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  • 特開-化粧製品製造装置、及び表面処理方法 図1
  • 特開-化粧製品製造装置、及び表面処理方法 図2
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  • 特開-化粧製品製造装置、及び表面処理方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084869
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】化粧製品製造装置、及び表面処理方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/02 20060101AFI20230613BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230613BHJP
   C23G 5/04 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B32B37/02
B08B3/02 C
C23G5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199232
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 淳一
【テーマコード(参考)】
3B201
4F100
4K053
【Fターム(参考)】
3B201AA08
3B201AB14
3B201BA08
3B201BA15
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB94
3B201BB95
3B201CB01
3B201CC13
3B201CC14
4F100AB01A
4F100EA02A
4F100EJ85A
4F100EK03A
4F100HB00B
4K053PA13
4K053QA07
4K053RA05
4K053RA33
4K053RA42
4K053XA02
4K053XA22
4K053XA41
4K053XA50
(57)【要約】
【課題】化粧シートを貼り付ける前処理としての基材表面の洗浄を自動化する。
【解決手段】長尺の金属製基材2の表面に化粧シート3を貼り付けてなる化粧部品1を製造する化粧製品製造装置であって、上記化粧シート3を貼り付ける前の金属製基材2の表面を洗浄する洗浄装置を備え、上記洗浄装置は、上記金属製基材2を搬送する搬送装置と、上記搬送装置で搬送中の上記金属製基材2の表面に摺接する拭き取り具と、上記拭き取り具の摺接面に洗浄液34を供給する洗浄液供給装置33と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の金属製基材の表面に化粧シートを貼り付けてなる化粧部品を製造する化粧製品製造装置であって、
上記化粧シートを貼り付ける前の金属製基材の表面を洗浄する洗浄装置を備え、
上記洗浄装置は、
上記金属製基材を搬送する搬送装置と、
上記搬送装置で搬送中の上記金属製基材の表面に摺接する拭き取り具と、
上記拭き取り具の摺接面に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、
を備えることを特徴とする化粧製品製造装置。
【請求項2】
上記拭き取り具は、上記金属製基材の表面に摺接する回転ローラーを有し、
上記回転ローラーの軸が、上記金属製基材の搬送方向に直交する方向から傾けて配置されることで、上記回転ローラーの軸回転が抑制される構成となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載した化粧製品製造装置。
【請求項3】
上記洗浄液供給装置は、上記回転ローラーに対し洗浄液を添加することで供給する構成となっている、
ことを特徴とする請求項2に記載した化粧製品製造装置。
【請求項4】
上記摺接面に上記洗浄液が供給される上記回転ローラーの下流に、上記金属製基材の表面に摺接する第2の回転ローラーを配置する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した化粧製品製造装置。
【請求項5】
上記金属製基材における、上記拭き取り具が摺接する部分を囲むブースを有し、
そのブースに排気ダクトが接続する、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した化粧製品製造装置。
【請求項6】
長尺の金属製基材の表面を洗浄する表面処理方法であって、
搬送中の上記金属製基材の表面に、洗浄液が供給された拭き取り具を摺接させることで、上記金属製基材の表面を洗浄し、
上記拭き取り具は回転ローラーからなり、当該回転ローラーの軸を、上記金属製基材の搬送方向に直交する方向から傾けて配置することで、上記回転ローラーの軸回転を抑制する、
ことを特徴とする表面処理方法。
【請求項7】
複数の金属製基材を、基材間に隙間を空けた状態で順次搬送して、各金属製基材を順次洗浄する、ことを特徴とする請求項6に記載した表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の金属製基材の表面に化粧シートを貼り付けてなる化粧部品を製造する技術に関し、特に、化粧シートを貼り付ける前処理として行う、基材表面の自動洗浄に関する技術である。金属製基材の外面は、例えば断面ボックス形状となっている。
【背景技術】
【0002】
長尺の金属製基材の表面に化粧シートを貼り付ける工程において、従来、化粧シートの貼り付け工程の前処理として基材表面を自動洗浄する処理に関する公報について検索したが発見出来なかった。
【0003】
一方、化粧部品の製造技術では無いが、搬送中の金属板の洗浄に関する発明として、例えば特許文献1に記載の方法がある。特許文献1では、搬送している冷延鋼板にアルカリ洗浄と酸洗のいずれか一方又は双方の洗浄処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-348377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような洗浄方法は、鋼板を溶液に浸漬した後、液切り及び乾燥処理を行うといった処理を行う必要があるため、設備が大掛かりとなるといった課題があり、化粧シートの貼り付け直前の前処理としての洗浄としては、適用しがたい。
【0006】
また、特許文献1に記載のような洗浄方法を行って製造された金属板であっても、その後に、金属板を加工して金属製基材を製造する際に、基材表面に切削油などの油が付着する。また、基材に化粧シートを貼り付ける設備に移送する際にも、基材表面に皮脂などが付着するおそれもある。更に、基材の移動や保管時に、基材表面に埃が付着する恐れもある。切削油などが付着したまま化粧シートを貼り付けた場合には、貼り付け不良の原因となる。
【0007】
このため、従来にあっては、金属製基材の表面に化粧シートを貼り付ける直前に、入荷した基材表面を、アセトンを添加したウエスで手拭きによる洗浄を行う。そして、洗浄された基材を化粧シートの貼り付け装置(ラッピング機)に投入し、シート貼り付けを実行していた。
しかし、手動による洗浄は、手間と時間が掛かるといった課題があった。
【0008】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、簡易な構成で、化粧シートを貼り付ける前処理としての基材表面の洗浄を自動化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題解決のために、本発明の一態様は、長尺の金属製基材の表面に化粧シートを貼り付けてなる化粧部品を製造する化粧製品製造装置であって、上記化粧シートを貼り付ける前の金属製基材の表面を洗浄する洗浄装置を備え、上記洗浄装置は、上記金属製基材を搬送する搬送装置と、上記搬送装置で搬送中の上記金属製基材の表面に摺接する拭き取り具と、上記拭き取り具の摺接面に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、を備えることを要旨とする。
【0010】
また、本発明の他の態様は、長尺の金属製基材の表面を洗浄する表面処理方法であって、搬送中の上記金属製基材の表面に、洗浄液が供給された拭き取り具を摺接させることで、上記金属製基材の表面を洗浄し、上記拭き取り具は回転ローラーからなり、当該回転ローラーの軸を、上記金属製基材の搬送方向に直交する方向から傾けて配置することで、上記回転ローラーの軸回転を抑制する、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、簡易な装置構成で、化粧シートを貼り付ける直前の基材表面を自動洗浄可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に基づく実施形態に係る化粧部品の一例を説明する、一部化粧シートを省略した斜視図である。
図2】本発明に基づく実施形態に係る設備構成を説明する模式図である。
図3】拭き取り具である回転ローラーの配置例を示す図である。
図4】拭き取り具の他の例を示す図である。
図5】化粧シートの貼り付け装置である、ラッピング機の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に基づく実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、化粧部品を製造する化粧製品製造装置に関する。
化粧部品1は、例えば、図1に示すように、長尺の金属製基材2の表面に化粧シート3が貼り付けられて構成される。
【0014】
(構成)
<化粧部品1>
基材2は、図1では、外面が断面矩形(ボックス型)の場合を例示しているが、基材2の形状はこれに限定されない。基材が表面板と表面板の裏面に設けられたリブとから構成されるなど、基材は他の形状から構成されていてもよい。また、基材2は、例えば、アルミニウム製やアルミニウム合金製とする。
【0015】
また、図1では、化粧シート3が、基材2の表面の全面に貼り付けられる場合が例示されているが、例えば、化粧シート3は、基材2の裏面には貼り付けないなど、基材2の一部の面だけに貼り付けられていても良い。
【0016】
<化粧製品製造装置>
本実施形態の化粧製品製造装置は、図2のように、上流側から、置き台10、投入ブース20、洗浄ブース30、ラッピング機40の順番に配置されている。そして、基材2が、置き台10、投入ブース20、洗浄ブース30、ラッピング機40の順にパスラインPに沿って連続して搬送されながら、各処理が施される。
なお、基材2は、長手方向をパスラインPに沿って配置されて搬送される。
【0017】
<置き台10>
置き台10は、順次、基材2を載せる台であって、例えば、作業者が、他のテーブルに置かれている複数の基材2から、順次、置き台10に載せ替える作業を実行する。この載せ替え作業を、ロボットアームで実行するようにしても良い。この作業で、基材2に手垢などが付着する恐れがあるが、洗浄ブース30にて、化粧シート3の貼り付け直前に洗浄されるため、問題は無い。
【0018】
置き台10は、複数のロール10aがパスラインP(搬送方向)に沿って並ぶテーブルローラーから構成され、そのテーブルローラーによって、基材2は、パスラインP方向に向けて案内可能となっている。
【0019】
<投入ブース20>
ら搬送されてきた基材2を洗浄ブース30に向けて送るための、送りローラー22が配置されている。送りローラー22は、例えば、基材2の下面に当接するローラーと、基材2の上面に当接するローラーと、基材2の側面に当接ローラーを有することで、基材2を目的とするパスラインPに沿って直線的に洗浄ブース30に向けて送ることが可能なっている。送りローラー22は、搬送装置を構成する。
【0020】
<洗浄ブース30>
洗浄ブース30は、基材搬送の入口と出口で開口した、透明なアクリル板などで囲んだ小部屋で構成される。
洗浄ブース30には、排気ダクト37が設けられ、不図示の排気装置によって、洗浄ブース30内のガスの外部への強制排気が実行される。これによって、周囲の作業者や装置などへの洗浄液34の付着・吸引などが防止される。
【0021】
この洗浄ブース30内には、基材2の面のうち、少なくとも化粧シート3を貼り付ける面2aにそれぞれ摺接する拭き取り具と、拭き取り具の摺接面に洗浄液34を供給する洗浄液供給装置33とを有する。
【0022】
<拭き取り具>
本実施形態の拭き取り具は、図3に示すように、回転ローラー32から構成される。
回転ローラー32は、軸部材32bと軸部材32bに周りに配置された円筒状のローラー本体32aとを有する。
【0023】
回転ローラー32は、例えば、汎用のペイント用ローラーを転用すれば良い。この場合、回転ローラー32の調達が容易である。回転ローラー32の摺接面となる周面は、洗浄液34の保水性が高いことが好ましい。このため、回転ローラー32の周面を構成するローラー本体32aの材質は、保水性が低いゴムやスポンジよりは、毛素材(起毛した合成樹脂製など)が好ましい。
【0024】
回転ローラー32の材質は、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維が使用できるが、優れた強度で摩耗に強く耐久性のあるポリエステル繊維が好ましい。また、回転ローラー32の組織としては、ハイパイル、ウーブンが使用できるが、仕上がり、溶剤の低飛散性に優れ、摩耗、引っ張りにも強いウーブンが好ましい。
【0025】
なお、本実施形態の回転ローラー32は、非駆動の回転ローラー32である。
また、軸部材32bを動かす可動装置35を有する。
【0026】
可動装置35は、回転ローラー32を対象とする基材2の面2aに向けて進退可能な進退機能と、回転ローラー32の軸を、基材2の面2aに沿って旋回する旋回機能とを有する。可動装置35の構成は、公知の駆動機構を採用すれば良い。
【0027】
そして、基材2の形状・断面寸法に応じて、進退機能を駆動して、確実に回転ローラー32を基材2の面2aに当接可能となっている。また、旋回機能によって、搬送方向に対する回転ローラー32の軸の向きが調整可能となっている。可動装置35は、基材2の搬送方向に対する、回転ローラー32の軸の傾きを変更する変更機構を構成する。
可動装置35は、制御部からの指令によって自動的に駆動したりオペレーターからの指令によって駆動したりする構成となっている。
【0028】
そして、図3の実線で示すように、回転ローラー32の軸が、金属製基材2の搬送方向(パスラインP)に直交する方向から角度θだけ傾けて配置することで、基材2に搬送に伴う回転ローラー32の軸回転が抑制されるようにする。
【0029】
角度θは、例えば30度~90度の範囲とする。この角度θは、基材2の面2aの幅や、基材2への回転ローラー32の押し付け力に基づき、回転ローラー32のローラー本体32aの軸回転が抑制される角度範囲から設定すればよい。
【0030】
回転ローラー32を不回転化することで、回転ローラー32を用いても所要以上の拭き取り性能を発揮させることが出来る。
【0031】
ただし、定期的若しくは不定期に、図3の一点鎖線で示すような位置である、回転ローラー32の角度θが小さくなる方向に一時的に回転ローラー32を変位させて、回転ローラー32のローラー本体32aを一時的に回転変位させることが好ましい。これによって、拭き取り面が定期的若しくは不定期に変更されることで、回転ローラー32の局所汚染や局所劣化を抑制することができる。例えば、搬送されてくる、基材2間の継ぎ目で回転ローラー32を回転変位させるとよい。この場合、一つ前の基材2の汚染を次の基材2に転写しがたくなる。
【0032】
ここで、本実施形態では、回転ローラー32の軸の傾きを変更して回転ローラー32を一時的に回転変位させているが、必ずしも変更機構を設けなくてもよい。
例えば、連続して送られてくる基材2間に隙間を設ければ、回転ローラー32の軸が傾いて配置されていても、現在洗浄している基材2の尾端から相対的に回転ローラー32が抜けるときに、回転ローラー32の基材2の面2aへの押圧力が抜け、更に、次の基材2の先端部に回転ローラー32が当接する際に、基材2の搬送に伴い回転ローラー32のローラー本体32aが自動的に回転変位する。
【0033】
ここで、洗浄用の回転ローラー32の後段に別の回転ローラー50を設けることが好ましい。また、基材2の同じ面2aを複数の回転ローラー32で拭く構成でもよい。別の回転ローラー50は、万一、過剰に洗浄液34が基材2の表面2aに付着した場合の当該洗浄液34の吸収効果を有する。また、別の回転ローラー50は、長ロット生産時などにおける、洗浄用回転ローラー32の汚れチェック機能として有効である。すなわち、洗浄用回転ローラー32での洗浄が不十分となると、別の回転ローラー50に汚れが付着することで、洗浄用回転ローラー32の交換や回転させて拭く面を変更する必要があるか否かを判別することができる。この別の回転ローラー50は、予備的なローラーであると共に、洗浄用の回転ローラー32の汚れに対するチェッカーの役割を有する。別の回転ローラー50の軸の傾きは、洗浄用の回転ローラー32の軸の傾きに合わせる必要は無い。
【0034】
<洗浄液供給装置33>
本実施形態の洗浄液供給装置33は、図2に示すように、回転ローラー32のローラー本体32aに対し洗浄液34を添加することで、回転ローラー32の摺接面に洗浄液34を供給する構成となっている。
図2中、符号33bは、洗浄液34を収納したタンクであり、符号33cは、洗浄液34をノズル33aに向けて間欠的や連続的に圧送するポンプである。
【0035】
洗浄液34は、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルセロソルブなどの有機溶剤や市販の金属洗浄剤を使用すればよい。
【0036】
[変形例]
(1)拭き取り具は、回転ローラー32以外でも良い。例えば、拭き取り具36は、図4に示すように、摺接面が毛素材(起毛した合成樹脂製など)から構成されるパッド本体36aであってもよい。符号36bは、パッド本体36aを支持する剛体部である。
【0037】
(2)また、洗浄液34の摺接面への供給は、摺接面を構成する部品に直接、洗浄液34を供給する場合に限定しない。例えば、図4に示すように、拭き取り具の上流位置において、基材2の面2aに洗浄液34を吹き付けることで、拭き取り具の摺接面に洗浄液34を供給する構成になっていてもよい。
【0038】
<ラッピング機40>
投入ブース20の送りローラー22で搬送される基材2は、洗浄ブース30で洗浄された後に、連続してラッピング機40に送られて、ラッピング機40にて、基材2の表面2aに化粧シート3が貼り付けられる。
すなわち、本実施形態では、基材2の表面2aに化粧シート3が貼り付けられる直前に、基材2の表面2aが洗浄される。
【0039】
ラッピング機40は、例えば図5に示すような構成となっている。
図5に示すラッピング機40は、洗浄ブース30から送られてきた基材2を案内する案内ローラー41と、基材2に化粧シート3を押し付けて貼り付けるピンチローラー43とを有する。すなわち、図5のように、巻き戻された化粧シート3の面に連続的に接着剤42が塗られ、接着剤42が塗られた化粧シート3は、乾燥炉で接着剤42を乾燥した後に、基剤の面2aに向けて連続的に供給され、ピンチローラー43によって当該化粧シート3が連続して基剤に貼り付けられる構成となっている。
【0040】
図5では、化粧シート3は、上面に貼り付けられた後に、ピンチローラー43によって、幅方向両側位置で折り曲げられて、基材2側面に化粧シート3が連続して貼り付けられる場合を例示している。
【0041】
(動作その他)
本実施形態では、投入された基材2は、投入ブース20の送りローラー22によってパスラインPに沿って搬送され、基材2の面2aに化粧シート3が貼り付けられる直前である洗浄ブース30内にて、基材2の面2aが自動洗浄されてから、当該基材2の面2aに化粧シート3が貼り付けられる。
この結果、簡易な装置構成で、化粧シート3を貼り付ける直前の基材表面2aを自動洗浄可能となる。
【0042】
また、拭き取り具として回転ローラー32を用いる場合、適宜、回転ローラー32を回転変位させることで、拭き取り具の局所汚染や局所劣化を抑制することができる。この結果、拭き取り具の保守間隔を長く設定可能となる。
【0043】
また、洗浄を洗浄ブース30内で実行することで、洗浄液34の蒸気の飛散が防止され、防護マスクの着用が不要となる。
【0044】
(その他)
本開示は、次のような構成も取り得る。
(1)長尺の金属製基材の表面に化粧シートを貼り付けてなる化粧部品を製造する化粧製品製造装置であって、
上記化粧シートを貼り付ける前の金属製基材の表面を洗浄する洗浄装置を備え、
上記洗浄装置は、
上記金属製基材を搬送する搬送装置と、
上記搬送装置で搬送中の上記金属製基材の表面に摺接する拭き取り具と、
上記拭き取り具の摺接面に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、
を備える。
(2)上記拭き取り具は、上記金属製基材の表面に摺接する回転ローラーを有し、
上記回転ローラーの軸が、上記金属製基材の搬送方向に直交する方向から傾けて配置されることで、上記回転ローラーの軸回転が抑制される構成となっている。
(3)上記洗浄液供給装置は、上記回転ローラーに対し洗浄液を添加することで供給する構成となっている。
(4)上記摺接面に上記洗浄液が供給される上記回転ローラーの下流に、上記金属製基材表面に摺接する第2の回転ローラー(検査用の回転ローラー)を配置する。
(5)上記金属製基材における、上記拭き取り具が摺接する部分を囲むブースを有し、
そのブースに排気ダクトが接続する。
(6)長尺の金属製基材の表面を洗浄する表面処理方法であって、
搬送中の上記金属製基材の表面に、洗浄液が供給された拭き取り具を摺接させることで、上記金属製基材の表面を洗浄し、
上記拭き取り具は回転ローラーからなり、当該回転ローラーの軸を、上記金属製基材の搬送方向に直交する方向から傾けて配置することで、上記回転ローラーの軸回転を抑制する。
(7)複数の金属製基材を、基材間に隙間を空けた状態で順次搬送して、各金属製基材を順次洗浄する。
【符号の説明】
【0045】
1 化粧部品
2 金属製基材
2a 面(基材の洗浄する面)
3 化粧シート
10 置き台
10a ロール
20 投入ブース
22 送りローラー(搬送装置)
30 洗浄ブース
32 回転ローラー(拭き取り具)
32a ローラー本体
32b 軸部材
33 洗浄液供給装置
33a ノズル
34 洗浄液
35 可動装置
37 排気ダクト
36 拭き取り具
36a パッド本体
37 排気ダクト
40 ラッピング機
41 案内ローラー
42 接着剤
43 ピンチローラー
P パスライン(搬送方向)
θ 傾きの角度
図1
図2
図3
図4
図5