(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081661
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20230606BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20230606BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D83/00 Z
B65D75/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195552
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】村木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 佐保
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LB01
3E014LB08
3E014PA10
3E014PC01
3E014PE22
3E014PF10
3E067AA11
3E067AB16
3E067AB77
3E067AC14
3E067BA06A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA07
3E067EA04
3E067EA05
3E067EB17
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】包装箱本体から接着シートを引き上げることによって開封する包装箱において、前記接着シートを引き上げ易く、したがって、小さい力でも容易に開封できる包装箱を提供すること。
【解決手段】天面板A11又は天面板と正面板A12とに跨って開口する開口領域A10
1を有する包装箱本体A10と、粘着剤塗布領域A20
1が前記開口領域を囲んで接着された接着シートA20とで構成する。前記開口領域は破断予定線A10bと折り曲げ予定線A10bとで囲まれ、折り曲げ予定線を開封終端としてその方向に引っ張ることにより開口領域を開くことができる。そして、破断予定線A10bは、前記開封開始端において前記開封方向に斜めに交差する方向に延在する斜め延在線A10b
2,A10b
4を有しており、前記開封方向αに直交する方向A10b
3’と前記斜め延在線A10b
2,A10b
4との角度を15度以上とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱本体と、この包装箱本体に接着された接着シートとから成る包装箱において、
包装箱本体が天面板とこれに隣接する正面板とを有し、その天面板に開口する開口領域又は天面板と正面板とに跨って開口する開口領域が設けられており、
この開口領域が破断予定線と折り曲げ予定線とで囲まれて構成されており、
一方、前記接着シートは、その一部の領域又は全面に粘着剤が塗布されて粘着剤塗布領域とされていると共に、この粘着剤塗布領域が前記開口領域を囲んで包装箱本体の外面に接着されており、
この接着シートは、その一端部を開封開始端とし、包装箱本体の前記折り曲げ予定線を開封終端としており、開封開始端から開封終端に向かう方向を開封方向として、この開封方向に向けて接着シートを引っ張ることにより、前記破断予定線で破断して包装箱本体の前記開口領域を開くことができるように構成されており、
前記破断予定線は、前記開封開始端において前記開封方向に斜めに交差する方向に延在する斜め延在線を有しており、
前記開封方向に直交する方向と前記斜め延在線との角度が15度以上であることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
包装箱本体と、この包装箱本体に接着された接着シートとから成る包装箱において、
包装箱本体が天面板とこれに隣接する正面板とを有し、その天面板に開口する開口領域又は天面板と正面板とに跨って開口する開口領域が設けられており、
この開口領域が破断予定線と折り曲げ予定線とで囲まれて構成されており、
一方、前記接着シートは、その一部の領域又は全面に粘着剤が塗布されて粘着剤塗布領域とされていると共に、この粘着剤塗布領域が前記開口領域を囲んで包装箱本体の外面に接着されており、
この接着シートは、その一端部を開封開始端とし、包装箱本体の前記折り曲げ予定線を開封終端としており、開封開始端から開封終端に向かう方向を開封方向として、この開封方向に向けて接着シートを引っ張ることにより、前記破断予定線で破断して包装箱本体の前記開口領域を開くことができるように構成されており、
前記粘着剤塗布領域が、その開封開始端において前記開封方向に斜めに交差する方向に延在する斜め交差辺を有しており、
前記開封方向に直交する方向と前記斜め交差辺との角度が30度以上であることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前記接着シートと包装箱本体との粘着強度が、5~20N/15mmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記接着シートを引っ張って開封するときに摘まむ摘まみ片が、前記開封開始辺の外側に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記摘まみ片が、前記接着シートに設けられて、粘着剤が塗布されていない粘着剤非塗布領域からなることを特徴とする請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記開封開始辺の外側の位置において、前記包装箱本体に破断線(摘まみ片用破断線)が設けられており、この摘まみ片用破断線に囲まれた領域を前記摘まみ片としていることを特徴とする請求項4に記載の包装箱。
【請求項7】
前記開口領域が包装箱本体の天面板に設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の包装箱。
【請求項8】
接着シートの前記粘着剤塗布領域が包装箱本体の天面板に接着されていることを特徴とする請求項7に記載の包装箱。
【請求項9】
前記開口領域が包装箱本体の天面板と正面板とに跨って設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の包装箱。
【請求項10】
接着シートの前記粘着剤塗布領域が包装箱本体の天面板と正面板とに跨って接着されていることを特徴とする請求項9に記載の包装箱。
【請求項11】
前記折り曲げ予定線が包装箱本体を貫通した全切り線から成ることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の包装箱。
【請求項12】
前記折り曲げ予定線が、少なくともその一部が包装箱本体を貫通していない線から成ることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の包装箱。
【請求項13】
前記折り曲げ予定線が、押し罫線から成ることを特徴とする請求項12に記載の包装箱。
【請求項14】
前記折り曲げ予定線が、ミシン目線から成ることを特徴とする請求項12に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱本体と、この包装箱本体に接着された接着シートとから成る包装箱であって、開封と封止とを繰り返すことができる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば紙製の包装箱本体(紙箱本体)の天面板に開口領域を設け、この開口領域を囲んで包装箱本体の外面に接着シートを接着させた包装箱(紙箱)は公知であり、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この紙箱においては、前記接着シートとしてプラスチックシートの上に粘着剤層を塗布形成したシートを使用して、その粘着剤層によって紙箱本体の外面に接着している。そして、接着シートの先端を摘まんで引き上げると、接着シートは開口領域の外側の領域では紙箱本体から剥離し、開口領域を接着したまま引き上げられ、開口領域の天面板側の端縁を回動中心として回動するように開口する。このとき、前記端縁の位置では、紙箱本体と接着シートとは一体のもののように折り曲げられる。
【0004】
なお、前述の粘着剤層は、紙箱本体から剥離した後、再度接着できる粘着剤を使用しているから、この包装箱は開封と再封とを何度も繰り返すことができる。しかも、開封した際にも、紙箱本体と接着シートとは前記開口領域の天面板側端縁で位置固定されているから、その再封に際して位置ずれを生じることもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このように包装箱本体から接着シートを引き上げることによって開封する包装箱において、前記接着シートを引き上げ易く、したがって、小さい力でも容易に開封できる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、包装箱本体と、この包装箱本体に接着された接着シートとから成る包装箱において、
包装箱本体が天面板とこれに隣接する正面板とを有し、その天面板に開口する開口領域又は天面板と正面板とに跨って開口する開口領域が設けられており、
この開口領域が破断予定線と折り曲げ予定線とで囲まれて構成されており、
一方、前記接着シートは、その一部の領域又は全面に粘着剤が塗布されて粘着剤塗布領域とされていると共に、この粘着剤塗布領域が前記開口領域を囲んで包装箱本体の外面に接着されており、
この接着シートは、その一端部を開封開始端とし、包装箱本体の前記折り曲げ予定線を開封終端としており、開封開始端から開封終端に向かう方向を開封方向として、この開封方向に向けて接着シートを引っ張ることにより、前記破断予定線で破断して包装箱本体の前記開口領域を開くことができるように構成されており、
前記破断予定線は、前記開封開始端において前記開封方向に斜めに交差する方向に延在する斜め延在線を有しており、
前記開封方向に直交する方向と前記斜め延在線との角度が15度以上であることを特徴
とする包装箱である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、包装箱本体と、この包装箱本体に接着された接着シートとから成る包装箱において、
包装箱本体が天面板とこれに隣接する正面板とを有し、その天面板に開口する開口領域又は天面板と正面板とに跨って開口する開口領域が設けられており、
この開口領域が破断予定線と折り曲げ予定線とで囲まれて構成されており、
一方、前記接着シートは、その一部の領域又は全面に粘着剤が塗布されて粘着剤塗布領域とされていると共に、この粘着剤塗布領域が前記開口領域を囲んで包装箱本体の外面に接着されており、
この接着シートは、その一端部を開封開始端とし、包装箱本体の前記折り曲げ予定線を開封終端としており、開封開始端から開封終端に向かう方向を開封方向として、この開封方向に向けて接着シートを引っ張ることにより、前記破断予定線で破断して包装箱本体の前記開口領域を開くことができるように構成されており、
前記粘着剤塗布領域が、その開封開始端において前記開封方向に斜めに交差する方向に延在する斜め交差辺を有しており、
前記開封方向に直交する方向と前記斜め交差辺との角度が30度以上であることを特徴とする包装箱である。
【0009】
なお、前記接着シートと包装箱本体との粘着強度が、5~20N/15mmの範囲内であることが望ましい。
【0010】
また、前記接着シートを引っ張って開封するときに摘まむ摘まみ片は、前記開封開始辺の外側に設けることができる。この摘まみ片は、前記接着シートに設けられて、粘着剤が塗布されていない粘着剤非塗布領域からなるものであっても良いし、前記開封開始辺の外側の位置において、前記包装箱本体に破断線(摘まみ片用破断線)が設けられており、この摘まみ片用破断線に囲まれた領域を前記摘まみ片とすることもできる。
【0011】
また、前記開口領域は包装箱本体の天面板に設けることができる。この場合、接着シートの前記粘着剤塗布領域は包装箱本体の天面板に接着することが可能である。
【0012】
一方、前記開口領域を包装箱本体の天面板と正面板とに跨って設けることもできる。この場合、接着シートの前記粘着剤塗布領域は包装箱本体の天面板と正面板とに跨って接着することが可能である。
【0013】
なお、前記折り曲げ予定線は包装箱本体を貫通した全切り線で構成してもよい。
【0014】
また、前記折り曲げ予定線を、少なくともその一部が包装箱本体を貫通していない線から構成することもできる。例えば、押し罫線やミシン目線である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記包装箱本体の開封方向に直交する方向と斜め延在線との角度が15度以上であり、あるいは前記接着シートの開封方向に直交する方向と斜め交差辺との角度が30度以上であるため、小さい力でも楽に接着シートを引き上げて、容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の第1の実施形態に係り、
図2(a)は包装箱本体の説明用斜視図、
図2(b)は
図2(a)のうち、Xで示す領域の拡大説明図である。
【
図3】
図3は本発明の第1の実施形態に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図4】
図4は本発明の第1の実施形態に係り、包装箱の開口状態を示す説明用断面図である。
【
図5】
図5は本発明の第2の実施形態に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の第2の実施形態に係り、
図6(a)は包装箱本体の説明用斜視図、
図6(b)は
図6(a)のうち、Xで示す領域の拡大説明図である。
【
図7】
図7は本発明の第2の実施形態に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図8】
図8は本発明の第2の実施形態に係り、包装箱の開口状態を示す説明用断面図である。
【
図9】
図9は本発明の第3の実施形態に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図10】
図10は本発明の第3の実施形態に係り、
図10(a)は包装箱本体の説明用斜視図、
図10(b)は
図10(a)のうち、Xで示す領域の拡大説明図である。
【
図11】
図11は本発明の第3の実施形態に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図12】
図12は本発明の第4の実施形態に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図13】
図13は本発明の第4の実施形態に係り、
図13(a)は包装箱本体の説明用斜視図、
図13(b)は
図13(a)のうち、Xで示す領域の拡大説明図である。
【
図14】
図14は本発明の第4の実施形態に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図15】
図15は第1の実験群に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図16】
図16は第1の実験群に係る包装箱本体の説明用斜視図である。
【
図17】
図17は第1の実験群に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図18】
図18は第2の実験群に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図19】
図19は第2の実験群に係る包装箱本体の説明用斜視図である。
【
図20】
図20は第2の実験群に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図21】
図21は第3の実験群に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図22】
図22は第3の実験群に係る包装箱本体の説明用斜視図である。
【
図23】
図23は第3の実験群に係る接着シートの説明用展開図である。
【
図24】
図24は第4の実験群に係る包装箱の説明用斜視図である。
【
図25】
図25は第4の実験群に係る包装箱本体の説明用斜視図である。
【
図26】
図26は第4の実験群に係る接着シートの説明用展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の特徴的構成は、包装箱本体の開封方向に直交する方向と前記斜め延在線との角度θ1が15度以上であるか、あるいは、接着シートの開封方向に直交する方向と前記斜め交差辺との角度θ2が30度以上であることにある。このため、以下に説明する4つの実施形態のいずれにおいても、前記外角θ1は15度以上であり、また、前記外角θ2は30度以上である。
【0018】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して、第1の実施形態を説明する。この実施形態に係る包装箱Aは、開口領域A10
1が天面板A11と正面板A12とに跨って設けられ、また、接着シートA20を引っ張って開封するときに摘まむ摘まみ片A20
2が、接着シートA20の粘着剤非塗布領域からなるものである。そして、
図1は本発明の第1の実施形態に係る包装箱の説明用斜視図であり、
図2はその包装箱本体の説明用斜視図、
図3はその接着シートの説明用展開図である。また、
図4はこの包装箱の開口状態を示している。
【0019】
図1から分かるように、この包装箱Aは包装箱本体A10と接着シートA20とで構成されており、接着シートA20は包装箱本体A10の外面に接着されている。
【0020】
包装箱本体A10は、
図1及び
図2に示すように、直方体形状を有している。符号A11は天面板を示し、符号A12は正面板を示している。なお、符A13は包装箱本体A10の側面板を表している。
【0021】
そして、天面板A11には、天面板A11と正面板との間の境界線A10cに平行に延びる折り曲げ予定線A10aが設けられている。この折り曲げ予定線A10aは、包装箱Aを開封した際に、後述する開口領域の回動中心となる線である。この折り曲げ予定線A10aは、少なくともその一部が包装箱本体を貫通していない線で構成することができる例えば、押し罫線、あるいはミシン目線である。包装箱本体A10が折り曲げ易い材質で構成されているときには、押し罫線やミシン目線を設けることなく、開口時に折り曲げを予定した仮想的な線としてもよい。あるいは、包装箱本体A10を貫通した切込み線でこの折り曲げ予定線A10aを構成することも可能である。
【0022】
そして、この包装箱本体10には、折り曲げ予定線A10aの両端部のうち一方の端部又はその近傍から出発して他方の端部又はその近傍に至る破断予定線A10bが設けられている。破断予定線A10bは5つの部分で構成されている。
【0023】
まず、第1の部分A10b1は、前記折り曲げ予定線A10aの一方の端部又はその近傍から出発して天面板A11内を延び、前記境界線A1012を越えて、正面板A12内を前記境界線A10cに垂直な方向に延びる部分である。
【0024】
次に、第2の部分A10b2は、第1の部分A10b1に連続して、正面板A12内を斜めに延びる部分である。
【0025】
また、第3の部分A10b3は、第2の部分A10b2に連続して、正面板A12内を延びる部分で、この第3の部分A10b3は前記境界線A10cに平行に延びている。
【0026】
次に、第4の部分A10b4は、第3の部分A10b3に連続して、正面板A12内を斜めに延びる部分である。図から分かるように、第3の部分A10b3の垂直二等分線を対称軸として、第2の部分A10b2と線対称に構成されている。
【0027】
次に、第5の部分A10b5は、第4の部分A10b4に連続して、正面板A12内を延び、前記境界線A1012を越え、天面板A11内を前記境界線A10cに垂直な方向に延びて、前記折り曲げ予定線A10aの他方の端部又はその近傍に到達する部分である。
【0028】
ところで、この破断予定線A10bは、例えば、ミシン目線やハーフカット線で構成することが可能である。
【0029】
以上の説明から分かるように、第1の部分A10b
1~第5の部分A10b
5から成る破断予定線A10bと折り曲げ予定線A10aとは、その両者で閉曲線を構成している。そして、この閉曲線で囲まれた部分は開口領域を構成しており、破断予定線A10bで包装箱本体A10を破断して、前記境界線A10cに垂直な方向に引っ張ると、折り曲げ予定線A10aを回動中心として開口領域を回動させることにより、ここを開口することができる。
図1において、矢印αはこの開封方向を示している。
【0030】
次に、この包装箱本体A10には、その外面に接着シートA20が接着されている。この接着シートA20は、その基材(接着シート基材)の一方の面に粘着剤層を設けたものである。なお、後述するように、この実施形態に係る接着シートA20には、開封するときに摘まむ摘まみ片A202が設けられており、この摘まみ片A202は粘着剤が塗布されていない粘着剤非塗布領域で構成されている。
【0031】
粘着剤を塗付して接着性を獲得した粘着剤塗布領域A20
1は、
図1及び
図3において、ハッチングを付して示している。
図3から分かるように、この粘着剤塗布領域A20
1は包装箱本体A10の開口領域A10
1に似た六角形の形状を有しており、しかも、この開口領域A10
1を囲んで包装箱本体A10に接着されている。
【0032】
開口領域A10
1を囲む折り曲げ予定線A10aと破断予定線A10bとに対応して、この粘着剤塗布領域の外形を構成する辺を説明すると、まず、第1の外形辺は、折り曲げ予定線A10aに対応する開封時固定辺A20aである。この開封時固定辺A20aは、開封したときにも包装箱本体A10に接着固定されて剥離しない辺である。
図1から分かるように、開封時固定辺A20aは開口領域A10
1の外側に配置されている。また、この実施形態では、開封時固定辺A20aは、折り曲げ予定線A10aに平行に、したがって、天面板A11と正面板との間の境界線A10cに平行に延びている。
【0033】
次に、第2の外形辺A20b1は、破断予定線A10bの第1の部分A10b1に対応する外形辺である。したがって、第2の外形辺A20b1は、前記第1の部分A10b1に平行に、しかも、開口領域の外側に配置されている。すなわち、この第2の外形辺A20b1は、前記開封時固定辺A20aの一方の端部から出発して天面板A11内を延び、前記境界線A10cを越えて、正面板A12内を前記境界線A10cに垂直な方向に延びている。
【0034】
次に、第3の外形辺A20b
2は、破断予定線A10bの第2の部分A10b
2に対応する外形辺である。この第3の外形辺A20b
2も開口領域の外側に配置されており、前記第2の部分A10b
2と同様に、第2の外形辺A20b
1に連続して正面板A12内を斜めに延びている。もっとも、
図1や
図2(a)から分かるように、第3の外形辺A20b
2は破断予定線A10bの前記第2の部分A10b
2に平行に延びているわけではない。
【0035】
次に、第4の外形辺A20b3は、破断予定線A10bの第3の部分A10b3に対応する外形辺である。この第4の外形辺A20b3は、前記第3の部分A10b3に平行に、しかも、開口領域の外側に配置されている。すなわち、この第4の外形辺A20b3は、前記第3の外形辺A20b2に連続して正面板A12内を前記境界線A10cに平行に延びている。なお、この第4の外形辺A20b3の外側には、粘着剤が塗布されていない前記摘まみ片A202が連接されている。
【0036】
次に、第5の外形辺A20b4は、破断予定線A10bの第4の部分A104に対応する外形辺で、前記第4の外形辺A20b3に連続して正面板A12内を斜めに延びている。この第5の外形辺A20b4は、図から分かるように、第4の外形辺A20b3の垂直二等分線を対称軸として、第3の外形辺A20b2と線対称に構成されている。もちろん、第5の外形辺A20b4が延在する方向は、破断予定線A10bの第4の部分A104と平行ではない。
【0037】
最後に、第6の外形辺A20b5は、破断予定線A10bの第5の部分A105に対応する外形辺である。この第6の外形辺A20b5は、第5の外形辺A20b4に連続して、正面板A12内を延び、前記境界線A1012を越え、天面板A11内を前記境界線A1012に垂直な方向に延びて、前記開封時固定辺A20aの他方の端部に到達している。
【0038】
ところで、この包装箱Aは、摘まみ片A20
2を摘まんで接着シートA20を開封方向αに引っ張ることにより、包装箱本体A10が、前記破断予定線A10bで破断し、この破断予定線A10bで囲まれた開口領域A20
1が前記折り曲げ予定線A10aで回動し
て開口することができる(
図4参照)。このとき、破断予定線A10bは、まず、開封方向αに直交する第3の部分A10b
3で破断を開始する。次に、この第3の部分A10b
3の両側に位置する第2の部分A10b
2及び第4の部分A10b
4が破断する。そこで、包装箱本体A10の破断予定線A10bに着目して、開封方向αに斜めに交差する方向に延在する第2の部分A10b
2と第4の部分A10b
4を斜め延在線と呼んで、開封方向αに直交する第3の部分A10b
3と斜め延在線A10b
2,A10b
4との角度θ
1、すなわち、第3の部分A10b
3と斜め延在線A10b
2,A10b
4との交点における外角θ
1が15度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートA20を引き上げて、容易に開封することができる。なお、
図2(b)において、「A10b
3’」は、開封方向αに直交する第3の部分A10b
3の延長線、すなわち、開封方向αに直交する方向を示している。
【0039】
また、接着シートA20に着目すると、包装箱Aの開口の際には、まず、摘まみ片A20
2が連接されて、開封方向αに直交する第4の外形辺A20b
3が包装箱本体A10から剥離する。次に、この第4の外形辺A20b
3の両側に位置する第3の外形辺A20b
2及び第5の外形辺A20b
4が破断する。そこで、開封方向αに斜めに交差する方向に延在する第3の外形辺A20b
2と第5の外形辺A20b
4を斜め交差辺と呼んで、開封方向αに直交する第4の外形辺A20b
3と斜め交差辺A20b
2,A20b
4との角度θ
2、すなわち、第4の外形辺A20b
3と斜め交差辺A20b
2,A20b
4との交点における外角θ
2が30度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートA20を引き上げて、容易に開封することができる。なお、
図3において、「A20b
3’」は、開封方向αに直交する第4の外形辺A20b
3の延長線、すなわち、開封方向αに直交する方向を示している。
【0040】
なお、前記接着シートA20の粘着剤塗布領域A201と包装箱本体A10との粘着強度に着目して、その粘着強度と開封し易さについては、その粘着強度が、5~20N/15mmの範囲内にあるとき、小さい力でも楽に接着シートA20を引き上げて、容易に開封することができる。
【0041】
ところで、包装箱本体A10の材質としては、その層構成中に紙を含むものを好ましく適用することができる。紙基材の内面側に防湿性のプラスチックフィルムを配置した層構成を有する場合には、密閉性を要する内容物を収容することができる。例えば、菓子である。また、紙基材の内面側に水蒸気バリア性のフィルムを配置した場合には、菓子などのほか、ウェットティッシュ等を収容することもできる。水蒸気バリア性のフィルムとしては、例えば、金属蒸着膜や酸化アルミニウムなどの無機酸化物の蒸着膜を有する蒸着フィルムが例示できる。また、ポリ塩化ビニリデンフィルムやこのポリ塩化ビニリデンを塗布したフィルムであってもよい。さらに、その層構成中にアルミニウム箔などの金属箔を有するものを使用することも可能である。
【0042】
また、接着シートA20は、その基材(接着シート基材)の一方の面に粘着剤層を設けたものを使用できる。接着シート基材は任意のシートでよいが、その層構成中にプラスチックシートを含むものが好ましい。また、粘着剤層は、包装箱本体A10の外面に接着でき、また、接着した接着シートA20を剥離した後にも、包装箱本体A10の外面に再接着できる粘着剤を好ましく適用できる。このように剥離と接着とを繰り返す粘着剤を使用することにより、包装箱Aの開封と密封とを何度も繰り返すことが可能となる。
【0043】
以上説明したように、この包装箱Aは、
図4に示すように開口することができる。すなわち、摘み片A20
2を摘まんで引き上げると、接着シートA20は開口領域A10
1の外側の領域では紙箱本体から剥離し、開口領域を接着したまま引き上げられ、折り曲げ予定線A10aを回動中心として回動するように開口する。
【0044】
そして、再封するには、引き上げられた接着シートA20を回動させて、その開口を塞ぎ、開口領域の周囲で接着シートA20を包装箱本体A10の外面に接着すればよい。
【0045】
なお、この開封と再封とは何度も繰り返して行うことができる。
【0046】
(第2の実施形態)
以下、添付図面を参照して、第2の実施形態を説明する。前記第1の実施形態に係る包装箱Aでは、接着シートA20を引っ張って開封するときに摘まむ摘まみ片A20
2を接着シートA20の粘着剤非塗布領域で構成していたが、この第2の実施形態に係る包装箱Bは、接着シートB20には粘着剤非塗布領域が存在せず、その代わりに包装箱本体B10に破断線(摘まみ片用破断線)B10dが設けられており、この摘まみ片用破断線B10dに囲まれた領域に貫通孔B10
2を設けて、その端縁を摘まみ片としているもので、その他の点では、前記第1の実施形態と同様である。なお、
図5はこの第2の実施形態に係る包装箱Bの説明用斜視図であり、
図6はその包装箱本体B10の説明用斜視図、
図7はその接着シートB20の説明用展開図である。また、
図8はこの包装箱Bの開口状態を示している。
【0047】
この包装箱本体B10においても、第1の実施形態に係る包装箱本体A10と同様に、天面板B11と正面板B12とに跨る開口領域が設けられており、この開口領域は、折り曲げ予定線B10aと破断予定線B10bとで囲まれている。破断予定線B10bは、第1の実施形態に係る破断予定線A10bと同様に、5つの部分B10b
1~B10b
5から構成されているが、このうち、第3の部分B10b
3は、その一部で外側に屈曲して、後述する摘まみ片用破断線B10dを構成している。そして、第2の部分B10b
2と第4の部分B10b
4は開封方向αに斜めに交差する方向に延在する斜め延在線である。そして、開封方向αに直交する第3の部分B10b
3と斜め延在線B10b
2,B10b
4との角度θ
1、すなわち、斜め延在線B10b
2,B10b
4と第3の部分B10b
3との交点における外角θ
1が15度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートB20を引き上げて、容易に開封することができる。
図6(b)において、「B10b
3’」は、開封方向αに直交する第3の部分B10b
3の延長線、すなわち、開封方向αに直交する方向を示している。
【0048】
また、包装箱本体B10には、その外面に接着シートB20が接着されている。この点も第1の実施形態と同様である。接着シートB20には六角形状の粘着剤塗布領域が設けられている。この六角形状粘着剤塗布領域の6本の外形辺B20b1~B20b6のうち、第3の外形辺B20b2と第5の外形辺B20b4とは開封方向αに斜めに交差する方向に延在する斜め交差辺である。そして、開封方向αに直交する第4の外形辺B20b3と斜め交差辺B20b2,B20b4との角度θ2、すなわち、第4の外形辺B20b3と斜め交差辺B20b2,B20b4との交点における外角θ2が30度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートB20を引き上げて、容易に開封することができる。
【0049】
次に、第2の実施形態に係る包装箱Bが第1の実施形態に係る包装箱Aと異なる相違点について説明すると、この包装箱Bでは、まず、接着シートB20の全面に粘着剤が塗布されている。すなわち、この接着シートB20はその全面が粘着剤塗布領域とされており、粘着剤非塗布領域は存在せず、もちろん、この粘着剤非塗布領域からなる摘まみ片も存在しない。この接着シートB20はその全面で包装箱本体B10に接着されているのである。
【0050】
一方、包装箱本体B10には、破断予定線B10bの第3の部分B10b3の一部において、破断予定線A10bが外側に屈曲して、接着シートB20の外側に位置する部位に
曲線状の摘まみ片用破断線B10dが設けられている。そして、この摘まみ片用破断線B10dと接着シートB20の第4の外形辺B20b3とで囲まれた領域を貫通孔B102を設けて、その端縁を摘まみ片としている。
【0051】
このため、この包装箱Bを開封するときには、まず前記貫通孔B102の端縁を摘まみ片としてこの摘まみ片を引き出し、こうして引き出した摘まみ片を摘まんで引き上げることにより、折り曲げ予定線B10aを回動中心として開口領域B101が回動して開口する。
【0052】
なお、前述のように、この包装箱Bにおいても、開封方向αに直交する第3の部分B10b3と斜め延在線B10b2,B10b4との角度θ1が15度以上の場合、あるいは、開封方向αに直交する第4の外形辺B20b3と斜め交差辺B20b2,B20b4との角度θ2が30度以上の場合、小さい力で容易に開封することが可能である。また、前記接着シートB20の粘着剤塗布領域B201と包装箱本体B10との粘着強度は5~20N/15mmの範囲内にあることが望ましい。
【0053】
(第3の実施形態)
以下、添付図面を参照して、第3の実施形態を説明する。前記第1の実施形態に係る包装箱Aでは、開口領域が天面板A11と正面板A12とに跨って設けられていたが、第3の実施形態に係る包装箱Cでは、開口領域が天面板C11に設けられており、正面板C12には達していない。その他の点では、前記第1の実施形態と同様である。なお、
図9はこの第3の実施形態に係る包装箱Cの説明用斜視図であり、
図10はその包装箱本体C10の説明用斜視図、
図11はその接着シートC20の説明用展開図である。
【0054】
この包装箱本体C10においては、天面板C11に開口領域C10
1が設けられている。この開口領域C10
1は、第1の実施形態に係る開口領域A10
1と同様に、折り曲げ予定線C10aと破断予定線C10bとで囲まれている。破断予定線C10bは、第1の実施形態に係る破断予定線A10bと同様に、5つの部分C10b
1~C10b
5から構成されているが、このうち、第2の部分C10b
2と第4の部分C10b
4は開封方向αに斜めに交差する方向に延在する斜め延在線である。そして、開封方向αに直交する第3の部分C10b
3と斜め延在線C10b
2,C10b
4との角度θ
1、すなわち、斜め延在線C10b
2,C10b
4と第3の部分C10b
3との交点における外角θ
1が15度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートC20を引き上げて、容易に開封することができる。
図10(b)において、「C10b
3’」は、開封方向αに直交する第3の部分C10b
3の延長線、すなわち、開封方向αに直交する方向を示している。なお、
図1と
図9とを対比して分かるように、第1の実施形態における斜め延在線A10b
2,A10b
4と第3の部分A10b
3とは正面板12の内部にあり、第3実施形態における斜め延在線C10b
2,C10b
4と第3の部分C10b
3とは天面板11の内部にあって、このため、接着シートC20を引っ張る方向が異なるにも拘わらず、いずれの場合であっても、前記外角θ
1が15度以上の場合容易に開封することができるのである。
【0055】
また、包装箱本体C10には、その外面に接着シートC20が接着されている。この点も第1の実施形態と同様である。接着シートC20には六角形状の粘着剤塗布領域が設けられている。この六角形状粘着剤塗布領域の6本の外形辺C20b1~C20b6のうち、第4の外形辺C20b3は開封開始辺であり、その外側に、粘着剤非塗布領域で構成された摘まみ片C202が連接されている。また、第3の外形辺C20b2と第5の外形辺C20b4とは開封方向αに斜めに交差する方向に延在する斜め交差辺である。そして、斜め交差辺C20b2,C20b4と開封開始辺C20b3との角度θ2、すなわち、すなわち、第4の外形辺C20b3と斜め交差辺C20b2,C20b4との交点における外角θ2が30度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートC20を引き上げて、容易に開封することができる。
【0056】
このため、この包装箱Cは、第1の実施形態に係る包装箱Aと同様に、摘まみ片C202を引き出し、こうして引き出した摘まみ片C202を摘まんで引き上げることにより、開口領域が回動して開口することができる。
【0057】
なお、前述のように、この包装箱Cにおいても、開封方向αに直交する第3の部分C10b3と前記斜め延在線C10b2,C10b4との角度θ1が15度以上の場合、あるいは、開封方向αに直交する第4の外形辺C20b3と斜め交差辺C20b2,C20b4との角度θ2が30度以上の場合、小さい力で容易に開封することが可能である。また、前記接着シートC20の粘着剤塗布領域C201と包装箱本体C10との粘着強度は5~20N/15mmの範囲内にあることが望ましい。
【0058】
(第4の実施形態)
以下、添付図面を参照して、第4の実施形態を説明する。前記第1の実施形態に係る包装箱Aでは、開口領域A101が天面板A11と正面板A12とに跨って設けられていたが、第4の実施形態に係る包装箱Dでは、開口領域D101が天面板D11に設けられており、正面板D12には達していない。また、前記第1の実施形態に係る包装箱Aでは、接着シートA20を引っ張って開封するときに摘まむ摘まみ片A202を接着シートA20の粘着剤非塗布領域で構成していたが、この第4の実施形態に係る包装箱Dは、接着シートD20には粘着剤非塗布領域が存在せず、その代わりに包装箱本体D10に破断線(摘まみ片用破断線)D10dが設けられており、この摘まみ片用破断線D10dに囲まれた領域に貫通孔D102を設けて、その端縁を摘まみ片としている。その他の点では、前記第1の実施形態と同様である。
【0059】
なお、この第4の実施形態に係る包装箱Dと第2の実施形態に係る包装箱Bとを対比すると、第2の実施形態に係る包装箱Bでは開口領域B101が天面板A11と正面板A12とに跨って設けられていたが、第4の実施形態に係る包装箱Dでは、開口領域D101が天面板D11に設けられており、正面板D12には達していない点で相違している。また、第2の実施形態に係る包装箱Bでは、破断予定線の第3の部分B10b3を、その一部で外側に屈曲して摘まみ片用破断線B10dを構成していたが、第4の実施形態に係る包装箱Dでは、第3の部分B10b3が存在せず、第2の部分B10b1の端点と第4の部分B10b4の端点とをつなぐように摘まみ片用破断線D10dが設けられている。その他の点では、両者はおおむね同様である。
【0060】
また、第4の実施形態に係る包装箱Dと第3の実施形態に係る包装箱Cとを対比すると、第3の実施形態に係る包装箱Cでは、接着シートC20を引っ張って開封するときに摘まむ摘まみ片C202を接着シートC20の粘着剤非塗布領域で構成していたが、この第4の実施形態に係る包装箱Dは、接着シートD20には粘着剤非塗布領域が存在せず、その代わりに包装箱本体D10に破断線(摘まみ片用破断線)D10dが設けられており、この摘まみ片用破断線D10dに囲まれた領域に貫通孔D102を設けて、その端縁を摘まみ片としている。その他の点では、両者は同様である。
【0061】
図12はこの第4の実施形態に係る包装箱Dの説明用斜視図であり、
図13はその包装箱本体D10の説明用斜視図、
図14はその接着シートD20の説明用展開図である。
【0062】
この包装箱本体D10においては、天面板D11に開口領域が設けられている。この開口領域は、第1の実施形態に係る開口領域と同様に、折り曲げ予定線D10aと破断予定線D10bとで囲まれている。破断予定線D10bは、4つの部分D10b1,D10b2,D10b4及びD10b5から構成されており、この第2の部分B10b1の端点と
第4の部分B10b4の端点とをつなぐように摘まみ片用破断線D10dが設けられている。
【0063】
ところで、これら4つの部分D10b
1,D10b
2,D10b
4及びD10b
5のうち、第2の部分D10b
1と第4の部分D10b
4は開封方向αに斜めに交差する方向に延在する斜め延在線である。第2の部分D10b
1の端点と第4の部分D10b
4の端点とを直線状につなぐ第3の部分は存在しないが、この第3の部分D10b
3に相当する仮想線D10b
3を考えると、このは、仮想線D10b
3は開封方向αに直交する。そして、開封方向αに直交するこの仮想線D10b
3と斜め延在線D10b
2,D10b
4との角度θ
1が15度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートD20を引き上げて、容易に開封することができる。
図13(b)において、「C10b
3’」は、開封方向αに直交する仮想線D10b
3の延長線、すなわち、開封方向αに直交する方向を示している。
【0064】
また、包装箱本体D10には、その外面に接着シートD20が接着されている。この点も第1の実施形態と同様である。接着シートD20には六角形状の粘着剤塗布領域が設けられている。この六角形状粘着剤塗布領域の6本の外形辺D20b1~D20b6のうち、第3の外形辺D20b2と第5の外形辺D20b4とは開封方向αに斜めに交差する方向に延在する斜め交差辺である。そして、開封方向αに直交する第4の外形辺D20b3と斜め交差辺D20b2,D20b4との角度θ2、すなわち、第4の外形辺D20b3と斜め交差辺D20b2,D20b4との交点における外角θ2が30度以上の場合、小さい力でも楽に接着シートD20を引き上げて、容易に開封することができる。
【0065】
ところで、この包装箱Dでは、接着シートD20の全面に粘着剤が塗布されている。すなわち、この接着シートD20はその全面が粘着剤塗布領域とされており、粘着剤非塗布領域は存在せず、もちろん、この粘着剤非塗布領域からなる摘まみ片も存在しない。この接着シートD20はその全面で包装箱本体D10に接着されているのである。
【0066】
一方、包装箱本体B10には、破断予定線A10bの第2の部分D10b1の端点と第4の部分D10b4の端点をつないで、しかも、接着シートD20の外側に位置する部位に曲線状の摘まみ片用破断線D10dが設けられている。そして、この摘まみ片用破断線D10dと接着シートD20の第4の外形辺D20b3とで囲まれた領域に貫通孔D102を設けて、その端縁を摘まみ片としている。
【0067】
この包装箱Dを開封するときには、まず貫通孔D102の端縁を摘まみ片として摘まみ片を引き出し、こうして引き出した摘まみ片を摘まんで引き上げることにより、折り曲げ予定線D10aを回動中心として開口領域D101が回動して開口する。
【0068】
なお、前述のように、この包装箱Dにおいても、開封方向αに直交する方向と前記斜め延在線D10b2,D10b4との角度θ1が15度以上の場合、あるいは、開封方向αに直交する第4の外形辺D20b3と斜め交差辺D20b2,D20b4との角度θ2が30度以上の場合、小さい力で容易に開封することが可能である。また、前記接着シートD20の粘着剤塗布領域D201と包装箱本体D10との粘着強度は5~20N/15mmの範囲内にあることが望ましい。
【実施例0069】
[第1の実験群]
これらの例で使用した包装箱は、
図1~4に示す第1の実施形態に係る包装箱Aである。そして、包装箱本体A10の層構成は、その外面側から、厚さ30μmのポリエチレン樹脂層、厚さ12μmのポリエステルフィルムを蒸着基材とする蒸着フィルム、厚さ30μmのポリエチレン樹脂層、坪量310g/m
2の耐水紙、厚さ30μmのポリエチレン樹脂層である。
【0070】
また、これらの例で使用した接着シートA20の層構成は、その外面側から、ポリ塩化ビニリデンを塗付した厚さ20μmのポリプロピレンフィルム、接着剤、厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルム、アクリル系粘着剤層である。
【0071】
そして、これらの例で使用した包装箱本体A10の各部の寸法、接着シートA20の各部の寸法及び包装箱本体A10に接着シートA20を接着した状態の包装箱Aの各部の寸法を、それぞれ、
図15~
図17に示す。
【0072】
(実験例1-1)
実験例1-1は、開封方向αに直交する方向と包装箱本体A10の斜め延在線A10b2,A10b4との角度θ1を0度から30度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果を表1に示す。
【0073】
【0074】
この結果から、
図1~4に示す第1の実施形態に係る包装箱Aにおいては、角度θ
1が15度以上の場合、接着シートA20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0075】
(実験例1-2)
実験例1-2は、開封方向αに直交する方向と接着シートA20の斜め交差辺A20b2,A20b4との角度θ2を0度から45度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果を表2に示す。
【0076】
【0077】
この結果から、
図1~4に示す第1の実施形態に係る包装箱Aにおいては、角度θ
2が30度以上の場合、接着シートA20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0078】
(実験例1-3)
実験例1-3は、接着シートA20の粘着剤塗布領域と包装箱本体A10との粘着強度を変化させて、開封し易いか否か判定したものである。なお、この粘着強度は、180度剥離で、剥離速度300mm/minの条件で測定したものである。この結果を表3に示す。
【0079】
【0080】
この結果から、
図1~4に示す第1の実施形態に係る包装箱Aにおいては、接着シートA20の粘着剤塗布領域と包装箱本体A10との粘着強度が5~20N/15mmの範囲内にある場合、接着シートA20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0081】
[第2の実験群]
これらの例で使用した包装箱は、
図5~8に示す第2の実施形態に係る包装箱Bである。そして、包装箱本体B10の層構成は、その外面側から、外面印刷層、厚さ12μmのポリエステルフィルムを蒸着基材とする蒸着フィルム、厚さ20μmのポリエチレン樹脂層、坪量310g/m
2の耐水紙、厚さ30μmのポリエチレン樹脂層である。
【0082】
また、これらの例で使用した接着シートB20の層構成は、第1の実験群で使用した接着シートA20の層構成と同様で、その外面側から、ポリ塩化ビニリデンを塗付した厚さ20μmのポリプロピレンフィルム、接着剤、厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルム、アクリル系粘着剤層である。
【0083】
そして、これらの例で使用した包装箱本体B10の各部の寸法、接着シートB20の各部の寸法及び包装箱本体B10に接着シートB20を接着した状態の包装箱Aの各部の寸法を、それぞれ、
図18~
図20に示す。
【0084】
(実験例2-1)
実験例2-1は、実験例1-1と同様に、開封方向αに直交する方向と包装箱本体B10の斜め延在線B10b
2,B10b
4との角度θ
1を0度から30度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果は、実験例1-1の結果と同様であった。このため、
図5~8に示す第2の実施形態に係る包装箱Bにおいても、前記包装箱Aと同様に、角度θ
1が15度以上の場合、接着シートA20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0085】
(実験例2-2)
実験例2-2は、実験例1-2と同様に、開封方向αに直交する方向と接着シートB20の斜め交差辺B20b
2,B20b
4との角度θ
2を0度から45度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果も実験例1-1の結果と同様であった。このため、
図5~8に示す第2の実施形態に係る包装箱Bにおいても、前記包装箱Aと同様に、角度θ
2が30度以上の場合、接着シートB20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0086】
(実験例2-3)
実験例2-3は、実験例1-3と同様に、接着シートB20の粘着剤塗布領域と包装箱本体B10との粘着強度を変化させて、開封し易いか否か判定したものである。なお、この粘着強度は、180度剥離で、剥離速度300mm/minの条件で測定したものである。この結果も実験例1-3の結果と同様であった。このため、
図5~8に示す第2の実施形態に係る包装箱Bにおいても、前記包装箱Aと同様に、接着シートB20の粘着剤塗布領域と包装箱本体B10との粘着強度が5~20N/15mmの範囲内にある場合、接着シートB20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0087】
[第3の実験群]
これらの例で使用した包装箱は、
図9~11に示す第3の実施形態に係る包装箱Cである。そして、包装箱本体C10の層構成は、第2の実験群で使用した包装箱本体B10と同様である。すなわち、その外面側から、外面印刷層、厚さ12μmのポリエステルフィルムを蒸着基材とする蒸着フィルム、厚さ20μmのポリエチレン樹脂層、坪量310g/m
2の耐水紙、厚さ30μmのポリエチレン樹脂層である。
【0088】
また、これらの例で使用した接着シートC20の層構成は、第1の実験群で使用した接着シートA20の層構成と同様で、その外面側から、ポリ塩化ビニリデンを塗付した厚さ20μmのポリプロピレンフィルム、接着剤、厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルム、アクリル系粘着剤層である。
【0089】
そして、これらの例で使用した包装箱本体C10の各部の寸法、接着シートC20の各部の寸法及び包装箱本体C10に接着シートC20を接着した状態の包装箱Cの各部の寸法を、それぞれ、
図21~
図23に示す。
【0090】
(実験例3-1)
実験例3-1は、実験例1-1及び実験例2-1と同様に、開封方向αに直交する方向と包装箱本体C10の斜め延在線C10b
2,C10b
4との角度θ
1を0度から30度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果は、実験例1-1の結果と同様であった。このため、
図9~11に示す第3の実施形態に係る包装箱Bにおいて
も、前記包装箱Aと同様に、角度θ
1が15度以上の場合、接着シートC20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0091】
(実験例3-2)
実験例2-2は、実験例1-2及び実験例2-2と同様に、開封方向αに直交する方向と接着シートC20の斜め交差辺C20b
2,C20b
4との角度θ
2を0度から45度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果も実験例1-1の結果と同様であった。このため、
図9~11に示す第3の実施形態に係る包装箱Cにおいても、前記包装箱Aと同様に、角度θ
2が30度以上の場合、接着シートB20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0092】
(実験例3-3)
実験例3-3は、実験例1-3及び実験例2-3と同様に、接着シートC20の粘着剤塗布領域と包装箱本体C10との粘着強度を変化させて、開封し易いか否か判定したものである。なお、この粘着強度は、180度剥離で、剥離速度300mm/minの条件で測定したものである。この結果も実験例1-3の結果と同様であった。このため、
図9~11に示す第3の実施形態に係る包装箱Cにおいても、前記包装箱Aと同様に、接着シートB20の粘着剤塗布領域と包装箱本体C10との粘着強度が5~20N/15mmの範囲内にある場合、接着シートC20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0093】
[第4の実験群]
これらの例で使用した包装箱は、
図12~14に示す第4の実施形態に係る包装箱Cである。そして、包装箱本体D10の層構成は、第2の実験群及び第3の実験群で使用した包装箱本体B10,C10と同様である。すなわち、その外面側から、外面印刷層、厚さ12μmのポリエステルフィルムを蒸着基材とする蒸着フィルム、厚さ20μmのポリエチレン樹脂層、坪量310g/m
2の耐水紙、厚さ30μmのポリエチレン樹脂層である。
【0094】
また、これらの例で使用した接着シートD20の層構成は、第1の実験群で使用した接着シートA20の層構成と同様で、その外面側から、ポリ塩化ビニリデンを塗付した厚さ20μmのポリプロピレンフィルム、接着剤、厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルム、アクリル系粘着剤層である。
【0095】
そして、これらの例で使用した包装箱本体D10の各部の寸法、接着シートD20の各部の寸法及び包装箱本体D10に接着シートD20を接着した状態の包装箱Dの各部の寸法を、それぞれ、
図21~
図23に示す。
【0096】
(実験例4-1)
実験例4-1は、実験例1-1~実験例3-1と同様に、開封方向αに直交する方向と包装箱本体D10の斜め延在線D10b
2,D10b
4との角度θ
1を0度から30度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果は、実験例1-1の結果と同様であった。このため、
図12~14に示す第4の実施形態に係る包装箱Dにおいても、前記包装箱Aと同様に、角度θ
1が15度以上の場合、接着シートD20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0097】
(実験例4-2)
実験例4-2は、実験例1-2~実験例3-2と同様に、開封方向αに直交する方向と接着シートD20の斜め交差辺D20b
2,D20b
4との角度θ
2を0度から45度まで変化させて、開封し易いか否か判定したものである。この結果も実験例1-1の結果と同様であった。このため、
図12~14に示す第4の実施形態に係る包装箱Cにおいても
、前記包装箱Aと同様に、角度θ
2が30度以上の場合、接着シートB20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。
【0098】
(実験例4-3)
実験例4-3は、実験例1-3~実験例3-3と同様に、接着シートD20の粘着剤塗布領域と包装箱本体D10との粘着強度を変化させて、開封し易いか否か判定したものである。なお、この粘着強度は、180度剥離で、剥離速度300mm/minの条件で測定したものである。この結果も実験例1-3の結果と同様であった。このため、
図12~14に示す第4の実施形態に係る包装箱Cにおいても、前記包装箱Aと同様に、接着シートD20の粘着剤塗布領域と包装箱本体D10との粘着強度が5~20N/15mmの範囲内にある場合、接着シートD20を容易に剥離して開封し易いことが理解できた。