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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008099
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/18 20060101AFI20230112BHJP
   A01K 91/04 20060101ALI20230112BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A01K85/18
A01K91/04 E
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111385
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】517000427
【氏名又は名称】株式会社DRT
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】白川 友也
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA69
2B307BA70
2B307EB30
2B307EC00
(57)【要約】
【課題】リアリティの高い動作を容易に実現することが可能な釣り用ルアーを提供する。
【解決手段】釣り用ルアー10は、ボディ部11と、ボディ部11に取り付けられる連結部材40と、を備える。ボディ部11の前ボディ13には、その前端部13Dから後方へ延びる切込み溝50が形成されている。連結部材40は、ラインを結合するためのラインアイ41と、アイレット41から隔てられ、ボディ部11に回動可能に支持される軸孔44と、を有する。連結部材40は、切込み溝50の内部で軸孔44が支軸61に支持される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー本体と、
前記ルアー本体に取り付けられる連結部材と、を備え、
前記連結部材は、
ラインを結合するためのアイレットと、
前記アイレットから隔てられ、前記ルアー本体に回動可能に支持される被支持部と、を有することを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項2】
前記ルアー本体は、
外表面から内部に向けて形成された切込み溝を有し、
前記連結部材は、
前記アイレットから前記被支持部へ向けて延出し、前記切込み溝に挿通される挿通部を有し、
前記連結部材は、前記挿通部が前記切込み溝に挿通された状態で前記被支持部を中心に前記切込み溝の延在方向へ回動可能に支持される、請求項1に記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記被支持部は、前記挿通部に形成された軸孔を含み、
前記ルアー本体は、前記切込み溝に交差して前記切込み溝の溝幅方向に延在し、前記切込み溝内で前記軸孔に挿通する支軸を有する、請求項2に記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記被支持部は、前記挿通部の延出方向に隔てて形成された複数の前記軸孔を含み、
前記支軸が、前記複数の軸孔のいずれか一つに挿通されることにより、前記連結部材が前記被支持部を中心に回動可能に支持される、請求項3に記載の釣り用ルアー。
【請求項5】
前記ルアー本体は、前記切込み溝に交差して前記溝幅方向に延びる取付孔を有し、
前記支軸は、前記取付孔に取り付けられる、請求項3又は4に記載の釣り用ルアー。
【請求項6】
前記ルアー本体は、前記切込み溝の深さ方向に隔てて形成された複数の前記取付孔を有し、
前記支軸は、前記複数の取付孔のいずれか一つに取り付けられる、請求項5に記載の釣り用ルアー。
【請求項7】
前記切込み溝は、前記ルアー本体の内部へ向けてさらに深い深溝部を有する、請求項2から6のいずれか一つに記載の釣り用ルアー。
【請求項8】
前記切込み溝は、前記ルアー本体において前記釣り用ルアーの進行方向の前方側の前端部から前記進行方向の後方へ向けて形成されている、請求項2から7のいずれか一つに記載の釣り用ルアー。
【請求項9】
前記連結部材は、前記ルアー本体において前記釣り用ルアーの進行方向の前方側の前部に設けられている、請求項1から8のいずれか一つに記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに用いられる釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルアーと称される疑似餌を用いてターゲットとなる対象魚を釣る所謂ルアーフィッシングが広く知られている。釣り人は、ルアーをキャストし、ロッドを操作して、ベイトである小魚や虫の動きに似るようにルアクションを加えながらルアーをリトリーブする。これにより、対象魚のバイトを誘う。
【0003】
ルアーフィッシングに用いられるルアーには、ロッドから引き出されたラインが止着されるラインアイが設けられている(特許文献1参照)。ルアーに設けられるラインアイは、ルアー本体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-216657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のルアーはラインアイがルアー本体に固定されているため、ロッド操作による引っ張り力がラインを通じてダイレクトにルアーに伝達する。そのため、リアリティの高い動きをルアーにさせるためには、高度なロッド操作が必要である。とりわけ、ビッグベイトルアーと称される大型のルアーを用いる場合、ルアー本体が受ける水の抵抗が通常サイズのルアーに比べて大きく、また、重量も思いため、ベイトのリアルな動きを実現することが容易ではない。
【0006】
本発明の目的は、リアリティの高い動作を実現することが可能な釣り用ルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の一の局面に係る釣り用ルアーは、ルアー本体と、前記ルアー本体に取り付けられる連結部材と、を備える。前記釣り用ルアーにおいて、前記連結部材は、ラインを結合するためのアイレットと、前記アイレットから隔てられ、前記ルアー本体に回動可能に支持される被支持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
(2) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記ルアー本体は、外表面から内部に向けて形成された切込み溝を有する。前記連結部材は、前記アイレットから前記被支持部へ向けて延出し、前記切込み溝に挿通される挿通部を有する。この場合、前記連結部材は、前記挿通部が前記切込み溝に挿通された状態で前記被支持部を中心に前記切込み溝の延在方向へ回動可能に支持される。
【0009】
(3) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記被支持部は、前記挿通部に形成された軸孔を含み、前記ルアー本体は、前記切込み溝に交差して前記切込み溝の溝幅方向に延在し、前記切込み溝内で前記軸孔に挿通する支軸を有する。
【0010】
(4) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記被支持部は、前記挿通部の延出方向に隔てて形成された複数の前記軸孔を含む。この場合、前記支軸が、前記複数の軸孔のいずれか一つに挿通されることにより、前記連結部材が前記被支持部を中心に回動可能に支持される。
【0011】
(5) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記ルアー本体は、前記切込み溝に交差して前記溝幅方向に延びる取付孔を有する。前記支軸は、前記取付孔に取り付けられる。
【0012】
(6) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記ルアー本体は、前記切込み溝の深さ方向に隔てて形成された複数の前記取付孔を有する。また、前記支軸は、前記複数の取付孔のいずれか一つに取り付けられる。
【0013】
(7) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記切込み溝は、前記ルアー本体の内部へ向けてさらに深い深溝部を有する。
【0014】
(8) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記切込み溝は、前記ルアー本体において前記釣用ルアーの進行方向の前方側の前端部から前記進行方向の後方へ向けて形成されている。
【0015】
(9) 本発明の釣り用ルアーにおいて、前記連結部材は、前記ルアー本体において前記釣用ルアーの進行方向の前方側の前部に設けられている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リアリティの高い動作を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る釣り用ルアーを示す側面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る釣り用ルアーを示す上面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る釣り用ルアーの前ボディの内部構造を示す図であり、図2における切断面III-IIIの断面図である。
図4図4は、図3における切断面IV-IVの断面図である。
図5図5は、釣り用ルアーのヘッド部の縦断面の拡大図であり、連結部材の第1装着状態を示す図である。
図6図6は、図5における切断面VI-VIの断面図であり、前記第1装着状態における連結部材の動作を説明するための図である。
図7図7は、釣り用ルアーのヘッド部の縦断面の拡大図であり、連結部材の第2装着状態を示す図である。
図8図8は、図7における切断面VIII-VIIIの断面図であり、前記第2装着状態における連結部材の動作を説明するための図である。
図9図9は、釣り用ルアーのヘッド部の縦断面の拡大図であり、連結部材の第3装着状態を示す図である。
図10図10は、図9における切断面X-Xの断面図であり、前記第3装着状態における連結部材の動作を説明するための図である。
図11図11は、釣り用ルアーのヘッド部の縦断面の拡大図であり、連結部材の第4装着状態を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の第2実施形態に係る釣り用ルアーのヘッド部の水平断面の拡大図であり、連結部材の第5装着状態を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の第2実施形態に係る釣り用ルアーのヘッド部の水平断面の拡大図であり、連結部材の第6装着状態を示す図である。
図12C図12Cは、本発明の第2実施形態に係る釣り用ルアーのヘッド部の水平断面の拡大図であり、連結部材の第7装着状態を示す図である。
図13図13は、本発明の第2実施形態に係る釣り用ルアーのヘッド部の水平断面の拡大図であり、連結部材の第8装着状態を示す図である。
図14図14は、本発明の第3実施形態に係る釣り用ルアーの前ボディを示す側面図である。
図15図15は、本発明の第3実施形態に係る釣り用ルアーの前ボディを示す上面図である。
図16図16は、本発明の第1実施形態に係る釣り用ルアーの動きを説明するための図である。
図17図17は、本発明の第4実施形態に係る釣り用ルアーのヘッド部の水平断面を示す拡大図である。
図18図18は、図17における切断面XVIII-XVIIIの断面図である。
図19図19は、本発明の第5実施形態に係る釣り用ルアーの前ボディを示す上面図である。
図20図20は、本発明の第5実施形態に係る釣り用ルアーの前ボディを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。なお、以下に説明される各実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る釣り用ルアー10(本発明の釣り用ルアーの一例)の左側の側面図、図2は、釣り用ルアー10の上面図である。なお、図2では、釣り用ルアー10の外形の輪郭線が破線で示されている。
【0020】
釣り用ルアー10(以下「ルアー10」と略称する。)は、バスフィッシングやソルトルアーフィッシングなどのルアーフィッシングにおいて、ターゲットとなる対象魚のバイトを誘うための疑似餌(ルアー)である。釣り用ルアー10は、例えば、所謂ビッグベイトルアーと称される大型のルアーであり、例えば、全長が概ね200mm以上であり、重さが2oz(約57g)以上のルアーである。
【0021】
なお、本実施形態では、ビッグベイトルアーと称されるルアー10を例示して説明するが、本発明の釣り用ルアーは、ビッグベイトルアーに限定されず、ビッグベイトルアーのような大型のルアーのみならず、それよりもサイズの小さいルアーにも本発明は適用可能である。
【0022】
図1に示すように、ルアー10は、ターゲットとなる対象魚が補食するベイトを模した形状に形成されており、具体的には、補食される魚(ベイトフィッシュ)を模した形状に形成されている。ルアー10の形状は、ベイトフィッシュを模した形状に限られず、ターゲットとなる対象魚が補食するベイト、例えば、イカや、エビ、カニ、蛙、ワームなどの形状を模したものであってもよい。
【0023】
ルアー10は、魚の胴体を模した形状に形成されたボディ部11(本発明のルアー本体の一例)と、魚の尾鰭を模した形状に形成されたテール部12とを備えている。ボディ部11は、ABS樹脂などの硬質樹脂材料で形成されている。また、テール部12は、シリコンやエラストマーなどの軟質樹脂材料で形成されており、弾性を有する。なお、テール部12は、硬質樹脂材料で形成されていてもよい。
【0024】
テール部12は、ボディ部11の後端部、つまり、後ボディ15の後端部15Bに取り付けられている。テール部12は、ボディ部11に固定されていてもよく、或いは取り換え可能なようにボディ部11に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0025】
ボディ部11は、前後方向D11に三つに分割された3分割構造を有しており、前側に配置された前ボディ13と、前後方向D11の中央に配置された中央ボディ14と、最も後方側に配置された後ボディ15とを有する。前ボディ13は、魚の頭部から尾鰭までの胴体のうち、ヘッド部13A(本発明の前部の一例)を含む前方側の約3分の2の部分を模した形状に形成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、ボディ部11が3分割構造を有する例について説明するが、ボディ部11は、前後方向D11に複数に分割された構造を有するものであればよい。もちろん、ボディ部11が分割構造を有していないものであっても、本発明は適用可能である。
【0027】
前ボディ13は、魚の頭部に相当するヘッド部13Aを含む前方側の部分を模した形状に形成されている。また、中央ボディ14は、魚の胴体のうち腹部を含む部分を模した形状に形成されている。そして、後ボディ15は、魚の胴体のうち後方側の部分を模した形状に形成されている。
【0028】
図2に示すように、ボディ部11は、前ボディ13と中央ボディ14とを連結する連結部16を有する。つまり、前ボディ13と中央ボディ14とは、連結部16によって連結されている。本実施形態では、前ボディ13の後端部13Bと中央ボディ14の前端部14Aとが連結部16によって、ルアー10の進行方向D1(前方向)に対して左右方向D13(以下、幅方向D13とも称する。)に屈曲可能に連結されている。
【0029】
また、ボディ部11は、中央ボディ14と後ボディ15とを連結する連結部17を有する。つまり、中央ボディ14と後ボディ15とは、連結部17によって連結されている。本実施形態では、中央ボディ14の後端部14Bと後ボディ15の前端部15Aとが連結部17によって、ルアー10の進行方向D1に対して左右方向D13(幅方向D13)に屈曲可能に連結されている。
【0030】
連結部16は、前ボディ13の後端部13Bに固定された二つ連結環21と、中央ボディ14の前端部14Aに設けられた支持軸22とを有している。各連結環21は、上下方向D12へ間隔を隔てて配置されており、また、各連結環21は後方へ突出している。連結環21の基端部が後端部13Bに固定されている。連結環21の突出端には環状部が設けられている。支持軸22は、前端部14Aに形成された上下に延びる挿通孔に挿通された軸部材である。支持軸22が連結環21の前記環状部に挿通されることにより、前ボディ13に対して中央ボディ14がルアー10の進行方向D1に対して交差する幅方向D13へ回動可能なように、前ボディ13と中央ボディ14とが連結される。
【0031】
なお、連結部17は、連結部16と同様に、中央ボディ14の後端部14Bに固定された二つ連結環21と、後ボディ15の前端部15Aに設けられた支持軸22とを有している。連結部17によって、中央ボディ14に対して後ボディ15がルアー10の幅方向D13へ回動可能なように、中央ボディ14と後ボディ15とが連結される。
【0032】
図1に示すように、ボディ部11には、フックアイ25,26,27が設けられている。フックアイ25は前ボディ13の下部に固定されており、フックアイ26は中央ボディの下部に固定されており、フックアイ27は後ボディ15の下部に固定されている。フックアイ23,26,27にフック29が連結される。
【0033】
また、前ボディ13のヘッド部13Aに連結部材40(本発明の連結部材の一例)が設けられている。連結部材40は、ボディ部11の一部であるヘッド部13Aに取り付けられる部材である。本実施形態では、連結部材40は、幅方向D13へ回動可能なようにヘッド部13Aに取り付けられている。連結部材40は、ロッドから引き出されたライン(不図示)が直接に、或いはスイベルやスナップなどを介して間接的に結合される円環状のラインアイ41(本発明のアイレットの一例)を有する。
【0034】
以下、図3乃至図6を参照して、連結部材40の構成と、連結部材40の取付構造について説明する。ここで、図3は、ルアー10の前ボディ13の内部構造を示す縦断面図である。図4は、図3における切断面IV-IVの断面図である。図5は、ルアー10のヘッド部13Aの縦断面の拡大図であり、連結部材40の第1装着状態を示す図である。図6は、前記第1装着状態における連結部材40の動作を示す図である。図6では、連結部材40の回動動作の範囲が示されており、連結部材40が最も右側に回動された姿勢、及び最も左側に回動された姿勢が点線で示されており、ラインアイ41がヘッド部13Aの前方側に配置された姿勢が実線で示されている。
【0035】
図3に示すように、ヘッド部13Aには、切込み溝50が形成されている。切込み溝50は、ヘッド部13Aの最も前方側の前端部13Dからヘッド部13Aの後方へ向けて切り込まれた溝である。詳細には、切込み溝50は、図3に示す前ボディ13の起立姿勢において、ヘッド部13Aの前端部13Dから後方へ水平面に沿って切り込まれている。切込み溝50の後方側の端部である溝底部50Aは、幅方向D13に沿って直線状に形成されている。そのため、図4に示すように、切込み溝50は、ヘッド部13Aの一方の側面から他方の側面まで延在している。切込み溝50の溝幅(図4における上下方向のサイズ)は、連結部材40が備える後述の挿通部43(図3参照)が挿通可能なサイズに形成されている。
【0036】
なお、切込み溝50は、ヘッド部13Aの前端部13Dから後方へ水平方向に切り込まれた溝に限られない。例えば、切込み溝50は、ヘッド部13Aの前端部13Dから後方斜め下向きに切り込まれた溝や、前端部13Dから後方斜め上向きに切り込まれた溝であってもよい。また、切込み溝50の切込み開始位置は、ヘッド部13Aの前端部13Dに限られない。例えば、切込み溝50は、ヘッド部13Aの上部表面からヘッド部13Aの内部を後方へ水平に切り込まれた溝や、ヘッド部13Aの上部表面から後方斜め下向きに切り込まれた溝、ヘッド部13Aの下部表面からヘッド部13Aの内部を後方へ水平に切り込まれた溝、ヘッド部13Aの下部表面から後方斜め上向きに切り込まれた溝であってもよい。
【0037】
図3に示すように、ヘッド部13Aの内部には、連結部材40を回動可能に支持するためのマウント部52が設けられている。マウント部52は、連結部材40を切込み溝50の延在方向(つまり幅方向D13)へ回動可能に支持する。マウント部52は、前ボディ13と一体に形成されている。
【0038】
マウント部52は、切込み溝50よりも下側に位置する下マウント54と、切込み溝50よりも上側に位置する上マウント55と、を有する。下マウント54及び上マウント55は、切込み溝50を上下方向D11から挟むように配置されている。
【0039】
マウント部52には、切込み溝50に交差して上下方向D11(溝幅方向に相当)に延びる取付孔57が形成されている。取付孔57は、連結部材40を回動可能に支持する支軸61を取り付けるための孔である。
【0040】
本実施形態では、マウント部52には複数の取付孔57が形成されている。各取付孔57それぞれが、支軸61を取り付けるための孔である。支軸61は、複数の取付孔57のうちのいずれか一つに取り付けられる。複数の取付孔57は、下マウント54の下面54Aから上方へ向けて鉛直上方へ穿孔されており、その終端は上マウント55の上面55Aの手前まで達している。つまり、各取付孔57は、上マウント55の上面55Aを上方へ貫通していない。
【0041】
各取付孔57は、ヘッド部13Aにおいて幅方向D13の中央に配置されている。本実施形態では、4つの取付孔57(571~574)がマウント部52に形成されている。4つの取付孔57のうち、取付孔571は最も前方側に位置しており、それよりも後方側に取付孔572が位置しており、更にその後方側に取付孔573が位置しており、そして、最も後方側に取付孔574が位置している。各取付孔57は、前後方向D12に沿って等間隔に並んで配置されている。
【0042】
支軸61は、連結部材40を回動可能に支持する軸部材であり、ヘッド部13Aに設けられている。つまり、ヘッド部13Aは、支軸61を有する。ヘッド部13Aにおいて、支軸61は、切込み溝50に交差して上下方向D11(切込み溝50の溝幅方向)に延在する。
【0043】
支軸61は、取付孔57に挿入されている。支軸61は、取付孔57に挿入されることにより、マウント部52に取り付けられる。支軸61が取付孔57に取り付けられた状態で支軸61が容易に外れないように、支軸61の先端部に雄ネジが形成されている。また、取付孔57の奥部には雌ネジが形成されている。支軸61が取付孔57に螺着されることにより、支軸61がマウント部52に固定される。なお、支軸61は、ネジ部を有する軸部材に限られず、取付孔57に対して固定され、そして取付孔57から取り外し可能なものであればよく、例えば、取付孔57に嵌入されるリベットなどのピン部材であってもよい。
【0044】
図6に示すように、連結部材40は、ラインアイ41の外周部からラインアイ41の直径方向へ延出する挿通部43を有する。挿通部43は、切込み溝50に挿通される部分であり、切込み溝50の溝幅よりも厚みが薄く、延出方向に長いプレート状の部材である。
【0045】
挿通部43には、軸孔44(本発明の被支持部の一例)が形成されている。挿通部43が切込み溝50に挿通された状態で、軸孔44に支軸61が挿通される。支軸61が軸孔44に挿通された状態で、連結部材40は、支軸61を中心に幅方向D13(切込み溝50の延在方向)へ回動可能に支持される。
【0046】
本実施形態では、挿通部43には複数の軸孔44が形成されている。各軸孔44それぞれが、支軸61を通すための孔である。支軸61は、複数の軸孔44のうちのいずれか一つに挿通される。複数の軸孔44は、挿通部43を上下に貫通する貫通孔であり、その外径は支軸61が挿通可能なサイズに形成されている。
【0047】
各軸孔44は、挿通部43において、挿通部43の延出方向の先端部寄りに配置されている。本実施形態では、4つの軸孔44(441~444)が挿通部43に形成されている。4つの軸孔44のうち、軸孔441は最も前方側に位置しており、それよりも後方側に軸孔442が位置しており、更にその後方側に軸孔443が位置しており、そして、最も後方側に軸孔444が位置している。各軸孔44は、挿通部43の先端部からラインアイ41側(基端部側)へ向けて等間隔に並んで配置されている。
【0048】
図3に示すように、ヘッド部13Aの下部には、前後方向D11に延びる縦溝65が形成されている。縦溝65は、下面13Cにおいて、ヘッド部13Aの前端部13Dから後方へ延びており、フックアイ25よりも前方側の位置で下面13Cに達している。
【0049】
図4に示すように、縦溝65は、ヘッド部13Aの下面13Cにおいて、幅方向D13の中央に形成されている。縦溝65の前方側の開口は、ヘッド部13Aの前端部13Dにおいて外部に露出している。
【0050】
図3に示すように、マウント部52の下面54Aは、縦溝65の底面66の一部を構成している。下面54Aは、水平方向に平行な平坦面である。縦溝65の底面66は、前端部13Dから下面54Aの前端に至る傾斜面66Aと、下面54Aと、下面54Aの後端から下面13Cに至る傾斜面66Bとを含む。傾斜面66Aは、前端部13Dから後方斜め下方へ傾斜する面である。また、傾斜面66Bは、下面54Aの後端から後方斜め下方へ傾斜する面である。
【0051】
本実施形態では、マウント部52に形成された4つの取付孔57のいずれか一つに支軸61が取り付けられている。また、切込み溝50に連結部材40の挿通部43が挿通された状態で、連結部材40におけるいずれか一つの軸孔44に支軸61が挿通されて支持されている。これにより、連結部材40が、支軸61を中心に回動可能に支持される。
【0052】
図5及び図6には、連結部材40の第1装着状態が示されている。ここで、前記第1装着状態は、マウント部52の最も後方側に位置する取付孔574に支軸61が取り付けられており、挿通部43の最も後方側に位置する軸孔444が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0053】
図6に示すように、連結部材40は、支軸61を中心に角度θの範囲内で回動することができる。前記角度θは、連結部材40が回動可能な範囲(角度範囲)を示す。前記角度θは、連結部材40が溝底部50Aの幅方向D13の両端部のうちの一方端から他方端に接触するまでの回動角である。言い換えると、連結部材40の回動範囲は、溝底部50Aの幅方向D13の両端部によって規制される。つまり、連結部材40が溝底部50Aの幅方向D13の両端部に接触することにより、連結部材40の回動が制限される。また、前記角度θは、支軸61の取付位置、支軸61が挿通される軸孔44の位置、及び切込み溝50の溝深さによって決定される。ここで、前記溝深さは、ヘッド部13Aの前端部13Dから溝底部50Aまでの長さである。本実施形態では、連結部材40が前記第1装着状態である場合の角度θ1は、約270°である。
【0054】
なお、連結部材40が前記第1装着状態であっても、切込み溝50の溝深さが図6に示す長さよりも短い場合、前記角度θは狭くなり、連結部材40の回動範囲が小さくなる。
【0055】
このように連結部材40が回動可能に構成されているため、ルアーフィッシングの最中に釣り人がロッドを操作してルアー10を進行方向D1に対して引き寄せるアクションを加えたり、引き寄せるようにリトリーブした場合、そのときの引っ張り力がラインL1を通じてラインアイ41に伝達し、連結部材40が引っ張られた方向へ回動する(図16(A)参照)。
【0056】
ルアー本体の先端部にラインアイが固定された従来ルアーの場合、ヘッド部13Aの向きが即座に変更するため、従来ルアーはロッド操作に即応してラインの引っ張り方向へ向を変えて進む。しかしながら、本実施形態のルアー10は、図16(A)に示すように、連結部材40がルアー10のヘッド部13Aの側面(図16(A)の例では右側面)の側へ回動する。この状態でルアー10がリトリーブされると、ヘッド部13Aのヘッド側面に水の抵抗(図16(A)の矢印R1参照)を受ける。ここで、前記ヘッド側面は、ヘッド部13Aの側面の側に回動して変位した連結部材40から前端部13D(図6参照)に至る領域である。このため、ルアー10は、ラインL1の引っ張り方向へすぐに向きを変えずに、前記ヘッド側面で水の抵抗を受けることによってルアー10は連結部材40の回動前の進行方向D1を維持しつつ進行方向D1へ直進する(図16(B)参照)。このような動作は、クランクベイトやシンキングミノーなどのようなリップ付きルアーがリトリーブされた場合に、リップ(水かき)に受ける水の抵抗によってリップ付きルアーがラインの引っ張り方向へ進まずに斜め下方へ進行する動作と同じ原理である。
【0057】
その後、ルアー10が進行方向D1へ直進するとともに、ラインL1と進行方向D1とがなす角φ(以下、ライン角度φという。)が大きくなり、ラインL1の引っ張り力の分力(詳細には、進行方向D1に直交する分力)も徐々に大きくなる。そして、前記分力と前記ヘッド側面が受ける抵抗(矢印R1参照)とのバランスが逆転すると、ルアー10のヘッド部13AがラインL1の引っ張り方向へ向きを変えて、中央ボディ14、後ボディ15も徐々に同方向へ向きを変更し、その方向へ進行する(図16(C)参照)。このとき、ヘッド部13Aの向きが変更されたことに伴い、連結部材40がヘッド部13Aの逆側の側面(例えば左側面)に回動する。そして、逆側の側面に水の抵抗を受けることにより、今度は、ルアー10は反対方向へ向かって進行する。その後、しばらく進行した後に、ルアー10は、上述した動作と同様の動きをして、ラインL1の引っ張り方向へ向きを変える。この動作が繰り返されることにより、ルアー10は、右方向への進行と左方向への進行を繰り返す動作を行う。
【0058】
このように、進行方向D1に対して横方向へ引き寄せるアクションが行われた場合に、連結部材40が側面側へ回動することによって前記ヘッド側面が前記リップのように機能する。これにより、ルアー10は引っ張られた方向へすぐに向きを変更するのではなく、前記アクションの前にルアー10が進行していた方向へ進み、しばらく進行した後にラインL1の引っ張り方向へ向きを変更する。これにより、ルアー10は、ロッド操作に即応する不自然な動作をすることなく、実際のベイトの泳動動作に似たリアルな動作をする。
【0059】
また、本実施形態では、マウント部52に複数の取付孔57が形成されているため、複数の取付孔57に対する支軸61の取付位置を任意に変更することができる。ここで、図7及び図8には、連結部材40の第2装着状態が示されている。前記第2装着状態は、マウント部52の最も前方側に位置する取付孔571に支軸61が取り付けられており、挿通部43の最も後方側に位置する軸孔444が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0060】
図8に示すように、前記第2装着状態では、連結部材40が回動可能な角度θは、前記第1装着状態の場合の角度θ1よりも範囲の広い角度θ2の範囲内で回動することができる。換言すると、前記第2装着状態のときの前記角度θ2は、前記角度θ1よりも大きい。このように、本実施形態によれば、支軸61の取付位置を変更することにより連結部材40の回動中心の位置を変更することができる。これにより、連結部材40の回動範囲である前記角度θを変更することができる。また、支軸61の取付位置を変更することにより、ヘッド部13Aの前端部13Dからラインアイ41までの距離、つまり、ラインアイ41の位置を変更することができる。ラインアイ41の位置が変わることにより、ルアー10の動きにも変化が生じ、また、ロッドの操作感も変化する。言い換えると、釣り人は、ルアー10の動きやロッドの操作感が自分の好みに適合するように、連結部材40の回動中心や回動範囲を調整することができ、また、ラインアイ41の位置を調整することができる。
【0061】
また、本実施形態では、連結部材40の挿通部43に複数の軸孔44が形成されているため、複数の軸孔44に対する支軸61の支持位置を任意に変更することができる。ここで、図9及び図10には、連結部材40の第3装着状態が示されている。前記第3装着状態は、マウント部52の前から二番目に位置する取付孔572に支軸61が取り付けられており、挿通部43の前から二番目に位置する軸孔442が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0062】
図10に示す前記第3装着状態のように、複数の取付孔57に対する支軸61の取付位置を変更することにより、ラインアイ41の位置と回動中心を調整することができ、また、支軸61による複数の軸孔44の支持位置を変更することにより、連結部材40の回動半径を調整することができる。また、連結部材40の回動半径が変更されることによって、連結部材40の回動範囲である角度θも任意に調整することができる。本実施形態では、複数の取付孔57及び複数の軸孔44が設けられているため、支軸61が取り付けられる取付孔57と支軸61により回動支持される軸孔44との組み合わせを変えることによって、幅広い調整が可能となる。これにより、釣り人は、連結部材40の回動範囲や回動半径、ラインアイ41の位置を調整することにより、ルアー10の動きやロッドの操作感を自分の好みに適合させることができる。
【0063】
図10では、連結部材40が切込み溝50の内部に入り込んだ状態が示されているが、例えば、ラインアイ41にスナップなどの連結具が取り付けられている場合は、当該連結具は切込み溝50の溝幅よりも大きいため、連結部材40は連結部がヘッド部13Aの側面に当接した状態で回動範囲が制限される。なお、連結部材40が切込み溝50の内部に入り込まないようにするために、連結部材40が切込み溝50に入り込む前に連結部材40に当接するストッパー部材が切込み溝50の内部に設けられてもよい。また、ラインアイ41が、その内孔の中心軸線が水平方向に向くように縦向きとなるように連結部材40に設けられてもよい。
【0064】
また、図11に示すように、複数の取付孔57のうちのいずれか二つの取付孔57それぞれに支軸61を取り付け、更に、各支軸61を挿通部43の軸孔44に挿入することにより、連結部材40が回動することができないように連結部材40をロックすることができる。これにより、釣り人は、必要に応じて、ラインアイ41をヘッド部13Aの前端部13Dに位置決めすることができる。
【0065】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る釣り用ルアー10A(本発明の釣り用ルアーの一例)について説明する。なお、釣り用ルアー10A(以下、ルアー10Aと略称する。)が上述の第1実施形態のルアー10と異なる部分は、切込み溝50に深溝部51が設けられている点であり、その他の部分はルアー10の構成と共通する。したがって、以下の説明では、相違する部分のみ説明し、共通する部分については、上述の第1実施形態で用いた符号を付し示すことにより、その説明を省略する。
【0066】
図12Aは、本実施形態に係るルアー10Aのヘッド部13Aの断面図である。図12Aに示すように、切込み溝50は、深溝部51を有する。深溝部51は、切込み溝50の溝底部50Aに形成されている。切込み溝50の溝底部50Aは、幅方向D13の中央部以外の部分が進行方向D1に直交行する方向(幅方向D13)に沿って直線状に形成されている。深溝部51は、溝底部50Aにおいて幅方向D13の中央部に形成されている。
【0067】
深溝部51は、溝底部50Aの中央部分が後方へ凹んだ凹形状に形成されている。深溝部51の上方視の輪郭形状は、後方へ向かって先細りとなる台形状である。なお、深溝部51の形状は前記台形状に限られず、例えば、後方へ向かって先細りとなる三角形状であってもよく、後方へ平行な対向壁を有する矩形状であってもよい。
【0068】
本実施形態では、マウント部52において、深溝部51に対応する位置に、少なくとも一つの取付孔57が形成されている。具体的には、図12Aに示すように、上方視で、取付孔574が深溝部51の内部に形成されている。
【0069】
ここで、図12Aには、連結部材40の第5装着状態が示されている。前記第5装着状態は、マウント部52の前から四番目に位置する取付孔574に支軸61が取り付けられており、挿通部43の前から四番目に位置する軸孔444が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0070】
図12Aに示すように、前記第5装着状態では、挿通部43の後端部43Aが深溝部51に入り込み、深溝部51における幅方向D13の内壁によって後端部43Aの回動が制限される。つまり、連結部材40の回動範囲(角度θ)が深溝部51の内壁によって制限される。連結部材40が図12Aに示す前記第5装着状態である場合、支軸61を中心とする連結部材40の回動範囲は角度θ3の範囲内に制限される。ここで、前記角度θ3は、深溝部51の凹形状のサイズによって決定されるものであり、図12Aに示す例では、例えば、約90°である。
【0071】
また、図12Bには、連結部材40の第6装着状態が示されている。前記第6装着状態は、マウント部52の前から三番目に位置する取付孔573に支軸61が取り付けられており、挿通部43の前から三番目に位置する軸孔443が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0072】
図12Bに示すように、前記第6装着状態では、前記第5装着状態に比べて、支軸61による回動支点が前方側に変位されている。このため、後端部43Aの回動範囲は、深溝部51における幅方向D13の内壁によって更に制限される。図12Bに示す前記第6装着状態では、連結部材40の回動範囲は、前記角度θ3よりも小さい角度θ4の範囲内に制限される。図12Bに示す例では、前記角度θ4は、例えば、約40°である。
【0073】
また、図12Cには、連結部材40の第7装着状態が示されている。前記第7装着状態は、マウント部52の最も前方に位置する取付孔571に支軸61が取り付けられており、挿通部43の最も前方に位置する軸孔441が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0074】
図12Cに示すように、前記第7装着状態では、前記第6装着状態に比べて、支軸61による回動支点が更に前方側に変位されている。このため、後端部43Aの回動範囲は、深溝部51における幅方向D13の内壁によって更に制限される。図12Cに示す前記第7装着状態では、連結部材40の回動範囲は、前記角度θ4よりも小さい角度θ5の範囲内に制限される。図12Cに示す例では、前記角度θ5は、例えば、約10°である。
【0075】
また、図13には、連結部材40の第8装着状態が示されている。前記第8装着状態は、マウント部52の最も前方に位置する取付孔571に支軸61が取り付けられており、挿通部43の最も後方に位置する軸孔444が支軸61によって回動可能に支持された状態である。
【0076】
図13に示すように、前記第8装着状態では、挿通部43の後端部43Aが深溝部51に入り込んでおらず、深溝部51から前方側へ隔てた位置に配置されている。そのため、前記第5乃至前記第7装着状態とは異なり、深溝部51における幅方向D13の内壁によって後端部43Aの回動が制限されない。この場合、連結部材40が溝底部50Aの幅方向D13の両端部に接触して、連結部材40の回動範囲が制限される。図13に示す前記第8装着状態では、連結部材40の回動範囲は、前記角度θ3よりも大きい角度θ6の範囲内に制限される。図13に示す例では、前記角度θ6は、例えば、約240°である。
【0077】
このように、切込み溝50の溝底部50Aに深溝部51が設けられていることにより、本実施形態のルアー10Aによれば、連結部材40の回動範囲(角度θ)を前記角度θ3~前記角度θ6の範囲内で幅広く調整することが可能である。
【0078】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る釣り用ルアー10B(本発明の釣り用ルアーの一例)について説明する。なお、釣り用ルアー10B(以下、ルアー10Bと略称する。)が上述の第1実施形態のルアー10と異なる部分は、連結部材40に替えて、構成の異なる連結部材40Aが設けられている点、切込み溝50が設けられていない点、マウント部52が設けられていない点であり、その他の部分はルアー10の構成と共通する。したがって、以下の説明では、相違する部分のみ説明し、共通する部分については、上述の第1実施形態で用いた符号を付し示すことにより、その説明を省略する。
【0079】
図14は、本実施形態に係るルアー10Bのヘッド部13Aの上面図であり、図15は、ルアー10Bのヘッド部13Aの側面図である。図14及び図15に示すように、幅方向D13へ移動可能なように、ヘッド部13Aに連結部材40Aが取り付けられている。連結部材40Aは、ラインを結合するためのラインアイ41と、ラインアイ41から隔てられてヘッド部13Aに回動可能に支持される金属ワイヤからなるアーム部47(本発明の被支持部の一例)とを有する。アーム部47は、その前方端がラインアイ41に接合されており、ラインアイ41との接合部からヘッド部13Aの上部へ向けて延出する上アーム47Aと、ラインアイ41の前記接合部からヘッド部13Aの下部へ向けて延出する下アーム47Bとを含む。
【0080】
上アーム47A及び下アーム47Bそれぞれには、ヘッド部13Aに形成された軸孔49(図15参照)に挿入されるフック形状の支軸48が設けられている。支軸48が、ラインアイ41から隔てられてヘッド部13Aに回動可能に支持される被支持部である。軸孔49は、ヘッド部13Aの上部とヘッド部13Aの下部に形成されており、前記上部の表面から下方へ穿孔され、前記下部の表面から上方へ穿孔されている。各支軸48が各軸孔49に挿入されることにより、連結部材40Aは、支軸48を中心に幅方向D13へ回動可能に支持される。
【0081】
このように構成された連結部材40Aを備えるルアー10Bであっても、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。つまり、ルアー10Bの進行方向D1に対して横方向へ引き寄せるアクションが行われた場合に、連結部材40Aが側面側へ回動することによって前記ヘッド側面が前記リップのように機能する。これにより、ルアー10Bは引っ張られた方向へすぐに向きを変更するのではなく、前記アクションの前にルアー10が進行していた方向へ進み、しばらく進行した後にラインL1の引っ張り方向へ向きを変更する。これにより、ルアー10Bは、ロッド操作に即応する不自然な動作をすることなく、実際のベイトの泳動動作に似たリアルな動作をする。
【0082】
なお、上述の第1及び第2実施形態では、挿通部43に複数の軸孔44が形成され、マウント部52に複数の取付孔57が形成された構成について例示したが、本発明はこのような構成に限られない。本発明は、挿通部43に少なくとも一つの軸孔44が形成されており、マウント部52の少なくとも一つの取付孔57が形成されている構成にも適用可能である。また、本発明は、挿通部43に一つの軸孔44が形成されて、マウント部52に複数の取付孔57が形成された構成、或いは、挿通部43に複数の軸孔44が形成され、マウント部52に一つの取付孔57が形成された構成であっても適用可能である。
【0083】
[第4実施形態]
また、上述の第1及び第2実施形態では、ルアー10,10Aに対して連結部材40が幅方向D13へ回動する構成を例示したが、本発明はこのような構成に限られない。例えば、図17及び図18に示すように、切込み溝50が、前ボディ13の起立姿勢において、ヘッド部13Aの前端部13Dから後方へ鉛直面に沿って切り込まれていてもよい。この場合、図17に示すように、ヘッド部13Aの側面から支軸61が挿入可能なようにマウント部52が設けられている。
【0084】
この構成であれば、連結部材40は、支軸61を中心にして上下方向D12へ回動する。この場合、ルアー10が釣り人側へ引き寄せるようにリトリーブされた場合に連結部材40がヘッド部13Aの上面側、或いは下面側へ回動すると、ヘッド部13Aの上面或いは下面が前記リップのように機能する。この場合、ルアー10は、引っ張られた方向へすぐに向きを変更するのではなく、ルアー10のヘッド部13Aが向いている方向へ進み、しばらく進行した後にラインL1の引っ張り方向へ向きを変更する。例えば、ヘッド部13Aの上面側に連結部材40が回動して、当該上面に水の抵抗を受けている場合は、ルアー10は沈む方向へ進行し、しばらく沈んだ後にラインの引っ張り方向(斜め上方)へ向きを変える。このとき、ヘッド部13Aの向きが変更されたことに伴い、連結部材40がヘッド部13Aの下面側に回動する。そして、当該下面に水の抵抗を受けることにより、今度は、ルアー10は引っ張り方向よりも更に上方を向かって進行する。その後、しばらく進行した後に、ラインの引っ張り方向(斜め上方)へ向きを変える。この動作が繰り返されることにより、ルアー10は、潜水と上昇を繰り返す動作を行う。これにより、ルアー10は、ロッド操作に即応する不自然な動作をすることなく、実際のベイトの泳動動作に似たリアルな動作をする。
【0085】
[第5実施形態]
また、上述の第3実施形態では、ルアー10Bに対して連結部材40Aが幅方向D13へ回動する構成を例示したが、本発明はこのような構成に限られない。例えば、図19及び図20に示すように、連結部材40が上下方向D12へ回動可能なように、ヘッド部13Aに取り付けられていてもよい。
【0086】
また、上述の各実施形態では、連結部材40,40Aが前ボディ13のヘッド部13Aに取り付けられた構成について例示したが、本発明はこのような構成に限られない。例えば、連結部材40,40Aが中央ボディ14、或いは後ボディ15に取り付けられた構成にも、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10,10A,10B:釣り用ルアー
11 :ボディ部
12 :テール部
13 :前ボディ
13A :ヘッド部
13B :後端部
13C :下面
13D :前端部
14 :中央ボディ
15 :後ボディ
16,17 :連結部
40,40A :連結部材
41 :ラインアイ
43 :挿通部
43A :後端部
44 :軸孔
47 :アーム部
47A :上アーム
47B :下アーム
48 :支軸
49 :軸孔
50 :切込み溝
50A :溝底部
51 :深溝部
52 :マウント部
57 :取付孔
61 :支軸
65 :縦溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20