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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080811
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収設備
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20230602BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20230602BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20230602BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 220
B01D53/18 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194331
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手島 智博
(72)【発明者】
【氏名】三木 浩睦
(72)【発明者】
【氏名】北村 英夫
(72)【発明者】
【氏名】宇田津 満
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健介
(72)【発明者】
【氏名】平山 龍
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】太田 行俊
(72)【発明者】
【氏名】村山 大
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC04
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA07
4D002DA32
4D002EA08
4D002GA03
4D002GB20
4D002HA03
4D002HA08
4D020AA03
4D020BA16
4D020BA19
4D020BB03
4D020BC01
4D020CA05
4D020CB08
4D020CC09
4D020CC14
4D020DA02
4D020DB20
(57)【要約】
【課題】プラントなどの外部設備から与えられた熱量をリボイラで有効に利用できるとともに、リボイラにおいて吸収液を適正に加熱することができる二酸化炭素回収設備を提供する。
【解決手段】実施形態の二酸化炭素回収設備10は、二酸化炭素を含む処理対象排ガスが導入され、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔20と、吸収塔20から供給される吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔30と、再生塔30のリーン液32を加熱するリボイラ40とを備える。さらに、二酸化炭素回収設備10は、リボイラ40におけるリーン液32の加熱に利用される熱量を蓄える蓄熱部81と、蓄熱部81を加熱するとともに、蓄熱部81において蓄熱された熱量をリボイラ40へ供給するための構成を備える加熱供給機構70Aとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含む処理対象排ガスが導入され、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔から供給される前記吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔と、
前記再生塔の前記吸収液を加熱するリボイラと、
前記リボイラにおける前記吸収液の加熱に利用される熱量を蓄える蓄熱部と、
前記蓄熱部を加熱するとともに、前記蓄熱部において蓄熱された熱量を前記リボイラへ供給するための構成を備える加熱供給機構と
を具備することを特徴とする二酸化炭素回収設備。
【請求項2】
前記二酸化炭素回収設備が、
前記吸収液を加熱する第1の熱媒体を前記リボイラに供給するリボイラ熱媒体供給管を備え、
前記加熱供給機構が、
前記リボイラ熱媒体供給管と前記蓄熱部とを連通させる連通配管と、
第1の流量調整弁を備え、前記蓄熱部に導入された前記第1の熱媒体を排出する熱媒体排出管と、
第2の流量調整弁を備え、前記第1の熱媒体の温度よりも低い温度の第2の熱媒体を前記蓄熱部に供給する蓄熱部熱媒体供給管と
を備え、
前記蓄熱部に蓄熱する場合、前記第1の流量調整弁が開かれ、前記第2の流量調整弁が閉じられ、前記連通配管を介して前記リボイラ熱媒体供給管から前記蓄熱部に導入された前記第1の熱媒体は、前記蓄熱部に熱量を与え、前記熱媒体排出管を介して前記蓄熱部から排出され、
前記蓄熱部から放熱する場合、前記第1の流量調整弁が閉じられ、前記第2の流量調整弁が開かれ、前記蓄熱部熱媒体供給管を介して前記蓄熱部に導入された前記第2の熱媒体は、前記蓄熱部から熱量を奪い、前記連通配管を介して前記リボイラ熱媒体供給管に導入されることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項3】
前記二酸化炭素回収設備が、
第3の流量調整弁を備え、前記第2の流量調整弁を備える位置よりも上流側における前記蓄熱部熱媒体供給管と、前記連通配管と連結される位置よりも前記リボイラ側における前記リボイラ熱媒体供給管とを連通させ、前記蓄熱部熱媒体供給管から前記リボイラ熱媒体供給管に前記第2の熱媒体を供給するバイパス管を備えることを特徴とする請求項2記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項4】
前記加熱供給機構が、
第1の熱媒体を導入する第1の熱媒体導入管と、
第4の流量調整弁を備え、前記第1の熱媒体導入管に連結され、前記第1の熱媒体の温度よりも低い温度の第2の熱媒体を導入する第2の熱媒体導入管と、
第5の流量調整弁を備え、前記第1の熱媒体導入管と前記第2の熱媒体導入管との連結部から下流側に配置され、第3の熱媒体を前記蓄熱部に供給する蓄熱部熱媒体供給管と、
前記蓄熱部に供給された前記第3の熱媒体を前記リボイラに供給するリボイラ熱媒体供給管と
を備え、
前記二酸化炭素回収設備が、
第6の流量調整弁を備え、前記蓄熱部熱媒体供給管と前記リボイラ熱媒体供給管とを連通させ、前記蓄熱部熱媒体供給管から前記リボイラ熱媒体供給管に前記第3の熱媒体を供給するバイパス管と
備えることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項5】
前記加熱供給機構が、
第1の熱媒体を前記蓄熱部に供給する蓄熱部熱媒体供給管と、
前記蓄熱部から前記第1の熱媒体を排出する蓄熱部熱媒体排出管と、
前記蓄熱部および前記リボイラに循環熱媒体を循環させる循環配管と
を備え、
前記蓄熱部において第1の熱媒体から与えられた熱量によって加熱された前記循環熱媒体が、前記リボイラにおいて前記吸収液を加熱することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項6】
前記蓄熱部が前記リボイラ内に配置され、
前記加熱供給機構が、
前記蓄熱部を加熱する第1の熱媒体を前記リボイラ内に供給する熱媒体供給管と、
前記リボイラから前記第1の熱媒体を排出する熱媒体排出管と
を備え、
前記第1の熱媒体によって加熱された前記蓄熱部と前記吸収液との熱交換によって前記吸収液を加熱することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項7】
前記蓄熱部が、前記リボイラ内において前記第1の熱媒体が導入される熱交換用配管の周囲を覆うように備えられていることを特徴とする請求項6記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項8】
前記蓄熱部が、前記リボイラ内において前記吸収液が導入される熱交換用配管の周囲を覆うように備えられていることを特徴とする請求項6記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項9】
前記蓄熱部は、潜熱蓄熱材を備えることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項10】
前記蓄熱部は、顕熱蓄熱材を備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項11】
前記蓄熱部は、化学蓄熱材を備え、
前記蓄熱部が、
前記蓄熱部に水または水蒸気を供給する水供給管と、
前記蓄熱部から水または水蒸気を排出する水排出管と
を備え、
前記蓄熱部に蓄熱する場合、前記水排出管から水または水蒸気が排出され、
前記蓄熱部から放熱する場合、前記水供給管から水または水蒸気が供給されることを特徴とする請求項3または4記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項12】
前記蓄熱部は、
化学蓄熱材を備える第1の蓄熱部と、
潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材を備える第2の蓄熱部と、
前記第1の蓄熱部と前記第2の蓄熱部とを連結する連結管と
を備え、
前記第1の蓄熱部が、
前記第1の蓄熱部に水または水蒸気を供給する水供給管と、
前記第1の蓄熱部から水または水蒸気を排出する水排出管と
を備え、
前記第1の蓄熱部に蓄熱する場合、前記水排出管から水または水蒸気が排出され、
前記第1の蓄熱部から放熱する場合、前記水供給管から水または水蒸気が供給されることを特徴とする請求項4記載の二酸化炭素回収設備。
【請求項13】
前記蓄熱部は、
顕熱蓄熱材を備える第1の蓄熱部と、
潜熱蓄熱材を備える第2の蓄熱部と、
前記第1の蓄熱部と前記第2の蓄熱部とを連結する連結管と
を備えることを特徴とする請求項4または5記載の二酸化炭素回収設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、二酸化炭素回収設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化を防止する対策として、二酸化炭素(CO)の排出量を削減する対策が促進されている。そのような中、二酸化炭素を回収して貯留する二酸化炭素回収貯留技術(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)が注目されている。具体的には、火力発プラント、製鉄プラント、清掃工場などから排出される処理対象排ガス(以下、排ガスという。)に含まれる二酸化炭素を吸収液により回収する二酸化炭素回収設備が検討されている。
【0003】
この二酸化炭素回収設備では、排ガスは、吸収塔に供給される。そして、吸収塔において、排ガスに含まれている二酸化炭素は、アミンおよび水分を含有する吸収液に吸収される。二酸化炭素が取り除かれた排ガスは、吸収塔から排出される。
【0004】
二酸化炭素を吸収した吸収液は、再生塔に供給される。そして、再生塔において、吸収液は、二酸化炭素を放出する。この際、放出された二酸化炭素は、蒸気とともに再生塔から排出され、分離回収される。再生塔において二酸化炭素を放出した吸収液は、吸収塔に戻される。
【0005】
ここで、再生塔には、リボイラが連結されている。リボイラは、アミン水溶液である吸収液を110~130℃程度の温度に加熱する。リボイラには、吸収液を加熱するための熱媒体が供給される。
【0006】
リボイラに導入される熱媒体の温度は、吸収液の劣化を防止するために、200℃以下の温度に制限されている。すなわち、200℃以下の温度で、かつ吸収液を上記した温度に加熱するため、熱媒体の温度は、狭い範囲で設定される。
【0007】
リボイラに導入される熱媒体として、例えば、プラントなどで発生する蒸気が使用される。蒸気の圧力を適切に制御することで、リボイラにおける蒸気(熱媒体)と吸収液との熱交換の際に、蒸気から水への相変化に伴う潜熱を利用することができる。このように、蒸気を利用することで、リボイラの熱源温度を狭い範囲に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6806833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
熱媒体としてリボイラに導入されるプラントからの蒸気の温度や流量は、プラントの運転条件によって変化する。そのため、プラントの運転条件によっては、高温の蒸気と低温の蒸気を混合してリボイラへ供給する場合や、減圧や減温がなされた蒸気をリボイラに供給する場合などがある。このように、従来の二酸化炭素回収設備では、プラントなどで発生する蒸気のエネルギを有効に活用できていない。
【0010】
また、プラントなどで発生する蒸気の流量は、プラントおよびリボイラで使用される蒸気の流量と必ずしも一致しない。そのため、例えば、リボイラで使用される蒸気の流量が不足する場合には、プラントに供給する燃料流量を増加して発生する蒸気流量を増加させている。
【0011】
一方、プラントなどで発生する蒸気の流量がプラントおよびリボイラで使用される蒸気の流量よりも多い場合には、余剰の蒸気は、系統外へ排出されている。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、プラントなどの外部設備から与えられた熱量をリボイラで有効に利用できるとともに、リボイラにおいて吸収液を適正に加熱することができる二酸化炭素回収設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態の二酸化炭素回収設備は、二酸化炭素を含む処理対象排ガスが導入され、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、前記吸収塔から供給される前記吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔と、前記再生塔の前記吸収液を加熱するリボイラとを備える。
【0014】
さらに、二酸化炭素回収設備は、前記リボイラにおける前記吸収液の加熱に利用される熱量を蓄える蓄熱部と、前記蓄熱部を加熱するとともに、前記蓄熱部において蓄熱された熱量を前記リボイラへ供給するための構成を備える加熱供給機構とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備の系統図である。
図2】第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備におけるリボイラ熱媒体供給機構の系統図である。
図3】第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備における他の構成のリボイラ熱媒体供給機構の系統図である。
図4】第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備における他の構成のリボイラ熱媒体供給機構において化学蓄熱材を備える蓄熱装置の構成を模式的に示した図である。
図5】第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備におけるリボイラ熱媒体供給機構の系統図である。
図6】第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備における他の構成の蓄熱装置の構成を模式的に示した図である。
図7】第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備における他の構成の蓄熱装置の構成を模式的に示した図である。
図8】第3の実施の形態の二酸化炭素回収設備におけるリボイラ熱媒体供給機構の系統図である。
図9】第4の実施の形態の二酸化炭素回収設備におけるリボイラ熱媒体供給機構の系統図である。
図10】第4の実施の形態の二酸化炭素回収設備における他の構成のリボイラ熱媒体供給機構の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10の系統図である。図2は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10におけるリボイラ熱媒体供給機構50Aの系統図である。なお、図2では、二酸化炭素回収設備10におけるリボイラ熱媒体供給機構50Aの構成を主に示している。
【0018】
図1に示すように、二酸化炭素回収設備10は、吸収塔20と、再生塔30と、リボイラ40と、リボイラ熱媒体供給機構50Aとを備える。
【0019】
吸収塔20は、二酸化炭素を含む処理対象排ガス(排ガス)が導入され、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる。なお、以下において、処理対象排ガスを排ガスと称する。吸収塔20は、排ガスと分散落下する吸収液とを気液接触させる吸収部21を備える。
【0020】
吸収塔20の上部には、再生塔30からの吸収液(後述するリーン液32)を吸収塔20に供給するリーン液導入管37が連結されている。リーン液32は、吸収部21の上方から分散される。
【0021】
吸収塔20の下部には、排ガスを吸収塔20に導入する排ガス導入管24が連結されている。排ガス導入管24は、例えば、底部に溜まる二酸化炭素を吸収した吸収液の液面と吸収部21との間の位置で吸収塔20に連結されている。排ガス導入管24には、排ガスを吸収塔20に圧送する排ガスブロワ24aが備えられている。
【0022】
吸収部21の下方から上方に向かって排ガスが導入され、吸収部21の上方から下方に向かって吸収液が導入される。そして、吸収部21において、排ガスと吸収液とを気液接触させて、吸収液に二酸化炭素を吸収させる。
【0023】
ここで、吸収塔20において二酸化炭素を吸収した吸収液をリッチ液23と称する。リッチ液23は、吸収塔20の底部に溜まる。なお、リッチ液23は、吸収部21よりも下方に溜められる。また、吸収塔20の上端部には、二酸化炭素が取り除かれた排ガスを排出する排出口22を備える。
【0024】
吸収塔20に導入される排ガスは、二酸化炭素を含む排ガスであれば、特に限定されるものではない。排ガスとして、例えば、火力発電プラント、製鉄プラント、清掃工場などから排出される排ガスなどが例示できる。
【0025】
吸収液には、例えば、モノエタノールアミン(monoethanolamin)、ジエタノールアミン(diethanolamin)などのアミン系水溶液が使用されることが好ましい。なお、吸収液は、このようなアミンの種類に限定されるものではない。吸収液は、1種類以上のアミンを含有する水溶液で構成されてもよい。
【0026】
再生塔30は、吸収塔20から供給される二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出させる。再生塔30は、リボイラ40で発生した蒸気と分散落下する二酸化炭素を吸収した吸収液とを気液接触させる再生部31を備える。
【0027】
再生塔30の上部には、吸収塔20からのリッチ液23を再生塔30に供給するリッチ液導入管25が連結されている。リッチ液23は、再生部31の上方から分散される。
【0028】
再生部31の下方から上方に向かって蒸気が導入され、再生部31の上方から下方に向かってリッチ液23が導入される。そして、再生部31において、蒸気とリッチ液23とを気液接触させて、リッチ液23から二酸化炭素を放出させる。ここで、再生塔30において二酸化炭素を放出した吸収液をリーン液32と称する。リーン液32は、再生塔30の底部に溜まる。なお、リーン液32は、再生部31よりも下方に溜められる。
【0029】
また、再生塔30の上端部には、リッチ液23から放出された二酸化炭素を排出する二酸化炭素排出口33を備える。二酸化炭素排出口33は、二酸化炭素排出管34を介して気液分離装置35に連結されている。なお、二酸化炭素排出管34には、二酸化炭素排出口33から二酸化炭素とともに排出される水蒸気を凝縮させる冷却器36が備えられている。
【0030】
気液分離装置35は、二酸化炭素と冷却器36で生成した水とを分離する。気液分離装置35の上端部は、二酸化炭素を回収する回収口35aを備える。また、気液分離装置35の底部には、気液分離装置35で分離された水を再生塔30に戻すドレン管35bが備えられている。ドレン管35bは、例えば、再生部31よりも上方位置で再生塔30に連結されている。
【0031】
また、再生塔30には、リボイラ40が連結されている。リボイラ40は、再生塔30の底部に溜まったリーン液32を加熱する。リボイラ40は、再生塔30からリーン液32を導入して、蒸気を含む加熱されたリーン液32を再生塔30に戻す循環配管41を備える。
【0032】
リボイラ40では、リボイラ熱媒体供給機構50Aから供給される熱媒体と再生塔30から供給されるリーン液32との熱交換によってリーン液32を加熱して蒸気を発生させる。リーン液32は、リボイラ40において、例えば、110~130℃程度に加熱される。なお、リボイラ熱媒体供給機構50Aについては、後述する。
【0033】
リーン液32をこの温度範囲に加熱することで、再生部31においてリッチ液23と気液接触させる蒸気を発生させることができる。また、この温度範囲に加熱することで、吸収液の劣化を抑制することができる。
【0034】
吸収塔20の底部と再生塔30の上部との間には、リッチ液23を吸収塔20から再生塔30に導入するリッチ液導入管25が備えられている。ここで、リッチ液導入管25は、前述したように再生部31よりも上方位置で再生塔30に連結されている。
【0035】
リッチ液導入管25は、熱交換器26を通り再生塔30に連結されている。また、リッチ液導入管25には、リッチ液23を吸収塔20から再生塔30に圧送するリッチ液用ポンプ27が備えられている。
【0036】
また、再生塔30の底部と吸収塔20の上部との間には、リーン液32を再生塔30から吸収塔20に導入するリーン液導入管37が備えられている。ここで、リーン液導入管37は、前述したように吸収部21よりも上方位置で吸収塔20に連結されている。
【0037】
リーン液導入管37は、熱交換器26を通り吸収塔20に連結されている。熱交換器26では、リッチ液導入管25を流れるリッチ液23と、リーン液導入管37を流れるリーン液32とが熱交換する。
【0038】
リーン液導入管37には、リーン液32を再生塔30から吸収塔20に圧送するリーン液用ポンプ38が備えられている。また、リーン液導入管37には、例えば、リーン液32を冷却する冷却器39が備えられている。
【0039】
ここで、二酸化炭素回収設備10の作用について説明する。なお、リボイラ熱媒体供給機構50Aにおける作用については、後述する。
【0040】
排ガス導入管24から吸収塔20の下部に導入された排ガスは、吸収部21を上方に向かって流れる。リーン液導入管37から吸収塔20の上部に導入されたリーン液32は、分散落下して吸収部21を下方に向かって流れる。吸収部21において、排ガスとリーン液32とが気液接触することによって、排ガスに含まれる二酸化炭素がリーン液32に吸収されてリッチ液23が生成される。
【0041】
リーン液32と気液接触した排ガスは、二酸化炭素が取り除かれて、吸収塔20の排出口22から排出される。
【0042】
生成されたリッチ液23は、吸収塔20の底部に一旦貯留される。底部に貯留されたリッチ液23は、リッチ液導入管25を通り熱交換器26に導入される。リッチ液23は、熱交換器26において、リーン液導入管37を流れるリーン液32と熱交換して、加熱される。加熱されたリッチ液23は、再生塔30に導入される。
【0043】
再生塔30の底部に貯留されたリーン液32は、循環配管41を通りリボイラ40に導入される。リボイラ40に導入されたリーン液32は、リボイラ熱媒体供給機構50Aから導入された熱媒体と熱交換して加熱される。そして、加熱されたリーン液32から蒸気(水蒸気)が生成される。この際、リーン液32から二酸化炭素も放出されることもある。
【0044】
生成された蒸気は、二酸化炭素とともに再生塔30の下部に供給される。再生塔30の下部に供給された蒸気は、再生部31を上方に向かって流れる。一方、吸収塔20から再生塔30に導入されたリッチ液23は、分散落下して再生部31を下方に向かって流れる。
【0045】
再生部31において、リッチ液23と蒸気とが気液接触することによって、リッチ液23から二酸化炭素が放出されてリーン液32が生成される。このようにして再生塔30において吸収液が再生される。
【0046】
生成されたリーン液32は、再生塔30の底部に一旦貯留される。底部に貯留されたリーン液32は、リーン液導入管37を通り熱交換器26に導入される。リーン液32は、熱交換器26において、リッチ液導入管25を流れるリッチ液23と熱交換して、冷却される。冷却されたリーン液32は、さらに冷却器39によって冷却され、吸収塔20に導入される。このように、吸収液は、吸収塔20と再生塔30とを循環する。
【0047】
また、再生部31においてリッチ液23から放出された二酸化炭素、およびリッチ液23と気液接触した蒸気は、二酸化炭素排出口33から排出される。二酸化炭素排出口33から排出された二酸化炭素および蒸気は、二酸化炭素排出管34を通り冷却器36に導入される。冷却器36において、蒸気(水蒸気)は凝縮して水となる。そして、二酸化炭素と水が気液分離装置35に導入されて、二酸化炭素と水に分離される。
【0048】
二酸化炭素は、回収口35aを介して所定の回収部に回収される。水は、ドレン管35bを介して気液分離装置35から再生塔30に導入される。
【0049】
次に、リボイラ熱媒体供給機構50Aについて説明する。
【0050】
リボイラ熱媒体供給機構50Aは、リボイラ40に熱媒体を供給するための構成を備える。リボイラ熱媒体供給機構50Aは、図2に示すように、リボイラ熱媒体供給管60と、リボイラ熱媒体排出管61と、加熱供給機構70Aと、蓄熱装置80とを備える。
【0051】
リボイラ熱媒体供給管60は、リボイラ40に連結され、吸収液(リーン液32)を加熱するリボイラ熱媒体62をリボイラ40に供給する。リボイラ熱媒体排出管61は、リボイラ40に連結され、吸収液(リーン液32)を加熱したリボイラ熱媒体62をリボイラ40から排出する。
【0052】
ここで、リボイラ熱媒体62として、例えば、二酸化炭素回収設備10が併設されている火力発電プラント、製鉄プラント、清掃工場などで生成される蒸気(水蒸気)が利用される。リボイラ40に供給されるリボイラ熱媒体62の温度は、例えば、130~200℃程度に設定される。
【0053】
なお、リボイラ40に供給される熱媒体の温度として許容される温度範囲をリボイラ許容温度と称する。この温度範囲に設定することで、リボイラ40においてリーン液32を前述した温度範囲に加熱するとともに、吸収液の劣化を抑制することができる。
【0054】
例えば、二酸化炭素回収設備10が蒸気タービンを備えた火力発電プラントに併設された場合、リボイラ熱媒体62として、蒸気タービンから抽気された蒸気が使用される。この場合、リボイラ40において凝縮して水となったリボイラ熱媒体62は、リボイラ熱媒体排出管61を介して復水器とボイラとの間の給水管に導入される。
【0055】
加熱供給機構70Aは、蓄熱装置80の蓄熱部81を加熱するとともに、蓄熱部81において蓄熱された熱量をリボイラ40へ供給するための構成を備える。加熱供給機構70Aは、図2に示すように、連通配管71と、熱媒体排出管72と、蓄熱部熱媒体供給管73とを備える。
【0056】
連通配管71は、リボイラ熱媒体供給管60と蓄熱部81とを連通させる。連通配管71の一端は、リボイラ熱媒体供給管60に連結され、連通配管71の他端は、蓄熱部81に連結されている。連通配管71には、例えば、連通配管71を流れる熱媒体の温度を検知する温度検知部75が設けられている。
【0057】
熱媒体排出管72は、連通配管71を介してリボイラ熱媒体供給管60から蓄熱部81に供給されたリボイラ熱媒体62を排出する。例えば、二酸化炭素回収設備10が蒸気タービンを備えた火力発電プラントに併設された場合、蓄熱部81において凝縮して水となったリボイラ熱媒体62は、熱媒体排出管72を介して復水器とボイラとの間の給水管に導入される。
【0058】
熱媒体排出管72には、流量調整弁72aが備えられている。また、熱媒体排出管72には、例えば、蓄熱装置80から排出されたリボイラ熱媒体62の温度を検知する温度検知部76が設けられている。
【0059】
蓄熱部熱媒体供給管73は、リボイラ熱媒体62の温度よりも低い温度の蓄熱部熱媒体74を蓄熱部81に供給する。蓄熱部熱媒体供給管73には、流量調整弁73aが備えられている。蓄熱部熱媒体74としては、例えば、上記したプラントなどにおいて生成される低温の蒸気(水蒸気)が利用される。
【0060】
蓄熱装置80は、リボイラ40における吸収液の加熱に利用される熱量を蓄える蓄熱部81を備える。蓄熱部81は、潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材を備える。蓄熱部81は、例えば、所定の容器内にこれらの蓄熱材を充填して構成される。そして、蓄熱装置80は、所定の装置容器内に蓄熱部81を収容して構成される。
【0061】
潜熱蓄熱材は、物質の相変化を利用して熱量を蓄える蓄熱材である。潜熱蓄熱材は、例えば、樹脂などの外殻(シェル)や容器に潜熱蓄熱物質を充填して構成される。潜熱蓄熱物質は、例えば、130~200℃において相変化する物質が使用される。この温度範囲は、リボイラ許容温度に対応している。ここで、潜熱蓄熱材において、相変化する温度(融点)を超えて加熱されてもよい。この場合、例えば、潜熱蓄熱材が液体の状態において顕熱蓄熱される。なお、潜熱蓄熱材において顕熱蓄熱として利用する上限温度は、リボイラ許容温度の上限値に対応させて200℃である。
【0062】
この温度範囲で相変化する物質を使用することで、リボイラ40に供給するリボイラ熱媒体62の温度をリボイラ許容温度にすることができる。なお、潜熱蓄熱材において、この温度範囲は、設定加熱温度である。具体的には、潜熱蓄熱物質として、ポリエチレン、エリスリトールやマンニトール等の糖アルコール、パラフィンなどが例示される。
【0063】
蓄熱材として潜熱蓄熱材を使用する場合、蓄熱部81は、所定の容器内に複数の潜熱蓄熱材を充填して構成される。この場合、潜熱蓄熱材は、例えば、潜熱蓄熱材間の隙間を流れる流体と熱量の授受を行う。
【0064】
顕熱蓄熱材は、物質の温度変化による熱量を蓄える蓄熱材である。顕熱蓄熱材としては、例えば、岩石、コンクリート、セラミックスなどが例示される。顕熱蓄熱として利用する温度範囲は、例えば、130~200℃の範囲である。なお、この温度範囲は、リボイラ許容温度に対応している。
【0065】
この温度範囲で利用することで、リボイラ40に供給するリボイラ熱媒体62の温度をリボイラ許容温度にすることができる。なお、潜熱蓄熱材において、この温度範囲は、設定加熱温度である。
【0066】
蓄熱材として顕熱蓄熱材を使用する場合、蓄熱部81は、所定の容器内に複数の顕熱蓄熱材を充填して構成される。この場合、顕熱蓄熱材は、例えば、顕熱蓄熱材間の隙間を流れる流体と熱量の授受を行う。
【0067】
次に、リボイラ熱媒体供給機構50Aの作用について説明する。
【0068】
まず、蓄熱装置80において蓄熱する際の作用について説明する。
【0069】
蓄熱装置80において蓄熱する場合、リボイラ熱媒体供給管60に供給されるリボイラ熱媒体62の条件は次のとおりである。
【0070】
リボイラ熱媒体62の温度は、リボイラ許容温度である。また、リボイラ熱媒体62の供給源において、リボイラ40で必要とする流量以上のリボイラ熱媒体62をリボイラ熱媒体供給管60に供給できる。すなわち、リボイラ熱媒体62の供給源であるプラントなどにおいて、例えば、高負荷運転などで余剰の熱媒体が生じる場合に蓄熱処理が実行される。
【0071】
蓄熱装置80において蓄熱する際、流量調整弁72aは開かれ、流量調整弁73aは閉じられている。リボイラ熱媒体供給管60を流れるリボイラ熱媒体62の一部は、連通配管71を通り蓄熱装置80の蓄熱部81に導入される。この際、リボイラ40に供給されるリボイラ熱媒体62の設定流量を超えた分のリボイラ熱媒体62が蓄熱部81に導入される。
【0072】
なお、リボイラ熱媒体供給管60を通りリボイラ40に供給されたリボイラ熱媒体62は、リボイラ40において循環配管41を流れるリーン液32を加熱する。リーン液32を加熱したリボイラ熱媒体62は、リボイラ熱媒体排出管61を通り排出される。
【0073】
蓄熱部81に導入されたリボイラ熱媒体62は、蓄熱部81に充填された蓄熱材間を流れて蓄熱材に熱量を与える。これによって、蓄熱部81は、熱量を蓄える。
【0074】
蓄熱材に熱量を与えたリボイラ熱媒体62は、凝縮して水となり、熱媒体排出管72から排出される。
【0075】
このように蓄熱部81に熱量を蓄える過程において、温度検知部76で検知されたリボイラ熱媒体62の温度が、連通配管71を介して蓄熱部81に導入されるリボイラ熱媒体62の温度と等しい場合、流量調整弁72aを閉じる。具体的には、例えば、温度検知部76で検知されたリボイラ熱媒体62の温度が、温度検知部75で検知されたリボイラ熱媒体62の温度と等しい場合、流量調整弁72aを閉じる。この場合、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱上限熱量を超えたことを意味する。
【0076】
次に、蓄熱装置80において放熱する際の作用について説明する。
【0077】
蓄熱装置80において放熱する場合、リボイラ熱媒体供給管60に供給されるリボイラ熱媒体62の条件は次のとおりである。
【0078】
リボイラ熱媒体62の温度は、リボイラ許容温度である。一方、リボイラ熱媒体62の供給源において、リボイラ40で必要とする流量をリボイラ熱媒体供給管60に供給できない。すなわち、リボイラ熱媒体62の供給源であるプラントなどにおいて、例えば、低負荷運転などで熱媒体の供給量が減少する場合に放熱処理が実行される。
【0079】
蓄熱装置80において放熱する際、流量調整弁72aは閉じられ、流量調整弁73aは開かれている。蓄熱部熱媒体供給管73から蓄熱部81に蓄熱部熱媒体74が導入される。蓄熱部81に導入される蓄熱部熱媒体74の流量は、リボイラ熱媒体62の不足分の流量を補うように流量調整弁73aによって調整される。
【0080】
蓄熱部81に導入された蓄熱部熱媒体74は、蓄熱部81に充填された蓄熱材間を流れて蓄熱材から熱量を奪い、加熱される。この際、蓄熱部熱媒体74は、リボイラ許容温度まで加熱される。
【0081】
このような蓄熱部81から熱量を放出する過程において、温度検知部75で検知された蓄熱部熱媒体74の温度が下限閾値を下回ったときに、流量調整弁73aを閉じる。蓄熱部81から排出される蓄熱部熱媒体74の温度が下限閾値を下回ったときには、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱下限熱量を下回ったことを意味する。蓄熱下限熱量を下回った場合、蓄熱部熱媒体74をリボイラ許容温度まで加熱するための熱量が蓄熱部81に蓄えられていない状態である。
【0082】
ここで、下限閾値は、例えば、130℃に設定される。この値は、リボイラ許容温度の下限値である。
【0083】
加熱された蓄熱部熱媒体74は、連通配管71を通り、リボイラ熱媒体供給管60に導入される。そして、リボイラ熱媒体供給管60において蓄熱部熱媒体74とリボイラ熱媒体62が混合して、最適な流量の混合熱媒体がリボイラ40に供給される。
【0084】
リボイラ40に供給された混合熱媒体は、リボイラ40において循環配管41を流れる吸収液を加熱する。吸収液を加熱した混合熱媒体は、リボイラ熱媒体排出管61を通り排出される。
【0085】
なお、上記したリボイラ熱媒体供給機構50Aにおける作用において、温度検知部75、76の検知信号に基づく流量調整弁72a、73aなどの制御は、例えば、制御装置を介して実行してもよい。なお、これは、以下の実施の形態においても同様である。
【0086】
上記した第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10によれば、リボイラ熱媒体62の供給源であるプラントなどにおいて、高負荷運転などで余剰の熱媒体が生じた場合に、蓄熱装置80において余剰の熱媒体が有する熱量を蓄えることができる。また、プラントなどの低負荷運転などで熱媒体の供給量が減少した場合であっても、蓄熱装置80に蓄えられた熱量を使用して、減少した熱媒体の供給量を補うことができる。
【0087】
このように、二酸化炭素回収設備10では、プラントなどの外部設備で生じた余剰の熱量をリボイラ40において有効に利用することができる。また、リボイラ熱媒体62の供給源であるプラントなどの外部設備において負荷変動が生じた場合においても、リボイラ40において適正に吸収液を加熱することができる。
【0088】
また、リボイラ熱媒体供給機構50Aを備えることで、リボイラ40に供給されるリボイラ熱媒体62の流量を適正な流量に調整することができる。
【0089】
ここで、二酸化炭素回収設備10におけるリボイラ熱媒体供給機構50Aの構成は、図2に示した構成に限られない。
【0090】
図3は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10における他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Aの系統図である。
【0091】
図3に示すように、リボイラ熱媒体供給機構50Aは、蓄熱部熱媒体供給管73とリボイラ熱媒体供給管60とを連通させるバイパス管85を備えてもよい。バイパス管85は、蓄熱部熱媒体供給管73からリボイラ熱媒体供給管60へ蓄熱部熱媒体74を供給することができる。
【0092】
バイパス管85の一端は、流量調整弁73aを備える位置よりも上流側において蓄熱部熱媒体供給管73と連結している。バイパス管85の他端は、連通配管71と連結される位置よりもリボイラ40側においてリボイラ熱媒体供給管60と連結されている。
【0093】
バイパス管85には、流量調整弁85aが備えられている。連通配管71と連結される位置よりもリボイラ40側におけるリボイラ熱媒体供給管60には、リボイラ40に供給される熱媒体の温度を検知する温度検知部63が設けられている。
【0094】
他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Aでは、リボイラ熱媒体供給管60には、例えば、リボイラ許容温度を超えた温度のリボイラ熱媒体62が供給される。
【0095】
この構成の場合、蓄熱部81は、前述した潜熱蓄熱材、顕熱蓄熱材以外に、化学蓄熱材を備えてもよい。なお、図3に示すように、バイパス管85を備える場合には、潜熱蓄熱材、顕熱蓄熱材を使用するときにおいても、前述した利用温度範囲(130~200℃)を超えた温度範囲で蓄熱される。
【0096】
化学蓄熱材は、反応媒体と蓄熱材が触れ合うときに生じる化学反応熱を利用して蓄熱や放熱を実現できる蓄熱材である。化学蓄熱材では、可逆的な吸熱反応・発熱反応を利用して蓄熱や放熱を実現する。化学蓄熱材としては、例えば、CaO/HO系の化学蓄熱材、MgO/HO系の化学蓄熱材などが例示される。なお、化学蓄熱材は、これらに限定されるものではなく、可逆的な吸熱反応・発熱反応を利用して蓄熱や放熱を実現できる化学蓄熱材であればよい。
【0097】
CaO/HO系の化学蓄熱材において蓄熱する場合、Ca(OH)の状態の蓄熱材に熱量を与える。換言すれば、Ca(OH)の状態の蓄熱材を加熱する。これによって生じる、Ca(OH)がCaOとHOに分離する脱水反応によって蓄熱する。
【0098】
この際、蓄熱材の温度が400~500℃になるように、蓄熱材は加熱される。この温度範囲に蓄熱材を加熱することで、脱水反応が促進される。CaO/HO系の化学蓄熱材において、この温度範囲が設定加熱温度である。
【0099】
一方、放熱する場合、CaOの状態の蓄熱材に水または水蒸気を供給する。これによって生じる、水または水蒸気とCaOが結合する水和反応によって放熱する。
【0100】
MgO/HO系の化学蓄熱材において蓄熱する場合、Mg(OH)の状態の蓄熱材に熱量を与える。換言すれば、Mg(OH)の状態の蓄熱材を加熱する。これによって生じる、Mg(OH)をMgOとHOに分離する脱水反応によって蓄熱する。
【0101】
この際、蓄熱材の温度が200~400℃になるように、蓄熱材は加熱される。この温度範囲に蓄熱材を加熱することで、脱水反応が促進される。MgO/HO系の化学蓄熱材において、この温度範囲が設定加熱温度である。
【0102】
一方、放熱する場合、MgOの状態の蓄熱材に水または水蒸気を供給する。これによって生じる、水または水蒸気とMgOが結合する水和反応によって放熱する。
【0103】
ここで、図4は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10における他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Aにおいて化学蓄熱材を備える蓄熱装置80の構成を模式的に示した図である。ここでは、脱水反応・水和反応を利用した、CaO/HO系やMgO/HO系の化学蓄熱材を使用した場合を例示する。
【0104】
図4に示すように、容器88に化学蓄熱材87を充填した蓄熱部81は、蓄熱装置80の装置容器86内に収容されている。蓄熱部81内には、熱交換用配管84が蛇行して配置されている。熱交換用配管84の一端は、連通配管71に連結されている。熱交換用配管84の他端は、熱媒体排出管72および蓄熱部熱媒体供給管73に連結されている。
【0105】
容器88の一方の側部には、蓄熱部81に水または水蒸気を供給する給水管82が連結されている。例えば、容器88の一方の側部に対向する他方の側部には、蓄熱部81から水を排出する排水管83が連結されている。
【0106】
上記した脱水反応によって生じた水は、排水管83から外部に排出される。また、上記した水和反応に使用される水または水蒸気は、給水管82から供給される。
【0107】
化学蓄熱材を使用した場合には、化学変化を生じなければ、必要な時に放熱させることができる。すなわち、化学蓄熱材は、長期間の蓄熱状態を維持することができる。また、他の熱源によって蓄熱状態となった化学蓄熱材を備えたカートリッジを蓄熱装置80に取り付けて利用することができる。
【0108】
化学蓄熱材を使用した蓄熱装置80における蓄熱の作用において、連通配管71を介して熱交換用配管84に導入されたリボイラ熱媒体62の一部は、Ca(OH)の状態またはMg(OH)の状態の蓄熱材を加熱する。この際に生じる脱水反応で生成した水は排水管83から排出される。なお、この際、給水管82からの給水はされない。
【0109】
また、化学蓄熱材を使用する場合、リボイラ熱媒体供給管60に導入されるリボイラ熱媒体62の温度は、化学蓄熱材において脱水反応を生じさせる温度に設定される。そのため、リボイラ熱媒体供給管60に導入されるリボイラ熱媒体62の温度は、リボイラ許容温度を超えている。
【0110】
そこで、温度検知部63で検知されたリボイラ40に供給される熱媒体の温度に基づいて、バイパス管85の流量調整弁85aは、調整される。流量調整弁85aを調整することで、バイパス管85を介してリボイラ熱媒体供給管60に導入される蓄熱部熱媒体74の流量が調整される。
【0111】
そして、リボイラ熱媒体62の温度よりも低い温度の蓄熱部熱媒体74がバイパス管85を介してリボイラ熱媒体供給管60に導入される。これによって、リボイラ40には、高温のリボイラ熱媒体62と低温の蓄熱部熱媒体74とが混合した混合熱媒体が供給される。この混合熱媒体の温度は、リボイラ許容温度に調整され、リボイラ40に供給される。
【0112】
このように蓄熱部81に熱量を蓄える過程において、温度検知部76で検知されたリボイラ熱媒体62の温度が、連通配管71を介して蓄熱部81に導入されるリボイラ熱媒体62の温度と等しい場合、流量調整弁72aを閉じる。具体的には、例えば、温度検知部76で検知されたリボイラ熱媒体62の温度が、温度検知部75で検知されたリボイラ熱媒体62の温度と等しい場合、流量調整弁72aを閉じる。この場合、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱上限熱量を超えたことを意味する。
【0113】
一方、化学蓄熱材を使用した蓄熱装置80における放熱の作用において、給水管82からCaOの状態またはMgOの状態の蓄熱材に水または水蒸気が供給される。これによって水和反応が生じて蓄熱材は放熱する。
【0114】
そして、蓄熱部熱媒体供給管73を介して熱交換用配管84に導入された蓄熱部熱媒体74は、蓄熱材の放熱によって加熱される。この際、連通配管71に導入される蓄熱部熱媒体74の温度がリボイラ許容温度よりも高い場合には、温度検知部63で検知されたリボイラ40に供給される熱媒体の温度に基づいて、バイパス管85の流量調整弁85aは、調整される。
【0115】
そして、蓄熱部81で加熱された蓄熱部熱媒体74の温度よりも低い温度の蓄熱部熱媒体74がバイパス管85を介してリボイラ熱媒体供給管60に導入される。これによって、リボイラ40には、高温の蓄熱部熱媒体74と低温の蓄熱部熱媒体74とが混合した混合熱媒体が供給される。この混合熱媒体の温度は、リボイラ許容温度に調整され、リボイラ40に供給される。
【0116】
このような蓄熱部81から熱量を放出する過程において、温度検知部75で検知された蓄熱部熱媒体74の温度が下限閾値を下回ったときに、例えば、流量調整弁73aを閉じる。蓄熱部81から排出される蓄熱部熱媒体74の温度が下限閾値を下回ったときには、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱下限熱量を下回ったことを意味する。蓄熱下限熱量を下回った場合、蓄熱部熱媒体74をリボイラ許容温度まで加熱するための熱量が蓄熱部81に蓄えられていない状態である。なお、放出する過程における下限閾値は、前述したとおりである。
【0117】
蓄熱部81から熱量を放出する過程において、蓄熱部81から排出される蓄熱部熱媒体74の温度が下限閾値を下回り、流量調整弁73aを閉じた場合には、リボイラ40に供給されるリボイラ熱媒体62の温度は、温度検知部63で検知された温度に基づいて、バイパス管85の流量調整弁85aによって調整される。なお、流量調整弁73aを閉じた際、流量調整弁72aを開いて蓄熱過程に切り替えてもよい。
【0118】
なお、ここでは、主に化学蓄熱材を使用した場合を例示して説明したが、温度検知部63で検知された温度に基づく流量調整弁85aの調整作用は、前述した潜熱蓄熱材、顕熱蓄熱材を使用した場合も同様である。
【0119】
上記したように、バイパス管85を備えることで、リボイラ熱媒体供給管60に供給されるリボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度を超える場合においても、リボイラ40にリボイラ許容温度の熱媒体を供給することができる。すなわち、バイパス管85を備えることで、温度検知部63で検知された熱媒体の温度に基づいて、リボイラ40に供給されるリボイラ熱媒体62の温度の調整が可能となる。
【0120】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備11におけるリボイラ熱媒体供給機構50Bの系統図である。なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0121】
第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備11においては、リボイラ熱媒体供給機構50B以外は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10の構成と同じである。そのため、ここでは、リボイラ熱媒体供給機構50Bの構成について主に説明する。
【0122】
リボイラ熱媒体供給機構50Bは、リボイラ40に熱媒体を供給するための構成を備える。リボイラ熱媒体供給機構50Bは、図5に示すように、蓄熱装置80と、加熱供給機構70Bと、リボイラ熱媒体排出管61と、バイパス管100とを備える。
【0123】
なお、蓄熱装置80の蓄熱部81は、潜熱蓄熱材、顕熱蓄熱材、または化学蓄熱材を備える。各蓄熱材の構成は、前述したとおりである。
【0124】
加熱供給機構70Bは、蓄熱装置80の蓄熱部81を加熱するとともに、蓄熱部81において蓄熱された熱量をリボイラ40へ供給するための構成を備える。加熱供給機構70Bは、図5に示すように、高温熱媒体導入管90と、低温熱媒体導入管91と、蓄熱部熱媒体供給管92と、リボイラ熱媒体供給管93とを備える。
【0125】
高温熱媒体導入管90は、リボイラ40に供給するための高温熱媒体を導入する。高温熱媒体として、例えば、プラントなどの外部設備において生成される蒸気(水蒸気)が利用される。高温熱媒体の温度は、リボイラ許容温度よりも高い。具体的には、高温熱媒体の温度は、例えば、蓄熱材を蓄熱材の設定温度に加熱可能な温度またはそれ以上の温度である。すなわち、第2の実施の形態においては、潜熱蓄熱材、顕熱蓄熱材を使用するときにおいても、前述した利用温度範囲(130~200℃)を超えた温度範囲で蓄熱してもよい。なお、高温熱媒体導入管90は、第1の熱媒体導入管として機能する。
【0126】
低温熱媒体導入管91は、高温熱媒体導入管90に導入される高温熱媒体の温度よりも低い温度の低温熱媒体を導入する。低温熱媒体として、例えば、プラントなどの外部設備において生成される蒸気(水蒸気)が利用される。低温熱媒体の温度は、リボイラ許容温度よりも低い。
【0127】
低温熱媒体導入管91は、高温熱媒体導入管90に連結されている。低温熱媒体導入管91は、低温熱媒体の流量を調整する流量調整弁91aを備える。なお、低温熱媒体導入管91は、第2の熱媒体導入管として機能する。
【0128】
ここで、低温熱媒体の温度は、所定の流量範囲で高温熱媒体と低温熱媒体とを混合してリボイラ許容温度に調整可能な温度に設定される。なお、所定の流量範囲とは、リボイラ40に供給されるリボイラ熱媒体62の設定流量範囲である。
【0129】
蓄熱部熱媒体供給管92は、高温熱媒体導入管90、低温熱媒体導入管91に導入された熱媒体を蓄熱装置80の蓄熱部81に供給する。蓄熱部熱媒体供給管92は、低温熱媒体導入管91と蓄熱部熱媒体供給管92との連結部から下流側に配置され、蓄熱部81に連結されている。
【0130】
蓄熱部熱媒体供給管92は、高温熱媒体、低温熱媒体、または高温熱媒体と低温熱媒体の混合熱媒体を蓄熱部81に供給する。蓄熱部熱媒体供給管92は、熱媒体の流量を調整する流量調整弁92aを備える。
【0131】
リボイラ熱媒体供給管93は、蓄熱部81から排出されたリボイラ熱媒体62をリボイラ40に供給する。蓄熱部81から排出されるリボイラ熱媒体は、蓄熱部熱媒体供給管92によって蓄熱部81に供給され、蓄熱部81と熱量の授受を行った熱媒体である。リボイラ熱媒体供給管93は、リボイラ40において吸収液(リーン液32)を加熱するリボイラ熱媒体62をリボイラ40に供給する。リボイラ熱媒体供給管93は、蓄熱部81とリボイラ40との間に設けられている。
【0132】
なお、リボイラ熱媒体供給管93には、リボイラ40に供給される熱媒体の温度を検知する温度検知部94が設けられている。温度検知部94は、バイパス管100と連結する連結部よりもリボイラ40側のリボイラ熱媒体供給管93に備えられている。
【0133】
また、リボイラ熱媒体供給管93には、蓄熱部81から排出される熱媒体の温度を検知する温度検知部95が設けられている。温度検知部95は、バイパス管100と連結する連結部よりも蓄熱装置80側のリボイラ熱媒体供給管93に備えられている。
【0134】
リボイラ熱媒体供給機構50Bが備えるリボイラ熱媒体排出管61は、第1の実施の形態と同様の構成である。
【0135】
バイパス管100は、蓄熱部熱媒体供給管92からリボイラ熱媒体供給管93に熱媒体を供給する。バイパス管100は、蓄熱装置80をバイパスして蓄熱部熱媒体供給管92とリボイラ熱媒体供給管93とを連通するように備えられている。バイパス管100は、熱媒体の流量を調整する流量調整弁100aを備える。
【0136】
次に、リボイラ熱媒体供給機構50Bの作用について説明する。
【0137】
ここで、作用開始時において、蓄熱装置80の蓄熱部81は、蓄熱材に所定の熱量が蓄えられた状態であることが好ましい。以下、この状態を初期状態と称する。
【0138】
潜熱蓄熱材の場合、初期状態とは、例えば、潜熱蓄熱材の融点に達した状態が例示される。初期状態として、例えば、固相と液相とが混在した状態が例示される。
【0139】
顕熱蓄熱材の場合、初期状態とは、顕熱蓄熱材が、例えば、リボイラ許容温度に加熱された状態が例示される。
【0140】
化学蓄熱材の場合、初期状態とは、化学蓄熱材において、脱水反応によって蓄熱した状態の化学蓄熱材と、水和反応によって放熱した状態の化学蓄熱材とが、例えば、等しい分量で混在する状態が例示される。CaO/HO系の化学蓄熱材では、Ca(OH)とCaOとが等しい分量で混在する状態が例示される。MgO/HO系の化学蓄熱材では、Mg(OH)とMgOとが等しい分量で混在する状態が例示される。
【0141】
蓄熱部81を上記した初期状態とすることで、蓄熱、放熱のいずれの処理も実行することができる。
【0142】
ここで、潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材を使用する場合において、これらの蓄熱材に熱量が蓄えられていない状態から初期状態とする際の作用について説明する。
【0143】
流量調整弁91aを調整して、蓄熱部熱媒体供給管92に流れる低温熱媒体の流量を調整する。そして、蓄熱部熱媒体供給管92において、高温熱媒体導入管90から導入される高温熱媒体と低温熱媒体との混合熱媒体の温度を所定の温度に調整する。混合熱媒体の温度は、例えば、リボイラ許容温度よりも高い温度に調整される。
【0144】
混合熱媒体の一部は、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81に供給される。蓄熱部81は、供給された混合熱媒体によって加熱され、熱量を蓄える。蓄熱部81に熱量が奪われた混合熱媒体は、蓄熱部81から排出されリボイラ熱媒体供給管93に導入される。この際、混合熱媒体の温度は、リボイラ許容温度よりも低い。
【0145】
混合熱媒体の残部は、バイパス管100を介してリボイラ熱媒体供給管93に導入される。
【0146】
蓄熱部81から排出された混合熱媒体およびバイパス管100を介して導入された混合熱媒体は、リボイラ熱媒体供給管93において混合してリボイラ熱媒体62としてリボイラ40に供給される。ここで、流量調整弁92aおよび流量調整弁100aは、温度検知部94で検知された熱媒体の温度に基づいて、リボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度となるように調整される。
【0147】
そして、温度検知部95で検知された熱媒体の温度に基づいて、蓄熱部81から排出される混合熱媒体の温度が所定の温度になったと判定されたときに、初期状態とするための作用は停止される。
【0148】
なお、初期状態とするための作用を停止する際の所定の温度として、潜熱蓄熱材の場合は融点と等しい温度、顕熱蓄熱材の場合はリボイラ許容温度が例示される。
【0149】
このような過程を経て、蓄熱部81の潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材は、初期状態となる。このような初期状態から蓄熱処理または放熱処理が実行される。
【0150】
次に、蓄熱装置80において蓄熱する際の作用について説明する。
【0151】
ここで、蓄熱作用について、蓄熱部81にリボイラ許容温度の熱媒体を導入する場合と、蓄熱部81にリボイラ許容温度を超える温度の熱媒体を導入する場合とに分けて説明する。
【0152】
まず、蓄熱部81にリボイラ許容温度の熱媒体を導入する場合について説明する。
【0153】
蓄熱する際、流量調整弁100aは閉じられている。すなわち、バイパス管100には、蓄熱部熱媒体供給管92からの混合熱媒体は流れない。
【0154】
蓄熱する際、低温熱媒体導入管91から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される低温熱媒体の流量は、流量調整弁91aによって調整される。例えば、低温熱媒体導入管91から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される低温熱媒体の流量は、高温熱媒体導入管90から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される高温熱媒体の流量よりも少なくなるように調整されている。具体的には、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81に供給される熱媒体の温度がリボイラ許容温度になるように、流量調整弁91aは調整されている。この場合、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81に供給される熱媒体の温度は、蓄熱部81の蓄熱材の設定加熱温度に対応している。
【0155】
なお、高温熱媒体導入管90からの高温熱媒体の温度がリボイラ許容温度の場合には、蓄熱部熱媒体供給管92に導入されるすべての熱媒体を高温熱媒体導入管90からの高温熱媒体としてもよい。この場合、流量調整弁91aは、閉じられる。
【0156】
ここで、蓄熱処理が実行される状況として、例えば、プラントなどにおける高負荷運転で余剰の高温の熱媒体が生じた場合などが例示される。
【0157】
蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81に供給された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱材を加熱する。これによって、蓄熱材は、熱量を蓄える。蓄熱部81から排出される熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ熱媒体62としてリボイラ熱媒体供給管93を介してリボイラ40に供給される。なお、蓄熱過程に入る前に蓄熱部81は初期状態となっているため、蓄熱部81から排出される熱媒体(混合熱媒体)の温度は、リボイラ許容温度となる。また、リボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の流量は、リボイラ40の設定流量に調整されている。
【0158】
このように蓄熱部81に熱量を蓄える過程において、温度検知部95で検知された熱媒体(混合熱媒体)の温度が、蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81に導入される熱媒体(混合熱媒体)の温度と等しい場合、例えば、流量調整弁92aを閉じるとともに流量調整弁100aを開く。この場合、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱上限熱量を超えたことを意味する。
【0159】
そして、バイパス管100を介してリボイラ熱媒体供給管93に熱媒体(混合熱媒体)を導入する。この際、流量調整弁91aは、温度検知部94で検知された熱媒体の温度に基づいて、リボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度となるように調整される。また、流量調整弁100aは、リボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の流量がリボイラ40の設定流量になるように調整される。
【0160】
次に、蓄熱部81にリボイラ許容温度を超える温度の熱媒体を導入する場合について説明する。
【0161】
蓄熱する際、低温熱媒体導入管91から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される低温熱媒体の流量は、流量調整弁91aによって調整される。例えば、低温熱媒体導入管91から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される低温熱媒体の流量は、高温熱媒体導入管90から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される高温熱媒体の流量よりも少なくなるように調整されている。具体的には、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81に供給される熱媒体の温度がリボイラ許容温度よりも高くなるように、流量調整弁91aは調整される。
【0162】
なお、蓄熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92に導入されるすべての熱媒体を高温熱媒体導入管90からの高温熱媒体としてもよい。この場合、流量調整弁91aは、閉じられる。
【0163】
ここで、蓄熱部81にリボイラ許容温度を超える温度の熱媒体を導入する場合、バイパス管100を介してリボイラ熱媒体供給管93に熱媒体(混合熱媒体)を導入して、リボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度となるように調整されている。
【0164】
具体的には、流量調整弁91aは、温度検知部94で検知された熱媒体の温度に基づいて、リボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度となるように調整される。また、流量調整弁92aおよび流量調整弁100aは、リボイラ40に供給される熱媒体(混合熱媒体)の流量がリボイラ40の設定流量になるように調整される。
【0165】
蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81に供給された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱材を加熱する。これによって、蓄熱材は、熱量を蓄える。蓄熱部81から排出される熱媒体(混合熱媒体)は、バイパス管100を介して導入される熱媒体(混合熱媒体)と混合してリボイラ熱媒体62としてリボイラ熱媒体供給管93を介してリボイラ40に供給される。
【0166】
このように蓄熱部81に熱量を蓄える過程において、温度検知部95で検知された熱媒体(混合熱媒体)の温度が、蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81に導入される熱媒体(混合熱媒体)の温度と等しい場合、例えば、流量調整弁92aを閉じる。この場合、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱上限熱量を超えたことを意味する。なお、蓄熱部81に導入される熱媒体(混合熱媒体)の温度は、蓄熱部熱媒体供給管92に設けられた図示しない温度検知部によって検知される。
【0167】
流量調整弁92aを閉じた場合、流量調整弁91aは、温度検知部94で検知された熱媒体の温度に基づいて、バイパス管100を介してリボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の温度がリボイラ許容温度となるように調整される。また、流量調整弁100aは、リボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の流量がリボイラ40の設定流量になるように調整される。
【0168】
次に、蓄熱装置80において放熱する際の作用について説明する。
【0169】
ここで、放熱作用について、蓄熱部81において熱媒体(混合熱媒体)がリボイラ許容温度に加熱される場合と、蓄熱部81において熱媒体(混合熱媒体)がリボイラ許容温度を超える温度に加熱される場合とに分けて説明する。
【0170】
まず、蓄熱部81において熱媒体(混合熱媒体)がリボイラ許容温度に加熱される場合について説明する。
【0171】
放熱する際、流量調整弁100aは閉じられている。すなわち、バイパス管100には、蓄熱部熱媒体供給管92からの混合熱媒体は流れない。
【0172】
放熱する際、流量調整弁91aが調整され、低温熱媒体導入管91から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される低温熱媒体の流量は、高温熱媒体導入管90から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される高温熱媒体の流量よりも多くなるように調整されている。具体的には、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81に供給される熱媒体の温度がリボイラ許容温度よりも低くなるように、流量調整弁91aは調整される。
【0173】
なお、放熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92に導入されるすべての熱媒体を低温熱媒体導入管91からの低温熱媒体としてもよい。この場合、高温熱媒体導入管90に備えられた流量調整弁(図示しない)は、閉じられる。
【0174】
ここで、放熱処理が実行される状況として、例えば、プラントなどで低負荷運転となり、導入される熱媒体の温度が低下する場合などが例示される。
【0175】
蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81に供給された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱材から熱量を奪う。これによって、熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ許容温度まで加熱される。蓄熱部81から排出される熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ熱媒体62としてリボイラ熱媒体供給管93を介してリボイラ40に供給される。
【0176】
このように蓄熱部81から熱量を放出する過程において、温度検知部95で検知されたリボイラ熱媒体62の温度が下限閾値を下回ったときに、流量調整弁92aを閉じるとともに流量調整弁100aを開く。そして、流量調整弁91aも調整される。
【0177】
蓄熱部81から排出される蓄熱部熱媒体74の温度が下限閾値を下回ったときには、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱下限熱量を下回ったことを意味する。なお、放熱過程における下限閾値は、前述したとおりである。
【0178】
この場合、流量調整弁91aを調整して、蓄熱部熱媒体供給管92における混合熱媒体の温度は、リボイラ許容温度に調整される。そして、リボイラ許容温度に調整された混合熱媒体は、バイパス管100を介してリボイラ熱媒体供給管93に導入される。そして、混合熱媒体は、リボイラ熱媒体62としてリボイラ40に供給される。なお、流量調整弁100aは、リボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の流量がリボイラ40の設定流量になるように調整される。
【0179】
次に、蓄熱部81において熱媒体(混合熱媒体)がリボイラ許容温度を超える温度に加熱される場合について説明する。
【0180】
この場合、流量調整弁100aは開かれている。そして、バイパス管100を介して蓄熱部熱媒体供給管92からリボイラ熱媒体供給管93に熱媒体(混合熱媒体)が導入される。なお、蓄熱材として化学蓄熱材が使用された場合、放熱する際、給水管82から蓄熱部81に水または水蒸気が供給される。
【0181】
放熱する際、流量調整弁91aが調整され、低温熱媒体導入管91から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される低温熱媒体の流量は、高温熱媒体導入管90から蓄熱部熱媒体供給管92に導入される高温熱媒体の流量よりも多くなるように調整されている。換言すれば、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81に供給される熱媒体の温度は、例えば、リボイラ許容温度よりも低く設定される。
【0182】
なお、放熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92に導入されるすべての熱媒体を低温熱媒体導入管91からの低温熱媒体としてもよい。この場合、高温熱媒体導入管90に備えられた流量調整弁(図示しない)は、閉じられる。
【0183】
蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81に供給された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱材から熱量を奪う。これによって、熱媒体(混合熱媒体)は、加熱される。蓄熱部81から排出される熱媒体(混合熱媒体)は、バイパス管100を介して導入される熱媒体(混合熱媒体)と混合し、リボイラ熱媒体62としてリボイラ熱媒体供給管93を介してリボイラ40に供給される。
【0184】
このように蓄熱部81から熱量を放出する過程において、流量調整弁91aは、温度検知部94で検知された熱媒体の温度に基づいて、リボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度となるように調整される。具体的には、流量調整弁91aは、リボイラ熱媒体62の温度がリボイラ許容温度となるように、バイパス管100を介してリボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の温度を調整する。
【0185】
また、蓄熱部81から熱量を放出する過程において、温度検知部95で検知されたリボイラ熱媒体62の温度が下限閾値を下回ったときに、流量調整弁92aを閉じる。なお、放熱過程における所定の閾値は、前述したとおりである。
【0186】
そして、流量調整弁91aを調整して、蓄熱部熱媒体供給管92における混合熱媒体の温度は、リボイラ許容温度に調整される。また、流量調整弁100aは、リボイラ熱媒体供給管93に導入される熱媒体(混合熱媒体)の流量がリボイラ40の設定流量になるように調整される。
【0187】
上記した第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備11によれば、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて、高負荷運転などで余剰の高温の熱媒体が生じた場合に、蓄熱装置80において余剰の熱媒体が有する熱量を蓄えることができる。
【0188】
また、プラントなどの低負荷運転などで熱媒体の温度が減少した場合であっても、蓄熱装置80に蓄えられた熱量を使用して、適正な温度のリボイラ熱媒体62をリボイラ40に供給することができる。
【0189】
さらに、高温熱媒体導入管90および低温熱媒体導入管91を備えることで、適正な温度の熱媒体を蓄熱部81に供給することができる。また、蓄熱部81における熱量の授受が遮断されたときでも、バイパス管100を備えることで、最適な温度および流量のリボイラ熱媒体をリボイラ40に供給できる。
【0190】
このように、二酸化炭素回収設備11では、プラントなどの外部設備で生じた余剰の熱量をリボイラ40において有効に利用することができる。また、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて負荷変動が生じた場合においても、リボイラ40において適正に吸収液を加熱することができる。
【0191】
ここで、蓄熱装置80の蓄熱部81の構成は、上記した構成に限られない。
【0192】
図6および図7は、第2の実施の形態の二酸化炭素回収設備11における他の構成の蓄熱装置80の構成を模式的に示した図である。
【0193】
まず、図6に示された蓄熱装置80について説明する。
【0194】
図6に示すように、蓄熱装置80は、化学蓄熱材を備える蓄熱部81Aと、潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材を備える蓄熱部81Bとを備えてもよい。蓄熱部81Aは、蓄熱部熱媒体供給管92側に配置され、蓄熱部81Bは、リボイラ熱媒体供給管93側に配置される。すなわち、熱媒体(混合熱媒体)に流れに対して上流側に蓄熱部81Aが備えられ、下流側に蓄熱部81Bが備えられている。
【0195】
化学蓄熱材を備える蓄熱部81Aは、給水管82および排水管83を備える。蓄熱部81Aは、蓄熱部熱媒体供給管92と連結されている。蓄熱部81Bは、リボイラ熱媒体供給管93と連結されている。蓄熱部81Aと蓄熱部81Bの間は連結管110で連結されている。
【0196】
まず、蓄熱装置80において蓄熱する際の作用について説明する。
【0197】
図6に示した蓄熱装置80において、蓄熱装置80において蓄熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81Aに熱媒体(混合熱媒体)が供給される。なお、前述したように、熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81A内の熱交換用配管84に導入される(図4参照)。
【0198】
また、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81Aに供給される熱媒体の温度は、例えば、リボイラ許容温度よりも高く設定される。具体的には、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81Aに供給される熱媒体の温度は、蓄熱部81の蓄熱材の設定加熱温度に対応して設定される。
【0199】
化学蓄熱材を備える蓄熱部81Aでは、前述した化学蓄熱材における脱水反応が生じる。すなわち、蓄熱部81Aに供給された熱媒体(混合熱媒体)は、化学蓄熱材を加熱して脱水反応を生じさせる。脱水反応で生成された水は、排水管83から排出される。
【0200】
化学蓄熱材を加熱した熱媒体(混合熱媒体)は、連結管110を通り蓄熱部81Bに導入される。蓄熱部81Bに導入された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81Bの蓄熱材に熱量を与える。これによって、蓄熱部81Bの蓄熱材は、蓄熱する。そして、蓄熱部81Bの蓄熱材に熱量を与えた熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ熱媒体供給管93に導入される。なお、これ以降の作用は、前述したとおりである。
【0201】
次に、蓄熱装置80において放熱する際の作用について説明する。
【0202】
図6に示した蓄熱装置80において、蓄熱装置80において放熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81Aに熱媒体(混合熱媒体)が供給される。
【0203】
なお、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81Aに供給される熱媒体の温度は、例えば、リボイラ許容温度よりも低く設定される。
【0204】
化学蓄熱材を備える蓄熱部81Aでは、前述した化学蓄熱材における水和反応が生じる。すなわち、給水管82から蓄熱部81Aに水または水蒸気が供給され、水和反応によって化学蓄熱材から放熱する。この放熱によって、熱交換用配管84を流れる熱媒体(混合熱媒体)は加熱される。
【0205】
加熱された熱媒体(混合熱媒体)は、連結管110を通り蓄熱部81Bに導入される。蓄熱部81Bに導入された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81Bの蓄熱材から熱量を奪い、さらに加熱される。そして、加熱された熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ熱媒体供給管93に導入される。なお、これ以降の作用は、前述したとおりである。
【0206】
上記した蓄熱装置80によれば、上流側に化学蓄熱材の蓄熱部81Aを備えることで、例えば、蓄熱部81Bを初期状態とする際、混合熱媒体の温度を調整することなく、蓄熱部81Aの水和反応を利用して蓄熱部81Bに適温の蒸気を供給することができる。
【0207】
また、下流側に潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材を備えることで、蓄熱過程で高温の熱媒体が蓄熱部81Aから排出された場合においても、高温の熱媒体が有する熱量を蓄熱部81Bで蓄熱することができる。
【0208】
次に、図7に示された蓄熱装置80について説明する。
【0209】
図7に示すように、蓄熱装置80は、顕熱蓄熱材を備える蓄熱部81Cと、潜熱蓄熱材を備える蓄熱部81Dとを備えてもよい。蓄熱部81Cは、蓄熱部熱媒体供給管92側に配置され、蓄熱部81Dは、リボイラ熱媒体供給管93側に配置される。すなわち、熱媒体(混合熱媒体)に流れに対して上流側に蓄熱部81Cが備えられ、下流側に蓄熱部81Dが備えられている。
【0210】
蓄熱部81Cは、蓄熱部熱媒体供給管92と連結されている。蓄熱部81Dは、リボイラ熱媒体供給管93と連結されている。蓄熱部81Cと蓄熱部81Dの間は連結管111で連結されている。
【0211】
まず、蓄熱装置80において蓄熱する際の作用について説明する。
【0212】
図7に示した蓄熱装置80において、蓄熱装置80において蓄熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81Cに熱媒体(混合熱媒体)が供給される。なお、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81Cに供給される熱媒体の温度は、例えば、リボイラ許容温度よりも高く設定される。具体的には、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81Cに供給される熱媒体の温度は、蓄熱部81Cの蓄熱材の設定加熱温度に対応して設定される。
【0213】
蓄熱部81Cに供給された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81Cの顕熱蓄熱材に熱量を与える。これによって、蓄熱部81Cの顕熱蓄熱材は、蓄熱する。
【0214】
顕熱蓄熱材を加熱した熱媒体(混合熱媒体)は、連結管111を通り蓄熱部81Dに導入される。蓄熱部81Dに導入された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81Dの潜熱蓄熱材に熱量を与える。これによって、蓄熱部81Dの潜熱蓄熱材は、蓄熱する。そして、蓄熱部81Dの潜熱蓄熱材に熱量を与えた熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ熱媒体供給管93に導入される。なお、これ以降の作用は、前述したとおりである。
【0215】
次に、蓄熱装置80において放熱する際の作用について説明する。
【0216】
図7に示した蓄熱装置80において、蓄熱装置80において放熱する際、蓄熱部熱媒体供給管92を介して蓄熱部81Cに熱媒体(混合熱媒体)が供給される。なお、蓄熱部熱媒体供給管92から蓄熱部81Cに供給される熱媒体の温度は、例えば、リボイラ許容温度よりも低く設定される。
【0217】
蓄熱部81Cに供給された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81Cの顕熱蓄熱材から熱量を奪い、加熱される。
【0218】
加熱された熱媒体(混合熱媒体)は、連結管111を通り蓄熱部81Dに導入される。蓄熱部81Dに導入された熱媒体(混合熱媒体)は、蓄熱部81Dの顕熱蓄熱材から熱量を奪い、さらに加熱される。そして、加熱された熱媒体(混合熱媒体)は、リボイラ熱媒体供給管93に導入される。なお、これ以降の作用は、前述したとおりである。
【0219】
上記した蓄熱装置80によれば、下流側に潜熱蓄熱材の蓄熱部81Dを備えることで、例えば、蓄熱部81Cの出口温度が蓄熱部81Dの潜熱蓄熱材の融点よりも高い場合でも、リボイラ熱媒体供給管93にリボイラ許容温度の熱媒体(混合熱媒体)を導入することができる。
【0220】
また、下流側に潜熱蓄熱材の蓄熱部81Dを備えることで、蓄熱部81Cの顕熱蓄熱材をリボイラ許容温度を超えた高温の熱媒体(混合熱媒体)で加熱することができる。これによって、蓄熱部81Cおよび蓄熱部81Dを顕熱蓄熱材のみで構成する場合や潜熱蓄熱材のみで構成する場合に比べて、蓄熱部81Cに蓄えられる熱量が増加する。
【0221】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態の二酸化炭素回収設備12におけるリボイラ熱媒体供給機構50Cの系統図である。
【0222】
第3の実施の形態の二酸化炭素回収設備12においては、リボイラ熱媒体供給機構50C以外は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10の構成と同じである。そのため、ここでは、リボイラ熱媒体供給機構50Cの構成について主に説明する。
【0223】
リボイラ熱媒体供給機構50Cは、リボイラ40に熱媒体を供給するための構成を備える。リボイラ熱媒体供給機構50Cは、図8に示すように、蓄熱装置80と、加熱供給機構70Cとを備える。
【0224】
なお、蓄熱装置80の蓄熱部81は、潜熱蓄熱材または顕熱蓄熱材で構成される。また、蓄熱装置80は、図7に示したように、顕熱蓄熱材を備える蓄熱部81Cと、潜熱蓄熱材を備える蓄熱部81Dとを備える構成でもよい。なお、各蓄熱材の構成は、前述したとおりである。
【0225】
加熱供給機構70Cは、蓄熱装置80の蓄熱部81を加熱するとともに、蓄熱部81において蓄熱された熱量をリボイラ40へ供給するための構成を備える。加熱供給機構70Cは、図8に示すように、蓄熱部熱媒体供給管120と、蓄熱部熱媒体排出管121と、熱交換用配管124と、循環配管130とを備える。
【0226】
蓄熱部熱媒体供給管120は、蓄熱部熱媒体123を蓄熱装置80の蓄熱部81に供給する。蓄熱部熱媒体123として、例えば、二酸化炭素回収設備12が併設されている火力発電プラント、製鉄プラント、清掃工場などで生成される蒸気(水蒸気)が利用される。
【0227】
蓄熱部熱媒体排出管121は、蓄熱部熱媒体供給管120から供給された蓄熱部熱媒体123を蓄熱部81から排出する。例えば、二酸化炭素回収設備12が蒸気タービンを備えた火力発電プラントに併設された場合、蓄熱部81において凝縮して水となった蓄熱部熱媒体123は、蓄熱部熱媒体排出管121を介して復水器とボイラとの間の給水管に導入される。
【0228】
蓄熱部熱媒体排出管121には、蓄熱部81(熱交換用配管124)から排出される蓄熱部熱媒体123の温度を検知する温度検知部125が設けられている。温度検知部125は、蓄熱装置80側の蓄熱部熱媒体排出管121に備えられている。
【0229】
蓄熱部81内には、例えば、熱交換用配管124が蛇行して配置されている。熱交換用配管124の一端は、蓄熱部熱媒体供給管120に連結されている。熱交換用配管124の他端は、蓄熱部熱媒体排出管121に連結されている。
【0230】
循環配管130は、蓄熱部81およびリボイラ40に循環熱媒体131を循環させる。循環配管130は、蓄熱装置80からリボイラ40に循環熱媒体131を供給する供給循環配管130Aと、リボイラ40から蓄熱装置80に循環熱媒体131を戻す戻り循環配管130Bとを備える。
【0231】
また、循環配管130は、例えば、循環熱媒体131を循環させる循環ポンプ132を備える。ここでは、循環ポンプ132が戻り循環配管130Bに備えられた一例を示している。なお、循環ポンプ132は、供給循環配管130Aに備えられてもよい。
【0232】
供給循環配管130Aには、蓄熱部81から排出される循環熱媒体131の温度を検知する温度検知部133が設けられている。温度検知部133は、蓄熱装置80側の供給循環配管130Aに備えられている。
【0233】
ここで、循環熱媒体131として、例えば、空気、蒸気、加圧水、油、溶融塩、無機水和物などが使用される。このように、循環熱媒体131は、例えば、蓄熱部熱媒体123と異なる物質で構成されてもよい。なお、循環熱媒体131は、蓄熱部熱媒体123と同じ物質で構成されてもよい。
【0234】
次に、リボイラ熱媒体供給機構50Cの作用について説明する。
【0235】
ここで、作用開始時において、蓄熱装置80の蓄熱部81は、前述した初期状態であることが好ましい。
【0236】
また、リボイラ熱媒体供給機構50Cにおいては、蓄熱装置80での蓄熱作用と、リボイラ40への循環熱媒体131の供給作用とを独立して実行することができる。
【0237】
まず、蓄熱装置80において蓄熱する際の作用について説明する。
【0238】
蓄熱する際、蓄熱部熱媒体供給管120から蓄熱部81(熱交換用配管124)に蓄熱部熱媒体123が供給される。蓄熱部熱媒体供給管120から蓄熱部81に供給される蓄熱部熱媒体123の温度は、例えば、リボイラ許容温度に設定される。蓄熱部熱媒体123の温度は、蓄熱部81の蓄熱材の設定加熱温度に対応して設定される。
【0239】
蓄熱部熱媒体供給管120を介して蓄熱部81(熱交換用配管124)に供給された蓄熱部熱媒体123は、蓄熱材を加熱する。これによって、蓄熱材は、熱量を蓄える。蓄熱部81に熱量が奪われた蓄熱部熱媒体123は、熱交換用配管124から蓄熱部熱媒体排出管121に排出される。
【0240】
ここで、温度検知部125において、蓄熱部81から排出される蓄熱部熱媒体123の温度が蓄熱部81に供給される蓄熱部熱媒体123の温度に等しいと検知されたときには、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱上限熱量を超えたことを意味する。この場合、例えば、熱交換用配管124への蓄熱部熱媒体123の供給を停止する。
【0241】
次に、蓄熱装置80において放熱する際の作用について説明する。
【0242】
戻り循環配管130Bから蓄熱部81に導入された循環熱媒体131は、蓄熱材から熱量を奪う。これによって、循環熱媒体131は、リボイラ許容温度まで加熱される。加熱された循環熱媒体131は、蓄熱部81から排出され、供給循環配管130Aを介してリボイラ40に供給される。
【0243】
リボイラ40でリーン液32を加熱した循環熱媒体131は、戻り循環配管130Bを介して再び蓄熱部81に循環される。
【0244】
ここで、温度検知部133において、蓄熱部81から排出される循環熱媒体131の温度が下限閾値を下回ったことが検知された場合には、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱下限熱量を下回ったことを意味する。なお、放熱過程における下限閾値は、前述したとおりである。この場合、循環ポンプ132の駆動を停止して、蓄熱部81への循環熱媒体131の供給を停止する。
【0245】
蓄熱作用を実行しつつ放熱作用を実行する場合、蓄熱部81から排出される循環熱媒体131の温度が下限閾値を下回ったときには、上記したように、循環ポンプ132の駆動を停止して、蓄熱部81への循環熱媒体131の供給を停止する。
【0246】
なお、蓄熱作用を実行しつつ放熱作用を実行する場合、双方の作用を継続するためには、蓄熱系統において蓄熱部81に蓄熱される熱量が、放熱系統において蓄熱部81から奪われる熱量よりも大きいことが好ましい。
【0247】
ここで、蓄熱材に蓄えられた熱量は、蓄熱系統を利用して使用されてもよい。具体的には、例えば、蓄熱部熱媒体供給管120を介して蓄熱部熱媒体123よりも低温の熱媒体を蓄熱部81(熱交換用配管124)に供給してもよい。この場合、蓄熱部81に供給された低温の熱媒体は、蓄熱材から熱量を奪い、加熱される。これによって、外部設備から供給された熱媒体を加熱して、例えば外部設備に戻すことができる。
【0248】
この場合において、温度検知部125によって、蓄熱部81から蓄熱部熱媒体排出管121に排出される熱媒体の温度が所定の閾値を下回ったことが検知された場合には、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱下限熱量を下回ったことを意味する。この場合、蓄熱部81への低温の熱媒体の供給を停止する。
【0249】
ここで、所定の閾値は、例えば、前述した下限閾値と同じ閾値に設定される。すなわち、所定の閾値は、リボイラ許容温度の下限値である130℃に設定される。
【0250】
なお、低温の熱媒体は、蓄熱部熱媒体排出管121から蓄熱部81に供給されてもよい。この場合、蓄熱部熱媒体供給管120に、蓄熱部81(熱交換用配管124)から排出される熱媒体の温度を検知する温度検知部が設けられている。
【0251】
上記した第3の実施の形態の二酸化炭素回収設備12によれば、蓄熱装置80での蓄熱作用と、リボイラ40への循環熱媒体131の供給作用とを独立して実行することができる。これによって、蓄熱装置80での蓄熱作用とリボイラ40への循環熱媒体131の供給作用の一方のみを作用させることも、双方を同時に作用させることもできる。
【0252】
また、二酸化炭素回収設備12のリボイラ熱媒体供給機構50Cでは、外部設備から供給された蓄熱部熱媒体123は、蓄熱装置80の蓄熱材に直接接触することなく、外部設備に戻すことができる。そのため、外部設備に戻される蓄熱部熱媒体123に純度が要求される場合に有効である。
【0253】
リボイラ熱媒体供給機構50Cにおいて、循環熱媒体131と蓄熱部熱媒体123とを異なる物質で構成することができる。換言すれば、リボイラ熱媒体供給機構50Cでは、循環熱媒体131の物質と蓄熱部熱媒体123の物質とが異なる場合でも対応することができる。
【0254】
また、二酸化炭素回収設備12では、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて、高負荷運転などで余剰の高温の熱媒体が生じた場合に、蓄熱装置80において余剰の熱媒体が有する熱量を蓄えることができる。
【0255】
このように、二酸化炭素回収設備12では、プラントなどの外部設備で生じた余剰の熱量をリボイラ40において有効に利用することができる。また、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて負荷変動が生じた場合においても、リボイラ40において適正に吸収液を加熱することができる。
【0256】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態の二酸化炭素回収設備13におけるリボイラ熱媒体供給機構50Dの系統図である。
【0257】
第4の実施の形態の二酸化炭素回収設備13においては、リボイラ熱媒体供給機構50D以外は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収設備10の構成と同じである。そのため、ここでは、リボイラ熱媒体供給機構50Dの構成について主に説明する。
【0258】
リボイラ熱媒体供給機構50Dは、リボイラ40に熱媒体を供給するための構成を備える。リボイラ熱媒体供給機構50Dは、図9に示すように、蓄熱装置80と、加熱供給機構70Dとを備える。
【0259】
なお、蓄熱装置80の蓄熱部81は、潜熱蓄熱材で構成される。なお、潜熱蓄熱材の構成は、前述したとおりである。
【0260】
加熱供給機構70Dは、蓄熱装置80の蓄熱部81を加熱するとともに、蓄熱部81において蓄熱された熱量をリボイラ40へ供給するための構成を備える。加熱供給機構70Dは、図9に示すように、蓄熱部熱媒体供給管140と、蓄熱部熱媒体排出管141と、熱交換用配管142とを備える。
【0261】
蓄熱部熱媒体供給管140は、蓄熱部熱媒体143をリボイラ40内に備えられた熱交換用配管142に供給する。蓄熱部熱媒体143として、例えば、二酸化炭素回収設備10が併設されている火力発電プラント、製鉄プラント、清掃工場などで生成される蒸気(水蒸気)が利用される。なお、蓄熱部熱媒体供給管140は、熱媒体供給管として機能する。
【0262】
蓄熱部熱媒体排出管141は、蓄熱部熱媒体供給管140から供給された蓄熱部熱媒体143を熱交換用配管142から排出する。例えば、二酸化炭素回収設備13が蒸気タービンを備えた火力発電プラントに併設された場合、熱交換用配管142において凝縮して水となった蓄熱部熱媒体143は、蓄熱部熱媒体排出管141を介して復水器とボイラとの間の給水管に導入される。なお、蓄熱部熱媒体排出管141は、熱媒体排出管として機能する。
【0263】
蓄熱部熱媒体排出管141には、蓄熱部81(熱交換用配管142)から排出される蓄熱部熱媒体143の温度を検知する温度検知部144が設けられている。温度検知部144は、リボイラ40側の蓄熱部熱媒体排出管141に備えられている。
【0264】
リボイラ40内には、例えば、熱交換用配管142が蛇行して配置されている。熱交換用配管142の一端は、蓄熱部熱媒体供給管140に連結されている。熱交換用配管142の他端は、蓄熱部熱媒体排出管141に連結されている。
【0265】
蓄熱装置80は、熱交換用配管142の周囲を覆うように備えられている。具体的には、蓄熱装置80は、熱交換用配管142に沿って設けられた管状容器内に複数の潜熱蓄熱材を充填して構成される。潜熱蓄熱材は、熱交換用配管142の周囲に接触するように管状容器内に充填されている。そして、蓄熱部81は、管状容器内に構成される。
【0266】
ここで、リボイラ40から再生塔30にリーン液32(吸収液)を循環する循環配管41には、リボイラ40から排出されるリーン液32の温度を検知する温度検知部42が設けられている。温度検知部42は、リボイラ40側における循環配管41に備えられている。
【0267】
次に、リボイラ熱媒体供給機構50Dの作用について説明する。
【0268】
ここで、作用開始時において、蓄熱装置80の蓄熱部81は、前述した初期状態であることが好ましい。
【0269】
まず、蓄熱装置80において蓄熱する際の作用について説明する。
【0270】
蓄熱する際、蓄熱部熱媒体供給管140から蓄熱部81(熱交換用配管142)に蓄熱部熱媒体143が供給される。蓄熱部熱媒体供給管140から蓄熱部81に供給される蓄熱部熱媒体143の温度は、例えば、リボイラ許容温度に設定される。蓄熱部熱媒体143の温度は、蓄熱部81の蓄熱材の設定加熱温度に対応して設定される。
【0271】
蓄熱部熱媒体供給管140を介して蓄熱部81(熱交換用配管142)に供給された蓄熱部熱媒体143は、熱交換用配管142の周囲に設けられた蓄熱材を加熱する。これによって、蓄熱材は、熱量を蓄える。蓄熱部81に熱量が奪われた蓄熱部熱媒体143は、熱交換用配管142から蓄熱部熱媒体排出管141に排出される。この場合、熱交換用配管142への蓄熱部熱媒体143の供給を停止する。
【0272】
ここで、温度検知部125において、蓄熱部81から排出される蓄熱部熱媒体143の温度が蓄熱部81に供給される蓄熱部熱媒体143の温度に等しいと検知されたときには、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱上限熱量を超えたことを意味する。
【0273】
次に、蓄熱装置80において放熱する際の作用について説明する。
【0274】
循環配管41からリボイラ40に導入されたリーン液32(吸収液)は、蓄熱装置80の周囲を流れることで蓄熱材から熱量を奪う。これによって、リーン液32は、リボイラ許容温度まで加熱される。加熱されたリーン液32は、リボイラ40から排出され、循環配管41を介して再生塔30に供給される。
【0275】
ここで、リボイラ40から排出されるリーン液32の温度が所定の閾値を下回ったときには、蓄熱部81に蓄えられている熱量が蓄熱下限熱量を下回ったことを意味する。この場合、所定の閾値は、リボイラ40から再生塔30に循環されるリーン液32の設定温度(110~130℃程度)である。この場合、リボイラ40から再生塔30へのリーン液32の循環を停止する。
【0276】
なお、放熱作用の際、上記した蓄熱作用を実行してもよい。
【0277】
上記した第4の実施の形態の二酸化炭素回収設備13によれば、リボイラ40内に蓄熱装置80を備えることで、リボイラ熱媒体供給機構50Dの構成をコンパクトにすることができる。
【0278】
図9に示したリボイラ熱媒体供給機構50Dでは、外部設備から供給された蓄熱部熱媒体143は、蓄熱装置80の蓄熱材に直接接触することなく、外部設備に戻すことができる。そのため、外部設備に戻される蓄熱部熱媒体143に純度が要求される場合に有効である。
【0279】
また、二酸化炭素回収設備13では、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて、高負荷運転などで余剰の高温の熱媒体が生じた場合に、蓄熱装置80において余剰の熱媒体が有する熱量を蓄えることができる。
【0280】
このように、二酸化炭素回収設備13では、プラントなどの外部設備で生じた余剰の熱量をリボイラ40において有効に利用することができる。また、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて負荷変動が生じた場合においても、リボイラ40において適正に吸収液を加熱することができる。
【0281】
ここで、リボイラ熱媒体供給機構50Dの構成は、上記した構成に限られない。図10は、第4の実施の形態の二酸化炭素回収設備13における他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Dの系統図である。
【0282】
図10に示すように、熱交換用配管142および蓄熱装置80をリーン液32(吸収液)の循環系統に備えてもよい。具体的には、リボイラ40内には、例えば、熱交換用配管142が蛇行して配置されている。熱交換用配管142の一端は、リーン液32をリボイラ40から排出する循環配管41に連結されている。熱交換用配管142の他端は、リーン液32をリボイラ40に戻す循環配管41に連結されている。
【0283】
蓄熱装置80は、熱交換用配管142の周囲を覆うように備えられている。なお、蓄熱装置80の構成は、図9を参照して説明した蓄熱装置80の構成と同じである。
【0284】
図10に示したリボイラ熱媒体供給機構50Dにおいて、蓄熱する際、蓄熱部熱媒体供給管140からリボイラ40内に蓄熱部熱媒体143が供給される。リボイラ40内に供給された蓄熱部熱媒体143は、蓄熱装置80の周囲を流れることで熱交換用配管142の周囲に設けられた蓄熱材を加熱する。これによって、蓄熱材は、熱量を蓄える。蓄熱部81に熱量が奪われた蓄熱部熱媒体143は、リボイラ40から蓄熱部熱媒体排出管141に排出される。
【0285】
一方、放熱する際、循環配管41からリボイラ40に導入されたリーン液32(吸収液)は、熱交換用配管142を流れることで蓄熱材から熱量を奪う。これによって、リーン液32は、前述した設定温度まで加熱される。加熱されたリーン液32は、蒸気(水蒸気)を発生する。そして、蒸気を含むリーン液32は、熱交換用配管142から循環配管41に導入され、再生塔30に供給される。
【0286】
図10に示した他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Dでは、リボイラ40内に蓄熱装置80を備えることで、リボイラ熱媒体供給機構50Dの構成をコンパクトにすることができる。
【0287】
また、他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Dでは、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて、高負荷運転などで余剰の高温の熱媒体が生じた場合に、蓄熱装置80において余剰の熱媒体が有する熱量を蓄えることができる。
【0288】
このように、他の構成のリボイラ熱媒体供給機構50Dでは、プラントなどの外部設備で生じた余剰の熱量をリボイラ40において有効に利用することができる。また、熱媒体の供給源であるプラントなどにおいて負荷変動が生じた場合においても、リボイラ40において適正に吸収液を加熱することができる。
【0289】
ここで、上記した各実施の形態において、蓄熱部の加熱手段として、熱媒体とともに電気ヒータを備えてもよい。
【0290】
以上説明した実施形態によれば、プラントなどの外部設備から与えられた熱量をリボイラで有効に利用できるとともに、リボイラにおいて吸収液を適正に加熱することが可能となる。
【0291】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0292】
10、11、12、13…二酸化炭素回収設備、20…吸収塔、21…吸収部、22…排出口、23…リッチ液、24…排ガス導入管、24a…排ガスブロワ、25…リッチ液導入管、26…熱交換器、27…リッチ液用ポンプ、30…再生塔、31…再生部、32…リーン液、33…二酸化炭素排出口、34…二酸化炭素排出管、35…気液分離装置、35a…回収口、35b…ドレン管、36、39…冷却器、37…リーン液導入管、38…リーン液用ポンプ、40…リボイラ、41、130…循環配管、42、63、75、76、94、95、125、133、144…温度検知部、50A、50B、50C、50D…リボイラ熱媒体供給機構、60、93…リボイラ熱媒体供給管、61…リボイラ熱媒体排出管、62…リボイラ熱媒体、70A、70B、70C、70D…加熱供給機構、71…連通配管、72…熱媒体排出管、72a、73a、85a、91a、92a、100a…流量調整弁、73、92、120、140…蓄熱部熱媒体供給管、74、123、143…蓄熱部熱媒体、80…蓄熱装置、81、81A、81B、81C、81D…蓄熱部、82…給水管、83…排水管、84、124、142…熱交換用配管、85、100…バイパス管、86…装置容器、87…化学蓄熱材、88…容器、90…高温熱媒体導入管、91…低温熱媒体導入管、110、111…連結管、121、141…蓄熱部熱媒体排出管、130A…供給循環配管、130B…戻り循環配管、131…循環熱媒体、132…循環ポンプ。
図1
図2
図3
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図10