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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082163
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A63F5/04 601B
A63F5/04 602D
A63F5/04 699
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060575
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2022100105の分割
【原出願日】2019-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】500046520
【氏名又は名称】株式会社パイオニア
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】上畑 泰之
(57)【要約】
【課題】前ケースと後ケースとを係合するための係合部材の破壊後に、前ケースまたは後ケースが悪用されるのを防止できる、遊技機を提供することである。
【解決手段】後ケース200は、前面および下面が開口した箱状の第3係合部材保持部211と、後面および下面が開口した箱状の第4係合部材保持部212とを有し、前ケース300は、第3係合部材保持部内に嵌入され、第3係合部材421と係合する第3被係合部341cを有する第3被係合部形成体341と、第4係合部材保持部内に嵌入され、第4係合部材422と係合する第4被係合部342cを有する第4被係合部形成体342とを有し、第3係合部材が第3被係合部と係合し、第4係合部材が第4被係合部と係合しており、第3係合部材の前側には、第3被係合部形成体の前壁が存在し、第4係合部材の前側には、第4係合部材保持部の前壁が存在している。
【選択図】図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面およびその反対側の裏面を有する制御基板ならびに前記制御基板が収容された透明な基板ケースを含む制御基板ユニットと、
遊技機本体の後壁内面に固定され、前記制御基板ユニットを支持するためユニット支持部材とを含み、
前記基板ケースは、後ケースと、前記後ケースに固定されかつ前記制御基板が固定される前ケースとからなり、
前記後ケースは、前面および下面が開口した箱状の第3係合部材保持部と、後面および下面が開口した箱状の第4係合部材保持部とを有し、
前記前ケースは、前記第3係合部材保持部内に嵌入され、第3係合部材と係合する第3被係合部を有する第3被係合部形成体と、前記第4係合部材保持部内に嵌入され、第4係合部材と係合する第4被係合部を有する第4被係合部形成体とを有し、
前記第3係合部材が前記第3被係合部と係合し、前記第4係合部材が前記第4被係合部と係合しており、
前記第3係合部材の前側には、前記第3被係合部形成体の前壁が存在し、前記第4係合部材の前側には、前記第4係合部材保持部の前壁が存在している、遊技機。
【請求項2】
前記基板ケースに取り付けられた封印シールユニットをさらに含み、
前記封印シールユニットは、
前記後ケースと前記前ケースとに跨って貼り付けられる封印シールの前側に配置され、一端部が前記基板ケースに枢着された封印シールカバーと、
一端部が前記封印シールカバーの一端部に枢着されかつ前記封印シールの後側に配置される封印シールカッターとを備えており、
前記封印シールカバーの他端部が、前記封印シールカッターの他端部に解除不能に係合している、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記制御基板ユニットは、前記基板ケースに収容されかつ前記遊技機の設定を変更するための設定変更ボタンが実装された設定基板を含む、請求項1または2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
回胴式遊技機は、遊技を行うのに必要なリール等の遊技装置、遊技装置の基本的な動作を制御するためのメイン制御基板を有するメイン制御基板ユニット、遊技の演出を行う電飾表示等の演出動作を制御するサブ制御基板を有するサブ制御基板ユニット、これらの各装置に電力を供給する電源ユニット等を備えている。
【0003】
メイン制御基板ユニットおよびサブ制御基板ユニット等の制御基板ユニットは、プログラムを記録したROM、CPU等のハードウェアを備え、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することで各種制御を行う。このため、例えば、制御基板ユニット内のROMが、メダル等の遊技媒体を容易に獲得できるような不正なプログラムが書き込まれたROMに交換されると、その内容を知りうる者によって遊技媒体が不正に獲得されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-43220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような不正行為を防止するために、本出願人は、メイン制御基板を、前ケースと後ケースとからなる透明な基板ケースに収納し、前ケースと後ケースとを開放不能に封止したもの(以下、「比較例」という。)を提案している。
【0006】
比較例においては、メイン制御基板は、電子部品が取り付けられた実装面(前面)が前ケースの内面に対向し、実装面とは反対側の裏面(後面)が後ケースの内面に対向するような姿勢で、基板ケース内に配置されている。そして、基板ケースは、遊技機本体(筐体)の後壁の内面側に固定されたケースホルダに、後ケースの外面がケースホルダに対向するような姿勢で取り付けられている。基板ケースは、ケースホルダから取外しできないように、ケースホルダにかしめ固定されている。
【0007】
この発明の一実施形態の目的は、前ケースと後ケースとを係合するための係合部材の破壊後に、前ケースまたは後ケースが悪用されるのを防止できる、遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態は、実装面およびその反対側の裏面を有する制御基板ならびに前記制御基板が収容された透明な基板ケースを含む制御基板ユニットと、遊技機本体の後壁内面に固定され、前記制御基板ユニットを支持するためユニット支持部材とを含み、前記基板ケースは、後ケースと、前記後ケースに固定されかつ前記制御基板が固定される前ケースとからなり、前記後ケースは、前面および下面が開口した箱状の第3係合部材保持部と、後面および下面が開口した箱状の第4係合部材保持部とを有し、前記前ケースは、前記第3係合部材保持部内に嵌入され、第3係合部材と係合する第3被係合部を有する第3被係合部形成体と、前記第4係合部材保持部内に嵌入され、第4係合部材と係合する第4被係合部を有する第4被係合部形成体とを有し、前記第3係合部材が前記第3被係合部と係合し、前記第4係合部材が前記第4被係合部と係合しており、前記第3係合部材の前側には、前記第3被係合部形成体の前壁が存在し、前記第4係合部材の前側には、前記第4係合部材保持部の前壁が存在している、遊技機を提供する。
【0009】
この構成では、前ケースと後ケースとを係合するための係合部材の破壊後に、前ケースまたは後ケースが悪用されるのを防止できる。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記基板ケースに取り付けられた封印シールユニットをさらに含み、前記封印シールユニットは、前記後ケースと前記前ケースとに跨って貼り付けられる封印シールの前側に配置され、一端部が前記基板ケースに枢着された封印シールカバーと、一端部が前記封印シールカバーの一端部に枢着されかつ前記封印シールの後側に配置される封印シールカッターとを備えており、前記封印シールカバーの他端部が、前記封印シールカッターの他端部に解除不能に係合している。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記制御基板ユニットは、前記基板ケースに収容されかつ前記遊技機の設定を変更するための設定変更ボタンが実装された設定基板を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る遊技機が適用された回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。
図2図2は、回胴式遊技機の内部の構成を示す正面図である。
図3図3は、ケースホルダの筐体へ取付構造を説明するための分解斜視図である。
図4図4は、メイン制御基板ユニットのケースホルダへの取付構造を説明するための分解斜視図である。
図5図5は、ケースホルダの各部を説明するための拡大斜視図である。
図6図6は、係合部材複合体を示す拡大斜視図である。
図7図7は、メイン制御基板ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図8図8は、ねじガードの取付構造を説明するための拡大分解斜視図である。
図9図9Aは、第3係合部材を示す拡大斜視図であり、図9Bは、第4係合部材を示す拡大斜視図であり、図9Cは、第5係合部材を示す拡大斜視図である。
図10A図10Aは、後ケースを斜め前方から見た拡大斜視図である。
図10B図10Bは、後ケースを斜め後方から見た拡大斜視図である。
図11A図11Aは、前ケースを斜め前方から見た拡大斜視図である。
図11B図11Bは、前ケースを斜め後方から見た拡大斜視図である。
図12図12Aは、第3係合部材が第3被係合部形成体に係合している状態を示す断面図であり、図12Bは、図12Aから第3係合部材を省いた断面図である。
図13図13Aは、第4係合部材が第4被係合部形成体に係合している状態を示す断面図であり、図13Bは、図13Aから第4係合部材を省いた断面図である。
図14図14Aは、第5係合部材が第5係合部材収納部に収納されている状態を示す断面図であり、図14Bは、第5係合部材が第5被係合部形成体に係合している状態を示す断面図である。
図15図15は、封印シールユニットを説明するための断面図である。
図16図16Aは、封印シールカバーを斜め前方から見た拡大斜視図であり、図16Bは、封印シールカバーを斜め後方から見た拡大斜視図である。
図17図17Aは、封印シールカッターの拡大斜視図であり、図17Bは、封印シールカッターの拡大平面図である。
図18A図18Aは、ヒンジ封印カバーを斜め前方から見た拡大斜視図である。
図18B図18Bは、ヒンジ封印カバーを斜め後方から見た拡大斜視図である。
図19A図19Aは、係合部材複合体がメイン制御基板ユニットに保持されていない状態を示すメイン制御基板ユニットの部分断面図である。
図19B図19Bは、第1係合部材のサブ係合爪によって係合部材複合体がメイン制御基板ユニットに保持されている状態を示す部分断面図である。
図19C図19Cは、第1係合部材によって基板ケースとヒンジ封印カバーとが係合している状態を示す部分断面図である。
図19D図19Dは、第2係合部材によって基板ケースとヒンジ封印カバーとが係合している状態を示す部分断面図である。
図20図20は、メイン制御基板ユニットが固定位置に保持されている状態を示す斜視図である。
図21図21は、メイン制御基板ユニットが検査位置に保持されている状態を示す斜視図である。
図22図22は、ねじガードおよびガードホルダの変形例を説明するための分解斜視図である。
図23図23は、ねじガードの取付構造を説明するための拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、この発明を回胴式遊技機に適用した場合の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[1]回胴式遊技機の全体的な構成
図1は、この発明の一実施形態に係る遊技機が適用された回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。図2は、回胴式遊技機の内部の構成を示す正面図である。図2では、前扉は省略されている。
【0015】
以下において、前、後、左、右、上および下とは、それぞれ、回胴式遊技機1を正面から見た場合における前、後、左、右、上および下をいう。図面において、矢印-Xは左方向を、矢印+Xは右方向を、矢印+Yは上方向を、矢印-Yは下方向を、矢印+Zは後方向を、矢印-Zは前方向をそれぞれ表している。
【0016】
回胴式遊技機1は、前面側に開口部を有する筺体(遊技機本体)2と、この筺体2に開閉自在に取り付けられた前扉3を有する。前扉3は、その左辺側がヒンジによって筺体2に回動可能に取り付けられている。
【0017】
図1に示すように、前扉3の前面の高さ中央部には、正面パネル4が設けられている。正面パネル4には、リ-ル窓5を形成する透明部が形成されている。リール窓5には、筺体2内に回転自在に設けられた3つのリール6a,6b,6cがそれぞれ臨んでいる。
【0018】
前扉3の前面の正面パネル4の下側には、リール6a,6b,6cを起動させるスタートレバー7、リール6a,6b,6cの回転を停止させるストップボタン8a,8b,8c、電子データ形式で貯留されたクレジットメダルを使用してゲームを行うためのベットスイッチ9、クレジットメダルを精算するための精算スイッチ10、メダル投入口11が設けられている。前扉3前面の下部には、メダル払出口12および払い出されたメダルを受けるメダル受け皿13が設けられている。
【0019】
図2に示すように、筺体2の内側には、メダル払出ユニット14、3個のリール6a、6b,6cを駆動するリールユニット6、電源ユニット15、遊技の進行を制御するメイン制御基板ユニット16、ランプ類の発光演出、効果音などの音響演出などの遊技動作を制御するサブ制御基板ユニット17等が設けられている。以下において、メイン制御基板ユニット16およびサブ制御基板ユニット17を総称する場合には、制御基板ユニット16,17という場合がある。メイン制御基板ユニット16は、本発明における「制御基板ユニット」の一例である。
【0020】
メイン制御基板ユニット16は、リールユニット6の上方に配置されている。メイン制御基板ユニット16は、遊技における基本的な制御を行うメイン制御基板20(図7参照)と、当選確率等を設定する設定基板30(図7図8参照)とを含む。サブ制御基板ユニット17は、リールユニット6の左側に配置されている。サブ制御基板ユニット17は、サブ制御基板18を含む。
【0021】
メイン制御基板20は、CPU、ROM、RAM等、種々の電子部品を備えた回路基板であり、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで遊技の進行を制御する。サブ制御基板18は、CPU、ROM、RAM等の電子部品を備えた回路基板であり、メイン制御基板20からの入力信号に基づき、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、遊技動作を制御する。
【0022】
メイン制御基板20は、スタートレバー7、ストップボタン8a,8b,8c、ベットスイッチ9等の操作による信号が入力される。これらの信号は、前扉3の裏側に設けられた中継基板(図示略)を介してメイン制御基板20に送信される。メイン制御基板20は、これらの信号を取り込みながら、リールユニット6、メダル払出ユニット14等を制御して、遊技の進行を制御するようになっている。
【0023】
遊技者は、所定の枚数のメダルをメダル投入口11に投入するか、またはベットスイッチ9によって賭けメダル枚数を設定した後、スタートレバー7を操作する。これにより、リール6a、6b,6cが回転する。この後、遊技者は、ストップボタン8a,8b,8cを順次押することにより、リール6a,6b,6cを停止させる。リール6a,6b,6cに記載された図柄が揃ったときに、図柄に応じたメダルが払い出される。
【0024】
メイン制御基板ユニット16は、このような遊技動作を実現するために、遊技者の操作に応じてメダルの賭け枚数等の表示を行うとともに、図柄の揃った状態(以下、「入賞状態」という)を判定するために正面パネル4に有効ラインを設定する。そして、スタートレバー7が操作されると、メイン制御基板ユニット16は、図柄の抽選を行い、同時にリール6a,6b,6cを一斉に回転させる。
【0025】
ストップボタン8a,8b,8cのいずれかが操作されると、メイン制御基板ユニット16は、対応するリール6a、6b,6cを、抽選結果に応じた停止位置で停止させる。すべてのリール6a、6b,6cが停止すると、メイン制御基板ユニット16は、設定した有効ライン上に入賞状態が成立しているかどうかを判定する。入賞状態が成立している場合には、メイン制御基板ユニット16は、メダル払出ユニット14を介して入賞状態に応じた枚数のメダルを払い出すか、入賞状態に応じた枚数をクレジットとして加算する。
【0026】
このような制御は、メイン制御基板20上のCPUが、種々の信号を取り込み、ROMに書き込まれたプログラムに基づいてサブ制御基板18や各機器に向かって指令信号を発生することにより実現される。
【0027】
[2]メイン制御基板ユニットの取付構造
図3は、ケースホルダ100の筐体2へ取付構造を説明するための分解斜視図である。図4は、メイン制御基板ユニット16のケースホルダ100への取付構造を説明するための分解斜視図である。図5は、ケースホルダ100の各部を説明するための拡大斜視図である。
【0028】
メイン制御基板ユニット16は、前面視横長矩形状でかつ前後方向に扁平な直方体形状である。メイン制御基板ユニット16は、筐体2の後壁内面の上部に固定されたケースホルダ100に取り付けられている。ケースホルダ100は、本発明の「ユニット支持部材」の一例である。
【0029】
ケースホルダ100は、厚さ方向が前後方向である金属製の取付プレート110と、取付プレート110に前面左側部に取り付けられた第1ヒンジ120と、取付プレート110に前面右側部に取り付けられた第2ヒンジ130とを備えている。
【0030】
第1および第2ヒンジ120、130は、メイン制御基板ユニット16の下端部側において、左右方向に延びた回転中心軸線を中心として、メイン制御基板ユニット16を回転可能に支持する。後述するように、ケースホルダ100は、メイン制御基板ユニット16がほぼ垂直な姿勢となる固定位置と、メイン制御基板ユニット16がほぼ水平な姿勢となる検査位置とにおいて、メイン制御基板ユニット16を保持可能である。
【0031】
取付プレート110は、左右方向に長い矩形板状である。取付プレート110の上縁には、左右一対の後方突出部110a,110bが形成されている。取付プレート110の下縁には、左右一対の前方に突出したケース受部110c,110dが形成されている。
【0032】
取付プレート110には、取付プレート110を筐体2に取り付けるための、4つのねじ挿通孔111a~111dが形成されている。4つのねじ挿通孔111a~111dは、取付プレート110の前面の左辺寄りに上下方向に間隔をおいて配置された2つねじ挿通孔111a,111bと、取付プレート110の前面の右寄りに上下方向に間隔をおいて配置された2つねじ挿通孔111c,111dとを含む。
【0033】
ねじ挿通孔111a~111dに前方から挿通されたプレート固定ねじ151a~151dが、筐体2の後壁にねじ込まれることにより、取付プレート110が筐体2の後壁内面に取り付けられている。
【0034】
また、取付プレート110の前面の左側部には、第1ヒンジ120を取付プレート110に取り付けるための上下一対のねじ挿通孔112a,112bが形成されている。ねじ挿通孔112a,112bは、ねじ挿通孔111a,111bよりも左側に配置されている。
【0035】
また、取付プレート110の前面の右側部には、第2ヒンジ130を取付プレート110に取り付けるための上下一対のねじ挿通孔112c,112dが形成されている。ねじ挿通孔112c,112dは、ねじ挿通孔111c,111dよりも右側に配置されている。
【0036】
第1ヒンジ120は、前面視で縦長矩形状のベース部121と、ベース部121の左側下部から前方突出状に形成されたアーム部122と、アーム部122の右側面の先端部付近から右側に突出する支軸部123とを備えている。ベース部121とアーム部122と支軸部123とは、透明な合成樹脂材料からなり、一体的に形成されている。支軸部123は、本発明の「第1支軸部」の一例である。
【0037】
ベース部121は、後方が開口した箱状であり、内部には後方からみて格子状に補強リブが形成されている。ベース部121は、右側の幅広の第1部分121aと、左側の幅狭の第2部分121bとを有している。第2部分121bの前面は、第1部分121aの前面に対して前方にあり、それらの間には段差が形成されている。
【0038】
第1部分121aの右側部には、第1部分121aを前後方向に貫通する上下一対のキャップ嵌入孔124が形成されている。
【0039】
第1部分121aの右上角部には、第1ケース固定具161が回転可能にかつ2つの回転角度位置で保持可能となるように取り付けられている。第1ケース固定具161は、図5を参照して、左右方向に薄い矩形板状の把持部161aと、把持部161aの後端面の下部から後方に突出した支軸部161bと、把持部161aの後端面の上部から後方に突出したケース押さえ161cとを含む。さらに、第1ケース固定具161は、把持部161aの下側端面から下方に延びた後、後方に延び、先端に内向き鉤部および外方突起を有するフック161dを含む。支軸部161bの先端部には、横断面矩形状の抜け止め部が形成されている。
【0040】
第1部分121aの右上角部には、横断面円形状の軸挿通凹部125と、軸挿通凹部125の開口部の周縁の一部に沿って形成された前面視円弧状のフック案内孔126とが形成されている。フック案内孔126は、前面視において、軸挿通凹部125に対して第1部分121aの右上角とは反対側に配置されている。フック案内孔126の両端部内面には、フック161dの外方突起と解除可能に係合可能な被係合部が形成されている。
【0041】
軸挿通凹部125に第1ケース固定具161の支軸部161bが回転可能に挿通されている。軸挿通凹部125の底面には、支軸部161bの抜け止め部よりも若干大きな横断面矩形の抜け止め挿通孔が形成されており、支軸部161bの抜け止め部が抜け止め挿通孔を貫通している。これにより、抜け止め部が抜け止め挿通孔に一致しないと、支軸部161bが軸挿通凹部125から抜けないようになっている。
【0042】
フック案内孔126に第1ケース固定具161のフック161dが移動可能に挿入されている。そして、フック161dの内向き鉤部が、第1部分121aの後面のフック案内孔126の周縁部に移動可能に係合している。これにより、フック161dを開かないと、フック161dがフック案内孔126から抜けないようになっている。
【0043】
第1ケース固定具161が支軸部161bの中心軸線を中心として回転すると、ケース押さえ161cは、第1部分121aの右上角部の外側を前面視円弧状に移動する。フック161dの外方突起がフック案内孔126の右端(下端)の被係合部に係合すると、ケース押さえ161cは、第1部分121aの上側でかつ右上角部よりも左側のケース解除位置に保持される。一方、フック161dの外方突起がフック案内孔126の左端(上端)の被係合部に係合すると、ケース押さえ161cは、第1部分121aの右側のケース固定位置に保持される。
【0044】
ただし、ケース押さえ161cがケース固定位置に保持されている状態において、ケース解除位置方向に向かう回転力を与えることにより、その保持状態が解除される。同様に、ケース押さえ161cがケース解除位置に保持されている状態において、ケース固定位置方向に向かう回転力を与えることにより、その保持状態が解除される。
【0045】
アーム部122は、第1部分121aの下部から前方に突出している。アーム部122は、後方が開口した箱状であり、内部には後方からみて格子状に補強リブが形成されている。アーム部122の右側面の先端部には、右方向に突出した支軸部123が形成されている。支軸部123の長さ中間部には、径方向に突出した薄肉の環状突起123aが形成されている。
【0046】
第1部分121aとアーム部122との境界部の内部には、前後方向に延びた後方開口の第1ヒンジ固定用ねじ孔(図示略)が形成されている。第1部分121aの左側上端部の内部には、前後方向に延び後方開口の第1ヒンジ固定用ねじ孔(図示略)が形成されている。
【0047】
第1ヒンジ120は、取付プレート110のねじ挿通孔112a,112bに後方から挿通された第1ヒンジ固定ねじ152a,152bが、第1ヒンジ固定用ねじ孔にねじ嵌められることにより、取付プレート110に取り付けられている。第1ヒンジ120が取付プレート110に取り付けられた状態では、2つのキャップ嵌入孔124,124は、それぞれ、取付プレート110を筐体2に取り付けたプレート固定ねじ151a,151bのねじ頭に臨んでいる。各キャップ嵌入孔124には、封印部材としてのねじキャップ153が抜けないように嵌め込まれている。
【0048】
ねじキャップ153は、筐体2からケースホルダ100が痕跡なく取り外されないようにするためのものであり、ねじキャップ153は、キャップ嵌入孔124にきつく密着するように嵌め込まれている。ねじキャップ153がキャップ嵌入孔124に嵌め込まれると、ねじキャップ153および第1ヒンジ120の少なくとも一方を破壊しなければ、キャップ嵌入孔124が臨むプレート固定ねじ151a,151bにアクセスできない状態となる。したがって、ねじキャップ153および第1ヒンジ120の少なくとも一方を破壊して、プレート固定ねじ151a,151bを緩めることにより、取付プレート110を筐体2から取り外した場合、その痕跡が残る。これにより、メイン制御基板20に対する不正行為を発見しやすくなる。
【0049】
第2ヒンジ130は、前面視で縦長矩形状のベース部131と、ベース部131の下部から前方突出状に形成されたアーム部132と、アーム部132の左側面の先端部に形成された軸受部133とを備えている。ベース部131とアーム部132と軸受部133とは、透明な合成樹脂材料からなり、一体的に形成されている。軸受部133は、本発明の「第1軸受部」の一例である。
【0050】
ベース部131は、後方が開口したケース状であり、その幅は、第1ヒンジ120の第2部分121bとほぼ同じ幅を有している。ベース部131の内部には、上下方向に薄肉の板状の補強リブが、上下方向に間隔をおいて形成されている。
【0051】
ベース部131の上端部には、第2ケース固定具162が回転可能にかつ2つの回転角度位置で保持可能となるように取り付けられている。第2ケース固定具162は、図5を参照して、左右方向に薄い矩形板状の把持部162aと、把持部162aの後端面の下部から後方に突出した支軸部162bと、把持部162aの後端面の上部から後方に突出したケース押さえ162cとを含む。さらに、第2ケース固定具162は、把持部162aの下側端面から下方に延びた後、後方に延び、先端に内向き鉤部および外方突起を有するフック162dを含む。支軸部162bの先端部には、横断面矩形状の抜け止め部が形成されている。
【0052】
ベース部131の上端部には、横断面円形状の軸挿通凹部135と、軸挿通凹部135の開口部の周縁の一部に沿って形成された前面視円弧状のフック案内孔136とが形成されている。フック案内孔136は、前面視において、軸挿通凹部135に対して第1部分121aの左上角とは反対側に配置されている。フック案内孔136の両端部内面には、ベース部131の外方突起と解除可能に係合可能な被係合部が形成されている。
【0053】
軸挿通凹部135に第2ケース固定具162の支軸部162bが回転可能に挿通されている。軸挿通凹部135の底面には、支軸部162bの抜け止め部よりも若干大きな横断面矩形の抜け止め挿通孔が形成されており、支軸部162bの抜け止め部が抜け止め挿通孔を貫通している。これにより、抜け止め部が抜け止め挿通孔に一致しないと、支軸部162bが軸挿通凹部135から抜けないようになっている。
【0054】
フック案内孔136に第2ケース固定具162のフック162dが移動可能に挿入されている。そして、フック162dの内向き鉤部が、ベース部131の後面のフック案内孔136の周縁部に移動可能に係合している。これにより、フック162dを開かないと、フック162dがフック案内孔136から抜けないようになっている。
【0055】
第2ケース固定具162が支軸部162bの中心軸線を中心として回転すると、ケース押さえ162cは、ベース部131の左上角部の外側を前面視円弧状に移動する。フック162dの外方突起がフック案内孔136の左端(下端)の被係合部に係合すると、ケース押さえ162cは、ベース部131の上側でかつ左上角部よりも右側のケース解除位置に保持される。一方、フック162dの外方突起がフック案内孔136の右端(上端)の被係合部に係合すると、ケース押さえ162cは、ベース部131の左側のケース固定位置に保持される。
【0056】
ただし、ケース押さえ162cがケース固定位置に保持されている状態において、ケース解除位置方向に向かう回転力を与えることにより、その保持状態が解除される。同様に、ケース押さえ162cがケース解除位置に保持されている状態において、ケース固定位置方向に向かう回転力を与えることにより、その保持状態が解除される。
【0057】
アーム部132は、ベース部131の下部から前方に突出している。アーム部132は、後方が開口した箱状であり、内部には後方からみて格子状に補強リブが形成されている。軸受部133は、アーム部132の左側面に開口しかつ右方向に向かって横断面積が徐々に小さくなる円錐台形状の軸挿通凹部133aを有している。
【0058】
アーム部132には、前後方向に延びた後方開口の第2ヒンジ固定用ねじ孔(図示略)が形成されている。ベース部131の上端寄りには、前後方向に延びた後方開口の第2ヒンジ固定用ねじ孔(図示略)が形成されている。
【0059】
第2ヒンジ130は、取付プレート110のねじ挿通孔112c,112dに後方から挿通された第2ヒンジ固定ねじ152c,152dが、第2ヒンジ固定用ねじ孔にねじ嵌められることにより、取付プレート110に取り付けられている。
【0060】
図4を参照して、メイン制御基板ユニット16は、メイン制御基板20と、設定基板30(図7参照)と、これらの基板20,30を収容する透明な基板ケース41と、基板ケース41に取り付けられた透明な設定スイッチカバー42と、基板ケース41に取り付けられた封印シールユニット43と、基板ケース41に取り付けられヒンジ封印カバー44とを備えている。
【0061】
基板ケース41は、前面視横長矩形状であり、前後方向に扁平な直方体形状である。基板ケース41の前面部の左側下部には、軸受形成部(第1軸受形成部)331が形成されている。軸受形成部331は、左右方向に延びかつ左端および前面が開口した横断面略C字形の支軸挿入凹部331aを有している。支軸挿入凹部331aの側面には、支軸部123の環状突起123a(図5参照)が嵌まる溝331bが形成されている。
【0062】
基板ケース41の右側面部の下部には、右方向に突出する支軸部332が形成されている。支軸部332は、右方向に向かって横断面が徐々に細くなる円錐台形状を有している。支軸部332は、本発明の「第2支軸部」の一例である。
【0063】
基板ケース41は、次のようにして、ケースホルダ100に取り付けられる。ヒンジ封印カバー44が取り付けられていない状態において、支軸部332を第2ヒンジ130の軸受部133の軸挿通凹部133aに挿通し、軸受形成部331の支軸挿入凹部331aに第1ヒンジ120の支軸部123を挿入する。これにより、基板ケース41は、ケースホルダ100の支軸部123および軸受部133に対して、回転可能に支持される。
【0064】
この後、第1および第2ケース固定具161,162を、ケース解放位置に保持させた状態で、基板ケース41の後面がケースホルダ100の取付プレート110に対向するまで、基板ケース41を上側に回転させる。そして、第1および第2ケース固定具161,162を回転させて、ケース固定位置に保持する。これにより、基板ケース41がほぼ垂直な姿勢でケースホルダ100に取り付けられる。
【0065】
次に、ヒンジ封印カバー44を、基板ケース41に対して下方にスライドさせることによって基板ケース41に組み付ける。この後、カバー固定ねじ521によって、ヒンジ封印カバー44を基板ケース41にねじ止める。最後に、後述する「Bカシメ」の係合部(第1係合部)を被係合部(第1被係合部)に係合させる。ヒンジ封印カバー44は、基板ケース41がケースホルダ100の第1ヒンジ120から外れないようにするために、基板ケース41に取り付けられる。
【0066】
基板ケース41には、「Bかしめ(本体かしめ)」のための第1係合部と、「Cかしめ(本体再かしめ)」のための第2係合部とが設けられている。ヒンジ封印カバー44には、第1係合部と係合する第1被係合部と、第2係合部と係合する第2被係合部とが設けられている。
【0067】
「Bかしめ(本体かしめ)」とは、基板ケース41とケースホルダ100とを係合することをいう。この実施形態では、「Bかしめ」は、基板ケース41とヒンジ封印カバー44とを係合することにより、間接的に基板ケース41とケースホルダ100とを係合する。
【0068】
「Bかしめ」に係る係合部、被係合部等を「Bかしめ部」という。「Bかしめ」に係る係合部と被係合部とが係合されると、「Bかしめ部」を破壊しない限りは、基板ケース41をケースホルダ100から取り外すことはできない。したがって、メイン制御基板20の点検者は、「Bかしめ部」の状態を確認することによって、基板ケース41がケースホルダ100から不正に取り外されたか否かを判断できる。
【0069】
基板ケース41は、遊技機1が店舗に設置された後、異常がある場合には、遊技機の検査機関によってケースホルダ100から取り外されることがある。この際、Bかしめ部は検査機関によって破壊される。検査機関による検査が完了した後の基板ケース41は、ケースホルダ100に再度取り付けられることになる。この場合、基板ケース41に設けられたBかしめの係合部とは別の係合部を、ケースホルダ100に設けられた別の被係合部に係合させるようにしている。
【0070】
この種の係合は、「Cかしめ(本体再かしめ)」と呼ばれている。「Cかしめ」に係る係合部、被係合部等は「Cかしめ部」と呼ばれる。「Cかしめ」に係る係合部と被係合部とが係合されると、「Cかしめ部」を破壊しない限りは、基板ケース41をケースホルダ100から取り外すことはできない。これにより、検査完了後においても、「Cかしめ部」の状態を確認することによって、基板ケース41がケースホルダ100から不正に取り外されたか否かを判断できるようになっている。
【0071】
図4を参照して、「Bかしめ」のための第1係合部は、この実施形態では、基板ケース41に保持された第1係合部材411を含む。「Cかしめ」のための第2係合部は、この実施形態では、基板ケース41に保持された第2係合部材412を含む。この実施形態では、第1係合部材411と第2係合部材412とは基端部どうしが連結部材413によって連結されている。第1係合部材411と第2係合部材412と連結部材413とは合成樹脂によって一体的に形成されている。以下において、第1係合部材411と第2係合部材412と連結部材413からなる複合体を係合部材複合体410という場合がある。係合部材複合体410の色は、例えば、赤色半透明である。ただし、係合部材複合体410の色は、赤色半透明以外の任意の色であってもよい。
【0072】
図6は、係合部材複合体410を示す拡大斜視図である。
【0073】
第1係合部材411は、左右方向に延びた右向き弓矢状である。第1係合部材411は、左端部の基端部411aと、右端部の矢じり状のメイン係合爪411dと、基端部411aの右側に形成された被切断部411bと、被切断部411bとメイン係合爪411dとの間に形成された矢じり状のサブ係合爪411cとを備えている。
【0074】
基端部411aの横断面形状は、縦長矩形状である。被切断部411bは、Bかしめによる係合を解除する際に切断される部分である。被切断部411bは左右方向に延びかつ厚さ方向が上下方向である上下一対の板状体から構成されている。メイン係合爪411dは、「Bかしめ」のための係合部として機能する。サブ係合爪411cは、係合部材複合体410を基板ケース41から抜け落ちないように単に保持するための係合部として機能する。
【0075】
第2係合部材412は、左右方向に延びた右向き弓矢状である。第2係合部材412は、左端部の基端部412aと、右端部の矢じり状の係合爪412cと、基端部412aと係合爪412cとの間に形成された被切断部412bとを備えている。第2係合部材412の長さは、第1係合部材411の長さよりも短い。
【0076】
基端部412aの横断面形状は、縦長矩形状である。被切断部412bは、Cかしめによる係合を解除する際に切断される部分である。被切断部412bは左右方向に延びかつ厚さ方向が上下方向である上下一対の板状体から構成されている。係合爪412cは、「Cかしめ」のための係合部として機能する。
【0077】
連結部材413は、上下方向に延びかつ厚さ方向が左右方向である板状部413aと、板状部413aの上端部から右方に突出した第1右方突出部413bと、板状部413aの下端部から右方に突出した第2右方突出部413cとを備えている。板状部413aの右側面の上部に第1係合部材411の基端部411aの左端面が結合され、板状部413aの右側面の下部に第2係合部材412の基端部412aの左端面が結合されている。
【0078】
板状部413aの下半部は、他の部分に比べて左方向に突出した厚肉部413dに形成されている。板状部413aの上半部の左側面が第1係合部材411を右方向に押すための第1押え面413eとなっており、厚肉部413dの左側面が第2係合部材412を右方向に押すための第2押え面413fとなっている。
【0079】
なお、連結部材413の後面と、第1および第2係合部材411,412の後面とは、ほぼ面一となっている。これに対して、連結部材413の前面は、第1および第2係合部材411,412の前面よりも前側に突出している。
【0080】
[3]メイン制御基板ユニット
図7は、メイン制御基板ユニット16の構成を示す分解斜視図である。図8は、ねじガードの取付構造を説明するための拡大分解斜視図である。
【0081】
[3.1]メイン制御基板および設定基板
メイン制御基板20は、前面視で左右方向に長い矩形状である。メイン制御基板20の前面の実装面には、CPU、ROM等の電子部品(図示略)の他、複数のコネクタが搭載されている。設定基板30は、前面視で上下方向に長い矩形状である。設定基板30の前面の実装面には、当選確率を設定変更するための設定変更ボタン31、設定キーが差し込まれるキーシリンダ32等が搭載されている。
【0082】
[3.2]基板ケース
基板ケース41は、後ケース200と、後ケース200に取り付けられる前ケース300とを備えている。後ケース200および前ケース300は、透明の合成樹脂によって形成されている。前ケース300は、後ケース200に対して上方にスライドさせることによって、後ケース200に組み付けられる。
【0083】
後ケース200には、「Aかしめ(ケースかしめ)」のための第3係合部と、「Aかしめ」のための第4係合部と、「Fかしめ(ケース回収かしめ)」のための第5係合部が設けられている。前ケース300には、第3係合部と係合する第3被係合部と、第4係合部と係合する第4被係合部と、第5係合部と係合可能な第5被係合部とが設けられている。
【0084】
「Aかしめ(ケースかしめ)」とは、遊技機1が店舗に設置されてから、遊技機の検査機関が基板ケース41を開封して、メイン制御基板20を検査するまでの間、基板ケース41内のメイン制御基板20に不正行為が行われないように、基板ケース41を封止(封印)するために、遊技機の製造工場において、後ケース200と前ケース300とを係合させることをいう。
【0085】
「Aかしめ」に係る係合部、被係合部等を「Aかしめ部」という場合がある。「Aかしめ」に係る係合部と被係合部とが係合されると、「Aかしめ部」を破壊しない限りは、前ケース300を後ケース200から取り外すことはできない。したがって、メイン制御基板20の点検者は、「Aかしめ部」の状態を確認することによって、前ケース300が後ケース200から不正に取り外されたか否かを判断できる。
【0086】
「Fかしめ」とは、メイン制御基板ユニットの故障交換のために遊技機メーカにメイン制御基板ユニットを返却する場合や、検査機関によってAかしめが開封されたメイン制御基板ユニットを遊技機メーカに返却する場合に、後ケース200と前ケース300とを係合させることをいう。「Fかしめ」に係る係合部、被係合部等を「Fかしめ部」という場合がある。「Fかしめ」に係る係合部と被係合部が係合されると、「Fかしめ部」を破壊しない限りは、前ケース300を後ケース200から取り外すことはできない。
【0087】
図7を参照して、「Aかしめ」のための第3係合部は、この実施形態では、後ケース200に保持された第3係合部材421を含み、「Aかしめ」のための第4係合部は、この実施形態では、後ケース200に保持された第4係合部材422を含む。「Fかしめ」のための第5係合部は、この実施形態では、後ケース200に保持された第5係合部材423を含む。
【0088】
図9Aは、第3係合部材421を示す拡大斜視図である。図9Bは、第4係合部材422を示す拡大斜視図である。図9Cは、第5係合部材423を示す拡大斜視図である。
【0089】
第3係合部材421、第4係合部材422および第5係合部材423は、同じ形状であり、合成樹脂によって構成されている。この実施形態では、第3係合部材421および第4係合部材422の色は、例えば赤色半透明であり、第5係合部材423の色は、例えば青色半透明である。ただし、第3係合部材421および第4係合部材422の色は、赤色半透明以外の任意の色であってもよく、第5係合部材423の色は、青色半透明以外の任意の色であってもよい。
【0090】
第3係合部材421は、左右方向に延びた右向き弓矢状である。第3係合部材421は、左端部の板状基端部421aと、右端部の矢じり状の係合爪421eと、板状基端部421aと係合爪421eとの間に形成された被切断部421cと、板状基端部421aと被切断部421cとの間に形成された基端側縦長部421bと、被切断部421cと係合爪421eとの間に形成された先端側縦長部421dとを備えている。
【0091】
板状基端部421aの横断面形状は、縦長矩形状である。板状基端部421aの左側面が第3係合部材421を右方向に押すための押え面421fとなっている。被切断部421cは、第3係合部材421を用いた「Aかしめ」による係合を解除する際に切断される部分である。被切断部421cは左右方向に延びかつ厚さ方向が上下方向である上下一対の板状体から構成されている。基端側縦長部421bおよび先端側縦長部421dは、被切断部421cに対して上下方向に突出している。係合爪421eは、第3係合部材421を用いた「Aかしめ」のための係合部として機能する。
【0092】
第4係合部材422は、第3係合部材421と同じ形状であるが、第3係合部材421とは左右反対の向きに配置されている。つまり、第4係合部材422は、左右方向に延びた左向き弓矢状である。第4係合部材422は、右端部の板状基端部422aと、左端部の矢じり状の係合爪422eと、板状基端部422aと係合爪422eとの間に形成された被切断部422cと、板状基端部422aと被切断部422cとの間に形成された基端側縦長部422bと、被切断部422cと係合爪422eとの間に形成された先端側縦長部422dとを備えている。
【0093】
板状基端部422aの右側面が第4係合部材422を左方向に押すための押え面422fとなっている。被切断部422cは、第4係合部材422を用いた「Aかしめ」による係合を解除する際に切断される部分である。係合爪422eは、第4係合部材422を用いた「Aかしめ」のための係合部として機能する。
【0094】
第5係合部材423は、第3係合部材421と同じ形状であるが、第3係合部材421とは左右反対の向きに配置されている。つまり、第5係合部材423は、左右方向に延びた左向き弓矢状である。第5係合部材423は、右端部の板状基端部423aと、左端部の矢じり状の係合爪423eと、板状基端部423aと係合爪423eとの間に形成された被切断部423cと、板状基端部423aと被切断部423cとの間に形成された基端側縦長部423bと、被切断部423cと係合爪423eとの間に形成された先端側縦長部423dとを備えている。
【0095】
板状基端部423aの右側面が第5係合部材423を左方向に押すための押え面423fとなっている。被切断部423cは、「Fかしめ」による係合を解除する際に切断される部分である。係合爪423eは、「Fかしめ」のための係合部として機能する。
【0096】
[3.2.1]後ケース
図10Aは、後ケースを斜め前方から見た拡大斜視図である。図10Bは、後ケースを斜め後方から見た拡大斜視図である。
【0097】
図7図10Aおよび図10Bを参照して、後ケース200は、前面視で横長矩形の第1後壁部201と、後壁部201の左側縁から前側に突出する第1案内壁202と、第1案内壁202の左側面の前端寄りの位置から左方向に延びかつ前面視縦長矩形の第2後壁部203とを備えている。
【0098】
第2後壁部203の左側縁には、前側に突出する第2案内壁204が形成されている。第2後壁部203の幅中間部には、上下方向に延びかつ前側に突出する第3案内壁205が形成されている。第1後壁部201の右端寄りの位置には、上下方向に延びかつ前側に突出する第4案内壁206が形成されている。第1後壁部201の右側縁には、前側に突出する第5案内壁207が形成されている。
【0099】
第1~第5案内壁202~207は、前ケース300をスライドして後ケース200に組み付ける際に、前ケース300を案内する案内部材として機能する。
【0100】
第1案内壁202と第4案内壁206との間の空間部が、メイン制御基板20が収容されるメイン制御基板収容部である。第4案内壁206と第5案内壁207の間の空間部が、設定基板30が収容される設定基板収容部である。
【0101】
第1後壁部201の下縁部には、下方に突出する複数の係止突起208が左右方向に間隔をおいて形成されている。第1後壁部201の上縁部には、上下方向に延びた係止孔209(図10B参照)が形成されている。係止突起208および係止孔209は、後述するように、前ケース300に解除可能に係止されている。
【0102】
第3案内壁205の前端部には、3つの前方突出壁205a,205b,205cが、上下方向に間隔をおいて形成されている。前方突出壁205aは、「Bかしめ」にケース封印機能を持たせるために設けられている。前方突出壁205cは、「Cかしめ」にケース封印機能を持たせるために設けられている。
【0103】
後ケース200には、第3係合部材421を保持するための第3係合部材保持部211と、第4係合部材422を保持するための第4係合部材保持部212と、第5係合部材423を収納しておくための第5係合部材収納部213と、第5係合部材423を保持するための第5係合部材保持部214とが形成されている。これらの保持部211、212、214および収納部213は、第1後壁部201の上縁部の上側に形成されている。
【0104】
第3係合部材保持部211は、第1後壁部201の上縁部の左端寄りの位置に形成されている。第3係合部材保持部211は、前面視横長矩形でかつ前面および下面が開放された箱状である。第3係合部材保持部211は、第1後壁部201と平行な前面視横長矩形の後壁と、後壁の左側縁から前方に突出した左側壁と、後壁の右側縁から前方に突出した右側壁と、後壁の上縁から前方に突出しかつ左側壁および右側壁の上縁どうしを連結する上壁とからなる。
【0105】
第3係合部材保持部211の後壁前面の前後方向位置は、第1後壁部201前面の前後方向位置よりも少しだけ前側にある。第3係合部材保持部211の左側壁には、第3係合部材421の板状基端部421aおよび基端側縦長部421bの左端部が嵌め入れられる開口211a(図12A図12B参照)が形成されている。
【0106】
第4係合部材保持部212は、第1後壁部201の上縁部の右端寄りの位置に形成されている。第4係合部材保持部212は、前面視横長矩形でかつ後面および下面が開放された箱状である。第4係合部材保持部212は、第1後壁部201と平行な前面視横長矩形の前壁と、前壁の左側縁から後方に突出した左側壁と、前壁の右側縁から後方に突出した右側壁と、前壁の上縁から後方に突出しかつ左側壁および右側壁の上縁どうしを連結する上壁とからなる。
【0107】
第4係合部材保持部212の前壁前面の前後方向位置は、第3係合部材保持部211の左側壁および右側壁の前端の前後方向位置とほぼ同じ位置にある。第4係合部材保持部212の右側壁には、第4係合部材422の板状基端部422aおよび基端側縦長部422bの右端部が嵌め入れられる開口212a(図13A図13B参照)が形成されている。
【0108】
第4係合部材保持部212の前壁前面の右側部には、前面視縦長矩形の薄肉部212bが形成されている。この薄肉部212bは、第4係合部材422の係合解除のために第4係合部材422を切断しようとする際に、切断用工具の進入路を確保するために切除されるようになっている。薄肉部212bの周縁部には、薄肉部212bを切除しやすくするための溝が形成されている。
【0109】
第5係合部材収納部213は、第1後壁部201の上縁部における第4係合部材保持部212の左側位置に形成されている。第5係合部材収納部213は、前面視横長矩形でかつ後面が開放された箱状である。第5係合部材収納部213は、第1後壁部201と平行な前面視横長矩形の前壁と、前壁の左側縁から後方に突出した左側壁と、前壁の右側縁から後方に突出した右側壁と、前壁の上縁から後方に突出しかつ左側壁および右側壁の上縁どうしを連結する上壁とからなる。
【0110】
第5係合部材収納部213の前壁前面の前後方向位置は、第4係合部材保持部212の左側壁および右側壁の前後方向の長さ中間部の前後方向位置とほぼ同じ位置にある。第5係合部材収納部213の右側壁は、第4係合部材保持部212の左側壁の後半部によって構成されている。第5係合部材収納部213の左側壁には、第5係合部材423の先端側縦長部423dの横断面よりも若干大きな大きさの縦長矩形の開口213a(図14A図14B参照)が形成されている。
【0111】
第5係合部材保持部214は、第1後壁部201の上縁部における第5係合部材収納部213の左側位置に形成されている。第5係合部材保持部214は、前面視横長矩形でかつ後面および下面が開放された箱状である。第5係合部材保持部214は、第1後壁部201と平行な前面視横長矩形の前壁と、前壁の左側縁から後方に突出した左側壁と、前壁の右側縁から後方に突出した右側壁と、前壁の上縁から後方に突出しかつ左側壁および右側壁の上縁どうしを連結する上壁とからなる。
【0112】
第5係合部材保持部214の前壁前面は、第5係合部材収納部213の前壁前面とほぼ面一である。第5係合部材保持部214の右側壁は、第5係合部材収納部213の左側壁によって構成されている。
【0113】
第3係合部材保持部211と第5係合部材保持部214との間には、後ケース200側の封印シール被貼付面215a(以下、「第1封印シール被貼付面215a」という)を有する前方張出部215が形成されている。前方張出部215は、前面視横長矩形でかつ後面が開放された箱状である。前方張出部215の前面が、第1封印シール被貼付面215aである。
【0114】
前方張出部215の上下方向の厚さは、第3係合部材保持部211および第5係合部材保持部214の上下方向の厚さはよりも薄い。前方張出部215の上面は、第3係合部材保持部211および第5係合部材保持部214の上面とほぼ面一である。前方張出部215の下面幅中央部の後縁部に、前述した係止孔209が形成されている。
【0115】
前方張出部215と第5係合部材収納部213との間には、第5係合部材保持部214の前壁よりも上側において、第5係合部材保持部214の前面よりも前方に突出する前方突出部216が形成されている。前方突出部216には、その下面幅中央部の前縁寄りから上方向に延びる第1軸挿通孔216aが形成されている。第1軸挿通孔216aは、後述するように、封印シールユニット43を支持するために用いられる。
【0116】
前方張出部215と第3係合部材保持部211との間には、ねじ孔形成部217(図10B参照)が形成されている。ねじ孔形成部217には、前後方向に延びた前方開放のねじ孔217a(図10B参照)が形成されている。
【0117】
[3.2.2]前ケース
図11Aは、前ケースを斜め前方から見た拡大斜視図である。図11Bは、前ケースを斜め後方から見た拡大斜視図である。
【0118】
図7図11Aおよび図11Bを参照して、前ケース300は、前面視横長矩形の第1前壁部301と、第1前壁部301の左側縁から後側に突出する第1被案内壁302と、第1被案内壁302の左側面の前端から左側に延びかつ前面視縦長矩形の第2前壁部303とを備えている。
【0119】
第2前壁部303の左側縁には、後側に突出する第2被案内壁304が形成されている。また、第2前壁部303の左側縁には、前側に突出する前方突出壁303aが形成されている。第2前壁部303の右側縁には、前側に突出する前方突出壁303bが形成されている。
【0120】
第2前壁部303の幅中間部には、前方に張り出した前面視縦長矩形の複合体保持部305が形成されている。複合体保持部305の左側壁は、第3被案内壁305aを構成している。
【0121】
第1前壁部301の右端寄りの位置には、上下方向に延びかつ後側に突出する第4被案内壁306が形成されている。第1前壁部301の右側縁には、後側に突出する第5被案内壁307が形成されている。
【0122】
第1~第5被案内壁302,304,305a,306,307は、前ケース300をスライドさせて後ケース200に組み付ける際に、後ケース200の第1~第5案内壁202,204,205,206,207によってそれぞれ案内される被案内壁として機能する。なお、第3被案内壁305aの内側面(右側面)が、第3案内壁205の左側面によって案内される被案内面となる。また、複合体保持部305の左右両側壁および第2前壁部303における前方突出壁303a,303bは、ヒンジ封印カバー44(図4参照)をスライドさせて前ケース300に組み付ける際に、ヒンジ封印カバー44を案内する案内部材として機能する。
【0123】
第1前壁部301における第1被案内壁302と第4被案内壁306との間領域に、メイン制御基板20が取り付けられている。具体的には、メイン制御基板20は、図7に示すように、第1前壁部301の内面に実装面が対向した状態で、その4つの角部がメイン基板固定ねじ391によって、第1前壁部301に固定されている。
【0124】
第1前壁部301における第1被案内壁302と第4被案内壁306との間領域の中央部には、メイン制御基板20に搭載された電子部品を収容するための前方張出部301aが形成されている。第1前壁部301における前方張出部301aの周囲部には、メイン制御基板20の複数のコネクタを、前ケース300から露出させるための複数のコネクタ用開口が形成されている。
【0125】
第1前壁部301における第4被案内壁306と第5被案内壁307との間領域に、設定基板30が取り付けられている。具体的には、設定基板30は、図7に示すように、第1前壁部301の内面に実装面が対向した状態で、その対角の2つの角部が設定基板固定ねじ392によって、前壁部301に固定されている。
【0126】
第1前壁部301における第4被案内壁306と第5被案内壁307との間領域には、設定基板30に搭載された設定変更ボタン31およびキーシリンダ32を、それぞれ前ケース300から露出させるためのボタン用開口317およびシリンダ用開口318が形成されている。
【0127】
前ケース300には、設定基板30の実装面に実装された設定変更ボタン31、キーシリンダ32等を覆う設定スイッチカバー42(図7参照)が、右側壁後縁部を中心として開閉可能に取り付けられている。
【0128】
図7および図8を参照して、前ケース300には、メイン制御基板20の右上角部の裏面に存在するメイン基板固定ねじ391のねじ頭部を隠すためのねじガード51が取り付けられている。ねじガード51は、矩形状の金属板からなる。ねじガード51の右下角部には、切除部51aが形成されている。ねじガード51は、ガードホルダ52に前側から嵌め込まれている。ガードホルダ52は、前面視矩形状の平板部と平板部の周縁に形成された前方突出縁とからなり、透明な合成樹脂から形成されている。ガードホルダ52の平板部の右下角部には、ねじガード51の切除部51aに露出するねじ挿通孔52aが形成されている。
【0129】
ガードホルダ52は、ねじガード51の左下角部がメイン制御基板20の右上角部の裏面に存在するメイン基板固定ねじ391のねじ頭部を覆う状態で、前ケース300にねじ止めされている。具体的には、ガードホルダ52のねじ挿通孔52aに後側から挿通されたガード固定ねじ393が、前ケース300に形成されたねじ孔(図示略)にねじ嵌められることによって、ガードホルダ52は、前ケース300に固定されている。ガード固定ねじ393のねじ頭は、後ケース200によって覆われるため、基板ケース41の外部から触れることはできない。
【0130】
ねじガード51が設けられていない場合には、例えば、後ケース200の後面から、メイン制御基板20の輪郭を取り囲むように、後ケース200をレーザ等によって切断すると、メイン制御基板20を前ケース300に固定しているメイン基板固定ねじ391を全て外せるようになる。しかし、この実施形態のように、ねじガード51が設けられていると、メイン制御基板20の輪郭を取り囲むように、後ケース200を切断したとしても、メイン制御基板20の右上角部の裏面に存在するメイン基板固定ねじ391を外せなくなる。これにより、メイン制御基板20に対して不正が行われるのを抑制できる。
【0131】
図11Aを参照して、複合体保持部305は、係合部材複合体410(図4図6参照)を保持するためのものである。複合体保持部305の左側壁である第3被案内壁305aには、第1係合部材411の基端部411aの横断面よりも若干大きな大きさの矩形の第1開口305b(図11B図19A図19B参照)が形成されている。第1開口305bは、第1係合部材411のサブ係合爪411cと係合するサブ被係合部を構成している。複合体保持部305の右側壁には、第1開口305bに臨む位置に、第1開口305bとほぼ同じ大きさの第2開口305c(図11B図19A図19B参照)が形成されている。
【0132】
第3被案内壁305aには、第1開口305bよりも下側の位置に、第2係合部材412の基部の横断面よりも若干大きな大きさの矩形の第3開口305d(図11B図19A図19B参照)が形成されている。複合体保持部305の右側壁には、第3開口305dに臨む位置に、第3開口305dとほぼ同じ大きさの第4開口305e(図19A図19B参照)が形成されている。
【0133】
第3被案内壁305aには、第1開口305bよりも上側の位置に、係合部材複合体410の第1右方突出部413bが挿通可能な第1挿通孔305i(図11B図19B参照)が形成されている。また、第3被案内壁305aには、第3開口305dよりも下側の位置に、係合部材複合体410の第2右方突出部413cが挿通可能な第2挿通孔305j(図11B図19B参照)が形成されている。
【0134】
複合体保持部305の前壁には、前面視において、第1開口305bと第2開口305cとの間位置に、前面視縦長矩形の第1薄肉部305fが形成されている。この第1薄肉部305fは、第1係合部材411の係合解除のために第1係合部材411を切断しようとする際に、切断用工具の進入路を確保するために切除されるようになっている。第1薄肉部305fの周縁部には、第1薄肉部305fを切除しやすくするための溝が形成されている。
【0135】
また、複合体保持部305の前壁には、前面視において、第3開口305dと第4開口305eとの間位置に、前面視縦長矩形の第2薄肉部305gが形成されている。この第2薄肉部305gは、第2係合部材412の係合解除のために第2係合部材412を切断しようとする際に、切断用工具の進入路を確保するために切除されるようになっている。第2薄肉部305gの周縁部には、第2薄肉部305gを切除しやすくするための溝が形成されている。
【0136】
また、複合体保持部305の前壁には、前後方向に延びた前方開放のねじ孔305hが形成されている。また、複合体保持部305の上側壁には、後述するヒンジ封印カバー44の係止突起533と解除可能に係止する係止孔305kが形成されている。
【0137】
第2前壁部303前面における複合体保持部305の右領域には、第2開口305cに臨む第1受部321と、第4開口305eに臨む第2受部322とが形成されている。第1受部321は、第1係合部材411の先端部を逃がすための空間部を有している。第2受部322は、第2係合部材412の先端部を逃がすための空間部を有している。
【0138】
第2前壁部303の上端の左寄りの位置には、上方に突出する仮止用フック303cが形成されている。ヒンジ封印カバー44の前ケース300に対する下方向スライドによってヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、仮止用フック303cは、前ケース300に対してヒンジ封印カバー44が上方向にスライドできないように、ヒンジ封印カバー44を前ケース300に仮固定する。
【0139】
前方突出壁303aにおける第1開口305bに対向する位置付近には、前方突出壁303aの前端から右側に突出したカバー押え311(図19A図19B参照)が形成されている。前方突出壁303bにおける第2開口305cに対向する位置付近には、前方突出壁303bの前端から左側に突出したカバー押え312(図11A図19A図19B参照)が形成されている。
【0140】
前方突出壁303bは、複合体保持部305の下端寄り付近で、左方に延びた後、下方に延びている。前方突出壁303bにおける左方に延びた部分には、その前端から上側に突出したカバー押え313(図11A図19A図19B参照)が形成されている。カバー押え311,312,313は、それぞれ、ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、ヒンジ封印カバー44の一部を第2前壁部303側に押し付けるように作用する。
【0141】
第2前壁部303の下端部には、前述した軸受形成部331が形成されている。第1前壁部301の右側下端部には、前述した支軸部332が形成されている。 軸受形成部331における支軸挿入凹部331aの上側壁には、左右一対の係止孔314が形成されている。これらの係止孔314には、前ケース300にヒンジ封印カバー44が組み付けられたときに、ヒンジ封印カバー44の係止突起534(図18A図18B参照)が解除可能に係止されるようになっている。
【0142】
また、軸受形成部331における溝331bの前端寄りの位置には、係止孔315が形成されている。この係止孔315には、前ケース300にヒンジ封印カバー44が組み付けられたときに、ヒンジ封印カバー44の係止突起535(図18B参照)が解除可能に係止されるようになっている。
【0143】
また、軸受形成部331における支軸挿入凹部331aの下側壁の前面には、左右一対の係止溝316が形成されている。これらの係止溝316には、前ケース300にヒンジ封印カバー44が組み付けられたときに、ヒンジ封印カバー44の係止突起536(図18A参照)が解除可能に係止されるようになっている。
【0144】
第1前壁部301の下縁には、後方に突出する下壁部308が形成されている。下壁部308には、後ケース200の複数の係止突起208と係止する複数の係止孔335が形成されている。第1前壁部301の上縁には、後方に突出する上壁部309が形成されている。上壁部309の左右方向の中央よりも左寄りの位置には、後ケース200の係止孔209と係止する係止突起336が形成されている。
【0145】
後ケース200の複数の係止突起208は、前ケース300の複数の係止孔335に係止されており、前ケース300の係止突起336は、後ケース200の係止孔209に係止されている。ただし、これらの係止突起と係止孔との係止は、後ケース200に対して前ケース300を下方に引っ張ることにより、これらを破壊することなく解除できるようになっている。
【0146】
上壁部309には、さらに、第3被係合部を有する第3被係合部形成体341と、第4被係合部を有する第4被係合部形成体342と、第5被係合部を有する第5被係合部形成体343とが形成されている。
【0147】
第3被係合部形成体341は、上壁部309の左端寄りに上方に突出して形成されており、第3係合部材保持部211内に下方から嵌め込まれている。第3被係合部形成体341は、前面視横長矩形状でかつ後面が開口した箱状である。
【0148】
図12Aおよび図12Bを参照して、第3被係合部形成体341には、幅中間部に空間部を左右に分離する仕切壁341aが形成されている。第3被係合部形成体341の左側壁には、第3係合部材保持部211の開口211aと連通する開口341bが形成されている。仕切壁341aには、第3係合部材421の係合爪421eが抜けないように挿通される係合孔(第3被係合部)341cが形成されている。
【0149】
第3係合部材421は、第3係合部材保持部211の開口211aおよび第3被係合部形成体341の開口341bから第3被係合部形成体341内に挿入されている。そして、第3係合部材421の係合爪421eが係合孔341cに係合し、第3係合部材421の基端側縦長部421bが開口341bに嵌っており、第3係合部材421の基端側縦長部421bの左端部および板状基端部421aが開口211aに嵌っている。これにより、前ケース300と後ケース200とは互いにスライドできないようになる。この係合状態では、第3係合部材421の押え面421fは、後ケース200の第3係合部材保持部211の左側壁の左側面と面一になっている。
【0150】
第3被係合部形成体341の前壁には、前面視縦長矩形の薄肉部341dが形成されている。この薄肉部341dは、第3係合部材421の係合解除のために第3係合部材421を切断しようとする際に、切断用工具の進入路を確保するために切除されるようになっている。薄肉部341dの周縁部には、薄肉部341dを切除しやすくするための溝が形成されている。
【0151】
第4被係合部形成体342は、上壁部309の右端寄りに上方に突出して形成されている。第4被係合部形成体342および前ケース300に取付られたねじガード51(ガードホルダ52)の大部分は、第4係合部材保持部212内に下方から嵌め込まれている。第4被係合部形成体342は、前面視横長矩形状でかつ左半部後面および右半部前面が開口した箱状である。
【0152】
図13Aおよび図13Bを参照して、第4被係合部形成体342は、幅中間部に空間部を左右に分離する仕切壁342aが形成されている。第4被係合部形成体342の右側壁には、第4係合部材保持部212の開口212aと連通する開口342bが形成されている。仕切壁342aには、第4係合部材422の係合爪422eが抜けないように挿通される係合孔(第4被係合部)342cが形成されている。
【0153】
第4係合部材422は、第4係合部材保持部212の開口212aおよび第4被係合部形成体342の開口342bから第4被係合部形成体342内に挿入されている。そして、第4係合部材422の係合爪422eが係合孔342cに係合し、第4係合部材422の基端側縦長部422bが開口342bに嵌っており、第4係合部材422の基端側縦長部422bの右端部および板状基端部422aが開口212aに嵌っている。これにより、前ケース300と後ケース200とは互いにスライドできないようになる。この係合状態では、第4係合部材422の押え面422fは、後ケース200の第4係合部材保持部212の右側壁の右側面と面一になっている。また、係合状態では、第4係合部材422の背面側は、ねじガード51によって覆われた状態となる。
【0154】
図11Aおよび図11Bを参照して、第5被係合部形成体343は、上壁部309における係止突起336と第4被係合部形成体342との間位置に上方に突出して形成されており、第5係合部材保持部214内に下方から嵌め込まれている。第5被係合部形成体343は、前面視矩形状でかつ前面が開口した箱状である。
【0155】
図14Aに示すように、第5被係合部形成体343の右側壁には、第5係合部材収納部213の開口213aと連通する開口343aが形成されている。第5被係合部形成体343の後壁には、左右方向に延びる上下一対の案内部材343bが形成されている。上下一対の案内部材343bの左端部に、第5係合部材423の係合爪423eを抜けないように挿通する係合孔(第5被係合部)343cが形成されている。
【0156】
第5係合部材423は、図14Aに示すように、第5係合部材収納部213内に左向きで収容されている。第5係合部材423を使用して基板ケース41を封印する場合には、図14Bに示すように、第5係合部材423が第5被係合部形成体343内に押し込まれる。これにより、第5係合部材423の係合爪423eが係合孔343cに係合し、第5係合部材423の基端側縦長部423bおよび板状基端部423aが第5係合部材収納部213の開口213aに嵌った状態となる。これにより、前ケース300と後ケース200とは互いにスライドできないようになる。
【0157】
第5被係合部形成体343の後壁には、前面視縦長矩形の薄肉部343d(図11B参照)が形成されている。この薄肉部343dは、第5係合部材423の係合解除のために第5係合部材423を切断しようとする際に、切断用工具の進入路を確保するために切除されるようになっている。薄肉部343dの周縁部には、薄肉部343dを切除しやすくするための溝が形成されている。
【0158】
図11Aおよび図11Bを参照して、上壁部309には、さらに、第3被係合部形成体341と第5被係合部形成体343との間に、前ケース300側の封印シール被貼付面344a(以下、「第2封印シール被貼付面344a」という)を有する上方張出部344が形成されている。上方張出部344は、前面視横長矩形でかつ後面が開放された箱状である。上方張出部344の前面が、第2封印シール被貼付面344aである。
【0159】
上方張出部344の上下方向の厚さは、第3被係合部形成体341および第5被係合部形成体343の上下方向の厚さはよりも薄い。上方張出部344の上面の幅中央部の後縁部に、前述した係止突起336が形成されている。上方張出部344は、後ケース200の前方張出部215の真下位置に、所定間隔をおいて、配置されている。
【0160】
上壁部309の上方張出部344の右側には、後ケース200の第1軸挿通孔216aと対向する位置に、第2軸挿通孔309aが形成されている。第2軸挿通孔309aは、後述するように、封印シールユニット43を支持するために用いられる。
【0161】
上壁部309の第3被係合部形成体341の右側には、第6被係合部形成体345が形成されている。第6被係合部形成体345は、第3被係合部形成体341の右側壁に平行な第1壁345aと、第1壁345aの後縁部から右方に突出した第2壁345bとを備えている。第1壁345aには、封印シールユニット43のシールカバー61を固定するための上下一対の係合孔(被係合部)345cが形成されている。第2壁345bには、ねじ挿通孔345dが形成されている。
【0162】
図7に示すように、ねじ挿通孔345d(図11A参照)には、前ケース300を後ケース200に固定するためのケース締結ねじ394が前側から挿通されている。ケース締結ねじ394は、後ケース200のねじ孔217a(図15参照)にねじ込まれている。
【0163】
[3.3]封印シールユニット
図15は、封印シールユニット43の構成を説明するための断面図である。
【0164】
図7および図15を参照して、封印シールユニット43は、封印シールカバー61と、封印シールカバー61に回転可能に取り付けられた封印シールカッター62とから構成されている。
【0165】
封印シールカバー61は、図16Aおよび図16Bに示すように、前面視横長矩形の平板状のカバー本体61aと、カバー本体61aの右側縁に形成された上下一対の軸取付部61bと、上下一対の軸取付部61bに取り付けられかつ上下方向に延びる軸61cとからなる。カバー本体61a、軸取付部61bおよび軸61cは、透明な合成樹脂で一体的に形成されている。
【0166】
各軸取付部61bは、上下方向に薄い板状体からなり、カバー本体61aの右側縁から右側に延びた後、後方に延びている。軸61cは、上下一対の軸取付部61bの先端部を上下方向に貫通した状態で、これらの軸取付部61bに固定されている。各軸取付部61bには、その基端寄りに、前後方向に延びたV溝によって薄肉の脆弱部61baが形成されている。この脆弱部61baは、後述するように、基板ケース41を開封するときに切断される。
【0167】
カバー本体61aの上縁部には、後方に突出した後方突出壁61dが形成されている。カバー本体61aの左側縁部には、前方に突出した前方突出壁61eが形成されている。
【0168】
カバー本体61aの右側縁部には、後方に突出した被係合部61fが形成されている。カバー本体61aの後面の左側縁寄りには、後方に突出した被係合部61gが形成されている。カバー本体61aの後面の左側縁部には、後方に突出する上下一対の係合爪61hが形成されている。
【0169】
封印シールカッター62は、図17Aおよび図17Bに示すように、左右方向に延びたカッター本体62aと、カッター本体62aの右端に形成されかつ平面視で逆C形状の軸受部62bを備えている。カッター本体62aと軸受部62bとは、青色半透明の合成樹脂で一体的に形成されている。封印シールカッター62の色は、青色半透明以外の任意の色であってもよい。
【0170】
軸受部62bは、封印シールカバー61の軸61cにおける上下一対の軸取付部61bの間部分に回転可能に嵌め合わされている。これにより、封印シールカッター62は、封印シールカバー61の軸61cに回転可能に取り付けられている。
【0171】
カッター本体62aは、上下方向に薄い横長の板状であり、前端部に鋸歯状刃部62cが形成されている。カッター本体62aの右端および左端には、それぞれ前方に突出する係合爪62d,62eが形成されている。
【0172】
図7を参照して、封印シールカバー61の軸61cの上端部は、後ケース200の第1軸挿通孔216aに挿通され、封印シールカバー61の軸61cの下端部は、前ケース300の第2軸挿通孔309aに挿通されている。
【0173】
図7および図15を参照して、封印シールカッター62は、後ケース200の前方張出部215と、前ケース300の上方張出部344との間の空間に収容されている。前方張出部215の前面の第1封印シール被貼付面215aと、上方張出部344の前面の第2封印シール被貼付面344aとに跨るようにして、封印シール431が貼り付けられている。したがって、封印シールカッター62は、封印シール431の後側に配置されている。
【0174】
封印シールカッター62が封印シール431の後側に配置されている状態で、封印シールカッター62の係合爪62dおよび係合爪62eが、封印シールカバー61の被係合部61fおよび被係合部61gに係合している。また、封印シールカバー61の係合爪61hが、前ケース300の係合孔345c(図11A参照)に係合している。
【0175】
封印シール431を不正に剥がすために、基板ケース41に対して、封印シールカバー61を軸61cの中心線を中心として無理に開けようとすると、封印シールカバー61に係合している封印シールカッター62が軸61cの中心線を中心として回転し、封印シール431をギザギザに切断する。このため、封印シール431を破らずに剥がすことは困難である。これにより、メイン制御基板20に対する不正行為を発見しやすくなる。
【0176】
また、封印シールカバー61と基板ケース41との係合を不正に解除するためには、封印シールカバー61の係合爪61hまたは前ケース300の係合孔345cを破壊しなければならない。また、封印シールカバー61と封印シールカッター62との係合を不正に解除するためには、封印シールカバー61の被係合部61g、61fまたは封印シールカッター62の係合爪62d,62eを破壊しなければならない。このため、封印シールカバー61を基板ケース41または封印シールカッター62から取り外した場合には、その痕跡が残るので、メイン制御基板20に対する不正行為を発見しやすくなる。
【0177】
なお、検査機関の検査者が封印シール431を切断したい場合には、検査者は、まず、各軸取付部61bの脆弱部61baを工具によって切断することにより、各軸取付部61bを分断する。次に、封印シールカバー61を右側にずらすことにより、係合爪61hと前ケース300の係合孔345cとの係合を解除する。最後に、封印シールカバー61を開ける。これにより、封印シールカバー61に係合している封印シールカッター62が軸61cの中心線を中心として回転し、封印シール431が切断される。
【0178】
[3.4]ヒンジ封印カバー
図18Aは、ヒンジ封印カバー44を斜め前方から見た拡大斜視図である。図18Bは、ヒンジ封印カバー44を斜め後方から見た拡大斜視図である。
【0179】
図4図18Aおよび図18Bを参照して、ヒンジ封印カバー44は、前面視縦長矩形状の上部カバー501と、上部カバー501の下側に形成された中間部カバー502と、中間部カバー502の下側に形成された下部カバー503とを備えている。上部カバー501と中間部カバー502と下部カバー503とは、透明な合成樹脂材料からなり、一体的に形成されている。
【0180】
上部カバー501は、後方が開口した箱状であり、その前面の右上の角部に後方に窪んだ凹部が形成されている。上部カバー501の内部には、上下方向に延びかつ左右方向に薄い左右一対の被案内壁511,512が形成されている。上部カバー501の左側壁には、左側の被案内壁511における上部以外の領域を露出させる開口501aが形成されている。
【0181】
左側の被案内壁511には、複合体保持部305の第1挿通孔305i(図11B参照)と連通する挿通孔501pが形成されている。また、左側の被案内壁511には、複合体保持部305の第1開口305bおよび第3開口305dをそれぞれ外側に露出させるための第1切欠501bおよび第3切欠501dが形成されている。第3切欠501dは、その下端部に、複合体保持部305の第2挿通孔305j(図11B参照)と連通する第5切欠501qを有している。
【0182】
右側の被案内壁512には、複合体保持部305の第2開口305cおよび第4開口305eと連通し、第2開口305cおよび第4開口305eよりも幅狭の第2切欠501cおよび第4切欠501eが形成されている。第2切欠501cは、第1係合部材411のメイン係合爪411dと係合する第1被係合部を構成している。第4切欠501eは、第2係合部材412の係合爪412cと係合する第2被係合部を構成している。
【0183】
上部カバー501の前壁には、複合体保持部305の第1薄肉部305fおよび第2薄肉部305gにそれぞれ対向する位置に、第1窓501fおよび第2窓501gが形成されている。上部カバー501の前壁には、さらに、第1窓501fを左右方向に跨るように形成された渡し部材501hと、第2窓501gを左右方向に跨るように形成された渡し部材501iが形成されている。
【0184】
上部カバー501の上側壁の後端部には、上側に突出した上方突出縁501jが形成されている。上部カバー501の左側壁の後縁部の上部には、左側に突出した左方突出縁501kが形成されている。上部カバー501の右側壁の後縁部には、右側に突出した右方突出縁501mが形成されている。上部カバー501の下側壁の右側部には、下側に突出した下方突出縁501nが形成されている。
【0185】
ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、上方突出縁501jの左側部が、前ケース300の仮止用フック303cに解除可能に係止されるようになっている。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、左方突出縁501kの下端部531は、前ケース300のカバー押え311によって第2前壁部303側に押し付けられた状態となる。
【0186】
右方突出縁501mの高さ中間部には、切除部501maが形成されている。切除部501maとは、右方突出縁501mが切除されている部分をいう。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、右方突出縁501mにおける切除部501maの直上部分532は、前ケース300のカバー押え312によって第2前壁部303側に押し付けられた状態となる。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、下方突出縁501nは、前ケース300のカバー押え313によって第2前壁部303側に押し付けられた状態となる。
【0187】
上部カバー501の上側壁下面の後部の幅中央部には、下方に突出する係止突起533が形成されている。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、係止突起533は、前ケース300の係止孔305kに解除可能に係止されるようになっている。
【0188】
上部カバー501の左方突出縁501k、左側の被案内壁511、右側の被案内壁512および右方突出縁501mは、ヒンジ封印カバー44をスライドさせて前ケース300に組み付ける際に、前ケース300における前方突出壁303a、複合体保持部305の左側壁(第3被案内壁)305a、複合体保持部305の右側壁および前方突出壁303bによってそれぞれ案内される被案内縁または被案内壁として機能する。
【0189】
中間部カバー502は、上部カバー501の左側面から右側の被案内壁512までの長さとほぼ等しい幅を有している。中間部カバー502は、後方が開口した箱状であり、その前部は、上部カバー501の前面よりも前側に突出している。中間部カバー502の前側壁には、後方に窪んだ凹部502aが形成されている。凹部502aの底壁には、ねじ挿通孔502bが形成されている。図4に示すように、ねじ挿通孔502bには、カバー固定ねじ521が前側から挿通されている。カバー固定ねじ521は、前ケース300のねじ孔305h(図11A参照)にねじ嵌められている。
【0190】
中間部カバー502の左側壁の後端部には、左側に突出する左方突出縁502cが形成されている。中間部カバー502の右側壁の後端部には、右側に突出する右方突出縁502dが形成されている。中間部カバー502の下側壁の下面の後部には、下方に突出した左右一対の係止突起534が形成されている。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、左右一対の係止突起534は、それぞれ前ケース300の左右一対の係止孔314に解除可能に係止されるようになっている。
【0191】
中間部カバー502の左方突出縁502c、左側壁、右側壁および右方突出縁502dは、ヒンジ封印カバー44をスライドさせて前ケース300に組み付ける際に、前ケース300における前方突出壁303a、複合体保持部305の左側壁(第3被案内壁)305a、複合体保持部305の右側壁および前方突出壁303bによってそれぞれ案内される被案内縁または被案内壁として機能する。
【0192】
下部カバー503は、中間部カバー502の下側壁の下面の前部から下方に突出している。下部カバー503の内面上部には、内面が側面視で前方に凸の湾曲面に形成された軸受形成部(第2軸受形成部)503aを有している。軸受形成部503aの湾曲状内面の左右方向中央部には、支軸部123の環状突起123a(図5参照)が嵌まる溝503bが形成されている。
【0193】
下部カバー503は、前ケース300の軸受形成部331の左方および前方開放の支軸挿入凹部331aを前側から覆っている。これにより、前ケース300の軸受形成部331と下部カバー503の軸受形成部503aとの間に、ケースホルダ100の支軸部123が回転自在に嵌め入れられる軸受用凹部45(図4参照)が形成されている。より具体的には、軸受用凹部45は、支軸挿入凹部331aの内面(側面および底面)と、軸受形成部503aの湾曲状内面とによって囲まれた空間からなる。この実施形態では、前ケース300の軸受形成部331と下部カバー503とによって本発明の「第2軸受部」が構成されている。
【0194】
下部カバー503の軸受形成部503aの溝503bに、支軸部123の環状突起123a(図5参照)が嵌め入れられることにより、軸受用凹部45から支軸部123が抜けるのが防止される。
【0195】
軸受形成部503aの下端部には、下方に突出する係止突起535が形成されている。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、係止突起535は、前ケース300の係止孔315に解除可能に係止されるようになっている。
【0196】
また、下部カバー503の下端部には、左右一対の係止突起536が形成されている。ヒンジ封印カバー44が前ケース300に組み付けられたときに、左右一対の係止突起536は、それぞれ前ケース300の左右一対の係止溝316に解除可能に係止されるようになっている。
【0197】
下部カバー503は、その左側面に左側に突出する湾曲板状のストッパ503cを有している。ストッパ503cは、メイン制御基板ユニット16がほぼ水平な姿勢となる検査位置に、メイン制御基板ユニット16を保持するためのものである。具体的には、メイン制御基板ユニット16がほぼ水平な姿勢となったときに、第1ヒンジ120のアーム部122(図5参照)の下面にストッパ503cの下部先端部の内面が当接する。これにより、メイン制御基板ユニット16は、検査位置に保持される。
【0198】
図19A図19B図19Cおよび図19Dは、係合部材複合体410の取付方法を説明するためのメイン制御基板ユニットの部分断面図である。
【0199】
図19Aは、係合部材複合体410がメイン制御基板ユニット16に保持されていない状態を示す部分断面図である。図19Bは、第1係合部材411のサブ係合爪411cによって係合部材複合体410がメイン制御基板ユニット16に保持されている状態を示す部分断面図である。ただし、図19Bでは、ヒンジ封印カバー44は省略されている。
【0200】
図19Cは、第1係合部材411によって基板ケース41とヒンジ封印カバー44とが係合している状態を示す断面図である。図19Dは、第2係合部材412によって基板ケース41とヒンジ封印カバー44とが係合している状態を示す断面図である。
【0201】
複合体保持部305は、まず、図19Bに示すように、メイン制御基板ユニット16に保持された状態とされる。つまり、第1係合部材411は、ヒンジ封印カバー44の第1切欠501b(図19A参照)および前ケース300の第1開口305bから複合体保持部305内に挿入される。また、第2係合部材412は、ヒンジ封印カバー44の第3切欠501d(図19A参照)および前ケース300の第3開口305dから複合体保持部305内に挿入される。これにより、第1係合部材411のサブ係合爪411cが、第1開口305bから抜けないように第1開口305bを挿通した状態となる。
【0202】
これにより、第1係合部材411および第2係合部材412を、基板ケース41に保持させることができるようになる。これにより、遊技機メーカは、メイン制御基板ユニット16を交換して店舗に発送する場合、第1係合部材411および第2係合部材412を基板ケース41に保持させた状態でメイン制御基板ユニット16を発送することができるようになる。
【0203】
この後、図19Cに示すように、第1係合部材411がさらに押し込まれることにより、第1係合部材411のメイン係合爪411dがヒンジ封印カバー44の第2切欠501cに係合する。これにより、基板ケース41とヒンジ封印カバー44とが係合した状態となる。この状態では、係合部材複合体410の第1押え面413eは、ヒンジ封印カバー44の左側面と面一となる。また、この状態では、係合部材複合体410の第1右方突出部413bの先端部は、ヒンジ封印カバー44の挿通孔501p内に配置され、第2右方突出部413cの先端部は、ヒンジ封印カバー44の第3切欠501d内(より詳しくは第5切欠501q内)に配置されている。
【0204】
この状態では、第2係合部材412の係合爪412cはヒンジ封印カバー44の第4切欠501eと係合していない。メイン制御基板ユニット16は、第1係合部材411のメイン係合爪411dがヒンジ封印カバー44の第2切欠501cに係合している状態で、ケースホルダ100に取り付けられている。
【0205】
この状態では、前ケース300に対して、ヒンジ封印カバー44が上下方向にスライドできなくなるため、痕跡を残すことなく前ケース300からヒンジ封印カバー44を取り外すことはできない。また、この状態では、第1係合部材411の基端部411aの下側に後ケース200の前方突出壁205aが存在するので、前ケース300を後ケース200に対して下方向にスライドできなくなる。これにより、痕跡を残すことなく前ケース300を後ケース200から外すことはできなくなる。つまり、この実施形態では、第1係合部材411による係合(Bかしめによる係合)は、基板ケース41とヒンジ封印カバー44とを係合する機能だけでなく、後ケース200と前ケース300とを係合する機能を有している。
【0206】
なお、この状態では、第2係合部材412を右方向に押し込もうとしても、第1係合部材411が先端が第1受部321につかえるため、第2係合部材412を押し込むことはできない。したがって、この状態では、第2係合部材412の係合爪412cをヒンジ封印カバー44の第4切欠501eに係合させることはできない。第2係合部材412は、第1係合部材411の切断後に、押し込めるようになる。
【0207】
第1係合部材411が検査機関によって破壊(切断)されて、検査機関による検査が完了した後に、基板ケース41がケースホルダ100に再度取り付けられる際に、第2係合部材412がヒンジ封印カバー44に係合される。この場合には、図19Dに示すように、第2係合部材412が押し込まれることにより、第2係合部材412の係合爪412cがヒンジ封印カバー44の第4切欠501eに係合する。これにより、基板ケース41とヒンジ封印カバー44とが係合した状態となる。
【0208】
この状態では、係合部材複合体410の第2押え面413fは、ヒンジ封印カバー44の左側面と面一となる。また、この状態では、係合部材複合体410の第1右方突出部413bは、ヒンジ封印カバー44の挿通孔501pを通って前ケース300の第1挿通孔305iに挿通されている。また、第2右方突出部413cは、ヒンジ封印カバー44の第5切欠501qを通って、前ケース300の第2挿通孔305jに挿通されている。
【0209】
この状態では、前ケース300に対して、ヒンジ封印カバー44が上下方向にスライドできなくなるため、痕跡を残すことなく前ケース300からヒンジ封印カバー44を取り外すことはできない。また、この状態では、第2係合部材412の基端部412aの下側に後ケース200の前方突出壁205cが存在するので、前ケース300を後ケース200に対して下方向にスライドできなくなる。これにより、痕跡を残すことなく前ケース300を後ケース200から外すことはできなくなる。
【0210】
つまり、この実施形態では、第2係合部材412による係合(Cかしめによる係合)は、基板ケース41とヒンジ封印カバー44とを係合する機能だけでなく、後ケース200と前ケース300とを係合する機能を有している。したがって、Aかしめ(第3および第4係合部材421,422)が解除されている状態で、第2係合部材412による本体再かしめが行われた場合にも、第2係合部材412によって、本体再かしめとケースかしめとを行うことが可能となる。
【0211】
[4]基板ケースの組み立て方法
図7を参照して、基板ケース41の組み立て方法について説明する。
【0212】
(1)まず、メイン制御基板20および設定基板30を、メイン基板固定ねじ391および設定基板固定ねじ392を用いて、前ケース300にねじ止めする。そして、ねじガード51が嵌め止めされたガードホルダ52を、ガード固定ねじ393を用いて、前ケース300にねじ止めする。これにより、メイン制御基板20を前ケース300に固定している4つのメイン基板固定ねじ391のうちの1つのメイン基板固定ねじ391のねじ頭が、ねじガード51によって後方から覆われる。
【0213】
(2)次に、前ケース300の前面に、設定スイッチカバー42を取り付ける。
【0214】
(3)次に、Fかしめのための第5係合部材423を、後ケース200の第5係合部材収納部213に収納する。
【0215】
(4)次に、封印シールカバー61の軸61c(図16A参照)に、封印シールカッター62の軸受部62bを取り付ける。
【0216】
(5)次に、後ケース200の第1軸挿通孔216aに、封印シールカバー61の軸61cの上端部を挿入する。そして、封印シールカッター62を、後ケース200の前方張出部215の下側に収納する。
【0217】
(6)次に、後ケース200に対して前ケース300を上方向にスライドさせることにより、基板ケース41を組み付ける。
【0218】
これにより、封印シールカバー61の軸61cの下端部は、前ケース300の第2軸挿通孔309aに挿入される。また、前ケース300の第3被係合部形成体341、第4被係合部形成体342および第5被係合部形成体343(図11A参照)は、それぞれ後ケース200の第3係合部材保持部211、第4係合部材保持部212および第5係合部材保持部214(図10A参照)に嵌まり込む。さらに、前ケース300の複数の係止孔335に後ケース200の複数の係止突起208が係止し、前ケース300の係止突起336が後ケース200の係止孔209に係止する。
【0219】
(7)後ケース200と前ケース300とを、ケース締結ねじ394を用いて、締結する。この状態では、封印シールカッター62は、後ケース200の前方張出部215の下側に収納されているが、封印シールカバー61は開いた状態にある。次に、後ケース200の第1封印シール被貼付面215aと前ケース300の第2封印シール被貼付面344aとに跨るようにして、封印シール431を貼り付ける。この後、封印シールカバー61の被係合部61g,61fを、封印シールカッター62の係合爪62d,62eに係合させると同時に、封印シールカバー61の係合爪61hを、前ケース300の係合孔345cに係合させる。
【0220】
(8)次に、Aかしめ用の第3係合部材421を、第3係合部材保持部211の開口211aおよび第3被係合部形成体341の開口341bから第3被係合部形成体341内に挿入し、前ケース300の係合孔341cに係合させる(図12A参照)。
【0221】
同様に、Aかしめ用の第4係合部材422を、第4係合部材保持部212の開口212aおよび第4被係合部形成体342の開口342bから第4被係合部形成体342内に挿入し、係合孔342cに係合させる(図13A参照)。
【0222】
(9)次に、前ケース300にかしめ使用記録シール(図示略)を貼り付ける。
【0223】
(10)次に、第1ケース固定具161および第2ケース固定具162をケース解除位置に保持させる。この後、基板ケース41の右側にある支軸部332を第2ヒンジ130の軸受部133に挿入し、基板ケース41の左側にある支軸挿入凹部331aに第1ヒンジ120の支軸部123を嵌め入れる。この際、支軸部123の環状突起123aは、支軸挿入凹部331aの底面に形成された溝331b内に回転可能に配置される。そして、メイン制御基板ユニット16がほぼ垂直な姿勢となるまで、基板ケース41を回転させる。この後、第1ケース固定具161および第2ケース固定具162を回転させて、ケース固定位置に保持させる。これにより、基板ケース41が固定位置に保持される。
【0224】
(11)次に、ヒンジ封印カバー44を前ケース300に組み付け、カバー固定ねじ521(図4参照)によってヒンジ封印カバー44を前ケース300にネジ固定する。これにより、支軸部123の環状突起123aは、ヒンジ封印カバー44の軸受形成部503aに形成された溝503b内に回転可能に配置される。最後に、図19Cを用いて説明したように、Bかしめ用の第1係合部材411のメイン係合爪411dを、ヒンジ封印カバー44の第2切欠501cに係合させる。これにより、メイン制御基板ユニット16は、図20に示す固定位置に保持される。
【0225】
本実施形態では、メイン制御基板ユニット16を回転させることにより、図21に示す検査位置に保持することができる。具体的には、メイン制御基板ユニット16が図20に示す固定位置に保持される状態において、まず、第1ケース固定具161および第2ケース固定具162を回転させて、ケース解除位置に保持させる。そして、メイン制御基板ユニット16を下方に回転させると、メイン制御基板ユニット16を検査位置に保持することができる。これにより、メイン制御基板20の裏面を容易に検査することができる。このため、不正行為の痕跡がメイン制御基板20の裏面側に現れている場合に、その痕跡を容易に視認することができる。これにより、メイン制御基板に対する不正行為を発見しやすくなる。
【0226】
また、本実施形態では、基板ケース41(前ケース300)に形成された軸受形成部331と、基板ケース41(前ケース300)に取り付けられるヒンジ封印カバー44に形成された軸受形成部503aとによって、ケースホルダ100の支軸部123を回転自在に支持する軸受部が形成されている。そして、ヒンジ封印カバー44と基板ケース41とが、Bかしめ用の第1係合部材411またはCかしめ用の第2係合部材412によって係合されるようになっている。このため、Bかしめ(本体かしめ)またはCかしめ(本体再かしめ)を解除したときには、ヒンジ封印カバー44、基板ケース41および第1係合部材411(または第2係合部材412)に痕跡が残るようになる。これにより、セキュリーティー性を向上させることができる。
【0227】
また、本実施形態では、Aかしめのための第3係合部材421の前側には、前ケース300の第3被係合部形成体341の前壁が存在している(図10A図11A図12A参照)。一方、Aかしめのための第4係合部材422の前側には、後ケース200の第4係合部材保持部212の前壁が存在している(図10A図11A図14A参照)。
【0228】
第3係合部材421による係合を解除する場合には、前ケース300の第3被係合部形成体341の前壁の薄肉部341dを切除した後、第3係合部材421の被切断部421cを工具によって切断する。第4係合部材422による係合を解除する場合には、後ケース200の第4係合部材保持部212の前壁の薄肉部212bを切除した後、第4係合部材422の被切断部422cを工具によって切断する。
【0229】
したがって、第3係合部材421を破壊するためには、前ケース300の第3被係合部形成体341の前壁を破壊する必要があり、第4係合部材422を破壊するためには、後ケース200の第4係合部材保持部212の前壁を破壊する必要がある。
【0230】
このため、前ケース300および後ケース200の一方のみを破壊して、第3係合部材421および第4係合部材422を破壊することは困難である。これにより、第3係合部材421および第4係合部材422の破壊後の、前ケース300または後ケース200が悪用されるのを防止できる。
【0231】
また、本実施形態では、Bかしめ用の第1係合部材411とCかしめ用の第2係合部材412とは、連結部材413によって一体的に連結されている。つまり、第1係合部材411と第2係合部材412と連結部材413とによって係合部材複合体410が構成されている。そして、第1係合部材411によってヒンジ封印カバー44と基板ケース41とが係合されている状態では、第2係合部材412によるヒンジ封印カバー44と基板ケース41との係合が不可能となる。一方、第1係合部材411の切断後においては、第2係合部材412によるヒンジ封印カバー44と基板ケース41との係合が可能となる。
【0232】
これにより、第1係合部材411が切断された後の係合部材複合体410を利用して、Cかしめが行われることになる。これにより、不正なく本体再かしめが行われたか否かを判断しやすくなる。
【0233】
また、第1係合部材411によるヒンジ封印カバー44と基板ケース41との係合を解除した場合には、係合部材複合体410のうち、Bかしめ用の第1係合部材411のメイン係合爪411dが欠損する。このため、係合解除後の係合部材複合体410を不正に再利用することは困難である。
【0234】
また、メイン係合爪411dが切除された係合部材複合体410を上下方向に反転させ、第2係合部材412を複合体保持部305の第1開口305bに挿入しようとしても、反転後の連結部材413の後部が前ケースの前方突出壁303aに干渉するため、第2係合部材412を第1開口305bに挿入できない。つまり、メイン係合爪411dが切除された係合部材複合体410におけるCかしめ用の第2係合部材412を、Bかしめ用の第1係合部材411として使用することはできない。これにより、第1係合部材411の係合解除後の係合部材複合体410を不正に再利用することは困難である。
【0235】
図22は、ねじガードおよびガードホルダの変形例を説明するための分解斜視図であり、図7に対応する分解斜視図である。図23は、ねじガードの取付構造を説明するための拡大分解斜視図であり、図8に対応する拡大分解斜視図である。
【0236】
図22において、前述の図7の各部に対応する部分には図7と同じ符号を付して示す。図23において、前述の図8の各部に対応する部分には図8と同じ符号を付して示す。
【0237】
前ケース300には、メイン制御基板20の右上角部の裏面に存在するメイン基板固定ねじ391のねじ頭部を隠すためのねじガード651が取り付けられている。ねじガード651は、矩形状の金属板からなる。ねじガード651の左側部の高さ中間部には、切除部651aが形成されている。ねじガード651は、ガードホルダ652に前側から嵌め込まれている。ガードホルダ652は、前面視矩形状の平板部と平板部の周縁に形成された前方突出縁とからなり、透明な合成樹脂から形成されている。
【0238】
ガードホルダ652の平板部の左側部の高さ中間部には、前方に突出した筒状のねじ孔形成部652aが形成されている。ねじ孔形成部652aの後端部は、ねじガード651の切除部651aを通っており、ねじ孔形成部652aの先端部は、ねじガード651から前側に突出している。ねじ孔形成部652aには、前端が開口したねじ孔652bが形成されている。
【0239】
前ケース300の第4被係合部形成体342の前壁の左下角部には、ねじ挿通孔342dが形成されている。ガードホルダ652は、ねじガード651の左下角部がメイン制御基板20の右上角部の裏面に存在するメイン基板固定ねじ391のねじ頭部を覆う状態で、前ケース300にねじ止めされている。具体的には、前ケース300のねじ挿通孔342dに前側から挿通されたガード固定ねじ395が、ガードホルダ652のねじ孔652bにねじ嵌められることによって、ガードホルダ652は、前ケース300に固定されている。メイン制御基板ユニット16が組み立てられた状態では、第4係合部材422の背面側は、ねじガード651によって覆われた状態となる。
【0240】
この変形例におけるねじガード651おいても、前述のねじガード51と同様な効果が得られる。すなわち、メイン制御基板20の輪郭を取り囲むように後ケース200が切断されたとしても、メイン制御基板20の右上角部の裏面に存在するメイン基板固定ねじ391のねじ頭部がねじガード651によって覆われているので、当該メイン基板固定ねじ391を外せなくなる。これにより、メイン制御基板20に対して不正が行われるのを抑制できる。
【0241】
なお、図8に示されるねじガード51および図23に示されるねじガード651は、金属から構成されているが、ガラスから構成されてもよい。
【0242】
この発明は、前述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【0243】
この明細書および図面の記載からは、以下のような特徴が抽出され得る。
【0244】
[A1] 実装面およびその反対側の裏面を有する制御基板ならびに前記制御基板が収容された透明な基板ケースを含む制御基板ユニットと、遊技機本体の後壁内面に固定され、前記制御基板ユニットを支持するためユニット支持部材とを含み、前記制御基板ユニットは、扁平な直方体形状を有しており、前記ユニット支持部材は、前記制御基板ユニットの下端部側において、左右方向に延びた回転中心軸線を中心として、前記制御基板ユニットを回転可能に支持し、前記制御基板ユニットがほぼ垂直な姿勢となりかつ前記制御基板の実装面が前方を向く第1位置と、前記制御基板ユニットがほぼ水平な姿勢となりかつ前記制御基板の裏面が上方を向く第2位置とにおいて前記制御基板ユニットを保持可能に支持する、遊技機。
【0245】
この構成では、制御基板ユニットがほぼ水平な姿勢となりかつ制御基板の裏面が上方を向く第2位置に、制御基板ユニットを容易に位置させることができるようになる。これにより、制御基板の裏面を容易に検査することができる。このため、不正行為の痕跡が制御基板の裏面側に現れている場合に、その痕跡を容易に視認することができる。これにより、制御基板に対する不正行為を発見しやすくなる。
【0246】
[A2] 前記ユニット支持部材は、前記制御基板ユニットを回転可能に支持するための第1支軸部と第1軸受部とを有しており、前記制御基板ユニットは、前記第1支軸部を支持する第2軸受部と、前記第1軸受部に支持される第2支軸部とを有している、[A1]に記載の遊技機。
【0247】
[A3] 前記第2軸受部は、前記基板ケースに形成された第1軸受形成部と、前記基板ケースに取り付けられるヒンジ封印カバーに形成されかつ前記第1軸受形成部との間に前記第1支軸部が回転自在に嵌め入れられる軸受用凹部を形成する第2軸受形成部とを含み、前記遊技機は、前記ヒンジ封印カバーと前記基板ケースとを係合する係合手段をさらに備えている、[A2]に記載の遊技機。
【0248】
[A4] 前記係合手段は、Bかしめ用の第1係合部材と、Cかしめ用の第2係合部材と、それらを連結する連結部材とを有する係合部材複合体から構成されており、前記係合部材複合体は、前記第1係合部材によって前記ヒンジ封印カバーと前記基板ケースとが係合されている状態では、前記第2係合部材による前記ヒンジ封印カバーと前記基板ケースとの係合が不可能となり、前記第1係合部材の切断後において、前記第2係合部材による前記ヒンジ封印カバーと前記基板ケースとの係合が可能となるように構成されている、[A3]に記載の遊技機。
【0249】
[A5] 前記基板ケースは、後ケースと、後ケースに固定されかつ前記制御基板が固定される前ケースとからなる、[A1]~[A4]のいずれかに記載の遊技機。
【0250】
[A6] 前記基板ケースに取り付けられた封印シールユニットをさらに含み、前記封印シールユニットは、前記後ケースと前記前ケースとに跨って貼り付けられる封印シールの前側に配置され、一端部が前記基板ケースに枢着された封印シールカバーと、一端部が前記封印シールカバーの一端部に枢着されかつ前記封印シールの後側に配置される封印シールカッターとを備えており、前記封印シールカバーの他端部が、前記封印シールカッターの他端部に解除不能に係合している、[A5]に記載の遊技機。
【0251】
[A7] この発明の一実施形態では、前記制御基板は、前記前ケースに前記制御基板の後側から挿入されて前記前ケースにねじ嵌められた複数の基板固定ねじによって、前記前ケースにねじ止めされており、前記複数の基板固定ねじのうちの少なくとも1つのねじ頭を、後方から覆う金属製またはガラス製のねじガードが前記前ケースに取り付けられている、[A5]または[A6]に記載の遊技機。
【0252】
[A8] この発明の一実施形態では、前記後ケースは、前面および下面が開口した箱状の第3係合部材保持部と、後面および下面が開口した箱状の第4係合部材保持部とを有し、前記前ケースは、前記第3係合部材保持部内に嵌入され、第3係合部材と係合する第3被係合部を有する第3被係合部形成体と、前記第4係合部材保持部内に嵌入され、第4係合部材と係合する第4被係合部を有する第4被係合部形成体とを有し、前記第3係合部材が前記第3被係合部と係合し、前記第4係合部材が前記第4被係合部と係合しており、前記第3係合部材の前側には、前記第3被係合部形成体の前壁が存在し、前記第4係合部材の前側には、前記第4係合部材保持部の前壁が存在している、[A5]~[A7]のいずれかに記載の遊技機。
【0253】
[A9] この発明の一実施形態では、前記制御基板ユニットは、前記基板ケースに収容されかつ遊技機の設定を変更するための設定変更ボタンが実装された設定基板を含む、[A1]~[A8]のいずれかに記載の遊技機。
【符号の説明】
【0254】
1 回胴式遊技機
2 筐体
16 メイン制御基板ユニット
18 サブ制御基板
30 設定基板
31 設定変更ボタン
41 基板ケース
43 封印シールユニット
44 ヒンジ封印カバー
51,651 ねじガード
52,652 ガードホルダ
61 封印シールカバー
62 封印シールカッター
100 ケースホルダ
120 第1ヒンジ
123 支軸部(第1支軸部)
130 第2ヒンジ
133 軸受部(第1軸受部)
161 第1ケース固定具
162 第2ケース固定具
200 後ケース
211 第3係合部材保持部
212 第4係合部材保持部
300 前ケース
331 軸受形成部
332 支軸部(第2支軸部)
341 第3被係合部形成体
342 第4被係合部形成体
410 係合部材複合体
411 第1係合部材
412 第2係合部材
421 第3係合部材
422 第4係合部材
503a 軸受形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図20
図21
図22
図23