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特開2023-79312グリーンケース用受け台及びタイヤ成形装置
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  • 特開-グリーンケース用受け台及びタイヤ成形装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079312
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】グリーンケース用受け台及びタイヤ成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20230601BHJP
   B29D 30/72 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B29D30/08
B29D30/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192724
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 謙介
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD02
4F215VD09
4F215VK02
4F215VL24
4F215VM06
4F215VM08
4F215VP28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】グリーンケースの自重による変形を抑制できるグリーンケース用受け台と、それを備えたタイヤ成形装置を提供する。
【解決手段】グリーンケース用受け台30は、円筒状のグリーンケース10が載置される台座31を備え、その台座の台座面31aが、グリーンケース10の径方向外側に向けて凸状に湾曲した円弧面により形成されている。これによって、グリーンケース10の自重による変形を抑制し、延いてはゴム部材の貼り付け精度の低下を防ぐことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のグリーンケースが載置される台座を備え、
前記台座の台座面が、前記グリーンケースの径方向外側に向けて凸状に湾曲した円弧面により形成されている、グリーンケース用受け台。
【請求項2】
前記グリーンケースの軸方向から見て、前記台座の中央部に空所が形成されている、請求項1に記載のグリーンケース用受け台。
【請求項3】
前記円弧面の中心角が45~75度である、請求項2に記載のグリーンケース用受け台。
【請求項4】
前記台座面は、前記円弧面の中心線を通る水平面よりも下方に配置されている、請求項1~3いずれか1項に記載のグリーンケース用受け台。
【請求項5】
前記円弧面に粗面化処理が施されている、請求項1~4いずれか1項に記載のグリーンケース用受け台。
【請求項6】
前記台座は、前記グリーンケースの径方向に対して変位可能に構成されている、請求項1~5いずれか1項に記載のグリーンケース用受け台。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載のグリーンケース用受け台と、
前記グリーンケース用受け台から引き取った前記グリーンケースにサイドウォールゴムを貼り付けるサイドウォール貼り付け機と、を備えるタイヤ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グリーンケースを一時的に載置するための受け台と、それを備えたタイヤ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造方法として、一次成形工程及び二次成形工程を経てグリーンタイヤ(未加硫タイヤ)を成形する手法が知られている。一次成形工程は、カーカスプライを含む円筒状のグリーンケースを成形する工程である。二次成形工程は、そのグリーンケースをトロイダル状に膨出変形させて、ベルトプライやトレッドゴムを含むトレッドバンドに合体させる工程である。
【0003】
特許文献1には、一次成形工程を二つのステージに分けて行う方法が記載されている。この方法では、まず、第1ステージにおいて、インナーライナゴムやカーカスプライなどを含む円筒状バンド(グリーンケースの一形態)を成形する。次に、その円筒状バンドを第1ステージから第2ステージに移送する。そして、第2ステージにおいて、円筒状バンドに対してビードセット、ターンアップ及びサイドウォールゴムの貼り付けなどを行い、グリーンケースを成形する。
【0004】
特許文献2には、上記第2ステージにおける作業を更に二つのステージに分けて行うタイヤ成形設備が記載されている。この設備では、円筒状バンドに対してビードセット及びターンアップを行うステージとは別個に、サイドウォールゴムの貼り付けを行うステージ(サイドウォール別貼り成形ステージ)が設けられている。したがって、グリーンケースは、ビードセット及びターンアップが施された後、サイドウォールゴムが貼り付けられていない状態でステージ間を移送されることになる。
【0005】
ステージ間のグリーンケースの移送は、トランスファと呼ばれる移送手段によって実行される。例えば、上記のタイヤ成形設備では、トランスファが、ビードセット及びターンアップを終えた成形ドラムからグリーンケースを引き取り、次のサイドウォール別貼り成形ステージに移送する。移送されたグリーンケースは、一時的に受け台に載置される。サイドウォール別貼り成形ステージの成形ドラムは、その受け台に載置されたグリーンケースを引き取り、サイドウォールゴムの貼り付けに供する。
【0006】
グリーンケースは、グリーンタイヤに比べて剛性が低く柔軟であるため、受け台に載置されている間に、その受け台との接触部分が自重によって変形しやすい。そのような変形に起因してグリーンケースの真円度が低下する(即ち、真円からの誤差が大きくなる)と、それを引き取った成形装置(例えば、成形ドラム)に対してグリーンケースが位置ずれや姿勢崩れを引き起こし、その結果、サイドウォールゴムなどのゴム部材の貼り付け精度が低下して、タイヤのバランスレベル(ユニフォミティ)が悪化する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-240162号公報
【特許文献2】国際公開第2006/048924号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、グリーンケースの自重による変形を抑制できるグリーンケース用受け台と、それを備えたタイヤ成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のグリーンケース用受け台は、円筒状のグリーンケースが載置される台座を備え、前記台座の台座面が、前記グリーンケースの径方向外側に向けて凸状に湾曲した円弧面により形成されている。
【0010】
また、本開示のタイヤ成形装置は、上記グリーンケース用受け台と、前記グリーンケース用受け台から引き取った前記グリーンケースにサイドウォールゴムを貼り付けるサイドウォール貼り付け機とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】グリーンタイヤを成形する工程を模式的に示す半断面図
図2】グリーンタイヤを成形するための成形設備の一例を示す概略図
図3】本開示のグリーンケース用受け台の一例を示す正面図
図4図3に示す受け台が備える台座の(A)正面図と(B)平面図
図5】参考例に係る受け台が備える台座の正面図
図6】台座の変形例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のグリーンケース用受け台及びタイヤ成形装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、グリーンタイヤの成形工程の一例を模式的に示す半断面図である。グリーンタイヤは、カーカスプライを含む円筒状のグリーンケースを成形する一次成形工程と、そのグリーンケースをトレッドバンドに合体させる二次成形工程を経て成形される。後述するように、本実施形態では、一次成形工程が、(A)カーカスバンド成形工程、(B)ターンアップ工程、及び、(C)サイドウォールゴム貼り付け工程の三つに分かれており、それぞれ別個の成形ステージで作業が行われる。
【0014】
まずは、図1(A)に示すように、成形ドラムD1において、インナーライナゴム1、リムストリップゴム2、カーカスプライ3を順に貼り付ける(カーカスバンド成形工程)。これによって、カーカスバンドをなす円筒状のグリーンケース10Aが成形される。
【0015】
次に、図1(B)に示すように、成形ドラムD2において、グリーンケース10Aに対するビードセット及びターンアップを施す(ターンアップ工程)。具体的には、グリーンケース10Aの両サイドにビード4を組み付け、そのビード4の周りでカーカスプライ3を折り返す。これによって、ビードセット及びターンアップが施された円筒状のグリーンケース10Bが成形される。
【0016】
続いて、図1(C)に示すように、成形ドラムD3において、グリーンケース10Bにサイドウォールゴム5を貼り付ける(サイドウォールゴム貼り付け工程)。これによって、サイドウォールゴム5が貼り付けられた円筒状のグリーンケース10Cが成形される。本実施形態において、サイドウォールゴム5は、所定の断面形状を有するゴム部材をタイヤ周方向に沿って一周巻き付けることにより成形される。但し、これに限られず、押出機から押し出された帯状のゴムリボンを螺旋状に巻き付けることによりサイドウォールゴム5を成形してもよい。
【0017】
また、図1(D)に示すように、成形ドラムD4において、ベルトプライ6,7、トレッドゴム8などを順に貼り付ける(トレッドバンド成形工程)。これによって、円筒状のトレッドバンド20が成形される。
【0018】
そして、図1(E)に示すように、成形ドラムD5において、グリーンケース10Cをトロイダル状に膨出変形させ、その径方向外側に配置したトレッドバンド20と合体させる(合体工程)。これによって、未加硫のグリーンタイヤが成形される。このようにして成形したグリーンタイヤを、図示しないタイヤ加硫金型を用いて加硫成形することにより、空気入りタイヤが製造される。
【0019】
上記のように、グリーンケース10は、サイドウォールゴム5が貼り付けられたグリーンケース10Cの態様において二次成形工程(即ち、合体工程)に供される。但し、グリーンケース10は、一次成形工程における段階によって、カーカスバンドをなす円筒状のグリーンケース10Aの態様や、ビードセット及びターンアップが施されたグリーンケース10Bの態様も採りうる。本明細書では、これらを一括して「グリーンケース10」と総称する。
【0020】
図2は、グリーンタイヤを成形するための成形設備FAを示す概略図である。この成形設備FAは、カーカスバンド成形工程、ターンアップ工程、サイドウォールゴム貼り付け工程、トレッドバンド成形工程、及び、合体工程を、それぞれ、各工程の成形に対応する各別の成形ドラムD1~D5を備えた成形ステージS1~S5として区分設定されている。成形ステージS1~S5には、それぞれ、各工程を実施するための成形装置A1~A5が配置され、所定の機能を果たすように構成されている。各成形ステージS1~S5に配置される成形装置A1~A5には、例えば上記特許文献1,2に開示されるような従来公知の構成を特に制約なく採用できるため、その詳細な説明や描写は省略する。
【0021】
成形設備FAには、グリーンケース10やトレッドバンド20を移送するためのトランスファ21~23が設けられている。トランスファ21は、成形ステージS1で成形されたグリーンケース10Aを成形ステージS2に移送する。トランスファ22は、成形ステージS2で成形されたグリーンケース10Bを成形ステージS3に移送する。また、トランスファ22は、成形ステージS3で成形されたグリーンケース10Cを成形ステージS5に移送する。トランスファ23は、成形ステージS4で成形されたトレッドバンド20を成形ステージS5に移送する。トランスファ21~23には、従来公知の構成を特に制約なく採用できる。
【0022】
成形ステージS3に配置されたタイヤ成形装置A3は、トランスファ22から移送されたグリーンケース10Bが載置されるグリーンケース用受け台30(以下、単に「受け台30」と呼ぶ)と、その受け台30から引き取ったグリーンケース10Bにサイドウォールゴム5を貼り付けるサイドウォール貼り付け機40とを備える。サイドウォール貼り付け機40は、拡縮可能に構成された成形ドラムD3と、その成形ドラムD3を回転駆動可能に支持する支持部41と、成形ドラムD3にサイドウォールゴム5を供給する供給部42とを有する。支持部41は、成形ドラムD3を支持した状態で移動部43に沿って移動可能に設けられている。
【0023】
受け台30に載置されたグリーンケース10Bの軸方向は、成形ドラムD3の移動方向(図2における上下方向)に向けられる。支持部41が移動すると、縮径状態の成形ドラムD3がグリーンケース10Bに挿入され、その成形ドラムD3の拡径によってグリーンケース10Bが嵌合状態で保持される。支持部41が元の位置に戻り、成形ドラムD3が所定位置に配置されると、供給部42から供給されたサイドウォールゴム5が成形ドラムD3上のグリーンケース10Bに貼り付けられる。その際、押圧ローラ(図示せず)によってサイドウォールゴム5を押圧してグリーンケース10Bに密着させる。
【0024】
グリーンケース10Bにサイドウォールゴム5を貼り付ける工程(サイドウォールゴム貼り付け工程)を経て成形されたグリーンケース10Cは、再び受け台30に載置される。サイドウォール貼り付け機40の動作に関し、受け台30にグリーンケース10Cを受け渡すときの手順は、受け台30からグリーンケース10Bを引き取るときとは逆の手順でよい。受け台30に載置されたグリーンケース10Cは、トランスファ22によって成形ステージS5に移送され、二次成形工程(合体工程)に供される。
【0025】
図3,4に示すように、受け台30は、円筒状のグリーンケース10Bが載置される台座31と、その台座31を支持する支持体32とを備える。図3では、グリーンケース10Bの外周面の輪郭を破線で示す。台座31は、ゴムよりも硬質の材料、例えば鋼材などの金属材で形成されているが、セラミックやプラスチック、繊維強化プラスチックなど非金属材で形成することも可能である。グリーンケース10Bは、その軸方向を水平に向けた状態で台座31に載置される。既述の通り、グリーンケース10Bの軸方向は成形ドラムD3の移動方向に向けられており、これに挿入された成形ドラムD3(図3では図示せず)が拡径することでグリーンケース10Bが保持される。
【0026】
グリーンケース10Bは、比較的に剛性が低く柔軟であるため、図5(A)に示す台座91や、図5(B)に示す台座92に載置した場合には、その自重によって接触部分91a、92aが平面に潰れるような変形を生じやすい。かかる変形に起因してグリーンケース10Bの真円度が低下する(即ち、真円からの誤差が大きくなる)と、成形ドラムD3に対してグリーンケース10Bが位置ずれや姿勢崩れ、芯出し不良(中心線のずれ)を引き起こし、その結果、巻き付けたサイドウォールゴム5が蛇行するなど、ゴム部材の貼り付け精度が低下して、タイヤのバランスレベル(ユニフォミティ)を悪化させる恐れがある。
【0027】
本実施形態では、図3,4のように、台座31の台座面31aが、グリーンケース10Bの径方向外側に向けて凸状に湾曲した円弧面により形成されている。これにより、グリーンケース10Bの自重による変形を抑制し、延いてはサイドウォールゴム5の貼り付け精度の低下を防ぐことができる。台座面31aは、水平方向に沿って、更に言えばグリーンケース10Bの軸方向に沿って延びている。台座面31aの長さL31aは、その台座面31aの幅W31aよりも大きく、グリーンケース10Bの軸方向長さよりも大きい寸法に設定されているが、これに限定されない。
【0028】
円弧面である台座面31aの曲率半径R1は、グリーンケース10Bの外周面の曲率半径R2に対応した寸法に設定されている。曲率半径R1は、曲率半径R2と実質的に同一であることが好ましい。但し、サイズの異なるグリーンケース10Bにも使用できるように、曲率半径R2よりも少し大きい寸法に曲率半径R1を設定することも有効であり、その場合の曲率半径R1と曲率半径R2との差は3インチ以下であることが好ましい。したがって、例えば、16~19インチのグリーンケース10Bを載置するための受け台30に、19インチに相当する曲率半径R1の台座面31aを有する台座31を適用することが考えられる。
【0029】
本実施形態では、グリーンケース10Bの軸方向から見て(即ち、図3または図4(A)において)、台座31の中央部に空所33が形成されている。これにより、高い粘着性を有するグリーンケース10Bと台座31との接触面積を減らして密着を軽減し、受け台30からグリーンケース10Bを円滑に引き離すことができる。空所33は、台座面31aを形成する円弧面の中心線CLを通る鉛直面VPと交わる位置に形成されている。台座31は、空所33を挟んで配置された一対の台座片31X,31Yにより構成されている。台座片31Xと台座片31Yとは鉛直面VPに関して対称に設けられている。
【0030】
台座片31Xにおける台座面31aと、台座片31Yにおける台座面31aとは、それぞれ共通の中心線CLを中心とした単一の円弧に沿って延在している。台座面31aを形成する円弧面の中心角θ1は、好ましくは45~75度であり、より好ましくは50~70度である。中心角θ1が75度以下であることにより、グリーンケース10Bの密着を軽減するうえで都合がよい。また、中心角θ1が45度以上であることにより、載置されたグリーンケース10Bの安定性を確保するうえで都合がよい。本実施形態では、中心角θが60度である例を示す。
【0031】
台座面31aは、その台座面31aを形成する円弧面の中心線CLを通る水平面HPよりも下方に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、台座31にグリーンケース10Bを載置した際に、そのグリーンケース10Bの側面部(特に水平面HP近傍の側面部)が台座面31aに対して押し込まれないため、台座面31aとの接触の痕跡が残りにくい。かかる改善効果を適切に奏するうえで、台座面31aの上端と中心線CLとを結ぶ直線と水平面HPとがなす角度θ2は、12.5度以上であることが好ましく、15度以上であることが好ましい。本実施形態では、角度θ2が15度である例を示す。
【0032】
台座面31aを形成する円弧面には粗面化処理が施されていることが好ましい。これにより、高い粘着性を有するグリーンケース10Bと台座31との密着を軽減し、受け台30からグリーンケース10Bを円滑に引き離すことができる。粗面化処理としては、例えばサンドブラストなどのブラスト処理が例示される。
【0033】
本実施形態において、台座31は、グリーンケース10Bの径方向に対して変位可能に構成されている。図3のように、台座31は、アクチュエータとしての変位シリンダ34(例えば、エアシリンダ)を介して支持体32に支持されている。グリーンケース10Bが台座31に載置される状態では、変位シリンダ34が伸長している。よって、その状態から変位シリンダ34が短縮することにより、台座31が径方向外側に変位する。台座31の好適な変位量はグリーンケース10Bのサイズに応じて異なるため、台座31と支持体32との間に装着されるストッパー35の厚みを変えることにより、変位シリンダ34の短縮代を調整できるように構成されている。
【0034】
台座31からグリーンケース10Bが引き取られる際に、成形ドラムD3が拡径してグリーンケース10Bを保持すると、変位シリンダ34が短縮して台座31(台座片31Xと台座片31Y)が径方向外側に変位する。これにより、グリーンケース10Bの外周面から台座面31aを引き離して、成形ドラムD3のみでグリーンケース10Bを支持した状態にできる。台座31を鉛直方向または水平方向に沿って変位させることも可能であるが、台座面31aから引き離すときのグリーンケース10Bの変形を抑える観点から、本実施形態のように径方向に変位させることが好ましい。
【0035】
本実施形態では、グリーンケース10Bを載置するために用いられる受け台30の構成について説明したが、これと同様の構成を、グリーンケース10Aやグリーンケース10Cを載置するための受け台に適用することも可能である。したがって、例えば、成形ステージS3から移送されたグリーンケース10Cを一時的に載置するための受け台が成形ステージS5に配置されている場合に、その受け台に対して上記の如き構成を適用することができる。これにより、グリーンケース10Cの自重による変形を抑制し、合体工程での位置決め精度の低下などを防ぐことができる。
【0036】
以上のように、本実施形態のグリーンケース用受け台30は、円筒状のグリーンケース10B(グリーンケース10の一例)が載置される台座31を備え、その台座31の台座面31aが、グリーンケース10Bの径方向外側に向けて凸状に湾曲した円弧面により形成されている。かかる構成によれば、グリーンケース10Bの自重による変形を抑制し、ゴム部材(例えば、サイドウォールゴム5)の貼り付け精度の低下を防ぐことができる。
【0037】
グリーンケース10Bの軸方向から見て、台座31の中央部に空所33が形成されていることが好ましい。これにより、グリーンケース10Bと台座31との接触面積を減らして密着を軽減し、受け台30からグリーンケース10Bを円滑に引き離すことができる。
【0038】
台座面31aを形成する円弧面の中心角は45~75度であることが好ましい。かかる構成によれば、グリーンケース10Bの密着を軽減しつつ、載置されたグリーンケース10Bの安定性を確保するうえで都合がよい。
【0039】
台座面31aは、その台座面31aを形成する円弧面の中心線CLを通る水平面HPよりも下方に配置されていることが好ましい。これにより、グリーンケース10Bの側面部において台座面31aとの接触の痕跡が残りにくくなる。
【0040】
台座面31aを形成する円弧面に粗面化処理が施されていることが好ましい。これにより、グリーンケース10Bと台座31との密着を軽減して、受け台30からグリーンケース10Bを円滑に引き離すことができる。
【0041】
台座31は、グリーンケース10Bの径方向に対して変位可能に構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、グリーンケース10Bの受け渡しを円滑に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態のタイヤ成形装置A3は、グリーンケース用受け台30と、そのグリーンケース用受け台30から引き取ったグリーンケース10Bにサイドウォールゴム5を貼り付けるサイドウォール貼り付け機40とを備える。上記の如き受け台30を備えていることにより、グリーンケース10Bの自重による変形を抑制し、サイドウォールゴム5の貼り付け精度の低下を防ぐことができる。
【0043】
受け台30は、前述した実施形態の構成に限定されるものではなく、前述の作用効果に限定されるものではない。また、受け台30は、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。したがって、例えば図6のように台座31の形状を改変してもよい。図6(A)は、台座31の中央部に空所33が形成されていない例である。図6(B)は、台座面31aが水平面HPに達する例である。図6(C)は、台座31の中央部に空所33が形成されておらず、且つ、台座面31aが水平面HPに達する例である。図6(D)は、台座片31Xの台座面31aを形成する円弧面の中心線CLと、台座片31Yの台座面31aを形成する円弧面の中心線CLとが位置ずれした例である。
【符号の説明】
【0044】
3 カーカスプライ
5 サイドウォールゴム
10 グリーンケース
10A カーカスバンドをなす円筒状のグリーンケース
10B ビードセット及びターンアップが施されたグリーンケース
10C サイドウォールゴムが貼り付けられたグリーンケース
30 グリーンケース用受け台
31 台座
31a 台座面
33 空所
40 サイドウォール貼り付け機
A1~A5 タイヤ成形装置
D1~D5 成形ドラム
S1~S5 成形ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6