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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077090
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】支援装置及び支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230529BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190235
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 進
(72)【発明者】
【氏名】菊原 啓明
(72)【発明者】
【氏名】山地 裕子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】居住空間の新築やリフォームを支援する支援装置及び支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援装置10は、ユーザが求める居住空間を表現した仮想三次元空間を生成する居住空間生成部と、居住空間生成部により生成された仮想三次元空間により表現された居住空間を実現するために必要な作業を実行可能な業者を選定する業者選定部35と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが求める居住空間を表現した仮想三次元空間を生成する居住空間生成部と、
前記居住空間生成部により生成された仮想三次元空間により表現された居住空間を実現するために必要な作業を実行可能な業者を選定する業者選定部と、
を備える支援装置。
【請求項2】
前記業者は、前記居住空間に設置される設備、機器、家具、又は建材を含む設置物の販売、貸与、製作、加工、施工、移動、変更、追加、又は削除に必要な作業を実行可能な業者である
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記業者選定部は、前記業者により実行される作業の内容、質、費用、工期、又は実行した作業に対する評価に基づいて、前記作業を実行可能な業者を選定する
請求項1又は2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記業者選定部により選定された業者が前記作業を実行する費用に基づいて、前記居住空間を実現するための費用の見積もりを算出する見積もり算出部を備える
請求項1から3のいずれかに記載の支援装置。
【請求項5】
前記見積もり算出部により算出された費用の支払を管理する支払管理部を備える
請求項4に記載の支援装置。
【請求項6】
業者により作業が実行される日の要望をユーザから取得し、取得した要望に基づいて、前記居住空間を実現するための作業の工程計画を作成する工程管理部を備える
請求項1から5のいずれかに記載の支援装置。
【請求項7】
前記業者選定部により選定された業者に作業を発注する発注部を備える
請求項1から6のいずれかに記載の支援装置。
【請求項8】
前記仮想三次元空間を編集する居住空間編集部と、
前記居住空間編集部による前記仮想三次元空間の編集履歴に基づいて、ユーザに合った居住空間を提案する提案部と、
を備える
請求項1から7のいずれかに記載の支援装置。
【請求項9】
コンピュータを、
ユーザが求める居住空間を表現した仮想三次元空間を生成する居住空間生成部と、
前記居住空間生成部により生成された仮想三次元空間により表現された居住空間を実現するために必要な作業を実行可能な業者を選定する業者選定部と、
として機能させるための支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザを支援するための支援装置及び支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自宅などを新築又はリフォームする際に、インターネット等を利用して住宅外観のシミュレーションを行うことを可能にする住宅シミュレーションシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-126758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シミュレーションした住宅を実際に新築又はリフォームするためには、施工を行う業者などと打合せを行い、設計やデザインの詳細を決定したり、費用を交渉したり、工期を段取りしたりする必要がある。シミュレーションによって新築やリフォームの欲求が高まっても、このような打合せなどを煩わしいと感じて新築やリフォームを実行に移さない人もおり、潜在的な新築やリフォームの需要を十分に取り込めていなかった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、居住空間の新築やリフォームを支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の支援装置は、ユーザが求める居住空間を表現した仮想三次元空間を生成する居住空間生成部と、居住空間生成部により生成された仮想三次元空間により表現された居住空間を実現するために必要な作業を実行可能な業者を選定する業者選定部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る支援システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る支援方法の手順を示すシーケンス図である。
図3】実施の形態に係る支援方法の手順を示すシーケンス図である。
図4】実施の形態に係る支援方法の手順を示すシーケンス図である。
図5】実施の形態に係る支援装置の構成を示す図である。
図6】デジタルツインの表示画面の例を示す図である。
図7】編集されたデジタルツインの表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態において、住宅などの居住空間の新築やリフォームを支援する技術について説明する。本実施の形態の支援装置は、ユーザの好みに合った居住空間をデジタルツイン上で具現化し、具現化された居住空間を実現するための業者の選定、見積もりの算出、工程計画の作成、発注、工程管理、支払などを総合的に支援するワンストップサービスを提供する。これにより、居住空間の新築やリフォームを実現するためにユーザ自身がやるべきことを大幅に減らすことができるので、ユーザの利便性を大幅に向上させることができる。また、新築やリフォームの需要を惹起することができる。
【0010】
図1は、実施の形態に係る支援システムの構成を示す。支援システム100は、支援装置10、撮像装置11、情報提供サーバ3、製造主体端末4、販売主体端末5、貸与主体端末6、施工主体端末7、保守主体端末8、設計者端末9、及びこれらの装置を接続する通信網の一例であるインターネット40を備える。
【0011】
撮像装置11は、建築物1の内部を撮像する。支援装置10は、撮像装置11により撮像された撮像画像に基づいて、建築物1の内部のデジタルツイン2を生成する。情報提供サーバ3は、建築物1の内部に設置された設置物50などに関する情報を支援装置10に提供する。支援装置10は、情報提供サーバ3から取得した情報を参照して、ユーザによるデジタルツイン2の編集の許否又は良否を判定し、実現可能性を担保しつつデジタルツイン2を編集する。
【0012】
編集されたデジタルツイン2は、製造主体端末4、販売主体端末5、販売主体端末5、貸与主体端末6、施工主体端末7、保守主体端末8、及び設計者端末9に提供される。デジタルツイン2は、クラウドコンピューティング技術などを用いて、支援装置10とこれらの端末との間で共有されてもよい。デジタルツイン2は、これらの端末により編集されてもよい。
【0013】
製造主体端末4、販売主体端末5、貸与主体端末6、施工主体端末7、保守主体端末8、設計者端末9(これらを総称して「業者端末」ともいう)は、デジタルツイン2を参照して、建築物1の内部のリフォームに関する有用な情報を支援装置10に提供する。例えば、製造主体端末4、販売主体端末5、貸与主体端末6は、設置物50の代替物や、建築物1の内部に新たに設置可能な商品などを支援装置10に提案してもよい。施工主体端末7は、設置物50のリフォームの施工方法、工期、費用などの情報を支援装置10に提供してもよい。保守主体端末8は、設置物の保守方法、時期、工期、費用などの情報を支援装置10に提供してもよい。設計者端末9は、建築物1の内部の設計や設置物50のデザインなどに関する情報を支援装置10に提供してもよい。
【0014】
図2図3、及び図4は、実施の形態に係る支援方法の手順を示すシーケンス図である。撮像装置11は、建築物の内部を撮像する(S10)。ユーザは、建築物の内部を移動しながら動画像を撮像してもよいし、複数の位置において複数の方向の静止画像を撮像してもよい。本実施の形態では、撮像画像に基づいて建築物1の内部の形状や設置物50の形状を算出してデジタルツイン2を生成するので、測距機能を有するカメラを使用することが好ましいが、測距機能を有しないカメラを使用する場合には、視点の異なる複数の撮像画像の視差から三角測量により距離を算出し、各画素の三次元位置を取得してもよい。すなわち、撮像対象までの距離は、ステレオカメラにより測定されてもよいし、赤外線深度センサー、超音波センサー、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)などにより測定されてもよいし、複視点の画像から三次元形状を再現するSfM(Structure from Motion)により取得されてもよいし、その他の既知の任意の技術を利用して取得されてもよい。撮像装置11は、撮像した動画像又は静止画像を支援装置10に送信する(S12)。
【0015】
支援装置10は、撮像装置11から取得した撮像画像に基づいて、建築物1の内部の形状を算出する(S14)。支援装置10は、撮像画像において床、壁、天井、柱、梁などの構造物を識別し、それぞれの形状を算出する。設置物50などで隠れている箇所や、撮像装置11により撮像できなかった箇所などの形状は、人工知能などの任意の技術を用いて補完してもよい。建築物1の設計図などを取得できる場合は、設計図などを参照して建築物1の内部の形状を算出してもよい。
【0016】
支援装置10は、撮像画像に基づいて、建築物1の内部に存在する設備、機器、家具、建材などを含む設置物50の形状を算出する(S16)。設置物50は、キッチン、洗面台などの設備や、照明器具、家電機器などの機器や、テーブル、棚などの家具や、窓、ドアなどの建材などを含む。この場合も同様に、隠れている箇所や撮像できなかった箇所などの形状は、人工知能などの任意の技術を用いて補完してもよい。
【0017】
支援装置10は、撮像画像に基づいて、設置物50の種類を識別する(S18)。設置物50の種類は、情報提供サーバ3により提供されるデータベースなどを参照して識別されてもよい。例えば、算出された設置物50の形状を示す情報をデータベースから検索することにより、設置物50の種類を識別してもよい。また、設置物50の画像データ又は形状データを入力し、設置物50の種類を示す情報を出力する学習済みの人工知能などを用いて、設置物50の種類を識別してもよい。人工知能は、設置物50の画像データ又は形状データと、その設置物50の種類を示す情報とを教師データとして使用した、教師あり学習により学習されてもよい。
【0018】
支援装置10は、建築物1の内部に設置されている設置物50の種類に応じて、設置物50を移動、変更、追加、削除、又は加工するために必要な情報を情報提供サーバ3に要求する(S20)。設置物50を移動、変更、追加、削除、又は加工するために必要な情報は、例えば、設置物50の設置条件、設置費用、加工条件、加工方法、加工費用、代替物に関する情報などであってもよい。情報提供サーバ3は、要求された情報を支援装置10に送信する(S22)。
【0019】
支援装置10は、建築物1の内部の形状と、設置物50の形状及び種類とに基づいて、建築物1の内部を仮想三次元空間上で表現したデジタルツイン2を生成する(S24)。支援装置10は、生成したデジタルツイン2を表示装置に表示し(S26)、ユーザによる編集を受け付ける(S28)。支援装置10は、ユーザによる指示に応じて、設置物50を移動したり、色やデザインなどを変更したり、代替物に変更したり、加工したり、削除したり、新たに設置物50を追加したりして、デジタルツイン2を編集する。
【0020】
支援装置10は、情報提供サーバ3から取得した設置条件などの情報を参照して、リフォームが可能な範囲でデジタルツイン2を編集する。設置条件は、設置物50の形状に関する条件だけでなく、配管や配線などの附帯設備の位置、壁や天井などとの間に空けるべき間隔など、設置物50の機能上、設計上、安全上、法規上の条件などを含む。したがって、本実施の形態の支援装置10によれば、単に三次元形状データの編集機能によりデジタルツイン2を編集する場合とは異なり、設置物50の機能、安全性、設計性、法規などの条件も満たした、実現可能な空間をデジタルツイン2上でシミュレーションすることができる。
【0021】
支援装置10は、不可能である編集の指示を受け付けず、不可能である旨とその理由をユーザに報知してもよい。例えば、壁に窓を設置する指示を受け付けたときに、壁の強度が不足するため不可能である旨をユーザに報知してもよい。支援装置10は、条件付きで可能となる編集の指示を受け付けたときに、その旨と条件をユーザに報知してもよい。例えば、ガス栓が設置されていない部屋にガスストーブを設置する指示を受け付けたときに、ガス栓の設置工事をすれば設置可能である旨をユーザに報知してもよい。
【0022】
支援装置10は、任意のタイミングでデジタルツイン2を保存する(S30)。ユーザは、保存したデジタルツイン2を所望のタイミングで読み出して再編集することができる。これにより、心ゆくまで何度でもデジタルツイン2を編集して保存しておくことができるので、こだわりの強いユーザであっても満足のゆく空間をデジタルツイン2上で構築することができる。
【0023】
支援装置10は、デジタルツイン2を製造主体端末4、販売主体端末5、販売主体端末5、貸与主体端末6、施工主体端末7、保守主体端末8、設計者端末9などの業者端末に提供する(S32)。業者端末は、デジタルツイン2を参照して、建築物1の内部のリフォームに関する有用な情報を支援装置10に提供する(S34)。
【0024】
ユーザは、業者から取得した情報を参考にして、デジタルツイン2を更に編集する(S36)。業者端末がデジタルツイン2を編集してもよい。製造主体端末4、販売主体端末5、貸与主体端末6などから提案された建築物1の内部に設置可能な設置物をデジタルツイン2に追加する場合は、その設置物の形状データと、その設置物の設置に関する情報を情報提供サーバ3などから取得してもよい。支援装置10は、編集されたデジタルツイン2を保存する(S38)。これにより、ユーザは、自身で編集したデジタルツイン2について、それぞれの分野の専門家からのアドバイスや提案などを受けることができるので、デジタルツイン2上で表現した空間を改良し、実現可能性をより高めることができる。
【0025】
ユーザが見積もりの取得を希望する場合、支援装置10は、ユーザがデジタルツイン2上で表現した空間を実現するためのリフォームの見積もりを業者端末に要求する(S40)。それぞれの業者端末は、デジタルツイン2を参照して見積もりを作成し、支援装置10に送信する(S42)。リフォームの見積もりを自動的に作成するためのサービスやアプリケーションなどにより、リフォームの見積もりが作成されてもよい。この場合、見積もり作成サービスは、設置物50の単価や、施工業者による施工費用などの料金表を保持しておき、デジタルツイン2を参照してリフォームの見積もりを作成してもよい。
【0026】
ユーザがリフォームの施工を希望する場合、支援装置10は、ユーザがデジタルツイン2上で表現した空間を実現するためのリフォームの施工を業者端末に発注する(S44)。各業者は、デジタルツイン2を参照して、リフォームを施工する(S46)。各業者は、デジタルツイン2を参照して、リフォームの施工が完了するまでにユーザがすべきことを支援装置10に送信してもよい。
【0027】
本実施の形態の支援システム100によれば、各業者は、リフォームの見積もりや施工の前に、デジタルツイン2を参照して、建築物1の内部や設置物50の寸法や形状などを予め把握することができるので、現地調査の回数や工数を低減させることができる。
【0028】
リフォームの施工が終了すると、デジタルツイン2を建築物1の内部の状態に同期させるために、ユーザは、撮像装置11で建築物1の内部を撮像する(S48)。撮像装置11は、建築物1の内部の撮像画像を支援装置10に送信する(S50)。支援装置10は、撮像画像に基づいてデジタルツイン2を生成し(S52)、保存する(S54)。これにより、デジタルツイン2を建築物1の内部の現状に合わせることができるので、ユーザは、更なるリフォームをデジタルツイン2上で検討することができる。また、各業者は、更新されたデジタルツイン2を参照して、リフォームされた設置物50の保守を提案したり、更なるリフォームを提案したりすることができる。なお、設置物50のみが変更され、建築物1の構造が変更されていない場合は、建築物1の内部の形状として以前のデジタルツイン2のデータを使用し、撮像画像からの算出を省略してもよい。変更されていない設置物についても同様である。
【0029】
図4は、実施の形態に係る支援方法の手順を示すシーケンス図である。支援装置10は、デジタルツイン2が編集された履歴などを分析することにより、ユーザに合った居住空間を提案する(S60)。例えば、支援装置10は、デジタルツイン2における建築物や間取りなどの情報に基づいて、躯体のリフォームや間取りのリフォームを提案してもよい。支援装置10は、ユーザがデジタルツイン2を編集する際に、時間をかけていた部分、迷っていた部分、すぐに決めた部分、作業している時間帯や時間などを分析することにより、ユーザの趣味趣向、価値観、困っている箇所、ライフスタイル(忙しさ、1日の過ごし方)などを把握し、ユーザに合った居住空間を実現するためのリフォームや、リフォーム以外での課題解決の方法などを提案してもよい。
【0030】
ユーザは、支援装置10からの提案を検討し、必要に応じてデジタルツイン2を編集する。ユーザは、求める居住空間を表現したデジタルツイン2が完成すると、デジタルツイン2により表現された居住空間の新築又はリフォームを実施するためのワンストップサービスの提供を支援装置10に要求する(S61)。
【0031】
支援装置10は、デジタルツイン2により表現された居住空間を実現するために必要な作業を判定する(S62)。支援装置10は、支援装置10におけるデジタルツイン2の編集履歴に基づいて、居住空間において変更された箇所を把握し、編集後のデジタルツイン2を実現するために必要な作業を判定してもよい。支援装置10は、デジタルツイン2を編集する際に製造主体端末4、販売主体端末5、貸与主体端末6などから取得した提案や助言などに基づいて、編集後のデジタルツイン2を実現するために必要な作業を判定してもよい。支援装置10は、居住空間の現状を表現したデジタルツイン2と、ユーザの求める居住空間を表現した編集後のデジタルツイン2との差分から、編集後のデジタルツイン2を実現するために必要な作業を判定してもよい。この場合、支援装置10は、デジタルツイン2の差分の内容と必要な作業との対応関係をテーブルなどの形式で予め保持してもよい。または、デジタルツイン2の差分の内容から必要な作業を判定するための判定アルゴリズムが機械学習により予め学習されてもよい。例えば、デジタルツイン2に設置物50が追加されている場合は、支援装置10は、その設置物50の購入、納入、設置、初期設定などの作業が必要であると判定してもよい。デジタルツイン2において、支援装置10の商品データベースに情報が格納されていない設置物50が設置されている場合、支援装置10は、情報提供サーバ3などから設置物50の情報を取得してもよい。デジタルツイン2において、市販されていない設置物50が設置されている場合、支援装置10は、その設置物50を製作又は加工することが可能な業者を選定してもよい。デジタルツイン2において、居住空間に現在設置されている設置物50が削除されている場合は、支援装置10は、設置物50の買取り又は引き取りが可能な業者を選定してもよい。
【0032】
支援装置10は、デジタルツイン2を実現するために必要であると判定された作業を実行可能な業者を業者データベースから抽出する。複数の種類の作業が必要であると判定された場合は、支援装置10は、作業ごとに異なる業者を抽出してもよいし、複数の作業を統括的に実行可能な業者を優先的に抽出してもよい。
【0033】
支援装置10は、抽出した業者の中から、業者により実行される作業の内容、質、費用、工期などに基づいて、作業を発注する業者を選定する(S64)。支援装置10は、業者を選定するために必要な情報をユーザから取得してもよい。例えば、支援装置10は、予算、工期、居住空間の場所、業者に関する要望、これらの条件の優先順位などをユーザから取得し、取得した条件に基づいて業者を選定してもよい。支援装置10は、ユーザと相性の良い業者を優先的に選定してもよい。支援装置10は、ユーザが希望する工期で作業を実行可能な業者を優先的に選定してもよい。支援装置10は、居住空間の場所に近い業者を優先的に選定してもよい。支援装置10は、費用が安い、又は予算内の費用で作業を実行可能な業者を優先的に選定してもよい。支援装置10は、入札やセカンドプライスオークションなどにより業者を選定してもよい。支援装置10は、評価が高い業者を優先的に選定してもよい。支援装置10は、設置物50の製作や、ユーザが求めるデザインへの加工などを実行可能な業者を優先的に選定してもよい。支援装置10は、アフターサービスが良好である、デザイン性の高い設置物50の製作や加工ができる、規模が大きいなどの業者の特徴に基づいて業者を選定してもよい。
【0034】
支援装置10は、居住空間において作業が実行される日の要望をユーザから取得し、取得した要望に基づいて工程計画を作成する(S66)。複数の種類の作業が実行される場合は、支援装置10は、複数の作業の前後関係や排他関係などの条件にしたがって工程計画を作成してもよい。選定された業者によって、ユーザが要望した作業日に作業を実行することができない場合は、支援装置10は、ユーザが要望した作業日に作業を実行することが可能な業者を選定し直してもよい。ユーザが作業日を優先しない場合は、支援装置10は、ユーザが要望した作業日とは異なる作業日を含む工程計画を作成してもよい。
【0035】
支援装置10は、作成された工程計画に基づいて、それぞれの作業に要する費用を算出し、工程全体の費用の見積もりを作成する(S68)。支援装置10は、商品データベースを参照して、必要な設置物50を購入又は賃借するための対価を算出するとともに、業者データベースを参照して、業者に支払うべき作業の対価を算出する。支援装置10は、業者による作業の実績や、居住空間の場所や、設置物50の市場価格の動向などに応じて、設置物50の対価や作業の対価などを算出してもよい。また、見積額は、予め固定の金額を設定しておくことも可能である。例えば、キッチンのリフォームは200万円、トイレのリフォームは100万円のような固定料金制を予め業者との間で合意しておき、その料金を見積もり額として選択することも可能である。
【0036】
支援装置10は、作成した工程計画をユーザに提示する(S70)。支援装置10は、作成した見積もりをユーザに提示する(S72)。支援装置10が、ユーザが使用する端末装置において実行されるアプリケーションなどにより実現される場合は、支援装置10は、表示装置に工程計画と見積もりを表示する。支援装置10が、サーバ装置として実現される場合は、支援装置10は、ユーザが使用する端末装置に工程計画と見積もりを送信する。ユーザは、提示された工程計画と見積もりを検討し、必要であれば、工程の変更や値下げなどの交渉を支援装置10に依頼する。支援装置10は、業者との間で工程や対価などを調整する。支援装置10は、ユーザから見積もりや工程計画に関する問い合わせを受け付け、業者に転送する。また、支援装置10は、業者から見積もりや工程計画に関する回答などを受け付け、ユーザに提示する。
【0037】
工程計画と対価が確定すると、ユーザは、業者への作業の発注を支援装置10に要求する(S74)。支援装置10は、業者に作業を発注する(S76)。支援装置10は、デジタルツイン2のデータや付随する情報のうち、業者による作業に必要な情報を業者に送信又は共有する。これにより、デジタルサプライチェーンを構築することができる。本開示の支援システム100により提供されるサービスの運営主体が、ユーザから業者に対する設置物50や作業の発注を仲介してもよいし、ユーザから居住空間の新築又はリフォームの施工を請け負って、業者へ設置物50や作業を発注してもよい。
【0038】
業者は、発注された作業を実行する(S78)。支援装置10は、工程計画にしたがって、業者による作業の工程を管理する(S80)。支援装置10は、ユーザと業者の間で、作業の進捗の確認や作業日の変更などの連絡を仲介する。
【0039】
支援装置10は、提示した見積もりの金額を対価としてユーザに請求する(S82)。サービス運営主体がリフォームを請け負う場合は、ユーザは、サービス運営主体に対価を一括で支払い(S84)、支援装置10が業者及びサービス運営主体にそれぞれの対価を支払う(S86)。支援装置10は、作業前や作業完了時など任意のタイミングで対価を一括又は分割で業者に支払ってもよい。サービス運営主体がユーザと業者との間を仲介する場合は、ユーザは業者及びサービス運営主体のそれぞれに対価を支払う。
【0040】
このように、本実施の形態の支援システム100は、居住空間を新築又はリフォームするために必要な様々な手続や作業を総合的に支援するワンストップサービスを提供するので、ユーザ自身が主導して居住空間の新築やリフォームを実施することができる。これにより、ユーザの満足度をより高めることができる。また、ユーザがより豊かな生活を送ることが可能な居住空間を実現することができる。
【0041】
図5は、実施の形態に係る支援装置10の構成を示す。支援装置10は、表示装置12、入力装置13、記憶装置14、通信装置16、及び制御装置20を備える。支援装置10は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピューターなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0042】
通信装置16は、撮像装置11との間で通信を行い、撮像装置11から撮像された画像のデータを受信する。また、通信装置16は、インターネット40を介して他の装置との間で通信を行う。
【0043】
表示装置12は、制御装置20により生成される画面を表示する。表示装置12は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置13は、支援装置10の使用者による指示入力を制御装置20に伝達する。入力装置13は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置12及び入力装置13は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0044】
記憶装置14は、制御装置20により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置14は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。また、記憶装置14は、支援装置10の内部に設置されていてもよく、クラウド上に設置されていてもよい。記憶装置14は、データ保持部15、商品データベース17、及び業者データベース18を備える。
【0045】
データ保持部15は、撮像装置11により撮像された撮像画像、住宅の内部や設置物などの形状データ、設置物に関する情報、デジタルツイン2のデータ、業者端末から提供されたリフォーム情報や見積もりのデータなどを格納する。
【0046】
商品データベース17は、居住空間に設置される設備、機器、家具、建材などの設置物50に関する情報を格納する。商品データベース17は、設置物50の種類、製造業者、品番、サイズ、重量、色、デザイン、価格、設置条件などの情報を格納する。
【0047】
業者データベース18は、居住空間に設置される設置物50の販売、貸与、製作、加工、施工、移動、変更、追加、又は削除に必要な作業を実行可能な業者に関する情報を格納する。業者データベース18は、業者の名称、住所、評判、実行可能な作業の内容、質、費用、工期、実行した作業に対する評価などの情報を格納する。
【0048】
制御装置20は、画像取得部21、空間形状算出部22、設置物形状算出部23、設置物種類識別部24、設置物情報取得部25、デジタルツイン生成部26、デジタルツイン表示部27、デジタルツイン編集部28、データ保存部29、データ提供部30、リフォーム情報取得部31、見積もり提示部32、発注部33、データ更新部34、業者選定部35、工程管理部36、問い合わせ受付部37、支払管理部38、及び提案部39を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0049】
画像取得部21は、撮像装置11により撮像された建築物1の内部の撮像画像を取得する。空間形状算出部22は、画像取得部21により取得された撮像画像に基づいて、建築物1の内部の形状を算出する。設置物形状算出部23は、画像取得部21により取得された撮像画像に基づいて、建築物1の内部に存在する設置物50の形状を算出する。設置物種類識別部24は、画像取得部21により取得された撮像画像に基づいて、設置物50の種類を識別する。設置物情報取得部25は、設置物50の種類に応じて、設置物50を移動、変更、追加、削除、又は加工するために必要な情報を情報提供サーバ3から取得する。
【0050】
デジタルツイン生成部26は、建築物1の内部の形状と、設置物50の形状及び種類とに基づいて、デジタルツイン2を生成する。デジタルツイン表示部27は、デジタルツイン生成部26により生成されたデジタルツイン2を表示装置12に表示しする。デジタルツイン編集部28は、入力装置13を介してユーザからデジタルツイン2の編集指示を受け付け、リフォームに関する制約内でデジタルツイン2を編集する。デジタルツイン編集部28は、業者端末からデジタルツイン2の編集指示を受け付け、デジタルツイン2を編集してもよい。デジタルツイン編集部28は、建築物1の内部に設置可能な設置物をデジタルツイン2に追加する指示を受け付けた場合、その設置物の形状データと、設置に関する情報を情報提供サーバ3などから取得する。
【0051】
データ保存部29は、デジタルツイン2のデータをデータ保持部15に保存する。データ提供部30は、デジタルツイン2のデータをデータ保持部15から読み出して業者端末に提供する。リフォーム情報取得部31は、リフォームに関する情報を業者端末から取得して表示装置12に表示する。
【0052】
見積もり提示部32は、リフォームの見積もりを業者端末から取得して表示装置12に表示する。発注部33は、リフォームの施工を業者端末に発注する。
【0053】
データ更新部34は、リフォームの施工が終了した後など、任意のタイミングで、撮像装置11により撮像された建築物1の内部の撮像画像に基づいてデジタルツイン2を再生成し、データ保持部15に保存する。デジタルツイン編集部28は、データ更新部34により更新されたデジタルツイン2に対する編集指示を受け付け、受け付けた編集指示にしたがってデジタルツイン2を編集する。すなわち、本実施の形態の支援システム100は、建築物1の内部の現状を反映したデジタルツイン2の生成、デジタルツイン2の編集、編集後のデジタルツイン2を現実に反映させるためのリフォームの施工、リフォームされた建築物1の内部の現状を反映したデジタルツイン2の生成、の一連のサイクルを繰り返して、ユーザの好みに合った空間の構築を支援することができる。
【0054】
提案部39は、デジタルツイン2の編集履歴などを分析し、ユーザに合った居住空間を提案する。業者選定部35は、デジタルツイン2により表現された居住空間を実現するために必要な作業を実行可能な業者を選定する。工程管理部36は、業者選定部35により選定された業者による作業の工程計画を作成し、作成した工程計画にしたがって工程を管理する。問い合わせ受付部37は、ウェブページやアプリケーションのフォーム画面などを介して、ユーザ又は業者から作業や工程などに関する問い合わせを受け付ける。支払管理部38は、ユーザから業者への対価の支払いを管理する。
【0055】
図6は、デジタルツイン2の表示画面の例を示す。図6に示す例では、ユーザの自宅の内部を表現したデジタルツイン2が表示されている。室内にある設置物51の種類が識別され、識別された商品名が表示されている。
【0056】
図7は、編集されたデジタルツイン2の表示画面の例を示す。図7に示す例では、設置物51が移動され、設置物52が追加されている。また、各業者から取得された情報が表示されている。ユーザは、各業者から取得された情報を参考にして、デジタルツイン2を更に編集したり、リフォームの見積もりの要求や発注を行うことができる。
【0057】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0058】
上記の実施の形態では、主に住宅の内部をリフォームする場合について説明したが、実施の形態の技術は、住宅以外の建築物の内部を模様替えしたりリフォームしたりする場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 建築物、2 デジタルツイン、3 情報提供サーバ、4 製造主体端末、5 販売主体端末、6 貸与主体端末、7 施工主体端末、8 保守主体端末、9 設計者端末、10 支援装置、11 撮像装置、12 表示装置、13 入力装置、14 記憶装置、15 データ保持部、16 通信装置、20 制御装置、21 画像取得部、22 空間形状算出部、23 設置物形状算出部、24 設置物種類識別部、25 設置物情報取得部、26 デジタルツイン生成部、27 デジタルツイン表示部、28 デジタルツイン編集部、29 データ保存部、30 データ提供部、31 リフォーム情報取得部、32 提示部、33 発注部、34 データ更新部、35 業者選定部、36 工程管理部、37 問い合わせ受付部、38 支払管理部、39 提案部、40 インターネット、50 設置物、100 支援システム。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7