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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082855
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物および表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/00 20060101AFI20230608BHJP
   C08F 232/08 20060101ALI20230608BHJP
   C08F 222/06 20060101ALI20230608BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20230608BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20230608BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20230608BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20230608BHJP
【FI】
C08F299/00
C08F232/08
C08F222/06
C08F8/00
C08G59/20
G03F7/033
H01L33/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196829
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰典
(72)【発明者】
【氏名】井上 和紀
【テーマコード(参考)】
2H225
4J036
4J100
4J127
5F142
【Fターム(参考)】
2H225AC31
2H225AC44
2H225AC46
2H225AD06
2H225AE14P
2H225AE15P
2H225AF05P
2H225AF23P
2H225AF78P
2H225AM18P
2H225AM29P
2H225AM42P
2H225AN39P
2H225BA05P
2H225BA32P
2H225CA21
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC03
2H225CC12
2H225CC13
2H225CC21
4J036AH06
4J036GA26
4J036HA02
4J036JA07
4J036JA09
4J100AK32P
4J100AR09Q
4J100AR11Q
4J100BA03H
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4J100DA04
4J100FA03
4J100FA19
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4J100HC29
4J100HC34
4J100HC39
4J100HE14
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4J127BB042
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4J127FA41
5F142AA63
5F142AA76
5F142CG04
5F142CG13
(57)【要約】
【課題】発光素子からの光照射による透過率変化が低減され、よって耐光性に優れた、発光素子の保護として使用することができる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂と、感光剤とを含む、感光性樹脂組成物であって、当該感光性樹脂組成物のブリーチ処理前の、波長400nmの光透過率をT1、当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量40J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT2、当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量120J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT3、としたとき、T2は、T1より大きく、かつT3は90以上であり、かつT2/T3の値は、0.9以上1.0以下である、感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂と、感光剤とを含む、感光性樹脂組成物であって、
当該感光性樹脂組成物のブリーチ処理前の、波長400nmの光透過率をT1、
当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量40J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT2、
当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量120J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT3、としたとき、
T2は、T1より大きく、かつ
T3は90以上であり、かつ
T2/T3の値は、0.9以上1.0以下である、
感光性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂は、環状オレフィン由来の構造単位を含有する樹脂、アクリル樹脂、およびフェノキシ樹脂、およびエポキシ樹脂から選択される少なくとも1つを含む、感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含み、
前記エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項2に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂は、環状オレフィン由来の構造単位を含有する樹脂を含み、
前記環状オレフィン由来の構造単位を含有する樹脂は、式(A)で表される構造単位、式(1)で表される構造単位、および式(4)で表される構造単位を含む樹脂であり、
【化1】
式(A)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2であり、
【化2】
式(1)において、R11は、末端反応性不飽和二重結合を含む基であり、R21は、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
【化3】
式(4)において、R22は、水素原子または炭素数1~3の有機基である、感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記環状オレフィン由来の構造単位を含有する樹脂は、式(MA)で表される構造単位をさらに含み、
【化4】
式(MA)において、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である、感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項4または5に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記式(1)で表される構造単位は、式(1-1)で表される構造単位および式(1-2)で表される構造単位から選択される少なくとも1つを含み、
【化5】
式(1-1)において、
Zは、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む基であり、
Qは、水素原子、または置換もしくは未置換の炭素数1~6のアルキル基であり、
Xは、酸素原子、置換もしくは未置換の炭素数1~4のアルキレン基を表し、
Qが前記アルキル基であり、Xが前記アルキレン基である場合、QとXが縮合して環式基を形成してもよく、
21は、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
【化6】
式(1-2)において、
は、式(2a)で表される基であり、
21は、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
【化7】
式(2a)において、X10は、2価の有機基であり、Rは、水素原子またはメチル基である、感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記式(1)で表される構造単位は、前記式(1-1)で表される構造単位と前記式(1-2)で表される構造単位とを含む、感光性樹脂組成物。
【請求項8】
発光素子と、
前記発光素子上に設けられた保護膜とを備える、表示装置であって、
前記保護膜は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む、表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置であって、
前記発光素子は、発光ダイオードである、表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置であって、
前記発光ダイオードは、ミニ発光ダイオードまたはマイクロ発光ダイオードである、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物および表示装置に関する。より詳細には、本発明は、発光素子の保護膜または封止材を作製するための感光性樹脂組成物、およびこの感光性樹脂組成物を用いて作製された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)や有機ELなどの発光素子は、家庭用家電製品、照明装置、表示装置および各種自動化機器などの多様な分野で応用されている。これらの発光素子は、一般に、パッケージングまたは封止された構造で製造される。そして、このようなパッケージングまたは封止構造は、発光体から放出された光を外部に透過させることができる透光性の透明樹脂からなる封止材によって形成される。
【0003】
このような透明樹脂(封止材)は、光が透過する位置にあるため、透明樹脂封止材の光の透過度(透光性)および耐熱性などの特性が、封止材が実装される発光素子等の電子素子の光効率に影響を与える。このような発光素子の封止材として使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―3712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法は一応の効果を上げているが、耐光性に関しては未だ不十分な面があった。具体的には、透明樹脂封止材は、発光素子から発せられる光が透過する位置にあるため、透明樹脂封止材の光の透過度(透光性)および耐熱性などの特性が、経時的に変化する場合があった。特に、透明樹脂封止材の光透過率の経時的な変化は、発光素子の光効率に影響するため望ましくない。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、発光素子からの光照射による透過率変化が低減され、耐光性が長期に亘り継続された、発光素子の保護として使用することができる感光性樹脂材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ブリーチ処理前後の波長400nmの光透過率が所定の範囲である感光性樹脂組成物を用いることにより、発光素子からの光照射による透過率変化が低減された感光性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明によれば、
熱硬化性樹脂と、感光剤とを含む、感光性樹脂組成物であって、
当該感光性樹脂組成物のブリーチ処理前の、波長400nmの光透過率をT1、
当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量40J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT2、
当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量120J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT3、としたとき、
T2は、T1より大きく、かつ
T3は90以上であり、かつ
T2/T3の値は、0.9以上1.0以下である、
感光性樹脂組成物が提供される。
【0009】
また本発明によれば、
発光素子と、
前記発光素子上に設けられた保護膜とを備える、表示装置であって、
前記保護膜は、上記感光性樹脂組成物の硬化物を含む、表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光素子からの光照射による透過率変化が低減され、よって耐光性に優れた、発光素子の保護として使用することができる感光性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「5~90%」とは「5%以上90%以下」を意味する。
【0012】
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0013】
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。特に、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、-C(=O)-CH=CHで表されるアクリロイル基と、-C(=O)-C(CH)=CHで表されるメタクリロイル基とを包含する概念を表す。
【0014】
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物(明細書中、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、熱硬化性樹脂と、感光剤とを含む。本実施形態において、当該感光性樹脂組成物のブリーチ処理前の、波長400nmの光透過率をT1、
当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量40J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT2、
当該感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量120J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT3、としたとき、
T2は、T1より大きく、かつ
T3は90以上であり、かつ
T2/T3の値は、0.9以上1.0以下であり、好ましくは0.95以上1.0以下であり、より好ましくは0.99以上1.0以下である。
【0015】
本発明者は、感光性樹脂組成物が光透過率T1、T2およびT3の上記条件を満たす場合に、この感光性樹脂組成物の硬化物が優れた耐光性を有することを見出した。ここで耐光性が優れるとは、感光性樹脂組成物の硬化物が発光素子の保護膜として使用された場合、換言すると発光素子からの光に継続して晒された場合に、この硬化物自体の光透過率の変化が低減されており、よって硬化物の光透過率の減少(光透過性の劣化)がないことを意味する。光透過率T1、T2およびT3が上記条件を満たす感光性樹脂組成物は、耐光性に優れ、発光素子の保護膜として使用することができる。このような光透過率を有する感光性樹脂組成物は、樹脂組成物の組成を調整することにより、および樹脂組成物および硬化膜を特定の方法で製造することにより、調製することができる。
【0016】
特に、本発明者は、感光性樹脂組成物のT2/T3の値が、長時間のLED光に晒された場合の、樹脂組成物の耐光性の指標となることを見出した。樹脂組成物の上記条件にて測定したT2/T3の値が1.0を超えることは、上記条件のブリーチ処理で光透過率の減少が進行しつつあることを示す。よって、このような樹脂組成物を、実際に発光素子の保護膜として使用してLED光に晒した場合、光透過率の減少(透明性の劣化)が生じることが予測できる。また、樹脂組成物のT2/T3の値が0.9未満であることは、LED光に晒された場合の樹脂組成物の光透過率の経時的変化が大きいことを示す。樹脂組成物を発光素子の保護膜として使用した場合、樹脂組成物の光透過率の変化は、この発光素子の明るさや彩度の変化をもたらし、発光素子の光効率に影響を与えるため望ましくない。
【0017】
以下、本実施形態の感光性樹脂組成物に使用される各成分について詳述する。
【0018】
(熱硬化性樹脂)
本実施形態の感光性樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂としては、環状オレフィン由来の構造単位を含有する樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフェノキシ樹脂が挙げられる。
【0019】
(環状オレフィン樹脂)
環状オレフィン由来の構造単位を有する樹脂(本明細書中、「環状オレフィン樹脂」と称する)としては、ノルボルネン及びノルボルネン誘導体からなる群より選択される1種または2種以上を重合または共重合させた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
【0020】
このような環状オレフィン樹脂としては、式(A)で表される構造単位、式(1)で表される構造単位、および式(4)で表される構造単位を含む樹脂(「環状オレフィン樹脂P」と称する)を用いることが好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】
式(A)において、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2である。
【0023】
【化2】
【0024】
式(1)において、R11は、末端反応性不飽和二重結合を含む基であり、R21は、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
【0025】
【化3】
【0026】
式(4)において、R22は、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
【0027】
環状オレフィン樹脂Pは、式(A)で表される環状オレフィン由来の構造単位を含む。この環状オレフィン由来の構造単位は、化学的に堅牢である。そのため、これを構造単位の一部として含む環状オレフィン樹脂Pは、加熱処理に供された際に重量減少が小さく、安定である。結果として、環状オレフィン樹脂Pを含む樹脂組成物より得られる硬化膜は、成形性において優れるとともに、耐久性を備える。
【0028】
環状オレフィン樹脂Pは、式(1)で表される構造単位を含む。式(1)で表される構造単位は、R11として表される末端反応性不飽和二重結合を含む基を有する。環状オレフィン樹脂Pは、式(1)の構造単位が有する末端反応性不飽和二重結合により、硬化反応(重合反応)が促進される。よって、環状オレフィン樹脂Pを含む感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィーに供された場合に優れた感度を有するため、加工性に優れる。
【0029】
環状オレフィン樹脂Pは、式(4)で表される構造単位を含む。環状オレフィン樹脂Pは、式(4)の構造単位、すなわち、カルボキシル基を有する構造単位を含む。このカルボキシル基に起因して、環状オレフィン樹脂Pは、高いアルカリ溶解性を有する。よって、この環状オレフィン樹脂Pを含む感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィー処理に対して優れた感度を有し、加工性に優れる。
【0030】
式(A)で表される構造単位において、R~Rを構成し得る炭素数1~30の有機基としては、置換または無置換の、直鎖または分岐鎖の炭素数1~30のアルキルが挙げられ、より具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などが挙げられる。
【0031】
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
【0032】
式(A)における、R、R、RおよびRとしては水素またはアルキル基が好ましく、水素がより好ましい。
なお、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基中の水素原子は、任意の原子団により置換されていてもよい。例えば、フッ素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基などで置換されていてもよい。より具体的には、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基として、フッ化アルキル基などを選択してもよい。
式(A)において、aは好ましくは0または1、より好ましくは0である。
【0033】
環状オレフィン樹脂Pの全構造単位中の、式(A)で表される構造単位の割合は、好ましくは、10~90モル%であり、より好ましくは、30~70モル%であり、さらに好ましくは、40~60モル%である。
【0034】
式(1)で表される構造単位において、R11は、末端反応性不飽和二重結合を含む基である。この反応性不飽和二重結合は、例えば、光ラジカル発生剤によりラジカル重合を開始するように役割を果たす。R11を構成する末端反応性不飽和二重結合を含む基としては、ビニル基、ビニリデン基、アクリロイル基、またはメタクリロイル基が挙げられる。環状オレフィン樹脂Pが優れた感度を有する観点から、R11は、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を含む基であることが好ましい。
【0035】
式(1)で表される構造単位としては、、式(1-1)で表される構造単位および式(1-2)で表される構造単位が挙げられる。式(1)の構造単位は、これらの構造単位のいずれか一方を含んでもよいし、両方を含んでもよい。
【0036】
【化4】
【0037】
式(1-1)において、
Zは、1以上の(メタ)アクリロイル基を含む基である。
Qは、水素原子、または置換もしくは未置換の炭素数1~6のアルキル基である。このアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。置換された炭素数1~6のアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、メルカプト基等が挙げられる。
Xは、酸素原子、置換もしくは未置換の炭素数1~4のアルキレンを表す。Xを構成するアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を挙げることができる。置換された炭素数1~4のアルレン基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、メルカプト基等を挙げることができる。
Qが前記アルキル基であり、Xが前記アルキレン基である場合、Qのアルキル基とXのアルキレン基の何れかの炭素原子とが結合して環を形成してもよい。環構造としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、デカリン環、ベンゼン環、ナフタレン環等を挙げることができる。
式(1-1)において、Xが炭素数1~4のアルキレンであり、かつZが(メタ)アクリロイルオキシ基である態様、またはXが酸素原子であり、かつZが(メタ)アクリロイル基である態様が好ましく用いられる。
【0038】
【化5】
【0039】
式(1-2)において、
は、式(2a)で表される基であり、
21は、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
【0040】
【化6】
【0041】
式(2a)において、X10は、2価の有機基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。X10の総炭素数は、好ましくは1~30、より好ましくは1~20である、さらに好ましくは1~10である。
10の2価の有機基としては、例えばアルキレン基が好ましい。このアルキレン基中の一部の-CH-はエーテル基(-O-)となっていてもよい。アルキレン基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、直鎖状であることがより好ましい。
【0042】
10の2価の有機基としてより好ましくは、総炭素数3~6の直鎖状アルキレン基である。X10の炭素数(X10の鎖長)を適切に選択することで、式(1-2)で表される構造単位が架橋反応に一層関与しやすくなり、感度を高めることができる。
【0043】
10の2価の有機基(例えばアルキレン基)は、任意の置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基などを挙げることができる。
また、X10の2価の有機基は、アルキレン基以外の任意の基であってよい。例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシ基等から選ばれる1種又は2種以上の基を連結して構成される2価の基であってもよい。
【0044】
式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリロイル基を有することにより、これを含む環状オレフィン樹脂Pは、感度と現像性とを良好なバランスで有する。結果として、環状オレフィン樹脂Pを含む本実施形態の樹脂組成物は、優れた加工性を有する。
【0045】
式(1)、式(1-1)および式(1-2)におけるR21は、水素原子または炭素数1~3の有機基である。炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。式(1)におけるR21は、好ましくは、水素原子である。
【0046】
式(4)におけるR22は、水素原子または炭素数1~3の有機基である。炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。式(4)におけるR22は、好ましくは、水素原子である。
【0047】
環状オレフィン樹脂Pの全構造単位中の、式(1)で表される構造単位の割合は、好ましくは、10~50モル%であり、より好ましくは、15~40モル%であり、さらに好ましくは、20~35モル%である。
【0048】
環状オレフィン樹脂Pの全構造単位中の、式(4)で表される構造単位の割合は、好ましくは、10~50モル%であり、より好ましくは、15~40モル%であり、さらに好ましくは、20~35モル%である。
【0049】
環状オレフィン樹脂Pは、上記構造単位に加え、式(MA)で表される構造単位を含んでもよい。
【0050】
【化7】
【0051】
式(MA)において、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。式(MA)におけるR21およびR22は、好ましくは、水素原子である。
式(MA)で表される構造単位は、アルカリ現像液により開環して、2つのカルボキシル基を生じる。そのため、環状オレフィン樹脂Pは、優れた現像性を有し得る。環状オレフィン樹脂Pが、式(MA)で表される構造単位を含む場合、環状オレフィン樹脂Pの全構造単位中の、式(MA)で表される構造単位は、好ましくは3~40モル%、より好ましくは、10~30モル%である。
【0052】
環状オレフィン樹脂Pの重量平均分子量Mwは、例えば、6,000~18,000であり、好ましくは、7,000~16,000であり、より好ましくは、8,000~12,000である。重量平均分子量を適切に調整することで、感度やアルカリ現像液に対する溶解性を調整することができる。
【0053】
環状オレフィン樹脂Pは、任意の方法により製造(合成)することができる。環状オレフィン樹脂Pは、例えば、国際公開第2017/154439号に記載のポリマーの製造方法を用いて製造することができる。
【0054】
一実施形態において、環状オレフィン樹脂Pとして、式(A)で表される構造単位、式(MA)で表される構造単位、および式(B2)で表される構造単位を含む樹脂(「環状オレフィン樹脂P2」と称する)が用いられる。
【0055】
【化8】
【0056】
式(A)において、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2である。
【0057】
【化9】
【0058】
式(MA)において、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
【0059】
【化10】
【0060】
式(B2)中のRB1は、水素または炭素数1~30の有機基である。このRB1は、エステル結合、アミド結合、ケトン結合、ウレア結合、ウレタン結合等で結合基を介して結合する有機基であってもよい。
【0061】
式(B2)中のRB1を構成する有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基およびヘテロ環基が挙げられる。
【0062】
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基及びt-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基が挙げられる。ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0063】
式(B2)中のRB1としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、及び、アルキニル基からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。これにより、RB1中の結合が開裂することを抑制できる。したがって、得られる樹脂膜の耐熱性を向上できる。
【0064】
式(B2)中、RB1としては、例えば、エステル結合を介して結合する、水素原子及び炭素原子からなる群より選択される1種以上の原子によって形成される脂肪族基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。
【0065】
環状オレフィン樹脂P2は、マレイミドまたはマレイミド誘導体由来の構造単位を含むことができる。これにより、得られる感光性樹脂組成物の加工性や耐熱性を高めることができる。
【0066】
上記マレイミドまたはマレイミド誘導体由来の構造単位は、好ましくは、下記式(8)で表されるマレイミド系モノマーに由来する構造単位である。
【0067】
【化11】
【0068】
式(8)中、R12は、水素原子またはC1~C30の有機基である。R12を構成するC1~C30の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、もしくはシクロアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、およびナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。なお、Rに含まれる一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
【0069】
環状オレフィン樹脂P2の重量平均分子量Mwは、例えば、6,000~18,000であり、好ましくは、7,000~16,000であり、より好ましくは、8,000~12,000である。重量平均分子量を適切に調整することで、感度やアルカリ現像液に対する溶解性を調整することができる。
【0070】
環状オレフィン樹脂P2は、任意の方法により製造(合成)することができる。環状オレフィン樹脂P2は、例えば、特開2019-113690号公報に記載のポリマーの製造方法を用いて製造することができる。
【0071】
本実施形態の感光性樹脂組成物が、上述の環状オレフィン樹脂Pを含む場合、その配合量の下限値は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、例えば、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。これにより、最終的に得られる硬化膜の耐熱性や機械的強度を向上させることができる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、例えば、90質量%以下であり、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは82質量%以下である。これにより、パターニング性を向上させることができる。
【0072】
なお、本実施形態において、感光性樹脂組成物の固形分とは、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。感光性樹脂組成物の固形分全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、感光性樹脂組成物のうちの溶媒を除く不揮発成分全体に対する含有量を指す。
【0073】
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0074】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0075】
エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する固形エポキシ樹脂を含むことができる。上記固形エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、25℃(室温)において固形であるものを使用することができる。これにより、得られる感光性樹脂組成物の樹脂膜における機械的特性を高めることができる。
【0076】
また、エポキシ樹脂としては、分子内に3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上を有する多官能エポキシ樹脂)を含むことができる。
【0077】
3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、およびテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ノボラック型エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。これにより、得られる樹脂膜の耐熱性を高めつつ、適切な熱膨張係数を実現できる。
【0078】
また、エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂を含むことができる。当該液状エポキシ樹脂は、フィルム化剤として機能し、感光性樹脂組成物の樹脂膜の脆性を改善することができる。
【0079】
上記液状エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、室温25℃において液状であるエポキシ化合物を用いることができる。この液状エポキシ樹脂の25℃における粘度は、例えば、1mPa・s~8000mPa・sであり、好ましくは5mPa・s~1500mPa・sであり、より好ましくは10mPa・s~1400mPa・sとすることができる。
【0080】
上記液状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテルおよび脂環式エポキシからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、現像後のクラック低減の観点から、アルキルジグリシジルエーテルを用いることができる。
【0081】
上記液状エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、300~9000であるのが好ましく、500~8000であるのがより好ましい。比較的低分子量のエポキシ樹脂を使用することで、露光時における反応性を高めることができる。
【0082】
上記液状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100g/eq以上200g/eq以下であり、好ましくは105g/eq以上180g/eq以下であり、さらに好ましくは110g/eq以上170g/eq以下である。これにより、得られる樹脂膜の脆性を改善することができる。
【0083】
本実施形態の感光性樹脂組成物が、上記エポキシ樹脂を含む場合、その配合量の下限値は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、例えば、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。これにより、最終的に得られる硬化膜の耐熱性や機械的強度を向上させることができる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、例えば、90質量%以下であり、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは82質量%以下である。これにより、パターニング性を向上させることができる。
【0084】
(フェノキシ樹脂)
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との共重合フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。この中でも、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0085】
上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、10,000~100,000であるのが好ましく、20,000~80,000であるのがより好ましい。このような比較的高分子量のフェノキシ樹脂が用いられることにより、樹脂膜に対して良好な可撓性を付与するとともに、溶媒への十分な溶解性を付与することができる。
【0086】
また、フェノキシ樹脂としては、25℃で固形であるものが好ましく用いられる。具体的には、不揮発分が90質量%以上であるフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、硬化物の機械的特性を良好にすることができる。
【0087】
(感光剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、感光剤を含む。感光剤としては、光ラジカル重合開始剤が用いられる。光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2-トリクロロメチル-5-(2'-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2'-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2'-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2-プロパンジオン,1-〔4-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルチオ]フェニル〕-2-(O-アセチルオキシム)、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤は、100質量部のポリマーPに対し、例えば、1~20質量部の量で、好ましくは、3~10質量部の量で用いられる。
【0088】
(密着助剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、密着助剤としてカップリング剤を含むことが好ましい。カップリング剤を含むことにより、その上に感光性樹脂組成物の硬化膜が保護膜として設けられる窒化ガリウムに対する密着性が向上される。
【0089】
本実施形態において、カップリング剤として、官能基として酸無水物を含有するカップリング剤(本明細書中、「酸無水物含有カップリング剤」と称する)、ならびに官能基としてアミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、ビニル基、ウレイド基、またはスルフィド基等を含むカップリング剤を使用することができる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。中でも、発光素子に対する密着性を向上する観点から、酸無水物含有カップリング剤を用いることが好ましい。
【0090】
(酸無水物含有カップリング剤)
酸無水物含有カップリング剤としては、アルコキシシリル基を含む化合物が好ましく用いられ、アルコキシシリル基含有アルキルカルボン酸無水物が好ましく用いられる。このようなカップリング剤によれば、窒化ガリウム半導体に対する密着性が優れた感光性樹脂組成物が得られる。
【0091】
アルコキシシリル基を含む化合物の具体例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物のようなコハク酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物のようなジカルボン酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物のようなフタル酸無水物等のアルコキシシリル基含有アルキルカルボン酸無水物が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0092】
これらの中でもコハク酸無水物が好ましく、アルコキシシリル基含有コハク酸無水物がより好ましく用いられ、特に3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物がより好ましく用いられる。かかるカップリング剤によれば、分子長や分子構造が最適化されるため、前述した密着性がより良好になる。
【0093】
酸無水物含有カップリング剤の添加量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の固形分全体の0.3~5質量%程度であるのが好ましく、0.4~4.5質量%程度であるのがより好ましく、0.5~4質量%程度であるのがさらに好ましい。酸無水物含有カップリング剤の添加量を前記範囲内に設定することにより、窒化ガリウム半導体に対する密着性が特に良好な保護膜が得られる。
【0094】
なお、酸無水物含有カップリング剤の添加量が前記下限値を下回ると、酸無水物含有カップリング剤の組成等によっては、窒化ガリウム半導体に対する密着性が低下するおそれがある。一方、酸無水物含有カップリング剤の添加量が前記上限値を上回ると、酸無水物含有カップリング剤の組成等によっては、感光性樹脂組成物の感光性や機械的特性が低下するおそれがある。
【0095】
(アミノ基含有カップリング剤)
アミノ基含有カップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0096】
(エポキシ基含有カップリング剤)
エポキシ基含有カップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0097】
(アクリル基含有カップリング剤)
アクリル基含有カップリング剤としては、例えばγ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有カップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0098】
(ビニル基含有カップリング剤)
ビニル基含有カップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有カップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0099】
(スルフィド基含有カップリング剤)
スルフィド基含有カップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
【0100】
その他のカップリング剤の添加量は、特に限定されないが、酸無水物含有カップリング剤の50~700質量%程度であるのが好ましく、100~650質量%程度であるのがより好ましく、150~550質量%程度であるのがさらに好ましい。添加量をこの範囲内に設定することにより、酸無水物含有カップリング剤による前述した作用が損なわれることなく、その他のカップリング剤の添加によって別の作用が追加されることとなる。その結果、双方のカップリング剤によってもたらされる効果の両立を図ることができる。
【0101】
(架橋剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤から発生する活性化学種の作用により上記熱硬化性樹脂と架橋反応して架橋構造体を形成する、架橋剤を含むことが好ましい。
【0102】
(デンドリマー(メタ)アクリレート)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、架橋剤として、デンドリマー(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。架橋剤としてデンドリマー(メタ)アクリレートを含むことにより、上記熱硬化性樹脂との架橋反応により得られる硬化物が、優れた透明性を有する。また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、デンドリマー(メタ)アクリレートを含むことにより、得られる硬化物の機械的強度が改善される。
【0103】
デンドリマー(メタ)アクリレートとは、コア部(中心部分)と、該コア部に結合した分岐鎖部と、さらに該分岐鎖部に結合した末端部を有し、3次元的に枝分かれ構造を繰り返し高度に分岐した樹枝状ポリマーであって、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を指す。
【0104】
本実施形態で用いられるデンドリマー(メタ)アクリレートは、一分子あたり、好ましくは、6以上の(メタ)アクリロイル基を有し、より好ましくは8以上の(メタ)アクリロイル基を有し、より好ましくは12以上の(メタ)アクリロイル基を有し、さらにより好ましくは16以上のメタアクリロイル基を有する。このデンドリマー(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基の数の上限値は特に限定されないが、例えば、40以下であり、好ましくは、30以下である。
【0105】
デンドリマー(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、100~30,000の範囲であることが好ましく、100~10,000であることがより好ましい。
【0106】
このようなデンドリマー(メタ)アクリレートとしては、例えば、以下(5-1)~(5-8)で表される構造を有する樹脂が挙げられる。式(5-1)~(5-8)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素原子数1~4の炭化水素基である。
【0107】
【化12】
【化13】
【0108】
このようなデンドリマー(メタ)アクリレートとして、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」(重量平均分子量(Mw)1,500~2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14)、「ビスコート1020」(重量平均分子量(Mw)1,000~3,000)、「SIRIUS501」(重量平均分子量(Mw)15,000~23,000)、MIWON社製「SP-1106」(重量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18)、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」(一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16)、「CN2303」(一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6)、「CN2304」(一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18)、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU-22」、新中村化学株式会社製「A-HBR-5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR-1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR-101」等の市販品を用いてもよい。またデンドリマー(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
デンドリマー(メタ)アクリレートは、100質量部のポリマーPに対して、例えば、5~100質量部の量で配合することができ、10~80質量部の配合することがより好ましい。
【0110】
(他の架橋剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述のデンドリマー(メタ)アクリレート以外の架橋剤を含んでもよい。他の架橋剤としては、例えば、一分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい(ただし、他の架橋剤は、前述のデンドリマー(メタ)アクリレートには該当しない)。ポリマーが有する架橋性基(重合性二重結合)と同種の架橋性基を有する架橋剤を用いることが、均一な硬化性、感度の更なる向上などの点で好ましい。架橋剤一分子あたりの官能数(重合性二重結合の数)の上限は特にないが、例えば、30以下であり、好ましくは、20以下である。
【0111】
このような他の架橋剤として具体的には、以下を挙げることができる。
【0112】
ビスフェノールAエポキシ樹脂、2,2'-((((1-(4-(2-(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)プロパン-2-イル)フェニル)エタン-1,1-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(3-(オキシラン-2-イル・メトキシ)プロピル)トリシロキサン等の、エポキシ樹脂。
【0113】
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、多官能(メタ)アクリレート類。
【0114】
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の、多官能ビニルエーテル類。
【0115】
(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等の、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類。
【0116】
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の、多官能アリルエーテル類。
【0117】
(メタ)アクリル酸アリル等の、アリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類。
トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類。
トリアリルイソシアヌレート等の、多官能アリル基含有イソシアヌレート類。
トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類。
ジビニルベンゼン等の、多官能芳香族ビニル類。
【0118】
なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリレートが好ましい。
【0119】
(その他の添加剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、着色剤、透明無機充填材、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて更に添加することができる。
【0120】
透明無機充填材としては、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアなどが挙げられる。
【0121】
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキル系界面活性剤、およびアクリル系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤を含むことにより、塗工時における濡れ性を向上させ、均一な樹脂膜そして硬化膜を得ることができる。
【0122】
界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)に加え、接着強度の向上にも寄与する。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0123】
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)および1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールテトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤が、特に好ましく用いられる。
【0124】
紫外線吸収剤としては、発光素子の機能を損わないものであれば、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2-(2-ヒドロキシ-3'-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0125】
(感光性樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の感光性樹脂組成物を調製する方法は、特に限定されず、感光性樹脂組成物に含まれる成分に応じて、公知の方法を用いることができる。例えば、上記各成分を、溶剤に混合して溶解することにより調製することができる。これにより、ワニスの形態の感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0126】
溶剤としては有機溶剤が好ましく用いられる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0127】
溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、メチル-n-アミルケトン(MAK)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、またはこれらの混合物を挙げることができる。
溶剤の使用量は特に限定されないが、不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。
【0128】
(用途)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、発光ダイオードに代表される発光素子の保護膜として使用される。より具体的には、本実施形態の感光性樹脂組成物は、発光素子を封止するために用いられる。発光ダイオードとしては、ミニ発光ダイオードまたはマイクロ発光ダイオードが用いられる。発光ダイオードは各種の発光部品、照明装置、表示装置に好適に用いることができる。
【0129】
本発明における発光ダイオードの封止方法は、特に制限されず一般に用いられている方法で、封止することができる。例えば、本実施形態の感光性樹脂組成物を溶媒に溶解して感光性樹脂組成物溶液として使用する場合は、感光性樹脂組成物溶液をスピンコートやスリットコートにより、発光ダイオードが搭載された基板上に塗布し、加熱乾燥し、所定の厚みの封止樹脂膜を形成することができる。ここで乾燥は、例えば、70℃以上120℃以下の温度下で、30秒以上5分以下の加熱時間で行うことができる。
【0130】
封止する際の温度としては、特に制限はないが、例えば70℃~250℃で封止することが好ましい。より好ましくは、80℃~230℃である。封止する際の温度が70℃より低いと硬化反応が充分に進行せず、また、250℃を超えると樹脂組成物が変色しまうおそれがあり好ましくない。
【0131】
また、封止時間は特に制限はないが、好ましくは10分間以上10時間未満が好ましい。さらに好ましくは30分間以上5時間以下である。10分間以下であると樹脂の硬化が不完全であるおそれがある。10時間以上であると生産性が著しく悪くなり好ましくない。
【0132】
これらの封止の条件は、その対象である発光ダイオードの特徴、または該装置に求められる安定性等により最適な組み合わせを選ぶことができる。
【0133】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、硬化後に、ブリーチング処理を施すことが好ましい。ブリーチング処理により、硬化物中に存在する感光剤を除去(分解)することができ、これにより下記条件を満たす樹脂組成物を得ることができ、結果として耐光性が長期に亘り維持された硬化膜を得ることができる。
(条件)
感光性樹脂組成物のブリーチ処理前の、波長400nmの光透過率をT1、
感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量40J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT2、
感光性樹脂組成物を、波長365nm、照射量120J/cmの条件でブリーチ処理した後の波長400nmの光透過率をT3、としたとき、
T2は、T1より大きく、かつ
T3は90以上であり、かつ
T2/T3の値は、0.9以上1.0以下である。
【0134】
本発明において、ブリーチング処理とは、紫外線、可視光線、電子線、X線などの化学線を照射することを表し、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を、1~1000J/cmで照射することにより実施することができる。
【0135】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0136】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
(実施例1~5、比較例1~2)
表1に記載された各成分を、溶剤(PGMEA)に溶解させて、室温で2.5時間混合して混合溶液を得た。その後、混合溶液を0.2μmのポリプロピレンフィルターで濾過し、25℃で、粘度が約250mPa・sのワニス状の感光性樹脂組成物を得た。
感光性樹脂組成物の粘度は、コーンプレート型粘度計(TV-25、東機産業社製)を用いて回転速度100rpmと設定して測定した。
【0138】
表1に記載の成分は、以下のとおりである。
(樹脂)
・樹脂1:式(p1)で表されるポリマー
【化14】
【0139】
(樹脂1の製造方法)
撹拌機、冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(株式会社日本触媒製、122.4g、1.25mol)、2-ノルボルネン(75wt%トルエン溶液、丸善石油化学株式会社製、156.8g、1.25mol)およびジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(V-601、和光純薬工業株式会社製、11.5g、50mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、150.8g)およびトルエン(38.5g)に溶解させた。
この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃に加熱した。16時間後、MEK(320g)を加えて希釈し、冷却した。
この反応混合物を大量のメタノールに滴下し、ポリマーを析出させた。ヌッチェを用いてろ過した後、さらにメタノールにて洗浄し固体を濾取した。得られたポリマーを70℃で真空乾燥した。収量は208.1g、重量平均分子量(Mw)は11,100、分散度(Mw/Mn)は2.25であった(本実施例項において、「前駆体ポリマー」と称する。)。
続いて、撹拌機、冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、上述の前駆体ポリマー(10.0g)を計量しMEK(30.0g)に溶解させた。さらにメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA、株式会社日本触媒製、8.5g、65mmol)、酢酸ナトリウム(1.0g)を添加し、70℃で8時間加熱した。
この反応液に対して、メタクリル酸グリシジル(GMA、3.7g、26mmol)を添加し、さらに70℃で16時間撹拌した。反応液にギ酸を加えて酸処理した後、大量の純水に滴下しポリマーを析出させた。濾取した固体を真空乾燥機にて40℃で16時間乾燥させ、13.8gの淡黄色固体として、樹脂1を得た。得られたポリマー(樹脂1)の諸特性は、以下のとおりであった。
・重量平均分子量(Mw):16,200
・分散度:2.46
【0140】
・樹脂2:下記式(A-2)で表されるポリマー
【化15】
【0141】
・樹脂3:以下の構造で表されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、EOCN―1020-55、25℃で固形、n=3~6)
【化16】
【0142】
(架橋剤)
・架橋剤1:デンドリマー(メタ)アクリレート、大阪有機化学株式会社製、「ビスコート#1000」(重量平均分子量(Mw)1,500~2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14)
・架橋剤2:デンドリマー(メタ)アクリレート、大阪有機化学株式会社製、「SIRIUS501」(重量平均分子量(Mw)15,000~23,000)
・架橋剤3:下記式で表されるフェノキシ樹脂(重量平均分子量は4000前後(ポリスチレン換算値)である))
【化17】
・架橋剤4:下記式で表されるビスフェノールA型フェノキシ樹脂(jER1256、三菱化学株式会社製、Mw:約50,000))
【化18】
【0143】
(光ラジカル重合開始剤)
・光ラジカル重合開始剤1:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、BASFジャパン株式会社、「Irgacure OXE01」
・光ラジカル重合開始剤2:1,2-プロパンジオン,1-〔4-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルチオ]フェニル〕-2-(O-アセチルオキシム)、株式会社ADEKA製、「アデカアークルズ NCI-930」
【0144】
(光酸発生剤)
・光酸発生剤1
トリアリールスルホニウムボレート塩(サンアプロ社製、CPI-310B)
・光酸発生剤2
下記式で表されるジアゾキノン化合物(GPA-250、ダイトーケミックス社製)
【化19】
【0145】
(密着助剤)
・密着助剤1:トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、信越シリコーン社製、「X-12-967C」
【0146】
(界面活性剤)
・界面活性剤1:パーフルオロアルキルポリマー(C4系)(DIC社製、R-41)
(溶剤)
・溶剤1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0147】
得られた樹脂組成物について、以下の物性を測定した。
(1.硬化膜の光透過率)
(試験片の作製)
感光性樹脂組成物を、ガラスプレート上に、乾燥後の膜厚が11μmとなるようにスピンコートし、続いて110℃で3分間加熱して、塗布膜を得た。
この塗布膜に対して、100mJ/cmの露光を行った。その後、30分間静置したのち、水酸化テトラメチルアンモニウム中に30秒浸漬した。さらにその後、窒素雰囲気下、230℃で120分間加熱して硬化処理した。以上により感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。
得られた硬化膜の波長400nmの光透過率を測定し、表1にT1として示す。
得られた硬化膜を、波長365nm、照射量40J/cmの条件でブリーチング処理した後、波長400nmの光透過率を測定し、結果を表1にT2として示す。
得られた硬化膜を、波長365nm、照射量120J/cmの条件でブリーチング処理した後、波長400nmの光透過率を測定し、結果を表1にT3として示す。
上記測定値から、T2/T3の値を算出した。結果を表1に「T2/T3」として示す。
なお、光透過率の測定は、日立製作所製のUV-1000を用いて行った。
【0148】
(2.硬化膜の強度測定)
(試験片の作製)
感光性樹脂組成物を、8インチシリコンウェハ上に、乾燥後の膜厚が11μmとなるようにスピンコートし、続いて110℃で3分間加熱して、塗布膜を得た。
得られた塗布膜に、高圧水銀灯にて100mJ/cmの露光を行った。その後、30分間静置したのち、水酸化テトラメチルアンモニウム中に30秒浸漬した。さらにその後、窒素雰囲気下、230℃で120分間加熱して硬化処理した。以上により感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。
得られた硬化物を、シリコンウェハごと、6.5mmになるようにダイシングソーにてカットした。カットしたものを2質量%フッ酸水溶液中に浸漬することでウェハから硬化膜を剥離した。
剥離した硬化膜を60℃で10時間乾燥して、試験片(50mm×6.5mm×10μm厚)を得た。
(弾性率の測定)
得られた試験片について、オリエンテック社製の引張試験機(テンシロンRTC-1210A)を用いて引張試験(延伸速度:5mm/分)を23℃雰囲気中で実施した。弾性変形時において、試験片にかかる応力と、試験片の引張伸び率より弾性率(GPa)を算出した。
【0149】
(破断応力の測定)
得られた試験片について、オリエンテック社製の引張試験機(テンシロンRTC-1210A)を用いて引張試験(延伸速度:5mm/分)を23℃雰囲気中で実施した。膜が破断した強度から膜強度(MPa)を算出した。
【0150】
(3.引張伸び率の測定)
上記(1.硬化膜の動的粘弾性測定)の(試験片の作製)と同様にして試験片を作製した。試験片について、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロンRTC-1210A)を用い、23℃雰囲気下、JIS K 7161に準拠した方法で引張試験を実施し、試験片の引張伸び率を測定した。引張試験における延伸速度は5mm/分とした。引張伸び率の単位は%である。
【0151】
(4.硬化膜の線膨張率およびガラス転移温度の測定)
上記(1.硬化膜の動的粘弾性測定)の(試験片の作製)と同様にして試験片を作製した。試験片について、熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA/SS6000)を用いて、10℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した。これにより、得られた試験片の熱膨張率を測定した。
次いで、得られた測定結果における温度-熱膨張率のグラフの変曲点から、硬化物のガラス転移温度Tg(単位:℃)を算出した。硬化膜のTgが大きいことは、硬化膜が熱に対してより安定であることを意味する。
【0152】
(5.耐光性の評価)
(光透過率の測定)
上記で得られた試験片について、日立製作所製のUV-1000を用いて、400nmの光透過率を測定した。
(LED照射後の光透過率の測定)
上記の試験片に対し、波長405nm、放射照度270mW/cmのLED光を100時間照射した。照射後、400nmの光透過率を測定した。
【0153】
(6.Cu基板に対する密着性の評価)
(6.1 評価用試験サンプルAの作製)
下地基材として、厚さ1.5μmのCu膜(Cuめっき膜)が表面に形成された、シリコンウエハー個片を準備した。
続いて、下地基材上に、得られた感光性樹脂組成物をスピンコートして、スピンコート膜(液状被膜)を形成した。液状被膜を110℃で3分間加熱して乾燥させ、厚さ5~30μmの感光性樹脂膜を得た。
続いて、得られた感光性樹脂膜に対し、自動露光機を用いて、波長365nmのi線を100mJ/cmの露光量で全面露光した。
その後、30分間静置したのち、続いて、シリコンウエハーを、水酸化テトラメチルアンモニウム中に30秒間浸漬した。
その後、シリコンウエハーを、窒素雰囲気において230℃、120分間加熱して、感光性樹脂膜を硬化させ、下地基材の表面に硬化膜が形成された、評価試験サンプルAを得た。
(6.2 Cu基板に対する密着性の測定)
得られた評価試験サンプルAの硬化膜と、下地基板表面のCu膜との密着性を評価した。
まず、硬化膜に、装置名:CrossCut-Master3000(オールグッド社製)にてカッターナイフで1mm角の碁盤目を100マス作成した。その硬化膜の表面に、セロハン粘着テープ(積水化学工業社製、商品名:LP-18)を貼り付けた後、そのテープの端を持ち、60°方向に剥がした。この操作を、碁盤目の縦方向、90度角度を変更して横方向、再度の縦方向の順に3回繰り返した。その後、100マスのうち、下地表面から剥離されたマス(碁盤目)の個数を測定した。評価結果を、以下の基準で表1に示す。
○:剥離されたマスの個数が、0~10個。
×:剥離されたマスの個数が、11~100個
【0154】
(7. GaN基板に対する密着性の評価)
(7.1 評価用試験サンプルBの作製)
下地基材としてGaN層が表面に形成されたサファイア基板を使用した以外は、上述の「6.1 評価用試験サンプルAの作製」に記載の方法と同様にして、評価用試験サンプルBを作製した。
(7.2 GaN基板に対する密着性の測定)
上記で得られた評価用試験サンプルBを使用し、上述の「6.2 Cu基板に対する密着性の測定」と同様の方法および評価基準で、GaN基板に対する密着性を測定した。結果を表1に示す。
【0155】
【表1】