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特開2023-82261板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082261
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20230607BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20230607BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230607BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20230607BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20230607BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
H05K5/03 A
F21S8/04 110
F21V29/503
F21V29/70
F21V15/01 310
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195901
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 庄太
(72)【発明者】
【氏名】金山 崇
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360BA02
4E360BA04
4E360BB22
4E360EA12
4E360ED02
4E360ED03
4E360GA24
4E360GB99
5E322AA03
5E322AB01
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】板金箱用カバーを板金箱本体の開口部に取り付ける際の作業を簡素にし、板金箱本体の側面の剛性を確保する板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具を提供する。
【解決手段】板金箱用カバーは、上面部の対向する2辺である第1端部のそれぞれにおいて、上面部に交差する第1方向に向かって第1端部から延設された側面鍔部と、上面部の対向する他の2辺である第2端部のそれぞれにおいて、第1方向に向かって第2端部から延設された正面鍔部と、を備えている。また、正面鍔部は、互いに離間して並んで配置された2つの第1正面鍔部と、2つの第1正面鍔部の間に形成された凹部に設けられた第2正面鍔部と、を有している。また、第2正面鍔部の外面部は、第3方向において、第1正面鍔部の外面部よりも上面部の内側に向かって凹んで配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で全体として四角形状に形成された上面部と、
前記上面部の4辺のうち、対向する2辺である第1端部のそれぞれにおいて、前記上面部に交差する第1方向に向かって前記第1端部から延設された側面鍔部と、
前記上面部の対向する他の2辺である第2端部のそれぞれにおいて、前記第1方向に向かって前記第2端部から延設された正面鍔部と、
を備え、
前記第2端部は前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第1端部は前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に延びており、
前記正面鍔部は、
前記第2端部のそれぞれにおいて、互いに離間して前記第2方向に並んで配置された2つの第1正面鍔部と、
前記第2端部のそれぞれにおいて、前記第2方向に並んで配置された2つの前記第1正面鍔部の間には凹部が形成されており、前記凹部に配置された第2正面鍔部と、
を有し、
前記凹部は、前記第2端部のそれぞれにおいて、前記第2端部のうち前記第1正面鍔部が接続されている部分から前記第3方向に前記上面部の内側に向かって窪んで形成されており、
前記第2正面鍔部の外面部は、前記第3方向において、前記第1正面鍔部の外面部よりも前記上面部の内側に向かって凹んで配置されている、
板金箱用カバー。
【請求項2】
前記第1正面鍔部の前記外面部と前記第2正面鍔部の前記外面部とは互いに平行になるように配置されている、
請求項1に記載の板金箱用カバー。
【請求項3】
前記上面部の前記第3方向の中央部から前記第1正面鍔部の外面部までの前記第3方向の長さL1は、前記上面部の前記第3方向の中央部から前記第2正面鍔部の外面部までの前記第3方向の長さL2よりも長く、
前記第1正面鍔部の内側には、前記第2正面鍔部の内側よりも、前記長さL1と前記長さL2との差の絶対値の分だけ前記第3方向に大きい空間が形成される、
請求項1または2に記載の板金箱用カバー。
【請求項4】
上面に開口部を有する箱形形状の板金箱本体に対して前記開口部を覆うように装着される板金箱用カバーであって、
前記板金箱本体に装着された状態において、
前記板金箱用カバーの前記側面鍔部と前記第2正面鍔部とが、前記板金箱本体の前記開口部の内側に配置され、
前記板金箱用カバーの前記第1正面鍔部が、前記板金箱本体の前記開口部の外側に配置され、
前記第1正面鍔部と前記第2正面鍔部とが協働して、前記板金箱本体の側面を形成する4つの側面部のうち対向する2つの側面部のそれぞれを挟持して、当該側面部を外側と内側との両方から支持するように、
構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の板金箱用カバー。
【請求項5】
前記板金箱本体に装着された状態において、
前記側面鍔部が、前記板金箱本体の側面を形成する4つの側面部のうち対向する他の2つの側面部に固定具により固定され、
前記側面鍔部が前記他の2つの側面部を内側から支持するように、
構成されている、
請求項4に記載の板金箱用カバー。
【請求項6】
前記第1正面鍔部の前記第1方向の長さD1は、前記第2正面鍔部の前記第1方向の長さD2よりも短い、
請求項1~5のいずれか1項に記載の板金箱用カバー。
【請求項7】
前記第2正面鍔部の前記第1方向の長さD2は、前記側面鍔部の前記第1方向の長さD3よりも短いか、あるいは、同じである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の板金箱用カバー。
【請求項8】
上面に開口部を有する箱形形状の板金箱本体と、
前記板金箱本体の前記開口部を覆うように着脱可能に装着される請求項1~7のいずれか1項に記載の板金箱用カバーと、
を備えた、
板金箱。
【請求項9】
前記板金箱用カバーの前記上面部の前記第3方向の中央部から前記第1正面鍔部の外面部までの前記第3方向の前記長さL1と、前記上面部の前記第3方向の中央部から前記第2正面鍔部の外面部までの前記第3方向の前記長さL2と、の差の絶対値は、前記板金箱本体の側面を形成する側面部の板厚と同一である、
請求項8に記載の板金箱。
【請求項10】
被取付部に設置される枠と、
前記枠の内部に配置され、照明空間に向かって光を照射する光源を有する光源部と、
前記枠に対して前記光源部を回動させる可動枠と、
請求項8または9に記載の板金箱から構成され、前記光源部が発生する熱を放熱させるヒートシンクと、
電力を供給する電源部と、
前記電源部からの電力を前記光源部に供給して前記光源部の前記光源を発光させる点灯装置と、
を備えた照明器具。
【請求項11】
前記電源部および前記点灯装置の少なくとも一方は、前記ヒートシンクの内部に配置されている、
請求項10に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
板金から構成された板金箱は、ヒートシンクとして使用されることがある。
【0003】
例えば、特許文献1は、箱形形状の放熱用ヒートシンクを備えたヒートシンクファンについて開示している。特許文献1に記載の放熱用ヒートシンクは、上面が開口し、下面が発熱体に接触している。また、放熱用ヒートシンクの4つの側面のうち、少なくとも対向する2つの側面に放熱フィンが形成されている。放熱用ヒートシンクの内部には、クロスフローファンが収容されている。クロスフローファンの回転軸の両端は、放熱用ヒートシンクの4つの側面のうち、他の2つの側面に対して、軸受けを介して、回転可能に支持されている。箱形形状の放熱用ヒートシンクの開口された上面には、施蓋状に蓋部が取り付けられている。
【0004】
一般に、ヒートシンクは、熱伝導性に優れたアルミニウムなどの材質から構成される。特許文献1に記載の箱形形状の放熱用ヒートシンクは、内部にクロスフローファンを収容するために、クロスフローファンを支持するための強度を要する。そのため、当該放熱用ヒートシンクは、アルミダイキャスト等の金型鋳造方法によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-161889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、一般に、ヒートシンクは、熱伝導性に優れたアルミニウムなどの材質から構成される。特許文献1に記載の放熱用ヒートシンクは、クロスフローファンを支持するための強度を要するために、アルミダイキャスト等の金型鋳造方法によって形成されている。このように、金型鋳造方法によってヒートシンクを形成する場合、ヒートシンクの薄板化に限界があり、軽量化を図ることが難しいという課題がある。
【0007】
しかしながら、ヒートシンクを搭載する装置の種類によっては、ヒートシンクの軽量化が求められる場合がある。ヒートシンクの軽量化を図るためには、例えば、アルミニウム製の薄い板金を組み合わせて、ヒートシンクを形成することが考えられる。
【0008】
このとき、アルミニウム製の薄い板金を組み合わせて、例えば、上面が開口し、底面が発熱体に接触し、底面から4つの側面が立設されている、箱形形状のヒートシンクを形成する場合について考える。このとき、開口している上面を塞ぐカバーを装着する際には、立設した4つの側面をすべて制御しながら、カバーを取り付ける必要がある。以下、具体的に説明する。
【0009】
ヒートシンクにおいては、放熱性の向上を図るために、隣接する側面同士を接合せずに、各側面の上端縁部を自由端にしていることが多い。各側面は、薄い板金で構成されているため、自由端である上端縁部は、安定せずに、位置が移動しやすい。特に、U字形状またはコ字形状に形成した薄い板金の場合、対向する2つの自由端は、互いに離れる方向に、すなわち、コ字形状の外側に向かう方向に広がってしまう傾向がある。
【0010】
そのため、箱形形状のヒートシンクの開口している上面を塞ぐカバーを装着するときには、立設した4つの側面をすべて制御しながら、カバーを取り付ける必要がある。このとき、板金の自由端の位置が安定せずに移動してしまうことに加えて、板金の個体差によっても各側面がバラバラに移動するため、カバーを取り付ける作業が非常にやりづらいという課題がある。
【0011】
また、アルミニウム製の薄い板金から箱形形状を構成しているため、箱形形状の側面の剛性が弱い。一方、カバーは、箱形形状よりも少し大きめに形成されており、カバーの外縁部が箱形形状の4つの側面の外側になるように、カバーが取り付けられる。この場合、4つの側面に対して外側から外力が加えられた場合、側面を支える支持機構が箱内部に設けられていないため、当該側面が箱の内部に向かって倒れてしまう可能性がある。このように、アルミニウム製の薄い板金から箱形形状を構成した場合、箱形形状の側面の剛性が弱いため、外側からの外力に側面が耐えられず、箱形形状が変形してしまうという課題がある。
【0012】
本開示はかかる課題を解決するためになされたものであり、上面が開口した板金箱本体の開口部に取り付ける際の作業を簡素にし、板金箱本体の側面の剛性を確保することが可能な、板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る板金箱用カバーは、平面視で全体として四角形状に形成された上面部と、前記上面部の4辺のうち、対向する2辺である第1端部のそれぞれにおいて、前記上面部に交差する第1方向に向かって前記第1端部から延設された側面鍔部と、前記上面部の対向する他の2辺である第2端部のそれぞれにおいて、前記第1方向に向かって前記第2端部から延設された正面鍔部と、を備え、前記第2端部は前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第1端部は前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に延びており、前記正面鍔部は、前記第2端部のそれぞれにおいて、互いに離間して前記第2方向に並んで配置された2つの第1正面鍔部と、前記第2端部のそれぞれにおいて、前記第2方向に並んで配置された2つの前記第1正面鍔部の間には凹部が形成されており、前記凹部に配置された第2正面鍔部と、を有し、前記凹部は、前記第2端部のそれぞれにおいて、前記第2端部のうち前記第1正面鍔部が接続されている部分から前記第3方向に前記上面部の内側に向かって窪んで形成されており、前記第2正面鍔部の外面部は、前記第3方向において、前記第1正面鍔部の外面部よりも前記上面部の内側に向かって凹んで配置されているものである。
【0014】
本開示に係る板金箱は、上面に開口部を有する箱形形状の板金箱本体と、前記板金箱本体の前記開口部を覆うように着脱可能に装着される上記の板金箱用カバーと、を備えたものである。
【0015】
本開示に係る照明器具は、被取付部に設置される枠と、前記枠の内部に配置され、照明空間に向かって光を照射する光源を有する光源部と、前記枠に対して前記光源部を回動させる可動枠と、上記の板金箱から構成され、前記光源部が発生する熱を放熱させるヒートシンクと、電力を供給する電源部と、前記電源部からの電力を前記光源部に供給して前記光源部の前記光源を発光させる点灯装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具によれば、板金箱用カバーが、上面部の対向する2辺である第1端部のそれぞれに設けられ、上面部に交差する第1方向に向かって第1端部から延設された側面鍔部と、上面部の対向する他の2辺である第2端部のそれぞれに設けられ、第1方向に向かって第2端部から延設された正面鍔部と、を備えている。また、正面鍔部は、互いに離間して並んで配置された2つの第1正面鍔部と、2つの第1正面鍔部の間に形成された凹部に設けられた第2正面鍔部と、を有している。また、第2正面鍔部の外面部は、第3方向において、第1正面鍔部の外面部よりも上面部の内側に向かって凹んで配置されている。そのため、第1正面鍔部を板金箱本体の開口部の外側に配置させ、第2正面鍔部を板金箱本体の開口部の内側に配置させるように、板金箱用カバーを板金箱本体に装着させることが容易にできる。また、装着された板金箱用カバーの第2正面鍔部が板金箱本体の内側から板金箱本体の側面部を支持するため、板金箱は外部から加えられる外力に対して耐えられる剛性を有することができる。したがって、本開示に係る板金箱用カバーによれば、該カバーに対応する上面に開口部を有した板金箱本体の開口部に取り付ける際の作業が簡素になる。また、本開示に係る板金箱および照明器具は、板金箱本体の側面の剛性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1に係る板金箱用カバーの構成を示す斜視図である。
図2図1に示す板金箱用カバーを板金箱本体に装着する様子を示す斜視図である。
図3図1に示す板金箱用カバーを板金箱本体に装着する様子を示す斜視図である。
図4図1に示す板金箱用カバーの側面鍔部の下方向側の先端部が、板金箱本体の開口部の上端縁部に軽く接触した状態を模式的に示す正面図である。
図5図1に示す板金箱用カバーの第2正面鍔部の下方向側の先端部が、板金箱本体の開口部の上端縁部に軽く接触した状態を模式的に示す側面図である。
図6図1に示す板金箱用カバーが板金箱本体に装着された様子を示す斜視図である。
図7図1に示す板金箱用カバーが板金箱本体に装着された状態を模式的に示す正面図である。
図8図1に示す板金箱用カバーが板金箱本体に装着された状態を模式的に示す側面図である。
図9】実施の形態1に係る板金箱用カバーおよび板金箱本体の分解斜視図である。
図10図9に示す板金箱用カバーを板金箱本体に装着した状態を示す斜視図である。
図11】実施の形態2に係る板金箱本体の構成を示す分解斜視図である。
図12】実施の形態2に係る板金箱用カバーと板金箱本体との構成を示す斜視図である。
図13】実施の形態3に係る照明器具の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示に係る板金箱用カバー、板金箱、および、照明器具の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態およびその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0019】
また、各図面において、板金箱用カバーおよび板金箱の幅方向をX軸方向とし、板金箱用カバーおよび板金箱の奥行方向をY軸方向とする。X軸方向およびY軸方向は互いに交差している。また、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。Z軸方向は、板金箱用カバーおよび板金箱の高さ方向であり、例えば鉛直方向である。Z軸方向の上向きの方向を上方向Z1と呼び、Z軸方向の下向きの方向を下方向Z2と呼ぶこととする。なお、Z軸方向、X軸方向、および、Y軸方向は、それぞれ、第1方向、第2方向、および、第3方向と呼ばれることがある。
【0020】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る板金箱用カバーの構成を示す斜視図である。図2および図3は、図1に示す板金箱用カバーを板金箱本体に装着する様子を示す斜視図である。図4は、図1に示す板金箱用カバーの側面鍔部の下方向側の先端部が、板金箱本体の開口部の上端縁部に軽く接触した状態を模式的に示す正面図である。図5は、図1に示す板金箱用カバーの第2正面鍔部の下方向側の先端部が、板金箱本体の開口部の上端縁部に軽く接触した状態を模式的に示す側面図である。図6は、図1に示す板金箱用カバーが板金箱本体に装着された様子を示す斜視図である。図7は、図1に示す板金箱用カバーが板金箱本体に装着された状態を模式的に示す正面図である。図8は、図1に示す板金箱用カバーが板金箱本体に装着された状態を模式的に示す側面図である。図9は、実施の形態1に係る板金箱用カバーおよび板金箱本体の分解斜視図である。図10は、図9に示す板金箱用カバーを板金箱本体に装着した状態を示す斜視図である。なお、図10においては、説明のため、一部の構成を透視して破線で示している。
【0021】
[板金箱用カバーの構成]
図1に示すように、実施の形態1に係る板金箱用カバー1は、平板状に形成された上面部5を有している。上面部5は、全体として平面視で四角形状を有している。四角形状は、矩形、角が曲率Rを有する矩形、略矩形、六角形などの多角形、菱形、台形、平行四辺形などであってよい。なお、実施の形態1では、上面部5が、平面視で矩形形状を有している場合について説明する。また、上面部5のX軸方向は上面部5の長手方向であり、上面部5のY軸方向は上面部5の短手方向である。上面部5の長手方向における両端、すなわち、短手方向に延びる両端を、第1端部5a,5bと呼ぶ。また、上面部5の短手方向における両端、すなわち、長手方向に延びる両端を、第2端部5c,5dと呼ぶ。なお、上記の説明においては、上面部5が平板状に形成されていると記載したが、その場合に限定されない。上面部5は、例えば、上面部5の少なくとも一部分が上方に向かって膨らんでいる、または、尖っていてもよい。また、上面部5に、絞り加工などによって形成された1以上の平行に配置された畝または凸部などが設けられていてもよい。
【0022】
また、図1に示すように、実施の形態1に係る板金箱用カバー1は、2つの側面鍔部2a,2bを有している。側面鍔部2a,2bは、上面部5の第1端部5a,5b(すなわち、長手方向における両端)から下方向Z2に向かって延設されている。それらの側面鍔部2a,2bは、互いに対向して配置されている。側面鍔部2a,2bは、それぞれ、平板状に形成されている。また、側面鍔部2a,2bのそれぞれには、図2に示すネジなどの固定具80(図2参照)が挿入される貫通孔から構成されたネジ孔20が設けられている。側面鍔部2a,2bは、纏めて、側面鍔部2と呼ばれることがある。
【0023】
また、図1に示すように、実施の形態1に係る板金箱用カバー1は、4つの第1正面鍔部3a,3b,3c,3dを有している。第1正面鍔部3a,3b,3c,3dは、上面部5の第2端部5c,5d(すなわち、短手方向における両端)から下方向Z2に向かって延設されている。第1正面鍔部3a,3b,3c,3dは、それぞれ、平板状に形成されている。第1正面鍔部3a,3b,3c,3dは、同一形状である。第1正面鍔部3a,3b,3c,3dは、纏めて、第1正面鍔部3と呼ばれることがある。
【0024】
4つの第1正面鍔部3のうち、第1正面鍔部3a,3bは、上面部5の短手方向における両端のうちの一方である第2端部5cに設けられている。第2端部5cにおいて、第1正面鍔部3a,3bは、凹部5eを介して互いに離間して並んで配置されている。凹部5eは第2端部5cの中央部分に形成されている。凹部5eは、第2端部5cにおいて、第1正面鍔部3a,3bが接続されている部分からY軸方向に上面部5の内側に窪んで形成されている。凹部5eは、平面視で矩形形状を有している。なお、第1正面鍔部3a,3bは、それぞれ、X軸方向において第2端部5cの端部寄りに配置されている。
【0025】
同様に、4つの第1正面鍔部3のうち、他の第1正面鍔部3c,3dは、上面部5の短手方向における両端のうちの他方である第2端部5dに設けられている。第2端部5dにおいて、第1正面鍔部3c,3dは、凹部5eを介して互いに離間して並んで配置されている。第2端部5dに設けられた凹部5eの構成は、上述した第2端部5cに設けられた凹部5eの構成と同じである。すなわち、凹部5eは、第2端部5dにおいて、第1正面鍔部3a,3bが接続されている部分からY軸方向に上面部5の内側に窪んで形成されている。なお、第1正面鍔部3c,3dは、それぞれ、X軸方向において第2端部5dの端部寄りに配置されている。
【0026】
図1および図10に示すように、第1正面鍔部3a,3cは互いに対向する位置に配置され、第1正面鍔部3b,3dは互いに対向する位置に配置されている。
【0027】
また、図1に示すように、実施の形態1に係る板金箱用カバー1は、2つの第2正面鍔部4a,4bを有している。第2正面鍔部4a,4bは、上面部5の第2端部5c,5d、すなわち、短手方向における両端から下方向Z2に向かって延設されている。第2正面鍔部4a,4bは、それぞれ、平板状に形成されている。第2正面鍔部4a,4bは、同一形状である。第2正面鍔部4a,4bは、纏めて、第2正面鍔部4と呼ばれることがある。
【0028】
2つの第2正面鍔部4のうち、一方の第2正面鍔部4aは、上面部5の短手方向における両端のうちの一方である第2端部5cに設けられている。第2端部5cにおいて、第2正面鍔部4aは、2つの第1正面鍔部3a,3bの間に形成された凹部5eに配置されている。第2正面鍔部4aは、凹部5eの端部から下方向Z2に向かって延設されている。第2正面鍔部4aは、X軸方向において第2端部5cの中央部に配置されている。第2端部5cにおいて、X軸方向に、第1正面鍔部3a、第2正面鍔部4a、第1正面鍔部3bの順に、並んで配置されている。
【0029】
2つの第2正面鍔部4のうち、他方の第2正面鍔部4bは、上面部5の短手方向における両端のうちの他方である第2端部5dに設けられている。第2端部5dにおいて、第2正面鍔部4bは、2つの第1正面鍔部3c,3dの間に形成された凹部5eに配置されている。第2正面鍔部4aは、凹部5eの端部から下方向Z2に向かって延設されている。第2正面鍔部4bは、第2端部5dの中央部に配置されている。第2端部5dにおいて、X軸方向に、第1正面鍔部3c、第2正面鍔部4b、第1正面鍔部3dの順に、並んで配置されている。
【0030】
第2正面鍔部4a,4bの外面部41(図5参照)と、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの外面部31(図5参照)とは、平行になるように配置されている。第2正面鍔部4a,4bの外面部41(図5参照)は、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの外面部31(図5参照)よりも上面部5の中央部である点O寄りになるように配置されている。すなわち、第2正面鍔部4a,4bは、Y軸方向において、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dよりも、上面部5の中央部である点Oに向かって凹んで配置されている。
【0031】
また、図1に示すように、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dのZ軸方向の長さD1は、第2正面鍔部4a,4bのZ軸方向の長さD2よりも短い。すなわち、第2正面鍔部4a,4bは、図5に示すように、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dよりも、下方向Z2に向かって突出している。
【0032】
図5に示すように、上面部5のY軸方向における中央部である点Oから、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの外面部31までの、Y軸方向の長さを長さL1とする。同様に、上面部5のY軸方向における中央部である点Oから、第2正面鍔部4a,4bの外面部41までの、Y軸方向の長さを長さL2とする。このとき、長さL1は長さL2より長い。そのため、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの内側には、第2正面鍔部4a,4bの内側よりも、長さL1と長さL2の差の絶対値の分だけY軸方向に大きい空間が形成される。長さL1と長さL2の差の絶対値は、板金箱本体10の側面部12の板厚と同一または略同一であることが望ましい。
【0033】
また、側面鍔部2a,2bのZ軸方向の長さD3は、図1に示すように、第2正面鍔部4a,4bのZ軸方向の長さD2よりも長い。すなわち、側面鍔部2a,2bは、第2正面鍔部4a,4bよりも、下方向Z2に向かって突出している。なお、この場合に限らず、側面鍔部2a,2bのZ軸方向の長さD3は、第2正面鍔部4a,4bのZ軸方向の長さD2と同じであってもよい。
【0034】
板金箱用カバー1は、熱伝導性に優れた材質により構成されている。板金箱用カバー1は、例えば、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた板金を曲げ加工することで形成される。従って、上面部5、側面鍔部2、第1正面鍔部3、および、第2正面鍔部4は、一体成型されている。しかしながら、その場合に限らず、側面鍔部2、第1正面鍔部3、および、第2正面鍔部4を別体で構成し、それらを上面部5に接合して、板金箱用カバー1を形成してもよい。
【0035】
[板金箱本体10の構成]
実施の形態1において、板金箱用カバー1は、上面に開口部13を有する箱形形状の板金箱本体10に装着されるものである。板金箱用カバー1は、板金箱本体10の開口部13を覆うように装着される。板金箱用カバー1は、板金箱本体10に対して着脱可能に装着される。板金箱本体10は、例えば、アルミニウムなどの熱導伝性に優れた板金から構成される。
【0036】
板金箱用カバー1および板金箱本体10は、板金箱40(図10参照)を構成する。板金箱40は、例えば、照明器具50(図13参照)のヒートシンクとして使用される。その場合、箱形形状の板金箱本体10の側面部12は、図2に示すように、アーム22を介して、ネジなどの固定具82により、照明器具50の器具本体である光源部52に取り付けられる。さらに、箱形形状の板金箱本体10の底面部11は、図2に示すように、ネジなどの固定具81により、照明器具50の器具本体である光源部52に取り付けられる。発熱体である光源部52に底面部11が接触することで、板金箱40は光源部52に熱的に接続される。なお、照明器具50の構成については後述する。
【0037】
箱形形状の板金箱本体10は、4つの側面部12と、底面部11と、を有している。4つの側面部12は、底面部11から上方向Z1に立設されている。4つの側面部12は、板金箱本体10の側面を形成している。底面部11は、平面視で円形形状または略円形形状を有している。底面部11には、図2に示すネジなどの固定具81が挿入される貫通孔から構成されたネジ孔110(図9参照)が設けられている。底面部11の構成については後述する。板金箱本体10の上面部分は、上方向Z1に向かって開口している。以下では、板金箱本体10の開口している上面部分を開口部13と呼ぶ。開口部13の外郭を、開口部13の上端縁部13aと呼ぶ。板金箱本体10を構成する4つの側面部12は、隣り合う側面部12同士が接合されていない。そのため、側面部12のそれぞれは、片持ち式に底面部11に固定されている。側面部12の上端部125(図5および図11参照)は、それぞれ、自由端になっている。側面部12の上端部125は、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aを構成している。
【0038】
4つの側面部12のうち、対向する2つの側面部12a,12bには、図2に示すネジなどの固定具82が挿入される貫通孔から構成されたネジ孔121(図9参照)が設けられている。また、それらの側面部12a,12bには、図9に示す溝123が設けられている。アーム22は、溝123に嵌め込むように取り付けられる。これにより、側面部12a,12bにアーム22を取り付ける際に、組立間違いを防止することができる。
【0039】
[板金箱用カバー1の装着方法]
次に、図2図8を用いて、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着する装着方法について説明する。なお、板金箱用カバー1は、側面鍔部2と第2正面鍔部4とが板金箱本体10の開口部13の内部に配置され、第1正面鍔部3が開口部13の外部に配置されるように、板金箱本体10に装着される。
【0040】
板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着する際には、まず、図2に示すように、作業者は、板金箱用カバー1を板金箱本体10の開口部13に向かって矢印Aの方向に近づけていく。矢印Aの方向は、下方向Z2と平行な方向である。なお、ここで、作業者とは、人間に限定されず、組立装置または組立ロボットなども含む。
【0041】
さらに、板金箱用カバー1を板金箱本体10の開口部13に矢印Aの方向に近づけていくと、図3に示すように、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bの下方向Z2側の先端部2aa,2bbが、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aに軽く接触する。
【0042】
このときの様子を、図4に示す。図4は、実施の形態1に係る板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bの下方向Z2側の先端部2aa,2bbが、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aに軽く接触した状態を模式的に示している。図4に示すように、板金箱本体10において、対向する側面部12a,12bと底面部11とは、正面視で(X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向から見た場合)、コ字形状になっている。上述したように、板金箱本体10の隣接する側面部12同士は、少なくとも上端部125が接合されていない。そのため、上端部125は自由端となっている。その結果、図4に示すように、側面部12a,12bの上端部125は、互いに離れる方向に移動する傾向にある。すなわち、側面部12a,12bは、それぞれ、上方向Z1に向かうにつれてコ字形状が外側に向かって広がるように傾斜している。そこで、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bの下方向Z2側の先端部2aa,2bbは、自然と、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aの内壁に接触するように、板金箱本体10内に挿入される。板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bは、そのまま、板金箱本体10の側面部12の内壁に案内されて、板金箱本体10の内部に挿入されていく。従って、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着させた状態では、側面鍔部2a,2bは、板金箱本体10の内部に配置される。
【0043】
また、板金箱用カバー1が図3および図4に示される状態のときには、続けて、あるいは、ほぼ同時に、板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bの下方向Z2側の先端部4aa,4bbが、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aに軽く接触する。
【0044】
このときの様子を、図5に示す。図5は、実施の形態1に係る板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bの下方向Z2側の先端部4aa,4bbが、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aに軽く接触した状態を模式的に示している。図5に示すように、板金箱本体10において、対向する側面部12c,12dと底面部11とは、側面視で(Y軸方向およびZ軸方向に垂直な方向から見た場合)、コ字形状になっている。上述したように、板金箱本体10の隣接する側面部12同士は、少なくとも上端部125が接合されていない。そのため、上端部125は自由端となっている。その結果、図5に示すように、側面部12c,12dの上端部125は、互いに離れる方向に移動する傾向にある。すなわち、側面部12c,12dは、それぞれ、上方向Z1に向かうにつれてコ字形状の外側に向かうように傾斜している。そこで、板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bの下方向Z2側の先端部4aa,4bbは、自然と、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aの内壁に接触するように、板金箱本体10内に挿入される。板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bは、そのまま、板金箱本体10の側面部12の内壁に案内されて、板金箱本体10の内部に挿入されていく。従って、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着させた状態では、第2正面鍔部4a,4bは、板金箱本体10の内部に配置される。
【0045】
一方、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dは、それぞれ、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着させた状態で、板金箱本体10の外部に配置される。以下、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの装着および配置について説明する。
【0046】
すなわち、図3および図4に示す状態から、さらに、板金箱用カバー1を板金箱本体10の開口部13に矢印Aの方向に近づけていく。すると、板金箱用カバー1の第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの下方向Z2側の先端部3aa,3bb,3cc,3ddが、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aの外壁にガイドされて、板金箱本体10に嵌合される。このときに、図5に示すように、側面部12c,12dの上端部125がそれぞれ、コ字形状の外側に向かって傾斜している。そこで、作業者は、必要に応じて、図5の矢印B方向に側面部12c,12dを軽くコ字形状の内側に向かって押す。こうすることで、容易に、板金箱用カバー1の第1正面鍔部3a,3b,3c,3dを側面部12c,12dの外側に配置するように、板金箱用カバー1を板金箱本体10に嵌合させることができる。こうして、図6に示すように、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bと第2正面鍔部4a,4bとが完全に板金箱本体10の内部に挿入され、板金箱用カバー1の第1正面鍔部3a,3b,3c,3dが板金箱本体10の外側に配置される。この状態においては、図8に示すように、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの内側の面に、板金箱本体10の開口部13の上端縁部13aが当接している。これにより、板金箱用カバー1の矢印A方向の移動が規制される。
【0047】
これにより、板金箱用カバー1の第1正面鍔部3a,3bと第2正面鍔部4aとは協働して、板金箱本体10の側面部12cを挟持して、側面部12cを外側と内側とから支持する。同様に、板金箱用カバー1の第1正面鍔部3c,3dと第2正面鍔部4bとは協働して、板金箱本体10の側面部12dを挟持して、側面部12dを外側と内側とから支持する。
【0048】
また、図6の状態において、板金箱本体10の側面部12に設けられた貫通孔から構成されたネジ孔120の位置と、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bに設けられたネジ孔20(図1参照)との位置とが、一致する。そのため、ネジなどの固定具80を、ネジ孔120およびネジ孔20に挿入して締結することで、板金箱用カバー1が板金箱本体10に装着される。なお、固定具80としてネジを用いる場合には、ネジ孔20および120には、雌ネジが設けられている。
【0049】
このときの様子を、図7および図8に模式的に示す。
【0050】
図7に示すように、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bは、板金箱本体10の内部に配置され、ネジなどの固定具80によって固定されている。その結果、コ字形状の外側に向かって傾斜していた側面部12a,12bの配置は、底面部11に直交するように修正されている。言い換えると、固定具80の締め付けに伴って、徐々に、側面部12a,12bの傾斜状態が、底面部11への直交状態に変化する。また、外側から外力Cが側面部12a,12bに加わった場合においても、板金箱本体10の内側に配置されている側面鍔部2a,2bが、内側から側面部12a,12bを支持する支持機構として作用する。そのため、板金箱用カバー1を板金箱本体10に取り付けた後の板金箱本体10の側面部12の剛性を強くすることができる。その結果、側面部12に外側から加えられた外力Cへの耐性が確保され、板金箱本体10の変形を防止することができる。
【0051】
また、図8に示すように、板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bは、板金箱本体10の内部に配置され、一方、板金箱用カバー1の第1正面鍔部3a,3b,3c,3dは、板金箱本体10の外部に配置されている。そのため、板金箱本体10の側面部12c,12dの上端部125は、図8に示すように、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dと第2正面鍔部4a,4bとによって、外側からと内側からの両側から支持されている。その結果、コ字形状の外側に向かって傾斜していた側面部12c,12dの配置は、底面部11に直交するように修正される。また、外側から外力Cが側面部12c,12dに加わった場合においても、板金箱本体10の内側に配置されている第2正面鍔部4a,4bが、内側から側面部12c,12dを支持する支持機構として作用する。そのため、板金箱用カバー1を板金箱本体10に取り付けた後の板金箱本体10の側面部12の剛性を、さらに強くすることができる。その結果、側面部12に外側から加えられた外力Cへの耐性が確保され、板金箱本体10の変形を防止することができる。
【0052】
[板金箱本体10の構成の詳細な説明]
次に、図9および図10を用いて、板金箱本体10の構成について詳細に説明する。板金箱本体10は、熱伝導性に優れた材質により構成されている。板金箱本体10は、例えば、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた板金を、曲げ加工することで形成される。
【0053】
板金箱本体10は、図9に示すように、第1コ字部材10Aと、第2コ字部材10Bとから構成されている。第1コ字部材10Aと、第2コ字部材10Bとは、それぞれ、アルミニウムなどの板金を、コ字形状に曲げ加工することで形成されている。
【0054】
図9に示すように、第1コ字部材10Aは、板金箱本体10の4つの側面部12のうち、対向する側面部12a,12bを有している。また、第1コ字部材10Aは、底面部11aを有している。底面部11aは、平面視で、円形形状または略円形形状を有している。底面部11aは、X軸方向およびY軸方向に平行になるように配置されている。底面部11aのX軸方向における両端部から、対向する側面部12a,12bがそれぞれ上方向Z1に向かって立設されている。底面部11aは、第1ヒートシンクベースと呼ばれることがある。また、側面部12a,12bは、第1ヒートシンクフィンと呼ばれることがある。
【0055】
また、図9に示すように、第2コ字部材10Bは、板金箱本体10の4つの側面部12のうち、対向する他の側面部12c,12dを有している。また、第2コ字部材10Bは、底面部11bを有している。底面部11bは、平面視で、矩形形状または略矩形形状を有している。底面部11bは、X軸方向およびY軸方向に平行になるように配置されている。底面部11bのY軸方向における両端部から、対向する側面部12c,12dがそれぞれ上方向Z1に向かって立設されている。底面部11bは、第2ヒートシンクベースと呼ばれることがある。また、側面部12c,12dは、第2ヒートシンクフィンと呼ばれることがある。
【0056】
板金箱本体10は、第1コ字部材10Aの底面部11aの上に、第2コ字部材10Bの底面部11bを載置することで、箱形形状に形成される。従って、板金箱本体10の底面部11は、底面部11aと底面部11bとが積層されて構成されている。
【0057】
このとき、図9に示すように、第1コ字部材10Aの側面部12a,12bと、第2コ字部材10Bの側面部12c,12dと、がそれぞれ互いに直交する向きに配置される。言い換えると、第1コ字部材10Aの側面部12a,12bの幅方向はY軸方向であり、第2コ字部材10Bの側面部12c,12dの幅方向はX軸方向であり、それぞれの幅方向を互いに交差する方向に向けて配置されている。
【0058】
また、第1コ字部材10Aの側面部12a,12bと、第2コ字部材10Bの側面部12c,12dと、の立設方向を同じ向きに配置する。これにより、箱形形状の上面が開口された状態となる。
【0059】
このように、板金箱本体10を組み立てる際には、第1コ字部材10Aの底面部11aの上に第2コ字部材10Bの底面部11bを載置する。これにより、第1コ字部材10Aと第2コ字部材10Bとを組み合わせて、図10に示す箱形形状に形成したときに、第1コ字部材10Aの側面部12a,12bと、第2コ字部材10Bの側面部12c,12dと、が互いに隣り合う位置に配置される。また、箱形形状の上面が開口された状態となる。
【0060】
実施の形態1においては、板金箱本体10は、板金から構成された第1コ字部材10Aと第2コ字部材10Bとを組み合わせて構成されている。図10は、第1コ字部材10Aと第2コ字部材10Bとを組み合わせて構成した状態の板金箱40を示している。図10では、板金箱本体10に板金箱用カバー1を装着させた状態の板金箱40を示している。板金箱用カバー1は、ヒートシンクカバーと呼ばれることがある。
【0061】
以上のように、実施の形態1によれば、板金箱用カバー1は、板金箱本体10の側面部12a,12bが互いに離間する方向に広がる特性を利用して、側面鍔部2a,2bを側面部12a,12bの内側に配置するように構成されている。つまり、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着する際には、図4に示すように、板金箱本体10の側面部12a,12bの自由端である上端部125が、互いに離間する方向に広がっている。そのため、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bは、自然と、板金箱本体10の側面部12a,12bの内壁にガイドされ、板金箱本体10の内部に挿入される。そのため、容易に、板金箱用カバー1の側面鍔部2a,2bを、板金箱本体10の内部に挿入することができる。
【0062】
また、板金箱用カバー1は、板金箱本体10の側面部12c,12dが互いに離間する方向に広がる特性を利用して、第2正面鍔部4a,4bを側面部12c,12dの内側に配置するように構成されている。つまり、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着する際には、図5に示すように、板金箱本体10の側面部12c,12dの自由端である上端部125が、互いに離間する方向に広がっている。そのため、板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bは、自然と、板金箱本体10の側面部12c,12dの内壁にガイドされ、板金箱本体10の内部に挿入される。そのため、容易に、板金箱用カバー1の第2正面鍔部4a,4bを、板金箱本体10の内部に挿入することができる。
【0063】
このようにして、板金箱用カバー1を板金箱本体10に装着するため、板金箱用カバー1を板金箱本体10に容易に装着することができる。
【0064】
さらに、板金箱用カバー1が板金箱本体10に装着された状態において、側面鍔部2a,2bは、板金箱本体10を構成する側面部12a,12bに、ネジなどの固定具80により固定される。そのため、図7に示すように、板金箱本体10を構成する側面部12a,12bに対して外力Cが加わった場合においても、側面鍔部2a,2bが側面部12a,12bを内側から支持する支持機構として作用する。これにより、側面部12a,12bの剛性が確保され、側面部12a,12bの変形を防止することができる。
【0065】
また、図5に示すように、上面部5の中央部である点Oから第1正面鍔部3a,3b,3c,3dの外面部31までの長さL1は、上面部5の中央部である点Oから第2正面鍔部4a,4bの外面部41までの長さL2よりも長い。また、長さL1と長さL2との差の絶対値は、板金箱本体10を構成する側面部12c、12dの板厚と同一である。そのため、板金箱用カバー1が板金箱本体10に装着された状態において、図8に示すように、側面部12c、12dの上端部125は、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dと、第2正面鍔部4a,4bと、によって挟持されている。すなわち、側面部12c、12dの上端部125は、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dによって外側から支持され、且つ、第2正面鍔部4a,4bによって内側から支持されている。そのため、図8に示すように、板金箱本体10を構成する側面部12c,12dに対して外力Cが加わった場合においても、第2正面鍔部4a,4bが側面部12c,12dを内側から支持する支持機構として作用する。さらに、第1正面鍔部3a,3b,3c,3dが側面部12c,12dを外側から支持する支持機構として作用する。これにより、側面部12c,12dの剛性が確保され、側面部12c,12dの変形を防止することができる。
【0066】
以上のことから、実施の形態1に係る板金箱用カバー1によれば、板金箱本体10に取り付ける際の作業を簡素にし、板金箱本体10の側面部12a,12b,12c,12dの剛性を確保することができる。
【0067】
実施の形態1に係る板金箱40は、実施の形態1で説明した板金箱用カバー1を備えているため、上記と同様の効果が得られる。すなわち、実施の形態1に係る板金箱40によれば、板金箱用カバー1を板金箱本体10に取り付ける際の作業を簡素にし、板金箱本体10の側面部12a,12b,12c,12dの剛性を確保することができる。
【0068】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る板金箱本体の構成を示す分解斜視図である。図12は、実施の形態2に係る板金箱用カバーと板金箱本体との構成を示す斜視図である。実施の形態2における板金箱用カバー1の構成については、実施の形態1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0069】
図11に示すように、実施の形態2に係る板金箱本体10は、実施の形態1に係る板金箱本体10の変形例である。実施の形態2に係る板金箱本体10は、実施の形態1と同様に、底面部11と、底面部11から上方向Z1に立設された4つの側面部12と、を有している。従って、板金箱本体10は、図12に示すように、上面に開口部13を有する箱形形状を有している。また、板金箱用カバー1は、図12に示すように、板金箱本体10の上面を覆うように装着される。実施の形態1と実施の形態2との違いは、板金箱本体10を構成する部材の個数および形状である。以下に、詳細に説明する。
【0070】
板金箱本体10は、図11に示すように、第1コ字部材10Cと、2つのL字部材10Dと、第2コ字部材10Eと、の4つの部材から構成されている。
【0071】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、板金箱用カバー1および板金箱本体10は、熱伝導性に優れた材質により構成されている。板金箱用カバー1および板金箱本体10は、例えば、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた板金を曲げ加工することで形成される。
【0072】
図11に示すように、第2コ字部材10Eは、対向する取付部12e,12fを有している。また、第2コ字部材10Eは、底面部11cを有している。底面部11cは、平面視で、円形形状または略円形形状を有している。底面部11cは、X軸方向およびY軸方向に平行になるように配置されている。底面部11cのX軸方向における両端部から、対向する取付部12e,12fがそれぞれ上方向Z1に向かって立設されている。底面部11cは、第1ヒートシンクベースと呼ばれることがある。また、取付部12e,12fは、アーム22(図2参照)により、照明器具50の光源部52に、ネジ等の固定具82(図2参照)により固定される。
【0073】
また、図11に示すように、第1コ字部材10Cは、対向する側面部12g,12hを有している。側面部12g,12hは、板金箱本体10の側面部12を構成する。また、第1コ字部材10Cは、底面部11dを有している。底面部11dは、平面視で、矩形形状または略矩形形状を有している。底面部11dは、X軸方向およびY軸方向に平行になるように配置されている。底面部11dのX軸方向における両端部から、対向する側面部12g,12hがそれぞれ上方向Z1に向かって立設されている。底面部11dは、第2ヒートシンクベースと呼ばれることがある。また、側面部12g,12hは、第1ヒートシンクフィンと呼ばれることがある。
【0074】
また、図11に示すように、1対のL字部材10Dは、対向する側面部12i,12jを有している。側面部12i,12jは、側面部12g,12hと共に、板金箱本体10の側面部12を構成する。また、L字部材10Dは、それぞれ、底面部11eを有している。底面部11eは、平面視で、矩形形状または略矩形形状を有している。底面部11cは、X軸方向およびY軸方向に平行になるように配置されている。底面部11eのY軸方向における一方の端部から、側面部12i,12jがそれぞれ上方向Z1に向かって立設されている。底面部11eは、第3ヒートシンクベースと呼ばれることがある。また、側面部12i,12jは、第2ヒートシンクフィンと呼ばれることがある。
【0075】
図11に示すように、底面部11cの上に、底面部11dおよび底面部11eを載置する。このとき、第1コ字部材10Cの側面部12g,12hが、それぞれ、X軸方向において、第2コ字部材10Eの取付部12e,12fの内側になるように配置する。また、1対のL字部材10Dの側面部12i,12dは、それぞれ、第1コ字部材10Cの側面部12g,12hと直交する向きに配置される。
【0076】
実施の形態2においては、底面部11c、底面部11d、および、底面部11eが、板金箱本体10の底面部11を構成している。また、側面部12g,12h,12i,12jが、板金箱本体10の側面部12を構成している。
【0077】
このように、実施の形態2においては、板金箱本体10が、第1コ字部材10Cと、2つのL字部材10Dと、第2コ字部材10Eとを組み合わせて構成されている。また、底面部11cの上に底面部11dおよび底面部11eを載置した状態で、底面部11cに底面部11dおよび底面部11eをネジなどの固定具(図示省略)で固定することで、図12に示すように、板金箱本体10が構成される。
【0078】
板金箱本体10は、実施の形態2に一例を示すように、実施の形態1で示した構成に限定されず、上面が開口された箱形形状であれば、他の構成でもよい。その場合においても、実施の形態1で示した板金箱用カバー1を共用することができる。このように、実施の形態1で示した板金箱用カバー1は、上面が開口された箱形形状であれば、他の構成の箱にも適用可能であり、汎用性を有している。また、いずれの場合においても、板金箱用カバー1、および、それを有する板金箱40は、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0079】
実施の形態3.
図13は、実施の形態3に係る照明器具の構成を示す分解斜視図である。図13に示すように、照明器具50は、枠51と、光源部52と、可動枠53と、板金箱40から構成されたヒートシンクと、電源部(図示省略)と、点灯装置(図示省略)と、を有している。
【0080】
照明器具50は、天井などの被取付部に固定される埋め込み式の照明装置である。照明器具50の枠51は、取付バネなどの取付具54により、天井などの被取付部に固定される。枠51は、円環状に形成されている。照明器具50は、被取付部に固定される埋め込み式の照明装置に限らず、光源部52から発生する熱を放熱する放熱部材を有するものであればよい。
【0081】
光源部52は、枠51の内部に配置され、照明空間に向かって光を照射する光源と反射板とを有している。光源は、例えば、LED素子である。また、照明空間は、例えば、室内空間である。光源から発せられた光の一部はそのまま照明空間に向かって出射され、照明空間を照射する。また、光源から発せられた光の他の部分は、反射板で反射された後に、照明空間を照射する。反射板は、例えば、円錐台形状に形成されている。
【0082】
可動枠53は、枠51に対して、光源部52を回動可能にするものである。可動枠53によって、光源部52は矢印Dの方向に、すなわち、枠51の周方向に回動される。可動枠53は、円環状に形成されている。
【0083】
ヒートシンクは、実施の形態1および2で説明した板金箱40から構成されている。ヒートシンクは、光源部52が発生する熱を放熱させる。
【0084】
ヒートシンクの内部には、電力を供給する電源部と、電源部からの電力を光源部52に供給して光源部52の光源を発光させる点灯装置とが、配置されている。なお、この場合に限らず、電源部と点灯装置との少なくとも一方をヒートシンクの内部に配置してもよい。
【0085】
実施の形態3に係る照明器具50は、実施の形態1および2で説明した板金箱40を備えているため、実施の形態1および2と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0086】
1 板金箱用カバー、2 側面鍔部、2a 側面鍔部、2aa 先端部、2b 側面鍔部、2bb 先端部、3 第1正面鍔部、3a 第1正面鍔部、3aa 先端部、3b 第1正面鍔部、3bb 先端部、3c 第1正面鍔部、3cc 先端部、3d 第1正面鍔部、3dd 先端部、4 第2正面鍔部、4a 第2正面鍔部、4aa 先端部、4b 第2正面鍔部、4bb 先端部、5 上面部、5a 第1端部、5b 第1端部、5c 第2端部、5d 第2端部、5e 凹部、10 板金箱本体、10A 第1コ字部材、10B 第2コ字部材、10C 第1コ字部材、10D L字部材、10E 第2コ字部材、11 底面部、11a 底面部、11b 底面部、11c 底面部、11d 底面部、11e 底面部、12 側面部、12a 側面部、12b 側面部、12c 側面部、12d 側面部、12e 取付部、12f 取付部、12g 側面部、12h 側面部、12i 側面部、12j 側面部、13 開口部、13a 上端縁部、20 ネジ孔、22 アーム、31 外面部、40 板金箱、41 外面部、50 照明器具、51 枠、52 光源部、53 可動枠、54 取付具、80 固定具、81 固定具、82 固定具、110 ネジ孔、120 ネジ孔、121 ネジ孔、123 溝、125 上端部、A 矢印、B 矢印、C 外力、D 矢印、Z1 上方向、Z2 下方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13