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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008274
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】電力変換装置及び基板間接続部
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20230112BHJP
【FI】
H01R12/73
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111701
(22)【出願日】2021-07-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北浦 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】小倉 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 和宏
(72)【発明者】
【氏名】川北 嘉洋
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB01
5E223AB25
5E223AB62
5E223AB76
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB24
5E223CB29
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB33
5E223EA16
5E223EA36
(57)【要約】
【課題】基板間を正常に接続でき、生産性及び電気特性の向上を図ることができる電力変換装置及び基板間接続部を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板及び第2の基板を電気的かつ機械的に接続する複数の基板間接続部と、を備える。基板間接続部は、オス型嵌合部材と、オス型嵌合部材と基板との間に介在するオス側はんだ層と、オス型嵌合部材を囲繞するように配置されるオス側保持部材と、メス型嵌合部材と、メス型嵌合部材と基板との間に介在するメス側はんだ層と、メス型嵌合部材を囲繞するように配置されるメス側保持部材と、を備え、オス型嵌合部材とメス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する複数の基板間接続部と、を備え、
複数の前記基板間接続部は、それぞれ、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を囲繞するように配置されるオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を囲繞するように配置されるメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される、
電力変換装置。
【請求項2】
前記オス側保持部材は、前記オス側はんだ層を形成するはんだ材の融点で変形しない耐熱性を有し、
前記メス側保持部材は、前記メス側はんだ層を形成するはんだ材の融点で変形しない耐熱性を有する、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス側保持部材との間に介在するオス側接着層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス側保持部材との間に介在するメス側接着層と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記オス側接着層を形成する接着剤は、前記オス側はんだ層を形成するはんだ材の融点よりも低い温度で硬化し、
前記メス側接着層を形成する接着剤は、前記メス側はんだ層を形成するはんだ材の融点よりも低い温度で硬化する、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記オス側保持部材は、当該オス側保持部材を設けた後で前記オス型嵌合部材を挿設可能な開口を有し、
前記メス側保持部材は、当該メス側保持部材を設けた後で前記メス型嵌合部材を挿設可能な開口を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記オス側保持部材と前記メス側保持部材とが当接している、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記オス型嵌合部材は、略平板状の差込部を有し、
前記メス型嵌合部材は、互いに対向して配置され、前記差込部を挟持する第1挟持部及び第2挟持部を有し、
前記第1挟持部及び前記第2挟持部により前記差込部が挟持されることにより、前記電気接点部が形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
第1の基板と第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する基板間接続部であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を囲繞するように配置されるオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を囲繞するように配置されるメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される、
基板間接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置と、それに用いられる基板間接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などに搭載される電力変換装置には、DC/DCコンバーターやインバーターなどの回路構成が実装された複数の回路基板が設けられている。このような電力変換装置には、例えば車両への搭載性の観点から小型化が要求されている。
【0003】
従来、複数の回路基板を積層することにより、複数の回路基板上の実装面積を維持しつつ、電力変換装置の小型化を図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、各々の回路基板に設けられたコネクターなどの嵌合部材を互いに嵌合させることにより、回路基板間の電気的な接続を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-14128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回路基板へのコネクターの実装工程では、リフローはんだ付けにより、複数のコネクターを回路基板に同時に接合するのが一般的である。そのため、コネクターの実装位置は、溶融したはんだの表面張力によるセルフアライメントに依存し、ペースト状のはんだ材の塗布状態によっては設計位置からずれることもある(いわゆる実装ずれ)。そして、コネクターの実装ずれが生じた場合には、回路基板間を正常に接続できなくなり、生産性の低下や、電気特性の低下を招く虞がある。
【0006】
本開示の目的は、基板間を正常に接続でき、生産性及び電気特性の向上を図ることができる電力変換装置及び基板間接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電力変換装置は、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する複数の基板間接続部と、を備え、
複数の前記基板間接続部は、それぞれ、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を囲繞するように配置されるオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を囲繞するように配置されるメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される。
【0008】
本開示に係る基板間接続部は、
第1の基板と第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する基板間接続部であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を囲繞するように配置されるオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を囲繞するように配置されるメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の電力変換装置及び基板間接続部によれば、基板間を正常に接続でき、生産性及び電気特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る電力変換装置における複数の回路基板の層状構造の一例を示す概略の模式的断面図である。
図2図2A図2Eは、オス型嵌合部材の一例の概略構成を示す展開模式図である。
図3図3A図3Eは、メス型嵌合部材の一例の概略構成を示す展開模式図である。
図4図4A図4Bは、オス型嵌合部材の実装状態の一例を示す模式図である。
図5図5A図5Dは、オス型嵌合部材の実装工程の一例を示す模式図である。
図6図6A図6Bは、メス型嵌合部材の実装状態の一例を示す模式図である。
図7図7A図7Dは、メス型嵌合部材の実装工程の一例を示す図である。
図8図8は、基板間接続部における結合構造の一例を示す概略模式図である。
図9図9は、基板間接続部における結合構造の他の一例を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示における電力変換装置及び基板間接続部の実施形態について説明する。なお、本開示は、以下に説明する実施の形態に限るものではない。
【0012】
実施の形態に係る電力変換装置1は、一例として、電気自動車などに搭載され、電源(外部電源)から供給される交流電力を所定の電圧の直流電力へ変換し、変換後の直流電力をリチウムイオンバッテリーなどのバッテリーへ出力する車載充電器に設けられる。このような電力変換装置1は、DC/DCコンバーターやインバーターなどの回路構成が実装された、複数の回路基板を搭載する。
【0013】
<電力変換装置1の全体構成>
図1は、実施形態に係る電力変換装置1における回路基板の層状構造の一例を模式的に示す断面図である。図1では、電力変換装置1が備える複数の回路基板のうちの第1の基板PCB1、第2の基板PCB2及び第3の基板PCB3について例示している。
【0014】
図1に示すように、電力変換装置1は、第1の基板PCB1、第2の基板PCB2及び第3の基板PCB3を備え、各基板間には、基板間接続部Bが介在している。以下において、第1の基板PCB1と第2の基板PCB2との間に介在する基板間接続部Bを「第1基板間接続部B1」と称し、第2の基板PCB2と第3の基板PCB3との間に介在する基板間接続部Bを「第2基板間接続部B2」と称する。
なお、図1では、基板接続部Bの構成を簡略化して示しており、後述するオス側保持部材31及びメス側保持部材41については省略している。
【0015】
第1の基板PCB1、第2の基板PCB2及び第3の基板PCB3は、それぞれプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)である。プリント回路基板には、例えば、銅の配線パターンがガラスエポキシ絶縁基材上に形成されたいわゆるガラスエポキシ基板、又は、銅板やアルミニウム板上に絶縁層を設け、その上に銅の配線パターンが形成された放熱性の高い金属複合基板を適用できる。プリント回路基板上の金属の一部を、水冷されている架台と熱交換可能に接触させてもよい。この場合、プリント回路基板に実装された電子部品の温度上昇を抑制することができる。なお、金属を母材とするプリント回路基板の場合、樹脂を母材とするプリント回路基板に比較して冷却効率が向上する。
【0016】
なお、電力変換装置1が備える複数の回路基板のうちの一部の基板だけをプリント回路基板で構成してもよい。例えば、第1の基板PCB1、第2の基板PCB2及び第3の基板PCB3のうちの少なくとも1つの基板をプリント回路基板とすることができる。
【0017】
第1の基板PCB1及び第2の基板PCB2は、これらの間に介在する複数の第1基板間接続部B1により、電気的かつ機械的に接続される。第1基板間接続部B1は、例えば、24個設けられる。
また、第2の基板PCB2及び第3の基板PCB3は、これらの間に介在する複数の第2基板間接続部B2により、電気的かつ機械的に接続される。第2基板間接続部B2は、例えば、6個設けられる。
【0018】
第1基板間接続部B1及び第2基板間接続部B2は、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfにより構成される。オス型嵌合部材Bmは、差し込む側のブレード状のコネクターであり、プラグ(plug)と称される。オス型嵌合部材Bmは、平栓刃と表現することもできる。メス型嵌合部材Bfは、差し込まれる側のコネクターであり、レセプタクル(Receptacle)と称される。メス型嵌合部材Bfは、ブレード受けバネと表現することもできる。
【0019】
一例として、第1の基板PCB1の第2の基板PCB2側の主面には、複数のオス型嵌合部材Bmが配置される。第2の基板PCB2の両主面には、複数のメス型嵌合部材Bfが配置される。第3の基板PCB3の第2の基板PCB2側の主面には、複数のオス型嵌合部材Bmが配置される。
【0020】
第1の基板PCB1は、例えば、第1基板間接続部B1を介して、第2の基板PCB2から供給された電力に応じた電力をバッテリーなどへ出力する。また、第1の基板PCB1は、第4の基板PCB4に電気的に接続され、第4の基板PCB4とともに基板ユニットXを構成している。第4の基板PCB4は、第1の基板PCB1等と同様のプリント回路基板である。
【0021】
なお、第1の基板PCB1は、図示しないトランスユニットと、複数(例えば、12個)の基板間接続部Bを介して接続されてもよい。また、基板ユニットXにおいて、第1の基板PCB1及び第4の基板PCB4を、複数の基板間接続部Bにより結合してもよい。つまり、実施形態で開示する基板間接続部Bの構造は、基板ユニットXなどのユニット内の基板間の接続、基板ユニット間の接続、又は基板ユニットと基板ユニット外の基板との間の接続に適用することができる。
【0022】
第2の基板PCB2は、第1及び第2基板間接続部B1、B2を介して、第3の基板PCB3から供給された電力に応じた電力を第1の基板PCB1へ出力する。
【0023】
第3の基板PCB3は、第2基板間接続部B2を介して、例えば、外部電源から供給された電力に応じた電力を第2の基板PCB2へ出力する。
【0024】
本実施の形態のように、電力変換装置1の複数の回路基板が3層以上の層状構造を形成する場合、中間層を形成する基板(ここでは、第2の基板PCB2)には、オス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材Bfが両主面に配置される。
【0025】
オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは、それぞれ、金属材料により形成される。一例として、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは、銅、真鍮を含む銅合金、アルミニウムあるいはアルミニウム合金により形成される。また、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの表面領域のうちの一部あるいは全部に、導体めっきが施されている。導体めっきとしては、例えば、錫めっき、銀めっき又は金めっきを適宜利用可能である。
【0026】
ここで、錫は、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの下地に使用されるニッケルと合金化しやすい性質を有する。周囲温度が高くなると、錫及びニッケルの合金化及び酸化が進行し、抵抗値が1[mΩ]以上となる。一方で、銀や金は、ニッケルとの合金化及び酸化は進行しにくい。したがって、電気接点部P(図8図9参照)の品質を確保する上では、銀めっき又は金めっきが有利である。
【0027】
<オス型嵌合部材Bm>
図2A図2Eは、図1に示すオス型嵌合部材Bmの一例の概略構成を示す展開模式図である。図2Aはオス型嵌合部材Bmを差込部11の先端側から見た平面図、図2Bは左側面図、図2Cは右側面図、図2Dは正面図、図2Eは背面図である。
【0028】
図2A図2Eに示すように、オス型嵌合部材Bmは、差込部11及び基板接続部12を有する。オス型嵌合部材Bmは、例えば、1枚の金属板材の切削加工及び曲げ加工によって形成される。
【0029】
差込部11は、メス型嵌合部材Bfと嵌合して電気接点部Pを形成する部分であり、略平板形状を有する。差込部11の先端部11aは、面取りされており、先端側に向かうほど厚さが小さくなっている。これにより、差込部11をメス型嵌合部材Bfに挿入し易くなる。
【0030】
基板接続部12は、プリント回路基板(例えば、第1の基板PCB1)に接続される部分であり、差込部11の基端側に設けられている。基板接続部12は、プリント回路基板上の所定の位置に、リフローはんだ付けにより接合され、差込部11とプリント回路基板上の配線との間を電気的に接続する。基板接続部12は、例えば、切込み13によって分割された部分を、それぞれ互い違いに、差込部11に対して略垂直方向に屈曲することにより形成される。
【0031】
なお、図2A図2Eに示すオス型嵌合部材Bmの構成は一例であり、細部の構造は適宜変更可能である。例えば、基板接続部12の数(差込部11の基端側の分割数)は、2つ以上で任意に変更可能である。差込部11の長さが長い程、基板接続部12の数は多いことが好ましい。また例えば、差込部11は、平板形状ではなく、ピン形状を有していてもよい。
【0032】
<メス型嵌合部材Bf>
図3A図3Eは、図1に示すメス型嵌合部材Bfの一例の概略構成を示す展開模式図である。図3Aはメス型嵌合部材Bfを挟持部21、22の先端側から見た平面図、図3Bは左側面図、図3Cは右側面図、図3Dは正面図、図3Eは背面図である。
【0033】
図3A図3Eに示すように、メス型嵌合部材Bfは、第1挟持部21、第2挟持部22、基板接続部23、及び連結部24、25を有する。メス型嵌合部材Bfは、例えば、1枚の金属板材の切削加工及び曲げ加工によって形成される。
【0034】
基板接続部23は、プリント回路基板(例えば、第2の基板PCB2)に接続される部分であり、平面視で略矩形状に形成されている。基板接続部23は、プリント回路基板上の所定の位置に、リフローはんだ付けにより接合され、第1挟持部21及び第2挟持部22とプリント回路基板上の配線との間を電気的に接続する。
【0035】
連結部24、25は、第1挟持部21及び第2挟持部22と基板接続部23とを連結する部分である。連結部24、25は、基板接続部23に対して、略垂直に折曲して形成される。
【0036】
第1挟持部21は、所定の間隙を介して離間して並置される2つの第1挟持片21A、21Bを有する。第2挟持部22は、所定の間隙を介して離間して並置される2つの挟持片22A、22Bを有する。また、第1挟持部21及び第2挟持部22は、全体として、所定の間隙を介して互いに対向するように配置される。
【0037】
具体的には、第1挟持片21A及び第2挟持片22Aは、それぞれ、連結部24に対して基部213、223を略垂直に折曲することにより、互いに対向して配置される。第1挟持片21A及び第2挟持片22Aは、先端側から基端側にわたって離間しており、その離間幅は先端側に向かって狭くなっている。
同様に、第1挟持片21B及び第2挟持片22Bは、それぞれ、連結部25に対して基部213、223を略垂直に折曲することにより、互いに対向して配置される。第1挟持片21B及び第2挟持片22Bは、先端側から基端側にわたって離間しており、その離間幅は先端側に向かって狭くなっている。
【0038】
第1挟持部21と第2挟持部22の先端側の間隙により、受入部26が形成される。受入部26には、オス型嵌合部材Bmの差込部11が挿入される。第1挟持部21及び第2挟持部22は、オス型嵌合部材Bmの差込部11が挿入された状態において板バネとして機能し、差込部11を押圧して挟持する。
【0039】
第1挟持部21は、第1挟持片21A、21Bのそれぞれにおいて、先端側に第1接点形成部211を有する。同様に、第2挟持部22は、第2挟持片22A、22Bのそれぞれにおいて、先端側に第2接点形成部221を有する。
【0040】
第1接点形成部211は、第2挟持部22に向かって凸となる形状に屈曲して形成されている。また、第2接点形成部221は、第1挟持部21に向かって凸となる形状に屈曲して形成されている(図3D図3E参照)。第1接点形成部211及び第2接点形成部221の屈曲部同士が最も近接し、屈曲部間の離間幅は、オス型嵌合部材Bmの差込部11の先端部11aの先端厚さよりも大きく、差込部11の板厚よりも小さく設定される。第1接点形成部211及び第2接点形成部221は、それぞれの屈曲部がオス型嵌合部材Bmの差込部11に接触することにより、差込部11との間に電気接点部Pを形成する。
【0041】
第1接点形成部211及び第2接点形成部221の屈曲部の凸形状は、好ましくは、曲面形状である。これにより、オス型嵌合部材Bmの差込部11を挿入するときの抵抗が小さくなり、オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfを容易に嵌合させることができる。
なお、第1接点形成部211及び第2接点形成部221の曲面形状は、オス型嵌合部材Bmの差込部11と強固に接触して電気接点部Pを形成できる表面形状であればよい。例えば、金属板材を滑らかに湾曲させてV字状又はU字状に形成してもよいし、第1接点形成部211及び第2接点形成部221の対向面に半球状の凸部を設けて形成してもよい。さらには、第1接点形成部211及び第2接点形成部221に、半球状の凸部を複数設けてもよい。
【0042】
メス型嵌合部材Bfにおいては、第1挟持片21A、21Bの数と、第2挟持片22A、22Bの数が同じであり、第1挟持片21A、21Bと第2挟持片22A、22Bが、差込部11に向かう方向において、対向して配置されている。温度変化や振動等によって電気接点部Pに生じうる相対的な回転動作は、いずれの方向にも生じる可能性があるが、上述した構成により、このような回転動作を吸収することができる。
【0043】
なお、図3A図3Eに示すメス型嵌合部材Bfの構成は一例であり、細部の構造は適宜変更可能である。例えば、第1挟持片21A、21B及び第2挟持片22A、22Bの数は、図3A等に示すものに限定されず、例えば、片側に3つ以上設けられてもよいし、第1挟持部21と第2挟持部22が対向する方向において互い違いに設けられてもよい。また例えば、第1挟持部21及び第2挟持部22に代えて、ピン形状の差込部11を受け入れるソケット形状の部材により受入部26が形成されてもよい。
【0044】
<オス型嵌合部材Bmの実装>
図4A図4Bは、オス型嵌合部材Bmの実装状態の一例を示す模式図である。図4Aはオス型嵌合部材Bmを差込部11の先端側から見た平面図であり、図4B図4AにおけるA-A切断線に沿う断面図である。また、図4A図4Bには、オス型嵌合部材Bmを、第1の基板PCB1に実装する場合について示している。
【0045】
オス型嵌合部材Bmは、第1の基板PCB1の実装面に、リフローはんだ付けにより接合される。したがって、図4Bに示すように、オス型嵌合部材Bmの基板接続部12と第1の基板PCB1との間には、オス側はんだ層32が介在する。
【0046】
さらに、第1の基板PCB1には、オス型嵌合部材Bmを囲繞するようにオス側保持部材31が配置されている。オス側保持部材31は、オス型嵌合部材Bmをリフローはんだ付けにより接合する際に、オス型嵌合部材Bmがセルフアライメントにより実装面内で変位するのを規制する。
【0047】
オス側保持部材31は、平面視において、オス型嵌合部材Bmの平面視形状、すなわち基板接続部12のフットプリント形状よりも一回り大きい形状の開口311を有する。開口311の周縁は、オス型嵌合部材Bmの差込部11に近接する。開口311は、オス側保持部材31を貫通しており、開口311を介してオス型嵌合部材Bmをオス側保持部材31内に挿入し、第1の基板PCB1に実装できるようになっている。
【0048】
開口311の形状及びサイズは、オス側保持部材31の部品精度、オス型嵌合部材Bmの部品精度、及び表面実装装置(マウンター)の実装精度等を考慮して設定される。例えば、オス側保持部材31の部品精度が0.1[mm]、オス型嵌合部材Bmの部品精度が0.1[mm]、表面実装装置の実装精度が0.03[mm]である場合、開口311の形状及びサイズは、0.23[mm]の誤差を考慮して設計される。
【0049】
また、オス側保持部材31の高さは、メス型嵌合部材Bfに対するオス型嵌合部材Bmの差込部11の挿入長さを考慮して設定される。すなわち、差込部11がオス側保持部材31の開口311から挿入長さよりも長く突出するように設定される。
【0050】
オス側保持部材31は、リフローはんだ付け時に変形が生じない、すなわち、オス側はんだ層32を形成するはんだ材32aの融点で変形しない程度の耐熱性を有する。オス側保持部材31は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、シリコン又はフッ素系樹脂などの樹脂材料で形成される。また例えば、オス側保持部材31の成形材料には、アルミニウム、銅又は鉄等の金属材料や、酸化物系、窒化物系又は炭化物系のセラミックス材料を適用することもできる。
【0051】
オス側保持部材31は、第1の基板PCB1の実装面に、接着剤により固定される。したがって、図4Bに示すように、オス側保持部材31と第1の基板PCB1との間には、オス側接着層33が介在する。オス側接着層33を形成する接着剤には、例えば、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤が適用される。熱硬化型接着剤を用いる場合、オス側保持部材31の接着と、オス型嵌合部材Bmのリフローはんだ付けを、一連の熱処理工程において実行することができる。
【0052】
以下に、オス型嵌合部材Bmの実装工程について説明する。図5A図5Dは、オス型嵌合部材Bmの実装工程の一例を示す模式図である。
【0053】
まず、図5Aに示すように、オス側はんだ層32を形成するペースト状のはんだ材32aを、第1の基板PCB1に塗布する。はんだ材32aは、例えば、マスク印刷又はディスペンサーにより、第1の基板PCB1の実装面に塗布される。はんだ材と接着剤の塗布順序は逆でもよい。
また、図5Aに示すように、オス側接着層33を形成する熱硬化型の接着剤33aを、はんだ材32aを囲繞するように、第1の基板PCB1に塗布する。接着剤33aは、マスク印刷又はディスペンサーにより、第1の基板PCB1の実装面に塗布される。
はんだ材32aの融点と、接着剤33aの硬化温度は、100℃以上乖離していることが好ましい。
【0054】
次に、図5Bに示すように、表面実装装置(マウンター)を用いて、オス側保持部材31を、未硬化の接着剤33a上に高精度で配置する。
また、図5Cに示すように、オス側保持部材31の開口311を介して、オス型嵌合部材Bmを挿入し、はんだ材32a上に配置する。
オス型嵌合部材Bmの差込部11は、オス側保持部材31の開口311から突出するので、オス側保持部材31を配置した後にオス型嵌合部材Bmを配置する方が、部材同士の接触を回避しやすく、適切な位置に配置することができる。
【0055】
次に、リフロー装置により、接着剤33aの硬化温度で加熱して、未硬化の接着剤33aを硬化させ、第1の基板PCB1にオス側保持部材31を固定する。第1の基板PCB1とオス側保持部材31との間には、オス側接着層33が形成される(図5D参照)。
【0056】
さらに、はんだ材32aの融点以上の高温で加熱して、はんだ材32aを溶融し、第1の基板PCB1にオス型嵌合部材Bmを接合する(リフローはんだ付け工程)。第1の基板PCB1とオス型嵌合部材Bmとの間には、はんだ層32が形成される(図5D参照)。その後、所定時間の冷却工程を経て、第1の基板PCB1へのオス型嵌合部材Bmの実装が完了する。
【0057】
上述したリフローはんだ付け工程では、溶融したはんだ材32aの表面張力によりセルフアライメントが行われ、実装面内におけるオス型嵌合部材Bmの実装位置が変位する。本実施の形態では、オス型嵌合部材Bmの周囲にオス側保持部材31が設けられているので、このときの変位量がオス側保持部材31によって制限される。つまり、高精度で配置されたオス側保持部材31によってオス型嵌合部材Bmの実装ずれが抑制され、オス型嵌合部材Bmは適切な実装位置に接合される。
【0058】
<メス型嵌合部材Bfの実装>
図6A図6Bは、メス型嵌合部材Bfの実装状態の一例を示す模式図である。図6Aはメス型嵌合部材Bfを受入部26の先端側から見た平面図であり、図6B図6AにおけるB-B切断線に沿う断面図である。また、図6A図6Bには、メス型嵌合部材Bfを、第2の基板PCB2に実装する場合について示している。
【0059】
メス型嵌合部材Bfは、第2の基板PCB2の実装面に、リフローはんだ付けにより接合される。したがって、図6Bに示すように、メス型嵌合部材Bfの基板接続部23と第2の基板PCB2との間には、メス側はんだ層42が介在する。
【0060】
さらに、第2の基板PCB2には、メス型嵌合部材Bfを囲繞するようにメス側保持部材41が配置されている。メス側保持部材41は、メス型嵌合部材Bfをリフローはんだ付けにより接合する際に、メス型嵌合部材Bfがセルフアライメントにより実装面内で変位するのを規制する。
【0061】
メス側保持部材41は、平面視において、メス型嵌合部材Bfの平面視形状、すなわち基板接続部23のフットプリント形状よりも一回り大きい形状の開口411を有する。開口411の周縁は、メス型嵌合部材Bfの第1挟持部21の基部213,第2挟持部22の基部223、及び連結部24、25に近接する。開口411は、メス側保持部材41を貫通しており、開口411を介してメス型嵌合部材Bfをメス側保持部材41内に挿入し、第2の基板PCB2に実装できるようになっている。
【0062】
開口411の形状及びサイズは、メス側保持部材41の部品精度、メス型嵌合部材Bfの部品精度、及び表面実装装置(マウンター)の実装精度等を考慮して設定される。例えば、メス側保持部材41の部品精度が0.1[mm]、メス型嵌合部材Bfの部品精度が0.1[mm]、表面実装装置の実装精度が0.03[mm]である場合、開口411の形状及びサイズは、0.23[mm]の誤差を考慮して設計される。
【0063】
メス側保持部材41の高さは、オス側保持部材31と干渉しない程度であれば、特に制限されない。
【0064】
メス側保持部材41は、リフローはんだ付け時に変形が生じない、すなわち、メス側はんだ層42を形成するはんだ材42aの融点で変形しない程度の耐熱性を有する。メス側保持部材41は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、シリコン又はフッ素系樹脂などの樹脂材料で形成される。また例えば、メス側保持部材41の成形材料には、アルミニウム、銅又は鉄等の金属材料や、酸化物系、窒化物系又は炭化物系のセラミックス材料を適用することもできる。
【0065】
メス側保持部材41は、第2の基板PCB2の実装面に、接着剤により固定される。したがって、図6Bに示すように、メス側保持部材41と第2の基板PCB2との間には、メス側接着層43が介在する。メス側接着層43を形成する接着剤には、例えば、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤が適用される。熱硬化型接着剤を用いる場合、メス側保持部材41の接着と、メス型嵌合部材Bfのリフローはんだ付けを、一連の熱処理工程において実行することができる。
【0066】
以下に、メス型嵌合部材Bfの実装工程について説明する。図7A図7Dは、メス型嵌合部材Bfの実装工程の一例を示す模式図である。
【0067】
まず、図7Aに示すように、メス側はんだ層42を形成するペースト状のはんだ材42aを、第2の基板PCB2に塗布する。はんだ材42aは、例えば、マスク印刷又はディスペンサーにより、第2の基板PCB2の実装面に塗布される。
また、図7Aに示すように、メス側接着層43を形成する熱硬化型の接着剤43aを、はんだ材42aを囲繞するように、第2の基板PCB2に塗布する。接着剤43aは、マスク印刷又はディスペンサーにより、第2の基板PCB2の実装面に塗布される。
はんだ材42aの融点と、接着剤43aの硬化温度は、100℃以上乖離していることが好ましい。
【0068】
次に、図7Bに示すように、表面実装装置(マウンター)を用いて、メス側保持部材41を、未硬化の接着剤43a上に高精度で配置する。
また、図7Cに示すように、メス側保持部材41の開口411を介して、メス型嵌合部材Bfを挿入し、はんだ材42a上に配置する。
メス型嵌合部材Bfの第1挟持部21及び第2挟持部22は、メス側保持部材41の開口411から突出するので、メス側保持部材41を配置した後にメス型嵌合部材Bfを配置する方が、部材同士の接触を回避しやすく、適切な位置に配置することができる。
【0069】
次に、リフロー装置により、接着剤43aの硬化温度で加熱して、未硬化の接着剤43aを硬化させ、第2の基板PCB2にメス側保持部材41を固定する。第2の基板PCB2とメス側保持部材41との間には、メス側接着層43が形成される(図7D参照)。
【0070】
さらに、はんだ材42aの融点以上の高温で加熱して、はんだ材42aを溶融し、第2の基板PCB2にメス型嵌合部材Bfを接合する(リフローはんだ付け工程)。第2の基板PCB2とメス型嵌合部材Bfとの間には、はんだ層42が形成される(図7D参照)。その後、所定時間の冷却工程を経て、第2の基板PCB2へのメス型嵌合部材Bfの実装が完了する。
【0071】
上述したリフローはんだ付け工程では、溶融したはんだ材42aの表面張力によりセルフアライメントが行われ、実装面内におけるメス型嵌合部材Bfの実装位置が変位する。本実施の形態では、メス型嵌合部材Bfの周囲にメス側保持部材41が設けられているので、このときの変位量がメス側保持部材41によって制限される。つまり、高精度で配置されたメス側保持部材41によってメス型嵌合部材Bfの実装ずれが抑制され、メス型嵌合部材Bfは適切な実装位置に接合される。
【0072】
<基板接続部Bにおける結合構造>
図8は、第1基板間接続部B1における結合構造の一例を示す概略模式図である。なお、第2基板間接続部B2における結合構造は、第1基板間接続部B1の天地を逆にした構造であるので、説明を省略する。
図8に示すように、第1基板間接続部B1では、オス型嵌合部材Bmは第1の基板PCB1に実装され、メス型嵌合部材Bfは第2の基板PCB2に実装されている。メス型嵌合部材Bfの第1挟持部21及び第2挟持部22により、オス型嵌合部材Bmの差込部11が挟持されることで、電気接点部Pが形成され、第1の基板PCB1と第2の基板PCB2とが電気的に接続される。
【0073】
本実施の形態では、オス型嵌合部材Bmの周囲にオス側保持部材31が設けられ、メス型嵌合部材Bfの周囲にメス側保持部材41が設けられている。これにより、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの実装ずれが抑制され、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは所定の実装位置に実装される。したがって、電力変換装置1の複数の基板間接続部Bにおいて、メス型嵌合部材Bfの受入部26とオス型嵌合部材Bmの差込部11は、正常な状態で嵌合され、電気的な導通が確保される。
【0074】
このように、実施の形態に係る電力変換装置1は、第1の基板PCB1と、第2の基板PCB2と、第1の基板PCB1及び第2の基板PCB2の間に介在し、第1の基板PCB1及び第2の基板PCB2を電気的かつ機械的に接続する複数の基板間接続部Bと、を備える。複数の基板間接続部Bは、それぞれ、第1の基板PCB1(第1の基板及び第2の基板のいずれか一方)に配置されるオス型嵌合部材Bmと、第1の基板PCB1(第1の基板又は第2の基板)とオス型嵌合部材Bmとの間に介在するオス側はんだ層32と、第1の基板PCB1(第1の基板又は第2の基板)にオス型嵌合部材Bmを囲繞するように配置されるオス側保持部材31と、第2の基板PCB2(第1の基板及び第2の基板のいずれか他方)に配置されるメス型嵌合部材Bfと、第2の基板PCB2(第1の基板又は第2の基板)とメス型嵌合部材Bfとの間に介在するメス側はんだ層42と、第2の基板PCB2(第1の基板又は第2の基板)にメス型嵌合部材Bfを囲繞するように配置されるメス側保持部材41と、を備える。オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfとが嵌合することにより、電気接点部Pが形成される。
【0075】
また、実施の形態に係る基板接続部Bは、第1の基板PCB1と第2の基板PCB2の間に介在し、第1の基板PCB1及び第2の基板PCB2を電気的かつ機械的に接続する。基板接続部Bは、第1の基板PCB1(第1の基板及び第2の基板のいずれか一方)に配置されるオス型嵌合部材Bmと、第1の基板PCB1(第1の基板又は第2の基板)とオス型嵌合部材Bmとの間に介在するオス側はんだ層32と、第1の基板PCB1(第1の基板又は第2の基板)にオス型嵌合部材Bmを囲繞するように配置されるオス側保持部材31と、第2の基板PCB2(第1の基板及び第2の基板のいずれか他方)に配置されるメス型嵌合部材Bfと、第2の基板PCB2(第1の基板又は第2の基板)とメス型嵌合部材Bfとの間に介在するメス側はんだ層42と、第2の基板PCB2(第1の基板又は第2の基板)にメス型嵌合部材Bfを囲繞するように配置されるメス側保持部材41と、を備える。オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfとが嵌合することにより、電気接点部Pが形成される。
【0076】
電力変換装置1及び基板間接続部Bによれば、オス側保持部材31及びメス側保持部材41によって、リフローはんだ付け工程における実装ずれが抑制される。したがって、リフローはんだ付けにより複数のオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfを適切な実装位置に実装することができ、また、基板間接続部Bにおいては、オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfが正常な状態で嵌合され、電気的な導通が確保される。したがって、回路基板間を正常に接続でき、生産性及び電気特性の向上を図ることができる。
【0077】
また、電力変換装置1において、オス側保持部材31は、オス側はんだ層32を形成するはんだ材32aの融点で変形しない程度の耐熱性を有し、メス側保持部材41は、メス側はんだ層42を形成するはんだ材42aの融点で変形しない程度の耐熱性を有する。
これにより、リフローはんだ付け工程におけるオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの実装ずれを、確実に抑止することができる。
【0078】
また、電力変換装置1は、第1の基板PCB1(第1の基板又は第2の基板)とオス側保持部材31との間に介在するオス側接着層33と、第2の基板PCB2(第1の基板又は第2の基板)とメス側保持部材41との間に介在するメス側接着層43と、をさらに備える。
これにより、オス側保持部材31及びメス側保持部材41を、容易に、かつ、高精度で、回路基板に固定することができる。
【0079】
また、電力変換装置1において、オス側接着層33を形成する接着剤33aは、オス側はんだ層32を形成するはんだ材32aの融点よりも低い温度で硬化し、メス側接着層43を形成する接着剤43aは、メス側はんだ層42を形成するはんだ材42aの融点よりも低い温度で硬化する。
これにより、オス側保持部材31及びメス側保持部材41を回路基板に固定した後、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfをリフローはんだ付けにより回路基板に接合することができる。特に、熱硬化型の接着剤を用いる場合は、オス側保持部材31及びメス側保持部材41の接着と、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfのリフローはんだ付けとを、一連の熱処理工程で実行することができ、生産効率が向上する。
【0080】
また、電力変換装置1において、オス側保持部材31は、当該オス側保持部材31を設けた後でオス型嵌合部材Bmを挿設可能な開口311を有し、メス側保持部材41は、当該メス側保持部材41を設けた後でメス型嵌合部材Bfを挿設可能な開口411を有する。
これにより、オス側保持部材31及びメス側保持部材41を回路基板に配置した後、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfを配置することができるので、部材同士の接触を回避しやすく、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfを適切な位置に配置することができる。
【0081】
また、電力変換装置1において、オス型嵌合部材Bmは、略平板状の差込部11を有し、メス型嵌合部材Bfは、互いに対向して配置され、差込部11を挟持する第1挟持部21及び第2挟持部22を有し、第1挟持部21及び第2挟持部22により差込部11が挟持されることにより、電気接点部Pが形成されている。
これにより、オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfとの導通状態を良好に保持することができる。
【0082】
以上、本発明者による開示を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0083】
例えば、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは、結合する基板間の距離などに応じて、所望の長さに適宜に設定することができる。
【0084】
さらに、図9に示すように、オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfを嵌合させたときに、オス側保持部材31とメス側保持部材41が当接するようにしてもよい。これにより、嵌合時の高さを一定とすることができ、多数の嵌合部材を嵌合させたときに発生する、嵌合深さの違いによる回路基板の傾斜を抑制することができる。また、電力変換装置1の使用中の熱によって回路基板に反りが生じる場合に、オス型嵌合部材Bmとメス型嵌合部材Bfとの嵌合状態が変化するのを抑制でき、電気接点部Pの摺動による接触抵抗の増加を抑制することができる。
【0085】
また、実施の形態では、第1の基板PCB1及び第3の基板PCB3に複数のオス型嵌合部材Bmを配置し、第2の基板PCB2の両主面に複数のメス型嵌合部材Bfを配置する場合について例示しているが、これに限らない。
例えば、第1の基板PCB1及び第3の基板PCB3に複数のメス型嵌合部材Bfを配置し、第2の基板PCB2の両主面に複数のオス型嵌合部材Bmを配置してもよい。また例えば、第2の基板PCB2の一方の主面に複数のオス型嵌合部材Bmを配置するとともに、他方の主面に複数のメス型嵌合部材Bfを配置する構成としてもよい。また例えば、第1の基板PCB1、第2の基板PCB2及び第3の基板PCB3のそれぞれにおいて、1つの主面にオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfを混在させた構成としてもよい。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示によれば、基板間接続部を構成するオス型嵌合部材及びメス型嵌合部材の実装ずれを抑制することができ、複数の回路基板を信頼性の高い基板間接続部を利用して積層することができるため、特に、電力変換装置の小型化に好適である。
【符号の説明】
【0088】
1 電力変換装置
11 差込部
11a 先端部
12 基板接続部
13 切込み
21 第1挟持部
21A、21B 第1挟持片
22 第2挟持部
22A、22B 第2挟持片
23 基板接続部
24、25 連結部
26 受入部
31 オス側保持部材
32 オス側はんだ層
33 オス側接着層
41 メス側保持部材
42 メス側はんだ層
43 メス側接着層
PCB1 第1の基板
PCB2 第2の基板
PCB3 第3の基板
B 基板間接続部
Bm オス型嵌合部材
Bf メス型嵌合部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する複数の基板間接続部と、を備え、
複数の前記基板間接続部は、それぞれ、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記オス型嵌合部材の実装ずれを抑制するオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記メス型嵌合部材の実装ずれを抑制するメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される、
電力変換装置。
【請求項2】
前記オス側保持部材は、前記オス側はんだ層を形成するはんだ材の融点で変形しない耐熱性を有し、
前記メス側保持部材は、前記メス側はんだ層を形成するはんだ材の融点で変形しない耐熱性を有する、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス側保持部材との間に介在するオス側接着層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス側保持部材との間に介在するメス側接着層と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記オス側接着層を形成する接着剤は、前記オス側はんだ層を形成するはんだ材の融点よりも低い温度で硬化し、
前記メス側接着層を形成する接着剤は、前記メス側はんだ層を形成するはんだ材の融点よりも低い温度で硬化する、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記オス側保持部材は、当該オス側保持部材を設けた後で前記オス型嵌合部材を挿設可能な開口を有し、
前記メス側保持部材は、当該メス側保持部材を設けた後で前記メス型嵌合部材を挿設可能な開口を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記オス側保持部材と前記メス側保持部材とが当接している、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記オス型嵌合部材は、略平板状の差込部を有し、
前記メス型嵌合部材は、互いに対向して配置され、前記差込部を挟持する第1挟持部及び第2挟持部を有し、
前記第1挟持部及び前記第2挟持部により前記差込部が挟持されることにより、前記電気接点部が形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
第1の基板と第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する基板間接続部であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記オス型嵌合部材の実装ずれを抑制するオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記メス型嵌合部材の実装ずれを抑制するメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される、
基板間接続部。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示に係る電力変換装置は、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する複数の基板間接続部と、を備え、
複数の前記基板間接続部は、それぞれ、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記オス型嵌合部材の実装ずれを抑制するオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記メス型嵌合部材の実装ずれを抑制するメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示に係る基板間接続部は、
第1の基板と第2の基板の間に介在し、前記第1の基板及び前記第2の基板を電気的かつ機械的に接続する基板間接続部であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか一方に配置されるオス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記オス型嵌合部材との間に介在するオス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記オス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記オス型嵌合部材の実装ずれを抑制するオス側保持部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のいずれか他方に配置されるメス型嵌合部材と、
前記第1の基板又は前記第2の基板と前記メス型嵌合部材との間に介在するメス側はんだ層と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に、前記メス型嵌合部材を空間的に離間した状態で囲繞するように配置され、離間空間によって前記メス型嵌合部材の実装ずれを抑制するメス側保持部材と、
を備え、
前記オス型嵌合部材と前記メス型嵌合部材とが嵌合することにより、電気接点部が形成される、
基板間接続部。