(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083003
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230608BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230608BHJP
H01L 23/32 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H01L23/12 N
H01L23/12 Q
H01L23/12 501B
H01L23/32 D
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197074
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】土田 徹勇起
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB13
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD16
5E316DD17
5E316DD24
5E316EE01
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】加熱に伴うクラックを生じにくい配線基板を提供する。
【解決手段】本発明の配線基板12は、第1面とその裏面である第2面とを有する第1絶縁層であって、前記第1面から前記第2面まで伸びた第1貫通孔R1が設けられた第1絶縁層1241と、前記第2面上に設けられた第2絶縁層であって、前記第1貫通孔R1と連通した第2貫通孔R2と、溝部Gとが設けられた第2絶縁層1242と、前記第1貫通孔R1を埋め込んだビア部1244Vと、前記第2貫通孔R2を埋め込んだランド部1244Lと、前記溝部Gを埋め込んだ配線部1244Wとを含んだ導体層とを備え、前記第1絶縁層1241と前記第2絶縁層1242との界面のうち前記ランド部1244Lと前記配線部1244Wとの間に位置した領域は、前記ランド部1244Lに隣接した位置と前記ランド部1244Lから離間した位置とで高さが異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面とその裏面である第2面とを有する第1絶縁層であって、前記第1面から前記第2面まで伸びた第1貫通孔が設けられた第1絶縁層と、
前記第2面上に設けられた第2絶縁層であって、前記第1貫通孔と連通した第2貫通孔と、溝部とが設けられた第2絶縁層と、
前記第1貫通孔を埋め込んだビア部と、前記第2貫通孔を埋め込んだランド部と、前記溝部を埋め込んだ配線部とを含んだ導体層とを備え、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との界面のうち前記ランド部と前記配線部との間に位置した領域は、前記ランド部に隣接した位置と前記ランド部から離間した位置とで高さが異なる配線基板。
【請求項2】
前記ランド部に隣接した前記位置は、前記ランド部から離間した前記位置と比較して、前記第1面からの距離が大きい請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1絶縁層には、前記第2面で開口した凹部が更に設けられ、前記溝部は前記凹部の底面で開口している請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記凹部の深さDと前記第1絶縁層の前記ランド部に隣接した前記位置における厚さTとの比D/Tは0.5乃至0.99の範囲内にある請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
1つの前記凹部内に前記配線部が複数存在している請求項3又は4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記凹部は順テーパ状である請求項3乃至5の何れか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記配線部は、その長さ方向に厚さが一定である請求項1乃至6の何れか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記溝部の前記第1絶縁層側部分を充填する絶縁樹脂層を更に含み、前記配線部は前記溝部のうち前記絶縁樹脂層が充填されていない部分を埋め込んでいる請求項1乃至7の何れか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記導体層の側面及び底面を被覆した第1金属含有層を更に含み、前記第1金属含有層はチタンを含んだ請求項1乃至8の何れか1項に記載の配線基板。
【請求項10】
前記第1金属含有層と前記導体層との間に介在し、前記導体層と同じ材料からなるか又は前記導体層の材料と比較してイオン化傾向が小さい金属材料からなる第2金属含有層を更に含み、前記第2金属含有層は銅からなる請求項9に記載の配線基板。
【請求項11】
絶縁層と、前記絶縁層に埋め込まれ、配線部、ランド部及びビア部を含んだ導体層とを備え、前記配線部の厚さT1は前記ランド部の厚さT2よりも大きい配線基板。
【請求項12】
前記配線部の厚さT1と前記ランド部の厚さT2との比T1/T2は1より大きく2より小さい請求項11に記載の配線基板。
【請求項13】
第1配線基板と、前記第1配線基板に接合された第2配線基板とを備え、前記第1及び第2配線基板は、それらの間に介在した接合電極を介して互いに電気的に接続され、第2配線基板は、請求項1乃至12の何れか1項に記載の配線基板である複合配線基板。
【請求項14】
前記第1配線基板はフリップチップボールグリッドアレイ用配線基板であり、前記第2配線基板はインターポーザである請求項13に記載の複合配線基板。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の複合配線基板と、
前記第1配線基板の前記第2配線基板とは反対側の面に実装された機能デバイスと
を備えたパッケージ化デバイス。
【請求項16】
支持体上に設けられた剥離層上に、第1貫通孔と凹部とを有する第1絶縁層を形成することと、
前記第1絶縁層上に、前記第1貫通孔と連通した第2貫通孔と、1以上の溝部とを有する第2絶縁層を形成することと、
前記第2絶縁層上に、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔と前記溝部とを埋め込むように、導体層を形成することと
を含んだ配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記凹部は順テーパ状である請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記支持体はガラスからなる請求項16又は17に記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記第1及び第2絶縁層は何れも感光性樹脂からなる請求項16乃至18の何れか1項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高速化及び高集積化が進む中で、半導体チップを搭載するフリップチップボールグリッドアレイ(Flip Chip-Ball Grid Array)用配線基板、即ち、FC-BGA基板にも、半導体チップとの接合に使用する接合端子の狭ピッチ化及び基板内の配線の微細化が求められている。その一方で、FC-BGA基板とマザーボードとの接合には、従来とほぼ変わらないピッチで配列した接合端子による接合が要求されている。これらの要求のもと、FC-BGA基板と半導体チップとの間に、インターポーザとも呼ばれる、微細な配線を含む多層配線基板を設ける技術が採用されている。
【0003】
その一つは、シリコンインターポーザ技術である。このシリコンインターポーザ技術は、シリコンウェハ上に、微細な配線を各々の層が含んだ多層配線構造を、半導体回路の製造技術を用いて形成することによりインターポーザを製造するというものである。
【0004】
また、上記の多層配線構造をシリコンウェハ上に形成するのではなく、FC-BGA基板に直接作り込む手法も開発されている。この手法は、コア層が例えばガラスエポキシ基板からなるFC-BGA基板の製造において、化学機械研磨(CMP)などを利用して、上記の多層配線構造を形成するというものである。これについては、特許文献1に開示されている。
【0005】
更に、インターポーザをガラス基板等の支持体の上に形成し、そのインターポーザをFC-BGA基板と接合させ、その後、インターポーザから支持体を剥離することで、上記の多層配線構造を、FC-BGA基板上に設ける方式(以下、転写方式という)もある。これについては、特許文献2に開示されている。
【0006】
多層配線構造に含まれる配線は、セミアディティブ法によって作製することができる。そのような方法は特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-225671号公報
【特許文献2】国際公開第2018/047861号
【特許文献3】特開2018-22894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、加熱に伴うクラックを生じにくい配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、第1面とその裏面である第2面とを有する第1絶縁層であって、前記第1面から前記第2面まで伸びた第1貫通孔が設けられた第1絶縁層と、前記第2面上に設けられた第2絶縁層であって、前記第1貫通孔と連通した第2貫通孔と、溝部とが設けられた第2絶縁層と、前記第1貫通孔を埋め込んだビア部と、前記第2貫通孔を埋め込んだランド部と、前記溝部を埋め込んだ配線部とを含んだ導体層とを備え、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との界面のうち前記ランド部と前記配線部との間に位置した領域は、前記ランド部に隣接した位置と前記ランド部から離間した位置とで高さが異なる配線基板が提供される。
【0010】
本発明の更に他の態様によると、前記ランド部に隣接した前記位置は、前記ランド部から離間した前記位置と比較して、前記第1面からの距離が大きい上記態様に係る配線基板が提供される。
【0011】
本発明の更に他の態様によると、前記第1絶縁層には、前記第2面で開口した凹部が更に設けられ、前記溝部は前記凹部の底面で開口している上記態様の何れかに係る配線基板が提供される。
【0012】
本発明の更に他の態様によると、前記凹部の深さDと前記第1絶縁層の前記ランド部に隣接した前記位置における厚さTとの比D/Tは0.5乃至0.99の範囲内にある上記態様に係る配線基板が提供される。
【0013】
本発明の更に他の態様によると、1つの前記凹部内に前記配線部が複数存在している上記態様の何れかに係る配線基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の態様によると、前記凹部は順テーパ状である上記態様の何れかに係る配線基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の態様によると、前記配線部は、その長さ方向に厚さが一定である
上記態様の何れかに係る配線基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の態様によると、前記溝部の前記第1絶縁層側部分を充填する絶縁樹脂層を更に含み、前記配線部は前記溝部のうち前記絶縁樹脂層が充填されていない部分を埋め込んでいる上記態様の何れかに係る配線基板が提供される。
【0017】
本発明の更に他の態様によると、前記導体層の側面及び底面を被覆した第1金属含有層を更に含み、前記第1金属含有層はチタンを含んだ上記態様の何れかに係る配線基板が提供される。
【0018】
本発明の更に他の態様によると、前記第1金属含有層と前記導体層との間に介在し、前記導体層と同じ材料からなるか又は前記導体層の材料と比較してイオン化傾向が小さい金属材料からなる第2金属含有層を更に含み、前記第2金属含有層は銅からなる上記態様に係る配線基板が提供される。
【0019】
本発明の更に他の態様によると、絶縁層と、前記絶縁層に埋め込まれ、配線部、ランド部及びビア部を含んだ導体層とを備え、前記配線部の厚さT1は前記ランド部の厚さT2よりも大きい配線基板が提供される。
【0020】
本発明の更に他の態様によると、前記配線部の厚さT1と前記ランド部の厚さT2との比T1/T2は1より大きく2より小さい上記態様に係る配線基板が提供される。
【0021】
本発明の更に他の態様によると、第1配線基板と、前記第1配線基板に接合された第2配線基板とを備え、前記第1及び第2配線基板は、それらの間に介在した接合電極を介して互いに電気的に接続され、第2配線基板は、上記態様の何れかに係る配線基板である複合配線基板が提供される。
【0022】
本発明の更に他の態様によると、前記第1配線基板はフリップチップボールグリッドアレイ用配線基板であり、前記第2配線基板はインターポーザである上記態様に係る複合配線基板が提供される。
【0023】
本発明の更に他の態様によると、上記態様の何れかに係る配線基板と、前記第2配線基板の前記第1配線基板とは反対側の面に実装された機能デバイスとを備えたパッケージ化デバイスが提供される。
【0024】
ここで、「機能デバイス」は、電力及び電気信号の少なくとも一方が供給されることにより動作するデバイス、外部からの刺激により電力及び電気信号の少なくとも一方を出力するデバイス、又は、電力及び電気信号の少なくとも一方が供給されることにより動作し且つ外部からの刺激により電力及び電気信号の少なくとも一方を出力するデバイスである。機能デバイスは、例えば、半導体チップや、ガラス基板などの半導体以外の材料からなる基板上に回路や素子が形成されたチップのように、チップの形態にある。機能デバイスは、例えば、大規模集積回路(LSI)、メモリ、撮像素子、発光素子、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の1以上を含むことができる。MEMSは、例えば、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、傾斜センサ、マイクロフォン、及び音響センサの1以上である。一例によれば、機能デバイスは、LSIを含んだ半導体チップである。
【0025】
本発明の更に他の態様によると、支持体上に設けられた剥離層上に、第1貫通孔と凹部とを有する第1絶縁層を形成することと、前記第1絶縁層上に、前記第1貫通孔と連通した第2貫通孔と、1以上の溝部とを有する第2絶縁層を形成することと、前記第2絶縁層上に、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔と前記溝部とを埋め込むように、導体層を形成することとを含んだ配線基板の製造方法が提供される。
【0026】
本発明の更に他の態様によると、前記凹部は順テーパ状である上記態様に係る配線基板の製造方法が提供される。
【0027】
本発明の更に他の態様によると、前記支持体はガラスからなる上記態様の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【0028】
本発明の更に他の態様によると、前記第1及び第2絶縁層は何れも感光性樹脂からなる
上記態様の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、加熱に伴うクラックを生じにくい配線基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスを概略的に示す断面図。
【
図2】
図1に示すパッケージ化デバイスが含んでいる配線基板を概略的に示す断面図。
【
図3】
図2に示す配線基板の一部を概略的に示す断面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における他の工程を概略的に示す断面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図11】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図12】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図13】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図14】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図15】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図16】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図17】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図18】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図19】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図20】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図21】
図14の工程で得られる構造の一例を概略的に示す上面図。
【
図22】本発明の他の一実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
【
図23】本発明の更に他の一実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
【
図24】本発明の更に他の一実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
【
図25】本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスの製造方法の一工程を概略的に示す断面図。
【
図26】本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスの製造方法の他の工程を概略的に示す断面図。
【
図27】本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスの製造方法の更に他の工程を概略的に示す断面図。
【
図28】比較例に係る配線基板を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記態様の何れかをより具体化したものである。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化した例を示すものであって、本発明の技術的思想を、以下に記載する構成要素の材質、形状、構造、及び配置等に限定するものではない。本発明の技術的思想には、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0032】
以下の説明において参照する図面では、同様又は類似した機能を有する構成要素に、同一の参照符号を付している。ここで、図面は模式的なものであり、厚さ方向の寸法と厚さ方向に垂直な方向、即ち面内方向の寸法との関係や、複数の層の厚さ方向における寸法の関係等は、現実のものとは異なり得ることに留意すべきである。従って、具体的な寸法は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、2以上の構成要素の寸法の関係が、複数の図面の間で異なっている可能性があることにも留意すべきである。更に、幾つかの図面では、同一の構造を、他の図面とは天地を逆にして描いていることにも留意すべきである。
【0033】
なお、本開示において、「上面」及び「下面」は、板状部材又はそれに含まれる層の2つの主面、即ち、厚さ方向に垂直であり且つ最も広い面積を有する面及びその裏面であって、図面において上方に示された面と下方に示された面とをそれぞれ意味している。また、「側面」とは、上記主面に対して垂直であるか又は傾いた面を意味している。
【0034】
また、本開示において、「AAをBBの上に」という記載は、重力方向とは無関係に使用している。「AAをBBの上に」という記載によって特定される状態は、AAがBBと接触した状態を包含する。「AAをBBの上に」という記載は、AAとBBとの間に他の1以上の構成要素を介在させることを除外するものではない。
【0035】
<構造>
図1は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスを概略的に示す断面図である。
【0036】
図1に示すパッケージ化デバイス1は、複合配線基板10と、機能デバイス20と、封止樹脂層30と、接合電極40とを含んでいる。
【0037】
機能デバイス20は、例えば、半導体チップ、又は、ガラス基板などの半導体以外の材料からなる基板上に回路や素子が形成されたチップである。ここでは、一例として、機能デバイス20は半導体チップであるとする。即ち、ここでは、パッケージ化デバイス1は、半導体パッケージである。
【0038】
パッケージ化デバイス1は、複数の機能デバイス20を含んでいる。パッケージ化デバイス1は、機能デバイス20を1つのみ含んでいてもよい。
【0039】
機能デバイス20は、接合電極40を介して、複合配線基板10へ接合されている。ここでは、機能デバイス20は、フリップチップボンディングによって、複合配線基板10へ接合されている。機能デバイス20の1以上は、ワイヤボンディングなどの他のボンディング法によって複合配線基板10へ接合されていてもよい。
【0040】
接合電極40は、機能デバイス20と複合配線基板10との間で、狭いピッチで配列している。接合電極40は、例えば、はんだからなる。機能デバイス20をワイヤボンディングによって複合配線基板10へ接合する場合、例えば、金ワイヤを用いて機能デバイス20と複合配線基板とを電気的に接続することができる。
【0041】
封止樹脂層30は、機能デバイス20と複合配線基板10との間に介在した部分と、機能デバイス20の側面を少なくとも部分的に被覆した部分とを含んでいる。封止樹脂層30は、機能デバイス20を複合配線基板10へ固定している。
【0042】
複合配線基板10は、FC-BGA基板11と、配線基板12と、封止樹脂層13と、接合電極14とを含んでいる。
【0043】
FC-BGA基板11は、第1配線基板の一例である。FC-BGA基板11は、例えば、図示しないマザーボードへ接合される。
【0044】
FC-BGA基板11は、コア層111と、絶縁層112と、導体層113と、絶縁層114と、接合用導体115とを含んでいる。
【0045】
コア層111は、絶縁層である。コア層111は、例えば、織布又は不織布に熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた繊維強化基板である。織布又は不織布としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、又はアラミド繊維を使用することができる。絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を使用することができる。
【0046】
コア層111には、貫通孔が設けられている。導体層113の一部は、貫通孔の側壁を被覆している。ここでは、導体層113の一部は、側壁が導体からなる貫通孔を生じるように、コア層111に設けられた貫通孔の側壁を被覆している。これら側壁が導体からなる貫通孔は、絶縁体で埋め込んでもよい。
【0047】
導体層113の残りと絶縁層112とは、コア層111の両主面上で多層配線構造を形成している。各多層配線構造は、交互に積層された導体層113及び絶縁層112を含んでいる。
【0048】
多層配線構造が含む各絶縁層112は、例えば、絶縁樹脂層である。絶縁層112には、貫通孔が設けられている。
【0049】
導体層113は、銅などの金属又は合金からなる。導体層113は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0050】
多層配線構造が含む各導体層113は、配線部とランド部とを含んでいる。絶縁層112を間に挟んでコア層111と向き合った導体層113は、絶縁層112に設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部を更に含んでいる。
【0051】
絶縁層114は、上記の多層配線構造上に設けられている。絶縁層114は、例えば、ソルダーレジストなどの絶縁樹脂層である。絶縁層114には、上記多層配線構造の最表面に位置した導体層113へ連通する貫通孔が設けられている。
【0052】
接合用導体115は、導体層113のうち絶縁層114の貫通孔の位置で露出した部分に設けられた金属バンプである。なお、接合用導体は、接合端子ともいう。接合用導体115は、例えば、はんだからなる。
【0053】
配線基板12は、第2配線基板である。配線基板12は、接合電極40を介して機能デバイス20に接合されるとともに、接合電極14を介してFC-BGA基板11に接合されている。即ち、配線基板12は、機能デバイス20とFC-BGA基板11との接合を媒介するインターポーザである。配線基板12の厚さは、例えば、10μm以上300μm以下の範囲内にある。配線基板12については、後で詳述する。
【0054】
接合電極14は、配線基板12と機能デバイス20との間で配列している。接合電極14のピッチは、接合電極40のピッチと比較してより広く且つFC-BGA基板11の下面に位置した接合用導体115のピッチと比較してより狭い。接合電極14は、例えば、はんだからなる。
【0055】
封止樹脂層13は、FC-BGA基板11と配線基板12との間に介在した部分を含んでいる。なお、封止樹脂層は、アンダーフィル層ともいう。封止樹脂層13は、第2配線基板12をFC-BGA基板11へ固定している。
【0056】
配線基板12について、
図2を参照しながら、更に詳しく説明する。
図2は、
図1に示すパッケージ化デバイス1が含んでいる配線基板12を概略的に示す断面図である。
図3は、
図2に示す配線基板の一部を概略的に示す断面図である。
【0057】
図2及び
図3に示す配線基板12は、
図2に示すように、層124と、絶縁樹脂層121と、導体層123と、密着層122aと、シード層122bと、密着層125aと、シード層125bと、導体層127と、絶縁樹脂層128と、表面処理層129とを含んでいる。
【0058】
ここでは、2つの層124が積層されている。層124の数は、3以上であってもよい。
【0059】
これら層124の各々は、第1絶縁層1241と、第2絶縁層1242と、第1金属含有層1243aと、第2金属含有層1243bと、導体層1244とを含んでいる。
【0060】
第1絶縁層1241は、好ましくは、フィラーを含んでいない絶縁樹脂からなる。
【0061】
第1絶縁層1241は、
図2及び
図3に示すように、第1面S1と、その裏面である第2面S2とを有している。第1絶縁層1241には、複数の第1貫通孔R1、及び凹部Cが設けられている。
【0062】
第1貫通孔R1は、第1面S1から第2面S2まで伸びている。第1貫通孔R1は、後述するビア部1244Vで埋め込まれたビア用貫通孔である。
【0063】
第1貫通孔R1は、深さが互いに等しい。第1貫通孔R1は、ここでは、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有している。一例によれば、第1貫通孔R1は、円錐台形状を有している。第1貫通孔R1は、厚さ方向に平行な断面が矩形状であってもよい。即ち、第1貫通孔R1は、高さ方向が厚さ方向に平行な角柱又は円柱形状を有していてもよい。
【0064】
凹部Cは、開口と側壁と底面とを有している。凹部Cは第2面S2で開口している。凹部Cの底面は、厚さ方向に対して垂直な平面である。凹部Cは、ここでは、長さ方向に対して垂直な方向の寸法が開口から底面に向かって漸次小さくなる形状を有している。即ち、凹部Cは、ここでは、長さ方向に対して垂直な断面が順テーパ状である。
【0065】
第2絶縁層1242は、第1絶縁層1241の第2面S2上に設けられている。第2絶縁層1242には、複数の第2貫通孔R2及び複数の溝部Gが設けられている。第2絶縁層1242は、好ましくは、フィラーを含んでいない絶縁樹脂からなる。
【0066】
ここでは、溝部Gは、第2絶縁層1242の上面から下面まで伸びている。ここでは、溝部Gの底面は、第1絶縁層1241の上面からなる。即ち、溝部Gは凹部Cの底面で開口している。溝部Gは、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有している。一例によれば、溝部Gは、円錐台形状を有している。溝部Gは、厚さ方向に平行な断面が矩形状であってもよい。溝部Gは、後述する配線部1244Wで埋め込まれている。ここでは、溝部Gの深さは、第2貫通孔R2の深さよりも大きい。
【0067】
第2貫通孔R2の1以上は、溝部Gの1つと連通している。また、第2貫通孔R2の1以上は、第1貫通孔R1と連通している。第2貫通孔R2は、後述するランド部1244Lで埋め込まれたランド用凹部である。
【0068】
第2貫通孔R2は、深さが互いに等しい。ここでは、第2貫通孔R2は、第2絶縁層1242の上面から下面まで伸びている。第2貫通孔R2は、ここでは、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有している。一例によれば、第2貫通孔R2は、円錐台形状を有している。第2貫通孔R2は、厚さ方向に平行な断面が矩形状であってもよい。即ち、第2貫通孔R2は、高さ方向が厚さ方向に平行な角柱又は円柱形状を有していてもよい。
厚さ方向に垂直な平面への第1貫通孔R1の正射影は、第1貫通孔R1と連通した第2貫通孔R2の下側の開口の先の平面への正射影の輪郭によって取り囲まれている。
【0069】
なお、第1貫通孔R1、第1貫通孔R2、溝部G及び凹部Cについては、後で更に詳しく説明する。
【0070】
導体層1244は、第1貫通孔R1、第2貫通孔R2及び溝部Gをそれぞれ埋め込んだビア部1244Vと、ランド部1244Lと、配線部1244Wとを含んでいる。各導体層1244において、ビア部1244Vの各々は、その導体層1244が含んでいるランド部1244Lの1つと一体に形成されている。1つの層124に含まれる配線部1244Wの厚さは、例えば、その長さ方向に厚さが一定である。
【0071】
導体層1244は、銅などの金属又は合金からなる。一例によれば、導体層1244は銅からなる。
【0072】
第1金属含有層1243aは、
図2及び
図3に示すように、導体層1244と第1絶縁層1241との間に介在した部分と、導体層1244と第2絶縁層1242との間に介在した部分と、導体層1244の第1面S1側の面を被覆した部分とを含んでいる。即ち、第1金属含有層1243aは、ビア部1244V、ランド部1244L及び配線部1244Wの側壁及び底面上に設けられている。
【0073】
第1金属含有層1243aは、第1絶縁層1241及び第2絶縁層1242への第2金属含有層1243bの密着性を向上させて、第2金属含有層1243bの剥離を生じ難くする密着層又はシード密着層である。また、第1金属含有層1243aは、導体層1244から第1絶縁層1241及び第2絶縁層1242への金属の拡散を生じ難くするバリア層である。一例によれば、第1金属含有層1243aは、酸化チタン層などのチタンを含有した層である。
【0074】
第2金属含有層1243bは、第1金属含有層1243a上に設けられている。即ち、第2金属含有層1243bは、第1金属含有層1243aと導体層1244との間に介在している。第2金属含有層1243bは、導体層1244の電解めっきによる成膜において、給電層としての役割を果たすシード層である。
【0075】
第2金属含有層1243bは、第1金属含有層1243aの材料とは異なる金属材料からなる。第2金属含有層1243bは、導体層1244と同じ材料からなっていてもよい。或いは、第2金属含有層1243bは、導体層1244の材料と比較してイオン化傾向が小さい金属材料からなっていてもよい。第2金属含有層1243bは、例えば、銅を含む。第2金属含有層1243bが銅を含む場合、第1絶縁層1241と第2金属含有層1243bとの間及び第2絶縁層1242と第2金属含有層1243bとの間で層間剥離が生じにくい。なお、第1絶縁層1241及び第2絶縁層1242が同じ材料からなる場合であっても、積層方向に平行な断面を、例えば、走査電子顕微鏡で観察することにより、それら層間の界面を確認することができる。
【0076】
絶縁樹脂層121は、
図2に示すように、層124からなる多層配線構造の一方の主面上に設けられている。絶縁樹脂層121の材料は、第1絶縁層1241の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0077】
絶縁樹脂層121には、それと隣接した層124が含むビア部1244Vの位置に、貫通孔が設けられている。絶縁樹脂層121の貫通孔は、導体層123によって埋め込まれている。
【0078】
絶縁樹脂層121の貫通孔は、絶縁樹脂層121の上面から絶縁樹脂層121の下面まで伸びている。ここでは、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有している。一例によれば、この貫通孔は、円錐台形状を有している。この貫通孔は、厚さ方向に平行な断面が矩形状であってもよい。即ち、この貫通孔は、高さ方向が厚さ方向に平行な角柱又は円柱形状を有していてもよい。
【0079】
導体層123は、絶縁樹脂層121の貫通孔を埋め込んでいる。配線基板12と機能デバイス20との接合のための電極である。導体層123は、例えば、銅からなる。
【0080】
導体層127は、上方に位置した層124が含んでいるランド部1244Lの位置に設けられている。導体層127は、銅などの金属又は合金からなる。
【0081】
密着層122aは、導体層123と絶縁樹脂層121との間に介在している。密着層122aは、絶縁樹脂層121へのシード層122bの密着性を向上させて、シード層122bの剥離を生じ難くする層である。
【0082】
シード層122bは、密着層122aと導体層123との間に介在している。シード層122bは、導体層123の電解めっきによる成膜において、給電層としての役割を果たす。
【0083】
密着層125aは、上方に位置した層124が含んでいるランド部1244Lと導体層127との間に介在している。密着層125aは、第2絶縁層1242へのシード層125bの密着性を向上させて、シード層125bの剥離を生じ難くする層である。
【0084】
シード層125bは、密着層125a上に設けられている。シード層125bは、導体層127の電解めっきによる成膜において、給電層としての役割を果たす。
【0085】
絶縁樹脂層128は、上方に位置した層124及び導体層127上に設けられている。絶縁樹脂層128には、導体層127の位置に貫通孔が設けられている。
【0086】
表面処理層129は、導体層127のうち、絶縁樹脂層128の貫通孔内で露出した部分の上に設けられている。表面処理層129は、導体層127の表面の酸化防止及びはんだに対する濡れ性向上のために設ける。
【0087】
図2に示すように、隣り合った2つの層124は、例えば、一方の第1絶縁層1241と他方の第2絶縁層1242とが接している。
また、
図2に示すように、第1絶縁層1241と第2絶縁層1242との界面のうちランド部1244Lと配線部1244Wとの間に位置した領域において、ランド部1244Lに隣接した位置は、ランド部1244Lから離間した位置、例えば、凹部Cの底面の位置と比較して、第1面S1からの距離が大きい。
【0088】
図3における厚さT1は、配線部1244Wの厚さである。厚さT2は、ランド部1244Lの厚さである。厚さT3は、ビア部1244Vの厚さである。
【0089】
図3に示すように、厚さT1と厚さT2と厚さT3とは、不等式T2+T3>T1を満たし、且つ、不等式T1>T2又は不等式T3<T1を満たす。
図3に示すように、配線基板12は、絶縁層と、この絶縁層に埋め込まれ、配線部、ランド部及びビア部を含んだ導体層とを備え、配線部の厚さT1はランド部の厚さT2よりも大きい。
【0090】
配線部1244Wの厚さT1は、0.5μm乃至30μmの範囲内にあることが好ましく、0.7μm乃至20μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0091】
ランド部1244Lの厚さT2は、0.5μm乃至15μmの範囲内にあることが好ましく、1μm乃至10μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0092】
ビア部1244Vの厚さT3は、0.5μm乃至15μmの範囲内にあることが好ましく、1μm乃至10μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0093】
配線部1244Wの厚さT1とランド部1244Lの厚さT2との比T1/T2は、0.4より大きく2より小さいことが好ましく、1より大きく2より小さいことが好ましい。この比が大きすぎると、隣り合う2つの層124の間でショートが生じやすい。この比が小さすぎると、高い伝送特性を達成することが難しくなりやすい。
なお、密着層122a、第1金属含有層1243a及び密着層125aのうち少なくとも1つは省略してもよい。
【0094】
<製造方法>
このパッケージ化デバイス1が含む配線基板12は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0095】
図4乃至
図20は、本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0096】
この方法では、先ず、
図4に示すように、支持体2の一方の面に剥離層3を形成する。
【0097】
支持体2は、支持体2を通じて剥離層3に光を照射する場合もあるため、透光性を有していることが有利である。支持体2としては、例えば、ガラス板を用いることができる。矩形のガラス板は、大型化に適している。また、ガラス板は、優れた平坦性及び高い剛性を実現可能である。そのため、支持体2としてのガラス板は、その上に微細なパターンを形成するのに適している。
【0098】
また、ガラス板はCTE(coefficient of thermal expansion;熱膨張率)が小さく歪みにくいことから、パターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。支持体2としてガラス板を用いる場合、ガラス板の厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.5mm以上、好ましくは1.2mm以上である。
【0099】
ガラス板のCTEは、3ppm以上16ppm以下であることが好ましく、FC-BGA基板11及び機能デバイス20のCTEとの整合性の観点から10ppm程度がより好ましい。
【0100】
ガラスとしては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、又は、サファイヤガラス等が用いられる。
【0101】
一方、剥離層3に熱によって発泡する樹脂を用いる等、支持体2を剥離する際に支持体2に光の透過性が要求されない場合は、支持体2には、歪みの少ない材料、例えばメタルやセラミックスなどを用いることができる。
【0102】
以下、一例として、剥離層3の材料は紫外光(UV光)を吸収して剥離可能となる樹脂であり、支持体2はガラス板であるとする。
【0103】
剥離層3は、例えば、UV光などの光を吸収することにより発熱若しくは変質して剥離可能となる樹脂でもよく、又は、熱によって発泡して剥離可能となる樹脂でもよい。剥離層3の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、及び、アクリル樹脂などの有機樹脂、並びに、アモルファスシリコン、ガリウムナイトライド、金属酸化物層などの無機層から選ぶことができる。剥離層3は、光分解促進剤、光吸収剤、増感剤、及びフィラー等の添加剤を更に含有していてもよい。
【0104】
剥離層3は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。また、例えば、支持体2上に形成される多層配線構造の保護を目的として、剥離層3上に保護層を設けてもよく、支持体2と剥離層3との間にそれらの密着性を向上させる層を更に設けてもよい。また、剥離層3と多層配線構造との間に、レーザー光反射層や金属層を更に設けてもよい。
【0105】
なお、剥離層3の材料として、UV光などの光、例えばレーザー光によって剥離可能となる樹脂を用いる場合、支持体2が透光性であれば、剥離層3へは、支持体2を介して光を照射してもよい。
【0106】
次に、剥離層3上に絶縁樹脂層121を形成し、その後、フォトリソグラフィにより、絶縁樹脂層121に貫通孔を形成する。
【0107】
絶縁樹脂層121は、例えば、感光性樹脂からなる。感光性樹脂としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、感光性ベンゾシクロブテン樹脂、感光性エポキシ樹脂又はそれらの変性物を用いることが可能である。感光性樹脂は、液状であってもよく、フィルム状であってもよい。
【0108】
絶縁樹脂層121の材料として液状の感光性樹脂を用いる場合は、絶縁樹脂層121は、例えば、スリットコート、カーテンコート、ダイコート、スプレーコート、静電塗布法、インクジェットコート、グラビアコート、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート、及びドクターコートの何れかの方法でシード層122b上に形成することができる。絶縁樹脂層121としてフィルム状のレジストを用いる場合は、絶縁樹脂層121は、例えば、ラミネート、真空ラミネート、真空プレスなどの何れかの方法で剥離層3上に設けることができる。
なお、絶縁樹脂層121は非感光性樹脂からなっていてもよい。絶縁樹脂層121の材料として非感光性樹脂を用いる場合、貫通孔は、例えば、レーザー光照射によって形成することができる。
【0109】
ここでは、一例として、感光性のエポキシ樹脂をスピンコート法により剥離層3上へ塗布する。感光性のエポキシ樹脂は、比較的低温で硬化させることができ、硬化に伴う収縮が少ないため、その後の微細パターン形成に有利である。
【0110】
貫通孔の平面視の形状は、機能デバイス20の接合電極のピッチや形状に応じて設定する。絶縁樹脂層121の厚さは、次に形成する導体層123の厚さに応じて設定される。
なお、貫通孔を形成した後、現像時の残渣除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。
【0111】
次に、
図5に示すように、絶縁樹脂層121上及び剥離層3のうち絶縁樹脂層121によって被覆されていない部分上に密着層122a及びシード層122bを形成する。密着層122aは、剥離層3へのシード層122bの密着性を向上させて、これ以降の工程においてシード層122bの剥離を防止する層である。また、シード層122bは、導体層122を形成するための電解めっきにおいて、給電層としての役割を果たす。
【0112】
密着層122a及びシード層122bは、例えば、スパッタリング法又は蒸着法により形成することができる。密着層122a及びシード層122bの材料としては、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、ZnO、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、TiN、Cu3N4、Cu合金、又はこれらを複数組み合わせたものを使用することができる。ここでは、一例として、電気特性及び製造の容易性の観点並びにコスト面を考慮して、密着層122a及びシード層122bにそれぞれにチタン層及び銅層を採用し、それらはスパッタリング法で形成することとする。密着層122a及びシード層122bにそれぞれにチタン層及び銅層を採用した場合、導体層123と絶縁樹脂層121との密着性に特に優れる。
【0113】
密着層122a及びシード層122bの合計膜厚は、1μm以下とすることが好ましい。ここでは、一例として、密着層122aとして厚さが50nmのチタン層を形成するとともに、シード層122bとして厚さが300nmの銅層を形成することとする。
【0114】
次に、
図6に示すように、シード層122b上に、電解めっきにより導体層123を形成する。導体層123は、例えば、機能デバイス20との接合用の電極を構成する。導体層123を形成するための電解めっきとしては、例えば、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、及び電解イリジウムめっき等が挙げられる。これらの中でも、電解銅めっきは、簡便且つ安価で、良好な電気伝導性を達成できることから望ましい。
【0115】
導体層123は、上記の通り、機能デバイス20との接合用の電極となる。そのため、導体層123の厚さは、はんだ接合の観点から1μm以上であることが望ましく、生産性の観点から30μm以下であることが望ましい。
【0116】
次に、
図7に示すように、物理研磨、又は、物理研磨と化学機械研磨(CMP)とにより、導体層123の上面を露出させる。なお、このようにして得られる構造は、ダマシン工法で得ることもできる。
【0117】
次に、
図8に示すように、導体層123及び絶縁樹脂層121上に、第1絶縁層1241を設ける。
【0118】
第1絶縁層1241は、例えば、感光性樹脂からなる。この感光性樹脂としては、例えば、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の材料を使用することができる。第1絶縁層1241は、例えば、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0119】
次に、
図9に示すように、第1絶縁層1241に第1貫通孔R1及び凹部Cを設ける。第1貫通孔R1は導体層123の位置に設ける。凹部Cは、第1絶縁層1241の上面で開口している。
【0120】
第1貫通孔R1は、第1絶縁層1241の厚さ方向と垂直な断面が矩形形状を有するように形成してもよいが、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有するように形成することが好ましい。このように形成すると、第1貫通孔R1内で不連続部を生じさせることなく、第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bを形成することが容易になる。
【0121】
図9に示すαは、凹部Cの底面と凹部Cの側壁とが成す角度である。角度αは不等式0°<α<90°を満たすことが好ましい。即ち、凹部Cは、長さ方向に垂直な断面が順テーパ状であることが好ましい。凹部Cが順テーパ状である場合、配線基板12とFC-BGA基板11とを接合するときに、凹部Cの側壁と底面とが接する位置においてクラックが生じにくい。
【0122】
凹部Cの深さDは、0.25μm乃至29.75μmの範囲内にあることが好ましく、0.75μm乃至19.75μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0123】
第1絶縁層1241の厚さ、即ち、ランド部1244Lに隣接した位置における第1絶縁層1241の厚さTは、0.5μm乃至15μmの範囲内にあることが好ましく、1μm乃至10μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0124】
上記の深さDと、上記の厚さTとの比D/Tは、0.5乃至0.99の範囲内にあることが好ましく、0.75乃至0.98の範囲内にあることがより好ましい。
【0125】
第1貫通孔R1及び凹部Cは、例えば、フォトリソグラフィにより形成することができる。例えば、ポジ型のフォトレジストを使用した場合、第1貫通孔R1及び凹部Cは、例えば、凹部Cを形成する際の露光量を、第1貫通孔R1を形成する際の露光量よりも小さくすることで形成することができる。
【0126】
次に、
図10に示すように、第1絶縁層1241上に第2絶縁層1242を設ける。第2絶縁層1242は、例えば、感光性樹脂からなる。感光性樹脂としては、例えば、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の材料を使用することができる。第2絶縁層1242は、例えば、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0127】
次に、
図11に示すように、第2絶縁層1242に、1以上が第1貫通孔R1と連通した第2貫通孔R2と、溝部Gとを設ける。
【0128】
第2貫通孔R2は、その上面における開口径が、第1絶縁層1241の第1貫通孔R1のその上面における開口径と比較してより大きくなるように形成する。ここでは、溝部Gは、凹部Cの底面で開口するように設ける。
【0129】
第2貫通孔R2は、第2絶縁層1242の厚さ方向と垂直な断面が矩形形状を有するように形成してもよいが、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有するように形成することが好ましい。溝部Gも、厚さ方向に対して垂直な方向の寸法が上面側の開口から下面側の開口に向かって漸次小さくなる形状を有するように形成することが好ましい。この場合、溝部G及び第2貫通孔R2内で不連続部を生じさせることなく、第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bを形成することが容易になる。
【0130】
次に、
図12に示すように、第1絶縁層1241の上面と、第1貫通孔R1の内面と、溝部Gの内面と、第2貫通孔R2の内面とを被覆した第1金属含有層1243aを形成する。続いて、第1金属含有層1243a上に、第1金属含有層1243aとは異なる金属材料からなる第2金属含有層1243bを形成する。
【0131】
第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bは、それぞれ、シード密着層(又は密着層)及びシード層である。第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bには、それぞれ、密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の材料を使用することができる。また、第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bは、それぞれ、密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0132】
第2金属含有層1243bの材料は、導体層1244と同じ材料であるか、又は、導体層1244の材料よりイオン化傾向が小さい金属材料であることが好ましい。第2金属含有層1243bの材料が導体層1244の材料よりイオン化傾向が小さい場合、第2金属含有層1243bは、導体層1244から第1絶縁層1241及び第2絶縁層1242への金属の拡散を防止しやすい。
【0133】
第1金属含有層1243aの厚さと第2金属含有層1243bの厚さとの合計は、1μm以下であることが好ましい。この場合、電解めっきの給電層として好ましい。
【0134】
第1金属含有層1243aの厚さは、10nm乃至100nmの範囲内にあることが好ましく、30nm乃至80nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0135】
第2金属含有層1243bの厚さは、40nm乃至400nmの範囲内にあることが好ましく、100nm乃至350nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0136】
ここでは、一例として、電気特性、製造の容易性の観点及びコスト面を考慮し、更には、第1及び第2絶縁層と第2金属含有層1243bとの密着性を向上し、且つ導体層1244の材料、例えば、銅の拡散を防止するため、第1金属含有層1243aとしてチタンを含む層を採用する。また、電気特性、製造の容易性の観点及びコスト面を考慮して、第2金属含有層1243bとして銅を含む層を採用する。第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bは、スパッタリング法で順次形成する。
【0137】
なお、第1金属含有層1243aの材料としては、第2金属含有層1243bの材料、例えば、銅の拡散防止機能を有していれば、チタン以外を適用してもよい。また、第1金属含有層1243aと第2金属含有層1243bとの間には、第1金属含有層1243aの材料及び第2金属含有層1243bの材料とも異なる金属材料からなる層を設けても良い。
【0138】
次に、
図13に示すように、第2金属含有層1243b上に導体層1244’を形成する。導体層1244’は、第1貫通孔R1と、第2貫通孔R2と、溝部Gとを埋め込むように形成する。導体層1244’には、導体層123について上述したのと同様の材料を使用することができる。また、導体層1244’は、導体層123について上述したのと同様の方法により形成することができる。ここでは、一例として、導体層1244’は、電解めっきによって形成した銅層であるとする。
【0139】
次に、
図14に示すように、導体層1244’、第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bを、物理研磨及びCMP等の研磨に供して、導体層1244’、第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bのうち、第1貫通孔R1、第2貫通孔R2又は溝部G外に位置した部分を除去する。なお、この研磨に伴い、第2絶縁層1242の上面近傍の部分も除去され得る。
図13に示す導体層1244’のうち、上記の研磨を行った後に残った部分が
図14に示す導体層1244である。
以上のようにして、導体層1244のうち、第1貫通孔R1を埋め込んだ部分、第2貫通孔R2を埋め込んだ部分、及び溝部Gを埋め込んだ部分を、それぞれ、ビア部1244V、ランド部1244L及び配線部1244Wとして得る。
【0140】
次に、
図8乃至
図14を参照しながら説明した工程からなるシークエンスを繰り返す。これにより、
図15に示す多層配線構造を得る。即ち、2つの層124を含んだ多層配線構造を得る。なお、上記のシーケンスを更に2回以上繰り返すと、多層配線構造が含む層124の数を3以上とすることができる。
【0141】
次に、
図16に示すように、上方の層124の上面上に密着層125aを形成する。続いて、密着層125a上に、密着層125aの材料とは異なる金属材料からなるシード層125bを形成する。シード層125bは、好ましくは、導体層127と同じ材料からなるか又は導体層127の材料と比較してイオン化傾向が小さい金属材料からなる。
【0142】
密着層125a及びシード層125bには、それぞれ密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の材料を使用することができる。また、密着層125a及びシード層125bには、それぞれ密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の方法により形成することができる。ここでは、一例として、密着層125aとして厚さが50nmのチタン層を形成するとともに、シード層125bとして厚さが300nmの銅層を形成することとする。
【0143】
次に、
図17に示すように、シード層125b上に、貫通孔を有しているレジスト層126を形成する。
【0144】
レジスト層126は、例えば、感光性樹脂からなる。レジスト層126には、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の材料を使用することができる。また、レジスト層126は、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0145】
次に、
図18に示すように、シード層125b上に導体層127を形成する。導体層127には、導体層123について上述したのと同様の材料を使用することができる。導体層127は、導体層123について上述したのと同様の方法により形成することができる。導体層123と同様、導体層127は電解銅めっき層であることが望ましい。
【0146】
次に、
図19に示すように、レジスト層126を除去する。レジスト層126は、例えば、ドライエッチング法によって除去するか、又は、アルカリ性の溶液や溶剤に浸漬させることにより溶解させるか又は剥離する。
【0147】
次に、密着層125a及びシード層125bの露出部を除去する。密着層125a及びシード層125bは、例えば、薬液に浸漬することで除去できる。薬液としては、例えば、過酸化水素を含む薬液を使用することができる。
【0148】
次に、
図20に示すように、第2絶縁層1242及び導体層127上に絶縁樹脂層128を形成する。絶縁樹脂層128は、導体層127の位置に貫通孔を有している。絶縁樹脂層128は、例えば、第2絶縁層1242及び導体層127上にソルダーレジストを設け、これに露光及び現像を施すことにより形成することができる。なお、ソルダーレジストから得られる絶縁層は、ソルダーレジスト層ともいう。
【0149】
ソルダーレジストの材料としては、例えば、フィラーを含有した、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁樹脂を用いることができる。
【0150】
次に、導体層127上に表面処理層129を設ける。表面処理層129は、導体層127の表面の酸化防止及びはんだに対する濡れ性向上の目的で設ける。ここでは、一例として、表面処理層129として無電解Ni/Pd/Auめっき層を形成することとする。
【0151】
表面処理層129としては、OSP(Organic Solderability Preservative)膜、即ち、水溶性プレフラックスによる表面処理層を形成してもよい。或いは、表面処理層129として、無電解スズめっき又は無電解Ni/Auめっき層を形成してもよい。
【0152】
次に、表面処理層129上に、接合用導体130を形成する。接合用導体130は、例えば、はんだバンプなどの金属バンプである。接合用導体130は、例えば、はんだボールなどのはんだ材料を表面処理層129上へ配置し、これらを溶融させ、その後、冷却して表面処理層129に固着させることにより形成することができる。はんだ材料は特に限定されない。
【0153】
以上のようにして、支持体2によって支持された配線基板12、即ち、支持体付き配線基板を得る。
【0154】
図21は、
図14の工程で得られる構造の一例を概略的に示す上面図である。
図21に示す配線部1244Wとランド部1244Lとは、互いに電気的に接続されていない。
図21に示す破線PCは、1つの凹部Cの底面の輪郭を示す。
図21に示すように、1つの凹部C内に配線部1244Wが複数存在している。
【0155】
なお、
図22に示すように、上述した配線基板12において、絶縁樹脂層121と隣接している第1絶縁層1241は、絶縁樹脂層121と隣接する部分が無機絶縁層1241aからなり、他の部分が有機絶縁層1241bからなっていてもよい。また、
図22に示すように、互いに積層している2つの層124において、上方の層124に含まれる第1絶縁層1241は、下方の層124と隣接する部分が無機絶縁層1241aからなり、他の部分が有機絶縁層1241bからなっていてもよい。有機絶縁層1241bの材料は、例えば、絶縁樹脂層121について上述したのと同様の材料である。
【0156】
無機絶縁層1241aは、ヤング率が高いため、撓みにくい。このため、無機絶縁層1241aを備えた配線基板12では、例えば、配線基板12とFC-BGA基板11との接合において、配線基板12の反りが抑制され、従って、反りに伴うクラックが生じにくい。また、
図22に示すように上方の層124に含まれる無機絶縁層1241aは、上方の層124が含む配線部1244Wと下方の層124が含む配線部1244Wとの間の層間絶縁信頼性を向上させることができる。
【0157】
無機絶縁層1241aは、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成する。無機絶縁層1241aは、例えば、酸化ケイ素又は窒化ケイ素等の絶縁体からなる。
【0158】
無機絶縁層1241a及び有機絶縁層1241bを含んだ第1絶縁層1241は、例えば、以下の方法により形成することができる。
【0159】
先ず、
図7に示す構造体の上面に無機絶縁層1241aを設ける。次に、
図8及び
図9を用いて説明した方法と同様の方法により、無機絶縁層1241a上に、第1貫通孔R1及び凹部Cを有する有機絶縁層1241bを形成する。次に、露出している無機絶縁層1241aを、ドライエッチング等により除去する。
このようにして、無機絶縁層1241a及び有機絶縁層1241bを含んだ第1絶縁層1241を得る。
【0160】
また、上述した配線基板12の製造方法では、第1絶縁層1241に凹部Cを設けたが、凹部Cを設ける代わりに、凹部Cの位置に凸部を設けても良い。但し、この場合、配線部1244Wの厚さが小さくなる。
【0161】
また、上述した配線基板12の製造方法において、溝部Gの下側部分を充填する絶縁樹脂層を更に設けても良い。このような絶縁樹脂層を設けると、配線部1244Wの厚さを調節することができる。例えば、凹部Cの長さ方向における両端がランド部1244Lから離間している場合、この絶縁樹脂層を凹部C内に設けることにより、配線部1244Wの厚さを、凹部Cの内側と外側とで等しくすることができる。また、このような絶縁樹脂層を設けた場合、配線部1244Wは、溝部Gのうちこの絶縁樹脂層が充填されていない部分を埋め込む。
【0162】
また、上述した配線基板12の製造方法では、剥離層3の上に貫通孔を有する絶縁樹脂層121を設けた後に、密着層125a及びシード層125bを形成したが、剥離層3の上に密着層125a及びシード層125bを形成した後に、貫通孔を有する絶縁樹脂層121を設けても良い。
【0163】
支持体付き配線基板は、例えば、以下の方法によっても得られる。以下、本発明の他の一実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
【0164】
先ず、第2絶縁層1242の代わりに、ダミー層としてのレジスト層を含んでいること以外は、
図14を用いて説明したのと同様の構造物を得る。次に、
図23に示すように、得られた構造物からダミー層を除去する。
【0165】
次に、ランド部1244L及び配線部1244W間の隙間を埋め込むように第1絶縁層1241の露出面を被覆するとともに、ランド部1244L及び配線部1244Wの上面を埋め込むように第2絶縁層1242を形成する。第2絶縁層1242は、例えば、非感光性樹脂を用いて形成する。次いで、第2絶縁層1242に、ランド部の位置で貫通孔を形成する。その後、
図15乃至
図20を用いて説明した方法と同様の方法により支持体付き配線基板を得る。
以上、本発明の他の一実施形態に係る配線基板の製造方法について説明した。
【0166】
以下、本発明の更に他の一実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
先ず、
図9に示す構造体を準備する。
次に、第1絶縁層1241の上面及び第1貫通孔R1の内面に、第1金属含有層1243aを形成する。続いて、第1金属含有層1243a上に、第2金属含有層1243bを形成する。
【0167】
次に、第2金属含有層1243b上に、溝部G’と、1以上が第1貫通孔R1と連通した第2貫通孔R2’とを有する、ダミー層としてのレジスト層を形成する。第2貫通孔R2’及び溝部G’は、それぞれ第2貫通孔R2及び溝部Gに相当する。ここでは、一例として、溝部G’及び第2貫通孔R2’の各々を矩形状に形成する。
【0168】
次に、露出している第2金属含有層1243b上に導体層1244を形成する。
【0169】
次に、
図24に示すように、得られた構造物からレジスト層を除去し、その後、露出している第1金属含有層1243a及び第2金属含有層1243bも除去する。
【0170】
次に、ランド部1244L及び配線部1244W間の隙間を埋め込むように第1絶縁層1241の露出面を被覆するとともに、ランド部1244L及び配線部1244Wの上面を埋め込むように第2絶縁層1242を形成する。第2絶縁層1242は、例えば、非感光性樹脂を用いて形成する。次いで、第2絶縁層1242に、ランド部の位置で貫通孔を形成する。その後、
図15乃至
図20を用いて説明した方法と同様の方法により支持体付き配線基板を得る。
以上、本発明の更に他の一実施形態に係る配線基板の製造方法について説明した。
【0171】
上述した方法によって得られる支持体付き配線基板を使用すると、
図1に示すパッケージ化デバイス1は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0172】
図25は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスの製造方法における一工程を概略的に示す断面図である。
図26は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスの製造方法における他の工程を概略的に示す断面図である。
図27は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスの製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図である。
【0173】
先ず、
図25に示すように、支持体2によって支持された配線基板12とFC-BGA基板11とを接合する。次いで、それらの接合部を、封止樹脂層13で封止する。
【0174】
封止樹脂層13の材料としては、例えば、樹脂とフィラーとの混合物を使用することができる。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種以上の混合物を使用することができる。フィラーとしては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛の1種又はこれらの2種以上を使用することができる。封止樹脂層13は、例えば、液状の材料をFC-BGA基板11と配線基板12との間に充填させることにより形成することができる。
【0175】
以上のようにして、FC-BGA基板11と配線基板12とを含んだ複合配線基板10を得る。なお、この時点では、配線基板12上には、支持体2が設けられたままである。
【0176】
次に、
図26に示すように、支持体2側から剥離層3にレーザー光50を照射して、
図27に示すように、支持体2と複合配線基板10とを互いから剥離する。上述した通り、剥離層3の材料は紫外光(UV光)を吸収して剥離可能となる樹脂であるため、レーザー光50の照射により、複合配線基板10から支持体2を剥離することが可能である。剥離層3が複合配線基板10上に残留した場合には、例えば、エッチングによって除去する。
【0177】
その後、複合配線基板10へ、
図1に示す機能デバイス20を接合する。
機能デバイス20の接合に先立って、表面に露出した導体層122上に、酸化防止及びはんだに対する濡れ性向上の目的で、無電解Ni/Pd/Auめっき層、OSP膜、無電解スズめっき層、及び無電解Ni/Auめっき層などの表面処理層を設けてよい。
【0178】
次いで、それらの接合部を、封止樹脂層30で封止する。
封止樹脂層30の材料としては、例えば、封止樹脂層13の材料として例示したものを使用することができる。封止樹脂層30は、例えば、封止樹脂層13について上述したのと同様の方法により形成することができる。
以上のようにして、
図1に示すパッケージ化デバイス1が完成する。
【0179】
上記の方法では、配線基板12をFC-BGA基板11へ接合した後に、機能デバイス20を配線基板12へ接合している。その代わりに、機能デバイス20を配線基板12へ接合した後に、配線基板12をFC-BGA基板11へ接合してもよい。
【0180】
<効果>
シリコンインターポーザ技術によって得られるインターポーザ、所謂シリコンインターポーザは、シリコンウェハと半導体前工程用の設備とを用いて製造されている。シリコンウェハは、形状及びサイズに制限があり、1枚のウェハから製造できるインターポーザの数は、必ずしも多くはない。そして、その製造設備も高価である。それ故、シリコンインターポーザは高価である。また、シリコンウェハは半導体であることから、シリコンインターポーザを使用すると、伝送特性が劣化するという問題もある。
【0181】
微細な配線パターンを有する導体層を含んだ多層配線構造をFC-BGA基板に直接作り込む手法は、シリコンインターポーザに見られる伝送特性の劣化は小さい。しかしながら、この手法には、FC-BGA基板自体の製造歩留まりの問題や、ガラスエポキシ基板などのコア層上に、微細な配線パターンを有する導体層を含んだ多層配線構造を形成する難易度が高いため、全体的に製造歩留まりが低いという課題がある。更に、このFC-BGA基板では、その厚さを二等分する平面に対して高い対称性を実現することは難しい。それ故、そのようなFC-BGA基板は、加熱時に反りや歪みを生じ易い。
【0182】
一方、支持体の上に、導体層と感光性樹脂層とを含んだ微細な配線パターンを含んだ配線基板を形成し、配線基板が形成された支持体をFC-BGA用配線基板に搭載する場合、以下の問題があった。上記の感光性樹脂層はフィラーを含有していない。一方、配線基板とFC-BGA用配線基板との間に設けられるアンダーフィル層や上記の配線基板が含むソルダーレジスト層はフィラーを含有している。このため、感光性樹脂層は、アンダーフィル層やソルダーレジスト層と比較して、弾性率が低く、且つ、CTEが大きい傾向にある。従って、支持体上に設けられた配線基板とFC-BGA用配線基板とを加熱により接合する際、感光性樹脂層がアンダーフィル層及びソルダーレジスト層よりも大きく変形する。この変形に伴い、配線基板の伸び及び反り、配線基板内に応力が生じることによる導体層の剥離、並びに剥離した箇所を起点としたクラックが生じることがある。
【0183】
図28は、比較例に係る配線基板12’を概略的に示す断面図である。
図28に示す配線基板12’は、上述した凹部Cを設けなかったこと以外は、
図20に示す配線基板12と同様である。即ち、配線基板12’では、第1絶縁層1241と第2絶縁層1242との界面のうちランド部1244Lと配線部1244Wとの間に位置した領域は、ランド部1244Lに隣接した位置とランド部1244Lから離間した位置とで高さが同じである。このため、配線基板12’とFC-BGA用配線基板とを加熱により接合する際、
図28に示す破線PRで囲んだ領域において、配線基板12’の反り等の変形に伴う応力が集中し、クラックが生じやすい。
【0184】
これに対し、上述した配線基板12では、
図20に示すように、第1絶縁層1241と第2絶縁層1242との界面のうちランド部1244Lと配線部1244Wとの間に位置した領域は、ランド部1244Lに隣接した位置とランド部1244Lから離間した位置とで高さが異なる。具体的には、上述した配線基板12は、凹部Cを有している。このように、第1絶縁層1241と第2絶縁層1242との界面に、ランド部1244Lと配線部1244Wとを仕切るように段差を設けると、配線基板12の厚さ方向に対して垂直な方向に加わる剪断力は、配線基板12の厚さ方向に対して傾いた方向と、これに対して垂直な方向とに分散される。このため、配線基板12とFC-BGA用配線基板とを加熱により接合する際、ランド部1244Lと第1絶縁層1241との接点に加わる応力が上記のように分散され、従って、ランド部1244Lと第1絶縁層1241との界面を起点としたクラックが生じにくい。
【0185】
また、
図28に示す配線基板12’では、配線部1244Wの厚さT1とランド部1244Lの厚さT2との値が等しい。このような配線基板12’において配線パターンを微細化すると、配線パターンの長さあたりの表面積が非常に小さくなるため配線抵抗が高くなりやすい。
【0186】
一方、上述した配線基板12では、
図3を用いて説明した通り、配線部1244Wの厚さT1がランド部1244Lの厚さT2よりも大きい。即ち、配線基板12における配線部1244Wの厚さT1は、配線基板12’における配線部1244Wの厚さT1よりも大きい。このため上述した配線基板12は、配線基板12’と比較して配線抵抗が小さく且つ高い伝送特性を有する。
【0187】
また、上述した配線基板12は、配線基板12’と比較して、配線部1244Wが厚いため、1つの層124に含まれる絶縁樹脂の量が少ない。従って配線基板12は、配線基板12’と比較して、熱膨張及びそれに伴う変形が小さい。このため、支持体上に設けられた配線基板とFC-BGA用配線基板とを加熱により接合する際、クラックが生じにくい。
【0188】
なお、上述したクラックが生じにくいという効果及び上述した配線抵抗が小さく且つ高い伝送特性を有するという効果は、配線部1244Wの厚さT1がランド部1244Lの厚さT2よりも大きいという構成を採用していれば、上述した段差構造を採用していなくても奏する。
また、上述した配線抵抗が小さく且つ高い伝送特性を有するという効果は、上述した段差構造を採用していれば、配線部1244Wの厚さT1がランド部1244Lの厚さT2よりも大きいという構成を採用していなくとも奏する。
【符号の説明】
【0189】
1…パッケージ化デバイス、2…支持体、3…剥離層、10…複合配線基板、11…FC-BGA基板、12…配線基板、12’…配線基板、13…封止樹脂層、14…接合電極、20…機能デバイス、30…封止樹脂層、40…接合電極、50…レーザー光、111…コア層、112…絶縁層、113…導体層、114…絶縁層、115…接合用導体、121…絶縁樹脂層、122…導体層、122a…密着層、122b…シード層、123…導体層、124…層、125a…密着層、125b…シード層、126…レジスト層、127…導体層、128…絶縁樹脂層、129…表面処理層、130…接合用導体、1241…第1絶縁層、1241a…無機絶縁層、1241b…有機絶縁層、1242…第2絶縁層、1243a…第1金属含有層、1243b…第2金属含有層、1244…導体層、1244’…導体層、1244L…ランド部、1244V…ビア部、1244W…配線部。