(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083490
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】通信端末、通信システム、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0836 20230101AFI20230608BHJP
【FI】
G06Q10/0836
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069738
(22)【出願日】2023-04-21
(62)【分割の表示】P 2021092845の分割
【原出願日】2014-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】梨本 大奨
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(57)【要約】
【課題】外出や旅行時での目的地までの経路を勘案して好適に荷物の受取場所を決定することが可能な通信端末及び通信システムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末3は、荷物の配送情報を管理するサーバ装置1とネットワーク2を介して接続し、出発地と、目的地と、商品の識別情報とを、ルート指定情報Irとしてサーバ装置1へ送信する。そして、ユーザ端末3は、出発地から目的地への想定ルートRtに基づいてサーバ装置1が検索した受取場所候補Scの情報を、サーバ装置1から受信する。そして、ユーザ端末3は、商品の受取場所候補Scから、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、サーバ装置1に送信することで、選択した一の場所を、商品の受取場所として商品の識別情報と関連付けてサーバ装置1に記憶させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末において、
出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信手段と、
前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信手段と、
前記候補から、外部入力に基づき前記荷物の受取場所として選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信する第2送信手段と、
を有する通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の受取場所を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、宅配業務において、荷物の受取場所をユーザが指定可能なシステムが知られている。例えば、特許文献1には、宅配業者が管理するサーバが提供するサイト上で荷物の識別情報、受取場所、及び受取日時の入力を受け付け、入力された受取場所及び受取日時に荷物を配達するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、受取場所や受取日時などをユーザ自らが指定する必要がある。一方、旅行先や外出先などのユーザの土地勘がない場所では、どのような受取場所があるか分からず、ユーザにとって都合のよい場所での受取りが困難であった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外出や旅行時での目的地までの経路を勘案して好適に荷物の受取場所を決定することが可能な通信端末及び通信システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末において、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信手段と、前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信することで、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶させる第2送信手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末が実行する制御方法であって、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信工程と、前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信工程と、前記候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信することで、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶させる第2送信工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信手段と、前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信することで、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶させる第2送信手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る荷物受取システムの概略構成である。
【
図4】指定された出発地から目的地までのルートとその周辺の荷物受渡しの取扱所とを示すマップである。
【
図6】受取場所決定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】変形例1に係る荷物受取システムの概略構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末において、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信手段と、前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信することで、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶させる第2送信手段と、を有する。
【0011】
上記の通信端末は、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続し、第1送信手段と、受信手段と、第2送信手段とを有する。第1送信手段は、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、サーバ装置へ送信する。受信手段は、出発地から目的地への経路に基づく荷物の受取場所の候補の情報を、サーバ装置から受信する。第2送信手段は、荷物の受取場所の候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、サーバ装置に送信することで、選択した一の場所を、荷物の受取場所として荷物の識別情報と関連付けてサーバ装置に記憶させる。この態様により、通信端末は、出発地から目的地への経路を勘案して荷物の受取場所の候補を認識し、外部入力に基づき荷物の受取場所を好適に決定することができる。
【0012】
上記通信端末の一態様では、前記第1送信手段は、前記出発地からの出発予想時刻又は前記目的地への到着予想時刻の少なくともいずれかを、さらに前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記経路に近接する前記荷物の受渡しの取扱所のうち、前記経路と前記出発予想時刻又は前記到着予想時刻とに基づき算出した前記取扱所へのユーザの到着予想時刻より前に、前記荷物を配達可能な前記取扱所を、前記候補として検索し、前記受信手段は、前記サーバ装置が検索した前記候補の情報を、前記サーバ装置から受信する。この態様により、通信端末は、経路に近接する荷物の受渡しの取扱所のうち、ユーザの到着より前に荷物を配達可能な場所を、荷物の受取場所の候補として好適に定めることができる。
【0013】
上記通信端末の他の一態様では、通信端末は、前記受信手段が受信した前記候補の情報に基づき、前記候補の一覧を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記一覧から1つの場所を選択する前記外部入力を受け付ける入力受付手段と、を有する。この態様により、通信端末は、サーバ装置から送信された荷物の受取場所の候補から、ユーザが選択した場所を、荷物の受取場所として好適に定めることができる。
【0014】
上記通信端末の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記荷物の種別に応じて、前記出発地に近い場所を前記一覧において優先して表示するか、又は、前記目的地に近い場所を前記一覧において優先して表示するかを決定する。例えば、荷物が重い物であったり、目的地で使用することが予想される物であったりする場合には、目的地に近い場所で受け取るのが好ましい。一方、荷物が移動中に用いられることが想定される物である場合には、出発地に近い場所で受け取るのが好ましい。よって、この態様により、通信端末は、ユーザの利便性が高い順に荷物の受取場所の候補を好適に並べて表示することができる。
【0015】
上記通信端末の他の一態様では、前記受信手段は、前記候補の情報として、前記候補への経由のしやすさの情報を受信し、前記表示制御手段は、前記一覧において、前記候補への経由のしやすさの情報を表示させる。この態様により、通信端末は、荷物の受取場所の選択時に、各候補への経由のしやすさを好適にユーザに認識させることができる。
【0016】
上記通信端末の他の一態様では、前記候補への経由のしやすさは、前記通信端末のユーザの交通手段に基づいて判断される。この態様により、通信端末は、ユーザの交通手段に応じて的確に決定された各候補への経由のしやすさを、ユーザに認識させることができる。
【0017】
上記通信端末の他の一態様では、通信端末は、前記選択した一の場所を経由地とした前記出発地から前記目的地までの経路の案内を行う経路案内手段を有する。通信端末は、この態様により、荷物の受取場所を経由した経路をユーザに案内することができる。
【0018】
上記通信端末の他の一態様では、前記選択した一の場所に所定距離以内に近づいた場合に、前記荷物の受取場所に近づいた旨を通知する通知手段を有する。この態様により、通信端末は、荷物の受取場所に近付いた場合に、その旨を好適にユーザに知らせることができる。
【0019】
本発明に係る他の好適な実施形態では、通信システムは、上記記載の通信端末と、前記通信端末とネットワークを介して接続する前記サーバ装置とを有し、前記サーバ装置は、前記第1送信手段により送信された前記出発地及び前記目的地に基づいて前記経路を探索する経路探索手段と、前記経路に基づいて前記荷物の受取場所の候補を検索し、当該候補の情報を前記通信端末へ送信する候補通知手段と、前記第2送信手段から前記選択した一の場所の情報を受信し、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、を有する。この態様では、通信システムは、出発地から目的地への経路を勘案して荷物の受取場所の候補を決定し、かつ、外部入力に基づき候補から選択された一の場所を荷物の受取場所として好適に登録することができる。
【0020】
上記通信システムの一態様では、前記通信端末の第1送信手段は、前記出発地からの出発予想時刻又は前記目的地への到着予想時刻の少なくともいずれかを、さらに前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置の候補通知手段は、前記経路に近接する前記荷物の受渡しの取扱所のうち、前記経路と前記出発予想時刻又は前記到着予想時刻とに基づき算出した前記取扱所へのユーザの到着予想時刻より前に、前記荷物を配達可能な前記取扱所を、前記候補として検索し、前記通信端末の受信手段は、前記サーバ装置が検索した前記候補の情報を、前記サーバ装置から受信する。この態様により、通信システムは、経路に近接する荷物の受渡しの取扱所のうち、ユーザの到着より前に荷物を配達可能な場所を、荷物の受取場所の候補として好適に定めることができる。
【0021】
上記通信システムの他の一態様では、前記候補通知手段は、前記ユーザの到着予想時刻より前に、前記荷物を配達可能な前記取扱所であって、前記到着予想時刻が営業時間内である場所を、前記候補として検索する。この態様により、通信システムは、営業時間内にユーザが到着可能な場所を、荷物の受取場所の候補として好適に定めることができる。
【0022】
本発明に係るさらに別の実施形態では、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末が実行する制御方法であって、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信工程と、前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信工程と、前記候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信することで、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶させる第2送信工程と、を有する。通信端末は、この制御方法を実行することで、出発地から目的地への経路を勘案して荷物の受取場所の候補を認識し、外部入力に基づき荷物の受取場所を好適に決定することができる。
【0023】
本発明に係るさらに別の実施形態では、荷物の配送情報を管理するサーバ装置とネットワークを介して接続する通信端末を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、出発地と、目的地と、荷物の識別情報とを、前記サーバ装置へ送信する第1送信手段と、前記出発地から前記目的地への経路に基づく前記荷物の受取場所の候補の情報を、前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記候補から、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、前記サーバ装置に送信することで、前記選択した一の場所を、前記荷物の受取場所として前記荷物の識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶させる第2送信手段として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、出発地から目的地への経路を勘案して荷物の受取場所の候補を認識し、外部入力に基づき荷物の受取場所を好適に決定することができる。好適には、このプログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0025】
[荷物受取システムの構成]
図1は、本実施例に係る荷物受取システムの概略構成である。荷物受取システムは、電子商取引により売買される商品の配達場所の管理を行うサーバ装置1と、ネットワーク2と、電子商取引により商品を購入するユーザが使用するユーザ端末3とを備える。そして、荷物受取システムは、ユーザ端末3のユーザが購入した商品(単に「購入商品」とも呼ぶ。)を外出先において好適に受取ることが可能なシステムである。
【0026】
サーバ装置1は、ネットワーク2を介してユーザ端末3と通信を行い、電子商取引におけるWEBサーバとして機能する。そして、サーバ装置1は、ユーザ端末3から購入商品の指定があった場合に、購入商品の受取場所を決定する処理(「受取場所決定処理」とも呼ぶ。)を行う。受取場所決定処理では、サーバ装置1は、購入商品の受け渡し業務を取扱う店(単に「取扱所」とも呼ぶ。)のうち、ユーザ端末3のユーザが目的地へ向かう途中で購入商品を受け取ることが可能な店(「受取場所候補Sc」とも呼ぶ。)を認識し、その中からユーザ端末3のユーザが選択した店へ、購入商品を配達する手続を行う。
【0027】
ユーザ端末3は、例えばパーソナルコンピュータやスマートフォンなどであって、電子商取引により商品を購入するための商品購入画面などを、サーバ装置1から受信した表示情報に基づき表示したり、商品購入のための種々の操作を受け付けたりする。また、ユーザ端末3は、購入商品の決定後、出発地、目的地、及び、出発予想時刻又は到着予想時刻の入力を受け付け、入力された情報と購入商品の識別情報とを含む情報(「ルート指定情報Ir」とも呼ぶ。)をサーバ装置1へ送信する。好適には、ルート指定情報Irには、車を利用するか又は電車を利用するかを示した交通手段の情報も含まれるとよい。
【0028】
[サーバ装置の構成]
図2は、サーバ装置1のブロック図である。サーバ装置1は、表示部11と、キーボードやマウスなどの入力部12と、記憶部13と、データ通信を行う通信部14と、制御部15とを備える。これらの各要素は、バスライン10を介して相互に接続されている。
【0029】
記憶部13は、ハードディスク又はフラッシュメモリといったメモリによって構成される。記憶部13は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部13は、電子商取引により販売される商品に関する情報を記憶する。本実施例では、記憶部13は、商品ごとに必要な購入決定から出荷(即ち配送車に載せる)までの所要時間を示す情報である商品別出荷時間情報130を記憶する。また、記憶部13は、運送拠点となる商品の倉庫等から各取扱所までの運送時間を示す地点別運送時間情報131を記憶する。なお、記憶部13は、地点別運送時間情報131を、購入商品を配送する可能性がある運送業者ごとに記憶してもよい。さらに、記憶部13は、ルート探索に必要な地図データ、及び、各取扱所の営業時間や位置情報などの取扱所に関する情報を記憶する。
【0030】
制御部15は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、サーバ装置1内の各構成要素に対して種々の制御を行う。本実施例では、制御部15は、EC管理部16と、ルート探索部17と、集計部18とを有し、受取場所決定処理を実行する。
【0031】
EC管理部16は、電子商取引に関する処理を行う。具体的には、EC管理部16は、購入商品を決定するための商品購入画面などの表示情報を生成して通信部14によりユーザ端末3へ送信したり、ユーザ端末3のユーザが購入商品として指定した商品の識別情報などを通信部14により受信したりする。
【0032】
ルート探索部17は、通信部14がユーザ端末3から受信したルート指定情報Irに基づき、記憶部13に記憶した地図データを参照して、出発地から目的地までのルート(「想定ルートRt」とも呼ぶ。)を探索する。この場合、ルート探索部17は、通信部14がVICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタ等から得られる渋滞情報等を統計化し、その統計情報を用いて指定された出発地から目的地までの最適な想定ルートRtを探索する。また、ルート探索部17は、ルート指定情報Irに交通手段の情報が含まれていた場合には、指定された交通手段により出発地から目的地まで行くための想定ルートRtを検索する。
【0033】
集計部18は、ルート探索部17が探索した想定ルートRtの情報に基づき、受取場所候補Scを決定する処理、及び、受取場所候補Scから受取場所を決定する処理などを行う。
【0034】
受取場所候補Scを決定する場合、まず、集計部18は、ルート探索部17が探索した想定ルートRtから所定距離以内に存在する取扱所(「ルート近接取扱所Sr」とも呼ぶ。)を認識し、ルート近接取扱所Srごとに、ユーザ端末3のユーザがルート近接取扱所Srを通過する予想時刻(「ユーザ通過時刻T1」とも呼ぶ。)を算出する。また、集計部18は、地点別運送時間情報131を参照し、配送拠点から各ルート近接取扱所Srまでの運送時間を算出する。さらに、集計部18は、商品別出荷時間情報130を参照することで、購入商品の出荷までの時間を認識し、算出した運送時間と足し合わせることで、各ルート近接取扱所Srへ購入商品を配達するまでに要する時間(「配達総時間Tt」とも呼ぶ。)を算出する。そして、集計部18は、各ルート近接取扱所Srへの配達総時間Ttに基づき、各ルート近接取扱所Srへの購入商品の配達予想時刻(「配達予想時刻T2」とも呼ぶ。)を算出する。
【0035】
そして、集計部18は、ユーザ通過時刻T1が配達予想時刻T2よりも後となり、かつ、ユーザ通過時刻T1が営業時間内となるルート近接取扱所Srを、受取場所候補Scとして認識する。さらに、集計部18は、受取場所候補Scの情報をユーザ端末3へ送信することで、ユーザ端末3に受取場所候補Scのリストを表示させる。そして、集計部18は、上述のリストからユーザ入力に基づき選択された店の情報を受信し、当該店を受取場所として購入商品の識別情報に関連付けて記憶部13に記憶する。
【0036】
なお、ルート探索部17は、本発明における「経路探索手段」、集計部18は、本発明における「候補通知手段」及び「記憶制御手段」の一例である。
【0037】
[ユーザ端末の構成]
図3は、ユーザ端末3のブロック図である。ユーザ端末3は、ディスプレイなどの表示部31と、タッチパネルなどの入力部32と、記憶部33と、データ通信を行う通信部34と、制御部35と、GPS受信機36と、を備える。これらの各要素は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0038】
記憶部33は、ハードディスク又はフラッシュメモリといったメモリによって構成され、制御部35が実行するプログラム等を記憶する。GPS受信機36は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信することで、ユーザ端末3の現在位置を示す位置情報を生成し、制御部35に送信する。
【0039】
制御部35は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、ユーザ端末3内の各構成要素に対して種々の制御を行う。例えば、制御部35は、入力部32へのユーザ入力等に基づき、購入商品を指定する情報を、通信部34によりサーバ装置1へ送信する。また、制御部35は、入力部32により、ルート指定情報Irの生成に必要な情報の入力を受け付けることで、ルート指定情報Irを生成し、通信部34によりサーバ装置1へ送信する。また、制御部35は、通信部34により受取場所候補Scのリストの情報を受信した場合に、当該リストを表示部31に選択可能に表示させ、選択された受取場所候補Scの情報をサーバ装置1へ送信する。
【0040】
なお、制御部35は、本発明における「第1送信手段」、「受信手段」、「第2送信手段」、「表示制御手段」、「入力受付手段」、「経路案内手段」、「通知手段」、及びプログラムを実行する「コンピュータ」の一例である。
【0041】
[受取場所の決定]
次に、サーバ装置1の集計部18が実行する購入商品の受取場所の決定方法の具体例について説明する。
【0042】
図4は、ルート指定情報Irで指定された目的地と出発地とに基づく想定ルートRt及びその周辺のルート近接取扱所Srを示す。
図4の例では、ユーザ端末3のユーザは、現在時刻から5時間後を出発時刻として指定したものとする。
【0043】
この場合、まず、サーバ装置1のルート探索部17は、ルート指定情報Irに基づき、目的地から出発地までに経由する想定ルートRtを探索する。次に、サーバ装置1の集計部18は、ルート探索部17が探索した想定ルートRtから所定距離以内に存在するA店~D店をルート近接取扱所Srとして認識する。
【0044】
次に、集計部18は、ルート探索部17が探索した想定ルートRtの情報と、ルート指定情報Irに含まれる出発予想時刻又は到着予想時刻とに基づき、各ルート近接取扱所Srに対するユーザ通過時刻T1を算出する。
図4の例では、集計部18は、A店へのユーザ通過時刻T1が現在時刻から約6時間後、B店へのユーザ通過時刻T1が約7時間後、C店及びD店へのユーザ通過時刻T1が約8時間後であると認識する。また、集計部18は、地点別運送時間情報131を参照して認識した配送拠点40から各ルート近接取扱所Srまでの運送時間と、商品別出荷時間情報130を参照して認識した購入商品の出荷までの時間とを足した配達総時間Ttを算出する。
図4の例では、集計部18は、B店、C店、D店への配達総時間Ttが約8時間、A店への配達総時間Ttが12時間であると認識する。なお、
図4では、配達総時間Ttが8時間以内となるエリアA11と、配達総時間Ttが12時間以内となるエリアA12とを、破線枠により示している。
【0045】
そして、集計部18は、A店~D店への配達総時間Ttに基づき配達予想時刻T2を認識し、A店~D店のうち、ユーザ通過時刻T1よりも配達予想時刻T2が早くなる店を検索する。その結果、集計部18は、C店及びD店がユーザ通過時刻T1よりも配達予想時刻T2が早くなると判断し、C店及びD店を受取場所候補Scとして認識する。
図4では、ユーザ通過時刻T1よりも配達予想時刻T2が早くなる地点となるエリアA2を、実線枠により示している。
【0046】
その後、集計部18は、C店及びD店の情報をユーザ端末3へ送信する。この場合、ユーザ端末3は、サーバ装置1から受信した情報に基づき、受取場所候補Scのリストを表示する。
【0047】
図5は、ユーザ端末3が表示する受取場所候補Scのリストの表示例である。ユーザ端末3は、サーバ装置1から受取場所候補ScであるC店及びD店の住所、営業時間、ユーザ通過時刻T1及び配達予想時刻T2等の情報を受信し、受取場所候補Scごとの情報を表す受取場所候補リスト44を、表示部31上に表示している。
【0048】
ここで、受取場所候補リスト44には、店名、住所、営業時間、ユーザ通過時刻T1及び配達予想時刻T2を表示する欄と、受取場所を選択するためのボタン45(45C、45D)を表示する欄とが設けられている。そして、ユーザ端末3は、ボタン45C、45Dのいずれかが選択されたことを検知した場合、選択されたボタンに対応する受取場所候補Scを受取場所として指定する情報を、サーバ装置1へ送信する。この場合、サーバ装置1の集計部18は、ユーザ端末3から受信した情報が示す店を、購入商品の受取場所として、購入商品の識別情報と関連付けて記憶部13に記憶させる。その後、購入商品の配送手続が実行され、購入商品の出荷準備及び受取場所への運送が行われる。
【0049】
[処理フロー]
図6は、受取場所決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
まず、ユーザ端末3は、ユーザ入力に基づき購入商品を決定し、サーバ装置1へ購入商品の識別情報を送信する(ステップS101)。この場合、サーバ装置1は、ユーザ端末3から受信した商品の識別情報に基づき購入商品を認識し、購入商品を配送が必要な商品として登録する(ステップS201)。そして、サーバ装置1は、購入商品の出荷までの所要時間を、商品別出荷時間情報130を参照して取得する(ステップS202)。
【0051】
また、ユーザ端末3は、ステップS101の実行後、出発地、目的地、及び、出発予定時刻若しくは到着予定時刻等の情報の入力を受け付ける(ステップS102)。そして、ユーザ端末3は、入力された情報を、商品の識別情報等と共に、ルート指定情報Irとしてサーバ装置1へ送信する(ステップS103)。この場合、サーバ装置1は、受信したルート指定情報Irに基づき、ルート指定情報Irで指定された出発地から目的地までのルート探索を行い、ユーザ端末3のユーザが通過すると想定される想定ルートRtを決定する(ステップS203)。
【0052】
そして、サーバ装置1は、ステップS202で認識した出荷までの所要時間と、ステップS204でのルート探索結果と、地点別運送時間情報131とに基づき、ユーザが通過する前に購入商品を配達拠点から配達することが可能な受取場所候補Scを検索する(ステップS204)。具体的には、この場合、サーバ装置1は、想定ルートRsから所定距離以内にあるルート近接取扱所Srを認識し、各ルート近接取扱所Srについて、想定ルートRsのルート情報に基づき、ユーザ通過時刻T1を算出する。また、サーバ装置1は、出荷までの所要時間と、地点別運送時間情報131を参照して認識した配達拠点からの運送時間とを加算することで配達総時間Ttを算出し、ルート近接取扱所Srごとの配達予想時刻T2を認識する。そして、サーバ装置1は、ユーザ通過時刻T1よりも配達予想時刻T2が早く、かつ、ユーザ通過時刻T1が営業時間内である店を、受取場所候補Scとして認識する。
【0053】
次に、サーバ装置1は、ステップS204で検索した受取場所候補Scの情報をユーザ端末3へ送信する(ステップS205)。そして、ユーザ端末3は、この場合、サーバ装置1から受信した受取場所候補Scの情報に基づき、受取場所候補Scのリストを表示し、受取場所候補Scを当該リストから選択する入力を受け付ける(ステップS104)。そして、サーバ装置1は、ユーザ入力により選択された1の受取場所候補Scを、サーバ装置1へ通知する(ステップS105)。そして、サーバ装置1は、ユーザ端末3から通知された1の受取場所候補Scを、購入商品の受取場所(引渡し場所)として登録する(ステップS206)。
【0054】
以上説明したように、本実施例に係るユーザ端末3は、荷物の配送情報を管理するサーバ装置1とネットワーク2を介して接続し、出発地と、目的地と、商品の識別情報とを、ルート指定情報Irとしてサーバ装置1へ送信する。そして、ユーザ端末3は、出発地から目的地への想定ルートRtに基づいてサーバ装置1が検索した受取場所候補Scの情報を、サーバ装置1から受信する。そして、ユーザ端末3は、商品の受取場所候補Scから、外部入力に基づき選択した一の場所の情報を、サーバ装置1に送信することで、選択した一の場所を、商品の受取場所として商品の識別情報と関連付けてサーバ装置1に記憶させる。これにより、ユーザ端末3は、出発地から目的地への想定ルートRtを勘案して商品の受取場所候補Scを認識し、ユーザ入力に基づき商品の受取場所を好適に決定することができる。
【0055】
[変形例]
以下、実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0056】
(変形例1)
サーバ装置1は、複数のサーバ装置から構成されていてもよい。
図7は、変形例1に係る荷物受取システムの概略構成を示す。
図7に示すように、各サーバ装置1は、ネットワーク2と接続し、受取場所決定処理などの各処理を実行するのに必要な情報の授受を他のサーバ装置1と行う。この場合、例えば、荷物受取システムは、EC管理部16を有するサーバ装置1、ルート探索部17を有するサーバ装置1、集計部18を有するサーバ装置1、商品別出荷時間情報130を有するサーバ装置1、地点別運送時間情報131を有するサーバ装置1をそれぞれ有してもよい。このように、サーバ装置1は、所定の機能ごとに複数の装置により構成されていてもよい。
【0057】
また、1台の物理的なサーバの中に複数台のサーバを仮想的に構築してもよい。
【0058】
(変形例2)
図6のステップS102では、ユーザ端末3は、出発地及び目的地等の入力を受け付けた。これに代えて、ユーザ端末3は、ステップS102での出発地及び目的地の入力の履歴情報を記憶しておき、次回のステップS102の実行時には当該履歴情報を用いることで、一部の入力を省略してもよい。この場合、ユーザ端末3のユーザは、出発予定時刻又は到着予定時刻のみを入力すればよい。
【0059】
(変形例3)
ユーザ端末3のユーザに渡される購入商品は、各取扱所の在庫にある商品であってもよい。即ち、購入商品は、配送拠点から取扱所に配送される形態でなくともよい。
【0060】
この場合、サーバ装置1は、各取扱所のPOS端末等から各取扱所の商品の在庫情報を取得して記憶し、購入商品及び想定ルートRtの決定後、ルート近接取扱所Srの在庫に購入商品があるか否かを、上述の在庫情報を参照して判定する。そして、サーバ装置1は、購入商品の在庫があるルート近接取扱所Srが存在する場合、ユーザ通過時刻T1及び配達予想時刻T2によらず、当該ルート近接取扱所Srを受取場所候補Scとして認識する。この態様によっても、サーバ装置1は、好適に受取場所候補Scを認識することができる。
【0061】
(変形例4)
ユーザ端末3は、サーバ装置1が検索した想定ルートRtの情報をサーバ装置1から受信することで、想定ルートRtに基づくルート案内を実行してもよい。
【0062】
例えば、ユーザ端末3は、
図6のステップS102での入力情報を記憶しておくことで、又は、受信した想定ルートRtの情報に基づき、出発予定時刻を認識し、出発予定時刻になった場合に、想定ルートRtに基づくルート案内を開始する。この場合、ユーザ端末3は、GPS受信機36の他、ルート案内に必要なジャイロセンサなどの各種自立測位装置を備えてもよい。
【0063】
好適には、ユーザ端末3は、購入商品の受取場所の位置情報をサーバ装置1から受信し、当該受取場所を立寄地(経由地)に設定したルート案内を行うとよい。この場合、ユーザ端末3は、立寄地である受取場所へのルート案内を行い、受取場所へ到着後に、目的地へのルート案内を行う。このとき、ユーザ端末3は、サーバ装置1が決定した想定ルートRtが受取場所を経由しない場合、受取場所を経由するルートを再探索し、再探索により得られたルートに基づきルート案内を行うとよい。
【0064】
また、ユーザ端末3は、ルート案内の開始時などにおいて、目的地への到着予想時刻が、サーバ装置1へ送信した到着予想時刻と所定時間差以上異なると判断した場合、サーバ装置1に受取場所候補Scを再検索させてもよい。この場合、ユーザ端末3は、新たに算出した到着予想時刻の情報をサーバ装置1へ送信し、サーバ装置1は、受信した到着予想時刻に基づき各ルート近接取扱所Srに対するユーザ通過時刻T1を再計算する。そして、サーバ装置1は、再計算したユーザ通過時刻T1と配達予想時刻T2とをルート近接取扱所Srごとに比較することで、受取場所候補Scを認識する。その後、サーバ装置1は、ステップS205及びステップS206に従い、ユーザ端末3のユーザが選択した受取場所候補Scを新たな受取場所として認識し、配達手続を変更する。なお、本変形例では、サーバ装置1は、
図6のステップS206の受取場所の登録後に、商品の識別情報と、受取場所となる取扱所の識別情報と、到着予想時刻とを関連付けて記憶しておく。
【0065】
(変形例5)
ユーザ端末3は、受取場所に近づいたときに、受取場所に近づいた旨をユーザに通知するとよい。
【0066】
例えば、ユーザ端末3は、受取場所の決定後、サーバ装置1から受取場所の位置情報を受信し、GPS受信機36等の出力に基づき現在位置を監視する。そして、ユーザ端末3は、現在位置が受取場所から所定距離以内に近付いた場合に、所定のアラートを、表示部31又は図示しない音声出力装置から出力する。これにより、ユーザ端末3は、好適に商品の受取場所に近付いたことをユーザに知らせることができる。
【0067】
(変形例6)
サーバ装置1は、想定ルートRtから所定距離以内に存在する取扱所をルート近接取扱所Srに定めた。これに代えて、サーバ装置1は、想定ルートRt沿いに存在する取扱所のみをルート近接取扱所Srに定めてもよい。また、サーバ装置1は、想定ルートRt沿いに存在する受取場所候補Scが存在しない場合に限り、想定ルートRtから所定距離以内に存在する受取場所候補Scを検索してもよい。
【0068】
(変形例7)
図5の受取場所候補リスト44の表示例に代えて、ユーザ端末3は、ユーザが経由しづらい受取場所候補Scについては、その旨を受取場所候補リスト44上に表示させるとよい。
【0069】
例えば、ユーザ端末3は、受取場所候補リスト44に備考欄をさらに設ける。そして、ユーザ端末3は、サーバ装置1から受信した情報に基づき、想定ルートRtと逆路線(対向車線)沿いにある受取場所候補Sc、渋滞が予想される道路沿いにある受取場所候補Sc、踏切を通過する必要がある受取場所候補Sc、駐車場がない受取場所候補Sc等については、その旨の情報を上述の備考欄に表示させる。
【0070】
この場合、好適には、サーバ装置1は、ユーザ端末3のユーザの交通手段(例えば車、徒歩等)に応じて、ユーザが経由しづらい受取場所候補Scであるか否かの判定基準を変えてもよい。例えば、サーバ装置1は、ユーザ端末3のユーザが車を利用する場合には、駐車場の有無等に基づきユーザが経由しづらい受取場所候補Scであるか否か判定し、ユーザ端末3のユーザが電車を利用する場合には、乗換駅であるか、又は改札を出る必要があるか等に基づきユーザが経由しづらい受取場所候補Scであるか否か判定する。
【0071】
また、ユーザ端末3は、ユーザが経由しづらいと判断した受取場所候補Scについては、受取場所候補リスト44上に表示させなくともよい。即ち、この場合、サーバ装置1は、ステップS205において、ユーザが経由しづらいと判断した受取場所候補Scの情報を送信しない。
【0072】
(変形例8)
図5の受取場所候補リスト44において、ユーザ端末3は、購入商品の種別に応じて、目的地に近い受取場所候補Scを優先して(即ち上位に)表示させるか、又は出発地に近い受取場所候補Scを優先して表示させるか決定してもよい。
【0073】
例えば、ユーザ端末3は、購入商品が所定の重さ以上である場合、又は、目的地に到着後に使用することが予想される場合等には、目的地に近い順に受取場所候補Scを並べて受取場所候補リスト44上に表示させる。一方、ユーザ端末3は、携帯用トイレなどの移動中に使用されることが予想される購入商品の場合には、出発地に近い順に受取場所候補Scを並べて受取場所候補リスト44上に表示させる。この場合、ユーザ端末3は、移動中に使用するか目的地で使用するかを商品ごとに関連付けた情報を参照することで、購入商品の種別を認識してもよく、購入商品の決定後に、移動中に使用するか目的地で使用するかを示すユーザ入力を受け付けることで購入商品の種別を認識してもよい。