(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084893
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】自立性包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/02 20060101AFI20230613BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B65D30/02 BRH
B65D30/02 ZAB
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199268
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々 志歩
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
【Fターム(参考)】
3E064AB13
3E064AB14
3E064AB15
3E064AB16
3E064BA24
3E064BA25
3E064BA38
3E064BA40
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA12
3E064EA18
3E064EA30
3E064FA04
3E064FA05
3E064GA01
3E064HM01
3E064HN06
3E064HP02
3E086AA23
3E086AC15
3E086AC16
3E086AD01
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA33
3E086BB01
3E086BB41
3E086BB74
3E086CA35
3E086CA40
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、ポリエチレン樹脂を主成分としながらも、自立性や注出性に優れた自立性包装袋を実現することである。
【解決手段】胴部2、底部5、分岐部6から構成されており、胴部の下部において前面積層体7と背面積層体8の間に底面積層体9が挿入され、周縁が熱シールされて、拡張可能に密封された底部を形成しており、前面側胴部3には、前面積層体が包装袋の高さ方向の略中央部で折り曲げられて前方向に張り出した分岐部6が形成されており、分岐部は周縁が熱シールされて注出筒11を形成しており、注出筒の先端には切り取りによって注出口12を形成するための開封予定線13が設けられ、包装袋全体に占めるポリエチレン樹脂の質量が、90重量%以上であることを特徴とする自立性包装袋である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも基材層とシーラント層を有する積層体である前面積層体と背面積層体と底面積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋であって、
胴部、底部、分岐部から構成されており、
胴部は、前面側胴部および背面側胴部よりなり、左右両側端部は熱シールされており、
胴部の下部において前面積層体と背面積層体の間に底面積層体が挿入され、周縁が熱シールされて、拡張可能に密封された底部を形成しており、
胴部の上端部は充填口であって、内容物の充填後に熱シールされて上端部のシール部を形成し、
前面側胴部には、前面積層体が包装袋の高さ方向の略中央部で折り曲げられて前方向に張り出した分岐部が形成されており、
分岐部は周縁が熱シールされて注出筒を形成しており、注出筒の先端の高さは前記上端部のシール部の高さよりも低く、
注出筒の先端には切り取りによって注出口を形成するための開封予定線が設けられ、
包装袋全体に占めるポリエチレン樹脂の質量が、90重量%以上であることを特徴とする自立性包装袋。
【請求項2】
包装袋を構成する積層体の基材層とシーラント層の間に、酸素および水蒸気の透過を抑制するガスバリア層を有することを特徴とする請求項1に記載の自立性包装袋。
【請求項3】
包装袋を構成する積層体の基材層は、未延伸の高密度ポリエチレン樹脂であるかまたは一軸延伸の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の自立性包装袋。
【請求項4】
包装袋を構成する積層体のシーラント層は、密度が0.925g/cm3未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、環状ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自立性包装袋。
【請求項5】
自立性包装袋の幅は、110mm以上140mm以下であり、高さは200mm以上230mm以下であり、底面積層体の折込幅は30mm以上40mm以下であり、300ml以上450ml以下の内容物を収納可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自立性包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立性を有する詰替用包装袋に関し、特にポリエチレン樹脂を主要な材料として用いることにより、リサイクル性を高めた自立性包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂フィルムを材料として用いた包装袋は、さまざまな用途に広く用いられている。その多くは、目的とする用途や性能に応じて、複数種類の合成樹脂フィルムを積層した積層体を用いて構成されている。
【0003】
例えば、最内層には低温でのヒートシール適性を有するシーラント樹脂を用い、最外層には、ポリエステル樹脂のような耐熱性を有する基材フィルムを用いるといった構成である。場合によっては、基材層とシーラント層の間に例えばナイロン樹脂の中間層を挿入して、積層体の腰の強さや破袋強度の向上などを図る場合もある。
【0004】
しかし近年地球環境保護の立場から、使用後の包装袋のリサイクル性が重要視されるようになっており、このような複数の材料を組み合わせた包装袋が問題視されるようになってきた。これは、多種類の材料を組み合わせた積層体の場合、最も理想的なリサイクル方法であるマテリアルリサイクルが不可能であるという事に起因している。
【0005】
特許文献1には、一軸延伸したポリオレフィン系樹脂フィルムとポリオレフィン系のヒートシール層からなる積層体が開示されている。この発明の主眼は一軸延伸フィルムによる易引き裂き性を有する積層体であるが、結果として同系統の樹脂からなる積層体となっている。しかしながら、包装体としての強度について規定されるものはなく、必要に応じて二軸延伸ナイロンやポリエステルなどのフィルムを積層しておくことも可能との記載があり、環境問題に対した課題に対応したものではない。
【0006】
一方、包装袋の用途として詰め替え用の容器としての用途が大きな比重を占めている。一般的な詰め替え容器は、
図7に示したような形状をしており、前面積層体と背面積層体の間に底面積層体を挿入したいわゆるスタンディングパウチと称する自立性包装袋である。このような形状の自立性包装袋をポリオレフィン系樹脂のみから構成される積層体を用いて作成すると、積層体の腰が弱いために、包装袋の上部が折れ曲がって垂れ下がるいわゆるお辞儀をするという現象が発生し易いという問題や、内容物を注出する際に、注出筒が折れ曲がり易く、注出性が悪いという問題があった。
【0007】
包装袋を単一の材質で作成しようとする場合、コストや製造のし易さ等を考慮するとポリエチレン樹脂が最も適しているが、上記のような問題があるために、ポリエチレン樹脂を主成分とする
図7に示したような自立性包装袋を実現することが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、ポリエチレン樹脂を主成分としながらも、自立性や注出性に優れた自立性包装袋を実現することである。出願人は先に、特願2020-007542において、輸送時の振動や落下に起因するピンホールやシワの発生がなく、また一連の詰め替え作業をより容易に行うことができる詰め替え用包装袋を提案した。しかしこの包装袋はポリエチレン樹脂のみからなることを前提としていないものである。また、出願人は先に特願2020-160723、および特願2020-160726において、ポリエチレン樹脂を主成分とする積層体およびスタンディングパウチを提案しているが、どうしても積層体の腰が弱いため、例えば
図3に示したような縦長の形状のスタンディングパウチを作成した場合、前述のようにお辞儀をしてしまうという問題が解決することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、いずれも基材層とシーラント層を有する積層体である前面積層体と背面積層体と底面積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋であって、胴部、底部、分岐部から構成されており、胴部は、前面側胴部および背面側胴部よりなり、左右両側端部は熱シールされており、胴部の下部において前面積層体と背面積層体の間に底面積層体が挿入され、周縁が熱シールされて、拡張可能に密封された底部を形成しており、胴部の上端部は充填口であって、内容物の充填後に熱シールされて上端部のシール部を形成し、前面側胴部には、前面積層体が包装袋の高さ方向の略中央部で折り曲げられて前方向に張り出した分岐部が形成されており、分岐部は周縁が熱シールされて注出筒を形成しており、注出筒の先端の高さは前記上端部のシール部の高さよりも低く、注出筒の先端には切り取りによって注出口を形成するための開封予定線が設けられ、包装袋全体に占めるポリエチレン樹脂の質量が、90重量%以上であることを特徴とする自立性包装袋である。
【0011】
本発明に係る自立性包装袋は、前面に分岐部を設け、注出口を分岐部の先端部に設けるという形状を採用したことにより、ポリエチレン樹脂を主材料とする自立性包装袋を実現することができた。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、包装袋を構成する積層体の基材層とシーラント層の間に、酸素および水蒸気の透過を抑制するガスバリア層を有することを特徴とする請求項1に記載の自立性包装袋である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、包装袋を構成する積層体の基材層が、未延伸の高密度ポリエチレン樹脂であるかまたは一軸延伸の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の自立性包装袋である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、包装袋を構成する積層体のシーラント層が、密度が0.925g/cm3未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、環状ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自立性包装袋である。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、自立性包装袋の幅が、110mm以上140mm以下であり、高さが200mm以上230mm以下であり、底面積層体の折込幅が30mm以上40mm以下であり、300ml以上450ml以下の内容物を収納可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自立性包装袋である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自立性包装袋は、包装袋全体に占めるポリエチレン樹脂の質量が、90重量%以上であるため、マテリアルリサイクルが可能である。
【0017】
ポリエチレン樹脂が主体の積層体は、柔軟性が高いため、従来の形状のスタンディングパウチでは、上部が垂れ下がるいわゆるお辞儀現象が生じるが、本発明に係る包装袋は中央部に分岐部が存在するため、全体の剛性が高まり、お辞儀現象が発生しない。
【0018】
積層体の柔軟性が高いため、内容物を絞り出して最後まで注出する操作が容易に可能となり、詰め替え終了時に包装袋内部に残る内容物の量が減少する。また注出筒が中央部にあるため2つ折りにすることにより、半分のサイズになり、さらに絞り出し易くなった。また、注出筒が中央部にあるため、注出口を容器に差し込んだ際に詰替え容器が安定するという効果もある。
【0019】
請求項2に記載の発明のように、包装袋を構成する積層体の基材層とシーラント層の間に、酸素および水蒸気の透過を抑制するガスバリア層を有する場合には、変質し易い内容物であっても、長期保存が可能な包装袋とすることができる。
【0020】
請求項3および4に記載の発明のように、包装袋を構成する積層体の基材層が、未延伸の高密度ポリエチレン樹脂であるかまたは一軸延伸の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であり、シーラント層が、密度0.925g/cm3未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、環状ポリオレフィン樹脂を含むものである場合には、本発明の特徴を最も顕著に現すものとなる。
【0021】
請求項5に記載の発明のように、自立性包装袋の幅が、110mm以上140mm以下であり、高さが200mm以上230mm以下であり、底面積層体の折込幅が30mm以上40mm以下であり、300ml以上450ml以下の内容物を収納可能である場合には、同様に本発明の特徴を最も顕著に現すものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係る自立性包装袋の一実施態様を示した正面模式図である。
【
図2】
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した本発明に係る自立性包装袋の使用方法を示した説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した本発明に係る自立性包装袋の使用方法を示した説明図であり、詰換先容器に包装袋の注出筒を挿入した状態を示したものである。
【
図5】
図5は、本発明に係る自立性包装袋を構成する積層体の基本的な層構成を示した断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る自立性包装袋を構成する積層体の層構成の他の例を示した断面模式図である。
【
図7】
図7は、従来の一般的な自立性包装袋の例を示した正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明に係る自立性包装袋について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る自立性包装袋1の一実施態様を示した正面模式図である。
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
図5は、本発明に係る自立性包装袋1を構成する積層体の基本的な層構成を示した断面模式図である。
【0024】
本発明に係る自立性包装袋は、いずれも基材層21とシーラント層23を有する積層体である前面積層体7と背面積層体8と底面積層体9の、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋である。
【0025】
本発明に係る自立性包装袋1は、胴部2と、底部5と、分岐部6とから構成されており、胴部2は、前面側胴部3および背面側胴部よりなり、左右両側端部は熱シールされている。
【0026】
胴部2の下部においてシーラント層同士を対向させた前面積層体7と背面積層体8の間に、シーラント層を外側にして2つ折りにした底面積層体9が挿入され、周縁が熱シールされて、拡張可能に密封された底部5を形成している。これにより、内容物が充填されることにより底部5が拡張して自立性が生じる。
【0027】
胴部2の上端部は充填口10であって、内容物の充填後に熱シールされて上端部のシール部を形成する。
図1、2は、充填前の未シール状態を示している。
【0028】
前面側胴部3には、前面積層体7が包装袋1の高さ方向の略中央部で折り曲げられて前方向に張り出した分岐部6が形成されており、分岐部6は周縁が熱シールされて注出筒11を形成しており、注出筒11の先端の高さは前記上端部のシール部の高さよりも低い。
【0029】
注出筒11の先端には切り取りによって注出口12を形成するための開封予定線13が設けられている。開封予定線13は、単なる仮想的な線であっても良いし、例えばハーフカット線のように、開封し易いように加工された線であっても良い。
【0030】
本発明に係る自立性包装袋1においては、包装袋全体に占めるポリエチレン樹脂の質量が、90重量%以上であることを特徴とする。このようにほぼ単一の材料で構成されているため、使用後にはマテリアルリサイクルが可能であり、地球環境保護の立場から好ましいものとなっている。
【0031】
図7は、従来の一般的な自立性包装袋の例を示した正面模式図である。従来の自立性包装袋1´は、前面積層体7と背面積層体8のシーラント層同士を対向させ、この間に、シーラント層を外側にして2つ折りにした底面積層体9を挿入して周縁部を熱シールしたものである。一般的に注出口12や注出筒11は包装袋の最上部に設けられている。
【0032】
このような形状の自立性包装袋は、積層体にある程度の腰の強さが必要であり、そのために例えば基材層をポリエステル樹脂フィルムとし、シーラント層をポリエチレン樹脂とし、その間に中間層としてナイロン樹脂フィルムを挿入して剛性を高めるといったことが行われている。
【0033】
しかしこのような複数種類の合成樹脂を含む包装袋は、使用後に単一な材料としてリサイクルすることができないという問題があった。従来のこのような形状の自立性包装袋を例えばポリエチレン樹脂を主体とする積層体を用いて作成した場合、どうしても積層体の腰が弱いため、自立性に劣り、上部が折れていわゆるお辞儀をする現象が生じる。この場合、店頭に陳列した時に訴求効果が著しく低下する結果となる。
【0034】
本発明に係る自立性包装袋1においては、前面側胴部3に、前面積層体7が包装袋の高さ方向の略中央部で折り曲げられて前方向に張り出した分岐部6を形成し、分岐部6の先端部に注出筒11と注出口12を有するので、包装袋全体の剛性が高まり、ポリエチレン樹脂を主体とする積層体を用いて作成しても安定した自立性を発揮することが可能となったのである。
【0035】
図3および
図4は、本発明に係る自立性包装袋1の使用方法を説明した説明図である。内容部を注出する際には、
図3に示したように胴部2の上部を後ろ側に倒して、胴部を二
つ折りにする。こうすることにより開封予定線13に沿って注出筒11の先端を切り取って注出口12を開口させる操作がし易くなる。
【0036】
次に
図4に示したように、全体を倒立させて、詰替先容器の口に注出筒11を差し込み、内容物を移し替える。注出後は、包装袋内部に残った内容物を絞り出して残留物が少ないようにする必要があるが、ポリエチレン樹脂を主体とした積層体は柔軟であるため、この絞り出しに当たっては、容器を丸めて絞り出す操作も可能であるため、絞り出しによってもなお残留する内容物の量を極限まで低下させることができる。
【0037】
図5は、本発明に係る自立性包装袋1を構成する積層体(7、8、9)の基本的な層構成を示した断面模式図である。また
図6は、本発明に係る自立性包装袋1を構成する積層体の層構成の他の例を示した断面模式図である
【0038】
図5に示した例では、積層体は、基材層21とシーラント層23とから構成されている。
図6に示した例では、積層体は、基材層21とガスバリア層22とシーラント層23とから構成されている。いずれの図でも各層の間に存在する接着剤層は省略されている。
【0039】
基材層21としては、各種ポリエチレン樹脂が使用可能であるが、未延伸の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)であるかまたは一軸延伸の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)であることが好ましい。
【0040】
シーラント層23としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
【0041】
シーラント層23としては、密度が0.925g/cm3未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)と、環状ポリオレフィン樹脂を含むものであることが、より好ましい結果を得られることが分かっている。
【0042】
ガスバリア層22としては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層などを用いることができる。
【0043】
ポリエチレン樹脂以外のガスバリア層を付加する場合には、ポリエチレン樹脂の質量が90%以上になるようにする必要がある。このためには、ガスバリア層の厚さを薄くするとか、基材層やシーラント層の厚さを増やす等の対策が有効である。
【0044】
本発明に係る自立性包装袋1は、全体の寸法が大きすぎても小さすぎても、その性能を安定的に発揮することができない場合がある。好ましい寸法としては、幅が、110mm以上140mm以下であり、高さは200mm以上230mm以下であり、底面積層体の折込幅は30mm以上40mm以下であり、300ml以上450ml以下の内容物を収納可能であることが最も好ましい。以下実施例および比較例に基づいて本発明に係る自立
性包装袋の優位性について説明する。
【実施例0045】
図1に示したような形状の自立性包装袋を作成し、ヘアーコンディショナーを350g充填して、詰め替え時の持ち易さや、注出口の差し込み易さ、注出時の安定性、注出性、詰め替えに要する時間等について評価した。
【0046】
積層体の構成としては、基材層として厚さ35μmの高密度ポリエチレン樹脂を用い、シーラント層として厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を用いた。包装袋の寸法は、幅125mm、高さ216mm、底辺から分岐部の付け根までの距離108mm、シール部を含む注出口の幅を26mmとした。
【0047】
<比較例1>
実施例に使用したものと同じ層構成の積層体を用いて
図7に示したような従来の形状の自立性包装袋を作成し、実施例と同じ内容物を充填し、同様に評価した。
【0048】
<比較例2>
積層体の層構成として、基材層として厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムを用い、ガスバリア層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムにアルミニウムを蒸着したものを用い、シーラント層として厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を用いた。この積層体を用いて、
図1に示した形状の自立性包装袋を作成し、同様に評価した。包装袋の各寸法は実施例と同じである。
【0049】
<比較例3>
比較例2に用いた積層体を用いて
図7に示したような従来の形状の自立性包装袋を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0050】
【0051】
比較例1では、腰がないので、包装袋を傾けるときに緊張感がある。また傾けても自重で口が開かない。注出口を詰替先のボトルに差し込んでもぐらぐらするため安定性は低い。
【0052】
実施例では、半分に折り込むことで、サイズが小さくなるため持ち易い。包装袋は柔らかいが注出口をボトルに差し込んだ後、注出口が中央にあるため安定する。またサイズが小さく、包装袋が柔らかいため搾り易く、内容物の残量が少ない。
【0053】
表1の結果から、本発明に係る自立性包装袋の優位性が分かる。