に挿入され、且つ、化粧枠の傾斜板の舌片と保持金具の舌片とが接合された状態で、保持金具にネジ止め固定される。また、第2の照明器具は、略C字形状の補強部材を介して、器具本体の反射板に形成された切欠き部分に配置される。このように、保持金具と化粧枠との組立及び施工には手間を要する。
【0006】
特許文献2には、長尺状に形成された器具本体に対して着脱可能に取り付けられる光源ユニットと、器具本体に取り付けられて外部電源の停電時に点灯する非常用光源部と、を備えた照明器具が開示されている。器具本体は、光源ユニットの少なくとも一部が収容される収容凹部を有している。
【0007】
特許文献2では、非常用光源部が、非常用光源と、非常用電源と、非常用電源を充電する電源装置と、を有している。これらの構成のうち、非常用光源は、発光ダイオードが実装された基板と、当該基板を内部に収容する円管状に形成された放熱部材と、を有している。また、非常用電源は、円筒状に形成されたケースと、ケースの内部に収納された複数の蓄電池と、を有している。
【0008】
特許文献2に開示された照明器具は、光源ユニットと非常用光源部とが、互いに干渉しないように、器具本体の収納凹部に配置されている。具体的には、器具本体の収納凹部の長手方向の中央部に、着脱可能な光源ユニットが配置されている。そして、光源ユニットの両端に、非常用光源部の構成要素が分割されて配置されている。すなわち、光源ユニットの一端側には、非常用光源部の非常用光源と電源装置とが配置され、光源ユニットの他端側には、非常用光源部の非常用電源が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6661990号公報
【特許文献2】特許第6238162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された照明装置は、別々に組み立てられた第1の照明器具と第2の照明器具とが、共通の器具本体に配置される構成となっている。そして、常用点灯用光源としてのLEDバーは、第1の照明器具に対して着脱可能に装着されている。そのため、特許文献1に開示された照明装置を、天井などの被取付部に施工する際には、まず、被取付部に器具本体を固定し、その器具本体に第1の照明器具を取り付ける。次に、器具本体の反射板に形成された切欠き部分に、第2の照明器具を、略C字形状の補強部材を介して配置する。そして、第1の照明器具に、LEDバーを取り付ける。このように、特許文献1に開示された照明装置は、被取付部への施工に手間を要するという課題がある。
【0011】
また、特許文献1に開示された照明装置では、第2の照明器具が、非常用点灯用の構成部品を保持する保持金具と、化粧枠と、を有しており、上述したように、保持金具と化粧枠との組立作業に手間を要する。さらに、第1の照明器具に対してLEDバーが着脱可能な構成であるため、第1の照明器具、LEDバー、及び、第2の照明器具を、別々に組み立てなければならず、組立に手間を要するという課題がある。
【0012】
さらに、特許文献1の照明装置においては、第2の照明器具の蓄電池の出し入れは、次のような手順で行う。まず、器具本体からLEDバーを取り外す。次に、第2の照明器具から、ねじ止めされている化粧枠を取り外す。そして、LEDバーを器具本体から外した後の大きな空間を利用して、照明装置の短手方向に沿って電池収納部に対して蓄電池の出し入れを行う。このように、特許文献1においては、第2の照明器具の蓄電池の出し入れを行うためには、LEDバーを取り外す必要があるという課題がある。
【0013】
また、特許文献1に開示された照明装置において、仮に、照明装置が非常用の第2の照明器具を必要としない場合には、第2の照明器具を設けるために形成された反射板の切欠き部分が開口された状態のままとなってしまう。そのため、当該切欠き部分を塞ぐ蓋(キャップ)などの他の部材が別途必要となるという課題がある。
【0014】
また、上述したように、特許文献2では、非常用光源部の構成要素が分割されて配置されており、組立及び施工に手間を要する。また、非常用光源部は、照明器具の器具本体に固定されており、照明器具の器具本体から着脱できないという課題がある。一方、光源ユニットは器具本体から着脱可能な構成である。そのため、非常用光源部は器具本体と共に組み立てられ、一方、光源ユニットの組み立ては、それらの組み立てとは別に行われる。このように、光源ユニットと非常用光源部とを別々に組み立てなければならず、その意味でも、組立及び施工に手間を要するという課題がある。
【0015】
さらに、特許文献2に開示された照明器具では、器具本体の長手方向に、光源ユニットと非常用光源部とが並んで配置されている。そのため、光源ユニットの長手方向の寸法と非常用光源部の長手方向の寸法とを合算した長さ(以下、第1長さとする)が、器具本体の長手方向の寸法とほぼ同じになっている。特許文献2の照明器具において、仮に非常用光源部を設けない場合には、非常用光源部の分だけ、第1長さが、器具本体の長手方向の寸法よりも短くなる。そのため、同じ器具本体を使用するためには、長さ寸法が異なる(すなわち、器具本体の長さ寸法に適合させた)光源ユニットを用いる必要がある。逆に、同じ光源ユニットを使用する場合には、長さ寸法が異なる(すなわち、光源ユニットの長さ寸法に適合させた)器具本体を用いる必要がある。このように、特許文献2では、非常用光源部の設置の有無によって、寸法の異なる光源ユニット又は器具本体を準備しなければならないという課題がある。
【0016】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、組立性及び施工性を向上させることができる、灯具、照明装置、灯具の製造方法、及び、照明装置の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示に係る灯具は、外部電源から出力される外部電力を受け取って常用点灯電力に変換する常用電源部を有し、前記常用電源部にて変換された前記常用点灯電力が供給されて、常用の照明を行う常用照明ユニットと、非常用点灯電力が充電される非常用電源部を有し、前記非常用電源部に充電された前記非常用点灯電力が供給されて、非常用の照明を行う非常用照明ユニットと、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられる支持体と、を備え、前記支持体は、被取付部に固定された器具に対して着脱可能に装着されるものであって、前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着されるものである。
【0018】
本開示に係る照明装置は、被取付部に取り付けられる器具と、上述した灯具と、を備え、前記灯具の前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具に対して着脱可能に装着されるものであって、前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着されるものである。
【0019】
本開示に係る灯具の製造方法は、常用光源基板に常用発光素子を配置することで、外部電源から出力される常用電力から変換された常用点灯電力による常用の照明を行う常用照明ユニットを作成するステップと、非常用光源基板に非常用発光素子を配置することで、非常用電源部に充電された非常用点灯電力による非常用の照明を行う非常用照明ユニットを作成するステップと、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとを支持体に取り付けるステップと、を備え、前記支持体は、被取付部に固定された器具に対して着脱可能に装着されるものであって、前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着されるものである。
【0020】
本開示に係る照明装置の施工方法は、被取付部に器具を固定するステップと、常用の照明を行う常用照明ユニットと非常用の照明を行う非常用照明ユニットとが支持体に取り付けられた状態の灯具を準備するステップと、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが前記支持体に取り付けられた状態の前記灯具を、前記器具に装着するステップと、を備え、前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具に対して着脱可能に装着されるものであって、前記器具は、前記被取付部に固定された状態において照明空間側に開口する灯具装着部を有し、前記支持体は、前記被取付部に固定された前記器具の前記灯具装着部に対して、前記常用照明ユニットと前記非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着されるものである。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る灯具、照明装置、灯具の製造方法、及び、照明装置の施行方法によれば、常用照明ユニットと非常用照明ユニットとが同じ支持体を共用することができる。そのため、灯具および照明装置の構成が簡易であり、容易に組立を行うことができるため、組立性に優れている。また、支持体は、被取付部に固定された器具に対して、常用照明ユニットと非常用照明ユニットとが取り付けられた状態で着脱可能に装着することができる。そのため、灯具を容易に器具に対して着脱することができるため、施工性に優れている。これにより、組立性及び施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットのカバーを外した状態を示す斜視図である。
図6】実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットのカバーを外した状態を示す断面図である。
図7】実施の形態1の変形例に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
図8】実施の形態2に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図9】実施の形態2に係る灯具の構成を示す部分拡大断面図である。
図10】実施の形態3に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す断面図である。
図11】実施の形態4に係る灯具の構成を示す斜視図である。
図12】実施の形態4の変形例に係る灯具の構成を示す斜視図である。
図13】実施の形態5に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す斜視図である。
図14】実施の形態6に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す断面図である。
図15】実施の形態8に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
図16】実施の形態1に係る灯具の製造方法を示すフローチャートである。
図17】実施の形態1に係る照明装置の施工方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示に係る灯具及び照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、同一又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを割愛する場合がある。但し、同一の符号において、「a」、「b」又は「c」等のように付属する文字が異なる場合については、その範囲ではない。
【0024】
なお、本開示に係る灯具及び照明装置は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変更することが可能である。また、図面に示す灯具及び照明装置は、本開示が適用される態様の一例を示すものであり、図面に示された灯具及び照明装置によって本開示の適用範囲が限定されるものではない。
【0025】
各図面では、各構成部材等の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、向き、方向、或いは位置が表記されている場合がある。これらの表記は、説明の理解を容易にするために便宜上用いられるものであって、灯具、照明装置、或いはこれらを構成する部品等の向き、方向、位置を限定するものではない。
【0026】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置の構成を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す分解斜視図である。図4は、実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す断面図である。また、図5は、実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットのカバーを外した状態を示す斜視図である。図6は、実施の形態1に係る灯具の非常用照明ユニットのカバーを外した状態を示す断面図である。なお、図4および図6は、長尺状に形成された照明装置の短手方向を法線方向とする、非常用照明ユニットの断面形状、すなわち、照明装置の長手方向に沿って切断した場合の非常用照明ユニットの切断面の形状を示している。
【0027】
なお、以下の説明において、便宜上、第1方向として、図1図6に示すX軸方向を、照明装置1の長手方向とする。また、第2方向として、図1図3および図5に示すY軸方向を、照明装置1の短手方向とする。照明装置1の短手方向は、照明装置1の長手方向に直交する方向である。照明装置1は長尺状に形成されており、照明装置1の短手方向の寸法は、照明装置1の長手方向の寸法より小さい。また、第3方向として、図1図6に示すように、長手方向及び短手方向のそれぞれに直交する方向をZ軸方向とする。照明装置1が天井に取り付けられている場合、Z軸方向は上下方向となる。そのとき、当該Z軸方向において、上向きである上方向Z1は、灯具3が器具2に対して取り付けられる方向であり、下向きである下方向Z2は、灯具3が器具2から取り外される方向である。
【0028】
図1及び図2に示すように、照明装置1は、造営部、天井、壁等の被取付部9に取り付けられる器具2と、器具2に対して着脱可能に装着される灯具3とを備える。実施の形態1では、照明装置1、器具2、及び灯具3はいずれも長尺状に形成されている。従って、照明装置1、器具2、及び灯具3の長手方向は、いずれも、X軸方向となる。照明装置1は、例えば、被取付部9に設けられている吊りボルト(図示は省略)に器具2が取り付けられることによって、被取付部9に設置される。照明装置1は、灯具3を照明空間に向けた状態で、造営部、天井、壁等の被取付部9に取り付けられる。照明装置1が天井に取り付けられた場合、Z軸方向は例えば鉛直方向になる。一方、照明装置1が壁に取り付けられた場合、また、Z軸方向は、例えば水平方向になる。このように、また、Z軸方向は、照明装置1の取り付けられる向きによって変化する。照明装置1は、灯具3を点灯させることによって灯具3から照明光を出射させ、照明空間に照明光を照射する。なお、以下では、被取付部9が天井の場合を例に挙げて説明する。従って、以下では、Z軸方向を、上下方向Zと呼ぶ。
【0029】
照明装置1は、照明器具ともいい、照明空間を照明できる位置に設置される。照明空間とは、照明装置1が設置される空間であり、例えば、居住空間、倉庫等の内部空間、ビル或いは公共施設等の内部空間、エレベータ或いは通路等の共有空間、電車或いは船舶等の移動手段内の空間等を意味している。
【0030】
器具2は、例えば、被取付部9に設けられている吊りボルト(図示は省略)に直接取り付けられる。詳しくは、器具2は、後述する器具本体部20(図2参照)の天面部21(図2参照)に形成された貫通孔(図示は省略)を有している。貫通孔は、天面部21を貫通している。このとき、天井等の被取付部9に設けられている吊りボルトが貫通孔に挿入され、その状態で、当該吊りボルトに、ナット又はワッシャ等の固定具が取り付けられることによって、器具2は被取付部9に設置される。
【0031】
器具2は、鋼板等の金属製の板材(すなわち、板金)を用いて、ロールフォーミング又はプレス成形といった加工を施すことによって所望の形状に形成され、構造体としての剛性を得ることができる。器具2は、金属製の板材を折り曲げて形成されたものに限定するものではない。例えば、器具2は、樹脂又はセラミック等の、金属以外の材料を用いて形成されたものでもよい。また、器具2は、押出成形又は三次元造形等の他の加工方法を用いて製造されてもよい。
【0032】
器具2は、照明装置1において灯具3が装着される灯具装着具であり、照明装置1の器具本体ともいう。器具2は、器具2に取り付けられた灯具3を保持する。また、器具2は、器具2に取り付けられた灯具3に対して電力を供給する。器具2は、図1及び図2に示すように、長手方向に沿って長尺状に形成された器具本体部20と、器具本体部20の長手方向における両端部に取り付けられた一対の器具端部24とを有する。器具端部24は、台形形状又は略台形形状を有している。器具端部24のY軸方向の上端部の長さは下端部より長い。
【0033】
器具本体部20は、図2に示すように、天面部21と、一対の側面部22と、1対の器具外面部23と、を有している。天面部21は、器具2が被取付部9に取り付けられた状態で、被取付部9に平行になるように配置される矩形の板状部材である。一対の側面部22は、天面部21の短手方向における両端部から、被取付部9と反対側に向かって、すなわち、下方向Z2に延設されている(図9参照)。また、一対の器具外面部23は、照明装置1の短手方向において、側面部22の外側に配置されている。一対の器具外面部23は、側面部22の天面部21と反対側の端部、すなわち、側面部22の下端部から、被取付部9に近づく方向に延設されている。但し、一対の器具外面部23は、上下方向Zに対して傾斜して配置されている。具体的には、一対の器具外面部23は、被取付部9に近づくにつれて、照明装置1の短手方向においてそれぞれ外側に向かうように傾斜している(図9参照)。
【0034】
器具本体部20は、図2に示すように、さらに、バネ27と、端子台28と、を有している。バネ27と端子台28とは、例えば、ネジ等の固定具を用いて天面部21に取り付けられている。
【0035】
バネ27は、器具側取付部であり、灯具3が器具2に取り付けられる際に、後述する灯具側取付部であるバネ受具40と連結する。バネ27は、灯具3が有するバネ受具40と係合して連結した状態で、灯具3を保持する。このように、器具2のバネ27と灯具3のバネ受具40とが連結することによって、灯具3は器具2に取り付けられる。逆に、器具2のバネ27と灯具3のバネ受具40との連結が解除されることによって、灯具3は器具2から取り外される。
【0036】
端子台28は、天面部21に形成された電線挿通孔(図示は省略)を介して器具2内に引き込まれた外部電線(図示は省略)と接続され、商用電源等から外部電線を介して供給される常用電力を灯具3に供給する中継装置となる。端子台28には、器具側電線29の一端が接続され、灯具3が器具2に取り付けられる際に、器具側電線29の他端は灯具側電線(図示は省略)と接続される。器具2の外部に設置された商用電源等の外部電源から供給される外部電力は、端子台28及び器具側電線29を経由して灯具3に供給される。なお、端子台28及び器具側電線29を用いずに、外部電線と灯具側電線とを直接接続し(図示は省略)、商用電源等の外部電源から供給される常用電力を灯具3に供給してもよい。
【0037】
器具端部24は、器具本体部20の長手方向における両端に配置されている。器具端部24は、器具本体部20と一体化されている。実施の形態1において、器具端部24は、天面部21、側面部22及び器具外面部23のそれぞれの長手方向における端面を覆うように、かしめ又は溶接等の方法を用いて器具本体部20の端部と接続されている。
【0038】
器具端部24には、長手方向に打ち抜き可能なノックアウト25が形成されている。例えば、長手方向に並んで設置される他の照明装置等から電線を引き込む送り配線施工等を行う際に、ノックアウト25は打ち抜き加工によって除去され、長手方向に貫通する開口部は配線口として活用することができる。
【0039】
器具2において、天面部21、一対の側面部22、及び、器具端部24で囲まれた領域は、灯具3が装着される灯具装着部26である。このように、器具2は、天井などの被取付部9に器具2が固定された状態において、照明空間側に開口する灯具装着部26を有している。言い換えれば、灯具装着部26は、器具2に設けられ、開口部分の形状が平面視で矩形または略矩形の凹部である。灯具3の支持体30は、常用照明ユニット31および非常用照明ユニット32が装着された状態で、灯具装着部26の開口側から、灯具装着部26に対して着脱可能である。灯具3は、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、灯具3の少なくとも一部は灯具装着部26の内部に収容される。
【0040】
灯具3は、常用の照明を行うための常用照明ユニット31と、非常用の照明を行うための非常用照明ユニット32と、バネ受具40と、常用電源部50と、支持体30と、を備える。支持体30には、常用照明ユニット31、非常用照明ユニット32、バネ受具40、及び、常用電源部50が、取り付けられる。灯具3は、常用照明の機能と非常用照明の機能とを一体化した機能複合型の灯具である。灯具3は照明具等ともいう。
【0041】
常用の照明とは、照明装置1に対して外部電源から常用電力が供給されているとき、すなわち、通常時に、常用照明ユニット31の常用発光素子313が点灯する動作である。具体的には、外部電源から端子台28及び器具側電線29を経由して常用電源部50に供給される外部電力が、常用電源部50によって、常用点灯電力に変換される。そして、常用電源部50から出力される常用点灯電力によって、常用照明ユニット31の常用発光素子313が点灯する。
【0042】
非常用の照明とは、照明装置1に対して、停電等の何らかの要因で外部電源から常用電力が供給されていないとき、すなわち、非常時に、非常用照明ユニット32の非常用発光素子322が点灯する動作である。この場合、外部電力が得られないため、非常用電源部326(図3参照)に充電されている非常用点灯電力を用いて、非常用照明ユニット32の非常用発光素子322を点灯させる。非常用電源部326は、照明装置1に対して外部電源から常用電力が供給されているとき、すなわち、通常時に、当該常用電力によって充電される。
【0043】
非常用照明ユニット32は、図1及び図2に示すように、常用照明ユニット31が配置されていない領域(以下、第1領域とする)に配置されている。また、常用照明ユニット31は、非常用照明ユニット32が配置されていない領域(以下、第2領域とする)に配置されている。具体的には、非常用照明ユニット32は、支持体30の長手方向における中央部寄りに配置されており、非常用照明ユニット32を間にして、2つの常用照明ユニット31が、支持体30の長手方向における端部寄りに配置されている。このように、照明装置1の長手方向に沿って、常用照明ユニット31、非常用照明ユニット32、常用照明ユニット31の順に、並んで配置されている。灯具3は、支持体30を用いることによって、器具2に対する常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32の着脱を同時に行うことができる構成となっている。なお、実施の形態1において、2つの常用照明ユニット31は同一の仕様のものとして説明するが、これに限定するものではなく、2つの常用照明ユニット31はそれぞれ異なる仕様のものであってもよい。
【0044】
支持体30は、照明装置1の長手方向に沿って延設され、支持体配置部300(図3参照)及び支持体側部305(図3参照)を有する長尺状の構造体である。支持体配置部300は、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、器具2が固定された被取付部9に平行になるように配置される矩形の板状部材である。支持体配置部300の長手方向の長さは、照明装置1の長手方向の長さとほぼ同じである。支持体配置部300は、下方向Z2側の第1面301と、上方向Z1側の第2面302と、を有している。支持体配置部300の第1面301には、常用照明ユニット31を構成する常用光源部310(図2参照)と、非常用照明ユニット32を構成する非常用光源部320(図4参照)及び非常用電源部326(図3参照)と、が配置されている。また、支持体配置部300の第2面302には、灯具側取付具であるバネ受具40と、常用電源部50と、が配置されている。支持体30は、常用照明ユニット31と非常用照明ユニット32とを一体化するための灯具3における第1のシャーシであり、基台又は台座等ともいう。支持体30は、常用照明ユニット31と非常用照明ユニット32とが一体化された灯具3を、器具2に対して着脱可能に取り付けるための取付部材である。また、支持体30は、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32から発する動作熱を放散させるヒートシンクとしての機能も有する。
【0045】
図1及び図2に示すように、灯具3には、透光カバー314が設けられている。支持体配置部300の第1面301は、灯具3が器具2に装着された状態で照射空間の側を向く支持体30の表(おもて)面であり、透光カバー314の透光部316と対向する。第1面301は、下方向Z2を向く面であり、支持体30の下面ともいう。一方、支持体配置部300の第2面302は、第1面301と反対側の裏(うら)面であり、灯具3が器具2に装着された状態で器具本体部20の天面部21と対向する。第2面302は、上方向Z1を向く面であり、支持体30の上面ともいう。
【0046】
支持体側部305は、図3に示すように、支持体配置部300の短手方向における両端部から器具2の側に向かって立ち上がっており、支持体30の剛性を向上させる機能を有する。このように、実施の形態1において、支持体30は、支持体配置部300と支持体側部305とから構成されている。そのため、支持体30の長手方向を法線方向とする断面形状(短手方向に沿った切断面の支持体30の形状)は、上方向Z1に開口した概略U字形状(コの字形状)をなしている。
【0047】
支持体30は、鋼板等の金属製の板材(板金)を用いて、ロールフォーミング又はプレス成形といった加工を施すことによって所望の形状に形成され、構造体としての剛性を得ることができる。なお、支持体30は、金属製の板材を折り曲げて形成されたものに限定するものではない。例えば、支持体30は、樹脂又はセラミック等、金属以外の材料を用いて形成されたものでもよい。また、支持体30は、押出成形又は三次元造形等の他の加工方法を用いて製造されてもよい。さらに、放熱効率(熱放射率)又は光の利用効率(反射率)等を向上させるために、支持体30に表面処理を施してもよいし、支持体30に機能部材を敷設してもよい。
【0048】
常用照明ユニット31は、主に、常用の照明光を出射するための常用光源部310と、常用光源部310を覆う透光カバー314と、を有する。常用照明ユニット31は、支持体30に取り付けられた状態で、器具2の灯具装着部26に装着可能な形状及び寸法である。
【0049】
常用光源部310は、灯具3における第1光源部であり、常用発光素子313、及び、常用光源基板312等を有している。常用発光素子313は、常用点灯電力の供給を受けて発光する。実施の形態1において、常用発光素子313として、発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LEDと称す)素子を用いている。常用光源基板312の実装面に、複数の常用発光素子313が、長手方向に沿って、列状又は千鳥状等に実装されている。実施の形態1において、常用発光素子313は、波長が440~480〔nm〕の青色光を出射するLEDチップ上に、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体を配してパッケージ化された面実装部品である疑似白色LED素子である。図示は省略するが、常用発光素子313が出射する光は、光束値が最大となる発光面に垂直な光軸Lに対して、対称に照射角αだけ広がる。照射角αは、例えば120度である。
【0050】
常用光源基板312は、長手方向に沿って長尺状に形成されている。常用光源基板312は矩形状の板状をなしており、常用発光素子313の実装面である一面に、常用発光素子313が列状又は千鳥状等に配置されている。一面と反対側の面である他面は非実装面であり、接着部材を用いて支持体配置部300の第1面301に接着固定するための接合面である。なお、常用光源基板312の支持体30への固定は接着固定に限定されるものではない。例えば、常用光源基板312は、支持体30に対して、リベット或いはネジ等の固定具を用いて固定されてもよいし、常用光源基板312は、支持体30の一部を切り起こす等の加工を施して形成された基板保持部によって固定されてもよい。常用光源基板312は、例えば、ガラス-エポキシ基板(FR-4)、ガラス-コンポジット基板(CEM-3)、紙エポキシ基板(FR-3)、紙フェノール基板(XPC)、金属ベース基板等を用いることができる。
【0051】
なお、常用光源部310は、上述の構成に限定されるものではない。また、常用発光素子313は、固体レーザ(Solid State Laser)、半導体レーザ(Semiconductor Laser)、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL等を用いてもよい。
【0052】
透光カバー314は、常用光源部310を覆うように支持体30に取り付けられ、常用光源部310を保護するとともに、常用光源部310から照明空間への照明光を通過させる。透光カバー314は、透光性の材料、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂等の樹脂材料、或いはガラス等の合成樹脂以外の材料を用いて形成される。また、透光カバー314の製造方法は、射出成形、ブロー成形、押出成形、三次元造形といった製造方法が用いられる。透光カバー314は、照明装置1の仕様に応じて、常用光源部310から出射する光を拡散させる拡散機能、或いは、選択的に光を通過させる波長弁別機能を有してもよい。
【0053】
透光カバー314は、長手方向に延設されるカバー主部315と、カバー主部315の長手方向における両端部に設けられたカバー端部318と、を有する。
【0054】
カバー主部315は、常用光源部310から出射した光が透過する透光部316と、支持体30の支持体側部305に取り付けられる取付部317と、を有する。実施の形態1において、カバー主部315の長手方向を法線方向とする断面形状(短手方向に沿った切断面のカバー主部315の形状)は、上方向Z1に開口した概略U字形状をなしている。しかし、カバー主部315の長手方向を法線方向とする断面形状は、概略V字形状等の他の形状であってもよい。
【0055】
透光カバー314が支持体30に取り付けられた状態で、透光部316は、常用光源部310と接触しないように、常用光源部310と間隔を保った状態で、常用光源部310と対向するように配置される。また、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、透光部316の少なくとも一部は器具2の外部に露出する。
【0056】
カバー主部315の取付部317は、支持体30の短手方向における両端側から、支持体配置部300と支持体側部305とを抱え込むようにして支持体30に取り付けられる。透光カバー314を支持体30に取り付ける際には、上方向Z1に沿って透光カバー314を支持体30に挿入していく。このとき、挿入圧によって、カバー主部315の一対の取付部317が、互いに離れる方向に、短手方向の外側に向かって拡がる。さらに透光カバー314を支持体30に挿入していくと、カバー主部315の取付部317と、支持体30の支持体側部305とが係合し、透光カバー314が支持体30に取り付けられる。
【0057】
カバー端部318は、常用光源部310の長手方向における端部を覆う部分であり、常用光源部310の長手方向における両端に配置されている。カバー端部318は、カバー主部315とは別部材として形成され、溶着又は接着等の方法によりカバー主部315の端部に取り付けられ、透光カバー314として一体化される。なお、透光カバー314は、カバー主部315とカバー端部318とが一体成形されてもよい。
【0058】
非常用照明ユニット32は、非常用の照明光を出射するための非常用光源部320(図4参照)と、非常用電源部326(図3参照)と、制御部332(図3参照)と、これらが配置される筐体337(図3参照)と、カバー350(図3参照)と、を有する。非常用照明ユニット32は、支持体30に取り付けられた状態で、器具2の灯具装着部26(図2参照)に装着可能な形状及び寸法である。
【0059】
筐体337は、長手方向に延設された筐体配置部338と、筐体配置部338の長手方向における両端部に設けられた筐体壁部340と、を有する長尺状の構造体である。筐体配置部338は、非常用照明ユニット32が支持体30に配置された状態で、器具2が固定された被取付部9に平行になるように配置される矩形の板状部材である。筐体配置部338には、非常用光源部320と、非常用電源部326と、制御部332と、が配置される。筐体壁部340は、図3に示すように、筐体配置部338の長手方向における両端部から、非常用光源部320が配置される側、すなわち、下方向Z2に向かって延設されている。実施の形態1において、筐体337の短手方向を法線方向とする断面形状(長手方向に沿った切断面の筐体337の形状)は、下方向Z2に開口した概略U字形状(コの字形状)をなしている。筐体壁部340は、非常用照明ユニット32が支持体30に配置された状態で、筐体壁部340に隣接する常用照明ユニット31のカバー端部318と対向する。筐体壁部340は、常用照明ユニット31と非常用照明ユニット32の構成部品とを隔てる遮蔽壁である。
【0060】
筐体337は、灯具3における第2のシャーシであり、非常用光源部320と、非常用電源部326と、制御部332と、筐体配線孔339と、が配置される。また、筐体337は、非常用光源部320、非常用電源部326、及び制御部332から発する動作熱を、放散又は支持体30に伝達させる機能を有する。
【0061】
筐体配置部338には、カバー350を取り付けるためにネジ等の固定具363が固定されるスペーサ341が設けられている。スペーサ341は、筒形状をなし、内壁にはネジ溝が形成されている。スペーサ341は、かしめ又は溶接等の方法によって一端が固定されており、他端に固定具363であるネジがねじ込まれる。実施の形態1において、スペーサ341は両端が開口した貫通型のスペーサであり、スペーサ341の一端に、支持体30の支持体ネジ孔303を挿通する固定具80であるネジがねじ込まれることによって非常用照明ユニット32が支持体30に固定される。
【0062】
非常用光源部320は、灯具3における第2光源部であり、図4に示すように、非常用発光素子322、非常用光源基板321等を、有している。非常用発光素子322は、非常用点灯電力の供給を受けて発光する。実施の形態1において、非常用発光素子322として、面実装タイプのLED素子を用いており、非常用発光素子322は非常用光源基板321の実装面における所定領域に実装されている。非常用発光素子322は常用発光素子313と同様のものを使用することができ、非常用光源基板321は常用光源基板312と同様のものを使用することができる。また、非常用光源部320は、所謂COB(Chip On Board)タイプ等、他のタイプのものを使用してもよい。
【0063】
光学部材323は、図4に示すように、非常用光源部320を覆うように、非常用光源部320の非常用発光素子322の側に配置される。光学部材323は、非常用発光素子322が照射する光を広角に配光するレンズであり、非常用の照明に必要な範囲へ照明光を照射する配光特性を有している。光学部材323は、樹脂材料、或いは、ガラス材料等の透光性の材料を用いて形成することができる。
【0064】
保持部材324は、非常用光源部320及び光学部材323を筐体に取り付けるためのホルダである。保持部材324は、保持部材324と筐体配置部338との間に非常用光源部320及び光学部材323を配置した状態で、ネジ等の保持部材固定具325を用いて筐体337に固定される。
【0065】
実施の形態1において、非常用光源部320及び光学部材323は、筐体配置部338の長手方向における中央寄りに配置されている。非常用光源部320及び光学部材323は、非常用光源部320及び光学部材323の光学中心(光軸)が筐体配置部338の中央部と重なるように、筐体配置部338に配置されることが好ましい。
【0066】
非常用電源部326は、図3及び図4に示すように、光学部材323と一端側の筐体壁部340との間に着脱可能に配置されている。すなわち、非常用電源部326は、筐体配置部338の長手方向における一端側の端部寄りに配置されている。非常用電源部326は、弾性部材であるバネ等の支持部327によって筐体337に支持されている。支持部327は、図4に示すように、筐体配置部338に固定される固定部328と、非常用電源部326を筐体配置部338側に押圧する押圧部329と、固定部328と押圧部329とを接続する接続部330とからなり、概略Z形状をなしている。固定部328は、ネジ等の支持部固定具331を用いて筐体337に固定される。
【0067】
非常用電源部326は、支持部327を弾性変形させて押圧部329による押圧を解除することによって取り外すことができ、支持部327を弾性変形させた状態で取り付けることができる。非常用電源部326は短手方向に沿って着脱することができる。
【0068】
制御部332は、図3及び図4に示すように、光学部材323と他端側の筐体壁部340との間に配置されている。すなわち、制御部332は、筐体配置部338の長手方向における他端側の端部寄りに配置されている。制御部332は、非常用の照明に関する制御を行うものであり、制御ユニットともいう。制御部332は、非常用光源部320(非常用発光素子322)の点灯を制御する。制御部332は、照明装置1における第2の点灯装置であり、実施の形態1において、制御部332は、灯具3における第2の点灯装置である。また、制御部332は、非常用電源部326の充電或いは放電に関する制御、及び非常用照明ユニット32の点検に関する制御を行う。
【0069】
制御部332は、本体部333と、本体部333の内部に収容される制御回路334と、本体部333の表面に配置される通信部335(図3参照)と、操作部336(図3参照)と、を有する。本体部333は、例えば、樹脂材料等によって形成されたケースである。制御部332は、本体部333が筐体配置部338に固定されることによって筐体337に取り付けられる。制御回路334は、プログラム等を記憶するメモリ等の記憶機能、及び、プログラムを実行するプロセッサ等の演算機能を有しており、これらの機能によって非常用の照明に関する制御が行われる。
【0070】
通信部335及び操作部336は、例えば、非常用照明ユニット32の点検に用いられ、作業者が操作部336を操作することによって制御部332は点検動作に移行し、作業者は通信部335によって点検結果を得ることができる。実施の形態1において、通信部335は、例えば、視覚情報を出力するインジケータ、聴覚情報を出力するスピーカ等である。なお、点検動作は、制御部332と通信可能な携帯端末等を用いて、制御部332に対して遠隔操作で行われる方式であってもよい。また、点検の結果、非常用照明ユニット32または非常用電源部326に異常があった場合には、作業者は、それらを取り外して、修理又は交換を行う。
【0071】
カバー350は、略直方体の箱形形状であり、上部が上方向Z1に開口している。カバー350は、図6に示すように、非常用光源部320、非常用電源部326、及び、制御部332を覆うように、(支持体30に固定された)筐体337に対して着脱可能に取り付けられる。カバー350の主部(底部)351には、ネジ挿通孔355が形成されている。ネジ挿通孔355に挿通された固定具363であるネジが、筐体配置部338に設けられたスペーサ341の他端にねじ込まれることによって、カバー350は筐体337に取り付けることができる。また、固定具363であるネジをスペーサ341から外すことによって、カバー350は筐体337から取り外すことができる。
【0072】
非常用電源部326は、カバー350が筐体337に取り付けられた状態で、支持体30よりもカバー350の側に配置されており、カバー350が筐体337から取り外された状態で着脱可能となる。
【0073】
カバー350は、非常用照明ユニット32の外観意匠部分であり化粧カバーともいう。また、カバー350は、非常用電源部326を着脱するために開閉される開閉部である。
【0074】
カバー350は、図3に示すように、長手方向に延びる長尺の箱形状をなしている。カバー350は長手方向に延設された主部351と、長手方向に沿って主部351の両側部に設けられた側部360と、を有している。また、カバー350は、主部351の側辺及び側部360の下辺を繋ぐように設けられる傾斜面である接続部361(テーパ部)を有している。さらに、カバー350は、主部351、側部360、及び接続部361のそれぞれの長手方向の両端部に設けられる端部362を有している。
【0075】
実施の形態1において、端部362の形状は台形又は略台形をなしている。また、実施の形態1において、カバー350の形状は、灯具3全体の意匠性を考慮して、以下のようになっている。すなわち、カバー350の長手方向を法線方向とする断面形状(短手方向に沿った切断面のカバー350の形状)、及び、端部362の形状は、筐体337の筐体壁部340、或いは、透光カバー314のカバー端部318に、概ね対応した形状をなしている。また、カバー350が筐体337に装着された状態において、図4に示すように、カバー350の端部362は、筐体337の筐体壁部340の内側に位置する。すなわち、カバー350は、筐体337の一対の筐体壁部340間に嵌合されて装着されている。そのため、カバー350をネジ等の固定具363で固定する際に、カバー350が筐体337から下方向Z2に脱落しにくくなっている。その結果、作業員は、カバー350を押さえながら、ネジ等の固定具363を締結しなくてよいため、作業がしやすい。
【0076】
主部351の中央部には、光学部材323であるレンズの一部を露出させる貫通孔であるレンズ配置部352が形成されている。レンズ配置部352は、非常用発光素子322から発せられる光を通過させる第1通過部であり、非常用照明ユニット32の照射孔である。また、主部351において、制御部332の通信部335に対応した部分には、通信孔353が設けられている。通信孔353は、制御部332の通信部335が送受する情報伝達媒体(可視光、赤外線、音波、電波等)を通過させるための貫通孔であり、第2通過部である。そして、主部351において、制御部332の操作部336に対応した部分には、操作孔354が設けられている。操作孔354は、カバー350の表面に達するように操作部336を通過させるための貫通孔である。これにより、操作部336の少なくとも先端部は、操作孔354から突出し、カバー350の表面から外部に露出する。そのため、作業者は、操作孔354から突出した操作部336を操作することができる。操作孔354は、操作部336をカバー350から外部に露出させる第3通過部である。
【0077】
筐体337及びカバー350は、鋼板等の金属製の板材(板金)を用いて、ロールフォーミング又はプレス成形といった加工を施すことによって所望の形状に形成され、構造体としての剛性を得ることができる。なお、筐体337及びカバー350は、金属製の板材を折り曲げて形成されたものに限定するものではない。例えば、筐体337及びカバー350は、樹脂又はセラミック等、金属以外の材料を用いて形成されたものでもよい。また、筐体337及びカバー350は、押出成形又は三次元造形等の他の加工方法を用いて製造されてもよい。さらに、放熱効率(熱放射率)又は光の利用効率(反射率)等を向上させるために、筐体337及びカバー350に表面処理を施してもよいし、筐体337及びカバー350に機能部材を敷設してもよい。
【0078】
バネ受具40は、図2に示すように、灯具側取付部であり、灯具3が器具2に取り付けられる際に、器具側取付部であるバネ27と連結する。バネ受具40は、支持体30の第2面302に取り付けられており、器具2が有するバネ27と係合した状態で、灯具3を器具2に保持する。灯具3のバネ受具40と器具2のバネ27とが連結することによって、灯具3は器具2に取り付けられ、器具2のバネ27と灯具3のバネ受具40との連結が解除されることによって、灯具3は器具2から取り外される。
【0079】
常用電源部50は、常用の照明に関する制御を行うものであり、支持体30の第2面302に取り付けられている。常用電源部50には、外部の商用電源等から常用電力が供給されているとき(通常時)に、端子台28、器具側電線29、及び灯具側電線70(図示は省略)を経由して外部電力が供給される。常用電源部50は、供給された外部電力を、常用照明ユニット31の常用発光素子313が点灯させるための常用点灯電力に変換し、常用照明ユニット31の常用光源部310(すなわち、常用発光素子313)に対して、当該常用点灯電力を出力する。
【0080】
以上のように、実施の形態1においては、灯具3が、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を共通の支持体30に取り付ける構成としている。そして、灯具3を器具2に取り付けることによって、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を一緒に器具2に取り付けることができる。このように、照明装置1は施工性に優れている。
【0081】
また、灯具3は、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を共通の支持体30に取り付ける構成としており、灯具3を器具2から取り外すことによって、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を一緒に器具2から取り外すことができる。このように、照明装置1はメンテナンス性に優れている。
【0082】
そして、灯具3は、非常用照明ユニット32を備えず、全体が常用照明ユニット31のみで構成されたものであっても、器具2に対して灯具3を着脱可能に装着することができる。すなわち、非常用照明ユニット32の有無にかかわらず、灯具3を器具2に取り付けたり、器具2から取り外したりすることができる。
【0083】
換言すると、器具2は、非常用照明ユニット32を備えた灯具3と、非常用照明ユニット32を備えない灯具3との何れであっても、共通の灯具装着具として用いることができる。このように、非常用照明ユニット32がある場合とない場合との両方の場合に対して、器具2を共用化することができる。
【0084】
つまり、照明装置1は、非常用照明ユニット32を備えた灯具3のみに対応した専用の灯具装着具としての器具2を必要としない。そのため、照明装置1の開発、生産、管理等に対する投資(コスト及び時間)を効率化することができる。
【0085】
さらに、非常用照明ユニット32を設けない場合、図3に示すように、支持体30の支持体配置部300の第1面301は、単なる平面形状になっている。従って、特に何らかの処置を施す必要もなく、非常用照明ユニット32を設けないままの状態で照明装置1を使用しても特に支障をきたさない。また、外観上においても、平面形状の第1面301が見えているだけであるため、美観を損なうこともない。なお、図3に示すように、支持体30の支持体配置部300の第1面301には、支持体ネジ孔303と支持体配線孔304とが設けられているが、これらの孔は何れも小さい穴である。そのため、上記の特許文献1の切欠き部分とは異なり、これらの穴を塞ぐための蓋(キャップ)等の部材を準備する必要はない。このように、照明装置1は、非常用照明ユニット32の有無にかかわらず、常用照明ユニット31を使用することができる。また、同様に、照明装置1は、常用照明ユニット31の有無にかかわらず、非常用照明ユニット32を使用することができる。このように、支持体30は、常用照明ユニット31と非常用照明ユニット32とが独立して別々に取り付け可能な構成になっている。従って、使用目的に合わせて、常用照明ユニット31と非常用照明ユニット32との一方のみを支持体30に装着して照明装置1を使用することも可能である。
【0086】
また、実施の形態1では、非常用照明ユニット32の非常用電源部326は、カバー350を取り外すことによって交換が可能であるので、非常用電源部326を交換するために灯具3を器具2から取り外す必要がない。そのため、作業者は、カバー350を単に取り外すだけで、非常用電源部326を容易に交換することができる。従って、灯具3及び照明装置1はメンテナンス性に優れている。
【0087】
なお、灯具3を器具2に取り付けるための構成として、灯具3の灯具側取付部としてのバネ受具40と器具2の器具側取付部としてのバネ27とが連結する構成を例示したが、これに限定されない。すなわち、バネ受具40とバネ27との設置位置を逆にしてもよい。具体的には、灯具3が有する灯具側取付部がバネ27で、器具2が有する器具側取付部がバネ受具40であり、これらが連結する構成であってもよい。また、器具2に対する灯具3の取り付けは、バネとバネ受具との連結以外の方法を用いてもよい。例えば、支持体30に設けられた灯具側取付部と、器具2に設けられた器具側取付部とを、ネジ等の固定具を用いて固定する方法を用いて、器具2に灯具3を取り付けてもよい。
【0088】
常用電源部50は、灯具3の構成要素として支持体30に取り付けられる態様を例示したが、これに限らず、常用電源部50は、器具2に取り付けられるものであってもよい。
【0089】
また、実施の形態1では、常用光源基板312(図1参照)に常用発光素子313(図1参照)を配置することで、常用照明ユニット31を容易に作成することができる。
【0090】
また、非常用光源基板321(図4参照)に非常用発光素子322(図4参照)を配置することで、非常用照明ユニット32を容易に作成することができる。また、非常用照明ユニット32は、筐体337を有しているため、筐体337内に、非常用発光素子322が配置された非常用光源基板321と、非常用電源部326と、制御部332と、を配置するだけで、非常用照明ユニット32を容易に作成することができる。
【0091】
さらに、実施の形態1では、常用照明ユニット31は、例えば、接着部材またはネジ等の固定具を用いて、支持体30に容易に固定することができる。非常用照明ユニット32は、例えば、ネジ等の固定具により、支持体30に容易に固定することができる。
【0092】
このように、実施の形態1に係る灯具3は容易に組み立てることができるため、組立性に優れている。また、そのような灯具3を備えた照明装置1も同様に組立性に優れている。さらに言えば、照明装置1は、器具2のバネ27と灯具3のバネ受具40とを連結させて、灯具3を器具2に装着することで、照明装置1は容易に組み立てることができるため、その意味においても、照明装置1は組立性に優れている。
【0093】
なお、実施の形態1において、照明装置1は、長手方向の端部がV字型(台形型)の形状をなしている、V字型或いは逆富士型の照明装置を例示して説明したが、照明装置1は、これに限定されるものではない。例えば、照明装置1は、トラフ型或いは笠付型といった被取付部9に直付けされる他の直付型の照明装置であってもよいし、例えば、照明装置1は、少なくとも一部が被取付部9に埋め込まれる埋込型の照明装置であってもよい。
【0094】
(実施の形態1の変形例)
図7は、実施の形態1の変形例に係る照明装置の構成を示す斜視図である。図7に示すように、非常用照明ユニット32は、非常用電源部326が着脱可能となるように、部分的に開閉可能な開閉部356を設けたカバー350aを採用してもよい。開閉部356は、カバー350aから取り外せる蓋から構成されていてもよいが、蝶番などの取付具により開閉可能にカバー350aに取り付けられていてもよい。開閉部356は、カバー350aにおいて、非常用電源部326が配置されている位置に対応させて配置されている。図7の例では、非常用電源部326の真下に位置するように、開閉部356はカバー350aの主部(底部)351に設けられている。作業者は、カバー350aを非常用照明ユニット32の筐体337に取り付けた状態のまま、開閉部356を開状態にすることで、開閉部356の開口を介して非常用電源部326を着脱することが可能である。
【0095】
(実施の形態1に係る灯具の製造方法)
図16は、実施の形態1に係る灯具の製造方法を示すフローチャートである。図16を用いて、以下、実施の形態1に係る灯具3の製造方法について簡単に説明する。詳細については、上記の説明を参照されたい。
【0096】
ステップS1では、常用光源基板312(図1参照)に常用発光素子313(図1参照)を配置することで、常用照明ユニット31を作成する。
【0097】
ステップS2では、非常用光源基板321(図4参照)に非常用発光素子322(図4参照)を配置することで、非常用照明ユニット32を作成する。また、ステップS2では、非常用照明ユニット32が筐体337を有している場合には、筐体337内に、非常用発光素子322が配置された非常用光源基板321と、非常用電源部326と、制御部332と、を配置する。
【0098】
ステップS3では、ステップS1で作成した常用照明ユニット31と、ステップS2で作成した非常用照明ユニット32と、を、支持体30(図3参照)に取り付ける。常用照明ユニット31は、例えば、接着部材またはネジ等の固定具を用いて、支持体30に固定される。非常用照明ユニット32は、例えば、ネジ等の固定具80により、支持体30に固定される。
【0099】
なお、ステップS3では、常用照明ユニット31が透光カバー314を有している場合には、常用光源基板312及び常用発光素子313を覆うように透光カバー314を支持体30に取り付ける。また、ステップS3では、非常用照明ユニット32がカバー350を有している場合には、非常用照明ユニット32は、カバー350を、例えば、ネジ等の固定具363により、筐体337に固定する。
【0100】
以上により、実施の形態1に係る灯具3を製造することができる。このように、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32は、それぞれ、容易に組み立てることができる。また、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32は、それぞれ、共通の支持体30に容易に取り付けることができる。従って、灯具3の製造方法は、作業者の負担が少なく、組立性に優れている。
【0101】
(実施の形態1に係る照明装置の施工方法)
図17は、実施の形態1に係る照明装置の施工方法を示すフローチャートである。図17を用いて、以下、実施の形態1に係る照明装置の施工方法について簡単に説明する。詳細については、上記の説明を参照されたい。
【0102】
ステップS10では、天井などの被取付部9(図2参照)に、器具2(図2参照)を固定する。器具2は、例えば、被取付部9に設けられている吊りボルトに直接取り付けられる。
【0103】
ステップS11では、常用照明ユニット31(図2参照)と非常用照明ユニット32(図2参照)とが支持体30(図2参照)に取り付けられている灯具3を準備する。
【0104】
ステップS12では、常用照明ユニット31と非常用照明ユニット32とが支持体30に取り付けられた状態の灯具3を、器具2に装着する。器具2には、器具側取付部としてのバネ27(図2参照)が設けられている。また、灯具3には、灯具側取付部としてのバネ受具40が設けられている。そのため、器具2のバネ27と、灯具3のバネ受具40とを連結させることで、灯具3を器具2に装着することができる。
【0105】
以上により、実施の形態1に係る照明装置1を被取付部9に取り付けることができる。このように、灯具3は、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を共通の支持体30に取り付ける構成としている。そして、灯具3を器具2に取り付けることによって、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を一緒に器具2に取り付けることができる。従って、照明装置1の施工方法は、作業者の負担が少なく、施工性に優れている。また、灯具3を器具2から取り外すことによって、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32を一緒に器具2に取り外すことができる。従って、照明装置1の施工方法は、メンテナンス性に優れている。
【0106】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す分解斜視図である。図9は、実施の形態2に係る灯具の構成を示す部分拡大断面図である。なお、図9は、筐体337b及びカバー350の長手方向を法線方向とする断面形状(短手方向に沿った切断形状)を示している。
【0107】
図8に示す実施の形態2に係る灯具3の非常用照明ユニット32bと、上記の図3に示す実施の形態1に係る灯具3の非常用照明ユニット32との違いは、以下の通りである。実施の形態2においては、実施の形態1の筐体337の代わりに、筐体337bが設けられている。筐体337bには筐体固定部342が追加されており、この点が実施の形態1と異なる。また、筐体固定部342には、突状部343が設けられている。実施の形態2においては、筐体337bに、突状部343が形成された筐体固定部342を設けたことにより、実施の形態1で示したネジ等の固定具80(図3参照)が不要となる。以下、詳細に説明する。
【0108】
なお、他の構成については、上記の実施の形態1と同様であるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0109】
図8に示すように、筐体337bは、一対の筐体固定部342を有している。一対の筐体固定部342は、筐体配置部338の短手方向における両側部に設けられ、筐体配置部338の長手方向に沿って延設されている。また、一対の筐体固定部342は、筐体配置部338の短手方向における両側部から、上方向Z1に向かって立設されている。すなわち、一対の筐体固定部342は、筐体配置部338の短手方向における両端部から、非常用光源部320が配置されていない側、すなわち、上方向Z1に向かって立設されている。従って、筐体337bの長手方向を法線方向とする断面形状(短手方向に沿った切断面の筐体337bの形状)は、図9に示すように、上方向Z1に開口した概略U字形状(コの字形状)をなしている。また、非常用照明ユニット32bが支持体30に配置された状態で、筐体固定部342は支持体側部305の外側に配置される。
【0110】
筐体固定部342のそれぞれには、図8に示すように、複数の突状部343が設けられている。突状部343は、一定の間隔を空けて、筐体固定部342の長手方向に並んで配置されている。突状部343は、概略U字形状の筐体337bの内側の空間に向かって突出している。そのため、対向して配置された2つの筐体固定部342に設けられた突状部343は、図9に示すように、互いに近付く向きに突出している。実施の形態2において、突状部343は、筐体固定部342に対して切絞り加工を施す方法によって形成されている。突状部343は、筐体固定部342に他の加工方法を施す方法によって形成されるものでもよく、また、他の部材を筐体固定部342の内側に取り付ける等の他の方法によって設けられてもよい。
【0111】
支持体30の支持体側部305は、図9に示すように、折曲部から構成された先端部306を有している。先端部306は、支持体側部305の上方向Z1側の端部を折り曲げ加工することによって形成されている。先端部306は、概略U字形状の支持体30の内側に向かって折り曲げられている。なお、支持体30の先端部306は、支持体30の端部と呼ばれることがある。
【0112】
筐体337bの突状部343は、図9に示すように、非常用照明ユニット32bが支持体30に配置された状態で、支持体側部305の先端部306と係合する。そのため、筐体337bの突状部343の高さ方向の位置は、支持体側部305の先端部306と係合するように決定される。
【0113】
実施の形態2における非常用照明ユニット32bの筐体337bは、対向する筐体固定部342が互いに離れる向きに(すなわち、外側に拡がるように)弾性変形を伴いながら、支持体30に嵌め込まれていく。そして、筐体337bの筐体配置部338が、支持体30の支持体配置部300の第1面301に当接した状態で、対向する筐体固定部342の弾性変形は解除される。これにより、突状部343が支持体側部305の先端部306と係合され、非常用照明ユニット32bが支持体30に取り付けられる。
【0114】
筐体固定部342は、非常用光源部320、非常用電源部326、及び制御部332から発する動作熱を放散させたり、支持体30に伝達したりする、ヒートシンクとしての機能を有している。そのため、実施の形態2においては、筐体337bに筐体固定部342を設けたことで、ヒートシンクとしての機能をさらに促進させることができる。
【0115】
以上のように、実施の形態2においては、筐体337bに、上方向Z1に立設する筐体固定部342を設けたことで、非常用照明ユニット32bを支持体30に対して簡単に取り付けることができる。すなわち、非常用照明ユニット32bを支持体30に対して単に上方向Z1に向かって挿入していくだけで、非常用照明ユニット32bを支持体30に対して取り付けることができる。そのため、灯具3の組立性が、さらに向上する。
【0116】
また、非常用照明ユニット32bを支持体30から取り外す場合には、以下の動作を行う。作業者が、筐体337bの対向する筐体固定部342を互いに離れる向きに(すなわち、外側に拡がるように)弾性変形させながら、非常用照明ユニット32bを下方向Z2にずらす。これにより、突状部343と支持体側部305の先端部306との係合が解除される。当該動作により、工具等を使わずに、非常用照明ユニット32bを支持体30から簡単に取り外すことができる。
【0117】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す断面図である。図10は、実施の形態3に係る灯具のカバーを外した状態を示している。なお、図10は、非常用照明ユニットの長手方向を法線方向とする断面形状(短手方向に沿った切断形状)を示している。
【0118】
図10に示す実施の形態3に係る灯具3の非常用照明ユニット32bと、上記の図6に示す実施の形態1に係る灯具3の非常用照明ユニット32との違いは、以下の通りである。実施の形態3においては、制御部332が複数のブロックに分割されている。この点が実施の形態1と異なる。以下、詳細に説明する。
【0119】
なお、他の構成については、上記の実施の形態1と同様であるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0120】
実施の形態3においては、図10に示すように、非常用照明ユニット32cは、複数のブロックに分離された制御部332を有する。具体的には、制御部332は、第1制御部332aと第2制御部332bとから構成されている。第1制御部332aは、支持体30の第1面301に配置され、第2制御部332bは、支持体30の第2面302に配置されている。
【0121】
第1制御部332aには、実施の形態1で示した制御部332の構成のうち、灯具3が器具2に取り付けられた状態で作業者が使用する通信部335及び操作部336が含まれる。
【0122】
一方、第2制御部332bには、実施の形態1で示した制御部332の構成のうち、通信部335及び操作部336以外の構成が含まれる。
【0123】
このように、実施の形態3に係る非常用照明ユニット32cでは、灯具3が器具2に取り付けられた状態で作業者が使用する通信部335及び操作部336を、支持体30の第1面301側に配置している。また、通信部335及び操作部336以外の構成を、支持体30の第2面302に配置している。これにより、支持体30の第1面301において制御部332が専有する領域を小さくすることができる。その結果、実施の形態3の筐体337cは、図10の矢印Aで示すように、実施の形態1の筐体337よりも、小型化することができる。また、それに伴い、実施の形態3のカバー350cは、実施の形態1のカバー350よりも、小型化することができる。図10においては、比較のために、実施の形態1の筐体337及びカバー350を破線で示している。
【0124】
図10に示すように、第1制御部332aは、筐体337cに設けられた筐体壁部340cと、光学部材323と、の間に配置されている。第1制御部332aは、非常用の照明に関する制御を行うものであり、第1制御ユニットともいう。第1制御部332aは、非常用光源部320(非常用発光素子322)の点灯を制御する。第1制御部332aは、照明装置1における第2の点灯装置であり、灯具3における第2の点灯装置である。また、第1制御部332aは、非常用電源部326の充電或いは放電に関する制御、及び非常用照明ユニット32の点検に関する制御を行う。
【0125】
第1制御部332aは、本体部333aと、本体部333aの内部に収容される制御回路334aと、本体部333aの表面に配置される通信部335(図3参照)及び操作部336と、を有する。本体部333aは、例えば、樹脂材料等によって形成されたケースである。第1制御部332aは、本体部333aが筐体配置部338cの下方向Z2側の面に固定されることによって筐体337cに取り付けられる。制御回路334aは、プログラム等を記憶する記憶機能、及び、プログラムを実行する演算機能を有しており、これらの機能によって非常用の照明に関する制御が行われる。
【0126】
図10に示すように、第2制御部332bは、支持体30の第2面302に配置されている。第2制御部332bは、第1制御部332aの上方に配置されている。第2制御部332bは、第1制御部332aと共働して、非常用の照明に関する制御を行うものであり、第2制御ユニットともいう。第2制御部332bは、第1制御部332aの代わりに、非常用光源部320(非常用発光素子322)の点灯を制御してもよい。第2制御部332bは、第1制御部332aと共に、照明装置1における第2の点灯装置を構成しており、灯具3における第2の点灯装置を構成している。また、第2制御部332bは、第1制御部332aの代わりに、非常用電源部326の充電或いは放電に関する制御、及び非常用照明ユニット32の点検に関する制御を行ってもよい。
【0127】
第2制御部332bは、本体部333bと、本体部333bの内部に収容される制御回路334bと、を有する。本体部333bは、例えば、樹脂材料等によって形成されたケースである。第2制御部332bは、本体部333bが、支持体30の第2面302に固定されることによって、支持体30に取り付けられる。制御回路334bは、プログラム等を記憶する記憶機能、及び、プログラムを実行する演算機能を有しており、これらの機能によって非常用の照明に関する制御が行われる。
【0128】
実施の形態3では、図10に示すように、非常用照明ユニット32cは、非常用光源部320と、非常用電源部326と、第1制御部332aと、が配置される筐体337cと、を有する。筐体337cの長手方向における両端部には、筐体壁部340cが設けられている。また、それらの筐体壁部340cのうち、一方の筐体壁部340cには、支持部345が設けられている。支持部345は、実施の形態1で示した支持部327と同様に、バネ等から構成されている。支持部345は、筐体壁部340cの先端部を長くし、且つ、折り曲げ加工を施すことで形成してもよいが、筐体壁部340cと別体で形成して筐体壁部340cに接合してもよい。支持部345は、非常用電源部326を筐体配置部338c側に押圧している。これにより、非常用電源部326は、筐体337cに固定されている。非常用電源部326は、支持部345を弾性変形させることによって、筐体337cから取り外したり、筐体337cに取り付けたりすることができる。非常用電源部326は、照明装置1の短手方向に沿って着脱することができる。
【0129】
このように、実施の形態3においては、非常用照明ユニット32cにおいて、筐体337cの長手方向における一方の端部に配置された筐体壁部340cに、非常用電源部326を支持するための支持部345を設けている。これにより、支持体30の第1面301において、非常用電源部326を支持するために専有する領域を、実施の形態1に比べて抑制する(すなわち、小さくする)ことができる。
【0130】
また、実施の形態3においては、制御部332を第1制御部332aと第2制御部332bとに分割している。そして、第1制御部332aを支持体30の第1面301側に配置し、第2制御部332bを支持体30の第2面302側に配置している。これにより、支持体30の第1面301において、制御部332が専有する領域を、実施の形態1に比べて、抑制する(すなわち、小さくする)ことができる。
【0131】
これらのことから、実施の形態3では、非常用照明ユニット32cの筐体337cを、実施の形態1の筐体337よりも小型化することができる。その結果、実施の形態3では、灯具3において、非常用照明ユニット32cの領域を狭くすることができる分だけ、常用照明ユニット31の領域を拡げることができる。そのため、実施の形態3では、常用の照明性能(輝度、均一性、配光、効率等)を、さらに向上させることができる。
【0132】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4に係る灯具の構成を示す斜視図である。
【0133】
図11に示す実施の形態4に係る灯具3と、上記の図5に示す実施の形態1に係る灯具3との違いは、実施の形態4においては、非常用照明ユニット32が、支持体30の長手方向における一方の端部に配置されている点である。以下、詳細に説明する。
【0134】
なお、他の構成については、上記の実施の形態1と同様であるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0135】
実施の形態4においては、図11に示すように、灯具3dが、常用の照明を行うための1つの常用照明ユニット31dと、非常用の照明を行うための1つの非常用照明ユニット32と、を有する。非常用照明ユニット32は、支持体30の長手方向における一方の端部に配置されている。また、常用照明ユニット31dは、非常用照明ユニット32が配置されていない領域に配置されている。具体的には、常用照明ユニット31dは、支持体30の長手方向における他方の端部に配置されている。
【0136】
なお、図11では、非常用照明ユニット32が、長手方向において、左側の端部に配置されているが、これに限定されない。すなわち、非常用照明ユニット32は、長手方向において、右側の端部に配置されていてもよい。このように、非常用照明ユニット32は、支持体30の長手方向における何れか一方の端部に配置されていればよい。
【0137】
以上のように、実施の形態4では、常用照明ユニット31dの個数が1個になっている。そのため、実施の形態1に比べて、照明装置1及び灯具3dの構成を、さらに簡易にすることができる。その結果、照明装置1の組立性及び施工性をさらに向上させることができ、また、製造コストも低減することができる。
【0138】
(実施の形態4の変形例)
図12は、実施の形態4の変形例に係る灯具の構成を示す斜視図である。図11に示す実施の形態4と、図12に示す変形例と、の違いは、図12の変形例においては、非常用照明ユニット32が、カバー350の代わりに、カバー350eを有している点である。カバー350eには、開閉部357が設けられている。また、非常用照明ユニット32の筐体337eの長手方向における一方の端部には、筐体壁部340が設けられていない。以下、詳細に説明する。
【0139】
図12に示すように、非常用照明ユニット32eは、非常用電源部326が着脱可能となるように、カバー350eの一部分を開閉可能にするための開閉部357を設けたカバー350eを採用してもよい。例えば、非常用照明ユニット32eは、筐体337eと、非常用電源部326と、を有している。筐体337eにおいては、上述したように、灯具3の長手方向における一方の端部に、筐体壁部340が設けられていない。また、当該一方の端部に、非常用電源部326が着脱可能に配置されている。非常用電源部326は、光学部材323よりも、灯具3の長手方向における一方の端部寄りに配置されている。
【0140】
また、図12に示すように、カバー350eの長手方向における一方の端部には、開閉可能な開閉部357が設けられている。開閉部357は、非常用電源部326が配置されている側の端部に配置されている。従って、作業者は、カバー350eを支持体30に装着されたまま、開閉部357を開状態にすることで、開閉部357の開口を介して、照明装置1の長手方向に沿って、非常用電源部326を着脱することができる。
【0141】
このように、図12に示す変形例においては、カバー350eの長手方向の端部に配置された開閉部357を単に開閉するだけで、照明装置1の長手方向に沿って、非常用電源部326を容易に着脱することができる。そのため、実施の形態1よりも、さらに、メンテナンス性を向上することができる。
【0142】
実施の形態5.
図13は、実施の形態5に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す斜視図である。
【0143】
図13に示す実施の形態5に係る灯具3の非常用照明ユニット32fと、上記の図3に示す実施の形態1に係る灯具3の非常用照明ユニット32との違いは、実施の形態5においては、非常用照明ユニット32fが、筐体337を有していない点である。以下、詳細に説明する。
【0144】
なお、他の構成については、上記の実施の形態1と同様であるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0145】
図13に示すように、灯具3は、筐体337を用いずに支持体30に配置される非常用照明ユニット32fを有するものであってもよい。この場合、非常用光源部320(図4参照)、光学部材323、非常用電源部326、及び、制御部332は、支持体30の第1面301に直接配置される。また、非常用光源部320及び光学部材323を支持体30に配置するための保持部材324、非常用電源部326を支持体30に配置するための支持部327、及び、制御部332のケースである本体部333は、それぞれ、支持体30に直接固定される。
【0146】
以上のように、実施の形態5では、非常用照明ユニット32fが、筐体337を有していない。そのため、実施の形態1に比べて、照明装置1及び灯具3dの構成を、さらに簡易にすることができる。その結果、照明装置1の組立性及び施工性をさらに向上させることができ、また、製造コストも低減することができる。
【0147】
実施の形態6.
図14は、実施の形態6に係る灯具の非常用照明ユニットの構成を示す断面図である。なお、図14は、非常用照明ユニットの短手方向を法線方向とする断面形状(長手方向に沿った切断形状)を示している。
【0148】
図14に示す実施の形態6に係る灯具3の非常用照明ユニット32gと、上記の図6に示す実施の形態1に係る灯具3の非常用照明ユニット32との違いは、以下の点である。すなわち、実施の形態6においては、非常用照明ユニット32gの非常用電源部326が、支持体30の第2面302に配置されている。以下、詳細に説明する。
【0149】
なお、他の構成については、上記の実施の形態1と同様であるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0150】
図14に示すように、灯具3は、支持体30の第2面302に非常用電源部326が配置されている非常用照明ユニット32gを有するものであってもよい。この場合、灯具3を器具2から取り出すことによって、非常用電源部326を着脱することができる。そのため、非常用電源部326を着脱するために、カバー350gを開閉する必要がない。従って、非常用照明ユニット32gは、全体或いは一部が開閉しない簡素なカバー350gを採用することができる。
【0151】
以上のように、実施の形態6では、非常用照明ユニット32gが、全体或いは一部が開閉しない簡素なカバー350gを採用することができる。そのため、実施の形態1に比べて、照明装置1及び灯具3dの構成を、さらに簡易にすることができる。その結果、照明装置1の組立性及び施工性をさらに向上させることができ、また、製造コストも低減することができる。
【0152】
そして、非常用照明ユニット32gは、非常用電源部326を支持体30の第2面302に配置する構成としたので、非常用電源部326はカバー350gに覆われることなく灯具装着部26に開放された状態で配置される。このため、非常用電源部326の温度上昇を抑制することができる。なお、図示は省略するが、器具2の天面部21或いは側面部22と非常用電源部326との間に熱伝導性の部材を配置し、非常用電源部326の動作熱を器具2に伝達できるようにしてもよい。
【0153】
実施の形態7.
上記の実施の形態1~6においては、灯具3は、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32~32gが、共通の支持体30に配置される構成を有するものとして説明した。支持体30には、1以上の他の機能ユニットが配置されてもよい。他の機能ユニットとして、例えば、撮像機能、表示機能、拡声機能、集音機能、通信機能、各種検知機能等を有するユニットがある。灯具3は、異なる機能を有する複数の機能ユニットを有してもよい。また、機能ユニットは、常用照明ユニット31及び非常用照明ユニット32~32gと共に追加的に支持体30に配置されてもよいし、或いは、常用照明ユニット31又は非常用照明ユニット32~32gの何れかに代えて支持体30に配置されてもよい。
【0154】
実施の形態8.
図15は、実施の形態8に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
【0155】
上記の実施の形態1~7においては、照明装置1は、非常用電源部(バッテリ)326が、灯具3の非常用照明ユニット32~32gに備えられるものとして説明したが、これに限定されない。すなわち、非常用電源部(バッテリ)326は、図15に示すように、器具2又は灯具3の外部に配置されていてもよい。例えば、複数の照明装置1に対して非常用点灯電力を供給できるように、非常用電源部(バッテリ)326を照明装置1から離れた場所に設置してもよい。実施の形態8においては、非常用電源部(バッテリ)326と照明装置1とは、例えば配線によって接続される。
【0156】
以上、実施の形態1~8及びそれらの変形例に基づいて、灯具及び照明装置を説明したが、灯具及び照明装置は上記した実施の形態及び変形例の構成に限定されるものではない。上記した灯具及び照明装置の構成は、一例であって、他の構成要素を含んでもよい。灯具及び照明装置は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
【0157】
例えば、本開示では、器具側取付部であるバネ27と灯具側取付部であるバネ受具40とが連結することによって灯具3が器具2に取り付けられ、バネ27とバネ受具40との連結が解除されることによって灯具3が器具2から取り外されることを説明したが、このような連結機構は、灯具3に灯具側取付部であるバネが設けられ、器具2に器具側取付部であるバネ受具が設けられる構成としてもよい。
【0158】
また、器具側取付部であるバネ27と灯具側取付部であるバネ受具40とによる連結機構の代わりに、ネジ等の固定具を用いて灯具3が器具2に着脱されてもよい。
【0159】
そして、本開示では、常用電源部50は灯具3に備えられるものとして説明したが、これに限らず、常用電源部50は器具2に備えられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0160】
1 照明装置、2 器具、3 灯具、3d 灯具、9 被取付部、20 器具本体部、21 天面部、22 側面部、23 器具外面部、24 器具端部、25 ノックアウト、26 灯具装着部、27 バネ、28 端子台、29 器具側電線、30 支持体、31 常用照明ユニット、31d 常用照明ユニット、32 非常用照明ユニット、32b 非常用照明ユニット、32c 非常用照明ユニット、32e 非常用照明ユニット、32f 非常用照明ユニット、32g 非常用照明ユニット、40 バネ受具、50 常用電源部、70 灯具側電線、80 固定具、300 支持体配置部、301 第1面、302 第2面、303 支持体ネジ孔、304 支持体配線孔、305 支持体側部、306 先端部、310 常用光源部、312 常用光源基板、313 常用発光素子、314 透光カバー、315 カバー主部、316 透光部、317 取付部、318 カバー端部、320 非常用光源部、321 非常用光源基板、322 非常用発光素子、323 光学部材、324 保持部材、325 保持部材固定具、326 非常用電源部、327 支持部、328 固定部、329 押圧部、330 接続部、331 支持部固定具、332 制御部、332a 第1制御部、332b 第2制御部、333 本体部、333a 本体部、333b 本体部、334 制御回路、334a 制御回路、334b 制御回路、335 通信部、336 操作部、337 筐体、337b 筐体、337c 筐体、337e 筐体、338 筐体配置部、338c 筐体配置部、339 筐体配線孔、340 筐体壁部、340c 筐体壁部、341 スペーサ、342 筐体固定部、343 突状部、345 支持部、350 カバー、350a カバー、350c カバー、350e カバー、350g カバー、351 主部、352 レンズ配置部、353 通信孔、354 操作孔、355 ネジ挿通孔、356 開閉部、357 開閉部、360 側部、360c 側部、361 接続部、362 端部、363 固定具、A 矢印。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17