(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079079
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】食用油補給システム、情報処理装置及び食用油補給方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20230101AFI20230531BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192507
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 学
(72)【発明者】
【氏名】高橋 清文
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】食用油の補給先を取り違える事態を抑制することができる食用油補給システムを提供する。
【解決手段】食用油の貯留タンク1に対し食用油を補給する食用油補給システム100であって、貯留タンク1に設けられ、設けられた貯留タンク1の識別情報が記録されたコード表示体21と、補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給予定情報受信手段41と、コード表示体21から貯留タンク1の識別情報を読み取るコード読取手段42と、コード読取手段42によって読み取った貯留タンク1の識別情報と、補給予定情報受信手段41によって取得した補給先情報と、を照合する照合手段43と、照合手段43による照合結果に基づいて、貯留タンク1への食用油の補給の正否を判定する判定手段44と、貯留タンク1に対し食用油を補給するタンクローリ2と、を備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油の貯留タンクに対し前記食用油を補給する食用油補給システムであって、
前記貯留タンクに設けられ、設けられた前記貯留タンクの識別情報が記録された貯留タンク側記録媒体と、
補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給先情報取得手段と、
前記貯留タンク側記録媒体から前記識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取った前記識別情報と、前記補給先情報取得手段によって取得した前記補給先情報と、を照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に基づいて、前記貯留タンクへの前記食用油の補給の正否を判定する判定手段と、
前記貯留タンクに対し前記食用油を補給する補給装置と、を備えたことを特徴とする食用油補給システム。
【請求項2】
前記補給装置に設けられ、前記補給装置によって補給する前記食用油の種類を示す補給油情報が記録された補給装置側記録媒体を、更に備え、
前記貯留タンク側記録媒体には、前記識別情報に加え、前記貯留タンクが貯留する前記食用油の種類を示す貯留油情報が記録され、
前記読取手段は、前記貯留タンク側記録媒体から前記貯留油情報を読み取ると共に、前記補給装置側記録媒体から前記補給油情報を読み取り、
前記照合手段は、前記識別情報と前記補給先情報との照合に加え、前記貯留タンク側記録媒体から読み取った前記貯留油情報と、前記補給装置側記録媒体から読み取った前記補給油情報と、を照合することを特徴とする請求項1に記載の食用油補給システム。
【請求項3】
前記貯留タンク又は前記補給装置に設けられ、前記補給装置によって前記貯留タンクに補給された前記食用油の体積又は質量を計測する油量計測手段と、
前記油量計測手段により計測された前記食用油の体積又は質量によって、前記補給装置により前記貯留タンクに補給された前記食用油の補給量を確定する補給量確定手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の食用油補給システム。
【請求項4】
前記貯留タンク又は前記補給装置に設けられ、前記補給装置によって前記貯留タンクに補給された前記食用油の温度を計測する油温計測手段を、更に備え、
前記油量計測手段は、前記補給装置によって前記貯留タンクに補給された前記食用油の体積を計測し、
前記補給量確定手段は、前記油温計測手段により計測された前記食用油の温度に基づいて、前記油量計測手段により計測された前記食用油の体積を前記食用油の質量に変換し、変換した前記食用油の質量によって、前記補給量を確定することを特徴とする請求項3に記載の食用油補給システム。
【請求項5】
前記補給量確定手段によって確定した前記補給量に基づいて、納品書及び/又は受領書を発行する発行手段を、更に備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の食用油補給システム。
【請求項6】
前記補給量確定手段によって確定した前記補給量を含む補給結果情報に、前記食用油の製造ロット、前記食用油の製造日時、前記食用油の製造場所、前記食用油の製品タンク及び前記食用油の原料の産地、の少なくとも1つの情報を付加する情報付加手段を、更に備えたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の食用油補給システム。
【請求項7】
前記補給量確定手段によって確定した前記補給量と、前記補給計画に基づく補給予定量との差が、一定以上である場合、異常を報知する異常報知手段を、更に備えたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の食用油補給システム。
【請求項8】
前記補給先情報に含まれる補給先の位置情報と、前記読取手段を備えた携帯端末の、前記貯留タンクに対し前記食用油を補給するときの位置情報とが一致しない場合、異常を報知する異常報知手段を、更に備えたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の食用油補給システム。
【請求項9】
前記補給装置は、前記補給計画に基づく予定補給量まで前記食用油を前記貯留タンクに補給したとき、前記貯留タンクへの前記食用油の補給を自動的に停止することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の食用油補給システム。
【請求項10】
補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給先情報取得手段と、
貯留タンクに設けられた貯留タンク側記録媒体から前記貯留タンクの識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段によって取得した前記識別情報と、前記補給先情報取得手段によって取得した前記補給先情報と、を照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に基づいて、前記貯留タンクへの食用油の補給の正否を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
食用油の貯留タンクに対し前記食用油を補給する食用油補給方法であって、
補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給先情報取得工程と、
前記貯留タンクに設けられた貯留タンク側記録媒体から、前記貯留タンクの識別情報を取得する識別情報取得工程と、
前記識別情報取得工程によって取得した前記識別情報と、前記補給先情報取得工程によって取得した前記補給先情報と、を照合する照合工程と、
前記照合工程による照合結果に基づいて、前記貯留タンクへの前記食用油の補給の正否を判定する判定工程と、
前記判定工程による判定結果に基づいて、前記貯留タンクに対し前記食用油を補給する補給工程と、を実行することを特徴とする食用油補給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用油補給システム、情報処理装置及び食用油補給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食用油補給システムとして、貯留タンクに対し食用油を補給する食用油補給システムがある(特許文献1参照)。特許文献1は、主に、食用油(フライ油)の発注タイミングを決定するシステムであるが、特許文献1に記載のシステムにおける一般的な食用油の供給は、食用油製造業者(フライ油製造業者)がユーザーからの発注を受け付け、食用油を製造すると共に、食用油をユーザーの施設に配送して、その施設の貯留タンクに補給する。このように、食用油製造業者側で、貯留タンクへの食用油の補給を行うシステムとなっているため、ユーザー側で食用油の貯留タンクへの補給をする手間を省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の食用油補給システムでは、食用油製造業者側の作業者のミスで補給先を取り違えてしまい、本来の補給先とは異なる貯留タンクに食用油を補給してしまう虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、食用油の補給先を取り違える事態を抑制することができる食用油補給システム、情報処理装置及び食用油補給方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、食用油の貯留タンクに対し前記食用油を補給する食用油補給システムであって、前記貯留タンクに設けられ、設けられた前記貯留タンクの識別情報が記録された貯留タンク側記録媒体と、補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給先情報取得手段と、前記貯留タンク側記録媒体から前記識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取った前記識別情報と、前記補給先情報取得手段によって取得した前記補給先情報と、を照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に基づいて、前記貯留タンクへの前記食用油の補給の正否を判定する判定手段と、前記貯留タンクに対し前記食用油を補給する補給装置と、を備えたことを特徴とする食用油補給システムを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給先情報取得手段と、貯留タンクに設けられた貯留タンク側記録媒体から前記貯留タンクの識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段によって取得した前記識別情報と、前記補給先情報取得手段によって取得した前記補給先情報と、を照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に基づいて、前記貯留タンクへの食用油の補給の正否を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、食用油の貯留タンクに対し前記食用油を補給する食用油補給方法であって、補給計画に基づく補給先を示す補給先情報を取得する補給先情報取得工程と、前記貯留タンクに設けられた貯留タンク側記録媒体から、前記貯留タンクの識別情報を取得する識別情報取得工程と、前記識別情報取得工程によって取得した前記識別情報と、前記補給先情報取得工程によって取得した前記補給先情報と、を照合する照合工程と、前記照合工程による照合結果に基づいて、前記貯留タンクへの前記食用油の補給の正否を判定する判定工程と、前記判定工程による判定結果に基づいて、前記貯留タンクに対し前記食用油を補給する補給工程と、を実行することを特徴とする食用油補給方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る食用油補給システム、情報処理装置及び食用油補給方法は、食用油の補給先を取り違える事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る食用油補給システムの構成例を示したシステム構成図である。
【
図2】食用油補給システム、携帯端末及びタンクローリの構成を示したブロック図である。
【
図3】携帯端末の機能構成を示した機能ブロック図である。
【
図4】食用油補給システムによる食用油補給方法の前半部を示したフローチャートである。
【
図5】食用油補給システムによる食用油補給方法の後半部を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る食用油補給システム、情報処理装置及び食用油補給方法について説明する。この食用油補給システムは、食用油を貯留する貯留タンクに対し食用油を補給するシステムである。特に、本食用油補給システムは、食用油の補給先の取違えを抑制する補給前確認機能を備えたものである。本実施形態では、貯留タンクに補給する食用油として大豆油、キャノーラ油、パーム油、ゴマ油等の動植物油及び/又は動植物油の加工油脂を想定し、補給先となる貯留タンクとして、顧客の、レストランや揚げ物専門店、ファーストフード店等の施設(店舗)に設置された貯留タンクを想定している。また、本実施形態では、顧客の施設に設置された貯留タンクの食用油が枯渇しないように、補給作業者が、定期的又は不定期的に貯留タンクに食用油の補給を行うシステムを想定している。
【0012】
(食用油補給システムの構成)
図1に示すように、食用油補給システム100は、複数の貯留タンク1と、複数の貯留タンク1に対し食用油を補給する補給装置としての複数のタンクローリ2と、各タンクローリ2に搭乗した補給作業者が所持する複数の携帯端末3と、複数の携帯端末3とネットワーク5を介して通信可能に構成された管理サーバ4と、を備えている。各補給作業者は、管理サーバ4から携帯端末3に送信された補給予定情報に従い、タンクローリ2によって貯留タンク1に食用油を配送し補給する。なお、貯留タンク1の数は、タンクローリ2の数よりも多くてもよく、その場合、
図1に示すように、1台のタンクローリ2によって、いくつかの貯留タンク1に食用油を貯留する。また、貯留タンク1及びタンクローリ2が、それぞれ、1つの構成でもよい。
【0013】
図2に示すように、管理サーバ4は、各補給作業者による補給作業を管理するサーバ装置であり、携帯端末3に対し補給計画に基づく補給予定情報を送信する。補給計画は、各貯留タンク1に対する補給作業を、どの補給作業者(どのタンクローリ2)が行うかを計画したものである。また、補給予定情報は、各補給作業者が行う予定の補給作業を示す情報であり、各補給作業における、補給先の貯留タンク1を示す補給先情報と、補給予定量(質量)を示す補給予定量情報と、補給する食用油の種類を示す油情報と、を含んでいる。この補給先情報は、例えば、補給先の貯留タンク1のタンク番号、補給先の顧客の会社名、補給先の顧客の事業所名、及び補給先の位置情報(緯度・経度)から選ばれる1つ又は2つ以上の情報である。補給予定情報は、複数の補給作業における、補給先情報、補給予定量情報及び補給油情報を含み、各補給作業者は、これらの情報に従って複数の補給作業を行う。なお、補給予定情報には、複数の補給作業における作業順序や作業日時、配送ルートを含んでいる構成であってもよい。
【0014】
また、管理サーバ4は、各携帯端末3から、各補給作業の補給結果である補給結果情報を受信する。この補給結果情報は、管理サーバ4から、補給計画を作成する補給計画作成端末に送信され、今後の補給計画の作成に利用される。また、この補給結果情報は、製造システムや販売システム、物流システムにも送信され、食用油の製造や販売、物流の管理に利用される。
【0015】
各タンクローリ2は、タンクコンテナ11に単一又は複数の貯留部11aを有している大型ローリ、中型ローリ、小型ローリ(ミニローリ)で構成される。ここでは、タンクコンテナ11が複数の貯留部11aを有するタンクローリ2(例えばミニローリ)を例示する。
【0016】
各タンクローリ2は、複数の貯留部11aを有するタンクコンテナ11と、複数の貯留部11aにそれぞれ対応する複数の補給配管12、複数の流量計13、複数の油温センサ14及び複数の油種コード表示体15と、発行装置16と、を有している。流量計13は、タンクローリ2によって貯留タンク1に補給された食用油の体積を計測する油量計測手段の一例であり、油温センサ14は、タンクローリ2によって貯留タンク1に補給された食用油の温度を計測する油温計測手段の一例であり、油種コード表示体15は、補給装置側記録媒体の一例である。また、各タンクローリ2は、補給計画に基づく予定補給量まで食用油を貯留タンク1に補給したときに、貯留タンク1への食用油の補給を自動的に停止する自動停止機能を有している。なお、各タンクローリ2は、当該各タンクローリ2に搭乗する補給作業者が所持する各携帯端末3に対応しており、以下に記載するタンクローリ2と携帯端末3との間の通信(情報のやり取り)は、この対応するタンクローリ2と携帯端末3との間で行われるものとする。
【0017】
タンクコンテナ11は、複数の貯留部11aによって、複数種の食用油を貯留できるようになっている。
【0018】
各補給配管12は、例えば、基端が各貯留部11aにそれぞれ接続されており、貯留タンク1に接続する端側がホース等の可動配管であり、その先端に設けられたノズル(図示省略)を貯留タンク1に接続することで、各貯留部11aに貯留された食用油を貯留タンク1に補給する。
【0019】
各流量計13は、各貯留部11aからノズルまでの流路のいずれかの位置に設置されており(例えば、各補給配管12の基端側に取り付けられており)、各貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の流量(体積)を計測する。また、本実施形態では、各流量計13は、携帯端末3と通信可能に構成されており、計測結果(計測した食用油の流量の情報)を携帯端末3に送信できるようになっている。各流量計13が計測結果を携帯端末3に送信するのに代えて、補給作業者が、流量計13の計測結果を読み取り、携帯端末3に入力する構成であってもよい。
【0020】
各油温センサ14は、各貯留部11aに取り付けられており、各貯留部11aに貯留した食用油の温度を計測する。また、各油温センサ14は、各流量計13と同様、携帯端末3と通信可能に構成されており、計測結果(計測した食用油の温度の情報)を携帯端末3に送信できるようになっている。各油温センサ14は、各貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の温度を計測するのに用いられる。各油温センサ14が計測結果を携帯端末3に送信するのに代えて、補給作業者が、油温センサ14の計測結果を読み取り、携帯端末3に入力する構成であってもよい。
【0021】
各油種コード表示体15は、例えば、各補給配管12のノズルに取り付けられており、二次元コードを表示する。各油種コード表示体15に表示された二次元コードには、取り付けられた各補給配管12に対応する各貯留部11aが貯留する食用油の種類を示す補給油情報が記録されている。すなわち、補給油情報は、タンクローリ2によって貯留部11aから補給する食用油の種類を示す情報である。油種コード表示体15は、例えば、当該二次元コードを印刷した印刷シール又はプレートである。なお、二次元コードに代えて、バーコード、文字列等の他のコード画像を用いる構成であってもよい。
【0022】
発行装置16は、携帯端末3と通信可能に構成されており、携帯端末3からの発行指示に従い、納品書101及び受領書102を発行する。具体的には、発行装置16は、発行指示に含まれる印刷画像を、印刷用紙に印刷して、納品書101及び受領書102を発行する。また、必要に応じて分析表等を発行する。なお、納品書101及び受領書102を電子データで発行する場合、発行装置16は、携帯端末3の構成機能、又は管理サーバ4の構成機能であってもよい。
【0023】
貯留タンク1は、上記したように、顧客の施設に設置されており、調理に用いる食用油を貯留する。貯留タンク1には、二次元コードを表示するコード表示体21が取り付けられている。コード表示体21は、貯留タンク側記録媒体の一例である。コード表示体21によって表示される二次元コードには、当該コード表示体21が取り付けられた貯留タンク1の識別情報と、当該貯留タンク1に貯留する食用油の種類を示した貯留油情報と、が記録されている。なお、例えばタンクコンテナ11に一種類の食用油をしか貯留しておらず一種類の食用油しか補給できない場合のように、補給油情報と貯留油情報との照合が不要であると判断できる場合には、貯留油情報は省略可能である。貯留タンク1の識別情報は、例えば、貯留タンク1のタンク番号、貯留タンク1が設置された施設の会社名、貯留タンク1が設置された施設の会社の事業所名、及び貯留タンク1が設置された位置情報(緯度、経度)から選ばれる1つ又は2つ以上の情報である。コード表示体21は、例えば、当該二次元コードを印刷した印刷シール又はプレートである。なお、二次元コードに代えて、バーコード、文字列等の他のコード画像を用いる構成であってもよい。
【0024】
(携帯端末の構成)
各携帯端末3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、撮像部34と、表示部35と、を備えた情報処理装置であり、例えば、PFD端末やスマートフォン、タブレットPC等を用いることができる。また、図示省略するが、各携帯端末3は、自身の位置情報(緯度、経度)を特定するGPS受信機能部を備える構成であってもよい。
【0025】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、携帯端末3の各部を制御する。記憶部32は、フラッシュROM(FlashRead Only Memory)等で構成され、各種情報を記憶する。
【0026】
通信部33は、無線通信又は赤外線通信によって、タンクローリ2の流量計13、油温センサ14及び発行装置16と通信すると共に、ネットワーク5を介して、管理サーバ4と通信する。撮像部34は、CCDカメラやCMOSカメラ等で構成され、画像を撮像する。表示部35は、液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を表示する。
【0027】
(携帯端末の機能構成)
ここで
図3の機能ブロック図を参照して、携帯端末3の機能構成について説明する。
図3に示すように、各携帯端末3は、補給予定情報受信手段41と、コード読取手段42と、照合手段43と、判定手段44と、判定結果表示手段45と、計測結果受付手段46と、補給量確定手段47と、補給結果情報送信手段48と、発行手段49と、異常報知手段50と、を有している。補給予定情報受信手段41は、補給先情報取得手段の一例である。コード読取手段42は、読取手段及び識別情報取得手段の一例である。携帯端末3では、制御部31が、所定のプログラムを実行することで、制御部31が、これらの各手段41~50として機能する。なお、照合手段43、判定手段44、計測結果受付手段46、補給量確定手段47、発行手段49は、携帯端末3の機能構成として必須ではなく、管理サーバ4が、これらの手段の一部または全部を有する構成であってもよい。すなわち、各種照合や判定、表示制御、補給量の算出、確定、印刷指示の送信等を管理サーバ4側で行う構成であってもよい。さらに言えば、携帯端末3及び管理サーバ4以外の他の情報処理装置が、これらの手段の一部または全部を有する構成であってもよい。
【0028】
補給予定情報受信手段41は、通信部33によって、管理サーバ4から補給予定情報を受信し、受信した補給予定情報を記憶部32に記憶する。また、補給予定情報受信手段41は、必要に応じ、受信(記憶)した補給予定情報を表示部35に表示する。
【0029】
コード読取手段42は、貯留タンク1のコード表示体21から、貯留タンク1の識別情報及び貯留油情報を読み取ると共に、タンクローリ2の油種コード表示体15から、貯留部11aの補給油情報を読み取る。すなわち、コード読取手段42は、撮像部34によって、コード表示体21の二次元コードを撮像し、撮像した当該二次元コードの画像を解析して、当該二次元コードから貯留タンク1の識別情報及び貯留油情報を読み取る。また、コード読取手段42は、撮像部34によって、油種コード表示体15の二次元コードを撮像し、撮像した当該二次元コードの画像を解析して、当該二次元コードから貯留部11aの補給油情報を読み取る。
【0030】
照合手段43は、コード読取手段42に読み取られた貯留タンク1の識別情報と、補給予定情報受信手段41によって受信した補給予定情報の補給先情報と、を照合して、貯留タンク1の識別情報と、補給先情報とが一致するか否かを判定する。また、照合手段43は、補給先情報に補給先の位置情報(緯度・経度)が含まれる場合、当該補給先の位置情報(緯度、経度)と、携帯端末3の、貯留タンク1に対し食用油を補給するときの位置情報(緯度、経度)と一致するか否かをさらに判定してもよい。さらに、必要に応じて、照合手段43は、コード読取手段42によって読み取られた貯留タンク1の貯留油情報と、コード読取手段42によって読み取られた貯留部11aの補給油情報と、を照合して、貯留油情報と補給油情報とが一致するか否かを判定する。なお、携帯端末3の位置情報は、GPS受信機能部によって取得する。
【0031】
判定手段44は、照合手段43の照合結果に基づいて、貯留タンク1への食用油の補給の正否を判定する。具体的には、貯留タンク1の識別情報と補給先情報とが一致し、かつ、貯留タンク1の貯留油情報と貯留部11aの補給油情報とが一致する場合、貯留タンク1への食用油の補給が「正」と判定する。一方、貯留タンク1の識別情報と補給先情報とが一致しない場合、もしくは、貯留タンク1の補給油情報と貯留部11aの貯留油情報とが一致しない場合、貯留タンク1への食用油の補給が「否」であると判定する。なお、補給油情報と貯留油情報との照合が不要であると判断できる場合には、判定手段44は、貯留タンク1の識別情報と補給先情報とが一致する場合、貯留タンク1への食用油の補給が「正」と判定し、貯留タンク1の識別情報と補給先情報とが一致しない場合、貯留タンク1への食用油の補給が「否」と判定する。なお、貯留タンク1の識別情報と補給先情報との照合結果と、補給油情報と貯留油情報との照合結果に加え、上記した補給先の位置情報と携帯端末3の位置情報との照合結果も、補給の正否判定に用いる構成であってもよい。
【0032】
判定結果表示手段45は、表示部35によって、判定手段44による判定結果を表示する。補給作業者は、表示された判定結果を確認し、貯留タンク1への食用油の補給が「正」であることを確認した場合、貯留タンク1への食用油の補給を行う。
【0033】
計測結果受付手段46は、通信部33によって、流量計13から、貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の流量(体積)の情報を受信すると共に、油温センサ14から、貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の温度の情報を受信する。なお、食用油の流量及び温度の情報の受付は、例えば、電波、赤外線、ネットワーク、有線、画像取込み、補給作業者による入力等を介して行うことができる。
【0034】
補給量確定手段47は、計測結果受付手段46によって受信した計測結果に基づいて、補給作業でタンクローリ2により貯留タンク1に補給された食用油の補給量を確定する。すなわち、補給量確定手段47は、計測結果受付手段46によって受信した、貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の流量及び温度の情報に基づいて、貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の質量を算出し、これを食用油の補給量として確定する。具体的には、補給量確定手段47は、以下の式により、食用油の温度によって食用油の流量を食用油の質量に変換し、これを食用油の補給量として確定する。
質量をM、流量をF、比重をKとしたとき、
M(kg)=F(L)×K
なお、比重は、食用油の種類毎の温度と比重とのテーブルを用いても取得してもよいし、基準温度での比重(基準比重)、基準温度と計測した温度との差、及び、比重係数を用いて算出する構成であってもよい。
【0035】
補給結果情報送信手段48は、通信部33によって、補給結果情報を管理サーバ4に送信する。補給結果情報は、補給日時、補給量確定手段47によって確定した補給量、コード読取手段42によって読み取った貯留タンク1の識別情報及び貯留油情報を含んでいる。なお、管理サーバ4は、この携帯端末3から送信された補給結果情報に対し、補給した食用油の製造ロット、製造日時、製造場所、製品タンク及び原料の産地、情報の一部または全部を付加する構成であってもよい(情報付加手段)。かかる構成によれば、トレーサビリティを向上させることができる。
【0036】
発行手段49は、通信部33によって、補給量確定手段47により確定した補給量に基づく印刷指示を発行装置16に送信し、納品書101及び受領書102を発行する。すなわち、発行手段49は、補給量確定手段47により確定した補給量を反映した納品書101及び受領書102の印刷画像を作成し、この印刷画像を含む印刷指示を発行装置16に送信する。これにより、補給量確定手段47により確定した補給量を反映した納品書101及び受領書102を発行する。なお、納品書101及び受領書102のいずれか一方のみを発行する構成であってもよい。また、納品書101及び受領書102は、電子データでもよく、その場合、発行装置16は、管理サーバ4又は携帯端末3の機能構成の一つとしてもよい。なお、発行装置16は、タンクローリ2に設置されたものであってもよく、タンクローリ2と分離されたものであってもよい。
【0037】
異常報知手段50は、補給量確定手段47によって確定した補給量と、補給予定情報受信手段41によって受信した補給予定量情報の補給予定量との差が、一定以上であるか否かを判定し、補給量と補給予定量との差が、一定以上の差があると判定された場合、表示部35によって、異常がある旨を表示して、補給作業者に異常を報知する。また、異常報知手段50は、補給先情報に含まれた補給先の位置情報(緯度・経度)と、携帯端末3の、貯留タンク1に対し食用油を補給するときの位置情報(緯度、経度)とが一致しない場合、表示部35によって、異常がある旨を表示して、補給作業者に異常を報知する。なお、携帯端末3の位置情報は、GPS受信機能部によって取得する。
【0038】
(食用油補給方法)
次に
図4及び
図5のフローチャートを参照して、食用油補給システム100による食用油補給方法について説明する。
図4に示すように、食用油補給方法では、まず、管理サーバ4が、補給計画に基づく補給予定情報を携帯端末3に送信する(S1)。これに対し、携帯端末3は、補給予定情報受信手段41によって、管理サーバ4からの補給予定情報を受信し(S2)(補給先情報取得工程)、受信した補給予定情報を記憶部32に記憶する(S3)。補給予定情報を記憶したら、補給作業者は、タンクローリ2によって、補給先の貯留タンク1がある施設に移動する(S4)。
【0039】
補給先の施設に移動したら、補給前確認作業を行う(S5~S11)。補給前確認作業では、まず、コード読取手段42によって、補給先の貯留タンク1のコード表示体21から、当該貯留タンク1の識別情報及び貯留油情報を読み取る(S5)(識別情報取得工程)。その後、補給元となる貯留部11aに接続された補給配管12の油種コード表示体15から、当該貯留部11aの補給油情報を読み取る(S6)。なお、油種コード表示体15の読取り(S6)を、コード表示体21の読取り(S5)の前に行なってもよい。
【0040】
貯留タンク1の識別情報及び貯留油情報と、貯留部11aの補給油情報とを読み取ったら、携帯端末3は、照合手段43によって、読み取った貯留タンク1の識別情報と、記憶部32に記憶した補給予定情報の補給先情報と、を照合する(S7)と共に、読み取った貯留タンク1の貯留油情報と、読み取った貯留部11aの補給油情報とを照合する(S8)(照合工程)。その後、判定手段44により、照合結果に基づいて、貯留タンク1に対する食用油の補給の正否を判定する(S9)(判定工程)。具体的には、貯留タンク1の識別情報と補給先情報とが一致すると判定され、かつ、貯留油情報と補給油情報とが一致すると判定された場合、貯留タンク1への食用油の補給が「正」と判定し、貯留タンク1の識別情報と補給先情報とが一致しない、もしくは、貯留油情報と補給油情報とが一致しないと判定された場合、貯留タンク1への食用油の補給が「否」であると判定する。
【0041】
判定手段44により貯留タンク1への食用油の補給の正否を判定したら、判定結果表示手段45によって、判定手段44による判定結果を表示する(S10)。これに対し、補給作業者は、表示された判定結果を確認し(S11)、貯留タンク1への食用油の補給が「正」であることを確認した場合、貯留タンク1への食用油の補給を行う(S12)(補給工程)。すなわち、油種コード表示体15を読み取った補給配管12のノズルを、コード表示体21を読み取った貯留タンク1に接続し、図外のポンプを駆動して、当該貯留タンク1に対し、当該補給配管12が接続された貯留部11aから食用油を補給する。なお、図示省略するが、貯留タンク1への食用油の補給が「否」であることを確認した場合には、補給先の貯留タンク1もしくは補給元の貯留部11aが間違っているため、これを正しいものに変更して、再度、補給前確認作業を行う。
【0042】
貯留タンク1への食用油の補給が終了したら、
図5に示すように、タンクローリ2は、流量計13によって、貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の流量の情報を携帯端末3に送信する(S13)。これに対し、携帯端末3は、計測結果受付手段46によって、流量計13からの食用油の流量の情報を受信する(S14)。ここで流量計13から送信される食用油の流量は、補給工程(S12)時に計測されたものである。なお、タンクローリ2が、当該流量の情報を携帯端末3に送信し(S13)、これを携帯端末3が受信する(S14)のに代えて、補給作業者が、タンクローリ2の流量計13から当該流量の情報を読み取ると共に、読み取った当該流量の情報を携帯端末3に入力する構成であってもよい。
【0043】
その後、タンクローリ2は、油温センサ14によって、貯留部11aから貯留タンク1に補給された食用油の温度の情報を、携帯端末3に送信する(S15)。これに対し、携帯端末3は、計測結果受付手段46によって、流量計13からの食用油の温度の情報を受信する(S16)。ここで油温センサ14から送信される食用油の温度は、補給工程(S12)の直前又は同時に計測されたものである。なお、食用油の温度の情報の送信(S15)を、食用油の流量の情報の送信(S13)よりも前に行う構成であってもよい。また、タンクローリ2が、当該温度の情報を携帯端末3に送信し(S15)、これを携帯端末3が受信する(S16)のに代えて、補給作業者が、タンクローリ2の油温センサ14から当該温度の情報を読み取ると共に、読み取った当該温度の情報を携帯端末3に入力する構成であってもよい。
【0044】
食用油の流量及び温度の情報を受信したら、携帯端末3は、補給量確定手段47によって、受信した食用油の流量及び温度に基づき、補給作業による食用油の補給量を確定する(S17)。すなわち、受信した食用油の流量を、受信した食用油の温度によって質量に変換し、これを補給量として確定する。
【0045】
補給量を確定したら、携帯端末3は、異常報知手段50によって、補給量確定手段47によって確定した補給量と、補給予定情報受信手段41によって受信した補給予定量情報の補給予定量との差が一定以上であるか否かを判定し(S18)、確定した補給量と補給予定量情報の補給予定量との差が一定以上であると判定された場合(S18:Yes)、異常がある旨を表示する(S19)。なお、本実施形態では、確定した補給量と補給予定量情報の補給予定量との差が一定以上であると判定された場合(S18:Yes)、異常がある旨を表示し、確定した補給量と補給予定量情報の補給予定量との差が一定以上でないと判定された場合(S18:No)、補給量の判定結果の表示を行わない構成としているが、補給量の判定結果の如何に関わらず、補給量の判定結果を表示する構成であってもよい。
【0046】
その後、携帯端末3は、補給結果情報送信手段48によって、補給結果情報を管理サーバ4に送信する(S20)。これに対し、管理サーバ4は、携帯端末3からの補給結果情報を受信する(S21)。なお、補給結果情報に加え、S18の補給量の判定結果の情報を送信する構成であってもよい。
【0047】
その後、携帯端末3は、発行手段49によって、補給量に基づく納品書101及び受領書102の印刷画像を作成し、当該印刷画像を含む印刷指示を発行装置16に送信する(S22)。これに対し、発行装置16は、印刷指示を受信し(S23)、受信した印刷指示に基づいて納品書101及び受領書102を発行する(S24)。なお、納品書101及び受領書102の発行(S24)を、補給結果情報の送信(S18)の前に行う構成であってもよい。また、納品書101及び受領書102は、電子データであってもよい。
【0048】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、食用油を補給しようとする貯留タンク1に取り付けられたコード表示体21から、当該貯留タンク1の識別情報を読み取り、この識別情報と補給先情報とを照合して、補給の正否を判定する構成であるため、食用油の補給先の貯留タンク1が正しいか否かを確認することができる。よって、補給作業を行うときに、食用油の補給先を取り違える事態を抑制することができる。
【0049】
また、補給先の貯留タンク1の貯留油情報と、補給元の貯留部11aの補給油情報とを照合し、補給の正否を判定する構成であるため、補給する食用油の種類が正しいか否かを確認することができる。よって、補給作業を行うときに、補給する食用油の種類を取り違える事態を抑制することができる。
【0050】
また、流量計13の計測結果に基づいて、貯留タンク1に補給した食用油の補給量を確定する構成であるため、貯留タンク1に補給した食用油の補給量を正確に把握することができる。
【0051】
また、流量計13によって計測した食用油の体積(流量)を、食用油の温度によって質量に変換し、これを納品量として確定する構成であるため、重量計を用いることなく、正確な補給量を簡単な構成で得ることができる。
【0052】
また、確定した補給量と、補給計画に基づく補給予定量との差が一定以上である場合に、異常(エラー)を表示する異常報知手段50を有することで、流量計13や油温センサ14の異常を迅速に把握することができる。
【0053】
また、補給先情報の位置情報(緯度・経度)と、携帯端末3の、貯留タンク1に対し食用油を補給するときの位置情報(緯度・経度)が不一致である場合、異常(エラー)を表示する異常報知手段50を有することで、補給先情報及び/又は貯留タンク1の識別情報に不整合があることを把握することができる。すなわち、補給先情報の位置情報と補給時の携帯端末3の位置情報とを照合することで、補給先情報に不整合があることを把握することができる。そして、補給先情報の位置情報と補給時の携帯端末3の位置情報との照合結果に加え、補給先情報と貯留タンク1の識別情報との照合結果を参照することで、コード表示体21に記録された貯留タンク1の識別情報に不整合があることを確認することができる。例えば、補給先情報と貯留タンク1の識別情報とが一致するにもかかわらず、補給先情報の位置情報と補給時の携帯端末3の位置情報とが一致しないと判定された場合、補給先情報が間違っているにもかかわらず、補給先情報と貯留タンク1の識別情報とが一致しているので、貯留タンク1の識別情報も間違っていることを分かる。これによって、コード表示体21に記録された貯留タンク1の識別情報も間違っていることを把握することができる。
【0054】
また、タンクローリ2が、補給計画に基づく予定補給量まで食用油を貯留タンク1に補給したとき、貯留タンク1への食用油の補給を自動的に停止可能とする構成であるため、補給作業を行うときに、貯留タンク1への補給量を間違える、あるいは貯留タンク1の許容量を超えて食用油を補給し、食用油を溢れさせる事態を抑制することができる。
【0055】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態においては、貯留タンク1の識別情報が記録された貯留タンク側記録媒体として、コード画像を表示するコード表示体21を用いる構成であったが、これに限るものではない。例えば、コード表示体21に代えて、貯留タンク1の識別情報が記録されたRFID(Radio Frequency IDentifier)を用いる構成であってもよい。また、補給装置から補給する食用油の種類が記録された補給装置側記録媒体についても同様であり、油種コード表示体15に代えて、補給装置から補給する食用油の種類が記録されたRFIDを用いる構成であってもよい。これらの場合、携帯端末3の読取手段についても、RFID読取手段を用いる。
【0057】
また、上記実施形態においては、タンクローリ2は、複数の貯留部11aを有する場合、複数の貯留部11aにそれぞれ対応する複数の補給配管12、複数の流量計13、複数の油温センサ14及び複数の油種コード表示体15と、を有している構成であったが、複数の補給配管12を結合し(合流させ)、1つの可動配管で、各貯留部11aに貯留された食用油を貯留タンク1に補給してもよく、その場合、配管の結合後の位置に流量計13、油温センサ14を設置することで、流量計13、油温センサ14の個数を1つまでに減らすことができる。また、複数の貯留部11aに貯留される食用油の種類等が同じであれば、油種コード表示体15は省略することもでき、さらに、油種コード表示体15からの補給油情報を読取り(S6)、読み取った貯留タンク1の貯留油情報と、読み取った貯留部11aの補給油情報とを照合する照合工程(S8)も省略することができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、貯留タンク1に補給した食用油の体積を計測する油量計測手段として、補給配管12に取り付けた流量計13を用いる構成であったが、これに限るものではない。例えば、流量計13に代えて、貯留部11aに設けられたレベルセンサを用いて、貯留タンク1に補給した食用油の体積を計測する構成であってもよいし、流量計13に代えて、貯留タンク1に設けられたレベルセンサを用いて、貯留タンク1に補給した食用油の体積を計測する構成であってもよい。なお、貯留タンク1、貯留部11a、道路等に設けられた重量計を用い、食用油の体積に代えて、貯留タンク1に補給した食用油の質量を計測する構成であってもよい。かかる場合、食用油の温度の計測を省略することができる。
【0059】
また、上記実施形態においては、貯留タンク1に補給した食用油の温度を計測する油温計測手段として、タンクローリ2の貯留部11aに設けられた油温センサ14を用いる構成であったが、貯留タンク1に設けられた油温センサ14を用いる構成であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、補給作業者が、流量計13や油温センサ14の計測結果を読み取り、携帯端末3に入力する構成の場合、携帯端末3の計測結果受付手段46が、キー入力、タッチ入力、音声入力等の入力を受け付ける構成であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、流量計13及び油温センサ14が、計測結果を携帯端末3(又は管理サーバ4)に送信し、携帯端末3(又は管理サーバ4)側で、補給した食用油の質量(補給量)を算出する構成であったが、油温センサ14が、計測結果を流量計13に送信し、流量計13側で、補給した食用油の質量を算出する構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては記載を省略したが、
図4及び
図5の食用油補給方法において、異常報知手段50によって、補給先情報に含まれる補給先の位置情報と、携帯端末3の、貯留タンク1に対し食用油を補給するときの位置情報とが一致するか否かを判定し、補給先情報に含まれる補給先の位置情報と、携帯端末3の、貯留タンク1に対し食用油を補給するときの位置情報とが一致しないと判定された場合、異常がある旨を表示する工程を行うことが好ましい。当該工程の実行タイミングは、補給先の貯留タンク1がある施設への移動(S4)の後であればいつでもよく、例えば、補給工程(S12)の前に行ってもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、タンクローリ2の貯留部11aを補給元(補給装置側)とし、顧客の施設に設置された貯留タンク1を補給先の貯留タンクとする食用油補給システム100に本発明を適用したが、食用油の製造施設における製品タンクを補給元(補給装置側)とし、タンクローリ2の貯留部11aを補給先の貯留タンクとする食用油補給システムに本発明を適用してもよい。すなわち、製品タンクを含む補給装置からタンクローリ2の貯留部11aに食用油を補給する食用油補給システムに本発明を適用してもよい。かかる場合、タンクローリ2の貯留部11aに、貯留部11aの識別情報を記録したコード表示体を取り付ける構成とする。かかる場合、製品タンクの補給油情報と貯留部11aの貯留油情報との照合を省略し、製品タンクの識別情報と貯留部11aの識別情報との照合のみを行う構成であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、貯留タンク1に、レベルセンサや油温センサ14を取り付け、その計測結果を管理サーバ4に定期的に送信する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:貯留タンク、 2:タンクローリ、 3:携帯端末、 13:流量計、 14:油温センサ、 15:油種コード表示体、 21:コード表示体、 41:補給予定情報受信手段、 42:コード読取手段、 43:照合手段、 44:判定手段、 47:補給量確定手段、 48:補給結果情報送信手段、 49:発行手段、 50:異常報知手段、 100:食用油補給システム