(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084223
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】献立作成支援装置及び献立作成支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230612BHJP
G16H 20/60 20180101ALI20230612BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198269
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】521535261
【氏名又は名称】ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521535272
【氏名又は名称】インジェンタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】高野 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】梁 國經
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA24
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】単にユーザの示す条件に一致した献立等の検索結果を提供するだけでなく、ユーザにプラスアルファの提案が加わった検索結果を提供することができる技術を提供すること。
【解決手段】食材データと料理データとユーザデータ等の情報を記録する記憶手段2と、ユーザとの間で情報の授受を行う通信手段3と、ユーザに食材の入力要求を表示し、ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材とを使った料理を表示する表示手段1と、前記各種手段を制御する制御手段4と、を備える献立作成支援装置11とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材データと料理データとユーザデータ等の情報を記録する記憶手段と、
ユーザとの間で情報の授受を行う通信手段と、
ユーザに食材の入力要求を表示し、ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材とを使った料理を表示する表示手段と、
前記各種手段を制御する制御手段と、
を備える献立作成支援装置。
【請求項2】
前記表示手段が、前記良相性食材を表示し、ユーザに当該良相性食材の中から選択した食材の入力要求を表示する請求項1記載の献立作成支援装置。
【請求項3】
前記ユーザデータとは、ユーザID、ユーザアドレス等のユーザ認識情報、性別、年齢、身長、体重、BMI、脈拍や体温及び血圧等のバイタルデータに関する情報、アレルギー、持病、既往歴、健康指導歴、治療歴、常用薬、食事制限、嗜好、アプリの利用ログ等の個人情報から選択される情報である請求項1又は請求項2記載の献立作成支援装置。
【請求項4】
前記相性とは、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度に基づいて決定される相性である請求項1又は請求項2記載の献立作成支援装置。
【請求項5】
前記相性とは、食材どうしの成分を考慮して決定される相性である請求項1~請求項4何れか1項記載の献立作成支援装置。
【請求項6】
前記相性とは、ユーザの特性を考慮して決定される相性である請求項1~請求項5何れか1項記載の献立作成支援装置。
【請求項7】
ユーザに食材の入力を求める第1入力要求ステップと、
ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材を表示する良相性食材表示ステップと、
ユーザに前記良相性食材の中から選択した食材の入力を求める第2入力要求ステップと、
前記第1入力要求ステップ及び前記第2入力要求ステップで入力された食材を使った料理を表示する料理表示ステップと、
を実行する献立作成支援方法。
【請求項8】
前記相性とは、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度に基づいて決定される相性である請求項7記載の献立作成支援方法。
【請求項9】
前記相性とは、食材どうしの成分を考慮して決定される相性である請求項7又は請求項8記載の献立作成支援方法。
【請求項10】
前記相性とは、ユーザの特性を考慮して決定される相性である請求項7~請求項9何れか1項記載の献立作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料理の献立を考える際に役立つ献立作成支援装置及び献立作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食事の献立を考えることは今も昔も変わらずに大事なことであるが同時に時間と手間がかかる作業である。従来は料理に関する書物や雑誌を見て選んでいたものが、最近は料理名で検索するとネットを通じて様々な提供元から様々なレシピが提示されており、以前よりは食事の献立を考えることは容易になってきた。
【0003】
例えば、特開2003-122860号公報(特許文献1)には、献立情報の供給を希望するユーザに対して通信回線を介して供給を希望する献立情報の条件を検索条件(食材条件)として入力するよう促し、予め登録された献立情報の中からユーザが入力した検索条件に基づいて検索を行い、献立情報の検索結果をユーザに対して提供する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、食材やニーズなど、ユーザの要望に添った所望の献立を提供してくれるものではあるが、内容が固定されて拡張性がなく、所望の料理が見つからないときには、検索の観点を変えるなど、始めから検索をし直す必要があった。また、提供される料理の候補は、ユーザの検索条件が反映されるものの、その条件に一致したものを単に表示するに過ぎなかった。
そこで本発明は、単にユーザの示す条件に一致した献立等の検索結果を提供するだけでなく、ユーザにプラスアルファの提案が加わった検索結果を提供することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、一実施態様では次の構成を有する。
即ち、食材データと料理データとユーザデータ等の情報を記録する記憶手段と、ユーザとの間で情報の授受を行う通信手段と、ユーザに食材の入力要求を表示し、ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材とを使った料理を表示する表示手段と、前記各種手段を制御する制御手段と、を備える献立作成支援装置である。
【0007】
一実施態様では、食材データと料理データとユーザデータ等の情報を記録する記憶手段を有するため、これらの情報からユーザに適した料理やレシピを提供することができる。ユーザとの間で情報の授受を行う通信手段を有するため、装置からは遠隔地にあるユーザとの間で情報の交換を行うことができる。ユーザに食材の入力要求を表示し、ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材とを使った料理を表示する表示手段を有するため、ユーザに必要な入力を促し、またユーザに必要な情報を表示することができる。前記各種手段、即ち、記憶手段、通信手段、及び表示手段を制御する制御手段を有するため、これらの手段を利用して最初の入力された食材からみてプラスアルファのある料理をユーザに提供することができる。
【0008】
一実施態様では、前記表示手段が、前記良相性食材を表示し、ユーザに当該良相性食材の中から選択した食材の入力要求を表示する献立作成支援装置である。
一実施態様では、前記表示手段が、前記良相性食材を表示するため、ユーザの入力した食材とは別に相性の良い食材というプラスアルファの提示を行うことができる。そして、ユーザに当該良相性食材の中から選択した食材の入力要求を表示するものとしたため、相性の良い食材の中からもユーザの選択を求めることとでき、よりユーザの要求に即した応答をすることができる。
【0009】
一実施態様では、前記ユーザデータとは、ユーザID、ユーザアドレス等のユーザ認識情報、性別、年齢、身長、体重、BMI、脈拍や体温及び血圧等のバイタルデータに関する情報、アレルギー、持病、既往歴、健康指導歴、治療歴、常用薬、食事制限、嗜好、アプリの利用ログ等の個人情報から選択される情報であるものとすることができる。
【0010】
一実施態様では、前記ユーザデータとは、ユーザID、ユーザアドレス等のユーザ認識情報、性別、年齢、身長、体重、BMI、脈拍や体温及び血圧等のバイタルデータに関する情報、アレルギー、持病、既往歴、健康指導歴、治療歴、常用薬、食事制限、嗜好、アプリの利用ログ等の個人情報から選択される情報であるものとしたため、相性の良い食材として、こうしたユーザデータを考慮した結果を提供することができる。そのため、ユーザの個々の状態に対応した好ましい料理を提示することができる。
【0011】
一実施態様は、ユーザに食材の入力を求める第1入力要求ステップと、ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材を表示する良相性食材表示ステップと、ユーザに前記良相性食材の中から選択した食材の入力を求める第2入力要求ステップと、前記第1入力要求ステップ及び前記第2入力要求ステップで入力された食材を使った料理を表示する料理表示ステップと、を実行する献立作成支援方法とすることができる。
【0012】
一実施態様では、ユーザに食材の入力を求める第1入力要求ステップと、ユーザの入力した食材とその食材に相性の良い食材である良相性食材を表示する良相性食材表示ステップと、ユーザに前記良相性食材の中から選択した食材の入力を求める第2入力要求ステップと、前記第1入力要求ステップ及び前記第2入力要求ステップで入力された食材を使った料理を表示する料理表示ステップと、を実行する献立作成支援方法としたため、最初の入力された食材からみて相性の良い食材というプラスアルファのある提示をすることができる。そして、さらにその相性の良い食材の中からさらにユーザに好みの食材を選択させることができ、ユーザの要求に沿った料理を提示することができる。
【0013】
一実施態様では、前記相性とは、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度に基づいて決定される相性とすることができる。
一実施態様では、前記相性とは、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度に基づいて決定される相性としたため、過去に存在する多くの料理で、食材どうしが同時に使われていた事実が考慮されており、先人の知識や経験を取り入れた、そして汎用性の高い提案をユーザに対して行うことができる。
【0014】
一実施態様では、前記相性とは、食材どうしの成分を考慮して決定される相性とすることができる。
一実施態様では、前記相性とは、食材どうしの成分を考慮して決定される相性としたため、例えば食材どうしの栄養成分のバラツキに基づいて決定することができ、そうした栄養成分を考慮することで、栄養のバランスのよい料理の提供に繋げることができる。また、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度とともに食材どうしの栄養成分を加味した相性とすることや、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度とは離れて食材どうしの栄養成分に基づく相性とすることもできる。前者の場合は、発生頻度と栄養成分の両者の良さを相性に反映させることができる。一方で後者の場合は、発生頻度とは関係なく栄養成分にフォーカスした相性を提供することができる。なお、食材の成分には、タンパク質や脂質といった栄養成分以外にも、水分や食物繊維等の栄養とは必ずしも呼ぶことができないかもしれない食材の含有成分を含み、色や味、香り等も成分として捉えることができる。
【0015】
一実施態様では、前記相性とは、ユーザの特性を考慮して決定される相性とすることができる。
一実施態様では、前記相性とは、ユーザの特性を考慮して決定される相性としたため、例えばユーザのアレルギーや、食事制限、嗜好等のユーザデータに備わる情報を考えた相性とすることができ、そうしたユーザ特有の事項を考慮することで、個々のユーザにパーソナライズされたよりユーザの要求する料理の提供に繋げることができる。また、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度とともにユーザの特性を加味した相性とすることや、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度とは離れてユーザの特性を考慮して決定される相性とすることもできる。前者の場合は、発生頻度とユーザの特性の両者の良さを相性に反映させることができる。一方で後者の場合は、発生頻度とは関係なくユーザの特性にフォーカスした相性を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
一の実施形態によれば、ユーザの選択した食材に相性の良い食材を提示することができ、相性の良さというプラスアルファのある提示ができる。
一の実施形態によれば、ユーザの選択した食材からユーザの要求に沿った料理を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態の献立作成支援システムのブロック図である。
【
図2】一実施形態の献立作成支援方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の部位、材料、機能、作用効果等については、重複説明を省略する。
【0019】
第1実施形態:
図1には、一の実施形態である献立作成支援装置11とユーザの利用するユーザ端末12とがネットワーク13を通じて繋がった献立作成支援システム10の構成を示すブロック図である。この献立作成支援装置11は、表示手段1と、記憶手段2と、通信手段3と、制御手段4と、を備えている。
【0020】
表示手段1は、ユーザに対して好みの食材等の入力を求める入力要求画面や、検索結果、ユーザに適した料理等を表示する画面等を作成し表示する。
記憶手段2は、食材データや、料理データ、ユーザデータ等の献立の提示に必要な各種データを含む情報を記録する。
通信手段3は、ユーザとの間で情報の授受を行う。
制御手段4は、この装置全体を制御し、ユーザとの通信や、記憶手段2に記録された種々の情報を利用して蓄えられたプログラム等の実行処理を行う。
そして、ユーザの利用するユーザ端末12は、表示手段1によって作成された表示画面を表示し、ユーザの個人データを保持し、そしてユーザが献立作成支援装置11に伝える必要な入力を行う。
【0021】
献立作成支援装置11の構成としては、演算装置や制御装置として機能する中央演算処理装置(CPU)や、RAMやフラッシュメモリ等の主記憶装置、ハードディスク等の外部記憶装置、LANカードやルータ等の通信装置、コンピュータプログラム等を有しており、ネットワークに接続したクラウドサービス上の仮想サーバや、システム責任者が使用するコンピュータ等である。
【0022】
ユーザの使用するユーザ端末12としては、社内LAN、インターネットやLAN等のネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しネットワークに接続すると献立作成支援装置11に保存されたデータを取得して表示したり、ユーザが入力したデータを献立作成支援装置11へ送信したり、献立作成支援装置11からのデータを受信して出力装置を通じてメール等の形式で出力することができるパーソナルコンピュータや、携帯電話、タブレット端末、バイタルデータを記録できる携帯端末などであって良い。
【0023】
<献立作成支援装置11の実行>:
ユーザの利用の一態様としては、ユーザ端末12から献立作成支援装置11のWebページにアクセスし自己のIDを入力して装置の利用を開始する。その後の献立作成支援装置11の実行の流れは
図2のフローチャートに示す。
【0024】
ステップ1:食材入力画面の提示
ユーザに対して制御手段4がそのユーザのアクセスを認めると、表示手段1は、料理を作成するための食材の入力欄を備えた入力画面を表示する。ユーザは、入力画面の入力欄から、所望の食材(例えば食材1)を入力する。所望の食材には、ユーザが保有している食材や、調理して食したい食材等が挙げられる。
この食材の入力欄は、ユーザによる自由入力ができるように構成できる。あるいはまた、表示手段1が入力欄に食材リストを提示し、ユーザはその食材リストの中から選択するように構成できる。さらに、ユーザが過去に何らかの食材を入力したことがある場合には、その履歴情報を利用して表示手段1が過去に選んだことのある食材を表示して、ユーザが好みの食材を選択し易くすることができる。
ユーザによる食材の入力は、1種類又は2種類以上の複数種類とすることができる。
【0025】
食材には、主食となる米、うどん、そばや、主菜や副菜になる魚の種類、肉の種類、豆の種類、卵、野菜の種類、芋の種類、きのこの種類、海藻の種類、その他果物や乳・乳製品等の各名称を挙げることができるが、これら以外にも調味料や、添加物、加工食品等も食材とすることができる。
表示手段1は、食材の入力欄を複数個表示するように構成することが好ましい。そして、ユーザが一つの入力欄に複数の食材を入力した場合はor検索、複数の入力欄に複数の食材を分けて入力した食材はand検索とすることができる。
【0026】
なお、ユーザは何らかの食材を入力することに加え、その食材と相性の良い食材を提示する後述のステップ3をキャンセルするように指示できるようにしても良い。表示手段1は、食材の入力欄とは別に、相性の良い食材を提示する画面のキャンセルに必要な入力要求欄を表示することができる。
【0027】
ステップ2:相性の良い食材(良相性食材)の探索
ユーザが食材の入力を終了すると、制御手段4は、ユーザの入力した食材(例えば食材1)に基づき、記憶手段2に蓄積されたデータベースから、そのユーザの入力した食材と相性の良い食材、換言すれば、ユーザの選択した食材と供に用いることでユーザに適した料理ができる食材を検索する。あるいはまた、制御手段4は機械学習を行って記憶手段2に取り込んだ各種情報に基づいて、ユーザの入力した食材と相性の良い食材を探索する。なお、説明の便宜上、相性の良い食材を「良相性食材」ともいう。
食材間の相性とは、最も良い場合を100%、最も悪い場合を0%として、食材どうしの組み合わせがどの程度合うのか合わないのかを0~100%の数値で示したものである。相性の決定方法については後述する。
ユーザが入力した複数の食材に対してand検索を行う場合には、その複数の食材と相性の良い食材を探索する。換言すれば、ユーザn個の食材を入力すれば、n+1個の食材の相性が良くなる+1個の食材を探索する。また、ユーザが入力した複数の食材に対してor検索を行う場合には、その複数の食材のそれぞれに対して相性の良い食材を探索する。
【0028】
ステップ3:相性の良い食材の提示
次に表示手段1は、制御手段4が導いた相性の良い複数の食材から適当数の食材をユーザに提示する。提示する食材数は、検索結果として提示する出力画面に表示することができる食材写真の限度数とする場合や、予め決定した相性の閾値内の食材数とすることができる。またこの食材の提示は、相性の良さの順とすることが好ましい。さらに食材の提示はその写真とともに相性の数字を表示することが好ましい。
ここで、相性が良いとされる食材には、調味料や添加物、加工食品等に該当する食材も挙げられるが、表示する食材からこうした食材を除外するように定めておくことも可能である。
そしてユーザは、最初に入力した食材ととともに料理に使いたいと考える食材を、相性が良いとして提示された食材の中から選択し入力する(例えば食材2)。
【0029】
ステップ4:ユーザが入力した食材と相性の良い食材を使った料理の提示
ユーザにより最初に入力された食材(例えば食材1)と、その後に相性が良いとされた食材の中から任意の食材(例えば食材2)の入力とが終了すると、制御手段4は、記憶手段2に蓄積されたデータから、ユーザの選択したこれらの食材(ここでは食材1と食材2)を使った料理を検索し、表示手段1はその条件に該当する料理を提示する。
あるいはまた、ステップ3がキャンセルされる場合には、ユーザが最初に入力した食材と相性の良い食材を使った料理を制御手段4が検索し表示手段1がその条件に該当する料理を提示する。
【0030】
料理を表示する表示画面の一部には、ステップ4で表示する料理とは別に、最初にユーザが選んだ食材と相性の良い食材で、ステップ3で選択しなかった食材(例えば食材2以外)を表示することができる。そのため、本ステップ4で、ユーザが選択した食材を使った料理が表示されても、ユーザがそうした料理を所望せず別の料理を見つけたい場合に、直ぐに相性の良い別の食材を選択することができる。
【0031】
ステップ5:レシピの提示
ユーザは、ステップ4で表示された複数の料理の中から所望の料理を選択すると、表示手段1はその料理に必要な食材とその分量、料理の作成の方法等を示すレシピを表示する。ユーザはそのレシピにしたがって、選択した料理を調理することができる。
【0032】
この献立作成支援装置11によれば、最初にユーザが選択した食材に相性の良い食材を提示することができ、また最初にユーザが選択した食材に相性の良い食材を使った料理を提示することができるため、提案する料理の幅を広げ、ユーザに献立を考える上でのプラスアルファを提供することができる。
【0033】
<相性の導き方>:
相性の良さの導き方にはいくつかの例があるため、これらについて説明するが、ここで決定した方法で導かれた相性の何れを取り入れても良い。
【0034】
相性決定その1:
食材どうしの相性が良ければ、それらの食材どうしは同じ料理に使われるという考えに基づき、相性決定の一実施態様は、食材どうしが同時に料理に使われる発生頻度に基づいて決定するものとした。具体的な一決定方法は次のとおりである。
【0035】
まず、様々な料理の情報を集め、料理ごとにその料理に使われている食材を抽出する。食材の抽出は、料理を説明する文章から自然言語処理により食材名を抽出したり、料理画像の外形や色から食材名を抽出したりすることができる。
次に、集められた食材ごとに発生頻度をカウントする。ある食材が1つの料理に使われていれば“1”とカウントし、例えば異なる231種類の料理に使われていれば“231”とカウントする。
【0036】
また、ある食材と別の食材が同じ料理の中で出現した頻度もカウントする。例えば食材Aと食材Bがともに出現する料理の数が58であれば、食材Aと食材Bの共発生頻度として“58”をカウントする。
【0037】
表1は、ある食材と他の食材の関係を示した一例である。表1において、「食材1 [カウント])」欄は、食材が「トマト」であること、及び「トマト」が使われた料理数を示しており、「食材2[カウント])」欄は、各種食材と、その食材が使われた料理数を示している。また、「共発生」欄は、食材「トマト」とともに「食材2[カウント])」欄で表示された食材が同時に使われた料理数を示しており、「ペアリングスコア」欄は、「トマト」と食材2欄に示された食材との相関関係を示している。
【0038】
【0039】
ここで、表1の「ペアリングスコア」で示される2つの食材間の相関関係は次のようにして求められる。
まず、全料理データの中から食材名単語の埋め込みモデル(embedding model)を作成し、食材ごとにN次元の数値ベクトル表現(N-dimensional numerical vector representation)を作成する。そして、深層学習のシャムネットワーク(Siamese Network)を利用し、シャムネットワークのトップレベルに2つそれぞれ同じ数の層、ノード、および重みを持つ多層パーセプトロン(Multilayer Perceptrons;MLP)があるので、食材のN次元の数値ベクトル表現をシャムネットワークに入力し、M次元の数値ベクトルを出力する。2つのM次元ベクトルは最初に連結され、上記2つのトップレベルMLPとは異なる数の層、ノード、および重みを持つ別のMLPに入力し、K次元ベクトルを出力する。次に、2つのM次元ベクトルの外積を取得して、M2次元ベクトルを生成する。M2次元ベクトルがK次元ベクトルと連結されて、M2+K次元ベクトルを形成する。最後に、M2+K次元ベクトルを1次元スカラー出力のある別のMLPに入力して、要求する食材間の相関関係が得られる。
最後に2つの食材間の相関関係を標準化し、最も相性が良い場合を100%、最も相性が悪い場合を-100%という、-100%から100%の範囲内で示されるペアリングスコアを得た。
【0040】
このように、相性の決定は、食材どうしの共発生頻度を、食材自体の発生頻度の特殊性を加味して導かれる。この相性決定方法によって決定される相性は、過去に存在する多くの料理で、食材どうしが同時に使われていれば相性が良いという経験に則した相性である。
【0041】
相性決定その2:
前記相性決定の一実施態様では、2つの食材間の相性を決定するものであったが、ここでの相性決定方法は、3以上の複数の食材間の相性を決定するものである。より具体的には、3つの食材間の相性を決定する場合は、前記2つの食材間の相性決定方法を3つの食材間に拡張して適用することで行う。4以上の食材間の相性を決定する場合も同様である。
【0042】
相性決定その3:
相性決定の別の一実施態様は、食材間の成分を考慮して相性を決定する方法である。これまで説明した相性決定方法では、料理に同時に使われる回数が多ければ相性が良いという基準に基づく決定であったが、そうした考え方とは別に栄養のバランスの良い料理を作れる食材であるほど、その相性が良いという考えに基づいて決定される相性である。
食材の相性への栄養データの参酌方法の一態様では、食品成分表に基づく成分を食材から取り出し、ある食材と別の食材を合わせたときの特に栄養成分のバラツキが、それらの食材のどちらか一方である場合(=食材単独の場合)に比べてどの程度少なくなるかに着目して相性を決定する。例えば、米と豚肉の相性では、米単独の場合のタンパク質の欠如を豚肉で補え、豚肉単独の場合の炭水化物の欠如を米で補えるので、それぞれ単独の場合よりも栄養成分のバラツキが少なくなる。よって、これらの食材間の相性は良いものとなる。そうした一方で、豚肉と牛肉の相性では、それらの食材に含まれる栄養成分は似ており豚肉単独又は牛肉単独の場合に比べて栄養成分のバラツキを少なくすることができず悪い相性となる。なお、ここではタンパク質と炭水化物を成分の例としているが、食物繊維や、水分、色取り等の成分についても同様である。
【0043】
相性決定その1や相性決定その2で説明した料理における発生頻度に基づく相性に、栄養データに基づく結果を加味した相性とすることはより好ましい。発生頻度に基づく相性にさらに食材の成分が考慮されるからである。加えて、料理Aに食材Bと食材Cが使われている場合に、料理Aにおける食材Bと食材Cの使用量を抽出し、その使用量に基づく栄養成分の含有量を加味した成分のバラツキを相性決定の要素とすれば、より実際に即した相性が算出できる。
【0044】
相性決定その4:
相性決定の別の一実施態様は、ユーザの特性を考慮して相性を決定する方法である。換言すれば、食材データ又は料理データ等の献立の内容に関係するデータに、ユーザデータも加味して相性を決定する方法である。
献立の内容に関するデータとして、食材データとしては、食材名、その使用量、食材の栄養データ、アレルギーデータ、料理への発生頻度、食材間の相性等の情報が挙げられる。料理データとしては、料理名、その料理のレシピの内容、料理の写真、料理のカロリー等の栄養データ等の情報が挙げられる。ユーザデータには、ユーザID、ユーザアドレス等のユーザ認識情報、性別、年齢、身長、体重、BMI、脈拍や体温及び血圧等のバイタルデータに関する情報、アレルギー、持病、既往歴、健康指導歴、治療歴、常用薬、食事制限、嗜好、アプリの利用ログ等の個人情報が挙げられる。
【0045】
制御手段4は、機械学習を行ってこうした異種の様々なデータ間の相関関係を分析し、その中からユーザの健康維持、ユーザの要望に対して重要な要素を洗い出し、重要な順に相性の良い順として決定する。また、予め強い相関が公知のものは個別に対応する。ユーザのアレルギーと、それを引き起こす食材間には強い相関があることから、例えば小麦アレルギーがあるというユーザの個人データがあれば、提案する食材から小麦は除外される。
【0046】
ユーザの特性を考慮した相性によれば、食事制限やアレルギーのあるユーザに対しては予めそうしたユーザ特有の状態に基づいた食材を提示することができ、食事制限に違反したり、アレルギー食材を誤って選択したりといったおそれを少なくすることができる。また、ユーザが長時間の有酸素運動をした後に献立作成支援装置11にアクセスすれば、ユーザの運動データを保持した携帯端末から通信手段3を通じて記憶手段2にユーザの運動データを蓄積でき、ユーザの一時的なエネルギー不足に基づいて炭水化物の多い食材が相性の高い食材として検索され易くなる。
【0047】
制御手段4は、いくつかの公知の相性データ、例えば、食材間の発生頻度に基づく相性等のデータがあれば、それを記憶手段2に蓄積しておくことができる。また、公知の相性データが無い場合、例えば、これまでに無く新たに生産されることになった新品種の食材や、新たな提供元から提示された新たなレシピに記載された食材がある場合、又はユーザデータにおいても新規にデータ項目に含めることになったものがある場合には、その都度制御手段4は新たな相性を算出し直し、逐次データを更新することができる。ここで制御手段4は、機械学習を行って最新のデータに基づいた最新の相性データを探索し提示することもできる。
【0048】
第2実施形態:
第1実施形態のステップ4では、ユーザが入力した食材と相性の良い食材を使った料理を提示したが、そこで提示された料理は、ユーザが入力した食材と相性の良い食材の何れの食材も含まれる料理を複数挙げるものであった。
しかしながら、食材間の相性に、食材どうしの栄養成分等の成分を考慮して決定される相性や、ユーザの特性を考慮して決定される相性を用いた場合には、ユーザが入力したデータを含む料理を提示しただけでは不十分な場合がある。例えば、提示された料理をユーザが1品だけ選んでも、その料理だけで十分な栄養が得られるとは限らず、別の料理も併せて選択し、それらの料理を組み合わせて1つの献立と見たときに初めて十分な栄養が得られる場合があり得る。こうした場合には、その複数の料理を組みにして表示手段1が提示することができる。
【0049】
制御手段4は、食材の相性決定において、食材どうしの栄養成分等の成分を考慮して決定される相性を用いた場合には、ユーザが選択した食材をベースにして十分な栄養が得られる食材の組み合わせを選択し、そうした食材を使った料理を提示する。例えば、ユーザが食材A,Bを選択したとき、食材A,B,C,D,Eの組み合わせであれば十分な栄養が得られる場合には、食材A,Bを使った料理と、食材C,D,Eを使った料理や、あるいは食材A,Dを使った料理と、食材B,C,Eを使った料理など、ユーザが入力した食材の入っていない料理を提示することができる。もちろん複数の料理に同じ食材が含まれていても良い。このとき食材A,B,C,D,E間の組み合わせからなる料理は、同じ料理に使われる発生頻度に基づく相性を参酌して選択することは好ましい。
【0050】
制御手段4はまた、ユーザの特性を考慮して決定された相性を用いた場合には、ユーザが選択した食材をベースにしてユーザの健康維持やその他のユーザの求める価値に基づいた食材の組み合わせを選択し、そうした食材を使った料理を提示する。例えば、ユーザが食材F,Gを選択したとき、食材F,G,H,I,Jの組み合わせであればユーザの求める価値に適した料理が得られる場合には、食材F,Hを使った料理と、食材G,I,Jを使った料理や、あるいは食材F,Iを使った料理と、食材G,H,Jを使った料理など、ユーザが入力した食材の入っていない料理を提示することができる。もちろん複数の料理に同じ食材が含まれていても良い。食材F,G,H,I,J間の組み合わせからなる料理は、同じ料理に使われる発生頻度に基づく相性を参酌して選択することは好ましい。
【0051】
本実施形態の態様を取る場合には、お勧めの料理を表示するように要求する入力欄を設けた表示画面を表示手段1は作成する。ユーザがシステムからのお勧め料理を提示するように求めれば、その要求に応じたお勧め料理を組み合わせて提示する。
【0052】
上記実施形態は本発明の一例であり、公知の手段や方法をさらに備えるものであっても良く、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜、変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 表示手段
2 記憶手段
3 通信手段
4 制御手段
10 献立作成支援システム
11 献立作成支援装置
12 ユーザ端末
13 ネットワーク