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特開2023-86043施設管制システム、および、施設管制の画面表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086043
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】施設管制システム、および、施設管制の画面表示方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20230614BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G08B23/00 510D
G05B23/02 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200432
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 陽太郎
(72)【発明者】
【氏名】根本 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 郁郎
(72)【発明者】
【氏名】門倉 悠真
(72)【発明者】
【氏名】長島 正和
(72)【発明者】
【氏名】福岡 雅之
【テーマコード(参考)】
3C223
5C087
【Fターム(参考)】
3C223AA21
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223FF13
3C223FF14
3C223FF43
3C223GG01
3C223HH04
3C223HH07
3C223HH08
3C223HH14
3C223HH15
3C223HH17
5C087AA05
5C087AA09
5C087AA10
5C087DD04
5C087DD20
5C087DD28
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】施設の災害発生時に緊急対応を行う操作者を支援する。
【解決手段】実施形態の施設管制システムは、管理対象の施設に災害が発生した場合の確認事項と操作内容を含む一連の災害対応手順を記憶する記憶部と、情報を表示する表示部と、前記施設における災害を検知する検知部と、前記検知部によって前記施設の災害が検知された後、前記表示部に、前記災害の状況画面、操作入力画面、および、前記災害対応手順の全体と現在の手順を表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の施設に災害が発生した場合の確認事項と操作内容を含む一連の災害対応手順を記憶する記憶部と、
情報を表示する表示部と、
前記施設における災害を検知する検知部と、
前記検知部によって前記施設の災害が検知された後、前記表示部に、前記災害の状況画面、操作入力画面、および、前記災害対応手順の全体と現在の手順を表示させる表示制御部と、を備える施設管制システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示部に、前記災害対応手順の全体における現在の進捗度を少なくとも図形によって表示させる、請求項1に記載の施設管制システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示部に、前記災害対応手順における各操作のシミュレーション動画をGIF(Graphics Interchange Format)アニメーションによって表示させる、請求項1に記載の施設管制システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部における操作ボタンの境界付近が操作された場合、再度の操作を要求する画面を表示させる、請求項1に記載の施設管制システム。
【請求項5】
操作者の眼球運動を計測する計測部と、
前記計測部による前記操作者の眼球運動の計測結果に基づいて、前記表示部における前記操作者の見ている位置である視線位置を分析する分析部と、
前記操作者によって前記表示部を用いた操作が行われた場合、前記表示部による当該操作の操作内容の表示位置と前記視線位置が一致したときにのみ、当該操作を有効とする判定部と、をさらに備える、請求項1に記載の施設管制システム。
【請求項6】
前記施設は車両用のトンネルであり、
前記災害は火災である、請求項1に記載の施設管制システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記表示部に、操作者による判断結果に基づく入力を行うための操作入力画面を表示させ、当該操作入力画面における入力内容に応じた確認事項および/または操作内容を表示させる、請求項1に記載の施設管制システム。
【請求項8】
前記トンネルの映像および/またはセンサ情報と、予め作成された火災認識用の学習モデルと、に基づいて、前記トンネルにおける火災状況を認識する認識部を、さらに備え、
前記表示制御部は、前記表示部に、前記火災状況に応じた確認事項および操作内容を表示させる、請求項6に記載の施設管制システム。
【請求項9】
管理対象の施設における災害を検知する検知ステップと、
前記施設の災害が検知された後、表示部に、前記災害の状況画面、操作入力画面、および、災害が発生した場合の確認事項と操作内容を含む一連の災害対応手順の全体と現在の手順を表示させる表示制御ステップと、
を含む施設管制の画面表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、施設管制システム、および、施設管制の画面表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、施設管制システムでは、管理対象の施設(例えば、高速道路におけるトンネル)について、災害(例えば火災)が発生した場合の確認事項や操作内容を含む一連の災害対応手順を用意している。
【0003】
例えば、トンネル内に設置されたCCTV(Closed Circuit Television System)カメラや火災検知器などから取得した情報に基づいて、トンネル火災の発生を検知したとする。その場合、施設管制システムの操作者は、災害対応手順に関する画面表示を見ながら各種確認や各種操作を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5055145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、緊急対応を行わなければならない操作者にとって必ずしも作業しやすい画面表示はできておらず、改善の余地がある。
【0006】
そこで、本実施形態の課題は、施設の災害発生時に緊急対応を行う操作者を支援する施設管制システム、および、施設管制の画面表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の施設管制システムは、管理対象の施設に災害が発生した場合の確認事項と操作内容を含む一連の災害対応手順を記憶する記憶部と、情報を表示する表示部と、前記施設における災害を検知する検知部と、前記検知部によって前記施設の災害が検知された後、前記表示部に、前記災害の状況画面、操作入力画面、および、前記災害対応手順の全体と現在の手順を表示させる表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の施設管制システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の第1の画面例を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態の第2の画面例を模式的に示す図である。
図4図4は、第1実施形態の第3の画面例を模式的に示す図である。
図5図5は、第1実施形態の第4の画面例を模式的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態の第5の画面例を模式的に示す図である。
図7図7は、第1実施形態の第6の画面例を模式的に示す図である。
図8図8は、第2実施形態の施設管制システムの全体構成を示すブロック図である。
図9図9は、第3実施形態の施設管制システムの全体構成を示すブロック図である。
図10図10は、第3実施形態の画面例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を用いて、本発明の施設管制システム、および、施設管制の画面表示方法の実施形態(第1実施形態~第3実施形態)について説明する。以下の実施形態では、管理対象の施設として、高速道路を走行する車両用のトンネルを例にとる。また、災害として、火災を例にとる。しかし、施設や災害はこれらに限定されない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の施設管制システムSの全体構成を示すブロック図である。施設管制システムSは、施設中央装置1と、操作部14と、トンネル設備2と、を備える。
【0011】
トンネル設備2は、情報板21と、換気設備22と、CCTVカメラ23と、センサ24と、水噴霧装置25と、を含む。
【0012】
情報板21は、道路、トンネル、気象等に関する各種情報を道路利用者に提供するための表示装置である。
【0013】
換気設備22は、トンネル内の排気ガスや火災発生時の煙等を外部に排出するための設備である。
【0014】
CCTVカメラ23は、トンネルの内部や出入口付近に設置され、撮影した映像を施設中央装置1に送信する。
【0015】
センサ24は、火災検知器等の各種センサである。例えば、火災検知器(検知部の例)は、トンネル内の各所に設置され、火災を検知すると火災検知情報を施設中央装置1に送信する。
【0016】
水噴霧装置25は、鎖錠設備251と、水噴霧設備252と、を備える。
鎖錠設備251は、水噴霧しないときの鎖錠状態と、水噴霧するときの鎖錠解状態と、を切り替える設備である。
水噴霧設備252は、鎖錠設備251が鎖錠解状態のときに水噴霧を行う設備である。
【0017】
施設中央装置1は、トンネル設備2からの情報に基づき、トンネル設備2の動作状態、異常状態の監視等を行うコンピュータ装置である。施設中央装置1は、例えば、情報交換サーバや中央処理装置等の複数のコンピュータ装置によって実現されるが、本実施形態では、説明を簡潔にするために1台のコンピュータ装置として説明する。
【0018】
施設中央装置1は、操作部14と接続される。操作部14は、操作者の操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0019】
施設中央装置1は、HMI(Human Machine Interface)部11と、情報処理部12と、記憶部13と、を備える。記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部13は、各種プログラム、各種データを記憶する。記憶部13は、例えば、管理対象のトンネル設備2に火災(災害)が発生した場合の確認事項と操作内容を含む一連の災害対応手順(防災フロー)を記憶する。
【0020】
情報処理部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。
ROMは、各種プログラムや各種データを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
CPUは、施設中央装置1の動作を統括的に制御する。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部13等に格納されたプログラムを実行する。
【0021】
情報処理部12は、取得部121と、処理部122と、を備える。
【0022】
取得部121は、記憶部13やトンネル設備2から各種情報を取得する。
【0023】
処理部122は、各種演算処理を実行する。処理部122は、例えば、制御卓111と各種データの送受信を行う。
【0024】
HMI部11は、制御卓111を備える。制御卓111は、表示部112と、通信部113と、操作アシスト部114と、を備える。
【0025】
表示部112は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等である。
【0026】
通信部113は、制御卓111の外部装置との通信を行うための通信インターフェースである。
【0027】
操作アシスト部114は、施設中央装置1の操作者に対して操作アシスト(支援)を行う手段であり、例えば、表示制御部や音声制御部である。以下、主に、表示制御部の場合について説明する。
【0028】
操作アシスト部114は、トンネル設備2の火災が検知された後、表示部112に、火災の状況画面、操作入力画面、および、災害対応手順の全体と現在の手順を表示させる。これについて、図2を用いて説明する。
【0029】
図2は、第1実施形態の第1の画面例を模式的に示す図である。この画面は、Aトンネルの火災が検知された後に表示部112に表示される。領域R1には、この画面がAトンネルの火災発生に連動した画面であることを示す情報が表示される。
【0030】
領域R2には、水噴霧装置25の鎖錠設備251が鎖錠状態であることや、操作モードが自動であることや、各情報板が不連動である旨を示す情報が表示される。
【0031】
領域R3には、Aトンネルの上り方向の区間1~4のうち区間4で自動通報(火災検知器による火災検知)があったことや、各所の情報板21に「進入禁止 火災」、「火災とまれ」という表示がなされていることを示す情報が表示される。
【0032】
領域R4には、Aトンネルの下り方向について入口の情報板21に「進入禁止 火災」という表示がなされていることを示す情報が表示される。
【0033】
領域R5には、火災発生からの経過時間が表示される。
【0034】
領域R6には、入口からの火災位置が表示される。
【0035】
領域R7には、別の画面に遷移するために操作する「非常」の文字が表示される。
【0036】
領域R8には、災害対応手順の全体と現在の手順を示す情報が表示される。災害対応手順の全体は、ステップS1~S7の7つの手順によって構成される。そして、現在の手順がステップS2の「鎖錠解判断」であることが、ステップS2の背景色によって表示されている。
【0037】
これによって、これを見た操作者は、災害対応手順の全体と現在の手順を容易に知ることができる。具体的には、操作者は、例えば、水噴霧(ステップS5)までにあといくつの操作があるのかや、この先に行うことになる操作にはどのようなものがあるのかを一目で把握することができるようになる。
【0038】
なお、現在の手順を該当ステップ(ステップS2)の背景色によって表示しているが、これに限定されない。例えば、該当ステップの枠の色を他と異ならせてもよい。あるいは、該当ステップの箇所(枠だけも含む。)を点滅させるようにしてもよい。
【0039】
図1に戻って、操作アシスト部114は、表示部112に、災害対応手順の全体における現在の進捗度を少なくとも図形によって表示させる。これについて、図3を用いて説明する。
【0040】
図3は、第1実施形態の第2の画面例を模式的に示す図である。領域R1~R7については、図2の場合と同様である。
【0041】
領域R9には、災害対応手順の全体における現在の進捗度を示す図形と文字が表示される。ここでは、例として、全体(例えば火災発生から水噴霧まで)が9手順で、現在、4手順まで終わっていて、現在の手順が「火災覚知」で次の手順が「鎖錠解」であることを示している。
【0042】
これによって、操作者は、領域R9における図形部分等を見て、一目で、災害対応手順の全体における現在の進捗度を容易に知ることができる。
【0043】
なお、領域R9の表示は、これに限定されない。例えば、災害対応手順の全体における現在の進捗度を、分数形式(4/9)ではなく、%にて表示してもよい。
【0044】
また、操作完了までの各手順に要する標準的な時間を積算し、全体の積算時間に対する、操作完了分の手順までの積算時間の割合を、バーにおける色の変化する面積に対応させて表示してもよい。
【0045】
また、図形は、複数の逆くの字形に限定されず、複数の平行四辺形、複数のひし形、1つのバーにおける二色表示などであってもよい。
【0046】
図1に戻って、操作アシスト部114は、表示部112に、災害対応手順における各操作のシミュレーション動画をGIF(Graphics Interchange Format)アニメーションによって表示させる。これについて、図4を用いて説明する。
【0047】
図4は、第1実施形態の第3の画面例を模式的に示す図である。ここでは、鎖錠設備251を鎖錠解状態から鎖錠状態にする場合について説明する。(a)は全体画面である。(b)、(c)、(d)は、(a)の小ウィンドウに表示されるアニメーション画面を時系列に示したものである。
【0048】
(a)の全体画面において操作する箇所(領域R11の「水噴霧鎖錠解」ボタン)をマウスカーソル(黒矢印)によって指すと、小ウィンドウにおいて操作方法を図示、例示するシミュレーションをプレビュー表示する。具体的には、まず、(b)の画面で領域R11の「水噴霧鎖錠解」ボタンをマウスカーソルによって指すことを示す。
【0049】
そうすると、次に、(c)の画面に示すように、領域R12においてボタン選択を行うことを示す。そのボタン選択を行うと、(d)の画面に示すように、領域R11においてボタン表示が「水噴霧鎖錠解」から「水噴霧鎖錠」に変わることを示す。
【0050】
一般に、トンネル火災が起きた際の操作は多方面に大きな影響を与えるものであり、特に経験の浅い操作者が操作時に躊躇し、操作に遅延が出ることが懸念されている。このシミュレーション機能により、操作後の動きを事前に確認できるようになることで、操作にかかる所要時間の短縮だけでなく、誤操作防止にも貢献できる。
【0051】
なお、図4のように、小ウィンドウ内で全体画面を表示させると文字等が小さくなってしまうので、小ウィンドウ内では全体画面ではなく操作に関係する部分の拡大画面を表示させてもよい。これについて、図5を用いて説明する。
【0052】
図5は、第1実施形態の第4の画面例を模式的に示す図である。図5(a)は図4(a)と同じ全体画面である。図5の(b)、(c)、(d)は、それぞれ図4の(b)、(c)、(d)の部分拡大画面である。このようにすることで、操作に関係する部分をより明確に表示し、操作者にとってよりわかりやすい。
【0053】
図1に戻って、操作アシスト部114は、表示部112における操作ボタンの境界付近が操作された場合、再度の操作を要求する画面を表示させる。ここで、操作ボタンの境界付近とは、複数の操作ボタンの境界付近の意味と、単一の操作ボタンの境界付近の意味と、両方の意味を含む。以下、前者を例にとって説明する。
【0054】
複数の操作ボタンの境界付近が操作された場合、再度の操作を要求する画面を表示させる。これにより、操作者の意思と異なる操作が実行されることを防止できる。トンネル火災時の操作は一つの誤操作が様々なところに大きな影響を与えることもあり、これにより、操作者の意思に沿った操作を確実に行えるようになる。
【0055】
また、操作アシスト部114は、表示部112に、操作者による判断結果に基づく入力を行うための操作入力画面を表示させ、当該操作入力画面における入力内容に応じた確認事項および/または操作内容を表示させる。これについて、図6を用いて説明する。
【0056】
図6は、第1実施形態の第5の画面例を模式的に示す図である。領域R1~R7については、図2の場合と同様である。領域R21には、火災状況確認として、出火無し、小規模火災、大規模火災の三択から選ぶ画面が表示される。そのうち小規模火災が選択された場合、領域R22には、領域R7の「非常」ボタンを操作して「水噴霧待機入力」(図7の領域R32)を操作する旨のガイド画面がポップアップ表示される。このとき、併せて音声による通知を行ってもよい。
【0057】
このように操作者に確認箇所や操作方法を教示することにより、操作者は判断を下した後の操作方法を、ガイド画面にて確認することができ、特に知識や経験の少ない操作者による誤操作の防止や操作に要する時間の短縮に貢献できる。
【0058】
なお、人間による判断の入力については、以下のような変更も可能である。
・選択肢をプルダウンでリスト表示して、選択入力可能とする
・操作者の声による音声入力
【0059】
また、操作方法の教示方法については、以下のように変更することも可能である。
図5のように、GIFアニメーションにて一連の操作を表示する
・通知を出すのは、一定時間を置いても正しい操作が行われない場合に限る
・ポップアップテキストの代わりにピクトグラムのような図解で表示する
・確認箇所や操作すべき箇所(ポップアップ表示を含む。)を点滅させる。また、併せて、マウスカーソルを合わせた時に操作方法をテキストでもポップアップ表示する
【0060】
次に、図7は、第1実施形態の第6の画面例を模式的に示す図である。この図7の画面は、例えば、図2において領域R7の「非常」ボタンを操作した場合に遷移する画面である。
【0061】
領域R31には、この画面が図2における領域R7の「非常」ボタンを操作した場合に遷移する画面であることを示す情報が表示される。
【0062】
領域R32には、水噴霧装置25の鎖錠設備251が鎖錠状態であることや、操作場所が遠方であることや、操作モードが自動であることや、各情報板が不連動である旨を示す情報が表示される。また、緊急放水、上り火災確認、下り火災確認、水噴霧待機入力、水噴霧待機入力解除の各ボタンが表示される。
【0063】
領域R33には、トンネル内の上りの区間1~4について、上から順に、CCTVカメラ、水噴霧、自動通報(火災検知器による通報)、手動通報(トンネル内電話による通報)の対応位置が表示される。ここでは、自動通報において、区間4の「47」が作動したことを示す。
【0064】
領域R34には、トンネル内の下りの区間1~4について、上から順に、CCTVカメラ、水噴霧、自動通報、手動通報の対応位置が表示される。
【0065】
この図7の画面においてポップアップ等のガイド表示を行ってもよいし、あるいは、この図7の画面を他の画面におけるGIFアニメーションの一部に使用してもよい。
【0066】
このように、第1実施形態の施設管制システムSによれば、表示部112に、災害の状況画面、操作入力画面、および、災害対応手順の全体と現在の手順を表示させることで、施設の災害発生時に緊急対応を行う操作者を支援することができる。
【0067】
例えば、トンネル火災時の緊急を要する操作や判断を行う場面において、火災時に行う操作や確認すべき箇所のガイドにより、操作者の経験や知識の不足を補い、操作ミスを低減するとともに、より迅速な対応を可能にする。
【0068】
一般に、そのような判断、確認、操作に誤りがあった場合、各種被害の拡大につながる恐れもあるが、近年、システム操作者の高齢化が進んだり、経験の浅い操作者が増えたりしているという状況がある。そのような状況において、本技術は非常に有用である。
【0069】
例えば、トンネル火災発生時は、防災フロー(災害対応手順)に沿っての確認、操作が必要である。また、水噴霧について、「水噴霧の必要の有無」と「放水する区画の選定」といった複数の判断が必要となる。本技術によれば、トンネル火災発生時に、操作者の知識や経験に依存せず、正確な判断や操作を、より早く行うことが可能になる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については説明を適宜省略する。第2実施形態の概要は、以下の通りである。システム操作者のアイトラッキングを行い、クリックや入力などの操作時に、視線先と操作箇所が一致している場合のみ、操作が実行されるようにする。以下、具体的に説明する。
【0071】
図8は、第2実施形態の施設管制システムSの全体構成を示すブロック図である。図8では、処理部122aは、分析部123と、判定部124と、を備える。また、施設中央装置1に対して、赤外線カメラ15が接続される。
【0072】
赤外線カメラ15は、操作者の眼球運動を計測する計測部の一例であり、赤外線によって操作者を撮影して、撮影画像を施設中央装置1に送信する。
【0073】
分析部123は、赤外線カメラ15による撮影画像(操作者の眼球運動の計測結果)に基づいて、表示部112における操作者の見ている位置である視線位置(視線先)を分析する。
【0074】
判定部124は、操作者によって表示部112を用いた操作が行われた場合、表示部112による当該操作の操作内容の表示位置と視線位置が一致したときにのみ、当該操作を有効とする。
【0075】
このようにして、第2実施形態によれば、操作者の視線先と操作箇所の一致を判定することで、特に「慣れ」がきっかけとなって発生する誤操作防止に貢献することができる。
【0076】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については説明を適宜省略する。
図9は、第3実施形態の施設管制システムSの全体構成を示すブロック図である。第3実施形態の概要は、以下の通りである。
【0077】
トンネル内に設置されているCCTVカメラ23の映像やセンサ24から得られる情報(二酸化炭素濃度やトンネル内の視界状況等)に基づいて、AI(Artificial Intelligence)を使ってトンネル火災の状況を認識する。そして、それに応じた確認箇所や操作方法を教示する。教示方法については第1実施形態に準じた方法を適用可能である。以下、具体的に説明する。
【0078】
図9では、処理部122bは、認識部125を備える。
認識部125は、トンネルの映像および/またはセンサ情報と、予め作成された火災認識用の学習モデルと、に基づいて、トンネルにおける火災状況を認識する。
【0079】
また、操作アシスト部114は、表示部112に、火災状況に応じた確認事項および操作内容を表示させる。
【0080】
図10は、第3実施形態の画面例を模式的に示す図である。図10(a)において、領域R1~R7は、図2の場合と同様である。領域R41には、AIによる火災の認識結果(ここでは「小規模火災」)が表示される。
【0081】
また、図10(b)において、領域R42には、操作者による修正用画面が表示される。つまり、操作者は、図10(a)の領域R41に示すAIによる火災の認識結果(「小規模火災」)を見て、変更する必要があると判断すると、図10(b)の領域R42のプルダウンメニューにおいて、「小規模火災」以外の「出火無し」か「大規模火災」を選択することができる。
【0082】
従来技術では、CCTV映像を基にした人間による判断のみで水噴霧の必要/不要を判断していた。
【0083】
一方、第3実施形態によれば、映像だけでなく、例えば、トンネル内の二酸化炭素濃度や視界状況等を踏まえて、AIが総合的に判断することで、人間の判断と比較して、早くかつ正確な判断を下せるという期待がある。これにより、操作者による誤判断等による被害拡大の防止に貢献できる。
【0084】
なお、本実施形態の施設中央装置1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。当該プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0085】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0086】
当該プログラムは、上述した施設中央装置1の操作アシスト部114を含むモジュール構成となっている。つまり、CPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより、操作アシスト部114等が主記憶装置上にロードされる。
【0087】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0088】
例えば、管理対象の施設はトンネルに限定されず、本発明は管理対象の施設全般に広く適用できる。
【符号の説明】
【0089】
1…施設中央装置、2…トンネル設備、11…HMI部、12…情報処理部、13…記憶部、14…操作部、15…赤外線カメラ、21…情報板、22…換気設備、23…CCTVカメラ、24…センサ、25…水噴霧装置、111…制御卓、112…表示部、113…通信部、114…操作アシスト部、121…取得部、122…処理部、123…分析部、124…判定部、125…認識部、251…鎖錠設備、252…水噴霧設備、S…施設管制システム

図1
図2
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図10