(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008073
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】保冷時間予測システム
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20230112BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20230112BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230112BHJP
【FI】
F25D23/00 301N
F25D11/00 101B
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111333
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅至
(72)【発明者】
【氏名】中村 智裕
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
5L049
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA18
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
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3L345EE53
3L345HH12
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3L345HH34
3L345HH42
3L345JJ08
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3L345JJ22
3L345JJ25
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
3L345KK05
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】停電中における保冷時間をあらかじめ予測することのできる保冷時間予測システムを提供する。
【解決手段】庫内を冷却する冷却器20を備えた冷蔵庫10と、停電が発生した場合に、冷蔵庫10の設定庫内温度または実測した庫内温度に基づいて、停電中の予測保冷時間を求め、ユーザに報知するサーバ制御部41と、を備えた。これにより、サーバ制御部41により、停電中の予測保冷時間を求め、これをユーザに報知するので、停電中における冷蔵庫10の庫内の保冷状況を把握することができ、停電時に庫内の食品管理を行うことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内を冷却する冷却器を備えた冷蔵庫と、
停電が発生した場合に、前記冷蔵庫の設定庫内温度または実測した庫内温度に基づいて、停電中の保冷時間を求め、ユーザに報知する制御部と、を備えたことを特徴とする保冷時間予測システム。
【請求項2】
前記制御部は、あらかじめ前記設定庫内温度に基づく保冷時間を求めたデータベースを備え、
前記制御部は、前記データベースに基づいて、停電中の予測保冷時間を求めることを特徴とする請求項1に記載の保冷時間予測システム。
【請求項3】
前記制御部は、停電中における実測した庫内温度を取得し、
前記制御部は、前記取得した庫内温度に基づいて、停電中の保冷時間を求めることを特徴とする請求項1に記載の保冷時間予測システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記冷蔵庫の周囲温度と庫内の収納量を取得し、庫内温度と、前記周囲温度と、前記収納量とに基づいて停電中の保冷時間を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保冷時間予測システム。
【請求項5】
前記冷蔵庫と通信可能な冷蔵庫管理サーバを備え、
前記制御部は、前記冷蔵庫管理サーバのサーバ制御部であり、
前記冷蔵庫は、庫内温度を検出するセンサ部と、停電時に前記センサ部に通電する電池とを備え、
前記冷蔵庫は、停電時に庫内温度を前記冷蔵庫管理サーバに送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の保冷時間予測システム。
【請求項6】
前記冷蔵庫および前記冷蔵庫管理サーバと通信可能な端末装置を備え、
前記端末装置は、前記サーバ制御部で求められた予測保冷時間を表示させてユーザに報知することを特徴とする請求項5に記載の保冷時間予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保冷時間予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商用電源の停電が発生して電源復帰すると、温度検知部により貯蔵室の温度が検知され、貯蔵室の温度が所定の報知温度よりも高温になっていると、停電報知部によって報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、停電中における保冷時間をあらかじめ予測することのできる保冷時間予測システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における保冷時間予測システムは、庫内を冷却する冷却器を備えた冷蔵庫と、停電が発生した場合に、冷蔵庫の設定庫内温度または実測した庫内温度に基づいて、停電中の保冷時間を求め、ユーザに報知する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示における保冷時間予測システムは、制御部により、停電の保冷時間を求め、これをユーザに報知するので、停電中における冷蔵庫の庫内の保冷状況を把握することができ、停電時に庫内の食品管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】冷蔵室における予測保冷時間の一例を示すグラフ
【
図4】冷蔵室における庫内温度の実測値に基づく予測保冷時間を生成する場合の例を示すグラフ
【
図5】実施の形態1における端末装置のタッチパネルの表示例を示す説明図
【
図6】実施の形態1における事前に取得した情報に基づいてデータベースにより保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図7】実施の形態1における事前に取得した情報に基づいてデータベースにより保冷時間を予測する場合の他の例を示すタイミングチャート
【
図8】実施の形態1におけるデータベースにより保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図9】実施の形態1における保冷時間の予測を冷蔵庫が行う場合の例を示すタイミングチャート
【
図10】実施の形態1における保冷時間の予測を端末装置が行う場合の例を示すタイミングチャート
【
図11】実施の形態1における実測値により保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図12】実施の形態2におけるデータベースにより保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図13】実施の形態2における実測値により保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図14】実施の形態2における実測値により保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図15】実施の形態2における実測値により冷蔵庫が保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【
図16】実施の形態2における実測値により端末装置が保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、商用電源の停電が発生して電源復帰すると、温度検知部により貯蔵室の温度が検知され、貯蔵室の温度が所定の報知温度よりも高温になっていると、停電報知部によって報知する技術があった。
【0009】
従来の技術では停電からの電源復帰時に庫内温度が高くなっている場合に報知するものであるが、停電時に冷蔵庫の庫内における保冷時間がわかれば、ユーザは庫内の食品などの管理を行うことが可能となる。しかしながら、庫内の保冷時間を予測することは困難であるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、停電中における保冷時間をあらかじめ予測することのできる保冷時間予測システムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における冷蔵庫10の縦断面図である。
【0012】
図1に示すように、冷蔵庫10は、前面が開放された箱型の筐体11を備えている。筐体11の上方には、冷蔵室12が形成され、筐体11の下方には、冷凍室13が形成されている。冷蔵室12と冷凍室13の間には、仕切壁14が設けられている。
冷蔵庫10は、冷蔵室12の前面の開口部には、横開き式の扉15が開閉自在に設けられている。冷凍室13には、食品を収容する引出16が設けられている。
【0013】
冷蔵庫10の冷蔵室12および冷凍室13の後方には、上下方向に連通するダクト17が設けられている。
冷蔵室12の後方には、ダクト17に連通する複数の冷蔵用吐出口18が形成されている。
また、冷凍室13の後方には、ダクト17に連通する複数の冷凍用吐出口19が形成されている。
ダクト17の冷凍室13の後方に対応する位置には、蒸発器として機能する冷却器20が配置されている。ダクト17の冷却器20の上方には、冷却ファン21が配置されている。ダクト17の仕切壁14に対応する位置には、冷却ファン21の駆動により冷却器20で冷却された冷気を冷蔵室12に送る量を調整するダンパ22が設けられている。
【0014】
冷蔵室12の後方上部には、圧縮機23が配置されている。圧縮機23と、図示しない凝縮器と、膨張機構と、冷却器20とは、冷媒配管により接続されており、冷凍サイクルを構成している。
そして、圧縮機23から冷媒を吐出させることで、冷媒を所定の温度に冷却し、ダクト17を流れる空気と熱交換して冷気を発生させる。
この冷気を冷却ファン21により、冷蔵室12または冷凍室13に循環させることで、冷蔵室12および冷凍室13の庫内を冷却するように構成されている。
【0015】
[1-1-2.保冷時間予測システムの構成]
次に、前述の冷蔵庫10を用いた保冷時間予測システム1について、説明する。
図2は、保冷時間予測システム1を示すブロック図である。
図2に示すように、保冷時間予測システム1は、グローバルネットワークGNに接続する機器がグローバルネットワークGNを介して冷蔵庫10を制御するシステムである。グローバルネットワークGNは、インターネット、電話網、その他の通信網を含む。
保冷時間予測システム1は、冷蔵庫10と、冷蔵庫管理サーバ40と、端末装置50とを備えている。
【0016】
まず、冷蔵庫10の制御構成について説明する。
冷蔵庫10は、冷蔵庫制御部30、冷蔵庫通信部31、冷却部32、およびセンサ部33を備える。
冷蔵庫制御部30は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサで構成され、冷蔵庫記憶部34を備えている。冷蔵庫制御部30は、冷蔵庫記憶部34に記憶された制御プログラムを読み出して、ハードウェアおよびソフトウェアの協働により冷蔵庫10の制御を実行する。
【0017】
冷蔵庫記憶部34は、冷蔵庫制御部30が実行するプログラムや、冷蔵庫制御部30により処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。
冷蔵庫記憶部34は、冷蔵庫制御部30が実行する制御プログラム、冷蔵庫10の設定に係る設定データ、その他の各種データを記憶する。冷蔵庫記憶部34は、不揮発性の記憶領域を有する。また、冷蔵庫記憶部34は、揮発性の記憶領域を備え、冷蔵庫制御部30のワークエリアを構成してもよい。
【0018】
冷蔵庫通信部31は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、冷蔵庫制御部30の制御により、グローバルネットワークGNと接続する機器と所定の通信規格に従って通信する。冷蔵庫通信部31は、冷蔵庫管理サーバ40と所定の通信規格に従って通信する。冷蔵庫通信部31が使用する通信規格は、無線通信規格(例えばIEEE802.11a/11b/11g/11n/11ac、Bluetooth(登録商標))でもよいし有線通信規格でもよい。
【0019】
冷却部32は、圧縮機23、冷却ファン21およびダンパ22等の冷蔵庫10の各収容室を冷却する機構を、冷蔵庫制御部30の制御に従って、冷蔵庫10の各収容室を冷却する。
【0020】
センサ部33は、冷蔵庫10の庫内の温度を検出する温度センサや、冷蔵庫10に設けられる扉15および引出16の開閉を検出する開閉センサ等の各種センサを備え、センサごとにセンサの検出値を冷蔵庫制御部30に出力する。
図1に示すように、センサ部33は、温度センサとして、冷蔵室温度センサ35および冷凍室温度センサ36を備える。
冷蔵室温度センサ35は、冷蔵室12の所定の位置に設けられ、冷蔵室12の庫内温度を検出する。
冷凍室温度センサ36は、冷凍室13の所定の位置に設けられ、冷凍室13の庫内温度を検出する。
周囲温度センサ37は、冷蔵庫10外の所定の位置に設けられ、冷蔵庫10の周囲温度を検出する。
【0021】
冷蔵庫制御部30は、通常運転モードと、通常運転モードより冷蔵庫10の庫内温度が低い予冷運転モードとのいずれかで制御される。
冷蔵庫10は、冷蔵室12および/または冷凍室13について、通常運転モードの場合には、それぞれ「弱」、「中」、「強」の段階で冷却運転を行うことができる。
例えば、冷蔵室12が通常運転モードの場合、「弱」の場合は5℃、「中」の場合は4℃、「強」の場合は3℃に設定される。冷蔵室12が予冷運転モードの場合は3℃に設定される。
また、例えば、冷凍室13が通常運転モードの場合、「弱」の場合は-18℃、「中」の場合は-20℃、「強」の場合は-22℃に設定される。冷凍室13の予冷運転モードの場合は-28℃に設定される。
【0022】
次に、冷蔵庫管理サーバ40の構成について説明する。
冷蔵庫管理サーバ40は、サーバ制御部41およびサーバ通信部42を備える。
【0023】
サーバ制御部41は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサで構成され、サーバ記憶部43を備えている。サーバ制御部41は、サーバ記憶部43に記憶された制御プログラムを読み出して、ハードウェアおよびソフトウェアの協働により冷蔵庫管理サーバ40の各部を制御する。
【0024】
サーバ記憶部43は、サーバ制御部41が実行するプログラムや、サーバ制御部41により処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。サーバ記憶部43は、サーバ制御部41が実行する制御プログラム、冷蔵庫管理サーバ40の設定に係る設定データ、保冷管理データベース44、その他の各種データを記憶する。サーバ記憶部43は、不揮発性の記憶領域を有する。また、サーバ記憶部43は、揮発性の記憶領域を備え、サーバ制御部41のワークエリアを構成してもよい。
【0025】
保冷管理データベース44は、冷蔵庫10の運転制御に係る各種情報を格納するデータベースである。保冷管理データベース44には、冷蔵庫ID、冷蔵庫10の予測保冷時間情報などが格納される。
【0026】
サーバ通信部42は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、サーバ制御部41の制御により、グローバルネットワークGNと接続する機器と所定の通信規格に従って通信する。本実施の形態においてサーバ通信部42は、冷蔵庫10、端末装置50、および停電予測サーバと通信する。
【0027】
保冷管理データベース44には、前述のように冷蔵庫10の予測保冷時間情報が格納される。
予測保冷時間情報は、冷蔵庫10ごとに、冷蔵室12および冷凍室13について、冷蔵室12または冷凍室13の庫内温度と、周囲温度と、冷蔵室12または冷凍室13の内部の収納量とに基づいた冷蔵室12または冷凍室13の保冷時間をあらかじめ実験などにより取得してデータベース化しておく。
【0028】
図3は冷蔵室12における予測保冷時間の一例を示すグラフである。
図3に示すように、例えば、冷蔵室12の庫内温度が5℃、冷蔵庫10の周囲温度が16℃、25℃、32℃の場合に、それぞれ冷蔵室12の収納量に対する保冷時間を求める。
図3の例で、例えば、冷蔵室12の庫内温度が5℃で、周囲温度が25℃で、冷蔵室12の収納量が50%の場合、保冷時間は8時間であることがわかる。
同様に、冷凍室13における予測保冷時間を、冷凍室13の庫内温度と、周囲温度と、冷凍室13の収納量とに基づいてあらかじめ求めてデータベースを作成しておく。
なお、保冷時間とは、冷蔵室12の場合は10℃になるまでの時間をいい、冷凍室13の場合は-15℃になるまでの時間をいう。
これは、冷蔵庫内の食品への影響を考慮して設定しているが、保冷時間の基準温度は適宜変更可能である。例えば、保冷時間の基準温度は、冷蔵室12の場合は10℃より低くても、10℃より高く設定してもよい。また同様に、保冷時間の基準温度は、冷凍室13の場合は-15℃より低くても、-15℃より高く設定してもよい。
【0029】
この場合に、本実施の形態においては、あらかじめ予測保冷時間情報のデータベースを作成する他、例えば、冷蔵室12および冷凍室13の庫内温度の実測値に基づいて保冷時間を生成するようにしてもよい。
図4は、冷蔵室12における庫内温度の実測値に基づく予測保冷時間を生成する場合の例を示すグラフである。
この場合には、まず、冷蔵庫制御部30は、例えば、圧縮機23の停止時や除霜中など圧縮機23が駆動していない状態での庫内温度をセンサ部33により検出し、この検出値を冷蔵庫通信部31を介して冷蔵庫管理サーバ40に送る。
冷蔵室温度情報および冷凍室温度情報は、センサ部33により検出される冷蔵室12または冷凍室13の検出温度情報である。
【0030】
冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、受信した庫内温度の検出値の変化に基づいて、庫内温度が上昇する予測を演算する。例えば、5分ごとの庫内温度の検出値の変化から、その後の庫内の温度上昇を予測することで、
図4に示すように、温度上昇予想曲線を生成する。
【0031】
サーバ制御部41は、保冷管理データベース44に格納された予測保冷時間またはサーバ制御部41で演算された予測保冷時間の温度上昇予想曲線に基づいて、現在、停電が生じた場合の保冷時間を求める。この保冷時間は、後述する端末装置50に送信される。
【0032】
次に、端末装置50の構成について説明する。
端末装置50は、端末制御部51、端末通信部52、およびタッチパネル53を備える。
【0033】
端末制御部51は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサで構成され、端末記憶部54を備えている。端末制御部51は、端末記憶部54に記憶された制御プログラムを読み出して、ハードウェアおよびソフトウェアの協働により端末装置50の各部を制御する。
【0034】
端末装置50には、保冷サポートアプリが事前にインストールされる。保冷サポートアプリ55は、端末制御部51により端末記憶部54から読み出されて実行されることで、端末装置50により、予測保冷時間をユーザに報知する。
【0035】
端末記憶部54は、端末制御部51が実行するプログラムや、端末制御部51により処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。端末記憶部54は、端末制御部51が実行する制御プログラム、端末装置50の設定に係る設定データ、保冷サポートアプリ55、ユーザID、その他の各種データを記憶する。端末記憶部54は、不揮発性の記憶領域を有する。また、端末記憶部54は、揮発性の記憶領域を備え、端末制御部51のワークエリアを構成してもよい。
【0036】
端末通信部52は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、端末制御部51の制御により、グローバルネットワークGNと接続する機器と所定の通信規格に従って通信する。端末通信部52は、保冷サポートアプリ55の機能により、冷蔵庫管理サーバ40と所定の通信規格に従って通信する。端末通信部52が使用する通信規格は、無線通信規格である。
【0037】
タッチパネル53は、液晶表示パネル等の表示パネルと、表示パネルに重ねて、或いは一体に設けられたタッチセンサとを備える。表示パネルは、端末制御部51の制御で、各種画像を表示する。タッチセンサは、タッチ操作を検出し、端末制御部51に出力する。端末制御部51は、タッチセンサからの入力に基づいて、タッチ操作に対応する処理を実行する。
【0038】
端末装置50には、停電予測サーバ60から、例えば、台風などの気象情報に基づく警報情報や停電リスク予測情報などがプッシュ通知として送られる。プッシュ通知は、所定の日時、例えば、毎月1日等に、端末装置50に送られてもよい。
端末装置50は、停電予測サーバ60からの警報情報などが送られると、端末制御部51は、保冷サポートアプリ55を実行することで、冷蔵庫管理サーバ40に対して保冷時間の予測結果を要求する。この要求により、冷蔵庫管理サーバ40から保冷時間の予測結果が送られたら、停電した場合における冷蔵庫10の冷蔵室12および冷凍室13の保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
なお、プッシュ通知なしで、ユーザが保冷サポートアプリ55を実行することで保冷時間の予測を行うことができるようにしてもよい。
【0039】
[1-2.動作等]
次に、実施の形態1における冷蔵庫10および保冷時間予測システム1の動作について説明する。
まず、
図5および
図6を参照し、冷蔵庫管理サーバ40の保冷管理データベース44に格納されたデータベースに基づいて保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
【0040】
図5は、端末装置50のタッチパネルの表示例を示す説明図である。
図6は、事前に取得した情報に基づいてデータベースにより保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
図6に示すように、本実施の形態においては、冷蔵庫10は、定期的に現在の庫内温度、周囲温度を測定し、その測定結果を冷蔵庫管理サーバ40に送る。
冷蔵庫管理サーバ40は、送られた庫内温度情報および周囲温度情報をサーバ記憶部43に記憶させる。
【0041】
そして、
図6に示すように、停電予測サーバ60から警報情報などのプッシュ通知が送られた場合、端末装置50の端末制御部51は、タッチパネル53に停電した場合の保冷時間を確認するための確認ボタンを表示させる。
【0042】
具体的には、
図5(a)に示すように、プッシュ通知が送られた場合、端末装置50の端末制御部51は、保冷サポートアプリを起動する。保冷サポートアプリが起動されると、端末装置50のタッチパネルに冷蔵庫10の現在の運転モード(
図5においては、運転モードが通常モードであることを表示している)と、保冷時間を予測するための確認ボタンが表示される。
ユーザが、確認ボタンを操作すると、
図5(b)に示すように、端末制御部51は、タッチパネルに冷蔵庫10の収納量の選択アイコンを表示させる。
ユーザは、収納量の選択アイコンを操作して冷蔵室の収納量を入力し、「次へ」アイコンを操作する。また、同様に、ユーザは、冷凍室の収納量を入力する(図示せず)。
【0043】
ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50からユーザにより入力された庫内の収納量を冷蔵庫管理サーバ40送るように指示する。
【0044】
冷蔵庫管理サーバ40に庫内の収納量が送信されると、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、送られた収納量情報、事前に記憶されている庫内温度情報および周囲温度情報に基づいて、保冷管理データベース44に格納されたデータベースから、該当する予測保冷時間を抽出し、その予測された保冷時間を端末装置50に送信する。
【0045】
図5(c)に示すように、端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された予測保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
なお、この予測保冷時間は、冷蔵室12の場合、現時点から10℃に至るまでの時間を表示させるのみならず、例えば、数時間経過後における庫内温度を表示させるようにしてもよい。
【0046】
なお、この場合に、例えば、冷凍されたペットボトルなどを冷蔵室12または冷凍室13の庫内に入れた場合に、予測保冷時間が延長される旨の提案を表示させるようにしてもよい。
この場合に、例えば、ペットボトルの容量を選択させることで、ペットボトルの容量に応じた予測保冷時間の延長時間を表示させるようにしてもよい。
【0047】
図7は、事前に取得した情報に基づいてデータベースにより保冷時間を予測する場合の他の例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、庫内の収納量を冷蔵庫10が自動で取得するようにしたものである。すなわち、冷蔵庫10は、定期的に現在の庫内温度、周囲温度を測定するとともに、庫内の収納量を自動的に測定して、その測定結果を冷蔵庫管理サーバ40に送る。庫内の収納量は、例えば、庫内の照度、重量、画像等に基づいて測定される。
冷蔵庫管理サーバ40は、送られた庫内温度情報および周囲温度情報をサーバ記憶部43に記憶させる。
【0048】
そして、プッシュ通知により、ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50の確認操作情報が冷蔵庫管理サーバ40に送られる。
冷蔵庫管理サーバ40に確認操作情報が送信されると、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、事前に記憶されている庫内温度情報、周囲温度情報および収納量情報に基づいて、保冷管理データベース44に格納されたデータベースから、該当する予測保冷時間を抽出し、その予測された保冷時間を端末装置50に送信する。
端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された予測保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
【0049】
図8は、データベースにより保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
図8に示すように、停電予測サーバ60から警報情報などのプッシュ通知が送られた場合、端末装置50の端末制御部51は、タッチパネル53に停電した場合の保冷時間を確認するための確認ボタンを表示させる。
ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度、周囲温度、庫内の収納量を測定し、その測定結果を冷蔵庫管理サーバ40に送るように指示する。
【0050】
冷蔵庫管理サーバ40に測定結果が送信されると、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、前述のように、保冷管理データベース44に格納されたデータベースから、冷蔵庫10から送信された庫内温度情報、周囲温度情報、庫内の収容量情報に基づいて、該当する予測保冷時間を抽出し、その予測された保冷時間を端末装置50に送信する。
【0051】
端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された予測保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
【0052】
図9は、保冷時間の予測を冷蔵庫10が行う場合の例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、冷蔵庫記憶部34に予測保冷時間情報のデータベースがあらかじめ格納されている。
図9に示すように、本実施の形態においては、停電予測サーバ60から警報情報などのプッシュ通知が送られた場合、端末装置50の端末制御部51は、タッチパネル53に停電した場合の保冷時間を確認するための確認ボタンを表示させる。
ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度、周囲温度、庫内の収納量を測定するように指示する。
【0053】
冷蔵庫制御部30は、測定した庫内温度情報、周囲温度情報、庫内の収納量情報に基づいて、冷蔵庫記憶部34に格納されたデータベースから、庫内温度情報、周囲温度情報、収容量情報に基づいて、該当する予測保冷時間を抽出し、その予測された保冷時間を端末装置50に送信する。
端末装置50は、冷蔵庫10から送信された予測保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
【0054】
なお、この場合において、
図6に示すように、冷蔵庫10の庫内の収納量を端末装置50を介してユーザが入力し、収納量情報を冷蔵庫10に送信することで、冷蔵庫制御部30により予測保冷時間を抽出するようにしてもよい。
この例においては、冷蔵庫管理サーバ40を用いることなく、冷蔵庫10で予測保冷時間を求めて、端末装置50に表示させることができる。そのため、Wi-Fi(登録商標)などのグローバルネットワークGNに接続する設備がない場合でも、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信設備さえあれば、予測保冷時間を得ることができる。
【0055】
図10は、保冷時間の予測を端末装置50が行う場合の例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、端末記憶部54に予測保冷時間情報のデータベースがあらかじめ格納されている。
【0056】
図10に示すように、本実施の形態においては、停電予測サーバ60から警報情報などのプッシュ通知が送られた場合、端末装置50の端末制御部51は、タッチパネル53に停電した場合の保冷時間を確認するための確認ボタンを表示させる。
ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度、周囲温度、庫内の収納量を測定するように指示する。
【0057】
冷蔵庫制御部30は、測定した庫内温度情報、周囲温度情報、庫内の収納量情報を端末装置50に送る。
端末制御部51は、冷蔵庫10から送られた庫内温度情報、周囲温度情報、収納量情報に基づいて、端末記憶部54に格納されたデータベースから、該当する予測保冷時間を抽出し、その予測された保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
【0058】
なお、この場合において、
図6に示すように、冷蔵庫10の庫内の収納量を端末装置50を介してユーザが入力することで、端末制御部51により、冷蔵庫10から送られた庫内温度情報、周囲温度情報および入力された収納量情報に基づいて、予測保冷時間を抽出するようにしてもよい。
この例においては、冷蔵庫管理サーバ40を用いることなく、冷蔵庫10で予測保冷時間を求めて、端末装置50に表示させることができる。そのため、Wi-Fi(登録商標)などのグローバルネットワークGNに接続する設備がない場合でも、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信設備さえあれば、予測保冷時間を得ることができる。
【0059】
次に、冷蔵庫管理サーバ40により、実測値に基づいて保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
図11は、実測値により保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
図11に示すように、停電予測サーバ60から警報情報などのプッシュ通知が送られた場合、端末装置50の端末制御部51は、タッチパネル53に停電した場合の保冷時間を確認するための確認ボタンを表示させる。
ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫管理サーバ40に予測保冷時間を送るように指示する。
【0060】
冷蔵庫管理サーバ40には、あらかじめ冷蔵庫10から圧縮機23が停止している状態の庫内温度の検出値を冷蔵庫管理サーバ40に送られており、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、前述のように、冷蔵庫10から送られた庫内温度に基づいて、予測保冷時間の温度上昇予想曲線を演算し、現時点で停電が生じた場合の保冷時間を求め、予測保冷時間を端末装置50に送信する。
【0061】
端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された予測保冷時間をタッチパネル53に表示させる。
この場合に、前述のように、数時間経過後における庫内温度を表示させるようにしてもよいし、予測保冷時間が延長される旨の提案を表示させるようにしてもよい。
【0062】
なお、実測値に基づいて保冷時間を予測する場合の動作について説明したが、本開示はこれに限定されない。
例えば、冷蔵庫管理サーバ40は、冷蔵庫10の庫内温度情報を事前に取得するのではなく、ユーザが確認ボタンを操作した場合に、あらかじめ冷蔵庫記憶部34に記憶しておいた圧縮機23が停止している状態の庫内温度の検出値を冷蔵庫管理サーバ40に送るようにしてもよい。この場合、ユーザが確認ボタンを操作した以前において最新の庫内温度の検出値、すなわち、圧縮機23が停止している状態の庫内温度の検出値を冷蔵庫管理サーバ40に送ることが好ましい。冷蔵庫管理サーバ40に送る庫内温度の検出値は、少なくとも2つ必要である。冷蔵庫管理サーバ40に送る庫内温度の検出値は、2つより多くてもよい。また、庫内温度の検出値は、温度センサに記憶させておいてもよい。
また、前述のデータベースを用いて保冷時間を予測する場合の同様に、保冷時間を予測するのは、冷蔵庫管理サーバ40のみならず、冷蔵庫10あるいは端末装置50であってもよい。
【0063】
[1-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においては、庫内を冷却する冷却器20を備えた冷蔵庫10と、事前に停電の発生が予測される場合、冷蔵庫10の設定庫内温度または実測した庫内温度に基づいて、停電した場合の予測保冷時間を求め、ユーザに報知するサーバ制御部41(制御部)と、を備えた。
これにより、サーバ制御部41により、停電した場合の予測保冷時間を求め、これをユーザに報知するので、停電が発生した場合における冷蔵庫10の庫内の保冷状況を把握することができ、停電時に庫内の食品管理を行うことができる。
【0064】
また、本実施の形態においては、サーバ制御部41(制御部)は、あらかじめ設定庫内温度および周囲温度に基づく保冷時間を求めたデータベースを備え、サーバ制御部41は、データベースに基づいて、停電した場合の予測保冷時間を求める。
これにより、データベースに基づいて容易に保冷時間の予測を行うことができる。
【0065】
また、本実施の形態においては、サーバ制御部41(制御部)は、冷蔵庫10の冷却が停止している状態における実測した庫内温度を取得し、サーバ制御部41は、取得した庫内温度に基づいて、停電した場合の予測保冷時間を求める。
これにより、庫内温度の実測値に基づいて停電した場合の保冷時間の予測を行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態においては、サーバ制御部41(制御部)は、冷蔵庫10の周囲温度と庫内の収納量とを取得し、庫内温度と周囲温度と収納量とに基づいて、停電した場合の予測保冷時間を求める。
これにより、停電した場合の保冷時間の予測を行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、冷蔵庫10および冷蔵庫管理サーバ40と通信可能な端末装置50を備え、端末装置50は、サーバ制御部41で求められた予測保冷時間を表示させてユーザに報知する。
これにより、停電時における予測保冷時間を端末装置50によりユーザに報知することができる。
【0068】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
[2-1.構成]
本実施の形態においては、冷蔵庫10および保冷時間予測システム1の構成については、実施の形態1と同様であるため、実施の形態1の説明で用いた図面を用いて説明し、同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態1では、停電前における保冷時間を予測するものであるのに対して、本実施の形態においては、停電中における保冷時間を予測するものである。
【0069】
冷蔵庫管理サーバ40には、実施の形態1と同様に、保冷管理データベース44が設けられ、保冷管理データベース44には、データベース化された冷蔵庫10の予測保冷時間情報が格納される。
実施の形態1においては、サーバ制御部41は、冷蔵庫10の庫内温度情報、周囲温度情報、庫内の収容量情報に基づいて、予測保冷時間を求めるようにしていたが、停電中はこれらの情報を取得することが困難となっている。
そのため、本実施の形態においては、例えば、冷蔵庫10のセンサ部33および冷蔵庫通信部31のみが駆動できる電池などを備え、停電時には、電池を用いて庫内温度の実測値を冷蔵庫管理サーバ40に送信するようにしている。そして、サーバ制御部41は、庫内温度情報に基づいて保冷管理データベース44から保冷時間を予測するようになっている。
【0070】
また、実施の形態1と同様に、冷蔵室12および冷凍室13の庫内温度の実測値に基づいて保冷時間を生成するようにしてもよい。
この場合には、まず、冷蔵庫制御部30は、例えば、圧縮機23の停止時や除霜中など圧縮機23が駆動していない状態での庫内温度をセンサ部33により検出し、この検出値を冷蔵庫通信部31を介して冷蔵庫管理サーバ40に送る。
冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、受信した庫内温度の検出値の変化に基づいて、庫内温度が上昇する予測を演算する。
【0071】
この場合に、本実施の形態においては、停電中であることから、現時点で冷蔵庫10は停止しており、冷蔵庫10の庫内温度を取得することはできない状態となっている。
そのため、庫内温度の実測値に基づいて保冷時間を予測する場合には、停電前に取得した実測値に基づいて保冷時間を予測すればよい。さらに、前述のように、停電時には、電池を用いて庫内温度の実測値を冷蔵庫管理サーバ40に送信するようにしてもよい。
【0072】
また、停電時に冷蔵庫管理サーバ40は、冷蔵庫10が停電中であるか否かは判断することができない状態にある。
そのため、例えば、冷蔵庫管理サーバ40から冷蔵庫10に対して所定時間ごとに通信を行い、応答があれば停電ではないと判断することができる。
また、同様に、実測値に基づいて保冷時間を予測する場合には、冷蔵庫10から一定時間、庫内温度の実測値が送信されない場合に、停電であると判断するようにしてもよい。
さらに、ユーザにより端末装置50を操作することで、停電状態である旨を冷蔵庫管理サーバ40に送信するようにしてもよい。
【0073】
[2-2.動作等]
次に、実施の形態2における冷蔵庫10および保冷時間予測システム1の動作について説明する。
まず、
図12を参照し、冷蔵庫管理サーバ40の保冷管理データベース44に格納されたデータベースに基づいて保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
【0074】
図12は、データベースにより保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
図12に示すように、冷蔵庫10は、定期的に現在の庫内温度、周囲温度を測定するとともに、庫内の収納量を自動的に測定して、その測定結果を冷蔵庫管理サーバ40に送る。
冷蔵庫管理サーバ40は、送られた庫内温度情報、周囲温度情報、収納量情報をサーバ記憶部43に記憶させる。
【0075】
そして、停電時に、ユーザが端末装置50の確認ボタンを操作すると、端末装置50の確認操作情報が冷蔵庫管理サーバ40に送られる。
【0076】
冷蔵庫管理サーバ40に確認操作情報が送信されると、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、保冷管理データベース44に格納されたデータベースから、冷蔵庫10から送信された庫内温度情報、周囲温度情報、収納量情報に基づいて、該当する予測保冷時間を抽出する。
【0077】
この場合に、停電中であるため、冷蔵庫10から新たに庫内温度情報、周囲温度情報、収納量情報が送られないので、停電直前に送られた庫内温度情報、周囲温度情報、収納量情報に基づいて、保冷時間が予測される。
前述のように、例えば、冷蔵庫管理サーバ40から冷蔵庫10に対して所定時間ごとに通信を行い、応答がない場合には停電であると判断することができる。そのため、冷蔵庫管理サーバ40が、停電となった時刻を記憶しておき、予測保冷時間から、停電時からユーザによる確認ボタン操作時までの時間を減算することで、残りの保冷時間を計算する。
【0078】
端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された残り保冷時間をタッチパネル53に表示させる。同時に、庫内温度を表示させる。
この場合に、実施の形態1と同様に、数時間経過後における庫内温度を表示させるようにしてもよいし、予測保冷時間が延長される旨の提案を表示させるようにしてもよい。
【0079】
次に、冷蔵庫管理サーバ40により、実測値に基づいて保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
図13は、実測値により保冷時間を予測する場合の動作を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、例えば、冷蔵庫10のセンサ部33および冷蔵庫通信部31のみが駆動できる電池などを備え、停電時には、電池を用いて庫内温度の実測値を冷蔵庫管理サーバ40に送信できる構成となっている。なお、冷蔵庫とは別で停電中に使用する温度センサが庫内温度の実測値を冷蔵庫管理サーバ40に送信できる構成としてもよい。この場合、停電中に使用する温度センサは、電池により駆動し、冷蔵庫10のセンサ部33および冷蔵庫通信部31と同様の機能を備える。
図13に示すように、ユーザが端末装置50の確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫管理サーバ40に予測保冷時間を送るように指示する。
【0080】
冷蔵庫管理サーバ40には、あらかじめ送られている停電中の庫内温度の検出値に基づいて、予測保冷時間の温度上昇予想曲線を演算し、予測保冷時間を求める。
そして、冷蔵庫管理サーバ40は、その予測された保冷時間に基づいて残り保冷時間を計算して端末装置50に送信する。
【0081】
端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された残り保冷時間および/または庫内温度をタッチパネル53に表示させる。
【0082】
次に、実測値に基づいて保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
図14は、実測値により保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、例えば、冷蔵庫10の冷蔵庫制御部30、センサ部33および冷蔵庫通信部31が駆動できる電池などを備え、停電時には、電池を用いて庫内温度の実測値を冷蔵庫管理サーバ40に送信できる構成となっている。
なお、冷蔵庫10とは別で停電中に使用する温度センサが庫内温度の実測値を冷蔵庫管理サーバ40に送信できる構成としてもよい。この場合、停電中に使用する温度センサは、冷蔵庫10の冷蔵庫制御部30、センサ部33、冷蔵庫通信部31と同様の機能を備える。
【0083】
図14に示すように、ユーザが端末装置50の確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度を測定し、その測定結果を含む庫内温度情報を冷蔵庫管理サーバ40に送るように指示する。この庫内温度情報は、ユーザが確認ボタンを操作する以前において停電中の庫内温度を測定した結果も含まれる。冷蔵庫管理サーバ40に送る庫内温度を測定した結果は、少なくとも2つ必要である。冷蔵庫管理サーバ40に送る庫内温度を測定した結果は、2つより多くてもよい。この場合、冷蔵庫記憶部34は、停電中の庫内温度を記憶している。なお、冷蔵庫制御部30を駆動させない場合は、センサ部33が停電中の庫内温度を記憶する機能を備えていてもよい。
【0084】
冷蔵庫管理サーバ40に庫内温度情報が送信されると、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、庫内温度情報に基づいて、予測保冷時間の温度上昇予想曲線を演算し、予測保冷時間を求め、その予測された保冷時間に基づいて残り保冷時間を計算して端末装置50に送信する。
また、ユーザが確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度を測定し、その測定結果を冷蔵庫管理サーバ40に送るように指示してもよい。この場合、冷蔵庫管理サーバ40に測定結果が送信されると、冷蔵庫管理サーバ40のサーバ制御部41は、あらかじめ送られている停電中の庫内温度の検出値に基づいて、予測保冷時間の温度上昇予想曲線を演算し、予測保冷時間を求め、その予測された保冷時間に基づいて残り保冷時間を計算して端末装置50に送信する。
端末装置50は、冷蔵庫管理サーバ40から送信された残り保冷時間および/または庫内温度をタッチパネル53に表示させる。
【0085】
次に、実測値に基づいて冷蔵庫10が保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
図15は、実測値により冷蔵庫10が保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、例えば、冷蔵庫10の冷蔵庫制御部30、センサ部33および冷蔵庫通信部31が駆動できる電池などを備え、停電時には、電池を用いて残り保冷時間および/または庫内温度の実測値を端末装置50に送信できる構成となっている。
なお、冷蔵庫10とは別で停電中に使用する温度センサが残り保冷時間および/または庫内温度の実測値を端末装置50に送信できる構成としてもよい。この場合、停電中に使用する温度センサは、電池により駆動し、冷蔵庫10の冷蔵庫制御部30、センサ部33、冷蔵庫通信部31と同様の機能を備える。
【0086】
図15に示すように、ユーザが端末装置50の確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度を測定し、その測定結果を含む庫内温度情報に基づいて、予測保冷時間および/または残り保冷時間を求めるように指示する。
この庫内温度情報は、ユーザが確認ボタンを操作する以前において停電中の庫内温度を測定した結果も含まれる。庫内温度を測定した結果は、少なくとも2つ必要である。庫内温度を測定した結果は、2つより多くてもよい。この場合、冷蔵庫記憶部34は、停電中の庫内温度を記憶している。なお、冷蔵庫制御部30を駆動させない場合は、センサ部33が停電中の庫内温度を記憶する機能を備えていてもよい。
冷蔵庫制御部30は、庫内温度実測値に基づいて、予測保冷時間の温度上昇予想曲線を演算し、予測保冷時間を求め、その予測された保冷時間に基づいて残り保冷時間を計算して端末装置50に送信する。
端末装置50は、冷蔵庫10から送信された残り保冷時間および/または庫内温度をタッチパネル53に表示させる。
【0087】
この例においては、冷蔵庫管理サーバ40を用いることなく、冷蔵庫10で残り保冷時間を求めて、端末装置50に表示させることができる。そのため、停電中でWi-Fi(登録商標)などのグローバルネットワークGNに接続する設備が使用できない場合でも、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信設備さえあれば、残り保冷時間および/または庫内温度を得ることができる。
【0088】
次に、実測値に基づいて端末装置50が保冷時間を予測する場合の動作について説明する。
図16は、実測値により端末装置50が保冷時間を予測する場合の例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態においては、例えば、冷蔵庫10のセンサ部33および冷蔵庫通信部31が駆動できる電池などを備え、停電時には、電池を用いて庫内温度の実測値を端末装置50に送信できる構成となっている。
なお、冷蔵庫10とは別で停電中に使用する温度センサが庫内温度の実測値を端末装置50に送信できる構成としてもよい。この場合、停電中に使用する温度センサは、冷蔵庫10の冷蔵庫制御部30、センサ部33、冷蔵庫通信部31と同様の機能を備える。
【0089】
図16に示すように、ユーザが端末装置50の確認ボタンを操作すると、端末装置50から冷蔵庫10に現在の庫内温度を測定し、その測定結果を含む庫内温度情報を端末装置50に送信するように指示する。
この庫内温度情報は、ユーザが確認ボタンを操作する以前において停電中の庫内温度を測定した結果も含まれる。端末装置50に送る庫内温度を測定した結果は、少なくとも2つ必要である。端末装置50に送る庫内温度を測定した結果は、2つより多くてもよい。この場合、冷蔵庫記憶部34は、停電中の庫内温度を記憶している。なお、冷蔵庫制御部30を駆動させない場合は、センサ部33が停電中の庫内温度を記憶する機能を備えていてもよい。
端末制御部51は、冷蔵庫10から送られる庫内温度情報に基づいて、予測保冷時間の温度上昇予想曲線を演算し、予測保冷時間を求め、その予測された保冷時間に基づいて残り保冷時間を計算する。
端末装置50は、計算した残り保冷時間および/または庫内温度をタッチパネル53に表示させる。
【0090】
[2-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においては、庫内を冷却する冷却器20を備えた冷蔵庫10と、停電が発生した場合、冷蔵庫10の設定庫内温度または実測した庫内温度に基づいて、予測保冷時間を求め、ユーザに報知するサーバ制御部41(制御部)と、を備えた。
これにより、サーバ制御部41により、停電中の残りの保冷時間を求め、これをユーザに報知するので、停電時における冷蔵庫10の庫内の保冷状況を把握することができ、停電時に庫内の食品管理を行うことができる。
【0091】
また、本実施の形態においては、サーバ制御部41(制御部)は、あらかじめ設定庫内温度および周囲温度に基づく保冷時間を求めたデータベースを備え、サーバ制御部41は、データベースに基づいて、停電中の残りの保冷時間を求める。
これにより、データベースに基づいて容易に保冷時間の予測を行うことができる。
【0092】
また、本実施の形態においては、サーバ制御部41(制御部)は、冷蔵庫10の停電中の実測した庫内温度を取得し、サーバ制御部41は、取得した庫内温度に基づいて、停電中の残りの保冷時間を求める。
これにより、庫内温度の実測値に基づいて停電中の保冷時間の予測を行うことができる。
【0093】
また、本実施の形態においては、サーバ制御部41(制御部)は、冷蔵庫10の周囲温度と庫内の収納量とを取得し、庫内温度と周囲温度と収納量とに基づいて、停電中の残りの保冷時間を求める。
これにより、停電中の保冷時間の予測を行うことができる。
【0094】
また、本実施の形態において、冷蔵庫10と通信可能な冷蔵庫管理サーバ40を備え、冷蔵庫は、庫内温度を検出するセンサ部と、停電時にセンサ部に通電する電池とを備え、冷蔵庫は、停電時に庫内温度を冷蔵庫管理サーバ40に送信する。
これにより、停電時に停電中の保冷時間の予測を行うことができる。
【0095】
また、本実施の形態においては、冷蔵庫10および冷蔵庫管理サーバ40と通信可能な端末装置50を備え、端末装置50は、サーバ制御部41で求められた予測保冷時間を表示させてユーザに報知する。
これにより、停電時における予測保冷時間を端末装置50によりユーザに報知することができる。
【0096】
なお、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明に係る保冷時間予測システムは、停電時における保冷時間を確認することができ、保冷時間に基づく庫内の食品管理などを行うことのできる保冷時間予測システムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 保冷時間予測システム
10 冷蔵庫
11 筐体
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 仕切壁
15 扉
16 引出
17 ダクト
18 冷蔵用吐出口
19 冷凍用吐出口
20 冷却器
21 冷却ファン
22 ダンパ
23 圧縮機
30 冷蔵庫制御部
31 冷蔵庫通信部
32 冷却部
33 センサ部
34 冷蔵庫記憶部
35 冷蔵室温度センサ
36 冷凍室温度センサ
37 周囲温度センサ
40 冷蔵庫管理サーバ
41 サーバ制御部
42 サーバ通信部
43 サーバ記憶部
44 保冷管理データベース
50 端末装置
51 端末制御部
52 端末通信部
53 タッチパネル
54 端末記憶部
55 保冷サポートアプリ
60 停電予測サーバ
GN グローバルネットワーク