(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077242
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】パウチ容器および包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20230529BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B65D33/00 Z
B65D75/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190467
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 知宙
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064AD02
3E064BA27
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA01
3E064FA04
3E064GA02
3E064GA04
3E064HD02
3E064HE02
3E064HP01
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB04
3E067AB08
3E067AB16
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB25A
3E067CA05
3E067CA06
3E067CA11
3E067CA12
3E067CA13
3E067EA06
3E067EB03
3E067EB07
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GA01
3E067GB07
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】液体と固体とを含む内容物に含まれる液体の排出と、その後の固体の取出しとを円滑に行うことができるパウチ容器を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムにより形成されたパウチ容器1は、下部10と、主部21と、主部21から延びる水切り部22とを有し、下部10と接続された上部20とを備える。上部20は、パウチ容器1の左右方向において下部10の範囲内に配置され、下部10の内縁は、上部20に向かって傾斜している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムにより形成されたパウチ容器であって、
下部と、
主部と、前記主部から延びる水切り部とを有し、前記下部と接続された上部と、
を備え、
前記上部は、前記パウチ容器の左右方向において前記下部の範囲内に配置され、
前記下部の内縁は、前記上部に向かって傾斜している、
パウチ容器。
【請求項2】
前記下部の下端部が直線状である、
請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記上部に向かって傾斜する前記下部の内縁が円弧状である、
請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項4】
液体と固体とを有する内容物の収容に用いる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のパウチ容器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパウチ容器に内容物が充填された包装体であって、
前記内容物は、液体と、固体とを有し、
前記固体は、前記水切り部に進入できない寸法を有する、
包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器、より詳しくは、内容物の水切りが容易なパウチ容器に関する。このパウチ容器に内容物が充填された包装袋についても言及する。
【背景技術】
【0002】
食品を含むさまざまな物品が、プラスチックフィルムで形成されたパウチに収容されて流通されている。
収容される内容物の中には、液体と固体とを含み、かつ使用時には液体は不要なものがある。たとえば、保存液とそれに浸漬される物品や、調味液に漬け込まれた漬物などである。
【0003】
上記のような内容物では、容器に液体と固体の両方を移してから容器を傾ける等により液体を廃棄すると、固体が容器から落ちたり、容器に液だれが生じたりする等のために操作が煩雑となる。
この問題に関連して、特許文献1には、上部コーナー部に包装袋の内部に連通する狭い幅の空気導入路を備えた空気導入部が開封開始部と接して設けられた包装袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術において、空気導入部は、細い複数の管路であるため、空気が導入された後にこれを液体のみを排出することに使うことが考えられる。
しかし、液体排出後に内容物を出す際に、包装袋の向き等によっては空気導入部に内容物が引っ掛かって出てこないことも考えられ、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、液体と固体とを含む内容物に含まれる液体の排出と、その後の固体の取出しとを円滑に行うことができるパウチ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、樹脂フィルムにより形成されたパウチ容器である。このパウチ容器は、下部と、主部および主部から延びる水切り部とを有し、下部と接続された上部とを備える。
上部は、パウチ容器の左右方向において下部の範囲内に配置され、下部の内縁は、上部に向かって傾斜している。
【0008】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係るパウチ容器に内容物が充填された包装体である。
内容物は、液体と、固体とを有し、固体は、水切り部に進入できない寸法を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るパウチ容器は、液体と固体とを含む内容物に含まれる液体の排出と、その後の固体の取出しとを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパウチ容器を示す模式正面図である。
【
図3】同パウチ容器の使用時の一過程を示す図である。
【
図4】本発明の変形例に係るパウチ容器の水切り部周辺を示す模式拡大図である。
【
図5】本発明の変形例に係るパウチ容器を示す模式正面図である。
【
図6】本発明の変形例に係るパウチ容器を示す模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るパウチ容器1を示す模式正面図であり、
図2は
図1のI-I線における模式断面図である。パウチ容器1は、
図2に示すように、前フィルム2と後フィルム3とを熱融着により接合して形成されている。周縁の一部が未接合状態のパウチ容器1に内容物を充填し、未接合状態を接合して封止すると、パウチ容器1を用いた包装体を構成できる。
【0012】
前フィルム2および後フィルム3は、少なくとも基材樹脂層と熱融着可能なシーラント層とを有する樹脂フィルムである。一枚の樹脂フィルムを折り曲げて前フィルムおよび後フィルムとしてもよい。
基材樹脂層としては、ナイロンやポリエチレンテレフタレート(PET)等を例示できる。シーラント層としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)等を例示できる。
必要に応じて、透明あるいは不透明のバリア層を設け、水蒸気バリア性や酸素バリア性等の所望のバリア性を付与したり、遮光性を付与したりしてもよい。
【0013】
パウチ容器1は、
図1に示す正面視において、内容物が収容される下部10と、内容物に含まれる液体の廃棄や内容物に含まれる固体の取出しに用いる上部20とを有する。
【0014】
本実施形態において、下部10は略円形であり、下部10の内縁は、上部20に向かって略円弧状に傾斜している。下部10に接続された上部20は、一定幅で上端まで延びる主部21と、主部21から延びる水切り部22とを有する。
水切り部22は、上部20の上下方向中間部から、水平よりもわずかに上方に向かって延びており、先端に近づくにつれて徐々に細くなっている。水切り部22の先端部には、開封補助用のノッチ23が設けられている。水切り部22が設けられた部位よりも上方の側方には、主部21の開封を容易にするためのノッチ24が設けられている。
【0015】
主部21の幅方向(左右方向)における最大寸法は、下部10の幅方向における最大寸法(本実施形態において、略円形上の直径に相当する)よりも小さい。さらに、水切り部22を含めた上部20の幅方向における最大寸法も下部10の幅方向における最大寸法よりも小さく、かつパウチ容器1の幅方向において、下部よりも上部が突出する部位が無いように正面視形状が設定されている。すなわち、主部21と水切り部22とからなる上部20は、パウチ容器1の左右方向において、下部10の範囲内に位置している。
このような正面視形状を有するパウチ容器は、正面視形状にカットされた前フィルムと後フィルムとをシーラント層を対向させて重ね、周縁を熱融着により接合したり、四角形の前フィルムと後フィルムとをシーラント層を対向させて重ね、正面視形状に対応した内部空間が形成されるように熱融着で接合した後に、不要な部分を切り落としたりすることにより製造できる。
【0016】
上記のように構成された本実施形態のパウチ容器1の使用時の動作について説明する。
パウチ容器1は、液体Lqと固体Slとを含む内容物Cを収容するのに適しており、
図1に示すように、主要な固体Slの大きさが水切り部22内に進入できない大きさである場合に特に適している。
液体Lqと固体Slとを含む内容物を食品として例示すると、豚角煮、煮卵、筑前煮等の各種煮物;たれ等に漬け込んだ肉や野菜の水煮等の各種調理用食材;各種漬物類;フルーツポンチ、杏仁豆腐、みつまめ等のシロップを含むデザート類;等がある。これらの食品では、例えば、調理用食材や漬物類の一部のように、使用時に液体を全く使用しないためにすべて廃棄したい場合がある。それ以外でも、液体をすべては使用しないために、液体の一部を廃棄して量を調節したい場合がある。いずれの場合も、「液体Lqを廃棄する際に固体Slが液体Lqとともに出てくることを抑制したい」ということは共通している。
【0017】
内容物Cの使用前に液体Lq全部または一部廃棄する場合、使用者は、まずノッチ23から水切り部22を開封する。この状態でパウチ容器1を傾けると、
図3に示すように、水切り部から液体Lqが排出される。水切り部22は、水平よりもやや上方に延びているため、液体Lqを廃棄する際の動作は、やかんや急須から液体を注ぐ動作に近く、傾きを調節することにより、液体Lqの排出量や勢い等を容易に調節できる。
【0018】
図3に示す状態において、下部10のうち上部20との接続部位付近は、円弧状の斜面からなる上り坂となっているため、内容物Cに含まれる固体Slは、容易に水切り部22の入口付近に移動することができない。これにより、固体Slが水切り部を塞いで液体Lqの排出の妨げになったり、固体Slが水切り部から液体Lqとともに排出されたりすることが好適に抑制される。
【0019】
所望量の液体Lqを排出したら、使用者はノッチ24から主部21を開封し、主部21の開口を下方に向けて残りの内容物Cを器等にあける。この動作時において、下部10のうち上部20との接続部位付近は、円弧状の斜面からなる下り坂となるため、接続部位に固体Slが滞留しにくく、円滑に上部20に移動して容器外に移動する。
【0020】
以上説明したように、本実施形態のパウチ容器1によれば、水切り部からの液体Lqの廃棄と、上部開口からの残った内容物の取出しの両方を、円滑かつ簡便に行うことができる。
【0021】
また、水切り部22は、細長く突出したノズル状の形状を有するため、ノズル先端よりノズルの延びる方向に勢いよく液体を排出でき、排液方向を制御しやすい。また、液体廃棄に使用することが直感的にわかりやすく、使用者が容易に使用時の操作を把握できる。
さらに、水切り部22は、パウチ容器1の幅方向において、下部10よりも突出しない寸法とされているため、パウチ容器を棚に陳列する等の際に、水切り部が隣り合う他の容器と接触しにくく、干渉が抑制される。
【0022】
平面視四角形のパウチ容器に収容された一般的な漬物では、上端から少し下方の部分を縛って巾着袋のような外観として流通されることがあるが、この態様では、縛ることによりデッドスペースが生じ、充填量が少なくなったり、それにより購買者の満足感が低くなったりする。
本実施形態のパウチ容器においては、上部20のうち、主部21の幅方向寸法が下部よりも小さくなっているため、縛らなくても容易に巾着袋様の外観とすることができる。その結果、漬物に適用することで、陳列の際に他の商品との違和感を抑えつつデッドスペースを抑制して、購買者の満足感を高めたパウチ詰め漬物を提供できる。
【0023】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。以下にいくつかの変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0024】
・
図4に示すように、水切り部22の入口に、ポイントシール31が設けられてもよい。白菜等の葉野菜の漬物などでは、葉の小片などが固体として存在することがある。このような小片は大きな固体よりも水切り部22に移動したり進入したりしやすいが、ポイントシール31を適切な数および配置で設けることにより、このような小片の流入やそれによる排出不良、閉塞等を好適に抑制できる。
【0025】
・
図5に示す変形例のパウチ容器1Aのように、下端部が直線状の下部10Aを備えてもよい。このようにすると、下端部のみ接合しない状態の中間体を作製し、未接合の下部開口から内容物を充填した後に下端部を封止することで、パウチ容器に内容物が充填された本発明に係る包装体を効率よく製造できる。
【0026】
・上部との接続部位における下部の内縁は、上述した円弧状に限られず、直線状であってもよい。ただし、下部を略円形にすることで生じる円弧状の斜面は、液体の排出時に下に向かって凸となるため、固体が水切り部に向かって移動することを抑制する効果が直線状の斜面よりも高く、より好ましいと言える。
【0027】
・水切り部は必ずしも直線状でなくてもよく、湾曲していてもよい。
・水切り部にエンボス等を設け、立体状の流路が確立されやすくしてもよい。
【0028】
・内容物を取り出す際に開封するためのノッチは、必ずしも水切り部よりも上方に設けられなくてもよい。
図6に示す変形例のパウチ容器1Bのように、ノッチ24Aを上部と下部との境界部に設けると、液体排出後の開封時に水切り部を併せて除去できるため、内容物を容器外に移動させる際に水切り部からの残液のたれ等が生じにくい。また、ノッチを下部の下端部に設けると、大きな開口から一気に内容物を容器外に出すことができるため、パウチ容器が業務用等の大容量である場合に好適である。
パウチ容器1Bにおいては、上部と下部との境界部であって水切り部側の熱融着部位において、容器内側に突出する部位が丸く形成され、ストッパ32となっている。このようにすると、液体廃棄時における固体の水切り部への移動を、ストッパ32によってより効果的に抑止できる。
【0029】
・水切り部や主部に設けられる開封補助構造は、上述したノッチには限られず、複数の切込みを有する公知の易開封構造等であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1、1A、1B パウチ容器
10、10A 下部
20 上部
21 主部
22 水切り部
C 内容物
Lq 液体
Sl 固体