(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084050
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20230609BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230609BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20230609BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230609BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230609BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20230609BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20230609BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H01L21/78 M
H01L21/78 Y
H01L21/68 N
H01L21/52 C
C09J7/38
C09J201/00
C09J133/00
C09J4/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198148
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳典
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F047
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA11
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5F131EC74
(57)【要約】
【課題】粘着テープに対して部品を仮固定した状態で、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与後に、部品をピックアップする際に用いられる粘着テープにおいて、この部品のピックアップを、優れた精度で実施することができる粘着テープを提供すること。
【解決手段】本発明の粘着テープは、基材と、粘着層とを備え、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられ、粘着層は、エネルギーの付与により、その粘着力が低下するものであり、粘着層に対するエネルギーの付与前において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層とを備え、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられる粘着テープであって、
前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂と、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂とを含有し、前記粘着層にエネルギーを付与して前記粘着層が硬化することにより、その粘着力が低下するものであり、
厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの前記粘着層からなる試験片を作製し、前記エネルギーの付与前に、該試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率は、30.0%以上65.0%以下であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記試験片において、前記状態を1分間保持したときに測定される応力は、3.0kPa以上50.0kPa以下である請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記試験片に対して前記エネルギーを付与した後において測定される、前記応力緩和率は、50.0%以上85.0%以下である請求項1または2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記試験片に対して前記エネルギーを付与した後に、前記試験片において、前記状態を1分間保持したときに測定される応力は、50.0kPa以上800.0kPa以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着層は、その厚さが5μm以上30μm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記ベース樹脂は、アクリル系樹脂である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記粘着層は、さらに、架橋剤を含有し、該架橋剤は、イソシアネート系架橋剤である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項9】
当該粘着テープは、前記粘着層上に、基板を固定した状態で、前記基板から前記基材の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、前記基板を個片化することで複数の部品を形成し、その後、当該粘着テープを面方向に伸長しつつ、前記部品を、前記基材側から突き上げた状態で、前記基材の反対側から引き抜くことで、前記粘着層から離脱させる際に用いられるものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項10】
当該粘着テープは、基板を厚さ方向に切断することにより得られた部品を、前記粘着層の前記基材と反対側の表面に接合することで、前記部品を仮固定した状態で、前記部品の移送と前記部品の保管とのうちの少なくとも一方を実施した後に、前記粘着層から前記部品を離脱させる際に用いられるものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項11】
当該粘着テープは、下記要件Aを満足する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
要件A:縦4mm×横4mm×厚さ200μmの大きさのシリコンチップを当該粘着テープに固定し、その後、25℃で7日間保管した後に、前記シリコンチップを600μm突き上げた状態で、当該粘着テープから前記シリコンチップをピックアップしたときに、前記シリコンチップのピックアップ成功率が95%以上であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板および部品を仮固定して用いられる粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。
【0003】
この半導体装置の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載の半導体基板加工用粘着テープ(ダイシングテープ)を半導体基板(半導体用ウエハ)に貼付し、半導体基板の外周部側をウエハリングで固定しながら、ダイシングソーを用いたダイシング工程で前記半導体基板を個々の半導体素子に切断分離(個片化)し、その後、エキスパンディング工程を施した後、個片化した半導体素子をピックアップするピックアップ工程を行う。
【0004】
次いで、個片化により得られた半導体素子を基板(例えばテープ基板、有機硬質基板等)に搭載するための搭載工程へ移行する。この搭載工程で、ピックアップされた半導体素子は、基板に搭載され、その後、基板と半導体素子との間にアンダーフィル材が充填されることにより、基板に接合される。そして、半導体素子と基板の上面側とを半導体封止材により封止することにより、半導体装置が製造される。
【0005】
ここで、この半導体装置の製造方法における、ピックアップ工程以降を、繰り返して実施することで、1つの半導体基板から、複数の半導体素子が取り出され、これにより、複数の半導体装置が製造される。また、個片化により得られた半導体素子を用いた搭載工程以降は、繰り返して実施されるため、複数の基板が用意され、工程の煩雑化が招かれる。これらの理由等により、得られた半導体素子を、移送させた後に、異なるラインや工場、すなわち、異なる場所において実施されることがある。
【0006】
そこで、搭載工程以降をより効率よく実施すること、さらには、異なる場所への移送を円滑に実施することを目的に、ピックアップ工程においてピックアップされた半導体素子を、半導体素子移送用粘着テープ(シッピングテープ)に再配置することを繰り返して実施し、得られた複数の半導体素子が再配置(貼付)された半導体素子移送用粘着テープを、異なるラインや工場すなわち異なる場所にまで移送し、その後、この半導体素子移送用粘着テープから、半導体素子をピックアップすること(ピックアップ工程)を行って、半導体装置が製造されることもある。
【0007】
以上のようにして実施される半導体装置の製造方法において、半導体基板加工用粘着テープ(ダイシングテープ)および半導体素子移送用粘着テープ(シッピングテープ)が粘着テープとして用いられ、これら粘着テープから、ともに半導体素子が各ピックアップ工程において、ピックアップされることとなる。
【0008】
これらのピックアップ工程において用いられる各粘着テープは、すなわち、半導体基板加工用粘着テープおよび半導体素子移送用粘着テープは、ともに、基材(フィルム基材)と、この基材上に形成された粘着層とを有するものであり、粘着層により半導体素子が固定される。また、半導体素子の移送後に半導体素子のピックアップが実現できるように、粘着層は、通常、粘着性を有するベース樹脂および光硬化性樹脂等を含有する樹脂組成物で構成されている。つまり、半導体素子のピックアップに先立って、粘着層にエネルギーを付与すると、樹脂組成物が硬化して粘着層の粘着性が低下し、そのため、ピックアップ工程において、半導体素子から粘着テープを容易に剥離させることができ、その結果、半導体素子のピックアップが実現できるようになっている。
【0009】
かかる構成をなす粘着テープでは、前述したピックアップ工程に先立って、粘着層にエネルギーを付与して粘着層の粘着力を低下させた後に、ピックアップ工程において、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等により、半導体素子をピックアップする必要があるが、この半導体素子のピックアップを優れた精度で実施することができず、ピックアップミスが生じているのが実情であった。
【0010】
また、このような問題は、半導体基板を厚さ方向に切断することにより得られた、部品としての半導体素子をピックアップする場合に限らず、複数の半導体素子が封止部により封止された半導体封止連結体を厚さ方向に切断することにより得られた、部品としての半導体封止体をピックアップする場合や、その他、ガラス基板、セラミック基板、樹脂材料基板および金属材料基板のような各種基板等を厚さ方向に切断することにより得られた部品をピックアップする場合等においても同様に生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、粘着テープに対して部品を仮固定した状態で、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与後に、部品をピックアップする際に用いられる粘着テープにおいて、この部品のピックアップを、優れた精度で実施することができる粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記(1)~(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層とを備え、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられる粘着テープであって、
前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂と、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂とを含有し、前記粘着層にエネルギーを付与して前記粘着層が硬化することにより、その粘着力が低下するものであり、
厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの前記粘着層からなる試験片を作製し、前記エネルギーの付与前に、該試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率は、30.0%以上65.0%以下であることを特徴とする粘着テープ。
【0014】
(2) 前記試験片において、前記状態を1分間保持したときに測定される応力は、3.0kPa以上50.0kPa以下である上記(1)に記載の粘着テープ。
【0015】
(3) 前記試験片に対して前記エネルギーを付与した後において測定される、前記応力緩和率は、50.0%以上85.0%以下である上記(1)または(2)に記載の粘着テープ。
【0016】
(4) 前記試験片に対して前記エネルギーを付与した後に、前記試験片において、前記状態を1分間保持したときに測定される応力は、50.0kPa以上800.0kPa以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0017】
(5) 前記粘着層は、その厚さが5μm以上30μm以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0018】
(6) 前記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0019】
(7) 前記ベース樹脂は、アクリル系樹脂である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0020】
(8) 前記粘着層は、さらに、架橋剤を含有し、該架橋剤は、イソシアネート系架橋剤である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0021】
(9) 当該粘着テープは、前記粘着層上に、基板を固定した状態で、前記基板から前記基材の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、前記基板を個片化することで複数の部品を形成し、その後、当該粘着テープを面方向に伸長しつつ、前記部品を、前記基材側から突き上げた状態で、前記基材の反対側から引き抜くことで、前記粘着層から離脱させる際に用いられるものである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0022】
(10) 当該粘着テープは、基板を厚さ方向に切断することにより得られた部品を、前記粘着層の前記基材と反対側の表面に接合することで、前記部品を仮固定した状態で、前記部品の移送と前記部品の保管とのうちの少なくとも一方を実施した後に、前記粘着層から前記部品を離脱させる際に用いられるものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0023】
(11) 当該粘着テープは、下記要件Aを満足する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0024】
要件A:縦4mm×横4mm×厚さ200μmの大きさのシリコンチップを当該粘着テープに固定し、その後、25℃で7日間保管した後に、前記シリコンチップを600μm突き上げた状態で、当該粘着テープから前記シリコンチップをピックアップしたときに、前記シリコンチップのピックアップ成功率が95%以上であること。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、粘着テープは、粘着層に対するエネルギーの付与前において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足している。そのため、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与後に、粘着テープに仮固定された部品をピックアップする際に、ピックアップミスが発生するのを的確に抑制または防止して、この部品のピックアップを、優れた精度で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の粘着テープを適用して製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。
【
図3】
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。
【
図4】
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。
【
図5】本発明の粘着テープを、半導体基板加工用粘着テープに適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。
【
図6】本発明の粘着テープを、半導体素子移送用粘着テープに適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の粘着テープについて詳細に説明する。
まず、本発明の粘着テープを説明するのに先立って、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
【0028】
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープを適用して製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
【0029】
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)17とを有している。
【0030】
半導体チップ20は、後述する半導体基板7を個片化することで得られるものであり、本実施形態では、その上面には回路が形成され、また、下面には端子21が形成されている。
【0031】
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
【0032】
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
【0033】
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
【0034】
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
【0035】
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
【0036】
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0037】
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
【0038】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、端子21は、半導体チップ20に形成されている面側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
【0039】
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材が充填され、このアンダーフィル材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
【0040】
さらに、インターポーザー30の上側には、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように形成されたモールド部17が半導体封止材料の硬化物で構成されており、これにより、半導体装置10内において半導体チップ20が封止され、半導体チップ20に対する異物や水分等の浸入が防止される。
【0041】
かかる構成の半導体装置10は、例えば、半導体基板加工用粘着テープ(本発明の粘着テープ;ダイシングテープ)と、半導体素子移送用粘着テープ(本発明の粘着テープ;シッピングテープ)とを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
【0042】
<半導体装置の製造方法>
図2~
図4は、
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図、
図5は、本発明の粘着テープを、半導体基板加工用粘着テープに適用した場合の実施形態を示す縦断面図、
図6は、本発明の粘着テープを、半導体素子移送用粘着テープに適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、
図2~
図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。さらに、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
【0043】
[1A]まず、基材4と、基材4の上面に積層された粘着層2とを有する積層体により構成された半導体基板加工用粘着テープ100(以下、単に「加工用粘着テープ100」ということもある。)を用意する(
図2(a)、
図5参照。)。
【0044】
[2A]次に、
図2(b)に示すように、加工用粘着テープ100の中心部122に半導体基板7を、粘着層2の上に置き、軽く押圧することで、加工用粘着テープ100に半導体基板7(半導体用ウエハ)を積層(貼付)する(貼付工程)。
【0045】
その後、図示しないダイサーテーブルの上に、半導体基板7が貼付された加工用粘着テープ100を設置する。
【0046】
なお、半導体基板7には、その上面に個片化することで形成される半導体チップ20が備える回路が予め形成され、また、下面には端子21が予め形成されており、半導体基板7は、回路が形成されている側の上面を粘着層2側にして加工用粘着テープ100に貼付されている。そのため、粘着層2には、半導体基板7の回路が形成されている側の上面、すなわち回路に基づく凹凸が形成されている凹凸面が接合される。また、半導体基板7としては、通常、その直径が6インチ以上12インチ以下程度、その厚さが100μm以上600μm以下程度のものが用いられる。
【0047】
[3A]次に、粘着層2の外周部121(縁部)を、円筒状をなすウエハリング9で固定し、その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて半導体基板7を切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化することで、加工用粘着テープ100上に部品としての半導体チップ20が複数得られる(個片化工程;
図2(c)参照。)。
【0048】
この際、加工用粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、半導体基板7を切断する際の割れ、欠け等を防止する。
【0049】
また、ブレードを用いた半導体基板7の切断は、
図2(c)に示すように、基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施される。これにより、半導体基板の個片化を確実に実施することができる。
【0050】
なお、この際、半導体基板7の切断時に生じる粉塵が飛散するのを防止すること、さらには、半導体基板7が不必要に加熱されるのを抑制することを目的に、通常、半導体基板7には切削水を供給しつつ、半導体基板7が切断される。
【0051】
また、ウエハリング9としては、一般的に、その厚さが1.0mm以上1.5mm以下程度のものが用いられる。
【0052】
[4A]次に、加工用粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性を低下させる(エネルギー付与工程)。
これにより、粘着層2と半導体基板7との間で剥離が生じる状態とする。
【0053】
粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着層2にエネルギー線を照射する方法、粘着層2を加熱する方法等が挙げられるが、中でも、粘着層2にエネルギー線を加工用粘着テープ100の基材4側から照射する方法を用いるのが好ましい。
【0054】
かかる方法は、半導体チップ20が不要な熱履歴を経る必要がなく、また、粘着層2に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
【0055】
また、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、特に、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線によれば、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性を効率よく低下させることができる。
【0056】
なお、粘着層2に対するエネルギーの付与は、本工程[4A]のように、次工程[5A](エキスパンディング工程)に先立って実施する場合の他、次工程[5A]に示す、ピックアップ工程に先立って施されるエキスパンディング工程の後に実施することも可能である。
【0057】
[5A]次に、加工用粘着テープ100を図示しないエキスパンド装置で放射状に伸ばして、個片化した半導体基板7(半導体チップ20)を一定の間隔に開き(エキスパンディング工程;
図2(d)参照。)、その後、この半導体チップ20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程;
図2(e)参照。)。
【0058】
この本工程[5A]において、用いられる加工用粘着テープ100として、本発明の粘着テープが適用されたものが用いられる。すなわち、本工程[5A]において、部品としての半導体チップ20をピックアップする際に、加工用粘着テープ100として、粘着層2に対するエネルギーの付与前において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層2からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足しているものが用いられる。
【0059】
このように、前記試験片における前記応力緩和率が30.0%以上65.0%以下である粘着層2を備える加工用粘着テープ100が用いられるため、粘着層2に対するエネルギーの付与後に、本工程[5A]において、半導体チップ20を、ピックアップする際に、ピックアップミスが発生するのを的確に抑制または防止して、この半導体チップ20のピックアップを、優れた精度で実施することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
【0060】
[6A]次に、基材204と、基材204の上面に積層された粘着層202とを有する積層体により構成された半導体素子移送用粘着テープ200(以下、単に「移送用粘着テープ200」と言うこともある。)を用意し(
図6参照)、この移送用粘着テープ200の外周部にウエハリング9を固定した後に、
図3(a)に示すように、図示しないテーブルの上に設置し、その後、半導体チップ20の回路が形成されていない側の面を、粘着層202の上に配置し、軽く押圧することで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を積層(貼付)する(貼付工程)。
【0061】
この移送用粘着テープ200への半導体チップ20の貼付を、複数回、繰り返して実施することで、半導体基板7を個片化することにより得られた複数の半導体チップ20を、移送用粘着テープ200に再配置する。
【0062】
そして、この状態を維持したまま、半導体チップ20を、異なる場所に位置する次工程[7A]以降が実施される異なるラインまたは工場にまで移送させる。また、移送の前後には、この状態を維持したまま、半導体チップ20を保管するようにしてもよい。
【0063】
なお、半導体チップ20を、異なる場所に移送させる際、または、保管する際には、移送用粘着テープ200に固定されたウエハリング9の移送用粘着テープ200の反対側に、保護用粘着テープを貼付することで、再配置した半導体チップ20を、移送用粘着テープ200とウエハリング9と保護用粘着テープとで画成された密閉空間内に収納するようにしてもよい。
【0064】
[7A]次に、移送用粘着テープ200が備える粘着層202にエネルギーを付与することで、粘着層202の半導体チップ20に対する粘着性を低下させる(エネルギー付与工程)。
これにより、粘着層202と半導体チップ20との間で剥離が生じる状態とする。
【0065】
この粘着層202にエネルギーを付与する方法としては、前記工程[4A]において、加工用粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与として挙げたのと同様の方法を用いることができる。
【0066】
[8A]次に、移送用粘着テープ200上の半導体チップ20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、
図3(b)に示すように、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程)。
【0067】
この本工程[8A]において、用いられる移送用粘着テープ200として、本発明の粘着テープが適用されたものが用いられる。すなわち、本工程[8A]において、部品としての半導体チップ20をピックアップする際に、移送用粘着テープ200として、粘着層202に対するエネルギーの付与前において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層202からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足しているものが用いられる。
【0068】
このように、前記試験片における前記応力緩和率が30.0%以上65.0%以下である粘着層202を備える移送用粘着テープ200が用いられるため、粘着層202に対するエネルギーの付与後に、本工程[8A]において、半導体チップ20を、ピックアップする際に、ピックアップミスが発生するのを的確に抑制または防止して、この半導体チップ20のピックアップを、優れた精度で実施することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
【0069】
[9A]次に、ピックアップした半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットから実装用プローブ等に受け渡して上下反転させた後、
図4(a)に示すように、この半導体チップ20が備える端子21と、インターポーザー30が備える端子41とを、端子41上に設けられた半田バンプ85を介して対向させて、インターポーザー30上に載置する。すなわち、半導体チップ20の加工用粘着テープ100と接触していた面を上側にして、半導体チップ(半導体素子)20をインターポーザー(基板)30上に載置する。
【0070】
[10A]次に、
図4(b)に示すように、端子21と端子41との間に介在した半田バンプ85を加熱しつつ、インターポーザー30と半導体チップ20とを接近させる。
【0071】
これにより、溶融した半田バンプ85が端子21および端子41の双方に接触し、この状態で、冷却することで、接続部81が形成され、その結果、接続部81を介して、端子21と端子41とが電気的に接続される(搭載工程;
図4(c)参照。)。
【0072】
[11A]次に、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に形成された間隙に、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材(封止材)を充填し、その後、このアンダーフィル材を硬化させることにより、アンダーフィル材の硬化物で構成された封止層80を形成する(封止層形成工程;
図4(d)参照。)。
【0073】
[12A]次に、インターポーザー30の上側に、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように、モールド部17を形成することで、半導体チップ20をインターポーザー30とモールド部17とで封止するとともに、インターポーザー30が備えるビアを介して端子41の一部に電気的に接続された、バンプ70をインターポーザー30の下側から突出するように形成する(
図4(e)参照。)。
【0074】
ここで、モールド部17による封止は、例えば、形成すべきモールド部17の形状に対応した内部空間を備える成形型を用意し、この内部空間内に配置された半導体チップ20とインターポーザー30とを覆うように、粉末状をなす半導体封止材料を内部空間に充填する。そして、この状態で、半導体封止材料を加熱することにより硬化させて、半導体封止材料の硬化物とすることにより行われる。
【0075】
以上のような工程を有する半導体装置の製造方法により、半導体装置10が得られる。より詳しくは、前記工程[1A]~[12A]を実施した後に、前記工程[8A]~[11A]を繰り返して実施することで、1つの半導体基板7から複数の半導体装置10を一括して製造することができる。
【0076】
また、このような半導体装置10の製造方法に用いられる半導体基板加工用粘着テープ100および半導体素子移送用粘着テープ200に、本発明の粘着テープが適用され、これにより、前記工程[5A]および前記工程[8A]における半導体チップ20のピックアップを優れた精度で実施し得るが、以下、これら半導体基板加工用粘着テープ100および半導体素子移送用粘着テープ200に適用される、本発明の粘着テープについて説明する。
【0077】
<本発明の粘着テープ)>
本発明の粘着テープは、樹脂材料を含有するシート状をなす基材と、この基材の上面(一方の面)に積層された粘着層とを備える積層体により構成され、半導体基板7(基板)および半導体チップ20(部品)のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられるものであり、前述したように、粘着層は、粘着性を有するベース樹脂と、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂とを含有し、前記粘着層にエネルギーを付与して前記粘着層が硬化することにより、その粘着力が低下するものであり、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの前記粘着層からなる試験片を作製し、前記エネルギーの付与前に、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足するものである。
【0078】
ここで、前記工程[5A]における、加工用粘着テープ100からの半導体チップ20のピックアップ、および、前記工程[8A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップは、それぞれ、例えば、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等により実施されるが、前記背景技術で説明した通り、この半導体チップ20のピックアップを、優れた精度で実施することができず、ピックアップミスが生じると言う問題であった。
【0079】
かかる問題点について、本発明者は、鋭意検討を行った結果、この半導体チップ20のピックアップミスの発生が、加工用粘着テープ100および移送用粘着テープ200において、半導体チップ20が設計(想定)した位置から位置ズレするチップシフトに起因することが判明した。
【0080】
また、このチップシフトは、加工用粘着テープ100では、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップ工程に先立って実施される、加工用粘着テープ100を、放射状に伸ばすエキスパンディング工程において発生し、また、移送用粘着テープ200では、前記工程[8A]における半導体チップ20のピックアップ工程に先立つ、半導体チップ20の移送・保管の際に発生することが判ってきた。すなわち、加工用粘着テープ100では、加工用粘着テープ100が放射状に伸ばされる物理的作用が加わり、移送用粘着テープ200では、移送用粘着テープ200が移送・保管される時間的作用が加わることで、各粘着テープ100、200において、半導体チップ20のチップシフトが生じることが判ってきた。
【0081】
そして、本発明者のさらなる検討により、これら加工用粘着テープ100が放射状に伸ばされる物理的作用、および、移送用粘着テープ200が移送・保管される時間的作用が加わることに起因する半導体チップ20のチップシフトは、エネルギー付与前の粘着層2、202を伸長した後に測定される応力緩和率の大きさに関連していることを発見し、この応力緩和率の大きさを、具体的には、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層2、202からなる試験片を作製し、エネルギーの付与前に、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下を満足するものとすることで、半導体チップ20のチップシフトの発生を的確に抑制または防止して、半導体チップ20のピックアップを、優れた精度で実施し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0082】
以下、このような本発明の粘着テープが有する、基材および粘着層について、詳述する。
<基材>
基材は、主として樹脂材料から成り、シート状をなしており、この基材上に設けられた粘着層を支持する機能を有している。また、本発明の粘着テープを加工用粘着テープ100に適用した際には、前記工程[5A]において、加工用粘着テープ100を面方向に対して伸長(エキスパンディング)する際に、その伸長を実現させるためのものである。さらに、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル等により突き上げた状態としてピックアップする際に、ニードル等による突き上げを、基材ひいては粘着テープにおける破断の発生を防止しつつ、実現させるためのものである。さらに、本発明の粘着テープを移送用粘着テープ200に適用した際には、前記工程[8A]において、再配置された半導体チップ20をニードル等により突き上げた状態としてピックアップする際に、ニードル等による突き上げを、基材ひいては粘着テープにおける破断の発生を防止しつつ、実現させるためのものである。
【0083】
かかる樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのようなポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。
【0084】
これらの樹脂材料を主材料として構成される基材は、粘着層を支持するのに十分な強度を発揮する。そのため、これらの樹脂材料は、基材を構成する主材料として好ましく用いられる。
【0085】
特に、樹脂材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂およびポリスチレン系樹脂、または、これらの混合物を用いることが好ましい。これらの樹脂は、入手が容易であり比較的安価であること、さらに、これらの樹脂を主材料として構成される基材は、前記機能を顕著に発揮することから、特に、樹脂材料として好ましく用いられる。
【0086】
かかるオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリレート共重合体(EMAA)や、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体またはカリウムイオン架橋体としてのエチレン系アイオノマー等のアイオノマーのようなエチレン共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
また、ポリ塩化ビニル系樹脂は、-CH2-CHCl-で表される基を繰り返し単位として、複数有するポリマーであり、具体的には、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体(重合性モノマー)との共重合体が挙げられ、また、後塩素化塩化ビニル重合体も含まれ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、単独重合体を用いるのが一般的である。
【0088】
なお、塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体との共重合体としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-アクリル共重合体等が挙げられる。
【0089】
さらに、ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリクロロスチレン、ポリ(m-プロピルスチレン)、高耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、スチレン-メタアクリル酸共重合体、スチレン-メタアクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレン-メタアクリル酸・グリシジルエステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-フマル酸共重合体の他、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体のようなスチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
また、基材は、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記工程[5A]または前記工程[8A]におけるピックアップ時に、半導体チップ20での静電気の発生を的確に抑制または防止することができる。
【0091】
このように、基材が導電性材料を含有する場合、基材の粘着層と反対側の表面における表面抵抗率は、1.0×1013(Ω/□)以下に設定されていることが好ましく、1.0×1011(Ω/□)以下に設定されていることがより好ましい。これにより、前記工程[5A]または前記工程[8A]におけるピックアップ時に、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
【0092】
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
これらのうち界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0094】
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエーテルとポリオレフィンブロックポリマー系列、ポリエステルアミド系列、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン系列等の全てのIDPを用いることができる。
【0095】
また、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
【0096】
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
【0097】
さらに、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
【0098】
これらの中でも、導電性材料としては、永久帯電防止高分子(IDP)であることが好ましい。永久帯電防止高分子(IDP)は、抵抗率の温度依存性が小さいものであることから、前記工程[5A]または前記工程[8A]におけるピックアップ時に、半導体チップ20をピックアップする際に、基材が加熱されたとしても、その表面抵抗値の変化量を小さくすることができる。
【0099】
なお、導電性材料として、導電性高分子、永久帯電防止高分子(IDP)のような高分子材料を用いた場合、基材中における配向度を調整することによっても、基材の他方の面側の表面抵抗率の大きさを調整することができる。すなわち、基材を形成する際のMDまたはTDの延伸倍率を適宜調整することにより、基材の他方の面側の表面抵抗率の大きさを、調整することができる。
【0100】
また、基材に導電性材料を含有させることなく、前記半導体チップ20における静電気の発生を防止する場合には、導電性材料を含有する帯電防止層を、粘着層と反対側の表面に形成してもよい。これにより、基材に導電性材料を含有させた場合と同様の効果を得ることができる。
【0101】
さらに、基材は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
【0102】
また、基材が主材料としての樹脂材料以外の構成材料を含む場合、基材における前記樹脂材料の含有量は、50重量%以上95重量%以下であることが好ましく、65重量%以上90重量%以下であることがより好ましい。樹脂材料の含有量を前記範囲内に設定することにより、前述した基材としての機能を確実に発揮させることができる。
【0103】
基材の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、例えば、30μm以上160μm以下であるのが好ましく、80μm以上120μm以下であるのがより好ましい。基材の平均厚さがこの範囲内であることにより、粘着層を介して固定される部品としての半導体チップ20を確実に支持することができる。
【0104】
さらに、基材は、その表面に、粘着層に含まれる構成材料と反応性を有する、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していることが好ましい。
【0105】
また、基材は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
【0106】
<粘着層>
粘着層は、本発明の粘着テープを加工用粘着テープ100に適用した際には、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[4A]において、粘着層にエネルギーを付与して粘着層2が硬化することにより、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20を、前記工程[5A]において、ピックアップし得る程度の粘着性を有するものである。また、本発明の粘着テープを移送用粘着テープ200に適用した際には、前記工程[8A]に先立った半導体チップ20の移送または保管において、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[7A]において、粘着層にエネルギーを付与して粘着層202が硬化することにより、移送用粘着テープ200に再配置された半導体チップ20を、前記工程[8A]において、ピックアップし得る程度の粘着性を有するものである。
【0107】
このような粘着層は、(1)粘着性を有するベース樹脂と、(2)粘着層を硬化させる硬化性樹脂と、を主材料として含有する樹脂組成物で構成される。
【0108】
そして、本発明では、粘着層に対するエネルギーの付与前において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足し得るように、粘着層を構成する樹脂組成物に含まれる各成分(構成材料)の種類および含有量等が設定される。
【0109】
以下、この樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、説明する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、半導体基板7に対する粘着性を粘着層に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。
【0110】
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。ベース樹脂としてアクリル系樹脂を用いることにより、粘着層の25℃におけるタック力T1の大きさ、および本発明の粘着テープの前記引き剥がし強度A1の大きさを、それぞれ、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。また、アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、かかる観点からも、ベース樹脂として好ましく用いられる。なお、アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするもののことを言う。
【0111】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。また、ベース樹脂として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことにより、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0112】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
【0113】
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むものが用いられる。
【0114】
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0115】
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0116】
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
【0117】
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
【0118】
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0119】
また、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
【0120】
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
【0121】
また、アクリル系樹脂は、半導体チップ20を、粘着層からピックアップさせる際に、アクリル系樹脂を半導体チップ20に残存させないという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万~500万に設定され、より好ましくは50万~500万に設定され、さらに好ましくは80万~300万に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、前記下限値未満であると、半導体チップ20に対する汚染防止性が低下し、半導体チップ20をピックアップさせた際に糊残りが生じるおそれがある。
【0122】
さらに、アクリル系樹脂(ベース樹脂)は、そのガラス転移点が、好ましくは-70℃以上-50℃以下、より好ましくは-65℃以上-55℃以下であるものが用いられる。ベース樹脂として、かかる範囲内のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を用いることにより、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0123】
なお、アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基やカルボキシル基のような、架橋剤に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤がポリマー成分であるアクリル樹脂に連結するため、粘着層からこれら架橋剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。
【0124】
(2)硬化性樹脂
硬化性樹脂は、例えば、エネルギー線の照射により硬化する硬化性を備えるものである。この硬化によってベース樹脂が硬化性樹脂の架橋構造に取り込まれた結果、粘着層の粘着力が低下する。
【0125】
このような硬化性樹脂としては、例えば、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素-炭素二重結合を、官能基として少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、エステルアクリレートオリゴマー、2-プロペニル-ジ-3-ブテニルシアヌレート等の炭素-炭素二重結合含有基を有しているシアヌレート系化合物、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、2-ヒドロキシエチル ビス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2-アクリロキシエチル)2-[(5-アクリロキシヘキシル)-オキシ]エチルイソシアヌレート、トリス(1,3-ジアクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(1-アクリロキシエチル-3-メタクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(4-アクリロキシ-n-ブチル)イソシアヌレートのような炭素-炭素二重結合含有基を有しているイソシアヌレート系化合物、市販のオリゴエステルアクリレート、芳香族系、脂肪族系等のウレタンアクリレート、ビスフェノールA系のエポキシアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種が含まれることが好ましい。これにより、エネルギーの付与、すなわちエネルギー線の照射により硬化性樹脂をより確実に硬化させることができる。また、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0126】
また、硬化性樹脂には、特に限定されないが、重量平均分子量の異なる2つ以上の硬化性樹脂が混合されているのが好ましい。このような硬化性樹脂を利用すれば、エネルギー線照射による樹脂の架橋度を容易に制御することができる。また、このような硬化性樹脂として、例えば、第1の硬化性樹脂と、第1の硬化性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の硬化性樹脂との混合物等が用いられてもよい。
【0127】
硬化性樹脂を、第1の硬化性樹脂と、第2の硬化性樹脂との混合物とする場合、第1の硬化性樹脂の重量平均分子量は、100~1000程度であることが好ましく、200~500程度であることがより好ましい。また、第2の硬化性樹脂の重量平均分子量は、1000~30000程度であることが好ましく、1000~10000程度であることがより好ましく、2000~5000程度であることがさらに好ましい。さらに、第1の硬化性樹脂の官能基数は、1~5官能基であることが好ましく、第2の硬化性樹脂の官能基数は、6官能基以上であることが好ましい。かかる関係を満足することにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
【0128】
硬化性樹脂は、ベース樹脂100重量部に対して30重量部以上200重量部以下で配合されることが好ましく、50重量部以上140重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、樹脂組成物中に、硬化性樹脂およびベース樹脂を、それぞれ添加することにより発揮される機能を、硬化性樹脂とベース樹脂との双方に確実に発揮させることができる。
【0129】
なお、この硬化性樹脂は、前述したアクリル系樹脂として、二重結合導入型アクリル系樹脂を用いた場合、すなわち、炭素-炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているものを用いた場合には、その樹脂組成物中への添加を省略するようにしてもよい。これは、アクリル系樹脂が二重結合導入型アクリル系樹脂である場合には、エネルギー線の照射により、二重結合導入型アクリル系樹脂が備える炭素-炭素二重結合の機能によって、粘着層が硬化し、これにより、粘着層の粘着力が低下することによる。
【0130】
(3)光重合開始剤
また、粘着層は、エネルギー線の照射により半導体基板7に対する粘着性が低下するものであるが、エネルギー線として紫外線等を用いる場合には、粘着層を構成する樹脂組成物には、硬化性樹脂の重合開始を容易とするために光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0131】
光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ミヒラーズケトン、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾイン、ジベンジル、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン、2-ナフタレンスルホニルクロリド、1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、o-アクリルオキシベンゾフェノン、p-アクリルオキシベンゾフェノン、o-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2-エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8-オクタンジオールモノ(メタ)アクリラートのようなアクリラートのベンゾフェノン-4-カルボン酸エステル、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、β-クロールアンスラキノン、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ポリビニルベンゾフェノン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0132】
光重合開始剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上10重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように光重合開始剤の配合量を調整することによって、樹脂組成物中に、光重合開始剤を添加することにより発揮される機能を、光重合開始剤に確実に発揮させることができる。
【0133】
(4)架橋剤
さらに、粘着層を構成する樹脂組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、粘着層を適度な硬さを有するものに調整することができる。また、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0134】
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤を用いることで、前記応力緩和率の大きさを、より容易に前記範囲内に設定することができる。
【0135】
イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物の三量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0136】
また、多価イソシアネートとして、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-〔2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも2,4-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから成る群より選択される少なくとも1種の多価イソシアネートが好ましい。
【0137】
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上30重量部以下で配合されることが好ましく、0.1重量部以上20重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することで、樹脂組成物中に、架橋剤を添加することにより発揮される機能を、架橋剤に確実に発揮させることができる。
【0138】
(5)可塑剤
可塑剤は、粘着力がエネルギーの付与により低下する粘着層2において、その柔軟性を向上させることで、その結果として、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定し得ることから、粘着層、すなわち、樹脂組成物中に含まれることが好ましい。
【0139】
この可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ-2-エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ-2-エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0140】
粘着層すなわち樹脂組成物中における可塑剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上2.0重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、粘着層の柔軟性を確実に向上させることができる。したがって、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0141】
(6)導電性材料(帯電防止剤)
さらに、粘着層を構成する樹脂組成物には、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記ピックアップ工程[8A]における、半導体チップ20での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
【0142】
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、前記基材に含まれる導電性材料として説明したのと、同様のものを用いることができる。
【0143】
なお、基材および粘着層のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体チップ20に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
【0144】
(7)その他の成分
さらに、粘着層を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(6)の他の成分として、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
【0145】
なお、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0146】
以上のような、粘着層に含まれる、成分(1)、(2)を必須成分とする各成分(1)~(7)の種類、および含有量を適宜選択することにより、本発明の粘着テープを加工用粘着テープ100に適用した際には、粘着層2を、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[4A]において、粘着層2にエネルギーを付与して粘着層2を硬化させることで、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20を、前記工程[5A]において、ピックアップし得る程度の粘着性を有するものとし得る。本発明の粘着テープを移送用粘着テープ200に適用した際には、粘着層2を、前記工程[7A]に先立った、半導体チップ20の移送・保管の際に、半導体チップ20を粘着して支持し、かつ、前記工程[7A]において、粘着層2にエネルギーを付与して粘着層2を硬化させることで、半導体チップ20を、前記工程[8A]において、ピックアップし得る程度の粘着性を有するものとし得る。そして、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、前記範囲内に設定することができる。
【0147】
以上のような構成をなす粘着層は、前述の通り、粘着層に対するエネルギーの付与前において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足していれば良いが、30.0%以上60.0%以下であることが好ましく、35.0%以上58.0%以下であることがより好ましい。
【0148】
なお、本発明において、エネルギーの付与前の粘着層における、前記応力緩和率は、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片に対し、25℃の雰囲気下で、チャック間距離10mm、引張速度10mm/分で引張試験を実施し、長さ方向における延伸率が30%に達した時の応力(S1)を測定し、次いで、延伸率30%を保持したまま1分後の応力(S2)を測定する。そして、得られた応力(S1)および応力(S2)を用いて、下記式(1)により算出される。
【0149】
応力緩和率 = (S1-S2)/S1×100 (%) … (1)
【0150】
また、エネルギーの付与前の粘着層における、前記応力緩和率の大きさが、前記範囲内に設定されることにより、本発明の粘着テープを加工用粘着テープ100に適用した際には、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップ工程に先立って実施される、加工用粘着テープ100を、放射状に伸ばすエキスパンディング工程において、また、本発明の粘着テープを移送用粘着テープ200に適用した際には、前記工程[8A]における半導体チップ20のピックアップ工程に先立つ、半導体チップ20の移送・保管の時において、半導体チップ20が設計(想定)した位置から位置ズレするチップシフトの発生をより的確に抑制または防止することができる。そのため、前記工程[5A]および前記工程[8A]における半導体チップ20のピックアップを優れた精度で実施することができる。
【0151】
さらに、本実施形態では、半導体基板7の上面は、回路が設けられていることに基づく凹凸が形成されている。すなわち、半導体基板7の上面は、凹凸面で構成されている。このときに、前記応力緩和率の大きさが、前記範囲内に設定されることで、前記工程[2A]において、加工用粘着テープ100に、半導体基板7の上面を粘着層2側として、半導体基板7を積層する際に、この凹凸に対して追従させた粘着層2が時間の経過とともに平坦な元の形状に戻るのを的確に抑制または防止することができる。換言すれば、前記工程[2A]における、半導体基板7の上面を粘着層2側とした、加工用粘着テープ100に対する半導体基板7の積層により、半導体基板7の上面(凹凸面)の凹凸に対する粘着層2の追従を、優れた追従性をもって、長時間に亘って維持することができる。これにより、粘着層2すなわち加工用粘着テープ100から位置ズレすることなく、加工用粘着テープ100を保持することができる。そのため、かかる観点からも、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップを優れた精度で実施することができる。
【0152】
また、前記工程[2A]における、半導体基板7の上面(凹凸面)の凹凸に対する粘着層2の追従性の程度は、以下のように設定されていることが好ましい。すなわち、高さ8μm、幅50μm、ピッチ30μmの大きさで縦横に格子状をなして設けられた突起物(凸部)を表面に複数備えるシリコンウエハを用意し、突起物が上側になるようにこのシリコンウエハをステージ上に配置した後に、シリコンウエハの表面に、加工用粘着テープ100を、25℃にステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで貼付し、その後、1分間放置した際の粘着層2の突起物に対する追従率(%)は、70%以上であることが好ましく、80%以上95%以下であることがより好ましい。前記追従率(%)が前記下限値以上であることで、半導体基板7の表面(上面)が備える凹凸に対して粘着層2が、長時間に亘って、優れた追従性をもって追従し得るものであると言うことができる。そのため、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップを優れた精度で実施することができる。なお、前記追従率が前記下限値未満であると、半導体チップ20の位置ズレが生じることに起因して、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップ率が低下したり、前記工程[3A]における半導体基板7の個片化時に、個片化により得られた半導体チップ20の表面(凹凸面)に切削水が接触することに起因する、前記表面の汚染が生じるおそれがある。また、前記追従率が前記上限値を超えると、半導体チップ20が粘着層2に対して強固に固定されることに起因して、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップ率が低下するおそれがある。
【0153】
また、このエネルギーの付与前の試験片において、長さ方向に対して延伸率が30%の大きさになるまで伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力、すなわち、延伸率30%を保持したまま1分後の前記応力(S2)は、3.0kPa以上50.0kPa以下であることが好ましく、5.0kPa以上20.0kPa以下であることがより好ましい。このように、前記応力(S2)が前記範囲内に設定されている、比較的柔軟性に優れたエネルギー付与前の粘着層2において、その応力緩和率が前記範囲内に設定されることで、前記工程[5A]および前記工程[8A]における半導体チップ20のピックアップをより優れた精度で実施することができる。
【0154】
さらに、粘着層は、粘着層に対するエネルギーの付与後において、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片を作製し、この試験片を25℃でチャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で長さ方向に延伸率が30%の大きさになるまで伸長し、その後、この伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力緩和率が50.0%以上85.0%以下であることが好ましく、70.0%以上82.0%以下であることがより好ましい。
【0155】
なお、エネルギーの付与後の粘着層における、前記応力緩和率は、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層からなる試験片に対する、紫外線照度:55W/cm2、紫外線照射量:1000mj/cm2の条件で紫外線を照射するエネルギーの付与後において、この試験片を25℃の雰囲気下で、チャック間距離10mm、引張速度10mm/分で引張試験を実施し、長さ方向における延伸率が30%に達した時の応力(S3)を測定し、次いで、延伸率30%を保持したまま1分後の応力(S4)を測定する。そして、得られた応力(S3)および応力(S4)を用いて、下記式(2)により算出される。
【0156】
応力緩和率 = (S3-S4)/S3×100 (%) … (2)
【0157】
また、エネルギーの付与後の粘着層における、前記応力緩和率の大きさが、前記範囲内に設定されることにより、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップを、長時間経過した後に実施する場合においても、半導体基板7の上面(凹凸面)の凹凸に対する粘着層2の追従率が不本意に高くなり過ぎること、すなわち、粘着層2が凹凸に対して必要以上に馴染み過ぎるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、前記工程[5A]における、半導体チップ20のピックアップを、優れた精度で実施することができる。
【0158】
また、このエネルギーの付与後の試験片において、長さ方向に対して延伸率30%の大きさにまで伸長した状態を1分間保持したときに測定される応力、すなわち、延伸率30%を保持したまま1分後の前記応力(S4)は、50.0kPa以上800.0kPa以下であることが好ましく、100.0kPa以上250.0kPa以下であることがより好ましい。このように、前記応力(S4)が前記範囲内に設定されている、比較的剛直性に優れたエネルギー付与後の粘着層2において、その応力緩和率が前記範囲内に設定されることで、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップをより優れた精度で実施することができる。
【0159】
また、前記工程[5A]および前記工程[8A]における部品としての半導体チップ20のピックアップの程度は、例えば、縦4mm×横4mm×厚さ200μmの大きさのシリコンチップを、本発明の粘着テープに固定し、その後、25℃で7日間保管した後に、このシリコンチップを600μm突き上げた状態で、粘着テープからシリコンチップをピックアップしたときに、シリコンチップのピックアップ成功率が95%以上であることが好ましく、100%であることがより好ましい。これにより、半導体チップ20のピックアップが優れた精度で実施されていると言うことができる。なお、前記ピックアップ成功率は、50個の前記シリコンチップについて、シリコンチップのピックアップを実施し、そのうちピックアップが成功したシリコンチップの数をカウントしておき、このカウントされたシリコンチップの数すなわちピックアップに成功したシリコンチップの数の比率を求めることで算出される。
【0160】
また、粘着層の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上50μm以下であるのが好ましく、10μm以上30μm以下であるのがより好ましい。粘着層の平均厚さをかかる範囲内とすることで、前述した粘着層としての機能を確実に発揮させることができる。すなわち、粘着層で構成された前記試験片に基づく、前記応力緩和率の大きさを、前記範囲内に設定することにより得られる効果を、確実に発揮させることができる。
【0161】
なお、粘着層は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
【0162】
また、基材に粘着層が積層された構成をなしている本発明の粘着テープにおいて、この本発明の粘着テープを平面視で見たとき、基材と粘着層との界面に形成されている気泡は、面積が100μm2以上のものの数が、15.0個/mm2以下であることが好ましく、0.01個/mm2以上7.0個/mm2以下であることがより好ましく、0.1個/mm2以上2.0個/mm2以下であることがさらに好ましい。基材と粘着層との界面に形成されている気泡の数をコントロールして、面積が100μm2以上のものの数を上記のように設定することで、前記工程[5A]および前記工程[8A]において、半導体チップ20をピックアップして、半導体チップ20から粘着テープ100、200を剥離させる際に、半導体チップ20に糊残りが生じるのをより的確に抑制または防止することができる。
【0163】
なお、本発明の粘着テープは、
図1に示すフリップ・チップ・ボール・グリッド・アレイ(FCBGA)タイプの半導体装置10の製造に適用できる他、例えば、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子の製造、コンタクト・イメージ・センサ(CIS)等のイメージセンサーの製造に適用することができる。
【0164】
さらに、本実施形態では、本発明の粘着テープに貼付された半導体基板7(半導体ウエハ)を厚さ方向に切断することにより得られた、部品としての半導体チップ20を、ピックアップし、その後に、異なる本発明の粘着テープに再配置(移載)して移送または保管した後に、再度、半導体チップ20をピックアップする場合について説明したが、かかる場合に限定されず、複数の半導体素子が封止部により封止された半導体封止連結体を基板として厚さ方向に切断することにより得られた、部品としての半導体封止体をピックアップする場合や、その他、半導体基板7(半導体ウエハ)に代えて、ガラス基板、セラミック基板、樹脂材料基板および金属材料基板のような各種基板を用いた場合にも、同様にして適用することができる。なお、基板としての半導体封止連結体を厚さ方向に切断することにより得られた部品としての半導体封止体をピックアップする際に、本発明の粘着テープを用いる場合、半導体封止連結体が備える半導体素子(半導体チップ)の表面に回路が設けられることによる凹凸が形成されており、この凹凸が形成された表面が、本発明の粘着テープが備える粘着層に接合されるように、半導体封止連結体に本発明の粘着テープが貼付される構成とすることで、本発明の粘着テープを用いることにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
【0165】
以上、本発明の粘着テープについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0166】
例えば、本発明の粘着テープが有する各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成されるものの他、複数の層で構成されるものであってもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えるものであってもよい。
【0167】
また、本発明の粘着テープが有する各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
【実施例0168】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0169】
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の粘着テープの製造に用いた原材料を以下に示す。
【0170】
(ポリオレフィン系樹脂1)
ポリオレフィン系樹脂1として、低密度ポリエチレン(LDPE、住友化学社製、「スミカセンF200-0」、比重:0.92g/cm3)を用意した。
【0171】
(帯電防止剤1)
帯電防止剤1として、ポリエーテル系帯電防止剤(三洋化成工業社製、「ペレクトロンPVL」)を用意した。
【0172】
(ベース樹脂1~2)
ベース樹脂1~2として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、N,N-ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニルのうちの少なくとも2種を混合し、常法によりトルエン溶媒中にて溶液重合させて生成されたアクリル共重合体を用意した。
【0173】
なお、ベース樹脂(アクリル共重合体)1~2におけるガラス転移点および重量平均分子量は、以下に示す通りであった。
【0174】
ベース樹脂1(ガラス転移点:-37℃、重量平均分子量:60万)
ベース樹脂2(ガラス転移点:-45℃、重量平均分子量:50万)
【0175】
(硬化性樹脂1)
硬化性樹脂1として、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、品番:DPHA)を用意した。
【0176】
(硬化性樹脂2)
硬化性樹脂2として、ウレタンアクリレート(Miwon Specialty Chemical社製、品番:SC2152)を用意した。
【0177】
(硬化性樹脂3)
硬化性樹脂3として、ビスA型エポキシアクリレート(日本化薬社製、品番:R-130)を用意した。
【0178】
(架橋剤1)
架橋剤1として、ポリイソシアネート(東ソー社製、品番:コロネートL)を用意した。
【0179】
(光重合開始剤1)
光重合開始剤1として、ベンジルジメチルケタール(東京化成工業社製)を用意した。
【0180】
(可塑剤1)
可塑剤1として、ポリエステル系可塑剤(DIC社製、品番:W-230H)を用意した。
【0181】
2.粘着テープの作製
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂1(80.0重量%)および帯電防止剤1(20.0重量%)が配合された樹脂組成物を押出し機で押し出して、厚さ140.0μmの基材4を作製した。
【0182】
次に、ベース樹脂1(100.0重量部)、硬化性樹脂1(44.0重量部)架橋剤1(9.0重量部)および光重合開始剤1(6.0重量部)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。この液状材料を、乾燥後の粘着層2の厚さが20.0μmになるようにして基材4にバーコート塗工した後、80℃で1分間乾燥させて、基材4の上面(一方の面)に粘着層2を形成することで、実施例1の粘着テープを得た。
【0183】
[実施例2~4、比較例1~3]
基材4の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料、および、粘着層2の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料として、表1に示すものを用い、さらに、各構成材料の含有量を表1に示すように変更して、表1に示す厚さの基材4および粘着層2を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~4、比較例1~3の粘着テープを作製した。
【0184】
3.評価
得られた各実施例および各比較例の粘着テープを、以下の方法で評価した。
3-1.粘着層の引張試験(エネルギー付与前)
各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層の試験片を作製し、この試験片に対するエネルギーの付与前において、引張試験装置(エー・アンド・デイ社製、「テンシロンRTC-1250」)を用いて、25℃の雰囲気下で、チャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で前記試験片の引張試験を行うことで、長さ方向に対する延伸率が30%に達した時の応力(S1)を測定した。その後、延伸率30%を保持したまま1分後の応力(S2)を測定した。
【0185】
そして、得られた応力(S1)および応力(S2)を用いて、前記試験片における応力緩和率を、下記式(1)により算出した。
【0186】
応力緩和率 = (S1-S2)/S1×100 (%) … (1)
【0187】
3-2.粘着層の引張試験(エネルギー付与後)
各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、厚さ0.8mm×幅6mm×長さ20mmの大きさの粘着層の試験片を作製し、この試験片に対して、紫外線照度:55W/cm2、紫外線照射量:1000mj/cm2の条件で紫外線を照射するエネルギーの付与後において、引張試験装置(エー・アンド・デイ社製、「テンシロンRTC-1250」)を用いて、25℃の雰囲気下で、チャック間距離10mm、引張速度10mm/minの条件で前記試験片の引張試験を行うことで、長さ方向に対する延伸率が30%に達した時の応力(S3)を測定した。その後、延伸率30%を保持したまま1分後の応力(S4)を測定した。
【0188】
そして、得られた応力(S3)および応力(S4)を用いて、前記試験片における応力緩和率を、下記式(2)により算出した。
【0189】
応力緩和率 = (S3-S4)/S3×100 (%) … (2)
【0190】
3-3.凹凸への追従性の評価
高さ8μm、幅50μm、ピッチ30μmの大きさで縦横に格子状をなして設けられた突起物(凸部)を表面に複数備えるシリコンウエハ(SUMCO社製)を用意し、突起物が上側になるようにこのシリコンウエハをステージ上に配置した後に、シリコンウエハの表面に、各実施例および各比較例の粘着テープを、それぞれ、25℃に前記ステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで貼付し、その後、1分間放置した際の粘着層の前記突起物に対する追従率(%)を求め、これらを、以下の基準にしたがって評価した。なお、粘着層の追従率は、粘着テープに形成された凹部の深さを、凸部の高さで除することにより算出した。
【0191】
(粘着層の追従率の評価)
シリコンウエハの表面の突起物に対する粘着層の追従率(%)が、
◎: 80%以上95%以下である
〇: 70%以上80%未満である
△: 50%以上70%未満である
×: 50%未満である
【0192】
3-4.シリコンチップの糊残り性の評価
<1>シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製、厚み625μm)をシリコン基板として用意した。その後、シリコン基板に、各実施例および各比較例の粘着テープを、粘着層をシリコン基板側にして固定した。その後、厚さ100μmのブレードを用いて、シリコン基板に切削水を供給しつつ、回転数:30000rpm、加工速度:60mm/sの条件にて、シリコン基板を厚さ方向に基材4の厚さの半分に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得た。
【0193】
<2>次いで、このシリコンチップを、ニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を600[μm]とした状態で突き上げた後に、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップした。
【0194】
以上のような工程<1>~<2>を経ることで、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、50個ずつ繰り返して実施した。
【0195】
そして、各実施例および各比較例の粘着テープにおいて、それぞれ得られたシリコンチップについて、ピックアップしたシリコンチップの表面(裏面)における、切削水の付着に基づく汚染の有無を確認した。この汚染の有無の確認を、各実施例および各比較例の粘着テープにおいて、それぞれ、50個のシリコンチップについて実施し、以下の基準にしたがって評価した。
【0196】
(粘着層の付着率の評価)
50個のシリコンチップのうち、その表面における汚染が認められたものの数が、
◎: 0個である
〇: 0個超5個以下である
△: 5個超10個以下である
×: 10個超である
【0197】
3-5.シリコンチップのピックアップ性の評価
<1>シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製、厚み625μm)をシリコン基板として用意した。その後、シリコン基板の研削面に、各実施例および各比較例の粘着テープを、粘着層2をシリコン基板側にして固定した。その後、厚さ100μmのブレードを用いて、シリコン基板を厚さ方向に基材4の途中に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得た。その後、25℃の雰囲気下で7日間保管した。
【0198】
<2>次いで、25℃の雰囲気下で、シリコンチップを、ニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を600[μm]とした状態で突き上げた後に、真空コレットによる吸着により、粘着テープからシリコンチップをピックアップした。
【0199】
以上のような工程<1>~<2>を経ることで、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、50個ずつ繰り返して実施した。
【0200】
そして、各実施例および各比較例の粘着テープにおいて、吸着によるピックアップを、試みた50個のシリコンチップのうち、ピックアップが成功したシリコンチップの数をカウントしておき、このカウントされたシリコンチップの数の比率を求めることで、シリコンチップのピックアップ成功率を算出した後に、これらを、以下の基準にしたがって評価した。
【0201】
(粘着層の付着率の評価)
50個のシリコンチップにおける、シリコンチップのピックアップ成功率が、
◎:100%である
〇:100%未満95%以上である
△:95%未満90%以上である
×:90%未満である
【0202】
【0203】
表1に示したように、各実施例の粘着テープでは、粘着層に対するエネルギーの付与前における、応力緩和率が30.0%以上65.0%以下であることを満足しており、これにより、粘着テープにおけるチップシフトの発生が的確に抑制され、その結果、優れた精度でシリコンチップをピックアップし得る結果を示した。
【0204】
これに対して、各比較例の粘着テープでは、粘着層に対するエネルギーの付与前における、応力緩和率を30.0%以上65.0%以下の範囲内に設定することができず、これにより、粘着テープにおいてチップシフトが発生し、その結果、優れた精度でシリコンチップをピックアップすることができない結果となった。