(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000808
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】実装ヘッド、実装装置及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101833
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武知 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 亮
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353GG21
5E353JJ13
5E353JJ21
5E353JJ28
5E353QQ12
5E353QQ15
(57)【要約】
【課題】電子部品を基板に実装する際、電子部品に低荷重を制御良く付与することができる実装ヘッドを提供する。
【解決手段】実装ヘッドは、鉛直方向に移動し、電子部品に荷重を付与する駆動部10と、駆動部に鉛直方向に移動自在に支持されたフロート部20と、フロート部に、鉛直方向上向きの押力を付与するリニアモータ30とを備え、リニアモータの固定子30Aは駆動部に固定され、リニアモータの可動子30Bはフロート部に固定され、電子部品の基板への実装は、フロート部の自重による荷重を、電子部品に付与することにより行われ、電子部品に付与される荷重の大きさは、リニアモータの駆動により、フロート部に付与される鉛直方向上向きの押力によって制御される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する実装ヘッドであって、
鉛直方向に移動し、前記電子部品に荷重を付与する駆動部と、
前記駆動部に、鉛直方向に移動自在に支持されたフロート部と、
前記フロート部に、鉛直方向上向きの押力を付与するリニアモータと、
前記フロート部に固定され、前記電子部品を保持する実装ツールと
を備え、
前記リニアモータの固定子は、前記駆動部に固定され、前記リニアモータの可動子は、前記フロート部に固定されており、
前記電子部品の前記基板への実装は、前記駆動部を鉛直方向下方に移動させて、前記フロート部の自重による荷重を、前記電子部品に付与することにより行われ、
前記電子部品に付与される荷重の大きさは、前記リニアモータの駆動により、前記フロート部に付与される鉛直方向上向きの押力によって制御される、実装ヘッド。
【請求項2】
前記リニアモータによる前記フロート部への鉛直方向上向きの押力の付与は、少なくとも、前記駆動部を鉛直方向下方に移動させて、前記フロート部の自重による荷重を、前記電子部品に付与する前から行われる、請求項1に記載の実装ヘッド。
【請求項3】
前記フロート部は、板バネを介して、鉛直方向に移動自在に前記駆動部に支持されている、請求項1または2に記載の実装ヘッド。
【請求項4】
実装ヘッドが待機状態において、前記フロート部は、前記リニアモータによる鉛直方向上向きの押力が付与されていない、請求項1~3の何れかに記載の実装ヘッド。
【請求項5】
前記駆動部は、前記フロート部に対して、鉛直方向下向きに付勢する付勢手段をさらに備えている、請求項1~4の何れかに記載の実装ヘッド。
【請求項6】
前記駆動部は、水平方向に延出した第1延出部を有し、
前記フロート部は、前記第1延出部よりも鉛直方向上方に位置するとともに、第1延出部と、鉛直方向において重なる部分を有する第2延出部を有し、
実装ヘッドが待機状態において、前記第2延出部が前記第1延出部に接触することにより、前記フロート部の鉛直方向における移動が規制される、請求項1~4の何れかに記載の実装ヘッド。
【請求項7】
前記第2延出部に、表面が球面のメカストッパーが設けられ、
実装ヘッドが待機状態において、前記第2延出部に設けられた前記メカストッパーが、前記第1延出部に接触することにより、前記フロート部の鉛直方向における移動が規制される、請求項6に記載の実装ヘッド。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項記載の実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを水平移動させる水平移動機構と、を備える実装装置。
【請求項9】
実装ヘッドを用いて電子部品を基板に実装させた電子デバイスの製造方法であって、
前記実装ヘッドは、
鉛直方向に移動し、前記電子部品に荷重を付与する駆動部と、
前記駆動部に、鉛直方向に移動自在に支持されたフロート部と、
前記フロート部に、鉛直方向上向きの押力を付与するリニアモータと、
前記フロート部に固定され、前記電子部品を保持する実装ツールと
を備え、
前記リニアモータの固定子は、前記駆動部に固定され、前記リニアモータの可動子は、前記フロート部に固定されており、
前記駆動部を鉛直方向下方に移動させる工程と、
前記リニアモータの駆動により前記フロート部に鉛直方向上方に押力を加え、前記フロート部の自重により前記電子部品に付与される荷重を、前記押力によって制御することによって、前記電子部品を前記基板に実装する工程と、
を含む電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等の電子部品を基板に実装する実装ヘッド、それを用いた実装装置、及び、実装ヘッドを用いて電子部品を基板に実装させた電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する際、電子部品に低荷重を付与できる実装ヘッドとして、ボイスコイルモータ(リニアモータ)を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたボイスコイルモータは、モータホルダに固定された固定子と、電子部品を保持する実装ツールに連結された可動子とで構成されている。ボイスコイルモータを駆動することにより、可動子に連結された実装ツールが基板に向かって下降し、これにより、実装ツールに保持された電子部品が基板に押し付けられる。このときの、ボイスコイルモータの駆動電流を制御することにより、比較的小さな荷重を電子部品に付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
小型、薄型化された電子部品を基板に実装する際、過剰な荷重が電子部品に付与されると、電子部品が割れるおそれがあるため、電子部品に付与する荷重を、低荷重に制御する必要がある。
【0006】
ボイスコイルモータを用いることにより、電子部品に低荷重を付与することができるが、ボイスコイルモータで出力できる分解能以下の荷重を制御することはできない。そのため、さらに小型、薄型化が進んだ電子部品に対して、割れない程度の低荷重をかけることが難しく、より低い荷重を付与することができる実装ヘッドが求められている。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、電子部品を基板に実装する際、電子部品に低荷重を制御よく付与することができる実装ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る実装ヘッドは、鉛直方向に移動し、電子部品に荷重を付与する駆動部と、駆動部に鉛直方向に移動自在に支持されたフロート部と、フロート部に鉛直方向上向きの押力を付与するリニアモータと、フロート部に固定され、電子部品を保持する実装ツールとを備え、リニアモータの固定子は、駆動部に固定され、リニアモータの可動子は、フロート部に固定されており、電子部品の基板への実装は、駆動部を鉛直方向下方に移動させて、フロート部の自重による荷重を電子部品に付与することにより行われ、電子部品に付与される荷重の大きさは、リニアモータの駆動により、フロート部に付与される鉛直方向上向きの押力によって制御される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品を基板に実装する際、電子部品に低荷重を制御よく付与することができる実装ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態における実装ヘッドを備えた実装装置の構成を示した図である。
【
図2】本実施形態における実装ヘッドの構成を模式的に示した図である。
【
図3】(A)~(D)は、本実施形態における実装ヘッドを用いて電子部品を基板に実装する工程を説明した図である。
【
図4】本発明の変形例1における実装ヘッドの構成を示した図である。
【
図5】変形例1における実装ヘッドを用いて電子部品を基板に実装する工程を説明した図である。
【
図6】本発明の変形例2における実装ヘッドの構成を示した図である。
【
図7】(A)~(D)は、変形例2における実装ヘッドを用いて電子部品を基板に実装する工程を説明した図である。
【
図8】本実施形態における実装ヘッドを備えた実装装置の他の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における実装ヘッドを備えた実装装置の構成を示した図である。
【0013】
図1に示すように、実装装置100は、電子部品のピックアップや基板への実装を行う実装ヘッド110を備えている。実装ヘッド110は、電子部品をピックアップして保持する実装ツール40を備え、駆動軸120により、水平方向に移動制御される。実装ヘッド110は、部品供給ステージ140上まで移動して、電子部品150をピックアップした後、実装ステージ 130上まで移動し、実装ヘッド110を下降させて、実装ツール40に保持された電子部品150を、基板160に実装する。
【0014】
図2は、本実施形態における実装ヘッド110の構成を模式的に示した図である。
【0015】
図2に示すように、実装ヘッド110は、鉛直方向に移動し、電子部品に荷重を付与する駆動部10と、駆動部10に鉛直方向に移動自在に支持されたフロート部20と、フロート部20に鉛直方向上向きの押力を付与するリニアモータ30と、フロート部20に固定され、電子部品を保持する実装ツール40とを備えている。
【0016】
駆動部10を鉛直方向に移動制御するサーボモータ60は、ベース部材61を介して、実装装置100のフレーム63に固定されている。サーボモータ60の出力軸に、ボールねじ62が連結され、ボールネジ62は、駆動部10のヘッドベース10Aに固定されている。駆動部10は、駆動部10の鉛直方向の移動をガイドするガイドレール64に連結されている。これにより、駆動部10は、サーボモータ60の駆動により、鉛直方向に移動可能となる。
【0017】
フロート部20は、板バネ50を介して、鉛直方向に移動自在に駆動部10に支持されている。また、フロート部20は、板バネ50によって、水平方向の移動が規制されている。なお、板バネ50は、鉛直方向移動に対して、低摺動となる部材が好ましい。
【0018】
リニアモータ30は、永久磁石が配置された固定子30Aと、固定子30Aの内側に配置され、コイルからなる可動子30Bとで構成されている。固定子30Aは、駆動部10に固定され、可動子30Bは、フロート部20に固定されている。コイルの通電により、固定子30Aは、可動子30Bに対して、鉛直方向上向きの押力を付与することができる。これにより、可動子30Bが固定されたフロート部20に対しても、コイルの通電により、鉛直方向上向きの押力を付与することができる。リニアモータ30は、例えば、ボイスコイルモータ等を用いることができる。
【0019】
実装ツール40は、実装ヘッド110の下先端に位置するように、フロート部20に連結されており、真空吸着方式等により、電子部品を吸着保持することができる。
【0020】
本実施形態において、電子部品の基板への実装は、駆動部10を鉛直方向下方に移動させて、フロート部20の自重による荷重を電子部品に付与することにより行われる。同時に、リニアモータ30を駆動することにより、フロート部20に鉛直方向上向きの押力が付与される。これにより、電子部品には、フロート部20の自重による荷重から、フロート部20に付与される鉛直方向上向きの押力を差し引いた荷重が、実際に付与される。すなわち、電子部品に付与される荷重の大きさは、リニアモータ30の駆動により、フロート部20に付与される鉛直方向上向きの押力によって制御される。
【0021】
本実施形態によれば、フロート部20に付与される鉛直方向上向きの押力を、フロート部20の自重による荷重に近い値に設定することによって、電子部品を基板に実装する際、電子部品に、0.1N以下の非常に小さな荷重でも、制御良く付与することができる。これにより、非常に小型、薄型化された電子部品を基板に実装しても、電子部品が割れるのを防止することができる。
【0022】
なお、本実施形態において、リニアモータ30の可動子30Bは、フロート部20に固定されているため、「フロート部20の自重による荷重」は、可動子30Bの荷重を含めて荷重を意味するものである。
【0023】
次に、
図3(A)~(D)を参照しながら、本実施形態における実装ヘッド110を用いて、電子部品を基板に実装する工程を説明する。
【0024】
図3(A)は、実装ヘッド110の待機状態を示し、実装ヘッド110が水平方向に移動して、実装ツール40に保持された電子部品150が、実装ステージ130に載置された基板160上に位置している。このとき、駆動部10は、上昇状態にあり、リニアモータ30は、後述する理由により駆動されずに、フロート部20は、自重による荷重Fで、下限状態になっている。
【0025】
次に、
図3(B)に示すように、リニアモータ30を駆動し、フロート部20に鉛直方向上向きの押力Tを付与する。このとき、フロート部20は、下限状態から、少し上昇する。
【0026】
次に、
図3(C)に示すように、サーボモータ60を駆動して、駆動部10を降下させ、電子部品150を基板160に接触させて、実装ツール40を押し込む。この時、押し込み量だけフロート部20が上昇し、電子部品150には、フロート部20の自重による荷重Fから、フロート部20に付与される押力T(T<F)を差し引いた荷重が付与される。
【0027】
次に、
図3(D)に示すように、実装ツール40による電子部品150の保持を解除して、電子部品150を基板160に搭載した後、サーボモータ60を駆動して、駆動部10を上昇させる。なお、駆動部10を上昇させる間、リニアモータの駆動は解除してもよい。
【0028】
本実施形態によれば、リニアモータ30によるフロート部20への鉛直方向上向きの押力Tの付与を、少なくとも、駆動部10を鉛直方向下方に移動させて、フロート部20の自重による荷重Fを、電子部品150に付与する前から行うことによって、電子部品150を基板160に接触させたとき、フロート部20の自重による荷重Fが、急激に、電子部品150に付与されることを防止することができる。
【0029】
なお、本実施形態において、「実装ヘッドの待機状態」は、少なくとも、電子部品150をピックアップするために、実装ヘッド110が、部品供給ステージ140上まで移動する状態や、ピックアップした電子部品150を基板に実装するために、実装ヘッド110が、実装ステージ 130上まで移動する状態を含む。
【0030】
ところで、リニアモータ30を常時駆動させていると、可動子30Bのコイルが発熱し、これにより、固定子30Aに配置された永久磁石の磁束密度が変化する。これにより、リニアモータ30の出力が不安定になり、フロート部20に付与される押力Tの精度が低下し、その結果、実装時に電子部品150に付与される荷重の精度も低下する。そのため、実装ヘッド110の待機状態においては、リニアモータ30の駆動を解除し、フロート部20に鉛直方向上向きの押力Tを付与しないことが好ましい。
【0031】
(本発明の変形例1)
上記実施形態において、フロート部20は、板バネ50を介して、鉛直方向に移動自在に駆動部10に支持されているため、実装ヘッド110が水平方向または垂直方向に高速移動すると、フロート部20が振動するおそれがある。フロート部20に振動が起きると、実装ツール40の上下方向の高さ位置が不安定になったり、実装ツール40の保持された電子部品150が落下したりする問題が発生する。
【0032】
図4は、このようなフロート部20の振動を抑制できる実装ヘッド110の構成を示した図である。
【0033】
図4に示すように、本変形例1では、駆動部10に、フロート部20に対して、鉛直方向下向きに付勢する付勢手段70を備えている。具体的には、駆動部10のヘッドベース10Aと、フロート部20との間に、圧縮バネ70が配置されている。
【0034】
このように、圧縮バネ70で、常時、フロート部20を、鉛直方向下向きの力で付勢しておくことによって、フロート部20の振動を抑制することができる。
【0035】
なお、上記以外の構成は、
図2に示した実装ヘッド110の構成と同一であることから、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0036】
図5は、
図3(C)に示した実装工程に対応した図で、サーボモータ60を駆動して、駆動部10を降下させ、電子部品150を基板160に接触させて、実装ツール40を押し込んだ状態を示し。この時、電子部品150には、フロート部20の自重による荷重Fと、圧縮バネ70による付勢力Rを合わせた荷重(F+R)から、フロート部20に付与される押力T(T<F+R)を差し引いた荷重が付与される。
【0037】
なお、上記以外の実装工程は、
図3(A)~(D)に示した実装工程と同一であることから、その説明は省略する。
【0038】
(本発明の変形例2)
図6は、フロート部20の振動を抑制できる実装ヘッド110の他の構成を示した図である。
【0039】
図6に示すように、駆動部10は、水平方向に延出した第1延出部(ヘッドベース)10Aを有し、フロート部20は、第1延出部10Aよりも鉛直方向上方に位置するとともに、第1延出部10Aと、鉛直方向において重なる部分を有する第2延出部20Aを有している。また、第2延出部20Aには、表面が球面のメカストッパー80が設けられている。
【0040】
本変形例2では、実装ヘッドが待機状態において、フロート部20の自重により、第2延出部20Aに設けられたメカストッパー80が、第1延出部10Aに接触し、これにより、フロート部20の鉛直方向における移動が規制される。その結果、フロート部20の振動を抑制することができる。
【0041】
なお、メカストッパー80は、第1延出部(ヘッドベース)10Aとの接触を繰り返すため、部材の変形により、フロート部20の位置が変動しないよう、双方は、鋼鉄等の剛性の強い材質を用いることが好ましい。
【0042】
なお、第1延出部10Aと第2延出部20Aとの、互いに対向する面の平行度が高かく、双方が、剛性の強い材質であれば、第2延出部20Aにメカストッパー80を設けず、第1延出部10Aと第2延出部20Aとを、直接接触させるようにしてもよい。
【0043】
なお、上記以外の構成は、
図2に示した実装ヘッド110の構成と同一であることから、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0044】
図7(A)~(D)は、本変形例2における実装ヘッド110を用いて、電子部品を基板に実装する工程を説明した図である。
【0045】
図7(A)は、実装ヘッド110の待機状態を示し、実装ツール40に保持された電子部品150が、実装ステージ130に載置された基板160上に位置している。このとき、リニアモータ30は駆動されずに、フロート部20は、自重の荷重Fにより、メカストッパー80が駆動部10の第1延出部10Aに接触し、鉛直方向における移動が規制されている。
【0046】
次に、
図7(B)に示すように、リニアモータ30を駆動し、フロート部20に鉛直方向上向きの押力Tを付与する。このとき、フロート部20の自重による荷重Fを、フロート部20に付与される押力Tよりも大きく設定することにより、フロート部20の鉛直方向における移動が規制される。
【0047】
次に、
図7(C)に示すように、サーボモータ60を駆動して、駆動部10を降下させ、電子部品150を基板160に接触させて、実装ツール40を押し込む。このとき、押し込み量だけフロート部20が上昇し、メカストッパー80が、駆動部10から離れるとともに、電子部品150には、フロート部20の自重による荷重Fから、フロート部20に付与される押力T(T<F)を差し引いた荷重が付与される。
【0048】
次に、
図7(D)に示すように、実装ツール40による電子部品150の保持を解除して、電子部品150を基板160に搭載した後、サーボモータ60を駆動して、駆動部10を上昇させる。このとき、フロート部20の自重による荷重Fを、フロート部20に付与される押力Tよりも大きく設定することにより、フロート部20の鉛直方向における移動が規制される。なお、駆動部10を上昇させる間、リニアモータの駆動は解除してもよい。
【0049】
図8は、上記実施形態で示した実装ヘッド110を備えた実装装置100の他の構成を示した図である。
【0050】
図8に示すように、実装装置100は、実装ヘッド110、実装ステージ130、部品供給ステージ140、ステージ駆動軸170で構成されている。実装ステージ130及び部品供給ステージ140は、それぞれ、ステージ駆動軸170上に設置され、実装ヘッド110の直下まで水平方向に移動することができる。
【0051】
電子部品150のピックアックは、電子部品150が搭載された部品供給ステージ140を、ステージ駆動軸170で、実装ヘッド110直下まで移送することにより行われる。電子部品150の基板への実装は、基板160が搭載された実装ステージ130を、ステージ駆動軸170で、実装ヘッド110直下まで移送することにより行われる。
【0052】
このような構成の実装装置100では、実装ヘッド110を、高速で水平方向に移動させる必要がないため、実装ヘッド110の移動に伴うフロート部20の振動を抑制することができる。
【0053】
本実施形態における実装ヘッド110を用いて、電子部品150を基板160に実装させた電子デバイスを製造することができる。この場合、電子デバイスの製造方法は、駆動部10を鉛直方向下方に移動させる工程と、リニアモータ30の駆動によりフロート部20に鉛直方向上方に押力を加え、フロート部20の自重により電子部品150に付与される荷重を、押力で制御することによって、電子部品150を基板160に実装する工程とからなる。
【0054】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 駆動部
10A ヘッドベース(第1延出部)
20 フロート部
20A 第2延出部
30 リニアモータ
30A 固定子
30B 可動子
30B 固定子
40 実装ツール
50 板バネ
60 サーボモータ
61 ベース部材
63 フレーム
64 ガイドレール
70 圧縮バネ(付勢手段)
80 メカストッパー
100 実装装置
110 実装ヘッド
120 駆動軸
130 実装ステージ
140 部品供給ステージ
150 電子部品
160 基板
170 ステージ駆動軸