(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085698
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】空調管理装置、空調管理プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/79 20180101AFI20230614BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230614BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20230614BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F11/46
F24F11/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199884
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯邑 隆司
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB07
3L260BA07
3L260BA08
3L260BA18
3L260BA19
3L260BA75
3L260CA02
3L260CA03
3L260CA28
3L260CA29
3L260EA28
3L260FA07
3L260FA08
3L260FB44
(57)【要約】
【課題】空気流の吹き出し口置と排気可能な構造物の位置、及び施設内に存在する物体の状態に応じて、施設内の換気に適した空気流を送出することが可能な空調管理装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態における空調管理装置は、情報入力処理部、画像処理部、空調制御情報設定部、空調制御部とを有する。情報入力処理部は、施設内に設けられた、空調機から送出される空気流の吹き出し口及び排気可能な構造物のそれぞれの位置に関する施設情報を入力する。画像処理部は、前記施設内の画像を撮影する撮像デバイスにより撮影された画像をもとに、前記施設内に存在する物体の状態を検出する。空調制御情報設定部は、前記画像処理部により検出された物体の状態と前記施設情報が示す前記構造物の位置に基づいて、前記空調機を制御するための空調制御情報を設定する前記空調機を制御するための空調制御情報を設定する。空調制御部は、前記空調制御情報に基づいて前記空調機を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に設けられた、空調機から送出される空気流の吹き出し口及び排気可能な構造物のそれぞれの位置に関する施設情報を入力する情報入力処理部と、
前記施設内の画像を撮影する撮像デバイスにより撮影された画像をもとに、前記施設内に存在する物体の状態を検出する画像処理部と、
前記画像処理部により検出された物体の状態と前記施設情報が示す前記構造物の位置に基づいて、前記空調機を制御するための空調制御情報を設定する空調制御情報設定部と、
前記空調制御情報に基づいて前記空調機を制御する空調制御部と
を有する空調管理装置。
【請求項2】
前記空調制御情報設定部は、前記吹き出し口から前記構造物の方向に形成される略直線状に形成される、前記吹き出し口からの空気流に対して、前記画像処理部によって検出された物体が障害となる場合に、前記物体の位置に応じて前記吹き出し口からの空気流の方向、強度、あるいは送出時間の少なくとも1つを制御するための前記空調制御情報を設定し、
前記空調制御部は、前記空調制御情報に基づいて、前記吹き出し口からの空気流の送出を制御する請求項1記載の空調管理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記施設内に存在する滞在者を検出し、
前記空調制御情報設定部は、前記滞在者が存在する場所に応じて、前記吹き出し口からの空気流の方向を制御するための空調制御情報を設定する、請求項2記載の空調管理装置。
【請求項4】
前記空調制御情報設定部は、前記画像処理部により滞在者が検出された場合に、前記空調制御情報に応じた制御をする時間間隔を前記滞在者に応じて設定し、
前記空調制御部は、前記時間間隔に従い、前記空調制御情報に応じて、前記吹き出し口からの空気流の送出を制御する請求項2記載の空調管理装置。
【請求項5】
前記空調制御情報設定部は、前記画像処理部により滞在者が検出された場合に、前記滞在者の人数に基づいて前記空調制御情報を設定する、請求項3または請求項4記載の空調管理装置。
【請求項6】
前記空調制御情報設定部は、前記画像処理部により滞在者が不在となったことが検出された場合に、前記滞在者がいる場合の前記空調制御情報とは異なる、短時間で換気をするための空調制御情報を設定する請求項3~5の何れかに記載の空調管理装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記施設内に存在する、排気可能な前記構造物の開閉状態を検出し、
前記空調制御情報設定部は、前記画像処理部によって開状態が検出された前記構造物を前記吹き出し口として前記空調制御情報を設定する、請求項2記載の空調管理装置。
【請求項8】
前記空調制御情報設定部は、前記吹き出し口から前記構造物の方向に形成される略直線状に形成される前記吹き出し口からの空気流に対する、前記物体による障害の状況を示す遮蔽率を求め、前記遮蔽率をもとに空調制御情報を設定する、請求項2記載の空調管理装置。
【請求項9】
前記空調制御情報設定部により前記空調制御情報を設定するための状態が整っていない場合に、外部に通知する通知部をさらに有する請求項2記載の空調管理装置。
【請求項10】
前記排気可能な構造物には、空気清浄機能を有する機器の吸い込み口を含む請求項1記載の空調管理装置。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記画像をもとに、前記施設内に存在する前記構造物の位置を検出し、
前記情報入力処理部は、前記画像処理部により検出された前記構造物の位置を前記施設情報として入力する請求項1記載の空調管理装置。
【請求項12】
前記情報入力処理部は、操作者による操作部に対する入力操作に応じて、前記施設情報を入力する請求項1記載の空調管理装置。
【請求項13】
前記情報入力処理部は、施設内に設けられた前記吹き出し口及び前記構造物の位置に関する情報を含む施設の図面情報を前記施設情報として外部装置から収集する請求項1記載の空調管理装置。
【請求項14】
コンピュータを、
施設内に設けられた、空調機から送出される空気流の吹き出し口及び排気可能な構造物のそれぞれの位置に関する施設情報を入力する情報入力処理部と、
前記施設内の画像を撮影する撮像デバイスにより撮影された画像をもとに、前記施設内に存在する物体の状態を検出する画像処理部と、
前記画像処理部により検出された物体の状態と前記施設情報が示す前記構造物の位置に基づいて、前記空調機を制御するための空調制御情報を設定する空調制御情報設定部と、
前記空調制御情報に基づいて前記空調機を制御する空調制御部として機能させるための空調管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調管理装置、空調管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気流をつかって対象の滞在者に冷風を当てるなど、効率的な冷房、暖房をするための種々の方法が考えられている。その一方、ビル・施設においては、二酸化炭素濃度を所定値以下に抑える必要があり、排気のための構造物(排気口など)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内に設置されている空気調和器は、空気調和器に付属する換気口を除くと、建屋に付属する排気口についての情報がなく、室内に空気が滞留するために、効率的な換気ができていない。また、室内にキャビネットやパーティションといった風を遮る什器があると、遮蔽の影響で、換気に適切な風向、風量の調整ができないという課題がある。さらに、室内に人が出入りする場合、室内における滞在者の有無、滞在者の人数によっても、換気に適切な風向、風量の状況が異なる。
【0005】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、空気流の吹き出し口置と排気可能な構造物の位置、及び施設内に存在する物体の状態に応じて、施設内の換気に適した空気流を送出することが可能な空調管理装置、空調管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本実施形態における空調管理装置は、情報入力処理部、画像処理部、空調制御情報設定部、空調制御部とを有する。情報入力処理部は、施設内に設けられた、空調機から送出される空気流の吹き出し口及び排気可能な構造物のそれぞれの位置に関する施設情報を入力する。画像処理部は、前記施設内の画像を撮影する撮像デバイスにより撮影された画像をもとに、前記施設内に存在する物体の状態を検出する。空調制御情報設定部は、前記画像処理部により検出された物体の状態と前記施設情報が示す前記構造物の位置に基づいて、前記空調機を制御するための空調制御情報を設定する。空調制御部は、前記空調制御情報に基づいて前記空調機を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における空調制御システムによる空調管理の対象とされる施設に設けられる制御機器類の一例を示す図。
【
図2】本実施形態の空調制御システムの構成を示すブロック図。
【
図3】施設情報/空調制御情報DBに記録される施設情報の一例を示す図。
【
図4】施設情報/空調制御情報DBに記録される空調制御情報の一例を示す図。
【
図5】本実施形態における空調管理装置の換気制御のための動作を示すフローチャート。
【
図6】空調エリアにおける空調機、通気口や排気可能な構造物の配置の一例を示す図。
【
図7】遮蔽率の簡易計算の一例を説明するための図。
【
図8】遮蔽率の簡易計算の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1及び
図2は、本実施形態の空調制御システムの全体構成を示す図である。
図1は、空調制御システムによる空調管理の対象とされる施設に設けられる制御機器類の一例を示し、
図2は、本実施形態の空調制御システムの構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示す施設100は、例えば、4つの空調エリア6(6a,6b,6c,6d)に分けられており、それぞれ壁により独立した空間を形成している。さらに、空調エリア6a,6bと空調エリア6c,6dとの間には通路エリア6eが設けられ、各空調エリア6の通路となっている。各空調エリア6に設けられたドアや窓は、図示を省略している。窓やドアなどの開閉可能な構造物も空調制御に利用する排気口として扱うことができる。
【0011】
各空調エリア6を形成する部屋には、通気口7(7a,7b,7c,7d)が設けられている。同じく排気可能な構造物8(8a,8b,8c,8d)が設けられている。通気口7及び排気可能な構造物8は、
図2に示す施設排気制御装置5により、強制的に吸気及び排気が制御される。なお、通気口7及び/または排気可能な構造物8は、自然通気口であってもよく、何れか1つで吸気と排気を兼ねる通気口であってもよい。また、空気清浄機能を有する空気清浄機が空調エリア6に設置されている場合には、空気清浄機(吸い込み口)を排気可能な構造物8として、施設排気制御装置5により制御されるようにしても良い。
【0012】
また、空調エリア6a,6b,6cには、障害物9が設置されている。障害物9の例としては、例えば、キャビネット、パーティション、カーテン、プレゼン用のスクリーンやディスプレイ、椅子、テーブル、その他の什器類が挙げられ、何れも後述の吹き出し口から送出される空気流を妨げる働きをする。障害物9は、固定された状態で設置されるだけでなく、任意に位置が変更される可搬式のものを含む。
【0013】
また、各空調エリア6を形成する部屋には、空調機10(10a,10b,10c,10d)が設けられる。空調機10は、例えば、各空調エリア6の天井部分に設置された空調機であり、図示していない室外機に通常接続され、
図2に示す空調制御装置3によりそれぞれ制御される。空調機10には、空気流の吹き出し口にあたる開口部が形成されている。
【0014】
空調機10は、
図1に示すように、各空調エリア6の天井中央部に設置される場合もあるが、壁面に設置され、空気流の垂直成分に較べ水平成分が増えている場合も多い。あるいは、床面に置かれ、より水平成分の空気流が支配的となる場合もある。
【0015】
また、各空調エリア6を形成する部屋には、撮像デバイス11(11a,11b,11c,11d)が設けられる。撮像デバイス11は、例えば、各空調エリア6の天井部分に設置され、室内全体の画像を撮影する。撮像デバイス11は、
図2に示す撮像制御装置4によりそれぞれ制御される。
【0016】
通信部20(20a,20b,20c,20d)は、それぞれに対応する空調機10(10a,10b,10c,10d)と空調制御装置3との間の通信を制御する。また、通信部21(21a,21b,21c,21d)は、それぞれに対応する撮像デバイス11(11a,11b,11c,11d)と撮像制御装置4との間の通信を制御する。
【0017】
図2に示すように、空調制御装置3は、各空調エリア6に配置された空調機10を制御する。撮像制御装置4は、各空調エリア6に設置された撮像デバイス11を制御する。施設換気制御装置5は、施設の設備として設けられた排気のための制御装置であり、通気口7及び構造物(排気口)8を制御する。空調制御装置3、撮像制御装置4、及び施設換気制御装置5は、連携制御を行う空調管理装置200に接続されている。
【0018】
空調制御装置3は、空調機10に設けられたセンサにより検出された現在の測定情報(温度、湿度等)、設定情報(温度、風量、風向など)を受信して、空調管理装置200(空調通信部31)に送る。また、空調制御装置3は、空調管理装置200からの空調制御の情報をもとに、空調機10の動作(空気流の方向、強度、送出時間など)を制御する。
【0019】
撮像制御装置4は、撮像デバイス1(11a~11d)で収集された撮像(画像)データを受信して、空調管理装置200(撮像制御装置4)に送る。
【0020】
施設排気制御装置5は、通気口7及び構造物(排気口)8の制御状態の情報を収集して、空調管理装置200(換気制御通信部33)に送る。
【0021】
空調管理装置200は、空調制御装置3、撮像制御装置4、施設排気制御装置5から収集された情報をもとに効果的な空調をするための空調制御情報を生成して、空調制御装置3、撮像制御装置5、施設換気制御装置5を連携動作させる。すなわち、空調管理装置200は、各空調機10、各撮像デバイス11、通気口7及び排気可能な構造物8の制御をする施設換気制御装置5に制御信号を送る。
【0022】
空調管理装置200は、連携制御装置30、空調通信部31、撮像デバイス通信部32、換気制御通信部33、通知制御通信部34、撮像データDB(データベース)37、施設情報/空調制御情報DB(データベース)38を有する。
【0023】
空調管理装置200は、コンピュータの機能が実装され、プロセッサ、メモリ、記憶装置、通信装置などが設けられる。メモリには、コンピュータを各部として機能させるための空調管理プログラムが記憶される。プロセッサは、空調管理プログラムを実行することにより、各部の機能を実現させることができる。
【0024】
連携制御装置30は、空調通信部31を介して空調制御装置3を制御し、撮像デバイス通信部32を介して撮像制御装置4を制御し、換気制御通信部33を介して施設排気制御装置5を制御する。
【0025】
また、連携制御装置30は、通信制御処理部34を通じて、外部装置との情報の送受信をする。通信制御処理部34は、連携制御装置30の制御のもとで、LAN(Local Area Network)、インターネット、公衆回線網などを含むネットワーク40を介して、電子機器41や管理システム42との間の通信を制御する。
【0026】
電子機器41は、例えば空調制御システムの管理者や施設100の利用者が使用するもので、例えばスマートフォンやパーソナルコンピュータ(PC)などである。管理システム42は、例えば施設100や空調制御システムを管理するシステムである。例えば、管理システム42は、施設100が会議室などの場合、予約管理や利用状況、空調状況などを管理する。また、管理システム42は、施設100に設けられた空調機10の吹き出し口及び通気口7及排気可能な構造物(排気口8)の位置に関する情報(例えば、設置位置、開口面積など)を含む施設の図面情報を記憶する。管理システム42は、空調管理装置200からの要求に応じて、図面情報を提供することができる。
【0027】
また、連携制御装置30は、ディスプレイなどの表示及びキーボードやタッチパネルなどの入力装置を有する操作部35を通じて、各種情報や空調制御に関する指示の入力や、空調制御に関する情報などの出力を制御する。
【0028】
連携制御装置30は、撮像処理部30A、画像処理部30B、情報入力処理部30C、施設情報設定部30D、空調制御情報設定部30E、空調制御部30F、施設換気部30G、通知部30Hの機能を含む。
【0029】
撮像処理部30Aは、撮像デバイス通信部32を通じて収集される、施設100を撮像デバイス11により撮影した撮像(画像)データを、撮像データDB37に記録する処理を実行する。
【0030】
画像処理部30Bは、撮像データDB37に記録された撮像(画像)データをもとに、施設100内に存在する物体の状態を検出する画像処理を実行する。施設100内に存在する物体としては、例えば滞在者(人)、通気口7や排気可能な構造物8、ドアや窓、キャビネット、パーティション、他の什器類などを含む。画像処理部30Bは、物体の位置の他、ドアや窓等を含む通気口7及び排気可能な構造物8の開閉状態を、撮像デバイス11により撮影された画像に対する画像処理により検出することができる。
【0031】
情報入力処理部30Cは、施設内に設けられた、空調のための室外機とつながる空調機10の吹き出し口及び排気可能な構造物8のそれぞれの位置に関する施設情報を入力する処理を実行する。情報入力処理部30Cは、例えば、画像処理部30Bにより検出された構造物の位置を施設情報として入力する。また、情報入力処理部30Cは、操作者による操作部35に対する入力操作に応じて施設情報を入力することができる。また、情報入力処理部30Cは、施設100内に設けられた吹き出し口及び構造物8の位置に関する情報を含む施設の図面情報を、通知制御通信部34を通じて管理システム42から収集することもできる。施設の図面情報を利用することで、施設情報の入力の手間を省くことができる。
【0032】
施設情報設定部30Dは、情報入力処理部30Cにより収集された、空調機10の吹き出し口及び排気可能な構造物8のそれぞれの位置に関する施設情報を施設情報/空調制御情報DB38に記録する。
【0033】
空調制御情報設定部30Eは、施設情報/空調制御情報DB38に記録された施設情報、画像処理部30Bによる画像処理により検出された滞在者(人数、位置、向きなど)や換気の障害となる物体(数、位置、高さ、向き等)等に基づいて、空調機10を制御するための空調制御情報を生成して、施設情報/空調制御情報DB38に記録する。空調制御情報には、施設100内の換気のための空気流を空調機10から送出させるための換気制御情報を含む。空調制御情報(換気制御情報)は、空調機10の吹き出し口から通気口7や排気可能な構造物8の方向に形成される略直線状に形成される、吹き出し口からの空気流に対して、画像処理部30Bによって検出された物体が障害となる場合に、物体の位置に応じて吹き出し口からの空気流の方向、強度、あるいは送出時間の少なくとも1つを制御するための情報を含む。
【0034】
また、空調制御情報設定部30Eは、滞在者が存在する場所に応じて、吹き出し口からの空気流の方向を制御する、あるいは滞在者の人数に基づいて空調制御情報を設定することができる。また、空調制御情報設定部30Eは、滞在者が検出された場合に、空調制御情報に応じた制御をする時間間隔を滞在者に応じて設定することもできる。
【0035】
さらに、空調制御情報設定部30Eは、滞在者が不在となったことが検出された場合に、滞在者がいる場合の空調制御情報とは異なる、短時間で換気をするための空調制御情報(換気制御情報)を設定することができる。
【0036】
空調制御部30Fは、施設情報設定部30Dによって設定される空調制御情報に応じて、空調通信部31を介して、空調制御装置3により空調機10の吹き出し口からの空気流の送出を制御させる。なお、空調制御部30Fは、空調制御情報に応じて、空調制御装置3を介さずに、直接、空調機10の吹き出し口からの空気流の送出を制御することも可能である。
【0037】
施設換気部30Gは、換気制御通信部33を通じて施設排気制御装置5を制御し、通気口7及び/または排気可能な構造物8の吸気及び排気を制御する。
【0038】
通知部30Hは、空調制御情報設定部30Eにより空調制御情報を設定するための状態が整っていない場合、例えば排気可能な通気口7や構造物8がない、空調機10の不調、遮蔽物(滞在者含む)が過剰に存在するなどする状況の場合に、通知制御通信部34を通じて、電子機器41あるいは管理システム42に通知する。
【0039】
図3は、施設情報/空調制御情報DB38に記録される施設情報38Aの一例を示す図である。
【0040】
図3に示すように、施設情報38Aには、空調エリア6(部屋1,2,…)毎の情報が記録される。
【0041】
例えば、施設情報38Aには、1つの空調エリア6(部屋)について、情報入力処理部30Cにより入力された施設情報に含まれる、空調エリア6に存在する物体、例えばキャビネット、パーティションなどの什器類に関する情報(数、位置、高さ、向き等)、空調エリア6に設けられた機器に関する情報などが記録される。
【0042】
また、施設情報38Aには、空調エリア6に設けられた空調機10に関する空調機情報(空調機10ごとの吹き出し口の位置、動作状態など)、通気口7に関する通気口情報(通気口7ごとの位置、開閉状態など)、排気可能な構造物8(排気口)に関する排気口情報(排気口ごとの位置、開閉状態など)、ドア/窓に関するドア/窓情報(ドア/窓ごとの位置、開閉状態など)、さらに、空調エリア6に空気清浄機能を有する空気清浄機が設置されている場合には、空気清浄機に関する空気清浄機情報(吸い込み口の位置、動作状態など)などを含む。
【0043】
施設情報38Aに記録される動作状態や開閉状態などは、撮像デバイス11により撮影された画像に対する画像処理部30Bによる画像処理により検出される他、空調制御装置3あるいは施設排気制御装置5から収集される情報をもとにして適宜更新される。
【0044】
図4は、施設情報/空調制御情報DB38に記録される空調制御情報38Bの一例を示す図である。
【0045】
図4に示すように、空調制御情報38Bには、空調エリア6(部屋1,2,…)毎の情報が記録される。
【0046】
例えば、空調制御情報38Bには、1つの空調エリア6(部屋)について、空調管理に必要な次話として、部屋に滞在する滞在者に関する滞在者情報(人数、位置、向きなど)、施設情報が提供されない任意に室内に運び込まれる可搬式のパーティション、プレゼン用のスクリーンやディスプレイ、椅子、テーブルなどの障害物に関する障害物情報(数、位置、高さ、向きなど)が記録される。
【0047】
空調制御情報38Bに記録される滞在者情報及び障害物情報は、例えば、撮像デバイス11により撮影された画像に対する画像処理部30Bによる画像処理により検出され、適宜更新される。
【0048】
また、空調制御情報38Bには、施設情報38A及び空調制御情報38Bの滞在者情報と障害物情報に基づいて、空調エリア6における換気を制御するための換気制御情報が記録される。
【0049】
換気制御情報には、例えば空調エリア6(室内)に滞在者がいる場合に実施される通常の空調制御に代えて換気動作を実行させる間隔(換気間隔時間)の他、空調エリア6に設置された空調機10ごとに、換気のための動作(風向、風量(強度)、換気動作時間、など)をさせるための制御情報が含まれる。
【0050】
次に、本実施形態における空調制御システムの動作について説明する。
【0051】
図5は、本実施形態における空調管理装置200の換気制御のための動作を示すフローチャートである。空調管理装置200は、空調エリア6に滞在者がいる場合には、空調機10による通常の空調動作がされている間に、所定時間毎に換気のための換気動作を、空調エリア6内に存在する障害物や通気口7や排気可能な構造物8の状態に基づいて空調機10により実行させる(第1換気制御)。また、空調管理装置200は、空調エリア6から滞在者がいなくなった場合に、第1換気制御と異なる、短時間に空調エリア6の換気が完了される換気動作を空調機10により実行させる(第2換気制御)
図6は、空調エリア6(室内)における空調機10、通気口7や排気可能な構造物8(窓やドアを含む)の配置の一例を示す図である。
図6に示す空調エリア6には、換気のための排気口となる複数のドア41A,41B、排気口42A,42B、窓43A,44Aが設けられている。また、空調エリア6には、空調の空気流に影響を与える障害物としてキャビネット45やパーティション46が設置されている。また、複数の滞在者50A,50B,50Cが存在していることを示している。また、空調エリア6には、例えば3台の空調機60A,60B,60Cが設置されている。
【0052】
換気を効率的に実施する場合、空調機60A,60B,60Cの吹き出し口から送出される換気用の空気流を、略直線状に排出口に向けて送出することが望ましい。例えば、ドア41Aが空いている状態にある場合、空調機60Bの吹き出し口からドア41Aに向けて空気流WBを送出する。
【0053】
一方、例えば、窓43Aが空いている状態にある場合、空調機60Aの吹き出し口から窓43Aに向けて、略直線状の空気流を送出した場合、キャビネット45が空気流を遮蔽するために効率的な換気をすることができない。こうした場合、キャビネット45の設置位置、高さ、向きなどを含む状態や他の排出口などの状態に応じて、空調機60Aの吹き出し口から送出する空気流WAの方向、強度、あるいは送出時間を制御する。これにより、キャビネット45による空気流に対する障害を回避して効率的な換気が実施できるようにする。
【0054】
空調管理装置200の連携制御装置30は、空調管理プログラムに基づく処理が開始されると、空調管理のための初期設定処理を実行する(ステップS1)。初期設定処理では、例えば、管理対象とする空調エリア6(会議室などの対象エリア)に関する施設情報を入力して、施設情報/空調制御情報DB38に記録する。情報入力処理部30Cは、例えば操作者による操作部35に対する入力操作によって入力された施設情報、管理システム42から収集される施設の図面情報をもとにした施設情報、あるいは撮像デバイス11により撮影された画像をもとにした画像処理部30Bにより検出された構造物に関する施設情報などを入力して、施設情報/空調制御情報DB38に記録する。
【0055】
一方、画像処理部30Bは、撮像制御装置4及び撮像デバイス通信部32を通じて収集された撮像デバイス11により撮像された画像に対して、滞在者を検出する画像処理を実行する。
【0056】
画像処理部30Bは、撮像デバイス11により撮像された画像から滞在者を検出できない場合(ステップS11、NO)、ΔT時間だけ時間経過してから(ステップS10)、同様にして、撮像デバイス11により撮像された画像から滞在者を検出する画像処理を実行する。
【0057】
画像処理部30Bにより滞在者が検出されると、滞在者がいる場合の第1換気制御に移行する。
【0058】
連携制御装置30は、換気動作を実行する所定時間が経過したかを判別する。すなわち、滞在者がいる場合には、空調機10により通常の空調動作が実行される。通常の空調動作では、空調機10に対して設定された設定温度(冷房、暖房)/風量に応じた空調風が空調機10から送出されている。この状態で所定時間が経過した場合に、換気のための動作を空調機10に実行させる。
【0059】
空調制御情報設定部30Eは、所定時間(換気間隔時間)が経過すると(ステップS12、YES)、第1換気制御のための空調制御情報を生成するために各種情報を収集する。すなわち、空調制御情報設定部30Eは、画像処理部30Bによる画像処理により検出される滞在者の位置を含む滞在者情報、障害物のサイズ/位置などを含む障害物情報を収集する(ステップS13)。また、空調制御情報設定部30Eは、施設情報が示す空調エリア6に存在する物体(什器など)の情報を収集する。
【0060】
また、空調制御情報設定部30Eは、施設情報が示す空調機情報、通気口7に関する通気口情報、排気可能な構造物8(排気口)に関する排気口情報を収集する(ステップS14)。
【0061】
なお、事前に滞在者情報、障害物情報、施設情報が設定されている場合には、この時点で収集しなくても良い。
【0062】
空調制御情報設定部30Eは、収集した各情報に基づいて、空調機10の吹き出し口から通気口7や排気可能な構造物8の方向に形成される略直線状に形成される、吹き出し口からの空気流に対して、画像処理部30Bによって検出された物体が障害となる場合に、物体の位置に応じて吹き出し口からの空気流の方向、強度、あるいは送出時間の少なくとも1つを制御するための換気制御情報を生成する。
【0063】
以下、換気制御情報の生成の一例について説明する。
【0064】
本実施形態では、吹き出し口からの空気流に対して、画像処理部30Bによって検出された物体が換気の障害となっているかを、遮蔽率を算出して判定する。
【0065】
図7及び
図8は、遮蔽率の簡易計算の一例を説明するための図である。
図7は、
図6に示す空調機60Cから換気用の空気流を送出して、空調機60Cの正面側に設けられた窓44Aから排気させることを想定した場合の高さ方向の遮蔽の例を示す。
図8は、
図6に示す空調機60Aから換気用の空気流を送出して、空調機60Aの正面側に設けられた窓43Aから排気させることを想定した場合の幅方向の遮蔽の例を示す。
【0066】
図7では、空調器60Cの吹き出し口中心点Pの床面からの高さ:Hairc.[m]、排出口とする窓44Aの中心点Qの床面からの高さ:Hexit.[m]、パーティション46(障害物)の天頂部点Oの床面からの高さ:Hobst.[m]、障害物と線分PQが交わる点Cと点Oの長さ:h[m]とする。
【0067】
図7に示すように、点Pと点Qとを結ぶ線分と、床面からの高さHobst.の障害物(パーティション46)とが交差するか否かを幾何学的に計算することで、障害物(パーティション46)が高さ方向で障害となっている範囲を判別できる。
【0068】
図8では、空調器60Aの吹き出し口の水平面方向のみかけ幅:Wairc.[m]、排出口とする窓43Aの水平方向のみかけ幅:Hexit.[m]、キャビネット45(障害物)が吹き出し口からの空気流(W2)を遮蔽するみかけ幅:w[m]、キャビネット45(障害物)に遮られずに通過する空気流(W1)のみかけ幅:Wpass[m]とする。
【0069】
図8に示すように、空調器60Aの吹き出し口と排出口(窓43A)とを結ぶ範囲に対して、障害物(キャビネット45)が幅方向でどれだけの範囲で障害となっているかを判別することができる。
【0070】
空調制御情報設定部30Eは、空調機10の吹き出し口の位置、排気に使用する排気口の位置、障害物の位置に基づいて、
図7及び
図8に示すように、高さ方向と幅方向の障害の状況に応じて遮蔽率ηを算出する。
【0071】
遮蔽率η
=(遮蔽物で遮蔽されている場合の通過面積)÷(遮蔽物がない場合の通過面積)*100
=(w*h)/(w+Wpass)*1*100[%]
なお、
図7及び
図8では、高さ方向と幅方向の説明において、それぞれ異なる空調機60A,60C、排気口(窓44A、窓43A)、障害物(パーティション46、キャビネット45)の例を示しているが、遮蔽率ηの算出では、高さ方向と幅方向について、共通する空調機、排気口、障害物の情報を利用する。
【0072】
空調制御情報設定部30Eは、遮蔽率ηを算出した結果、遮蔽率ηが予め設定された基準値よりも低い場合、すなわち吹き出し口から排気口まで略直線状に形成される空気流に対して障害物が換気に大きく影響を与えず、十分な換気が可能である場合には、効率的な換気ができるように、吹き出し口から排気口まで略直線状の空気流となるように、吹き出し口からの空気流の方向を決定する。
【0073】
一方、空調制御情報設定部30Eは、遮蔽率ηが予め設定された基準値以上の場合、遮蔽率ηが基準値よりも低くなるように、障害物を避ける方向に吹き出し口からの空気流の方向を決定する。
【0074】
これにより、キャビネット、パーティション、カーテンなどの障害物の位置に応じて、吹き出し口から排気可能な構造物(排気口)にむかって適切な方向に空気流をつくり、迅速で効率的な換気ができるようにする。
【0075】
なお、吹き出し口からの空気流の方向を決定する際に、障害物の位置だけでなく滞在者の位置をもとに決定しても良い。例えば、滞在者の周囲を吹き出し口からの空気流が通過するように方向を決定する。すなわち、滞在者の周囲に換気用の空気流を流すようにすることで、滞在者による呼気などを含む、滞在者周囲の空気の換気を効率的に行うことができる。
【0076】
なお、滞在者の周囲に換気用の空気流を流す場合、風量を強くすると滞在者に対して不快感を与える可能性があるため、予め決められた基準以下の風量が決定されるものとする。また、換気効率を優先するために、滞在者の周囲に換気用の空気流を流すのではなく、障害物だけでなく滞在者についても避けるように空気流の方向を決定して、基準を超える風量に決定するようにしても良い。
【0077】
また、前述した説明では、吹き出し口から排気口まで略直線状の空気流を送出可能な排気口を対象として、吹き出し口からの空気流の方向を決定しているが、施設情報によって判別される排気口として利用可能な通気口7や排気可能な構造物8、あるいは窓やドアを対象として、効率的に換気が可能な排気口を選択して、吹き出し口からの空気流の方向を決定する。
【0078】
すなわち、撮像デバイス11により撮影された画像をもとに把握された排気口の現在の状態に応じて、効果的な換気ができるようにする。
【0079】
また、吹き出し口から排気口まで略直線状の空気流を送出できない状況の場合には、空気流を送出する際の強度(風量)を強くする、あるいは空気流の送出時間を長くするなどして、効率的な換気ができるようにする。
【0080】
また、滞在者情報が示す滞在者の人数に応じて、吹き出し口からの空気流の強度あるいは送出時間を決定することもできる。例えば、滞在者の人数が多くなるほど、換気の必要性が高いものとして、空気流の強度を上げる、あるいは送出時間を長くする。
【0081】
なお、前述した吹き出し口から送出する空気流の方向、強度、あるいは送出時間の決定の方法は一例であって、その他の決定方法を用いることが可能である。
【0082】
空調制御情報設定部30Eは、前述したように、現在の空調エリア6の状態を示す施設情報、滞在者情報、障害物情報をもとに空気流の方向、強度、あるいは送出時間を決定すると(ステップS16、YES)、決定された内容に基づいて空調機を制御するための換気制御情報を生成して、施設情報/空調制御情報DB38に記録する。空調制御部30Fは、空調制御情報設定部30Eにより生成された換気制御情報を、空調通信部31を通じて空調制御装置3に送信する。空調制御装置3は、換気制御情報をもとに空調機10を制御して、換気のための空気流を送出させる(ステップS17)。なお、空調制御部30Fは、空調機10を直接制御できる場合には、換気制御情報に基づいて空調機10を制御し、空調機10の吹き出し口から換気のための空気流を送出させる。
【0083】
一方、空調制御情報設定部30Eは、換気条件が満足されない場合(ステップS16、NO)、すなわち現在の空調エリア6の状態を示す施設情報、滞在者情報、障害物情報をもとに、十分な換気を実施可能な空気流の方向、強度、あるいは送出時間を決定できない場合には、換気制御情報を生成しない。
【0084】
例えば、排気可能な排気口がない(全て閉状態)、または排気口(通気口7及び排気可能な構造物8、窓やドア)の開口面積が所定値より小さい、あるいは空調エリア6に存在する障害物を空気流の送出方向の変更では回避できない状況にあり、空気流により所定の換気量が得られない場合には、換気条件が満足されないとする。
【0085】
こうした場合、通知部30Hは、通知制御通信部34、ネットワーク40を通じて、管理者が使用する電子機器41あるいは管理システム42に、換気状態が整っていないことを通知する(ステップS19)。
【0086】
このように、現在の空調エリア6の状況に基づいて換気状態が整っていないことが判別された場合に管理者等に通知することにより、速やかに管理者が換気状態を整えるように対応することが可能となる。
【0087】
引き続き、空調エリア6に滞在者がいる場合(ステップS18、NO)、空調制御情報設定部30Eは、前述と同様にして、所定時間が経過すると(ステップS12、YES)、第1換気制御のための空調制御情報を生成するために各種情報を収集する。
【0088】
なお、所定時間(換気間隔時間)は、滞在者情報が示す空調エリア6に存在する滞在者の人数に応じて変動させるみとも可能である。例えば、滞在者の人数が多い場合には、換気の必要性が高くなることから、例えば滞在者の人数の増加に応じて、所定時間(換気間隔時間)を短くする。
【0089】
これにより、適切な時間間隔で第1換気制御のための空調制御情報を生成して、空調エリア6の状況に応じた換気を適切に実行することができる。
【0090】
一方、空調エリア6に滞在者がいなくなったことが判別された場合(ステップS18、YES)、空調制御情報設定部30Eは、第2換気制御のための空調制御情報を生成するために各種情報を収集する。すなわち、前述した第1換気制御のための処理(ステップS13~S15)と同様の処理を実行する(ステップS20,S21,S22)。ここでは、前述と同様の処理を実行するものとして詳細な説明を省略する。
【0091】
ただし、空調エリア6に滞在者がいない場合の処理のため、滞在者に関係する処理は含まれない。また、第2換気制御では、第1換気制御と異なる、短時間に空調エリア6の換気が完了される換気制御情報を設定する。例えば、第1換気制御における滞在者がいる場合の風量よりも強い風量にしたり、換気のために動作させる空調機10の台数を多くするなどしても良い。
【0092】
空調制御部30Fは、空調制御情報設定部30Eにより滞在者がいない場合の換気制御情報が設定されると、この換気制御情報に基づいて、空調機10に対して換気のための動作を実行させる(ステップS25)。
【0093】
空調制御部30Fは、換気完了と判別されるまで、空調機10により換気動作を実行させる。なお、換気完了の判別は、空調制御情報設定部30Eによって換気時間が決められても良いし、空調機10に設けられた温度センサにより検出される温度が、換気開始前の温度(空調機10に対する設定温度)から周囲温度(冷房/暖房されていない温度)になった場合(空調エリア6の空気全体が入れ替わった状態)とすることができる。
【0094】
なお、第2換気制御による換気の実行中に、空調エリア6に滞在者が検出された場合(部屋に人が入ってきた場合)(ステップS27、YES)、ステップS13の処理に戻り、第1換気制御の為の処理に移行する。
【0095】
また、空調制御情報設定部30Eによる第2換気制御のための空調制御情報の設定時に、第1換気制御の場合と同様にして、換気条件が満足されない場合には(ステップS23、NO)、通知部30Hは、通知制御通信部34、ネットワーク40を通じて、管理者が使用する電子機器41あるいは管理システム42に、換気状態が整っていないことを通知する(ステップS24)。
【0096】
このようにして、本実施形態における空調管理装置200は、空気流の吹き出し口置と排気可能な構造物の位置、及び施設内に存在する物体(障害物、滞在者など)の状態に応じて、施設内の換気に適した空気流を送出することが可能となる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0098】
また、前述した実施の形態において記載した処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。コンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【符号の説明】
【0099】
3…空調制御装置、4…撮像制御装置、5…施設排気制御装置、10(10a,10b,10c,10d)…空調機、11(11a,11b,11c,11d)…撮像デバイス、20(20a,20b,20c,20d),21(21a,21b,21c,21d)…通信部、200…空調管理装置、30…連携制御装置、30A…撮像処理部、30B…画像処理部、30C…情報入力処理部、30D…施設情報設定部、30E…空調制御情報設定部、30F…空調制御部、30G…施設換気部、30H…通知部、31…空調通信部、32…撮像デバイス通信部、33…換気制御通信部、34…通知制御通信部、37…撮像データDB、38…施設情報/空調制御情報DB、38A…施設情報、38B…空調制御情報。