(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083846
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】採光構造及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/70 20060101AFI20230609BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
E06B5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197787
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】御手洗 佳枝
(72)【発明者】
【氏名】守田 龍人
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
2E016JA11
2E016LA01
2E016LB11
2E016MA11
2E016NA05
2E016PA03
2E016PA04
2E016QA09
(57)【要約】
【課題】建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造及びそのような採光構造を備えた建具を提供する。
【解決手段】採光構造30は、ドア1の幅方向に並ぶ第1及び第2パネル10,20間に設けられている。第1及び第2パネル10,20には、互いの対向端面において開口する第1及び第2凹溝11,21が形成されている。第1凹溝11の内部には、全体が第1凹溝11の開口側端よりも溝底側に位置するように透光部材31が設けられている。また、前面及び後面に化粧が施された不透光部材32が、第1凹溝11の内部から第2凹溝21の内部に亘るように設けられている。透光部材31及び不透光部材32は、透光部材31を介して光がドア1を前後方向に透過するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具の幅方向又は上下方向に並ぶ第1及び第2パネル体間に設けられる採光構造であって、
上記第1パネル体には、上記第2パネル体と対向する端面において開口する第1凹溝が形成され、
上記第2パネル体には、上記第1パネル体と対向する端面において上記第1凹溝に対応するように開口する第2凹溝が形成され、
上記第1凹溝の内部には、全体が上記第1凹溝の開口側端よりも溝底側に位置するように透光部材が設けられ、
前面及び後面に化粧が施された不透光部材が、上記第1凹溝の内部から上記第2凹溝の内部に亘るように設けられ、
上記透光部材及び上記不透光部材は、上記透光部材を介して光が上記建具を前後方向に透過するように構成されている
ことを特徴とする採光構造。
【請求項2】
請求項1に記載の採光構造において、
上記第1パネル体において上記第1凹溝の前後に配置される2つの側壁部は、上記第1凹溝に面する内面の上記第2パネル体側の内面端部が、上記第2パネル体に近づく程、互いに離れるように傾斜している
ことを特徴とする採光構造。
【請求項3】
請求項2に記載の採光構造において、
上記透光部材は、直方体形状を有し、上記第1及び第2パネル体の対向方向において、上記第2パネル体側の端面が、上記2つの側壁部の傾斜した上記内面端部の一端と他端との間に位置するように配置されている
ことを特徴とする採光構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の採光構造において、
上記第1パネル体は、第1芯材と、該第1芯材の前後に設けられる2つの第1化粧材とを有し、
上記第2パネル体は、第2芯材と、該第2芯材の前後に設けられる2つの第2化粧材とを有し、
上記第1凹溝は、上記2つの第1化粧材を、上記第1芯材の上記第2パネル体に対向する端面よりも上記第2パネル体側に突出させることにより、上記2つの第1化粧材の上記第1芯材の上記第2パネル体に対向する端面から突出した部分間に形成され、
上記第2凹溝は、上記2つの第2化粧材を、上記第2芯材の上記第1パネル体に対向する端面よりも上記第1パネル体側に突出させることにより、上記2つの第2化粧材の上記第2芯材の上記第1パネル体に対向する端面から突出した部分間に形成されている
ことを特徴とする採光構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の採光構造において、
上記第2凹溝は、上記第1及び第2パネル体の対向方向において上記第1凹溝と対称な形状に形成され、
上記第2凹溝の内部には、全体が上記第2凹溝の開口側端よりも溝底側に位置するように第2透光部材が設けられ、
上記不透光部材は、上記透光部材と上記第2透光部材との間に挟み込まれている
ことを特徴とする採光構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の採光構造を備えた建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具の採光構造及び採光構造を備えた建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、扉等の建具の中には、建具で仕切られる一方側の空間から他方側の空間へ(例えば、室内から廊下等へ)光を透過させるために採光構造を備えるものがある(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1の
図2には、左右に間隔を空けて配置された2つのパネルの互いの対向面に凹溝を形成し、各凹溝に相似形状の透光部材を嵌め込むと共に、2つの透光部材の間に2つのパネルよりも薄い遮光パネルを架け渡すことによって開口を閉塞したドアが開示されている。このドアでは、2つのパネルの対向面において遮光パネルの前後で露出する透光部材を介してドアによって仕切られる2つの空間の一方側から他方側へ光が透過するように構成されている。上記ドアでは、このように2つのパネルの対向面において透光部材を露出させて採光を可能にする一方、開口を遮光パネルで閉塞することにより、ドアに対峙した人が開口を介してドアの反対側を視認することができないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ドアの採光構造では、2つの透光部材の露出面が開口の内側面と面一に形成されており、透光部材が2つのパネルの対向面において露出している。そのため、透光部材の露出面により、ドアの外観の美観が損なわれていた。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造及びそのような採光構造を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、建具の幅方向叉は上下方向に並ぶ2つのパネル体の対向面に形成した凹溝の内部に透光部材を建具の前後方向からは見えないように設け、建具を前後方向から見たときに2つのパネル体の隙間が塞がれたように見えるように不透光部材を設けることとした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、建具の幅方向又は上下方向に並ぶ第1及び第2パネル体間に設けられる採光構造を前提とするものである。
【0009】
そして、第1の発明は、上記第1パネル体には、上記第2パネル体と対向する端面において開口する第1凹溝が形成され、上記第2パネル体には、上記第1パネル体と対向する端面において上記第1凹溝に対応するように開口する第2凹溝が形成され、上記第1凹溝の内部には、全体が上記第1凹溝の開口側端よりも溝底側に位置するように透光部材が設けられ、前面及び後面に化粧が施された不透光部材が、上記第1凹溝の内部から上記第2凹溝の内部に亘るように設けられ、上記透光部材及び上記不透光部材は、上記透光部材を介して光が上記建具を前後方向に透過するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、透光部材を、第1パネル体の第1凹溝の内部に、全体が第1凹溝の開口側端よりも溝底側に位置するように設けることとしている。透光部材をこのように第1凹溝の開口面に露出しないように設けることにより、従来の採光構造と異なり、建具に近づいても建具の前後方向からは透光部材が見えないため、透光部材によって建具の美観が損なわれない。
【0011】
また、第1の発明では、前面及び後面に化粧が施された不透光部材を、第1凹溝の内部から第2凹溝の内部に亘るように設けることとしている。このような構成により、建具の前後方向から見たときに第1及び第2パネル体の隙間が、前面及び後面に化粧が施された見栄えの良い不透光部材で塞がれたように見える。
【0012】
つまり、第1の発明によれば、建具を前後方向から見たときに透光部材が見えず、第1及び第2パネル体の間に隙間が空いているようにも見えず、建具に面する2つの空間の暗い方から建具を見たときには、建具の表面に光模様が形成されているように見える。よって、第1の発明によれば、建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造を提供することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1パネル体において上記第1凹溝の前後に配置される2つの側壁部は、上記第1凹溝に面する内面の上記第2パネル体側の内面端部が、上記第2パネル体に近づく程、互いに離れるように傾斜していることを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明では、第1凹溝を前後に区画する2つの側壁部の第2パネル体側の内面端部を、第2パネル体に近づく程、互いに離れるように傾斜させている。内部に透光部材が設けられる第1凹溝の2つの側壁部の内面端部をこのように傾斜させることにより、透光部材を第1凹溝の開口面に露出しないように第1凹溝の内部に埋め込む構成としても、2つの側壁部の傾斜した内面端部に沿って光を円滑に透光部材に導くことができる。また、2つの側壁部の先端面(木口端面)が見え難くなるため、採光構造の美観を向上させることができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記透光部材は、直方体形状を有し、上記第1及び第2パネル体の対向方向において、上記第2パネル体側の端面が、上記2つの側壁部の傾斜した上記内面端部の一端と他端との間に位置するように配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明では、透光部材が第1凹溝の内部において2つの側壁部の傾斜した内面端部の溝底側端よりも開口側端に出っ張るように設けられている。このような構成により、透光部材は、第1凹溝の内部において、第2パネル体側の端面だけでなく2つの側壁部の内面に対応する側面の第2パネル体側の側面端部も露出することとなる。これにより、2つの側壁部の傾斜した内面端部に沿って第1凹溝の内部に進入する光が、透光部材の第2パネル体側の端面だけでなく側面端部からも透光部材に入射することとなる。従って、第3の発明によれば、透光部材に取り込める光の量が多くなるため、効率よく光を取り込むことができる。
【0017】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、上記第1パネル体は、第1芯材と、該第1芯材の前後に設けられる2つの第1化粧材とを有し、上記第2パネル体は、第2芯材と、該第2芯材の前後に設けられる2つの第2化粧材とを有し、上記第1凹溝は、上記2つの第1化粧材を、上記第1芯材の上記第2パネル体に対向する端面よりも上記第2パネル体側に突出させることにより、上記2つの第1化粧材の上記第1芯材の上記第2パネル体に対向する端面から突出した部分間に形成され、上記第2凹溝は、上記2つの第2化粧材を、上記第2芯材の上記第1パネル体に対向する端面よりも上記第1パネル体側に突出させることにより、上記2つの第2化粧材の上記第2芯材の上記第1パネル体に対向する端面から突出した部分間に形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明では、第1及び第2パネル体の第1及び第2芯材に切削加工を行うことなく、第1及び第2パネル体に透光部材又は不透光部材を収容する第1及び第2凹溝を容易に形成することができる。
【0019】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、上記第2凹溝は、上記第1及び第2パネル体の対向方向において上記第1凹溝と対称な形状に形成され、上記第2凹溝の内部には、全体が上記第2凹溝の開口側端よりも溝底側に位置するように第2透光部材が設けられ、上記不透光部材は、上記透光部材と上記第2透光部材との間に挟み込まれていることを特徴とするものである。
【0020】
第5の発明では、第1凹溝の内部だけでなく、第2凹溝の内部にも透光部材(第2透光部材)が設けられている。また、第2透光部材についても、建具の前後方向から見えないように、全体が第2凹溝の開口側端よりも溝底側に位置するように設けられている。そのため、第1凹溝の内部にのみ透光部材を設ける場合、第1パネル体側から斜めに建具を見たときに建具を透過した光を視認できない虞がある。第5の発明では、上述のように、第1及び第2凹溝の両方の内部に透光部材及び第2透光部材を設けることとしているため、第1及び第2パネル体のいずれ側から建具を斜めに見ても建具を透過する光を視認できる。
【0021】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明に係る採光構造を備えた建具である。
【0022】
第6の発明によれば、建具の美観を損なうことのない見栄えのよい採光構造を備えた建具を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した如く、本発明によると、建具の幅方向叉は上下方向に並ぶ2つのパネル体の対向面に形成した凹溝の内部に透光部材を建具の前後方向からは見えないように設け、建具を前後方向から見たときに2つのパネル体の隙間が塞がれたように見えるように不透光部材を設けることとしたため、建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造及びそのような採光構造を備えた建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1のドアの正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態2の採光構造を備えたドアの正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態3のドアの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0026】
以下では、本発明に係る採光構造を備えた建具の一例として、採光構造を備えたドアについて説明する。
【0027】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、ドア(建具)1は、建物の例えば間仕切り壁等の開口部に施工される。以下では、説明の便宜上、ドア1によって仕切られる2つの空間の一方側(
図1の紙面直行方向の手前側)を「前」、他方側(
図1の紙面に直行する方向の奥側)を「後」、
図1に示すドア1を前側から見たときの上側、下側、左側、右側を、それぞれ「上」、「下」、「左」、「右」として説明する。また、「幅方向」とは、ドア1の幅方向(左右方向)を意味する。
【0028】
-ドアの概略構成-
図1に示すように、ドア1は、幅方向に間を空けて設けられた矩形状の第1パネル10(第1パネル体)及び第2パネル20(第2パネル体)を備えている。
【0029】
図2に示すように、第1パネル10及び第2パネル20は、複数の角材を矩形枠状に組み立てた芯材2と、枠状の芯材2の外面を覆う化粧材3とを有している。第1パネル10及び第2パネル20は、芯材2と化粧材3とによって中空の所謂フラッシュパネルに構成されている。また、本実施形態1では、第1パネル10及び第2パネル20は、芯材2と化粧材3とが木質材料で形成される木質パネルである。
【0030】
図1に示すように、左側の第1パネル10には、上下方向の中程の部分に取手4が取り付けられている。
図2に示すように、第2パネル20は、第1パネル10の右側に間隔を空けて、前面20a及び後面20bが、それぞれ第1パネル10の前面10a及び後面10bと面一になるように設けられている。
【0031】
第1パネル10及び第2パネル20の間に、後述する採光構造30が設けられている。また、本実施形態1では、第1パネル10及び第2パネル20は、上端面及び下端面にそれぞれ固定された連結部材6(
図2の拡大図を参照)によって連結されている。連結部材6は、本実施形態1では、アングルによって構成されている。
【0032】
-採光構造の構成-
図2に示すように、採光構造30は、第1パネル10及び第2パネル20の間に設けられ、光がドア1を前後方向に透過するように構成されている。本実施形態1では、採光構造30は、透光部材31と、不透光部材32と、2つの反射板33,34とを備えている。詳細については後述するが、透光部材31及び反射板33は、第1パネル10に形成された第1凹溝11に設けられ、反射板34は、第2パネル20に形成された第2凹溝21に設けられ、不透光部材32は、第1凹溝11の内部から第2凹溝21の内部に亘るように設けられている。
【0033】
第1凹溝11は、第1パネル10の第2パネル20と対向する端面である右端面(芯材2の右端面)に、幅方向において第2パネル20とは反対側(左側)に凹むように形成されている。第1凹溝11は、第1パネル10の上端から下端に亘って延びている。
【0034】
第1凹溝11は、第1パネル10の前後の化粧材3,3(2つの第1化粧材)を、芯材2(第1芯材)の第2パネル20と対向する端面(右端面)よりも第2パネル側(右側)に突出するように芯材2に固定することにより、2つの化粧材3,3の芯材2の右端面から突出した部分間に形成されている。2つの化粧材3,3の芯材2の右端面から突出した部分は、第1凹溝11を前後に区画する第1パネル10の2つの側壁部12,12を構成する。
【0035】
2つの側壁部12,12は、第1凹溝11に面する内面の第2パネル20側の内面端部12a,12aが、傾斜面に構成されている。2つの側壁部12,12の内面端部12a,12aは、第2パネル20に近づく程、互いに離れるように傾斜している。
【0036】
以上により、第1凹溝11は、溝底側が矩形の横断面を有し、開口側が台形の横断面を有している。第1凹溝11は、開口側端から溝底に向かって先窄まり形状の横断面形状を有している。
【0037】
第2凹溝21は、第2パネル20の第1パネル10と対向する端面である左端面(芯材2の左端面)に、幅方向において第1パネル10とは反対側(右側)に凹むように形成されている。第2凹溝21は、第2パネル20の上端から下端に亘って延びている。
【0038】
第2凹溝21は、第2パネル20の前後の化粧材3,3(2つの第2化粧材)を、芯材2(第2芯材)の第1パネル10と対向する端面(左端面)よりも第1パネル10側(左側)に突出するように芯材2に固定することにより、2つの化粧材3,3の芯材2の左端面から突出した部分間に形成されている。2つの化粧材3,3の芯材2の左端面から突出した部分は、第2凹溝21を前後に区画する第2パネル20の2つの側壁部22,22を構成する。
【0039】
2つの側壁部22,22は、第2凹溝21に面する内面の第1パネル10側の内面端部22a,22aが、傾斜面に構成されている。2つの側壁部22,22の内面端部22a,22aは、第1パネル10に近づく程、互いに離れるように傾斜している。
【0040】
以上により、第2凹溝21は、溝底側が矩形の横断面を有し、開口側が台形の横断面を有している。第2凹溝21は、開口側端から溝底に向かって先窄まり形状の横断面形状を有している。
【0041】
透光部材31は、透明な樹脂材料によって形成されている。透光部材31は、直方体形状に形成されている。透光部材31の外表面は、粗し仕上が施されて粗面に形成されている。透光部材31は、第1凹溝11の前端から後端に亘って延びると共に、第1凹溝11の上端から下端に亘って延びている。透光部材31は、側面視において第1凹溝11と略等しい形状に形成されている。
【0042】
透光部材31は、全体が第1凹溝11の開口側端よりも溝底側に位置するように第1凹溝11の内部に設けられている。具体的には、透光部材31は、第1パネル10及び第2パネル20の対向方向(本実施形態1では、ドア1の幅方向(左右方向))において、第2パネル20側の端面31aが、2つの側壁部12,12の傾斜した内面端部12a,12aの一端と他端(左端と右端)との間に位置するように配置されている。つまり、本実施形態1では、透光部材31が第1凹溝11の内部において2つの側壁部12,12の傾斜した内面端部12a,12aの溝底側端(左端)よりも開口側端(右端)に出っ張るように設けられている。このような構成により、透光部材31は、第1凹溝11内において、第2パネル20側の端面31aだけでなく、2つの側壁部12,12の内面に対応する側面の第2パネル20側の側面端部31b,31bも露出することとなる。つまり、このような配置構成により、透光部材31の露出面(端面31a及び側面端部31b,31b)の面積が大きくなり、効率よく光を取り込むことができる。
【0043】
なお、透光部材31は、第2パネル20側の角部が面取りされていてもよい。つまり、透光部材31の露出した2つの側面端部31b、31bが、第2パネル20側に向かう程、互いに近づくように第1及び第2パネル10,20の対向方向(本実施形態1では左右方向)に対して傾斜していてもよい。このように側面端部31b,31bを傾斜させると、側面端部31b、31bを介して採光部材31により効果的に光を入射させる及び光を放射させることができる。また、透光部材31の露出した側面端部31b,31bが、第1パネル10と第2パネル20との間の開口8a,8bに近づく程、前後方向において開口8a,8bから離れるように傾斜することにより、開口8a,8bから露出した側面端部31b,31bがより見え難くなる。
【0044】
不透光部材32は、木製部材で構成されている。不透光部材32は、直方体形状に形成されている。不透光部材32の上下方向の長さは、第1及び第2凹溝11,21の上下方向の長さに等しい。不透光部材32の前後方向の厚さは、第1及び第2凹溝11,21の溝幅(前後方向の長さ)よりも小さい。不透光部材32は、第1凹溝11の内部から第2凹溝21の内部に亘るように設けられている。
【0045】
不透光部材32の前面及び後面には化粧が施されている。本実施形態1では、塗装によって化粧が施されている。なお、不透光部材32は、前面及び後面に化粧シート等の化粧材を接着することによって前面及び後面に化粧が施されていてもよい。
【0046】
反射板33,34は、表面に光を反射する加工(反射塗料や光を反射する明るい色(例えばホワイト系)の塗料の塗布、金属フィルム等の光を反射させる素材や光を反射する明るい色の化粧が施されたフィルム又はシートの貼付等)が施された化粧板で構成されている。反射板33,34の上下方向の長さは、第1及び第2凹溝11,21の上下方向の長さに等しい。不透光部材32の前後方向の幅は、第1及び第2凹溝11,21の溝幅(2つの側壁部12,12の内面間距離)に等しい。反射板33は第1凹溝11の溝底に接着剤で固定され、反射板34は第2凹溝21の溝底に接着剤で固定されている。
【0047】
本実施形態1では、第1凹溝11の内部には、溝底に接するように反射板33が設けられ、反射板33よりも開口側に透光部材31が反射板33に接するように設けられている。透光部材31は、第1凹溝11の開口面で露出しないように、全体が第1凹溝11の開口側端よりも溝底側に位置するように設けられている。一方、第2凹溝21の内部には、溝底に接するように反射板34が設けられ、透光部材31は設けられていない。本実施形態1では、不透光部材32は、第1凹溝11の内部に設けられた透光部材31と第2凹溝21の内部に設けられた反射板34との間に挟み込まれ、接着剤で固定されている。
【0048】
-採光構造の作用-
次に、採光構造30の作用について説明する。以下では、一例として、採光構造30が、ドア1の後側から前側に光を透過させる場合について説明する。
【0049】
ドア1の後側の空間で発せられた光は、ドア1の後面における第1パネル10と第2パネル20との間の開口8bから、第1パネル10と第2パネル20との間の空間に進入する。第1パネル10と第2パネル20との間の空間に進入した光の一部は、第1パネル10の後側の側壁部12の傾斜した内面端部12aに沿って第1凹溝11の内部に導かれる。第1凹溝11内に進入した光は、第1凹溝11の内部において露出する透光部材31の露出面(第2パネル20側の端面31aの不透光部材32よりも後側の部分及び後側の側面端部31b)から透光部材31に入射する。
【0050】
また、第1パネル10と第2パネル20との間の空間に進入した光の一部は、第2パネル20の後側の側壁部22の傾斜した内面端部22aに沿って第2凹溝21の内部に導かれる。第2凹溝21内に進入した光は、第2凹溝21の溝底に設けられた反射板34の表面で反射し、第1パネル10側へ進む。反射板34の表面で反射した光は、透光部材31の第2パネル20側の端面31aから透光部材31に入射する。
【0051】
透光部材31に入射した光は、透光部材31の内部で反射しながら前側へ進み、反射を繰り返すことで減衰することなく透光部材31の露出面(第2パネル20側の端面31aの不透光部材32より前側の部分及び前側の側面端部31b)から前方に出射する。透光部材31から出射した光は、直接又は反射板34の表面で反射した後、ドア1の前面における第1パネル10と第2パネル20との間の開口8aからドア1の前側の空間に進む。
【0052】
以上のようにして、採光構造30は、ドア1の後側から前側へ光を透過させる。このとき、ドア1を前側から見た人には、開口8aが上端から下端に亘って線状に発光しているように見える。また、本実施形態1では、透光部材31の外表面が粗し仕上によって粗面に形成されているため、透光部材31を介してドア1の後側から前側へ透過した光が拡散して見える。これにより、ドア1を前側から見た人には、開口8aが線状に柔らかい光を放っているように見える。
【0053】
また、第1パネル10と第2パネル20との間の開口8a,8bからは、不透光部材32が見えるが、不透光部材32の前面及び後面には化粧が施されているので、不透光部材32が見えることによってドア1の意匠性は損なわれない。さらに、本実施形態1では、透光部材31が第1凹溝11の開口面に露出せず、第1凹溝11の内部の奥まった位置に設けられているため、第1パネル10と第2パネル20との間の開口8a,8bから透光部材31が見えることもない。
【0054】
-実施形態1の効果-
本実施形態1の採光構造30では、透光部材31を、第1パネル10の第1凹溝11の内部に、全体が第1凹溝11の開口側端よりも溝底側に位置するように設けることとしている。透光部材31をこのように第1凹溝11の開口面に露出しないように設けることにより、従来の採光構造と異なり、ドア1に近づいてもドア1の前後方向からは透光部材31が見えないため、透光部材31によってドア1の美観が損なわれない。
【0055】
また、本実施形態1の採光構造30では、前面及び後面に化粧が施された不透光部材32を、第1凹溝11の内部から第2凹溝21の内部に亘るように設けることとしている。このような構成により、ドア1の前後方向から見たときに第1及び第2パネル10,20の隙間が、前面及び後面に化粧が施された見栄えの良い不透光部材32で塞がれたように見える。
【0056】
つまり、本実施形態1の採光構造30によれば、ドア1を前後方向から見たときに透光部材31が見えず、また、第1及び第2パネル10,20の間に隙間が空いているようにも見えず、ドア1に面する2つの空間の暗い方からドア1を見たときには、ドア1の表面に光模様が形成されているように見える。よって、本実施形態1によれば、ドア1の美観を損なわない見栄えのよい採光構造30を提供することができる。
【0057】
また、本実施形態1の採光構造30では、第1凹溝11を前後に区画する2つの側壁部12,12の第2パネル20側の内面端部12a,12aを、第2パネル20に近づく程、互いに離れるように傾斜させている。内部に透光部材31が設けられる第1凹溝11の2つの側壁部12,12の内面端部12a,12aをこのように傾斜させることにより、透光部材31を第1凹溝11の開口面に露出しないように第1凹溝11の内部に埋め込む構成としても、2つの側壁部12,12の傾斜した内面端部12a,12aに沿って光を円滑に透光部材31に導くことができる。また、2つの側壁部12,12の先端面(木口端面)が見え難くなるため、採光構造30の美観を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態1の採光構造30では、透光部材31が第1凹溝11の内部において2つの側壁部12,12の傾斜した内面端部12a,12aの溝底側端よりも開口側端に出っ張るように設けられている。このような構成により、透光部材31は、第1凹溝11の内部において、第2パネル20側の端面31aだけでなく2つの側壁部12,12の内面に対応する側面の第2パネル20側の側面端部31b,31bも露出することとなる。これにより、2つの側壁部12,12の傾斜した内面端部12a,12aに沿って第1凹溝11の内部に進入する光が、透光部材31の第2パネル20側の端面31aだけでなく側面端部31b,31bからも透光部材31に入射することとなる。従って、本実施形態1の採光構造30によれば、透光部材31に取り込める光の量が多くなるため、効率よく光を取り込むことができる。
【0059】
また、本実施形態1の採光構造30では、第1凹溝11を、第1パネル10の前面10a及び後面10bを構成する2つの化粧材3,3を芯材2の第2パネル20に対向する端面よりも第2パネル20側に突出させることにより、2つの化粧材3,3の芯材2の第2パネル20に対向する端面から突出した部分(2つの側壁部12,12)間に形成している。また、同様に、第2凹溝21を、第2パネル20の前面20a及び後面20bを構成する2つの化粧材3,3を芯材2の第1パネル10に対向する端面よりも第1パネル10側に突出させることにより、2つの化粧材3,3の芯材2の第1パネル10に対向する端面から突出した部分(2つの側壁部22,22)間に形成している。第1及び第2凹溝11,21をこのように2つの化粧材3,3を芯材2から突出させて形成することにより、第1及び第2パネル10,20の芯材2に切削加工を行うことなく、第1及び第2パネル20に第1及び第2凹溝11,21を容易に形成することができる。
【0060】
また、本実施形態1によれば、ドア1の美観を損なうことのない採光構造30を備えた見栄えのよいドア1を提供することができる。
【0061】
《発明の実施形態2》
図4に示すように、実施形態2は、実施形態1のドア1における採光構造30を設ける位置を変更したものである。以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ詳細に説明し、実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0062】
-ドアの概略構成-
図4及び
図5に示すように、ドア1は、左右の端部に設けられて上下に延びる2つの縦框5,5と、2つの縦框5,5の間に上下方向に間隔を空けて設けられる6つのパネル10A~10C,20A~20Cとを備えている。6つのパネル10A~10C,20A~20Cは、ドア1の下端から上端に向かって、第1下段パネル10A、第2下段パネル20A、第1中段パネル10B、第2中段パネル20B、第1上段パネル10C、第2上段パネル20Cの順に並んでいる。
【0063】
図5に示すように、6つのパネル10A~10C,20A~20Cは、実施形態1の第1及び第2パネル10,20と同様に、複数の角材を矩形枠状に組み立てた芯材2と、枠状の芯材2の外面を覆う化粧材3とを有し、中空の所謂フラッシュパネルに構成されている。また、6つのパネル10A~10C,20A~20Cは、芯材2と化粧材3とが木質材料で形成される木質パネルである。
【0064】
図4に示すように、左側の縦框5には、上下方向の中程の部分に取手4が取り付けられている。
図5に示すように、第2下段パネル20A、第2中段パネル20B及び第2上段パネル20Cは、第1下段パネル10A、第1中段パネル10B及び第1上段パネル10Cのそれぞれ上側に間隔を空けて設けられ、前面20a及び後面20bが第1下段パネル10A、第1中段パネル10B及び第1上段パネル10Cのそれぞれ前面10a及び後面10bと面一になるように設けられている。
【0065】
第1下段パネル10Aと第2下段パネル20Aとの間、第1中段パネル10Bと第2中段パネル20Bとの間、第1上段パネル10Cと第2上段パネル20Cとの間には、採光構造30が設けられている。第2下段パネル20Aと第1中段パネル10Bとの間、第2中段パネル20Bと第1上段パネル10Cとの間には、非採光構造40が設けられている。
【0066】
-採光構造の構成-
図5に示すように、採光構造30は、第1下段パネル10Aと第2下段パネル20Aとの間、第1中段パネル10Bと第2中段パネル20Bとの間、第1上段パネル10Cと第2上段パネル20Cとの間に設けられ、光がドア1を前後方向に透過するように構成されている。実施形態2の採光構造30は、実施形態1の採光構造30を90度回転させて設置されている他は、実施形態1の採光構造30と同様に構成されている。実施形態2の採光構造30における下側は、実施形態1の採光構造30の左側に対応し、実施形態2の採光構造30における上側は、実施形態1の採光構造30の右側に対応する。
【0067】
また、実施形態2では、第1下段パネル10A、第1中段パネル10B及び第1上段パネル10Cが、本発明に係る第1パネル体(実施形態1では第1パネル10)を構成し、第2下段パネル20A、第2中段パネル20B及び第2上段パネル20Cが、本発明に係る第2パネル体(実施形態1では第2パネル20)を構成する。つまり、第1下段パネル10A、第1中段パネル10B及び第1上段パネル10Cの上端面に第1凹溝11が形成され、第2下段パネル20A、第2中段パネル20B及び第2上段パネル20Cの下端面に第2凹溝21が形成されている。
【0068】
第1凹溝11及び第2凹溝21、該2つの凹溝11,21の内部に設けられる採光構造30の各要素(透光部材31、不透光部材32、反射板33,34)の構成は、設置される向きが異なるのみで実施形態2と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
-非採光構造の構成-
図5に示すように、非採光構造40は、採光構造30の第1凹溝11の深さを第2凹溝21の深さと等しくし、透光部材31及び反射板33,34を省略したものである。非採光構造40は、採光構造30の不透光部材32と同様の不透光部材42のみを備えている。不透光部材42は、第1凹溝11の溝底と第2凹溝21の溝底との間に架け渡されるように設けられている。
【0070】
-採光構造及び非採光構造の作用-
実施形態2においても、採光構造30は、実施形態1の採光構造30と同様に作用し、ドア1の後側の空間が前側の空間よりも明るい場合、後側から前側へ光を透過させる。このとき、ドア1を前側から見た人には、第1下段パネル10Aと第2下段パネル20Aとの間、第1中段パネル10Bと第2中段パネル20Bとの間、第1上段パネル10Cと第2上段パネル20Cとの間の各間の開口8aが線状に発光しているように見える。また、本実施形態2においても、透光部材31の外表面が粗し仕上によって粗面に形成されているため、透光部材31を介してドア1の後側から前側へ透過した光が拡散して見える。これにより、ドア1を前側から見た人には、3つの開口8aが線状に柔らかい光を放っているように見える。
【0071】
一方、非採光構造40が設けられた第2下段パネル20Aと第1中段パネル10Bとの間、第2中段パネル20Bと第1上段パネル10Cとの間の各間では、透光部材31が設けられていないため、ドア1の前後の空間のいずれかが明るい場合であっても、明るい空間側から暗い空間側へ光を透過させることがない。
【0072】
また、6つのパネルうち、上下に並ぶいずれの2つのパネルの間の開口8a,8bからは不透光部材32が見えるが、不透光部材32の前面及び後面には化粧が施されているので、不透光部材32が見えることによってドア1の意匠性は損なわれない。さらに、本実施形態2においても、透光部材31が第1凹溝11の開口面に露出せず、第1凹溝11の内部の奥まった位置に設けられているため、第1下段パネル10Aと第2下段パネル20Aとの間、第1中段パネル10Bと第2中段パネル20Bとの間、第1上段パネル10Cと第2上段パネル20Cとの間のいずれの開口8a,8bからも透光部材31は見えない。
【0073】
-実施形態2の効果-
実施形態2の採光構造30によっても、実施形態1の採光構造30と同様の効果を奏することができる。そして、実施形態2によっても、実施形態1と同様に、ドア1の美観を損なうことのない見栄えのよい採光構造30及びそのような採光構造30を備えた見栄えのよいドア1を提供することができる。
【0074】
《発明の実施形態3》
図6に示すように、実施形態3は、実施形態1のドア1における採光構造30の構成を一部変更したものである。以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ詳細に説明し、実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0075】
-採光構造の構成-
図6に示すように、採光構造30は、実施形態1と同様の構成要素(透光部材31、不透光部材32及び2つの反射板33,34)に加え、透光部材35(第2透光部材)をさらに備えている。実施形態3では、第2凹溝21が、第1及び第2パネル10,20の対向方向において第1凹溝11と対称な形状(実施形態3では、左右対称形状)に形成され、採光部材35は、第2凹溝21に設けられている。詳細については後述するが、実施形態3では、第1凹溝11に透光部材31及び反射板33が設けられ、第2凹溝21に採光部材35及び反射板34が設けられ、不透光部材32は、第1凹溝11の内部に設けられた透光部材31と第2凹溝21の内部に設けられた透光部材35との間に挟み込まれている。
【0076】
透光部材35は、第1凹溝11の内部に設けられた透光部材31と同様に構成されている。つまり、透光部材35は、透明な樹脂材料によって直方体形状に形成され、外表面は、粗し仕上が施されて粗面に形成されている。透光部材35は、第2凹溝21の前端から後端に亘って延びると共に、第2凹溝21の上端から下端に亘って延びている。透光部材35は、側面視において第2凹溝21と略等しい形状に形成されている。
【0077】
透光部材35は、全体が第2凹溝21の開口側端よりも溝底側に位置するように第2凹溝21の内部に設けられている。具体的には、透光部材35は、第1パネル10及び第2パネル20の対向方向(本実施形態3では、ドア1の幅方向(左右方向))において、第1パネル10側の端面が、2つの側壁部22,22の傾斜した内面端部22a,22aの一端と他端(右端と左端)との間に位置するように配置されている。つまり、本実施形態3では、透光部材35が第2凹溝21の内部において2つの側壁部22,22の傾斜した内面端部22a,22aの溝底側端(右端)よりも開口側端(左端)に出っ張るように設けられている。このような構成により、透光部材35は、第2凹溝21内において、第1パネル10側の端面だけでなく、2つの側壁部22,22の内面に対応する側面の第1パネル10側の側面端部も露出することとなる。つまり、このような配置構成により、透光部材35の露出面(第1パネル10側の端面及び側面端部)の面積が大きくなり、効率よく光を取り込むことができる。
【0078】
なお、透光部材35は、透光部材31と同様に、第1パネル10側の角部が面取りされていてもよい。つまり、透光部材35の露出した2つの側面端部が、第1パネル10側に向かう程、互いに近づくように第1及び第2パネル10,20の対向方向(本実施形態1では左右方向)に対して傾斜していてもよい。このように側面端部を傾斜させると、側面端部を介して採光部材35により効果的に光を入射させる及び光を放射させることができる。また、透光部材35の露出した側面端部が、第1パネル10と第2パネル20との間の開口8a,8bに近づく程、前後方向において開口8a,8bから離れるように傾斜することにより、開口8a,8bから露出した側面端部がより見え難くなる。
【0079】
本実施形態3では、第1凹溝11の内部には、溝底に接するように反射板33が設けられ、反射板33よりも開口側に透光部材31が反射板33に接するように設けられている。透光部材31は、第1凹溝11の開口面で露出しないように、全体が第1凹溝11の開口側端よりも溝底側に位置するように設けられている。一方、第2凹溝21の内部には、溝底に接するように反射板34が設けられ、反射板34よりも開口側に透光部材35が反射板34に接するように設けられている。透光部材35は、第2凹溝21の開口面で露出しないように、全体が第2凹溝21の開口側端よりも溝底側に位置するように設けられている。本実施形態3では、不透光部材32は、第1凹溝11の内部に設けられた透光部材31と第2凹溝21の内部に設けられた採光部材35との間に挟み込まれ、接着剤で固定されている。
【0080】
-採光構造の作用-
次に、採光構造30の作用について説明する。以下では、一例として、採光構造30が、ドア1の後側から前側に光を透過させる場合について説明する。
【0081】
ドア1の後側の空間で発せられた光は、ドア1の後面における第1パネル10と第2パネル20との間の開口8bから、第1パネル10と第2パネル20との間の空間に進入する。第1パネル10と第2パネル20との間の空間に進入した光の一部は、第1パネル10の後側の側壁部12の傾斜した内面端部12aに沿って第1凹溝11の内部に導かれる。第1凹溝11内に進入した光は、第1凹溝11の内部において露出する透光部材31の露出面(第2パネル20側の端面31aの不透光部材32よりも後側の部分及び後側の側面端部31b)から透光部材31に入射する。
【0082】
また、第1パネル10と第2パネル20との間の空間に進入した光の一部は、第2パネル20の後側の側壁部22の傾斜した内面端部22aに沿って第2凹溝21の内部に導かれる。第2凹溝21内に進入した光は、第2凹溝21の内部において露出する透光部材35の露出面(第1パネル10側の端面の不透光部材32よりも後側の部分及び後側の側面端部)から透光部材35に入射する。
【0083】
透光部材31,35に入射した光は、透光部材31,35の内部で反射しながら前側へ進み、反射を繰り返すことで減衰することなく透光部材31,35の露出面から前方に出射する。透光部材31,35から出射した光は、ドア1の前面における第1パネル10と第2パネル20との間の開口8aからドア1の前側の空間に進む。
【0084】
以上のようにして、採光構造30は、ドア1の後側から前側へ光を透過させる。このとき、ドア1を前側から見た人には、開口8aが上端から下端に亘って線状に発光しているように見える。また、本実施形態3では、透光部材31の外表面が粗し仕上によって粗面に形成されているため、透光部材31を介してドア1の後側から前側へ透過した光が拡散して見える。これにより、ドア1を前側から見た人には、開口8aが線状に柔らかい光を放っているように見える。
【0085】
また、第1パネル10と第2パネル20との間の開口8a,8bからは、不透光部材32が見えるが、不透光部材32の前面及び後面には化粧が施されているので、不透光部材32が見えることによってドア1の意匠性は損なわれない。さらに、本実施形態3では、透光部材31,35が第1及び第2凹溝11,21の開口面に露出せず、第1及び第2凹溝11,21の内部の奥まった位置に設けられているため、第1パネル10と第2パネル20との間の開口8a,8bから透光部材31,35が見えることもない。
【0086】
-実施形態3の効果-
実施形態3の採光構造30及びドア1によっても実施形態1の採光構造30及びドア1と同様の効果を奏することができる。
【0087】
また、実施形態3の採光構造30によれば、第1凹溝11の内部だけでなく、第2凹溝21の内部にも透光部材31,35が設けられている。また、透光部材35についても、ドア1の前後方向から見えないように、全体が第2凹溝21の開口側端よりも溝底側に位置するように設けられている。そのため、第1凹溝11の内部にのみ透光部材31を設ける場合、第1パネル10側から斜めにドア1を見たときにドア1を透過した光を視認できない虞があるが、実施形態3の採光構造30によれば、第1及び第2凹溝11,21の両方の内部に透光部材31,35を設けることとしているため、第1及び第2パネル10,20のいずれ側からドア1を斜めに見てもドア1を透過する光を視認できる。
【0088】
《その他の実施形態》
上記実施形態1~3では、本発明に係る建具の一例として、採光構造30を備えたドア1について説明した。しかしながら、本発明に係る建具は、ドア1に限られない。本発明に係る採光構造30は、引戸や吊戸に適用してもよい。つまり、本発明に係る建具は、引戸や吊戸であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態1~3では、第1パネル体(実施形態1では第1パネル10、実施形態2では第1下段パネル10A、第1中段パネル10B及び第1上段パネル10C)の2つの側壁部12,12の内面端部12a,12aを傾斜面で形成していたが、本発明はこれに限られず、2つの側壁部12,12の内面端部12a,12aは傾斜しておらず、第1パネル体と第2パネル体との対向方向に垂直な面であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態1~3では、透光部材31は、第1及び第2パネル10,20の対向方向において、第2パネル20側の端面31aが、2つの側壁部12,12の傾斜した内面端部12a,12aの一端と他端との間に位置するように配置されていたが、本発明はこのような構成に限られない。透光部材31は、第1及び第2パネル10,20の対向方向において、第2パネル20側の端面31aが、2つの側壁部12,12の内面端部12a,12aよりも溝底側に配置され、第1凹溝11内において、第2パネル20側の端面31aだけが露出するものであってもよい。同様に、実施形態3において、透光部材35は、第1及び第2パネル10,20の対向方向において、第1パネル10側の端面が、2つの側壁部22,22の内面端部22a,22aよりも溝底側に配置され、第2凹溝21内において、第1パネル10側の端面だけが露出するものであってもよい。
【0091】
また、上記実施形態1~3では、採光構造30が2つの反射板33,34を備えていたが、採光構造30は、反射板33,34のいずれか1つを備えるものであってもよく、反射板33,34を備えないものであってもよい。その場合、芯材2,2の対向端面に光を反射する加工(反射塗料や光を反射する明るい色(例えばホワイト系)の塗料の塗布、金属フィルム等の光を反射させる素材や光を反射する明るい色の化粧が施されたフィルム又はシートの貼付等)を施すことが好ましい。
【0092】
また、反射板33,34の代わりに、表面に光を反射する加工(反射塗料や光を反射する明るい色(例えばホワイト系)の塗料の塗布、金属フィルム等の光を反射させる素材や光を反射する明るい色の化粧が施されたフィルム又はシートの貼付等)が施された両面テープで、芯材2,2と透光部材31(実施形態3では透光部材31,35)とを接着することとしてもよい。
【0093】
また、上記実施形態1~3では、採光部材31,35と不透光部材32との間には何も設けられていなかったが、採光部材31,35と不透光部材32との間に反射板を設けることとしてもよい。また、反射板に代えて、採光部材31,35に当接する不透光部材32の当接端面に表面に光を反射する加工(反射塗料や光を反射する明るい色(例えばホワイト系)の塗料の塗布、金属フィルム等の光を反射させる素材や光を反射する明るい色の化粧が施されたフィルム又はシートの貼付等)を施してもよい。
【0094】
また、上記実施形態2では、第1凹溝11の内部のみに透光部材31を設けていたが、実施形態3と同様に、第2凹溝21の深さを第1凹溝11の深さと同等の深さに変形し、第2凹溝21の内部に透光部材35を設けることとしてもよい。
【0095】
また、上記実施形態1~3では、第1及び第2凹溝11,21を、第1及び第2パネル体の前後の化粧材3,3を、芯材2の端面よりも突出させることにより形成していたが、第1及び第2凹溝11,21の形成手法はこれに限られない。第1及び第2パネル体の端面を切り欠くことによって形成してもよい。
【0096】
また、上記実施形態1,3では、ドア1に対し、採光構造30を1つのみ設けていたが、本発明に係る建具は、採光構造30を1つのみ備えるものに限られず、実施形態2のように採光構造30を複数備えるものであってもよい。また、採光構造30が設けられる第1パネル体及び第2パネル体の並ぶ方向は、実施形態1,3のようにドア1の幅方向に限られず、実施形態2のように上下方向に並んでいてもよい。
【0097】
また、上記実施形態1~3では、透光部材31,35の外表面は、粗し仕上が施されて粗面に形成されていたが、透光部材31,35の外表面の仕上は粗し仕上に限られない。例えば、透光部材31,35の外表面には、磨き仕上が施されていてもよい。透光部材31,35の外表面に磨き仕上が施された場合、採光構造30を介してドア1を透過した光は、実施形態1,2のように拡散して見えず、各開口8a,8bからまっすぐに進むように見える。これにより、ドア1を前側から見た人には、各開口8a,8bから直線的な光が放たれているように見える。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、建具の採光構造及び採光構造を備えた建具に有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 ドア(建具)
2 芯材(第1芯材、第2芯材)
3 化粧材(第1化粧材、第2化粧材)
10 第1パネル(第1パネル体)
10A 第1下段パネル(第1パネル体)
10B 第1中段パネル(第1パネル体)
10C 第1上段パネル(第1パネル体)
11 第1凹溝
12 側壁部
12a 内面端部
20 第2パネル(第2パネル体)
20A 第2下段パネル(第2パネル体)
20B 第2中段パネル(第2パネル体)
20C 第2上段パネル(第2パネル体)
21 第2凹溝
30 採光構造
31 透光部材
35 採光部材(第2採光部材)
32 不透光部材