(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086822
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067207
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2018176676の分割
【原出願日】2018-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大将
(72)【発明者】
【氏名】武内 優太
(72)【発明者】
【氏名】河内 洋人
(57)【要約】
【課題】移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】第1情報処理装置110が、記憶部130から、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する情報取得部111と、移動体1の外部の音を取得する音取得部113と、その外部の音に、情報取得部111で取得された情報に対応した、運転者が聞き逃しやすい音が含まれているか否かを判定する判定部114と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の運転者個人ごとに聞き逃しやすい音に関する情報が記憶された記憶部から、前記移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する情報取得部と、
前記移動体の外部の音を取得する音取得部と、
前記外部の音に前記情報に対応した音が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記移動体の内部において、前記外部の音を前記判定部での判定結果に応じた再生態様で再生する再生部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体についての情報処理を行う情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び情報処理プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体についての情報処理の一例として、移動体の外部に運転者が視認し難い対象が存在しているか否かを判断する情報処理が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の情報処理では、移動体の外部の画像等に基づいて、視認し難い対象が存在しているか否かの判断が行われる。このような情報処理によれば、判断結果に応じて運転者に各種の通知を行うことで、運転者に適宜に注意を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、運転者が移動体の外部の状況を認識するに当たって、聴覚的に外部の状況を認識することも頻繁に行われることである。しかしながら、聴覚的な認識については、現状では運転者個々の聴覚能力や集中力に任されており、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助する情報処理については未だなされていないのが現状である。
【0005】
したがって、本発明の課題は、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する情報取得部と、前記移動体の外部の音を取得する音取得部と、前記外部の音に前記情報に対応した音が含まれているか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理方法は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する情報取得工程と、前記移動体の外部の音を取得する音取得工程と、前記外部の音に前記情報に対応した音が含まれているか否かを判定する判定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理プログラムは、上述した本発明の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【0009】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の記憶媒体は、上述した本発明の情報処理プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】移動体に搭載された、第1実施例に係る情報処理装置を示す模式的なブロック図である。
【
図2】
図1に示されている記憶部に記憶されている情報を示す模式図である。
【
図3】
図1に示されている判定部が判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【
図4】
図1に示されている記憶処理部が運転情報の判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【
図5】
図1に示されている第1情報処理装置で実行される情報処理方法における処理の流れを表すフローチャートである。
【
図6】
図1に示されている第2情報処理装置で実行される情報処理方法における処理の流れを表すフローチャートである。
【
図7】第2実施例における移動体とサーバとを示す模式図である。
【
図8】
図7に示されている移動体及びサーバそれぞれにおける情報処理装置を示す模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る情報処理装置は、情報取得部と、音取得部と、判定部と、を備えている。情報取得部は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する。音取得部は、移動体の外部の音を取得する。そして、判定部は、外部の音に、記憶部から取得された情報に対応した音が含まれているか否かを判定する。
【0012】
本実施形態の情報処理装置によれば、記憶部から取得された情報に対応した音、即ち、移動体の運転者が聞き逃しやすい音が、移動体の外部の音に含まれているか否かが判定される。これにより、その判定結果に基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施形態の情報処理装置によれば、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0013】
ここで、本実施形態の情報処理装置は、移動体の内部において、外部の音を判定部での判定結果に応じた再生態様で再生する再生部、を備えている。
【0014】
本実施形態によれば、外部の音を判定部での判定結果に応じた再生態様で再生することにより、聞き逃しやすい音について運転者が聞き取りやすい態様で注意を促すことができる。
【0015】
また、本実施形態では、判定部において、記憶部から取得された情報に対応した音が含まれていると判定された場合、再生部は、当該音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。
【0016】
本実施形態によれば、聞き逃しやすい音を強調するという、処理負担の小さい再生態様によって運転者に注意を促すことができる。
【0017】
また、本実施形態の情報処理装置は、判定部において、記憶部から取得された情報に対応した音が含まれていると判定された場合、当該音の存在を運転者に通知する通知部を備えている。
【0018】
本実施形態によれば、上記の通知部での通知により、聞き逃しやすい音について運転者に対し直接的に注意を促すことができる。
【0019】
また、本実施形態では、記憶部には、運転者個人が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶されている。
【0020】
本実施形態によれば、人によって異なる場合がある聞き逃しやすい音について、記憶部の記憶内容に基づいて運転者個人ごとにきめ細かく判定することができる。
【0021】
また、本実施形態では、記憶部には、運転者が属する年齢層の不特定多数の人物が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶されている。
【0022】
本実施形態によれば、年齢層によって異なる場合がある聞き逃しやすい音について、記憶部の記憶内容に基づいて運転者の年齢層ごとにきめ細かく判定することができる。
【0023】
また、本発明の実施形態に係る情報処理方法は、情報取得工程と、音取得工程と、判定工程と、を備えている。情報取得工程は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する工程である。音取得工程は、移動体の外部の音を取得する工程である。そして、判定工程は、外部の音に、記憶部から取得された情報に対応した音が含まれているか否かを判定する工程である。
【0024】
本実施形態の情報処理方法によれば、記憶部から取得された情報に対応した音、即ち、移動体の運転者が聞き逃しやすい音が、移動体の外部の音に含まれているか否かが判定される。これにより、その判定結果に基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施形態の情報処理方法によれば、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0025】
また、本発明の実施形態に係る情報処理プログラムは、上述した情報処理方法を、コンピュータにより実行させる。
【0026】
本実施形態に係る情報処理プログラムによれば、上述した情報処理方法を、コンピュータにより実行させることで、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0027】
また、本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上述した情報処理プログラムを記憶したものとなっている。
【0028】
本実施形態の記憶媒体によれば、記憶されている情報処理プログラムにより、上述した情報処理方法をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【実施例0029】
以下、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助するという課題を解決するための実施例について図を参照して具体的に説明する。まず、第1実施例について説明する。
【0030】
図1は、移動体に搭載された、第1実施例に係る情報処理装置を示す模式的なブロック図である。
【0031】
図1に示されている移動体1は乗用車であって、第1情報処理装置110と、第2情報処理装置120と、記憶部130と、を備えている。
【0032】
第1情報処理装置110は、記憶部130の記憶内容に基づいて、移動体1の外部に運転者が聞き逃しやすい音が存在していることを把握し、運転者に通知する装置である。また、第2情報処理装置120は、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音を把握し、そのような音に関する情報を記憶部130に記憶する装置である。この第2情報処理装置120によって記憶部130に記憶された情報が、第1情報処理装置110での処理に利用される。
【0033】
本実施例では、第1情報処理装置110及び第2情報処理装置120の構成要素は、その一部を除いて、移動体1に搭載されたカーナビゲーション装置に構築されている。また、記憶部130は、カーナビゲーション装置が備える記憶部の一部が利用されている。
【0034】
第1情報処理装置110及び第2情報処理装置120の各構成要素について説明する前に、まず、記憶部130に記憶される情報について説明する。
【0035】
図2は、
図1に示されている記憶部に記憶されている情報を示す模式図である。
【0036】
この
図2に示されているように、記憶部130には、運転者個人が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶されている。具体的には、移動体1の運転者として想定される人物の個人名称と、各人物が聞き逃しやすい音に関する情報と、が互いに対応付けられた情報テーブル131が記憶されている。
【0037】
図2の例では、運転者「Aさん」は、「子供の声」及び「スケートボードの音」を聞き逃しやすく、個人名称「Aさん」に、聞き逃しやすい音に関する情報として、それらの音の発生源を含む名称として「子供の声」及び「スケートボードの音」が対応付けられている。また、ここでの例では、「スケートボードの音」が、「Aさん」が属する年齢層の不特定多数の人物が聞き逃しやすい音となっている。
【0038】
運転者「Bさん」は、「Aさん」とは年齢層が異なるため、「スケートボードの音」は対応付けられておらず、「Bさん」個人が聞き逃しやすい音の名称として「自転車の音」が、個人名称「Bさん」に対応付けられている。
【0039】
また、「Aさん」と同じ年齢層に属する運転者「Cさん」は、個人的に聞き逃しやすい音は存在しないが、「Cさん」の年齢層の不特定多数の人物が聞き逃しやすい音の名称として「スケートボードの音」が、個人名称「Cさん」に対応付けられている。
【0040】
尚、ここでは、聞き逃しやすい音の一例として「子供の声」、「自転車の音」、「スケートボードの音」を例示し、運転者が属する年齢層の不特定多数の人物が聞き逃しやすい音の一例として「スケートボードの音」を例示した。しかしながら、これらはあくまで例示であり、聞き逃しやすい音、運転者が属する年齢層の不特定多数の人物が聞き逃しやすい音、は、各々実際の状況に応じて適宜に設定し得るものである。
【0041】
図1に示されている第1情報処理装置110は、このような記憶部130の記憶内容に基づいて、移動体1の外部における聞き逃しやすい音の存在を把握し、運転者に通知する。第1情報処理装置110は、情報取得部111、個人特定部112、音取得部113、判定部114、及び対応処理部115を備えている。また、対応処理部115は、再生部115a及び通知部115bを備えている。
【0042】
情報取得部111は、記憶部130から、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を取得する。ここで、本実施例では、後述するように個人特定部112で特定された運転者個人が聞き逃しやすい音が、記憶部130の情報テーブル131から読み出されて取得される。
【0043】
個人特定部112は、移動体1の運転者個人を特定する。具体的な特定手法としては、ここでは特定しないが、例えば運転者が名前等をキー入力する手法や、指紋認証によって特定する手法や、運転者が所有するスマートホン等から個人認証情報を読み取る手法等が挙げられる。
【0044】
音取得部113は、移動体1の各所に設置されたマイクを有し、これらのマイクを通して移動体1の外部の音を取得する。
【0045】
判定部114は、音取得部113で取得された外部の音に、情報取得部111で取得された情報に対応した音、即ち、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音が含まれているか否かを判定する。この判定部114は、以下に説明する情報テーブルを記憶しており、その情報テーブルを用いて判定を行う。
【0046】
図3は、
図1に示されている判定部が判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【0047】
この
図3に示されている情報テーブル114aは、運転者が注意を払うべき音として予め定められた要注意音の名称と、その要注意音の抽出条件と、を互いに対応付けたテーブルである。
図3の例では、要注意音の名称として、「子供の声」、「自転車の音」、及び「スケートボードの音」が挙げられている。そして、各要注意音の抽出条件が、各要注意音に特有の周波数範囲と音のレベル範囲とで規定されている。
【0048】
尚、要注意音は、上述した「子供の声」、「自転車の音」、及び「スケートボードの音」に限るものではなく、適宜に設定し得る。また、抽出条件も、周波数範囲と音のレベル範囲とに限るものではなく、要注意音の抽出の条件足り得るものであれば具体的な条件内容を問うものではない。
【0049】
図1に示されている判定部114は、まず、音取得部113で取得された外部の音に対する周波数解析を行い、その解析結果に基づいて、情報テーブル114aに規定されている抽出条件を満たす要注意音の抽出を行う。そして、外部の音から何等かの要注意音が抽出され、且つ、その抽出された要注意音が、情報取得部111で取得された、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音と一致するか否かを判断する。両者が一致する場合に、判定部114は、外部の音に運転者が聞き逃しやすい音が含まれていると判定する。
【0050】
対応処理部115の再生部115aは、移動体1の内部に設置されたスピーカを有し、そのスピーカを通して、音取得部113が取得した外部の音を再生するものである。このとき、再生部115aは、その外部の音を判定部114での判定結果に応じた再生態様で再生する。本実施例では、判定部114において運転者が聞き逃しやすい音が含まれていると判定された場合、再生部115aは、当該音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。
【0051】
再生部115aにおいて実施される、聞き逃しやすい音を他の音に対して強調した再生態様は、ここでは特定しないが、例えば聞き逃しやすい音の音量を増大させて再生する態様や、聞き逃しやすい音にエコーを掛けて再生する態様等が一例として挙げられる。
【0052】
対応処理部115の通知部115bは、判定部114において運転者が聞き逃しやすい音が含まれていると判定された場合、当該音の存在を運転者に通知する。通知部115bによる通知手法は、ここでは特定しないが、例えば音声メッセージで通知したり、メッセージ文やメッセージ画像を表示画面に表示したり、LEDインジケータを点灯させたりする手法等が一例として挙げられる。
【0053】
次に、
図1に示されている第2情報処理装置120について説明する。本実施例では、第2情報処理装置120は、第1情報処理装置110が備える個人特定部112及び音取得部113を、第2情報処理装置120の構成要素として利用している。第2情報処理装置120は、個人特定部112及び音取得部113の他に、運転情報取得部121と、記憶処理部122と、を備えている。
【0054】
運転情報取得部121は、移動体1の挙動及び当該移動体1の運転者の挙動の両方に関する運転情報を取得する。移動体1の挙動については、ハンドルやブレーキ等といった運転に係る諸装置の操作情報を取得し、運転者の挙動については、移動体1に搭載されたアイトラッカーで運転者の視線に関する情報を取得している。
【0055】
尚、運転情報の取得は、上述の取得手法に限るものではなく、移動体1の挙動や運転者の挙動に関する情報を取得するものであれば、具体的な手法を問うものではない。また、本実施例とは異なり、移動体1の挙動及び運転者の挙動のうちの一方のみに関する運転情報を取得することとしてもよい。
【0056】
記憶処理部122は、音取得部113で取得された外部の音及び運転情報取得部121で取得された運転情報に基づいて、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を記憶部130に記憶させる。
【0057】
この記憶処理部122は、まず、音取得部113で取得された外部の音から、上述した要注意音の抽出を試みる。記憶処理部122は、第1情報処理装置110の判定部114が記憶している情報テーブル114a(
図3)と同様の情報テーブルを記憶しており、この情報テーブルを用いて要注意音の抽出を試みる。そして、何等かの要注意音が抽出された場合に、記憶処理部122は、運転情報取得部121で危険運転に関する運転情報が取得されたか否かを判定する。この危険運転に関する運転情報の判定には、以下に説明するもう1つの情報テーブルが用いられる。
【0058】
図4は、
図1に示されている記憶処理部が運転情報の判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【0059】
この
図4に示されている情報テーブル122aは、各種の危険運転に関する情報としての運転名称と、各危険運転の抽出条件と、を互いに対応付けたテーブルである。
図4の例では、危険運転に係る運転名称として「急ブレーキ」、「よそ見」、及び「機器操作」が挙げられている。「急ブレーキ」の抽出条件としては、ブレーキ装置で急ブレーキに関するブレーキ操作情報が得られたこと等が挙げられる。「よそ見」の抽出条件としては、アイトラッカーでの運転者の視線の検出方向が、移動体1の進行と関係ない方向を向いていること等が挙げられる。「機器操作」の抽出条件としては、カーナビゲーション装置やオーディオ装置等の移動体1の搭載機器についての機器操作情報が得られたこと等が挙げられる。
【0060】
尚、危険運転は、上述した「急ブレーキ」、「よそ見」、及び「機器操作」に限るものではなく、適宜に設定し得る。また、抽出条件も、上述した条件に限るものではなく、危険運転の抽出の条件足り得るものであれば具体的な条件内容を問うものではない。
【0061】
図1に示されている記憶処理部122は、音取得部113で取得された外部の音から要注意音が取得されると、運転情報取得部121で、
図4の情報テーブル122aにおける抽出条件に合致する危険運転に関する運転情報が得られているか否かを判定する。そして、危険運転に関する運転情報が得られていた場合、外部の音から抽出された要注意音に関する情報を、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報として記憶部130に記憶させる。そして、このときの記憶は、
図2に示されている情報テーブル131への項目追加という形で行われる。即ち、運転者「Aさん」について初めて聞き逃しやすい音が得られた場合には、情報テーブル131に個人名称「Aさん」の記載欄が追加され、この個人名称「Aさん」に対応した聞き逃しやすい音の記載欄に、記憶処理部122で得られた情報が記載される。既に個人名称「Aさん」の記載欄が存在し、聞き逃しやすい音として新たな音に関する情報が得られた場合には、個人名称「Aさん」に対応した聞き逃しやすい音の記載欄に、その新たに得られた情報が追加記載される。
【0062】
次に、以上に説明した第1情報処理装置110及び第2情報処理装置120それぞれにおいて実行される情報処理方法について説明する。まず、第1情報処理装置110において実行される情報処理方法について説明する。
【0063】
図5は、
図1に示されている第1情報処理装置で実行される情報処理方法における処理の流れを表すフローチャートである。
【0064】
このフローチャートが表す処理は、移動体1のナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートし、通常のナビゲーション処理と並行して実行される。
【0065】
処理がスタートすると、まず、個人特定部112による個人特定工程が実行される(ステップS111)。個人特定工程では、上述したように名前のキー入力や指紋印象等の手法により、運転者個人の特定が行われる。
【0066】
次に、特定された運転者個人について、聞き逃しやすい音に関する情報を記憶部130から取得する情報取得工程が情報取得部111によって実行される(ステップS112)。情報取得工程では、
図2に示されている情報テーブル131において個人名称に対応付けられている聞き逃しやすい音の発生源を含む名称が、例えば「Aさん」について「子供の声」と「スケートボードの音」等というように記憶部130から読み出される。
【0067】
続いて、音取得部113による音取得工程が実行される(ステップS113)。音取得工程では、音取得部113が有する移動体1の各所のマイクを通して移動体1の外部の音が取得される。
【0068】
そして、取得された外部の音に、
図3に示されている情報テーブル114aに規定されている要注意音が含まれているか否かが、判定部114によって判定される(ステップS114)。判定は、情報テーブル114aにおいて各要注意音に対応付けられている抽出条件を用いた抽出処理によって行われる。抽出に成功した要注意音が存在した場合、外部の音にその要注意音が含まれていると判定され、情報テーブル114a中の何れの要注意音も抽出されなかった場合には、要注意音は含まれていないと判定される。
【0069】
外部の音に要注意音が含まれていた場合(ステップS114のYes判定)、その要注意音が、情報取得工程で取得された情報に対応した、個人特定された運転者が聞き逃しやすい音と一致するか否かが、判定部114によって判定される(ステップS115)。
【0070】
ステップS114及びステップS115の2つの判定処理が、外部の音に、情報取得工程で取得された情報に対応した、聞き逃しやすい音が含まれているか否かを判定する判定工程に相当する。
【0071】
抽出された要注意音が、運転者が聞き逃しやすい音と一致する場合(ステップS115のYes判定)、対応処理部115の再生部115aが、聞き逃しやすい音を他の音に対して強調した再生態様で、外部の音を再生する(ステップS116)。また、対応処理部115の通知部115bが、聞き逃しやすい音の存在を運転者に通知する(ステップS117)。
【0072】
他方、外部の音に要注意音が含まれていない場合(ステップS114のNo判定)は、処理がステップS113の音取得工程に戻り、以降の処理が繰り返される。また、外部の音に含まれる要注意音が聞き逃しやすい音と一致しない場合(ステップS115のNo判定)は、再生部115aが外部の音をそのまま再生する(ステップS118)。
【0073】
尚、外部の音に要注意音が含まれていない場合の処理については、
図5のフローチャートに示されている本実施例の処理のように、ステップS113の音取得工程に戻ることで再生を省略するという処理に限るものではない。本実施例とは異なり、外部の音に要注意音が含まれていない場合(ステップS114のNo判定)にも、ステップS118に処理が進んで再生部115aが外部の音をそのまま再生することとしてもよい。
【0074】
ステップS117の通知やステップS118の再生が終了すると、処理がステップS113の音取得工程に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0075】
図5のフローチャートが表す情報処理方法の処理は、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0076】
この
図5のフローチャートで表される情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムが、ナビゲーション装置の記憶媒体や、ナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0077】
次に、第2情報処理装置120において実行される情報処理方法について説明する。
【0078】
図6は、
図1に示されている第2情報処理装置で実行される情報処理方法における処理の流れを表すフローチャートである。
【0079】
このフローチャートが表す処理も、移動体1のナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートし、通常のナビゲーション処理と並行して実行される。
【0080】
処理がスタートすると、
図5のフローチャートの処理と同様の個人特定工程が個人特定部112で実行され(ステップS121)、
図5のフローチャートの処理と同様の音取得工程が音取得部113で実行される(ステップS122)。尚、本実施例では、
図6のフローチャートの処理は、
図5のフローチャートの処理と同時並行に実行される。このため、本実施例では、
図5のフローチャートで実行される個人特定工程(ステップS111)及び音取得工程(ステップS113)が、
図6のフローチャートにおける個人特定工程(ステップS121)及び音取得工程(ステップS122)を兼ねている。
【0081】
図6のフローチャートでは、続いて、移動体1の挙動及び当該移動体1の運転者の挙動の両方に関する運転情報を取得する運転情報取得工程が運転情報取得部121によって実行される(ステップS123)。運転情報取得工程では、移動体1の挙動について移動体1における諸装置の操作情報が取得され、運転者の挙動についてアイトラッカーで運転者の視線に関する情報が取得される。
【0082】
次に、音取得工程(ステップS122)で取得された外部の音に要注意音が含まれているか否かが記憶処理部122によって判定される(ステップS124)。ここでの判定は、
図5のフローチャートのステップS114で用いられる
図3の情報テーブル114aと同様の情報テーブルに基づいて外部の音から要注意音の抽出を行うことで行われる。
【0083】
外部の音に要注意音が含まれていた場合(ステップS124のYes判定)、運転情報取得部121で危険運転に関する運転情報が取得されているか否かが記憶処理部122によって判定される(ステップS125)。ここでの判定は、
図4に示されている情報テーブル122aが参照され、この情報テーブル122aに規定されている危険運転に関する情報が運転情報取得部121で取得されているか否かが記憶処理部122によって判定される。
【0084】
危険運転に関する情報が取得されていた場合(ステップS125のYes判定)、記憶処理部122によって次のような記憶処理工程が実行される(ステップ126)。記憶処理工程では、ステップS124の処理で抽出された要注意音の発生源を含む名称が、個人特定された運転者が聞き逃しやすい音に関する情報として、記憶部130の情報テーブル131に記載される。このとき、抽出された要注意音の発生源を含む名称が、情報テーブル131においてその運転者に対応付けられて既に記載されていた場合には記載が省略される。また、個人特定された運転者の個人名称が情報テーブル131に記載されていない場合には、新たにその個人名称の記載欄が設けられ、その個人名称に対応付けられて要注意音の発生源を含む名称が記載される。
【0085】
この記憶処理工程(ステップS126)が終了すると、処理がステップS122に戻って以降の処理が繰り返される。また、外部の音に要注意音が含まれていない場合(ステップS124のNo判定)や、危険運転に関する情報が取得されていない場合(ステップS125のNo判定)も、処理がステップS122に戻って以降の処理が繰り返される。
【0086】
図6のフローチャートが表す情報処理方法の処理も、
図5のフローチャートが表す情報処理方法の処理とともに、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0087】
この
図6のフローチャートで表される情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムも、ナビゲーション装置の記憶媒体や、ナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0088】
以上に説明した第1実施例によれば以下のような効果を得ることができる。まず、
図1に示されている第1情報処理装置110、
図5のフローチャートで表される情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体によれば、次のような判定が行われる。即ち、記憶部130から取得された情報に対応した音、即ち、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音が、移動体1の外部の音に含まれているか否かが判定される。これにより、その判定結果に基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施例によれば、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0089】
ここで、本実施例では、外部の音を上記の判定結果に応じた再生態様で再生する再生部115aが設けられている。これにより、聞き逃しやすい音について運転者が聞き取りやすい態様で外部の音を移動体1の内部で再生して運転者に注意を促すことができる。
【0090】
また、本実施例では、再生部115aは、運転者が聞き逃しやすい音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。これによれば、聞き逃しやすい音を強調するという、処理負担の小さい再生態様によって運転者に注意を促すことができる。
【0091】
また、本実施例では、運転者が聞き逃しやすい音の存在を運転者に通知する通知部115bが設けられている。この通知により、聞き逃しやすい音について運転者に対し直接的に注意を促すことができる。
【0092】
また、本実施例では、記憶部130には、運転者個人が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶されている。これによれば、人によって異なる場合がある聞き逃しやすい音について、記憶部130の記憶内容に基づいて運転者個人ごとにきめ細かく判定することができる。
【0093】
また、本実施例では、記憶部130には、運転者が属する年齢層の不特定多数の人物が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶されている。これによれば、年齢層によって異なる場合がある聞き逃しやすい音について、記憶部130の記憶内容に基づいて運転者の年齢層ごとにきめ細かく判定することができる。
【0094】
また、
図1に示されている第2情報処理装置120、
図6のフローチャートで表される情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体によれば、外部の音及び運転情報に基づいて、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶部130に記憶される。これにより、移動体1の外部に聞き逃しやすい音が存在していることについて、記憶部130の情報に基づいて運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。この記憶部130への情報記憶の点においても、本実施例によれば、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0095】
ここで、本実施例では、外部の音から要注意音が抽出され、且つ、危険運転に関する運転情報が取得されたとき、抽出された要注意音に関する情報が、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報として記憶される。このように要注意音と危険運転とを結びつけることで、運転者が聞き逃しやすい音を高い確度で把握し、そのような音に関する情報を記憶させることができる。
【0096】
また、本実施例では、上記の危険運転が、移動体1の挙動としての急ブレーキや、運転者の、要注意音に注意を払っていないこと示す挙動として規定されている。これによれば、運転者が聞き逃しかけて直前で気が付いた要注意音や、完全に聞き逃した要注意音等を、高い確度で把握し、そのような音に関する情報を記憶させることができる。
【0097】
次に、第2実施例について説明する。
【0098】
上述した第1実施例では、聞き逃しやすい音の判定や記憶が、移動体1の搭載装置で全て行われていたのに対し、以下に説明する第2実施例では、処理の一部が移動体の搭載装置で行われ、他の一部が移動体と無線接続されるサーバの装置で行われる。
【0099】
図7は、第2実施例における移動体とサーバとを示す模式図であり、
図8は、
図7に示されている移動体及びサーバそれぞれにおける情報処理装置を示す模式的なブロック図である。
【0100】
本実施例では、
図7に示されているように、各々が乗用車である複数台の移動体2が、1台のサーバ3に無線接続されている。運転者が聞き逃しやすい音に関する情報は、サーバ3に設けられた記憶部320に記憶される。この記憶部320には、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が、
図2に示されている情報テーブル131と同等のテーブル形式で記憶される。ただし、本実施例では、複数の移動体2それぞれの運転者の個人名称に、各運転者が聞き逃しやすい音の発生源を含む名称が対応付けられた情報テーブルが記憶部320に記憶される。
【0101】
聞き逃しやすい音の判定についての処理は、記憶部320から無線を介して取得した情報に基づいて、各移動体2に搭載された移動体情報処理装置210によって行なわれる。ここでの判定は、複数の移動体2の移動体情報処理装置210が共通に有する、
図3に示されている要注意音の情報テーブル114aを用いて行われる。
【0102】
また、移動体情報処理装置210では、移動体2の運転者の個人特定、外部の音の取得、及び運転情報の取得が行われる。個人特定された運転者の個人名称、取得された外部の音に関する情報、及び運転情報は、無線を介してサーバ3に送られる。
【0103】
サーバ3では、サーバ情報処理装置310が、各移動体2から送られてきた各種情報に基づいて、各移動体2の運転者が聞き逃しやすい音を求め、その音に関する情報を記憶部320に記憶させる。聞き逃しやすい音を求める処理は、サーバ情報処理装置310が有する、
図4に示されている危険運転の情報テーブル122aを用いて行われる。
【0104】
図8に示されているように、移動体情報処理装置210は、第1情報取得部211、第1個人特定部212、第1音取得部213、判定部214、対応処理部215、第1運転情報取得部216、及び第1通信部217を備えている。対応処理部215は、再生部215a及び通知部215bを備えている。
【0105】
第1情報取得部211は、第1通信部217を介してサーバ3から、移動体2の運転者の聞き逃しやすい音に関する情報を取得する。第1個人特定部212は、移動体2の運転者の個人特定を行うとともに、特定した運転者の個人名称を、第1通信部217を介してサーバ3に送る。第1音取得部213は、移動体2の外部の音を取得するとともに、取得した外部の音に関する情報を、第1通信部217を介してサーバ3に送る。判定部214は、第1音取得部213で取得された外部の音に、第1情報取得部211で取得された情報に対応した、運転者の聞き逃しやすい音が含まれているか否かを、要注意音の情報テーブル114aを用いて判定する。対応処理部215の再生部215aは、外部の音に聞き逃しやすい音が含まれていた場合に、当該音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。通知部215bは、その聞き逃しやすい音の存在を運転者に通知する。第1運転情報取得部216は、移動体2の挙動及び運転者の挙動の両方に関する運転情報を取得する。第1通信部217は、サーバ3との間で無線通信を行う。この第1通信部217による無線通信は、通信される各種情報に、第1通信部217が搭載されている移動体2を識別するための、例えば車体ナンバー等の識別子を付して行われる。
【0106】
また、サーバ情報処理装置310は、第2音取得部311、第2個人特定部312、第2運転情報取得部313、記憶処理部314、第2情報取得部315、及び第2通信部316を備えている。
【0107】
第2音取得部311は、移動体2の第1音取得部213が取得して送ってきた、移動体2の外部の音に関する情報を、第2通信部316を介して受け取る。第2個人特定部312は、移動体2の第1個人特定部212が特定して送ってきた運転者の個人名称を、第2通信部316を介して受け取る。第2運転情報取得部313は、移動体2の第1運転情報取得部216が取得して送ってきた運転情報を、第2通信部316を介して受け取る。記憶処理部314は、第2音取得部311で情報として受け取られた外部の音と第2運転情報取得部313で受け取られた運転情報に基づいて、第1個人特定部212で受け取られた個人名称の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を求める。この記憶処理部314での処理に危険運転の情報テーブル122aが用いられる。記憶処理部314は、求めた聞き逃しやすい音に関する情報を記憶部320に記憶させる。第2情報取得部315は、移動体2における第1情報取得部211からの求めに応じて、記憶部320から移動体2の運転者の個人名称に対応した聞き逃しやすい音に関する情報を取得し、第2通信部316を介して移動体2に送る。第2通信部316は、各移動体2との間で無線通信を行う。また、第2通信部316は、各移動体2に向けて情報を送信する際には、送信先の移動体2を識別するための識別子を情報に付して送信する。
【0108】
次に、移動体情報処理装置210及びサーバ情報処理装置310で実行される情報処理方法の処理について説明する。
【0109】
ここで、移動体情報処理装置210で実行される情報処理方法の処理は、処理の各ステップを実行する要素が異なる他は、
図5のフローチャートが表す処理と略同じである。また、サーバ情報処理装置310で実行される情報処理方法の処理は、処理の各ステップを実行する要素が異なる他は、
図6のフローチャートが表す処理と略同じである。そこで、以下では、移動体情報処理装置210で実行される情報処理方法の処理について
図5のフローチャートを参照して説明し、サーバ情報処理装置310で実行される情報処理方法の処理について
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0110】
まず、移動体情報処理装置210で実行される情報処理方法の処理について説明する。
【0111】
この処理は、移動体2のナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートする。まず、ステップS111において、第1個人特定部212が運転者の個人特定を行うとともに、特定した運転者の個人名称を、第1通信部217を介してサーバ3に送る。サーバ3では、送られた個人名称が、第2通信部316を介して第2個人特定部312で受け取られる。
【0112】
ステップS112では、第1情報取得部211がサーバ3に対し、第1通信部217を介して記憶部320からの情報取得を要請する。すると、サーバ3では、この要請を受けて第2情報取得部315が、第2個人特定部312で受け取られた個人名称の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を記憶部320から取得し、第2通信部316を介して要請先の移動体2に送る。移動体2では、送られてきた情報を第1情報取得部211が第1通信部217を介して受け取る。
【0113】
ステップS113では、第1音取得部213が、移動体2の外部の音を取得するとともに、当該音に関する情報を第1通信部217を介してサーバ3に送る。サーバ3では、送られた情報が、第2通信部316を介して第2音取得部311で受け取られる。
【0114】
ステップS114では、判定部214が、
図3に示されている要注意音の情報テーブル114aを用い、取得された外部の音に要注意音が含まれているか否かを判定する。要注意音が含まれていた場合(ステップS114のYes判定)、ステップS115で、その要注意音が、個人特定された運転者が聞き逃しやすい音と一致するか否かが、判定部214によって判定される。
【0115】
要注意音が聞き逃しやすい音と一致する場合(ステップS115のYes判定)、ステップS116で、再生部215aが、聞き逃しやすい音を強調して外部の音を再生する。また、ステップS117で、通知部215bが、聞き逃しやすい音の存在を運転者に通知する。外部の音に要注意音が含まれない場合(ステップS114のNo判定)や要注意音が聞き逃しやすい音と一致しない場合(ステップS115のNo判定)は、ステップS118で再生部215aが外部の音をそのまま再生する。ステップS117あるいはステップS118の処理の後は、ステップS113に戻って以降の処理が繰り返される。
【0116】
本実施例では、
図5のフローチャートの処理が、移動体2のナビゲーション装置がオフされるまで実行され続ける。
【0117】
本実施例では、この
図5のフローチャートで表される情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムが、各移動体2のナビゲーション装置の記憶媒体や、ナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0118】
次に、サーバ情報処理装置310で実行される情報処理方法の処理について
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0119】
この処理は、サーバ3に電源が投入されるとスタートする。まず、ステップS121において、第2個人特定部312が、移動体2の第1個人特定部212から運転者の個人名称が送られてくるのを待つ。この個人名称が送られてくると、第2個人特定部312が第2通信部316を介してこれを受け取る。第2個人特定部312が移動体2から運転者の個人名称を受け取ると、その個人名称に付されている識別子が示す移動体2において各種情報取得が開始されたものとして、これ以降、その移動体2に対応する処理が動き始める。
【0120】
ステップS122では、第2音取得部311が、移動体2の第1音取得部213から送られてくる、移動体2の外部の音に関する情報を、第2通信部316を介して受け取る。また、ステップS123では、第2運転情報取得部313が、移動体2の第1運転情報取得部216から送られてくる運転情報を、第2通信部316を介して受け取る。
【0121】
ステップS124では、記憶処理部314が、第2音取得部311で受け取った情報の音に要注意音が含まれているか否かを、
図3の要注意音の情報テーブル114aを用いて判定する。要注意音が含まれていた場合(ステップS124のYes判定)、ステップ125で、記憶処理部314が、第2運転情報取得部313で危険運転に関する運転情報が取得されているか否かを、
図4の危険運転の情報テーブル122aを用いて判定する。
【0122】
危険運転の運転情報が取得されていた場合(ステップS125のYes判定)、ステップS126で、記憶処理部314が、抽出された要注意音の発生源を含む名称を、聞き逃しやすい音に関する情報として、運転者の個人名称に対応付けて記憶部130に記憶させる。
【0123】
ステップS126の記憶処理工程が終了すると、処理がステップS122に戻って以降の処理が繰り返される。また、第2音取得部311で受け取った情報の音に要注意音が含まれていない場合(ステップS124のNo判定)や、危険運転に関する情報が取得されていない場合(ステップS125のNo判定)も、処理がステップS122に戻って以降の処理が繰り返される。
【0124】
本実施例では、
図6のフローチャートが表す情報処理方法の処理は、サーバの電源がオフされるまで実行され続ける。
【0125】
本実施例では、この
図6のフローチャートで表される情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムが、サーバ3に備えられる上記の記憶部320の一部をなす記憶媒体や、この記憶部320とは別体の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、サーバ3に設置された記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してサーバ3に接続される更に別のサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0126】
以上に説明した第2実施例の移動体情報処理装置210、サーバ情報処理装置310、
図5及び
図6それぞれのフローチャートで表される情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体によっても上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。即ち、本実施例でも、移動体2の運転者が聞き逃しやすい音が外部の音に含まれているかを判定し、適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。つまり、本実施例でも、第1実施例と同様に、移動体2の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができることは言うまでもない。
【0127】
また、本実施例でも、第1実施例と同様に、移動体2の外部の音及び運転情報に基づいて、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が記憶部320に記憶される。この記憶部320の情報に基づいて各移動体2において適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。つまり、本実施例でも、第1実施例と同様に、この記憶部320への情報記憶の点において、移動体2の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができることは言うまでもない。
【0128】
尚、本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0129】
例えば、上述した第1及び第2実施例では、乗用車としての移動体1,2が例示されている。しかしながら、移動体は、乗用車に限るものではなく、二輪車や、トラックやバス等の大型車両等であってもよく、移動体の具体的な種類を問うものではない。
【0130】
また、上述した第1及び第2実施例では、移動体に搭載されたナビゲーション装置に構築された構成要素を備える第1情報処理装置110、第2情報処理装置120、及び移動体情報処理装置210が例示されている。しかしながら、移動体で処理を行う情報処理装置は、これらに限るものではなく、ナビゲーション装置とは別体に設けられたコンピュータに構築された構成要素を備えるもの等であってもよい。