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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085942
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】主制御基板およびライザーカード
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20230614BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20230614BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20230614BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H05K7/12 Q
G06F1/16 312M
G06F1/18 E
G06F3/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200270
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス パメラ サントス
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 卓弥
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353AA16
4E353BB05
4E353CC01
4E353DR19
4E353DR46
4E353GG40
(57)【要約】
【課題】信号品質を維持したまま複数のカードデバイス構成を可能にすることができる主制御基板およびライザーカードを提供することである。
【解決手段】主制御基板は、エッジコネクタを有するカードデバイスが挿抜可能なスロットを複数備えたライザーカードのエッジコネクタが挿抜可能であり、前記スロットの少なくともひとつに対応する電気接点を有する拡張スロットを備える。また、主制御基板は、前記拡張スロットとは別に設けられ、前記拡張スロットと電気的に接続されていない前記スロットのうち少なくともひとつに電気的に対応して設けられるインターフェースコネクタにケーブルを介して接続可能な電気接点を有する拡張コネクタを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジコネクタを有するカードデバイスが挿抜可能なスロットを複数備えたライザーカードのエッジコネクタが挿抜可能であり、前記スロットの少なくともひとつに対応する電気接点を有する拡張スロットと、
前記拡張スロットとは別に設けられ、前記拡張スロットと電気的に接続されていない前記スロットのうち少なくともひとつに電気的に対応して設けられるインターフェースコネクタにケーブルを介して接続可能な電気接点を有する拡張コネクタと、
を備えることを特徴とする主制御基板。
【請求項2】
2つの前記拡張スロットを備えており、
2つの前記拡張スロットに対して前記ライザーカードがそれぞれ挿入されている場合、一方の前記ライザーカードのコネクタと前記拡張コネクタとが前記ケーブルを介して接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の主制御基板。
【請求項3】
エッジコネクタを有するカードデバイスが挿抜可能な複数のスロットと、
主制御基板の拡張スロットに接続可能なエッジコネクタと、
前記拡張スロットと電気的に接続されていない前記スロットのうち少なくともひとつに電気的に対応して設けられるインターフェースコネクタと、
備えることを特徴とするライザーカード。
【請求項4】
前記カードデバイスの電源は、前記エッジコネクタから供給され、
前記カードデバイスの信号の一部は、前記インターフェースコネクタとケーブルを介して接続される前記主制御基板の拡張コネクタにルーティングされる、
ことを特徴とする請求項3に記載のライザーカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、主制御基板およびライザーカードに関する。
【背景技術】
【0002】
PCやサーバ等の電子機器に実装されるPCI Express(登録商標)に対応したカードデバイスは、筐体内に設置された主制御基板上に設けられたコネクタに対して、直接的または間接的にカードデバイスを構成するボード端面に設けられたエッジコネクタを接続することで、電子機器のメインプロセッサとの電気的、信号的な接続を実現している。
【0003】
従来、PCI Expressに対応したカードデバイスは、主制御基板上のコネクタに装着されたライザーカードのスロットを介して接続することによって、実装の方向や位置を変更し、電子機器の筐体内の限られたスペースを有効に活用するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許8693208号
【特許文献2】米国特許9477630号
【特許文献3】米国特許9529743号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信号品質を維持したまま複数のカードデバイス構成を可能にすることができる主制御基板およびライザーカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の主制御基板は、エッジコネクタを有するカードデバイスが挿抜可能なスロットを複数備えたライザーカードのエッジコネクタが挿抜可能であり、前記スロットの少なくともひとつに対応する電気接点を有する拡張スロットを備える。また、主制御基板は、前記拡張スロットとは別に設けられ、前記拡張スロットと電気的に接続されていない前記スロットのうち少なくともひとつに電気的に対応して設けられるインターフェースコネクタにケーブルを介して接続可能な電気接点を有する拡張コネクタを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかるパーソナルコンピュータの内部構造を示す斜視図である。
図2-1】図2-1は、ライザーカードの一の面を示す図である。
図2-2】図2-2は、ライザーカードの他の面を示す図である。
図3-1】図3-1は、ライザーカードの一の面を示す図である。
図3-2】図3-2は、ライザーカードの他の面を示す図である。
図4図4は、接続ケーブルの一例を示す図である。
図5-1】図5-1は、拡張基板の接続の一例を示す図である。
図5-2】図5-2は、拡張基板の接続の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、主制御基板およびライザーカードの実施の形態を詳細に説明する。本実施形態においては、電子機器としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明する。
【0009】
図1は、実施形態にかかるパーソナルコンピュータの内部構造を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のパーソナルコンピュータは、一般的な筐体の製品に比べ接地面積が小さなスモールフォームファクタの筐体10と、筐体10内に固定して設けられた主制御基板11と、を備える。主制御基板11は、メインプロセッサ、内部記憶装置等を実装する。なお、特に図示しないが、パーソナルコンピュータは、筐体10内に、電源ユニット、各種ディスクドライブ、ハードディスクドライブ等を備える。
【0010】
主制御基板11は、複数の拡張用の拡張スロット12、13を、主制御基板11上の所定位置に備える。複数の拡張スロット12、13は、PCI Expressデバイスである拡張基板30が挿抜可能なスロットを複数備えたライザーカード20、21を挿抜可能なスロットである。PCI Expressデバイスは、エッジコネクタを有するカードデバイスである。拡張スロット12は、例えば、PCI Express(x16)のスロットである。拡張スロット13は、例えば、PCI Express(x16)のピン数とPCI Express(x8)のピン数を合計した電気接点を有する多ピンのスロットである。拡張スロット12、13は、ライザーカード20、21のエッジコネクタが挿抜可能であり、ライザーカード20、21のスロットの少なくともひとつに対応する電気接点を有する。
【0011】
さらに、主制御基板11は、接続ケーブル40を接続するための拡張コネクタ14を、拡張スロット12と拡張スロット13との間に備える。拡張コネクタ14は、拡張スロット12、13と電気的に接続されていないライザーカード20、21のスロットのうち少なくともひとつに電気的に対応して設けられるインターフェースコネクタに接続ケーブル40を介して接続可能な電気接点を有する。
【0012】
ライザーカード20、21は、主制御基板11に設けられた拡張スロット12、13に装着されて、主制御基板11上に立設される拡張基板増設用基板である。
【0013】
ライザーカード20について説明する。ここで、図2-1はライザーカード20の一の面を示す図、図2-2はライザーカード20の他の面を示す図である。
【0014】
図2-1および図2-2に示すように、ライザーカード20は、長手方向の一辺に、拡張スロット12に嵌合するPCI Express(x16)の接続端子(エッジコネクタ)20Aを備える。また、ライザーカード20は、基板の一の面に、それぞれ所定の配置をもって複数の拡張基板接続用スロット20B,20Cを備える。拡張基板接続用スロット20Bは、PCI Express(x8)のスロットである。エッジコネクタ20Aは、拡張基板接続用スロット20Bに対応する電気接点を有する。拡張基板接続用スロット20Cは、PCI Express(x16)のスロットであり、ライザーカード20の他の面の所定の配置に設けられる高速信号用の接続ケーブル接続用コネクタ(インターフェースコネクタ)20Dに接続される。インターフェースコネクタ20Dは、拡張スロット12と電気的に接続されていない拡張基板接続用スロット20Cに電気的に対応して設けられる。インターフェースコネクタ20Dは、接続ケーブル40を介して主制御基板11の拡張コネクタ14に接続される。なお、拡張基板接続用スロット20Cの電源はエッジコネクタ20Aから供給される。
【0015】
すなわち、ライザーカード20は、エッジコネクタ20Aとインターフェースコネクタ20Dとの両方を使用して、例えばPCI Express(x16)およびPCI Express(x8)のカードデバイスの接続を可能にする。
【0016】
次に、ライザーカード21について説明する。ここで、図3-1はライザーカード21の一の面を示す図、図3-2はライザーカード21の他の面を示す図である。
【0017】
図3-1および図3-2に示すように、ライザーカード21は、長手方向の一辺に、拡張スロット13に嵌合するPCI Express(x16)を超える多ピンの接続端子(エッジコネクタ)21Aを備える。また、ライザーカード21は、基板の一の面に、それぞれ所定の配置をもって複数の拡張基板接続用スロット21B,21C,21Dを備える。拡張基板接続用スロット21B,21Cは、PCI Express(x16)のスロットである。エッジコネクタ21Aは、拡張基板接続用スロット21B,21Cに対応する電気接点を有する。拡張基板接続用スロット21Dは、PCI Express(x16)のスロットであり、ライザーカード21の他の面の所定の配置に設けられる高速信号用の接続ケーブル接続用コネクタ(インターフェースコネクタ)21Eに接続される。インターフェースコネクタ21Eは、拡張スロット13と電気的に接続されていない拡張基板接続用スロット21Dに電気的に対応して設けられる。インターフェースコネクタ21Eは、接続ケーブル40を介して主制御基板11の拡張コネクタ14に接続される。なお、拡張基板接続用スロット21Dの電源は、エッジコネクタ21Aから供給される。
【0018】
次に、拡張基板30について説明する。拡張基板30は、PCI Expressに対応したPCI Expressデバイスであって、機能拡張のための基板である。拡張基板30は、例えば、グラフィックカード、ネットワークインターフェースカード、RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)カード、Wi-Fiカード、SSD(Solid State Drive)アドオンカードなどである。拡張基板30は、長手方向の一辺に、ライザーカード20の拡張基板接続用スロット20B,20C、または、ライザーカード21の拡張基板接続用スロット21B,21C,21Dのいずれかに嵌合するPCI Express(x16)またはPCI Express(x8)の接続端子を備える。拡張基板30は、ライザーカード20の拡張基板接続用スロット20B,20C、または、ライザーカード21の拡張基板接続用スロット21B,21C,21Dのいずれかに挿入されて嵌合することによりコネクタ接続され、主制御基板11に回路接続される。
【0019】
次に、接続ケーブル40について説明する。ここで、図4は接続ケーブル40の一例を示す図である。
【0020】
図4に示すように、接続ケーブル40は、PCI Express(x16)のピンの数に応じたケーブル40Aを有している。接続ケーブル40は、ケーブル40Aの一端に、主制御基板11の拡張コネクタ14に嵌合するコネクタ40Bを備える。また、接続ケーブル40は、ケーブル40Aの他端に、ライザーカード20のインターフェースコネクタ20D、および、ライザーカード21のインターフェースコネクタ20Eに嵌合するコネクタ40Cを備える。
【0021】
続いて、拡張基板30の接続例について説明する。
【0022】
ここで、図5-1は拡張基板30の接続の一例を示す図である。図5-1に示すように、ライザーカード20においては、拡張基板接続用スロット20BにPCI Express(x16)の拡張基板30が装着される。また、ライザーカード20においては、拡張基板接続用スロット20CにPCI Express(x16)の拡張基板30が装着されるとともに、インターフェースコネクタ20Dには接続ケーブル40が接続されて主制御基板11の拡張コネクタ14に接続される。
【0023】
一方、図5-1に示すように、ライザーカード21においては、拡張基板接続用スロット21BにPCI Express(x8)の拡張基板30が装着される。また、ライザーカード21においては、拡張基板接続用スロット21CにPCI Express(x16)の拡張基板30が装着される。
【0024】
図5-1に示す例では、拡張基板接続用スロット20Cが拡張スロット12と電気的に接続されていないため、ライザーカード20においては、インターフェースコネクタ20Dに接続ケーブル40を接続して主制御基板11の拡張コネクタ14に接続する。これにより、拡張基板接続用スロット20Cに挿入されたPCI Express(x16)の拡張基板30の電源はエッジコネクタ20Aから供給され、PCI Express信号の一部はインターフェースコネクタ20Dと接続ケーブル40を介して接続される主制御基板11の拡張コネクタ14にルーティングされるものとなっている。
【0025】
ところで、近年、リアルタイム画像処理に用いられるGPU(Graphics Processing Unit)においては、2枚のPCI Express(x16)の拡張基板30を必要とするものがある。ここで、図5-2は拡張基板30の接続の別の一例を示す図である。図5-2に示すように、ライザーカード20においては、拡張基板接続用スロット20BにPCI Express(x8)の拡張基板30が装着される。
【0026】
一方、図5-2に示すように、ライザーカード21においては、拡張基板接続用スロット21BにPCI Express(x8)の拡張基板30が装着される。また、ライザーカード21においては、拡張基板接続用スロット21Cに対してGPUボードであるPCI Express(x16)の拡張基板3が装着される。加えて、ライザーカード21においては、拡張基板接続用スロット21Dに対してGPUボードであるPCI Express(x16)の拡張基板30が装着されるとともに、インターフェースコネクタ21Eには接続ケーブル40が接続されて主制御基板11の拡張コネクタ14に接続される。
【0027】
図5-2に示す例のように、接続ケーブル40をライザーカード21に嵌合することもでき、これにより、主制御基板11上のレイアウトや接続を変更することなく、ライザーカード21に対して、PCI Express(x16)、PCI Express(x16)、PCI Express(x8)のデバイスを接続することができる。
【0028】
すなわち、ライザーカード20,21に装着する拡張基板30を変更したい際には、その変更したい拡張基板30の種類に応じて接続ケーブル40をライザーカード20,21に対して挿抜することにより、簡単かつ安価な構成で、異なるスロット構成を持つ異なるライザーカード20,21に拡張基板30を接続することができる。
【0029】
このように本実施形態によれば、ライザーカードのPCI Expressスロット構成に応じて接続ケーブルとライザーカードのインターフェースコネクタとの組み合わせを変更し、顧客が使用するPCI Expressスロットに電源とPCI Express信号との両方を接続することにより、信号品質を維持したまま複数のPCI Express構成を可能にすることができる。
【0030】
また、高速信号用のインターフェースコネクタをライザーカードに使用することで、拡張に必要なピン数を減少させることができる。また、スモールフォームファクタの拡張スロット12、13を使用することができ、主制御基板11のレイアウト上のスペースを確保することができる。
【0031】
なお、上記した実施形態では、拡張用スロットをもつパーソナルコンピュータを例に挙げたが、これに限らず、外部より任意に回路基板を装着脱可能な各種の電子機器に適用できる。
【0032】
また、拡張基板接続用コネクタの種類、実装数、基板形状等についても上記実施形態に限らず、種々の変更が可能である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
11 主制御基板
12、13 拡張スロット
14 拡張コネクタ
20、21 ライザーカード
20A、21A エッジコネクタ
20B、20C、21B,21C,21D スロット
20D、21E インターフェースコネクタ
30 カードデバイス
40 ケーブル
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】